【文献】
Clin. Cancer Res., (2015), 21, [5], p.995-1001
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
TGFβシグナル伝達は、がんの進行における明らかになりつつある経路であり、免疫応答の調節、ならびに転移および血管新生を含む多くの他のがん経路において役割を有する。腫瘍微小環境における腫瘍細胞および間質細胞によるTGFβの発現の上昇、ならびにTGFβ受容体の細胞内シグナル伝達の活性化が、多くのがんにおいて観察されている(Massague J.TGFbeta in Cancer.Cell 2008、134(2):215〜30;Neuzillet C、Tijeras−Raballand A、Cohen Rら、Targeting the TGFβ pathway for cancer therapy.Pharmacol Ther 2015、147:22〜31)。TGFβシグナル伝達経路は、二量体TGFβリガンドとその特異的な細胞表面膜貫通セリン/スレオニンキナーゼ受容体とが相互作用すると活性化され得る。活性化したTGFβリガンドは、TGFβ II型受容体(TGFβR2)と相互作用し、これが、TGFβ I型受容体(TGFβR1、アクチビン受容体様キナーゼ(ALK5)としても公知)を特異的セリンおよびスレオニン残基のところに動員し、リン酸化する(Principe DR、Doll JA、Bauer Jら、TGF−β:duality of function between tumor prevention and carcinogenesis.J Natl Cancer Inst 2014、106(2):djt369)。次に、活性化したTGFβR1は、SMAD2およびSMAD3をリン酸化し、これは次いで集合してSMAD4との複合体となり得、核に移動し、核においてこの複合体は、TGFβ標的遺伝子の発現を調節する(Massague J.TGFbeta in Cancer.Cell2008、134(2):215〜30)。SMADシグナル伝達に加えて、非SMADシグナル伝達もまた、TGFβ受容体の下流で開始され得、これによって、ホスホイノシタイド3−キナーゼ(PI3K)、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)、および細胞外シグナル調節型キナーゼ(P38/ERK)、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼなどの様々な経路の活性化がもたらされ得る(Mu Y、Gudey SK、Landstrom M.Non−Smad signaling pathways.Cell Tissue Res 2012、347(1):11〜20)。
【0003】
がん細胞におけるTGFβ経路の活性化は、上皮細胞がその頂底極性および細胞間接着を喪失して移動性の高い間葉性細胞となり、それにより転移をもたらす、上皮間葉移行(EMT)を誘発し得る。腫瘍細胞の移動および転移における重要性に加えて、EMTはまた、腫瘍細胞による免疫監視機構の回避に関連付けられている(Akalay I、Janji B、Hasmim Mら、Epithelial−to−mesenchymal transition and autophagy induction in breast carcinoma promote escape from T−cell−mediated lysys.Cancer Res 2013、73(8):2418〜27)。TGFβは、樹状細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、ならびにCD4+およびCD8+T細胞を含む自然免疫細胞および適応免疫細胞の両方に対する強力な免疫抑制剤である。逆に、TGFβは、免疫抑制性の制御性T(Treg)細胞および骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の分化を刺激するという、鍵となる役割を有する(Akalay I、Janji B、Hasmim Mら、Epithelial−to−mesenchymal transition and autophagy induction in breast carcinoma promote escape from T−cell−mediated lysys.Cancer Res 2013、73(8):2418〜27)。
【0004】
TGFβ経路は、広範囲の腫瘍において、疾患の進行および治療法に対する耐性における、鍵となる役割を有する(Neuzillet C、Tijeras−Raballand A、Cohen Rら、Targeting the TGFβ pathway for cancer therapy.Pharmacol Ther 2015、147:22〜31;Colak S、Ten Dijke P.Targeting TGF−β signaling in cancer.Trends in Cancer 2017、3(1):56〜71)。高いTGFβシグネチャーおよびEMT遺伝子発現が、様々な腫瘍で見られる(Mak MP、Tong P、Diao Lら、A Patient−Derived,Pan−Cancer EMT Signature Identifies Global Molecular Alterations and Immune Target Enrichment Following Epithelial−to−Mesenchymal Transition.Clin Cancer Res 2016;22(3):609〜20)。
【0005】
TGFβは、細胞外マトリクス(ECM)タンパク質の発現を誘発すること、ならびに、T細胞の腫瘍浸潤に必要なケモカインおよびサイトカインの発現を抑制することによって、腫瘍周辺または間質でのT細胞の局在化を伴う、ECMが密である反応性間質および浸潤表現型を排除したT細胞を生じさせる、腫瘍微小環境の重要な調節因子である(Hegde PS、Karanikas V、Evers S.The Where,the When,and the How of Immune Monitoring for Cancer Immunotherapies in the Era of Checkpoint Inhibition.Clin Cancer Res 2016、22(8):1865〜74)。
【0006】
化合物、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(「PF−06952229」または「PF−2229」とも呼ばれる)は、以下の構造を有する、強力で選択的なTGFβ(トランスフォーミング増殖因子ベータ)阻害剤である。
【0007】
【化1】
【0008】
