特許第6952703号(P6952703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952703
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】熱交換チューブのための矢じりフィン
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20211011BHJP
   F28B 1/06 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
   F28F1/32 L
   F28B1/06
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-541327(P2018-541327)
(86)(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公表番号】特表2019-504983(P2019-504983A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】US2017016689
(87)【国際公開番号】WO2017136819
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2020年1月15日
(31)【優先権主張番号】62/291,196
(32)【優先日】2016年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/425,454
(32)【優先日】2017年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518276368
【氏名又は名称】エバプコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evapco, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ダブリュー・バグラー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン‐ピエール・リベール
(72)【発明者】
【氏名】マーク・フーバー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ライリー
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−247539(JP,A)
【文献】 特開2011−174676(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0192372(US,A1)
【文献】 特開平08−170889(JP,A)
【文献】 特開平03−181796(JP,A)
【文献】 実開昭50−076453(JP,U)
【文献】 米国特許第03367132(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/10 − 1/44
F28B 1/06
F28D 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換チューブ用のフィンであって、
前記フィンの長手方向軸に沿って配置され、エンボス加工またはプレス加工された矢じり形状を備え
前記矢じり形状は、ペアとして配置され、あるペアの一方の矢じり形状の尖った端部が、あるペアの第2矢じり形状の分岐した端部の中に入れ子式に配置される、フィン。
【請求項2】
前記矢じり形状はそれぞれ、前記フィンにエンボス加工またはプレス加工された、2つの交差するウェッジ形状を備える請求項1記載のフィン。
【請求項3】
前記矢じり形状は、2つ以上の列に配置され、
前記列は、前記フィンの長手方向軸と整列している請求項1記載のフィン。
【請求項4】
第1の複数の前記矢じり形状が、前記フィンの平面に対して垂直な第1方向にプレス加工され、
第2の複数の前記矢じり形状が、前記フィンの前記平面に対して垂直な第2方向にプレス加工され、
前記第2方向は、前記第1方向とは反対である請求項1記載のフィン。
【請求項5】
矢じりペアの第1矢じり形状が、前記フィンの平面に対して垂直な第1方向にプレス加工され、
前記矢じりペアの第2矢じり形状が、前記フィンの前記平面に対して垂直な第2方向にプレス加工され、
前記第2方向は、前記第1方向とは反対である請求項3記載のフィン。
【請求項6】
熱交換チューブであって、
それに装着されたフィンを有し、
前記フィンは、前記フィンの長手方向軸に沿って配置され、エンボス加工またはプレス加工された矢じり形状を備える、
前記矢じり形状は、ペアとして配置され、あるペアの一方の矢じり形状の尖った端部が、あるペアの第2矢じり形状の分岐した端部の中に入れ子式に配置される、熱交換チューブ。
【請求項7】
請求項6記載の複数のフィン付熱交換チューブを備え、
前記熱交換チューブはそれぞれ、前記チューブの長手方向軸に対して垂直に整列され、前記チューブの平坦な表面の外面に装着された複数のフィンを有し、
