(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記全体集計部は、前記拠点集計部が集計を行うときの集計条件を指示する集計条件指示部を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板生産ラインの稼動情報モニタリングシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1.実施形態のモニタリングシステム1の構成)
実施形態の基板生産ラインの稼動情報モニタリングシステム1について、
図1〜
図16を参考にして説明する。
図1は、実施形態の基板生産ラインの稼動情報モニタリングシステム1(以降、モニタリングシステム1と略記)の構成図である。図中の矢印は、情報やデータの伝送方向、およびアクセスの方向などを示す。モニタリングシステム1は、複数の生産拠点の基板生産ラインをモニタリング対象とする。
【0013】
複数の生産拠点は、複数の国々に分散配置されていてもよいし、日本国内の複数の地域に分散配置されていてもよい。モニタリングシステム1は、各生産拠点に対応して設けられる複数の拠点集計部2および複数の情報伝送部3、全体集計部4、およびエリア比較出力部5などで構成される。
図1には、或る生産拠点9の構成が例示されている。他の生産拠点9A、9B、は、基板生産ラインのライン数の多少や生産する基板の種類の差異は有っても、或る生産拠点9と同様の構成になっている。
【0014】
生産拠点9には、3つの基板生産ライン(911、912、913)が配設されている。各基板生産ライン(911、912、913)の稼動状況をモニタリングするために、3つのラインサーバ(931、932、933)が設けられる。ラインサーバ(931、932、933)は、例えば、監視制御用のコンピュータ装置で構成される。基板生産ライン(911、912、913)とラインサーバ(931、932、933)の間は、構内LAN92を用いて通信接続される。3つのラインサーバ(931、932、933)は、相互間で情報交換する機能を有する。
【0015】
各ラインサーバ(931、932、933)は、各基板生産ライン(911、912、913)をモニタリングして得られる稼動情報を、それぞれのデータベース(941、942、943)に蓄積する。稼動情報として、総合設備効率(Overall Equipment Efficiency、以降OEEと略記)や基板の生産枚数、ラインを構成する個々の基板生産機の状態などを例示できる。稼動情報は、これらに限定されず、ライン稼動率やエラー発生率などであってもよい。
【0016】
拠点集計部2は、例えば、コンピュータ装置で構成される。拠点集計部2は、一定の情報収集時間が経過するたびに、3つのデータベース(941、942、943)から最新の稼動情報を収集する。情報収集時間として、3分を例示でき、これに限定されない。拠点集計部2は、さらに、一定の情報集計時間が経過するたびに、稼動情報を集計して拠点情報を作成する。情報集計時間は、例えば、1時間、12時間、および24時間の三条件から択一設定される。これに限定されず、情報集計時間は、三条件のうちの二つ、あるいは三条件の全てが設定されてもよい。
【0017】
情報収集時間および情報集計時間は、拠点集計部2が集計を行うときの集計条件に該当する。拠点集計部2の集計条件は、後述する集計条件指示部41からの指示で変更が可能となっている。例えば、情報集計時間が三条件から択一設定されている場合、集計条件指示部41は、情報集計時間の変更を指示する必要がある。このとき、拠点集計部2の集計処理量は少なくて済む。また、情報集計時間が三条件の全てと設定されている場合、集計条件指示部41は、情報集計時間の変更を指示する必要がない。このとき、拠点集計部2の集計処理量は多くなる。
【0018】
集計方法について例示すると、拠点集計部2は、3つの基板生産ライン(911、912、913)のOEEの平均値を求めて、生産拠点9の平均OEEとする。また、拠点集計部2は、3つの基板生産ライン(911、912、913)の生産枚数を加算して、生産拠点9の合計生産枚数とする。また、拠点集計部2は、3つの基板生産ライン(911、912、913)を構成する個々の基板生産機の現在状態の一覧を表すリアルタイムステータスデータ21を編集する。
【0019】