PF−06952229およびその薬学的に許容できる塩は、国際公開第WO2015/103355号および米国特許第10,030,004号において開示されている。これら前述の参考文献の各々の内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、真核細胞の分割および増殖の調節における必須の機能を担う、重要な細胞酵素である。サイクリン依存性キナーゼの触媒ユニットは、サイクリンとして公知の調節性サブユニットによって活性化される。少なくとも16の哺乳動物サイクリンが同定されている(Johnson DG、Walker CL.Cyclins and Cell Cycle Checkpoints.Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.(1999)39:295〜312)。サイクリンB/CDK1、サイクリンA/CDK2、サイクリンE/CDK2、サイクリンD/CDK4、サイクリンD/CDK6、および同様の他のヘテロダインは、細胞サイクルの進行の重要な調節因子である。サイクリン/CDKヘテロダインのさらなる機能としては、転写、DNA修復、分化、およびアポトーシスの調節が含まれる(Morgan DO.Cyclin−dependent kinases:engines,clocks,and microprocessors.Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.(1997)13:261〜291)。
【0010】
サイクリン依存性キナーゼ阻害剤は、がんの処置において有用であることが実証されている。サイクリン依存性キナーゼの増大した活性または一時的に異常な活性化は、ヒト腫瘍の発生をもたらすことが示されており、ヒト腫瘍の発生は、一般に、CDKタンパク質自体またはその調節因子のいずれかの改変に関連している(Cordon−Cardo C.Mutations of cell cycle regulators:biological and clinical implications for human neoplasia.Am.J.Pathol.(1995)147:545〜560;Karp JE、Broder S.Molecular foundations of cancer:new targets for intervention.Nat.Med.(1995)1:309〜320;Hall M、Peters G.Genetic alterations of cyclins,cyclin−dependent kinases,and Cdk inhibitors in human cancer.Adv.Cancer Res.(1996)68:67〜108)。CDKおよびサイクリンの調節性サブユニットの増幅、ならびに内因性CDK阻害剤の突然変異、遺伝子欠失、または転写サイレンシングもまた報告されている(Smalleyら、Identification of a novel subgroup of melanoma with KIT/cyclin−dependent kinase−4 overexpression.Cancer Res(2008)68:5743〜52)。
【0011】
CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ、リボシクリブ、およびアベマシクリブについての臨床試験が、単剤として、または他の治療薬と組み合わせて、乳がんおよび他のがんについて行われている。パルボシクリブ、リボシクリブ、およびアベマシクリブは、第1選択設定においてレトロゾールなどのアロマターゼ阻害剤と組み合わせて、および第2選択またはそれ以降の治療法においてフルベストラントと組み合わせて、ある特定の患者において、ホルモン受容体(HR)陽性の、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置に認可されている(O’Learyら、Treating cancer with selective CDK4/6 inhbitors.Nature Reviews(2016)13:417〜430)。CDK4/6阻害剤は、ER陽性の転移性乳がんにおいて有意な臨床的有効性が示されているが、他のキナーゼと同様に、それらの効果は、一次耐性または獲得耐性の発生によって経時的に限定され得る。
【0012】
CDK2の過剰発現は、細胞サイクルの異常な調節に関連する。サイクリンE/CDK2複合体は、G1/S移行の調節、ヒストンの生合成、および中心体の複製において重要な役割を有する。サイクリンD/Cdk4/6およびサイクリンE/Cdk2によるRbの進行性のリン酸化は、G1転写因子E2Fを放出し、S期の開始を促進する。初期S期の間のサイクリンA/CDK2の活性化は、S期の完了のためのDNA複製およびE2Fの不活化を可能にする内因性基質のリン酸化を促進する(Asgharら、The history and future of future of targeting cyclin−dependent kinases in cancer therapy、Nat.Rev.Drug.Discov.2015、14(2):130〜146)。CDK2の調節性サイクリンであるサイクリンEは、がんにおいて頻繁に過剰発現する。サイクリンEの増幅または過剰発現は、乳がんの転帰不良に以前から関連付けられている(Keyomarsiら、Cyclin E and survival in patients with breast cancer.N Engl J Med.(2002)347:1566〜75)。サイクリンE2(CCNE2)の過剰発現は、乳がん細胞において内分泌療法耐性に関連しており、CDK2の阻害は、タモキシフェン耐性細胞およびCCNE2過剰発現細胞においてタモキシフェンまたはCDK4阻害剤に対する感受性を回復させることが報告されている(Caldonら、Cyclin E2 overexpression is associated with endocrine resistance but not insensitivity to CDK2 inhibition in human breast cancer cells.Mol.Cancer Ther.(2012)11:1488〜99;Herrera−Abreuら、Early Adaptation and Acquired Resistance to CDK4/6 inhibition in Estrogen Receptor−Positive Breast Cancer、Cancer Res.(2016)76:2301〜2313)。サイクリンEの増幅はまた、HER2+乳がんにおいてトラスツズマブ耐性に寄与することが報告されている(Scaltritiら、Cyclin E amplification/overexpression is a mechanism of trastuzumab resistance in HER2+breast cancer patients、Proc Natl Acad Sci.(2011)108:3761〜6)。サイクリンEの過剰発現はまた、基底細胞様乳がんおよびトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、ならびに炎症性乳がんにおいて役割を有することが報告されている(Elsawaf & Sinn、Triple Negative Breast Cancer:Clinical and Histological Correlations、Breast Care(2011)6:273〜278;Alexanderら、Cyclin E overexpression as a biomarker for combination treatment strategies in inflammatory breast cancer、Oncotarget(2017)8:14897〜14911)。