前記フィンは、前記フィンの長手方向軸に沿って配置され、エンボス加工またはプレス加工された矢じり形状を備える、野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に大規模な野外設置型(field-erected)空冷式工業用蒸気凝縮器または乾式冷却器/凝縮器のためのチューブフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの大規模な野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器(ACC)に使用される現在のフィン付チューブは、半円形の前縁および後縁、および18.7mmの外部高さ(空気走行長に対して垂直)を備えた、約11メートル長で200mm幅(「空気走行長」とも称される)の平坦化チューブを使用する。チューブ壁厚は1.35mmである。フィンは、各チューブの平坦な両面にろう付け(brazed)され、チューブの長手方向軸に対して垂直に延びる長さを有する。フィンは、通常は18.5mmの高さで、1インチ当り11本のフィンで離隔している。フィン表面は、熱伝達を促進し、フィン剛性を支援する波状パターンを有する。チューブ間の標準間隔は中心間で57.2mmである。チューブ自体は、(空気流れ方向に対して垂直な)断面の面エリアの約3分の1を構成し、一方、フィンは、断面の面エリアの約3分の2を構成する。隣接するフィン先端の間に1.5mmの小さなスペースが存在する。夏の周囲条件では、チューブを通る最大蒸気速度は、典型的には28mps程度に高くなることがあり、より典型的には23〜25mpsになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、チューブ内の流体と、フィン上を通過する流体(空気)との間の熱伝達を改善する新しいフィン設計である。フィンは、概して平坦であり、平坦化したACCチューブと直接接触している。平坦な側面に対して平行な方向でのチューブの内部寸法(空気走行長とも称される)は、典型的には200mmである。外部チューブ高さ(空気走行長に対して垂直)は、典型的には18.7mmであるが、本発明のフィンは、任意の寸法の熱交換チューブとともに使用してもよい。冷却すべき流体は、チューブ内を流れ、これはフィン平面に対して垂直である。冷却空気は、チューブの平坦面の平面に対して平行で、チューブの長手方向軸に対して垂直に流れる。
【0004】
本発明の一実施形態によれば、複数の矢じり(arrowhead)形状が、各フィンにプレス加工またはエンボス加工される。好ましい実施形態によれば、矢じり形状は、2つの交差するウェッジセクションによって画定される。エンボス加工された金属表面および平坦なフィンの平面によって記述される体積の形状は、プリズムに類似した形状として特徴付けできる。好ましい実施形態によれば、ウェッジセクションは、その長さに垂直な断面三角形である。他の好ましい実施形態によれば、2つの交差するウェッジセクションは、矢じり形状の前縁において尖った(pointed)端部を形成し、矢じり形状の後縁において分岐した(forked) 端部を形成する。
【0005】
より好ましい実施形態によれば、各ウェッジの高さ(フィンの平面に対して垂直な方向)は、隣接フィン間の距離の50%または約50%である。各ウェッジの前縁および後縁は、好ましくはフィンの空気流れ方向/長手方向軸から30°または約30°で配向している。矢じり形状を形成する上部ウェッジセクション(チューブの場所に対して)は、30°上向きに配向した前縁および後縁を有し、各矢じり形状の下部ウェッジセクションは、30°下向きに配向した前縁および後縁を有する。
【0006】
他の好ましい実施形態によれば、本発明に係るプレス加工された矢じり形状は、複数のペアにグループ化され、あるペアの第1矢じり形状は、該ペアの第2矢じり形状のすぐ上流側にある。さらに好ましい実施形態によれば、第2矢じり形状の尖った端部は、第1矢じり形状の後端(または「分岐端部」)の中に入れ子式(nested)に配置される。さらに好ましい実施形態によれば、あるペアの矢じりの一方は、フィン平面に対してポジ(positive)としてプレス加工され、該ペアの他方は、フィン平面に対してネガ(negative)としてプレス加工される。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、矢じりペアは、空気流れ方向に対して平行な複数の列に配置され、フィン幅寸法の1〜2倍で空気流れ方向に対して垂直に離隔している。1つの列の矢じりペアは、好ましくは、空気流れ方向にフィンに沿って、隣接する列の矢じりペアに対して互い違いに配置される。そのため第2列の第1矢じりは、列に沿った矢じりペア間のスペースの半分だけ、フィンに沿って空気流れ方向に離隔している。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、単一列の矢じりペアは、フィン間隔の倍数、好ましくはフィン間隔の6〜12倍、より好ましくはフィン間隔の8倍または9倍に従って、空気流れ方向に離隔している。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、矢じりの寸法は、フィン高さの関数である。