拠点集計部2は、生産拠点9の平均OEEおよび合計生産枚数を拠点情報データ22にまとめて、情報伝送部3に送出する。また、拠点集計部2は、リアルタイムステータスデータ21を情報伝送部3に送出する。拠点集計部2は、生産データベース23にアクセス可能となっている。生産データベース23には、基板の生産スケジュールが設定されている。拠点集計部2は、生産スケジュールをデータ化したスケジュールデータ24を情報伝送部3に送出する。リアルタイムステータスデータ21、拠点情報データ22、およびスケジュールデータ24は、生産拠点9の拠点情報である。なお、拠点集計部2は、生産スケジュールに基づいてラインサーバ(931、932、933)を管理する機能を併せもつ。
【0020】
情報伝送部3は、複数の生産拠点に対応して設けられる。情報伝送部3は、拠点集計部2が集計した拠点情報を後述の送受信用ハードディスク63に伝送する。情報伝送部3は、拠点情報が更新されるたびに動作する。このため、情報伝送部3の伝送時間間隔は、拠点集計部2の情報集計時間に略一致する。情報伝送部3と送受信用ハードディスク63の間は、双方向のデータ伝送が可能になっている。伝送方式として、セキュリティ性能に優れたVPN接続(Virtual Private Network接続)による無線通信方式を例示でき、これに限定されない。
【0021】
全体集計部4およびエリア比較出力部5は、クラウドサーバ61のアプリケーション提供部62のCPUを利用して実現される。アプリケーション提供部62は、他に送受信用ハードディスク63、稼動情報データベース64、設定情報データベース65、出力ゲートウェイ66、および出力データ編集部67を備える。
【0022】
送受信用ハードディスク63は、情報伝送部3から伝送された拠点情報を記憶する。全体集計部4は、送受信用ハードディスク63に拠点情報が記憶されるたびに、その拠点情報を読み出す。このため、全体集計部4が拠点情報を読み出す時間間隔は、拠点集計部2の情報集計時間に略一致する。全体集計部4は、複数の情報伝送部3からそれぞれ受け取った拠点情報を集計して、全部の生産拠点の全部の基板生産ラインの稼動情報を集計した全体情報を作成する。
【0023】
全体集計部4が全体情報を作成する頻度は、拠点情報を読み出す時間間隔に一致しても、一致しなくてもよい。この頻度は、固定値、または生産管理者に設定される可変の設定値とされる。例えば、拠点情報の更新、伝送、および読み出しが1時間毎に行われる場合、全体集計部4は、1時間毎に全体情報を作成してもよいし、12時間毎または24時間毎に全体情報を作成してもよい。全体集計部4は、全体情報および全部の生産拠点の拠点情報を、稼動情報データベース64に保存する。
【0024】
集計方法について例示すると、全体集計部4は、全部の生産拠点の拠点OEEの加重平均値を求めて、全体平均OEEとする。また、全体集計部4は、全部の生産拠点の合計生産枚数を加算して全体合計生産枚数とする。また、全体集計部4は、全部の生産拠点のリアルタイムステータスデータ21を集約して全体ステータスとする。さらに、全体集計部4は、全部の生産拠点のスケジュールデータ24を集約して全体スケジュールとする。全体平均OEE、全体合計生産枚数、全体ステータス、および全体スケジュールは、全体情報に相当する。
【0025】
稼動情報データベース64は、大きな記憶容量を有する記憶装置によって構成される。したがって、稼動情報データベース64は、全体情報および全部の生産拠点の拠点情報を長期にわたって蓄積できる。一方、送受信用ハードディスク63の記憶容量は限られている。このため、送受信用ハードディスク63は、全体集計部4が読み取り済みの拠点情報を逐次消去する。
【0026】
全体集計部4は、集計条件指示部41を含む。集計条件指示部41は、拠点集計部2が集計を行うときの集計条件を指示する。集計条件として、前述した情報収集時間および情報集計時間や、稼動情報の種類などがある。集計条件は、生産管理者の設定操作によって変更可能とされている。集計条件指示部41は、現時点で設定されている集計条件、および集計条件の変更履歴を設定情報データベース65に記憶する。集計条件が変更されたとき、集計条件指示部41は、新しい集計条件の情報を送受信用ハードディスク63に送出する。新しい集計条件の情報は、拠点情報とは逆方向に伝送され、生産拠点9の情報伝送部3に送られる。
【0027】