【0013】
パルボシクリブ、すなわち6−アセチル−8−シクロペンチル−5−メチル−2−(5−ピペラジン−1−イル−ピリジン−2−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(PD−0332991とも呼ばれる)は、以下の構造を有する、CDK4およびCDK6の強力で選択的な阻害剤である。
【0014】
【化2】
【0015】
パルボシクリブは、WHO Drug Information、第27巻、第2号、第172頁(2013)において記載されている。パルボシクリブおよびその薬学的に許容できる塩は、国際公開第WO2003/062236号および米国特許第6,936,612号、米国特許第7,208,489号、および米国特許第7,456,168号;国際公開第WO2005/005426号および米国特許第7,345,171号および米国特許第7,863,278号;国際公開第WO2008/032157号および米国特許第7,781,583号;ならびに国際公開第WO2014/128588号において開示されている。これら前述の参考文献の各々の内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0016】
PF−06873600、すなわち6−(ジフルオロメチル)−8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−(1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンは、以下の構造を有する、CDK2、CDK4、およびCDK6の強力で選択的な阻害剤である。
【0017】
【化3】
【0018】
PF−06873600は、2018年2月22日に公開された国際公開第WO2018/033815号において開示されている。この参考文献の内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
選択的CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブは、乳がんで臨床的に有効であることが証明されており(DeMichele A、Clark AS、Tan KSら、CDK 4/6 inhibitor palbociclib(PD−0332991)in Rb+ advanced breast cancer:phase II activity,safety,and predictive biomarker assessment.Clin Cancer Res 2015、21(5):995〜1001;Finn RS、Martin M、Rugo HSら、Palbociclib and Letrozole in Advanced Breast Cancer.New Engl J Med 2016、375(20):1925〜36;Cristofanilli M、Turner NC、Bondarenko Iら、Fulvestrant plus palbociclib versus fulvestrant plus placebo for treatment of hormone−receptor−positive、HER2−negative metastatic breast cancer that progressed on prevulious endocrine therapy(PALOMA−3):final analysis of the multicentre,double−blind,phase 3 randomised controlled trial.Lancet Oncol 2016、17(4):425〜39)、最初の臨床的有効性に次いで、パルボシクリブに対する獲得耐性が生じ得る(Knudsen Erik S.、Witkiewicz Agnieszka K.、The Strange Case of CDK4/6 Inhibitors:Mechanisms,Resistance,and Combination Strategies.Trends Cancer 2017、3(1):39〜55)。前臨床研究では、パルボシクリブでの腫瘍細胞の処置は、TGFβおよびEMT遺伝子シグネチャーの発現を誘発し、腫瘍細胞の侵襲性を増強させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開第WO2015/103355号
【特許文献2】米国特許第10,030,004号
【特許文献3】国際公開第WO2003/062236号
【特許文献4】米国特許第6,936,612号
【特許文献5】米国特許第7,208,489号
【特許文献6】米国特許第7,456,168号
【特許文献7】国際公開第WO2005/005426号
【特許文献8】米国特許第7,345,171号
【特許文献9】米国特許第7,863,278号
【特許文献10】国際公開第WO2008/032157号
【特許文献11】米国特許第7,781,583号
【特許文献12】国際公開第WO2014/128588号
【特許文献13】国際公開第WO2018/033815号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Massague J.TGFbeta in Cancer.Cell 2008、134(2):215〜30
【非特許文献2】Neuzillet C、Tijeras−Raballand A、Cohen Rら、Targeting the TGFβ pathway for cancer therapy.Pharmacol Ther 2015、147:22〜31
【非特許文献3】Principe DR、Doll JA、Bauer Jら、TGF−β:duality of function between tumor prevention and carcinogenesis.J Natl Cancer Inst 2014、106(2):djt369
【非特許文献4】Mu Y、Gudey SK、Landstrom M.Non−Smad signaling pathways.Cell Tissue Res 2012、347(1):11〜20
【非特許文献5】Akalay I、Janji B、Hasmim Mら、Epithelial−to−mesenchymal transition and autophagy induction in breast carcinoma promote escape from T−cell−mediated lysys.Cancer Res 2013、73(8):2418〜27
【非特許文献6】Colak S、Ten Dijke P.Targeting TGF−β signaling in cancer.Trends in Cancer 2017、3(1):56〜71
【非特許文献7】Mak MP、Tong P、Diao Lら、A Patient−Derived,Pan−Cancer EMT Signature Identifies Global Molecular Alterations and Immune Target Enrichment Following Epithelial−to−Mesenchymal Transition.Clin Cancer Res 2016;22(3):609〜20