矢じり幅(フィンの平面内の流れに対して垂直)は、好ましくはフィン間隔の公称2〜3倍である(0.209インチ=2.3×0.091インチ)。矢じり長さ(流れに対して平行)は、好ましくはフィン間隔の5〜8倍である(0.091×6.5=0.591)(0.41+0.181=0.591)。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、所定フィン上の全ての矢じりプレス加工は、流れ方向に関して同じ方向に向いている。各後続フィンでは、矢じりプレス加工は、流れ方向の向きと流れ方向とは反対の向きとの間を交互に繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るフィンの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るフィンの側面図である。
図3】本発明の一実施形態を示す機械製図のセットである。
図4】本発明の一実施形態の側面図を示す図3の抜粋である。
図5】本発明の一実施形態の端面図を示す図3の抜粋である。
図6図3の線A−Aに沿った本発明の一実施形態の断面図を示す図3の抜粋である。
図7図3の線B−Bに沿った本発明の一実施形態の断面図を示す図3の抜粋である。
図8図3の詳細Eを示す図3の抜粋である。
図9図3のF−F線に沿った本発明の一実施形態の断面図を示す図3の抜粋である。
図10】本発明の他の実施形態に係る側面図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面、特に図1図2図4図10および図11を参照して、複数の矢じり形状2が各フィン4にプレス加工またはエンボス加工されている。各矢じり形状2は、2つの交差するウェッジセクション6a,6bによって画定される。エンボス加工された金属表面および平坦なフィンの平面によって記述される体積の形状は、プリズムに類似した形状として特徴付けできる。ウェッジセクション6a,6bは、その長さに垂直な断面三角形である。2つの交差するウェッジセクション6a,6bは、矢じり形状2の前縁において尖った端部8を形成し、矢じり形状2の後縁において分岐した端部10を形成する。
【0013】
各ウェッジ6a,6bの高さ(フィンの平面に対して垂直な方向)は、隣接フィン4間の距離の50%または約50%である(図5図7図9を参照)。各ウェッジの前縁12および後縁14は、好ましくはフィン4の空気流れ方向/長手方向軸から30°または約30°で配向している。矢じり形状2を形成する上部ウェッジセクション6a(チューブの場所に対して)は、30°上向きに配向した前縁および後縁を有し、各矢じり形状2の下部ウェッジセクション6bは、30°下向きに配向した前縁12および後縁14を有する。
【0014】
特に図1図2を参照して、プレス加工された矢じり形状2は、複数のペア16にグループ化してもよく、あるペアの第1矢じり形状16aは、該ペアの第2矢じり形状16bのすぐ上流側にある。第2矢じり形状16bの尖った端部は、第1矢じり形状16aの後端(または「分岐端部」)の中に入れ子式(nested)に配置される。本発明の好ましい実施形態と一致して、図1は、フィン平面に対してポジ(positive)として(フィン平面から外へ)プレス加工された、ペアの矢じりの一方を示し、そしてフィン平面に対してネガ(negative)として(フィン平面の中へ)プレス加工された、ペアの他方を示す。
【0015】
図1図4図10および図11は、空気流れ方向に対して平行な2つの列に配置された矢じりペアを示す。列は、フィン幅寸法の1〜2倍で空気流れ方向に対して垂直に互いに離隔している。一方の列の矢じりペアは、空気流れ方向にフィンに沿って、隣接する列の矢じりペアに対して互い違いに配置されるように示されており、そのため第2列の第1矢じりは、列に沿った矢じりペア間のスペースの半分だけ、フィンに沿って空気流れ方向に離隔している。
【0016】
図1図2図4図10および図11を参照して、単一列の矢じりペアは、フィン間隔の倍数、好ましくはフィン間隔の6〜12倍、より好ましくはフィン間隔の8倍または9倍に従って、空気流れ方向に離隔するように示される。
【0017】
矢じりの寸法は、好ましくはフィン高さの関数である。矢じり幅(フィンの平面内の流れに対して垂直)は、好ましくはフィン間隔の公称2〜3倍である(0.209インチ=2.3×0.091インチ)。矢じり長さ(流れに対して平行)は、好ましくはフィン間隔の5〜8倍である(0.091×6.5=0.591)(0.41+0.181=0.591)。
【0018】
所定フィン上の全ての矢じりプレス加工は、流れ方向に関して同じ方向に向いている。各後続フィンでは、矢じりプレス加工は、流れ方向の向きと流れ方向とは反対の向きとの間を交互に繰り返す。
図1
図2
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図4
図5
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図7
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図9
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