情報伝送部3は、新しい集計条件を生産データベース23に記憶する。拠点集計部2は、生産データベース23にアクセスして新しい集計条件を把握し、以降、新しい集計条件にしたがって拠点情報を作成する。また、拠点集計部2は、必要に応じて、新しい集計条件をラインサーバ(931、932、933)に指示する。
【0028】
エリア比較出力部5は、全部の生産拠点を複数のエリアに分割し、エリアごとに稼動情報に関する指標を求めて出力する。本実施形態において、エリアは階層構造をもつ。
図2は、エリアの階層構造を例示して説明する図である。最上層の第一層エリアA1は、全部の生産拠点が分割されて定められる。
図2の例で、第一層エリアA1は、アジアエリア、南北アメリカエリア、およびヨーロッパエリアの3個である。
【0029】
第二層エリアA2は、第一層エリアA1が分割されて定められる。例えば、アジアエリアが分割された第二層エリアA2は、中国エリア、韓国エリア、および日本エリアの3個である。同様に、南北アメリカエリアおよびヨーロッパエリアも、複数の第二層エリアA2に分割される。また、日本エリアが分割された第三層エリアA3は、藤岡エリア、知立エリア、および岡崎エリアの3個である。さらに、岡崎エリアが分割された第四層エリアA4は、3つの基板生産ライン、すなわち、ライン1、ライン2、およびライン3の3個である。第四層エリアA4は、最下層エリアとなっている。なお、階層の高い側の上層エリアの一部が分割されず、そのまま低い側の下層エリアとなっていてもよい。
【0030】
エリア比較出力部5は、複数の指標を求める対象となるエリアの層を指定に応じて下層側に移すドリルダウン処理が可能である。また、エリア比較出力部5は、複数の指標を求める対象となるエリアの層を指定に応じて上層側に移すドリルアップ処理も可能である。
【0031】
エリア比較出力部5は、拠点情報および全体情報の少なくとも一方を加工処理して稼動情報に関する指標を求める。または、エリア比較出力部5は、拠点情報および全体情報に含まれる稼動情報そのものを指標としてもよい。例えば、エリア比較出力部5は、対象となるエリアに含まれる複数の生産拠点の拠点OEEの加重平均値を求めて、エリア平均OEEとする。エリア比較出力部5は、全体集計部4が全体情報を作成した都度、予め指標を求めて、稼動情報データベース64に保存する。この後、エリア比較出力部5は、生産管理者からの出力要求に応じて指標を出力する。
【0032】
エリア比較出力部5は、アクション出力部51を含む。アクション出力部51は、基板生産ラインに対して遠隔指示で実行可能なアクションを出力する。エリア比較出力部5およびアクション出力部51の出力内容は、タブレット端末やスマートフォンなどのモバイル端末69やパソコンなどに表示される。
【0033】
詳述すると、エリア比較出力部5は、出力ゲートウェイ66を経由して出力データ編集部67に接続される。さらに、出力データ編集部67は、インターネット回線68に開いている。したがって、生産管理者は、モバイル端末69やパソコンなどのアクセス機器からモニタリングシステム1にアクセスして、出力要求などを行える。アクセスに際しては、予め登録したユーザネームおよびパスワードを用いたログイン処理が必要となる。
【0034】
ログインした生産管理者(以下、「ログインユーザ」と称する)は、稼動情報に関する指標の出力を要求できる。また、ログインユーザが所望する稼働情報および指標の種類、ならびに集計条件を自由に選択できるようにしてもよい。この場合、エリア比較出力部5は、ログインユーザ別に個別の出力を行う。さらに、エリア比較出力部5は、ログインユーザの権限レベルに応じて、確認可能な指標の範囲を制限でき、または、指示できるアクションの種類を制限できるようにしてもよい。
【0035】
出力データ編集部67は、ログインユーザからの出力要求、集計条件の設定操作、およびアクションの指示をエリア比較出力部5に送出する。また、出力データ編集部67は、エリア比較出力部5が出力した複数の指標を編集して、ログインユーザが確認し易いグラフィック画面データとし、インターネット回線68を経由してアクセス機器に出力する。ログインユーザは、アクセス機器の表示を見て稼動情報に関する指標を確認できる。特にモバイル端末69によれば、ログインユーザは、いつでもどこにいても、稼動情報に関する指標を確認できる。
【0036】