【非特許文献8】Hegde PS、Karanikas V、Evers S.The Where、the When,and the How of Immune Monitoring for Cancer Immunotherapies in the Era of Checkpoint Inhibition.Clin Cancer Res 2016、22(8):1865〜74
【非特許文献9】Johnson DG、Walker CL.Cyclins and Cell Cycle Checkpoints.Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.(1999)39:295〜312
【非特許文献10】Morgan DO.Cyclin−dependent kinases:engines,clocks,and microprocessors.Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.(1997)13:261〜291
【非特許文献11】Cordon−Cardo C.Mutations of cell cycle regulations:biological and clinical implications for human neoplasia.Am.J.Pathol.(1995)147:545〜560
【非特許文献12】Karp JE、Broder S.Molecular foundations of cancer:new targets for intervention.Nat.Med.(1995)1:309〜320
【非特許文献13】Hall M、Peters G.Genetic alterations of cyclins,cyclin−dependent kinases,andCdk inhibitors in human cancer.Adv.Cancer Res.(1996)68:67〜108
【非特許文献14】Smalleyら、Identification of a novel subgroup of melanoma with KIT/cyclin−dependent kinase−4 overexpression.Cancer Res(2008)68:5743〜52
【非特許文献15】O’Learyら、Treating cancer with selective CDK4/6 inhbitors.Nature Reviews(2016)13:417〜430
【非特許文献16】Asgharら、The history and future of future of targeting cyclin−dependent kinases in cancer therapy、Nat.Rev.Drug.Discov.2015、14(2):130〜146
【非特許文献17】Keyomarsiら、Cyclin E and survival in patients with breast cancer.N Engl J Med.(2002)347:1566〜75
【非特許文献18】Caldonら、Cyclin E2 overexpression is associated with endocrine resistance but not insensitivity to CDK2 inhibition in human breast cancer cells.Mol.Cancer Ther.(2012)11:1488〜99
【非特許文献19】Herrera−Abreuら、Early Adaptation and Acquired Resistance to CDK4/6 inhibition in Estrogen Receptor−Positive Breast Cancer、Cancer Res.(2016)76:2301〜2313
【非特許文献20】Scaltritiら、Cyclin E amplification/overexpression is a mechanism of trastuzumab resistance in HER2+breast cancer patients、Proc Natl Acad Sci.(2011)108:3761〜6
【非特許文献21】Elsawaf & Sinn、Triple Negative Breast Cancer:Clinical and Histological Correlations、Breast Care(2011)6:273〜278
【非特許文献22】Alexanderら、Cyclin E overexpression as a biomarker for combination treatment strategies in inflammatory breast cancer、Oncotarget(2017)8:14897〜14911
【非特許文献23】WHO Drug Information、第27巻、第2号、第172頁(2013)
【非特許文献24】DeMichele A、Clark AS、Tan KSら、CDK 4/6 inhibitor palbociclib(PD−0332991)in Rb+ advanced breast cancer:phase II activity,safety,and predictive biomarker assessment.Clin Cancer Res 2015、21(5):995〜1001
【非特許文献25】Finn RS、Martin M、Rugo HSら、Palbociclib and Letrozole in Advanced Breast Cancer.New Engl J Med 2016、375(20):1925〜36
【非特許文献26】Cristofanilli M、Turner NC、Bondarenko Iら、Fulvestrant plus palbociclib versus fulvestrant plus placebo for treatment of hormone−receptor−positive、HER2−negative metastatic breast cancer that progressed on prevulious endocrine therapy(PALOMA−3):final analysis of the multicentre,double−blind,phase 3 randomised controlled trial.Lancet Oncol 2016、17(4):425〜39
【非特許文献27】Knudsen Erik S.、Witkiewicz Agnieszka K.、The Strange Case of CDK4/6 Inhibitors:Mechanisms,Resistance,and Combination Strategies.Trends Cancer 2017、3(1):39〜55
【非特許文献28】StahlおよびWermuth、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH、2002)
【非特許文献29】Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easter、Pa.、第15版(1975)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
CDK阻害剤に対して耐性である乳がんを含む乳がんの処置のための改善された組合せ療法には、解決されていない大きな医学的要求があり、新規の組合せレジメンの同定が、処置の成果を改善するために必要である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
以下に記載する実施形態の各々は、それと組み合わせても矛盾しない本明細書において記載されるあらゆる他の実施形態と組み合わせることができる。さらに、本明細書において記載される実施形態の各々は、その範囲内に、本明細書において記載される化合物の薬学的に許容できる塩を構想する。したがって、表現「またはその薬学的に許容できる塩」は、本明細書において記載される全ての化合物の記載において言外に含まれる。
【0024】
本明細書において記載される実施形態は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が前記がんの処置において効果的である、方法に関する。この実施形態のさらなる態様には、アロマターゼ阻害剤またはフルベストラントである第3の構成成分の投与が含まれる。
【0025】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、それを必要とする患者に、CDK阻害剤と組み合わせた相乗的な量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。この実施形態のさらなる態様には、アロマターゼ阻害剤またはフルベストラントである第3の構成成分の投与が含まれる。
【0026】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の組合せに関する。この実施形態のさらなる態様には、アロマターゼ阻害剤またはフルベストラントである第3の構成成分の投与が含まれる。
【0027】
本明細書において記載される一部の実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための薬剤の製造における、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の使用に関する。この実施形態のさらなる態様には、アロマターゼ阻害剤またはフルベストラントである第3の構成成分の使用が含まれる。
【0028】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の相乗的な組合せに関する。この実施形態のさらなる態様には、アロマターゼ阻害剤またはフルベストラントである第3の構成成分も含む組合せが含まれる。
【0029】
本明細書において記載される一部の実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための薬剤の製造における、相乗的な量のTGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の使用に関する。この実施形態のさらなる態様には、アロマターゼ阻害剤またはフルベストラントである第3の構成成分の使用が含まれる。
【0030】
本発明の方法または使用のある特定の実施形態では、TGFβ阻害剤は、ガルニセルチブ、LY2109761、SB525334、SP505124、GW788388、LY364947、RepSox、SD−208、バクトセルチブ、LY3200882、および4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。
【0031】
本発明の方法または使用のある特定の実施形態では、TGFβ阻害剤は、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0032】
本発明の方法または使用のある特定の実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4/6阻害剤であるか、またはCDK2/4/6阻害剤である。
【0033】
本発明の方法または使用のある特定の実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4/6阻害剤である。
【0034】
本発明の方法または使用の一部の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、アベマシクリブ、リボシクリブ、およびパルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。
【0035】
本発明の方法または使用の一部の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0036】
本発明の方法または使用のある特定の実施形態では、CDK阻害剤は、CDK2/4/6阻害剤である。
【0037】
本発明の方法または使用の一部の実施形態では、CDK2/4/6阻害剤は、6−(ジフルオロメチル)−8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−(1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(「PF−06873600」)またはその薬学的に許容できる塩である。
【0038】
本明細書において記載される実施形態は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がんの処置において効果的である、方法に関する。
【0039】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、それを必要とする患者に、相乗的な量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩を、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。
【0040】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との組合せに関する。
【0041】
本明細書において記載される一部の実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための薬剤の製造における、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の使用に関する。
【0042】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との相乗的な組合せに関する。
【0043】
本明細書において記載される一部の実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための薬剤の製造における、相乗的な量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の使用に関する。
【0044】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の組合せであって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。