また、ログインユーザからのアクションの指示に応じて、アクション出力部51は、アクションの内容を送受信用ハードディスク63に送出する。新しい集計条件の場合と同様に、アクションの内容は、逆方向に伝送され、情報伝送部3を経由して生産データベース23まで送られる。拠点集計部2は、生産データベース23にアクセスしてアクションの内容を把握し、ラインサーバ(931、932、933)に指示する。これにより、指示されたアクションが基板生産ライン(911、912、913)で実行される。
【0037】
(2.モニタリングシステム1の動作および作用)
次に、モニタリングシステム1の動作および作用について、生産拠点9側およびクラウドサーバ61側に分けて説明する。
図3は、生産拠点9の拠点集計部2の動作フローを説明するフローチャートの図である。
図3のステップS1で、拠点集計部2は、情報収集時間の経過を待つ。情報収集時間が経過した後のステップS2で、拠点集計部2は、データベース(941、942、943)から最新の稼動情報を収集する。
【0038】
次のステップS3で、拠点集計部2は、前回の集計処理からの経過時間を調査し、情報集計時間が経過していない場合に動作フローの実行をステップS1に戻す。ステップS1からステップS3までのループを繰り返していると、やがて情報集計時間が経過する。すると、拠点集計部2は、動作フローの実行をステップS4に進め、集計処理を行って拠点情報を作成する。次のステップS5で、拠点集計部2は、拠点情報を情報伝送部3に送出する。これで、拠点情報を作成する1サイクルが終了する。拠点集計部2は、動作フローの実行をステップS1に戻し、以降繰り返して動作する。
【0039】
図4は、クラウドサーバ61の側で稼動情報に関する指標を求めるまでの動作フローを説明するフローチャートの図である。
図4のステップS11で、全体集計部4は、送受信用ハードディスク63の記憶内容の確認を開始する。次のステップS12で、全体集計部4は、送受信用ハードディスク63に拠点情報が記憶されているか否か調査する。全体集計部4は、拠点情報が記憶されていない間ステップS12を繰り返し、拠点情報が記憶されていると動作フローの実行をステップS13に進める。
【0040】
ステップS13で、全体集計部4は、拠点情報を読み出し、集計処理を行って全体情報を作成する。次のステップS14で、全体集計部4は、全体情報および拠点情報を稼動情報データベース64に保存する。次のステップS15で、エリア比較出力部5は、エリアごとに稼動情報に関する指標を求め、稼動情報データベース64に保存する。これで、指標を求める1サイクルが終了する。この後は、
図5に続く。
【0041】
図5は、指標などを出力するエリア比較出力部5の動作フローを説明するフローチャートの図である。また、
図6〜
図16は、エリア比較出力部5からの出力によってアクセス機器に表示される画面を例示している。
図6は、ホーム画面を表した図である。
図7は、全体画面を表した図である。
図8は、全体画面の下層の全体分割画面を表した図である。
図9は、全体分割画面の下層のエリア分割画面を表した図である。
図10は、エリア分割画面の下層の拠点分割画面を表した図である。
図11は、拠点分割画面の下層のライン別画面を表した図である。
図12は、ライン別の稼動情報を表示するライン稼動率画面を表した図である。
図13は、ライン別の稼動情報を表示するラインエラー率画面を表した図である。
図14は、不具合事象の履歴を表示するレコードリスト画面を表した図である。
図15は、遠隔指示で実行可能なアクションを表示するダッシュボード画面を表した図である。
図16は、基板生産ラインの生産スケジュールを表示するスケジュールリスト画面を表した図である。
【0042】
図5のステップS21で、エリア比較出力部5は、ログインユーザからの出力要求を待つ。出力要求が有ったときのステップS22で、エリア比較出力部5は、
図6に示されるホーム画面の情報を出力して、アクセス機器に表示する。ホーム画面の右上には、日付が表示される(
図7〜
図10でも同様)。ホーム画面の上部寄りに、4個のソフトウェアスイッチ、すなわちGlobalスイッチ711、Areaスイッチ712、Factoryスイッチ713、およびLineスイッチ714が表示される。ホーム画面の下部寄りに、他のアプリケーションに遷移するための遷移スイッチ716が表示される。
【0043】
次のステップS23で、エリア比較出力部5は、ログインユーザによって選択操作されたスイッチを確認する。Globalスイッチ711が選択操作されたときのステップS24で、エリア比較出力部5は、全体情報を出力する。これにより、ステップS26で、
図7の全体画面が表示される。また、Areaスイッチ712、Factoryスイッチ713、およびLineスイッチ714のいずれかが選択操作されると、エリア比較出力部5は、動作フローの実行をステップS25に進める。
【0044】
ステップS25で、エリア比較出力部5は、表示の候補となるエリアや生産拠点、基板生産ラインなどを提示して(図面は省略)、ログインユーザの選択操作を待つ。選択操作が行われると、エリア比較出力部5は、選択操作されたエリアや生産拠点、基板生産ラインに対応する指標を出力する。これにより、ステップS26で、
図8の全体分割画面、
図9のエリア分割画面、
図10の拠点分割画面、および
図11のライン別画面のいずれかが表示される。例えば、ホーム画面でFactoryスイッチ713が選択操作され、次いで日本エリアが選択操作されると、エリア比較出力部5は、日本エリアの3つの生産拠点に対応する指標を出力する。これにより、
図10の拠点分割画面が表示される。
【0045】
ステップS26では、各種の画面が表示される。ログインユーザは、画面内のソフトウェアスイッチを自由に選択操作できる。ステップS27で、エリア比較出力部5は、選択操作されたスイッチを確認する。ドリルダウンスイッチ(722、725、727、729)が選択操作されたときのステップS28で、エリア比較出力部5は、ドリルダウン処理を行って、動作フローの実行をステップS26に戻す。ドリルアップスイッチ724が選択操作されたときのステップS29で、エリア比較出力部5は、ドリルアップ処理を行って、動作フローの実行をステップS26に戻す。これにより、ステップS26で表示されるエリアの層が上下に移る。
【0046】
さらに、移行スイッチ(734、739)、アクションスイッチ735、スケジュールスイッチ736のいずれかが選択操作されたときに、エリア比較出力部5は、動作フローの実行をステップS30に進める。ステップS30で、エリア比較出力部5は、選択操作されたスイッチに対応する情報を出力して、動作フローの実行をステップS26に戻す(実施例後述)。また、HOMEスイッチ721が選択操作されたときに、エリア比較出力部5は、動作フローの実行をステップS22に戻す。
【0047】
以下、各種の画面を参照しながら、エリア比較出力部5の出力動作の実施例について説明する。
図7の全体画面の左上には、HOMEスイッチ721が表示される。仮に、ログインユーザがHOMEスイッチ721を選択操作すれば、エリア比較出力部5は、ホーム画面の情報を出力して、アクセス機器に表示する(以降、エリア比較出力部5はホーム画面を表示する、と略記)。全体画面の上部寄りに、全体情報である全体平均OEEが85%と数値および円環グラフで表示されている。全体画面の下部寄りに、全体情報である有効利用指数(Availability)は95%、性能指数(Performance)は79%、品質指数(Quality)は100%と表示されている。円環グラフの右側に、ドリルダウンスイッチ722が表示される。
【0048】
ログインユーザがドリルダウンスイッチ722を選択操作すると、エリア比較出力部5は、ドリルダウン処理を行い、
図8に示される全体分割画面を表示する。全体分割画面は、3個の第一層エリアA1の指標を表示する。全体分割画面のHOMEスイッチ721の右側に、ドリルアップスイッチ724が表示される。仮に、ログインユーザがドリルアップスイッチ724を選択操作すれば、エリア比較出力部5は、ドリルアップ処理を行って上層の全体画面(
図7)を表示する。
【0049】
全体分割画面の上部寄りに、3個の第一層エリアA1の各エリア平均OEEが棒グラフで表示される。さらに、棒グラフの下には、3個のエリア平均OEEが数値で表示される。
図8の例で、アジアエリア(Asia)のエリア平均OEEは72%、南北アメリカエリア(Americas)のエリア平均OEEは86%、ヨーロッパエリア(Europe)のエリア平均OEEは90%と表示されている。本実施形態では、指標の数値が小さい順に逐次並び順を変更して表示するようにしている(
図9、
図10も同様)。これに限定されず、複数のエリアの並び順を固定して表示してもよい。各エリア平均OEEの数値の右側に、ドリルダウンスイッチ725が表示される。
【0050】
ログインユーザがアジアエリアのドリルダウンスイッチ725を選択操作すると、エリア比較出力部5は、ドリルダウン処理を行い、