【0045】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための薬剤の製造における、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の使用であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される使用に関する。
【0046】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的臨床投薬レジメンは、非標準的臨床用量である。
【0047】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的臨床用量は、低用量のCDK阻害剤である。
【0048】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的臨床投薬レジメンは、非標準的投薬スケジュールである。
【0049】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的投薬スケジュールは、CDK阻害剤の連続投薬スケジュールである。
【0050】
本発明の方法または使用の実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4/6阻害剤である。
【0051】
本発明の方法または使用の実施形態では、TGFβ阻害剤は、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩であり、CDK阻害剤は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0052】
本明細書において記載される実施形態は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。
【0053】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(「PF−06952229」)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との組合せであって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。
【0054】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための薬剤の製造における、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の使用であって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される使用に関する。
【0055】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的臨床投薬レジメンは、非標準的臨床用量である。
【0056】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的臨床用量は、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0057】
本発明の方法または使用の実施形態では、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約50mg、約75mg、または約100mgを1日に1回である。
【0058】
本発明の方法または使用の実施形態では、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約75mgを1日に1回である。
【0059】
本発明の方法または使用の実施形態では、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約100mgを1日に1回である。
【0060】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的臨床投薬レジメンは、非標準的投薬スケジュールである。
【0061】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的投薬スケジュールは、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の連続投薬スケジュールである。
【0062】
本発明の方法または使用の実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の連続投薬スケジュールは、21日間の全サイクルである。
【0063】
本発明の方法または使用の実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の連続投薬スケジュールは、28日間の全サイクルである。
【0064】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的投薬スケジュールは、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を1日に1回、14日間連続して投与し、その後、7日間を無処置にすることを含む。
【0065】
本発明の方法または使用の実施形態では、非標準的臨床投薬レジメンは、約75mgのパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を、1日に1回、14日間連続して投与し、その後、7日間を無処置にすることを含む。
【0066】
本明細書において記載される実施形態は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。
【0067】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との組合せであって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。
【0068】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための薬剤の製造における、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の使用であって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される使用に関する。
【0069】
本明細書において記載される実施形態は、
(a)TGFβ阻害剤、および
(b)CDK阻害剤
の相乗的な組合せに関する。
【0070】
本明細書において記載されるさらなる実施形態は、
(a)TGFβ阻害剤、および
(b)CDK阻害剤
の相乗的な組合せであって、構成成分(a)および構成成分(b)が相乗的である、組合せに関する。
【0071】
さらなる実施形態は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤の医薬組成物およびCDK阻害剤の医薬組成物に関する。
【0072】
本発明の組合せの実施形態では、TGFβは、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩である。