図9に例示されるエリア分割画面を表示する。このエリア分割画面は、アジアエリアの3個の第二層エリアA2の指標を表示する。エリア分割画面のHOMEスイッチ721の右側に、ドリルアップスイッチ724が表示される。仮に、ログインユーザがドリルアップスイッチ724を選択操作すれば、エリア比較出力部5は、ドリルアップ処理を行って上層の全体分割画面を表示する(
図10〜
図16でも同様)。
【0051】
エリア分割画面の上部寄りに、3個の第二層エリアA2の各エリア平均OEEが棒グラフで表示される。さらに、棒グラフの下には、3個のエリア平均OEEが数値で表示される。
図9の例で、中国エリア(China)のエリア平均OEEは70%、韓国エリア(Korea)のエリア平均OEEは72%、日本エリア(Japan)のエリア平均OEEは76%と表示されている。各エリア平均OEEの数値の右側に、ドリルダウンスイッチ727が表示される。
【0052】
ログインユーザが日本エリアのドリルダウンスイッチ727を選択操作すると、エリア比較出力部5は、ドリルダウン処理を行い、
図10に例示される拠点分割画面を表示する。この拠点分割画面は、日本エリアの3個の第三層エリアA3の指標を表示する。拠点分割画面の上部寄りに、3個の第三層エリアA3の各エリア平均OEEが棒グラフで表示される。さらに、棒グラフの下には、3個のエリア平均OEEが数値で表示される。
図10の例で、藤岡エリア(Fujioka)のエリア平均OEEは72%、知立エリア(Chiryu)のエリア平均OEEは77%、岡崎エリア(Okazaki)のエリア平均OEEは78%と表示されている。各エリア平均OEEの数値の右側に、ドリルダウンスイッチ729が表示される。
【0053】
ログインユーザが岡崎エリアのドリルダウンスイッチ729を選択操作すると、エリア比較出力部5は、ドリルダウン処理を行い、
図11に例示されるライン別画面を表示する。このライン別画面は、岡崎エリアの3個の基板生産ラインの稼動情報の詳細を表示する。ライン別画面のドリルアップスイッチ724の右側に、全ジョブスイッチ731(all Jobs)および現在ジョブスイッチ732(Current Jobs)が表示される。現在ジョブスイッチ732は、現在実行中の生産ジョブのみを選択するスイッチであり、全ジョブスイッチ731は、終了した生産ジョブも含めるスイッチである(
図12、
図13でも同様)。
図11では、現在ジョブスイッチ732が選択操作されている。
【0054】
図11には、第1基板生産ライン(Line1)の稼動情報の全部が表示され、第2基板生産ライン(Line2)の稼動情報の一部が表示されている。ログインユーザは、画面のスクロール機能を用いて、第2基板生産ライン(Line2)の稼動情報の残部、および第3基板生産ライン(Line3)の稼動情報を確認することができる。第1基板生産ライン(Line1)の稼動情報の右側に移行スイッチ734が表示され、下側にアクションスイッチ735およびスケジュールスイッチ736が表示される。
【0055】
図11の例で、第1基板生産ライン(Line1)は、ジョブ名称「JobABC_T123」の生産ジョブを実行中である。その進捗状況(Progress)は、生産予定枚数300枚に対して、157枚が生産済みとなっている。また、生産終了時刻(Due date)は、2月25日の18:30に予定されている。さらに、第1基板生産ライン(Line1)の総合設備効率OEEは75%、ライン稼動率(LU)は80%、電子部品の装着速度(CPH)は1時間当たり12,000個、装着速度効率(ECPH)は65%と表示されている。
【0056】
ログインユーザが移行スイッチ734を選択操作すると、エリア比較出力部5は、
図12に例示されるライン稼動率画面を表示する。このライン稼動率画面は、第1基板生産ライン(Line1)の稼動状況の時間比率を円グラフおよび数値で表示する。
図12の例で、稼動率(Product)は80%、オペレータ休憩(Operator Downtime)は4%、機器エラー(Machine Error)は9%、その他(Other)は7%と表示されている。円グラフの右側に、移行スイッチ739が表示される。
【0057】
ログインユーザが移行スイッチ739を選択操作すると、エリア比較出力部5は、
図13に例示されるラインエラー率画面を表示する。このラインエラー率画面は、第1基板生産ライン(Line1)におけるエラーの発生状況を表示する。