【0073】
本発明の組合せの実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4/6阻害剤である。
【0074】
本発明の組合せの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、アベマシクリブ、リボシクリブ、およびパルボシクリブ、またはその薬学的に許容できる塩からなる群から選択される。
【0075】
本発明の組合せの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0076】
本発明の組合せの実施形態では、TGFβ阻害剤は、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩であり、CDK阻害剤は、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明、および本明細書に含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解され得る。本明細書において使用される専門用語は、具体的な実施形態を記載することのみを目的としており、限定することを意図したものではないことを理解されたい。さらに、本明細書において具体的に定義されない限り、本明細書において使用される専門用語は、関連する分野において公知の、その通常の意味を有することを理解されたい。
【0079】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別段の指示がない限り、複数形の言及を含む。例えば、「1つの(an)」賦形剤は、1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0080】
本明細書において使用される場合、用語「約」は、数字によって定義されるパラメータ(例えば、TGFβ阻害剤またはCDK阻害剤の用量)を修飾するために使用される場合、そのパラメータが、そのパラメータについて言及された数値の10%下または上に変化し得ることを意味する。例えば、約5mgの用量は、4.5mgから5.5mgの間で変化し得る。
【0081】
本明細書において使用される場合、限定はしないが「作用物質」、「構成成分」、「組成物」、「化合物」、「物質」、「標的薬」、「標的治療薬」、および「治療薬」を含む用語は、本発明の化合物、具体的にはTGFβ阻害剤およびCDK阻害剤を指すために。区別せずに使用され得る。
【0082】
以下の略記が、本明細書において使用され得る:DMSO(ジメチルスルホキシド)、FBS(ウシ胎児血清)、RPMI(ロズウェルパーク記念研究所培地)、mpk(動物の体重1kg当たりの薬物のmg/kgまたはmg)、およびw/w(重量当たりの重量)。
【0083】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および関連するセリン/スレオニンキナーゼは、細胞の分裂および増殖の調節における必須の機能を担う、重要な細胞酵素である。CDK阻害剤としては、広範囲のCDKを標的化するPan−CDK阻害剤、または特異的なCDKを標的化する選択的CDK阻害剤が含まれる。CDK阻害剤は、CDKに加えて、オーロラA、オーロラB、Chk1、Chk2、ERK1、ERK2、GST−ERK1、GSK−3α、GSK−3β、PDGFR、TrkA、およびVEGFRなどの標的に対する活性を有し得る。CDK阻害剤としては、限定はしないが、アベマシクリブ、アルボシジブ、ジナシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、レロシクリブ、ロスコビチン、AT7519、AZD5438、BMS−265246、BMS−387032、BS−181、JNJ−7706621、K03861、MK−8776、P276−00、PHA−793887、R547、RO−3306、およびSU9516が含まれる。Pan−CDK阻害剤の例としては、限定はしないが、アルボシジブ、ジナシクリブ、ロスコビチン、AT7519、AZD5438、BMS−387032、P276−00、PHA−793887、R547、およびSU9516が含まれる。CDK1阻害剤の非限定的な例は、RO−3306である。CDK2阻害剤の例としては、限定はしないが、K03861およびMK−8776が含まれる。CDK1/2阻害剤の例としては、限定はしないが、BMS−265246およびJNJ−7706621が含まれる。CDK4/6阻害剤の例としては、限定はしないが、アベマシクリブ、リボシクリブ、およびパルボシクリブが含まれる。CDK7阻害剤の非限定的な例は、BS−181である。
【0084】
一実施形態では、本発明のCDK4/6阻害剤としては、パルボシクリブが含まれる。本明細書において別段の指示がない限り、パルボシクリブ(本明細書において「パルボ(palbo)」または「パルボ(Palbo)」とも呼ばれる)は、6−アセチル−8−シクロペンチル−5−メチル−2−(5−ピペラジン−1−イル−ピリジン−2−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンまたはその薬学的に許容できる塩を指す。
【0085】
一部の実施形態は、本明細書において記載される化合物の薬学的に許容できる塩に関する。本明細書において記載される化合物の薬学的に許容できる塩としては、その酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。
【0086】
一部の実施形態はまた、本明細書において記載される化合物の薬学的に許容できる酸付加塩に関する。適切な酸付加塩は、無毒の塩を形成する酸から形成される。適切な酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容できる陰イオンを含む塩の非限定的な例としては、限定はしないが、酢酸塩、クエン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩が含まれる。
【0087】
さらなる実施形態は、本明細書において記載される化合物の塩基付加塩に関する。適切な塩基付加塩は、無毒の塩を形成する塩基から形成される。適切な塩基性塩の非限定的な例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛の塩が含まれる。
【0088】
本質的に塩基性の、本明細書において記載される化合物は、様々な無機酸および有機酸と広範な塩を形成することができる。本明細書において記載されるこのような塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩を調製するために使用され得る酸は、無毒の酸付加塩を形成するもの、例えば、薬理学的に許容できる陰イオンを含む塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩[すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)]である。アミノ基などの塩基性部分を含む、本明細書において記載される化合物は、上記の酸に加えて、様々なアミノ酸と薬学的に許容できる塩を形成することができる。
【0089】