図13のラインエラー率画面の上半分には、電子部品の種類別のエラー率が棒グラフおよび数値で表示される。具体的には、部品種A(PartsA)のエラー率3.0%、部品種B(PartsB)のエラー率2.8%、などと表示されている。また、ラインエラー率画面の下半分には、エラーコード別のエラー数が表示される。具体的には、エラーコード(Error Code)8000D701のエラー数は1000回中に52回、などと表示されている。
【0058】
また、
図11のライン別画面でログインユーザがアクションスイッチ735を選択操作すると、エリア比較出力部5は、
図14に例示されるレコードリスト画面を表示する。このレコードリスト画面は、第1基板生産ライン(Line1)で発生した不具合事象の履歴を表示する。レコードリスト画面の上部には、第1基板生産ライン(Line1)の構成がグラフィック表示される。そして、不具合事象の発生した第1基板生産機741および第5基板生産機742は、見易く赤色で表示される。
【0059】
さらに、レコードリスト画面の中央部には、不具合事象が時系列的に表示され、レコードリスト画面の下部には、不具合事象の復帰方法(Remedy)の復帰コードが表示される。
図14の例で、時刻12:30にエラーコード(Error Code)80000001のエラー停止(Error Stop)が発生し、復帰コード30000001の復帰方法により稼動が再開されている。
【0060】
ログインユーザがグラフィック表示の第1基板生産機741を選択操作すると、エリア比較出力部5のアクション出力部51は、
図15に例示されるダッシュボード画面を表示する。このダッシュボード画面は、第1基板生産機741に対して遠隔指示で実行可能なアクションを表示する。ダッシュボード画面の上部には、第1基板生産機741の内部構成がグラフィック表示されている。ダッシュボード画面の中央部には、現在の状態が表示され、その下側に実行可能なアクションを指示するスイッチが表示される。
【0061】
図15の例で、第1基板生産機741は現在稼動中(Product)であり、稼動の再開から15分25秒が経過している。また、スイッチとして、スタートスイッチ743、ストップスイッチ744、およびサイクルストップスイッチ745が表示される。このうち、スタートスイッチ743は、第1基板生産機741が稼動中であるため操作できない。アクション出力部51は、操作可能なストップスイッチ744およびサイクルストップスイッチ745を点滅表示する。
【0062】
ログインユーザがストップスイッチ744を選択操作すると、アクション出力部51は、第1基板生産機741の停止というアクションの内容を送受信用ハードディスク63に送出する。このアクションの内容は、岡崎エリアの拠点集計部からラインサーバまで伝送される。そして、ラインサーバからの指示により、第1基板生産機741は停止する。仮に、ログインユーザがサイクルストップスイッチ745を選択操作すると、同様の伝送が行われ、第1基板生産機741はサイクル停止する。
【0063】
なお、ログインユーザが不具合事象の発生していない基板生産機を選択操作した場合でも、アクション出力部51は、同様に動作する。ただし、実行可能なアクションを指示するスイッチの種類は、基板生産機の種類の違いや稼動状況に応じて変化する。
【0064】
また、
図11のライン別画面で、ログインユーザがスケジュールスイッチ736を選択操作すると、エリア比較出力部5は、
図16に例示されるスケジュールリスト画面を表示する。このスケジュールリスト画面は、第1基板生産ライン(Line1)の現在および将来の生産スケジュールを表示する。
図16の例で、第1生産ジョブ(Job1)の部品集め(Parts picking)を12時30分から13時20分の間に行うスケジュールが表示されている。さらに、オフライン段取り(Offline preparation)を13時35分から14時45分の間に行い、生産(Production)を15時30分から18時50分の間に行うスケジュールが表示されている。その後の第2生産ジョブ(Job2)および第3生産ジョブ(Job3)についても、同様に生産スケジュールが表示される。
【0065】
なお、ログインユーザの選択操作が一定時間以上途切れると、エリア比較出力部5は、出力動作を停止する。
【0066】
(3.モニタリングシステム1の態様および効果)
実施形態のモニタリングシステム1は、複数の生産拠点9にそれぞれ設けられ、生産拠点9に配設された基板生産ライン(911、912、913)の稼動情報を集計して拠点情報(リアルタイムステータスデータ21、拠点情報データ22、およびスケジュールデータ24)を作成する複数の拠点集計部2と、複数の生産拠点9に対応して設けられ、拠点集計部2の拠点情報を伝送する複数の情報伝送部3と、複数の情報伝送部3からそれぞれ受け取った拠点情報を集計して、全部の生産拠点の全部の基板生産ラインの稼動情報を集計した全体情報を作成する全体集計部4と、全部の生産拠点を複数のエリアに分割し、拠点情報および全体情報の少なくとも一方に基づいて、エリアごとに稼動情報に関する指標を求め、求めた複数の指標を出力するエリア比較出力部5と、を備える。
【0067】
これによれば、生産拠点9ごとに設けられる拠点集計部2および情報伝送部3、ならびに全体集計部4によって、全部の生産拠点の全部の基板生産ラインの稼動情報を集計することが可能になる。さらに、エリア比較出力部5は、エリアごとに求めた稼動情報に関する指標を出力するので、基板生産ラインの管理に好適である。
【0068】
また、全体集計部4およびエリア比較出力部5は、クラウドサーバ61を利用して実現される。これによれば、クラウドサーバ61の特長を活かして、イニシャルコストおよびランニングコストが低廉で、かつセキュリティ性能に優れたモニタリングシステム1を構築できる。
【0069】
さらに、エリアは、複数の上層エリアと、少なくとも一つの上層エリアが分割された複数の下層エリアと、を含む二層以上の階層構造をもち、エリア比較出力部5は、上層エリアごとに指標を求め、かつ、第一上層エリアが指定されたときに、第一上層エリアが分割された複数の下層エリアを対象として複数の指標を求める。これによれば、エリアの階層を変更して指標を確認できるので、基板生産ラインの管理にすこぶる好適である。
【0070】
さらに、エリアの階層構造は、生産拠点9、または、基板生産ライン(911、912、913)、または、基板生産ライン(911、912、913)の構成要素である基板生産機のいずれかを最下層エリアとし、エリア比較出力部5は、複数の指標を求める対象となるエリアの層を指定に応じて下層側に移すドリルダウン処理、および、複数の指標を求める対象となるエリアの層を指定に応じて上層側に移すドリルアップ処理が可能である。
【0071】
これによれば、表示するエリアの層を変更するときの操作が容易で、かつ上層および下層のエリアの関連性が分かりやすい。換言すると、実施形態のモニタリングシステム1は、操作性および視認性に優れる。したがって、例えば、全体情報に問題点が発生したときに、ドリルダウン処理を行うことにより、原因となっている生産拠点や基板生産ラインを容易にかつ迅速に究明できる。
【0072】
さらに、エリア比較出力部5は、基板生産ラインに対して遠隔指示で実行可能なアクションを出力するアクション出力部51を含む。これによれば、生産管理者は、稼動情報に関する指標と併せて、実行可能なアクションを確認できる。したがって、生産管理者は、アクションの要否を適正にかつ容易に決定できる。
【0073】
さらに、エリア比較出力部5から出力された指標は、モバイル端末69を用いて確認可能である。これによれば、生産管理者は、いつでもどこにいても、稼動情報に関する指標を確認できる。
【0074】
さらに、全体集計部4は、拠点集計部2が集計を行うときの集計条件を指示する集計条件指示部41を含む。これによれば、全部の生産拠点の集計条件が一括して同時に変更されるので、各生産拠点で個別に集計条件を変更設定する手間が不要になる。また、複数の生産拠点で集計条件が整合しなくなる、という不合理が発生しない。
【0075】
(4.実施形態の応用および変形)
なお、クラウドサーバ61を利用することは必須でなく、全体集計部4およびエリア比較出力部5は、一般的なコンピュータ装置で実現することも可能である。また、実施形態において、エリア比較出力部5は、予め指標を求め、生産管理者からの出力要求に応じて指標を出力するが、別法もある。つまり、エリア比較出力部5は、生産管理者からの出力要求を受けてから指標を求めるようにしてもよい。さらに、
図6〜
図16に示した画面は一例であって、様々な表示画面の変形例を用いることができる。例えば、ドリルダウン処理およびドリルアップ処理により、OEE以外の指標を表示してもよい。本発明は、他にも様々な応用や変形が可能である。