本質的に酸性の、本明細書において記載される化合物の薬学的に許容できる塩基性塩を調製するための試薬として使用され得る化学塩基は、このような化合物と無毒の塩基性塩を形成するものである。このような無毒の塩基性塩としては、限定はしないが、アルカリ金属陽イオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属陽イオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)などのこのような薬理学的に許容できる陽イオン、N−メチルグルカミン−(メグルミン)などのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、ならびに低級アルカノールアンモニウム、ならびに薬学的に許容できる有機アミンの他の塩基性塩に由来するものが含まれる。
【0090】
酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩もまた、形成され得る。
【0091】
適切な塩の総括については、StahlおよびWermuthによる、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH、2002)を参照されたい。本明細書において記載される化合物の薬学的に許容できる塩を作製するための方法は、当業者に公知である。
【0092】
用語「溶媒和物」は、本明細書において記載される化合物および1つまたは複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えば水およびエタノールを含む分子複合体を説明するために、本明細書において使用される。
【0093】
本明細書において記載される化合物はまた、非溶媒和形態および溶媒和形態で存在し得る。したがって、一部の実施形態は、本明細書において記載される化合物の水和物および溶媒和物に関する。
【0094】
1つまたは複数の非対称の炭素原子を含む、本明細書において記載される化合物は、2つ以上の立体異性体として存在し得る。本明細書において記載される化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何学的なシス/トランス(またはZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低いエネルギー障壁を介して相互互換性である場合、互変異性の異性(「互変異性」)が生じ得る。これは、例えば、イミノ、ケト、もしくはオキシム基を含む本明細書において記載される化合物において、プロトン互変異性の形態を取り得、または、芳香族部分を含む化合物において、いわゆる価数互変異性の形態を取り得る。単一の化合物は、2つ以上のタイプの異性を示し得る。
【0095】
本明細書において記載される実施形態の化合物としては、本明細書において記載される化合物の全ての立体異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)および全ての光学異性体(例えば、RおよびSエナンチオマー)、ならびに、このような異性体のラセミ混合物、ジアステレオマー混合物、および他の混合物が含まれる。全ての立体異性体が本発明の特許請求の範囲に包含されるが、当業者には、特定の立体異性体が好ましい場合があることが認識されよう。
【0096】
一部の実施形態では、本明細書において記載される化合物は、エノールおよびイミン型とケトおよびエナミン型とを含むいくつかの互変異性型、ならびに幾何異性体、ならびにその混合物で存在し得る。全てのこのような互変異性型は、本実施形態の範囲内に含まれる。互変異性体は、互変異性体セットの混合物として溶液中に存在する。固体形態では、通常、1つの互変異性体が多くを占める。1つの互変異性体が記載されていても、本発明の実施形態には、本発明の化合物の全ての互変異性体が含まれる。
【0097】
本実施形態の範囲内には、2つ以上のタイプの異性を示す化合物、およびその1つまたは複数からなる混合物を含む、本明細書において記載される化合物の全ての立体異性体、幾何異性体、および互変異性型が含まれる。また、対イオンが光学的に活性な酸付加塩もしくは塩基性塩、例えばd−乳酸塩またはl−リジンまたはラセミ、例えばdl−酒石酸塩またはdl−アルギニンも含まれる。
【0098】
本実施形態にはまた、本明細書において記載される化合物のアトロプ異性体が含まれる。アトロプ異性体は、回転が制限された異性体に分離され得る化合物を指す。
【0099】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来の技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別晶析によって分離することができる。
【0100】
個々のエナンチオマーを調製/単離するための従来の技術としては、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩または誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
【0101】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)は、適切な光学的に活性な化合物、例えばアルコールと、または、本明細書において記載される化合物が酸性もしくは塩基性部分を含むケースでは、1−フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基もしくは酸と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別晶析によって分離することができ、ジアステレオ異性体の一方または両方は、当業者に周知の手段によって、対応する純エナンチオマーに変換される。
【0102】
用語「処置する」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症候を回復させること、緩和すること、その進行を阻害すること、または予防することを意味する。用語「処置」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、処置する行為を指し、この場合「処置する」は直前に定義される通りである。
【0103】
本発明に従って処置される「患者」としては、限定はしないがヒト、サル、もしくは他の下等霊長類、ウマ、イヌ、ウサギ、モルモット、またはマウスなどの、あらゆる恒温動物が含まれる。例えば、患者はヒトである。医療分野の当業者であれば、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんに罹患している個々の患者、および処置が必要な個々の患者を容易に同定することができる。
【0104】
用語「進行した」には、本明細書において使用され、それが乳がんに関連する場合、局所的に進行した(非転移性の)疾患および転移性の疾患が含まれる。治癒目的で処置され得るまたはされ得ない局所的に進行した乳がん、および治癒目的で処置され得ない転移性の疾患が、本発明において使用される「進行乳がん」の範囲内に含まれる。当業者であれば、患者において進行乳がんを認識および診断することが可能であろう。
【0105】
本発明の目的での「奏効期間」は、薬物処置による腫瘍モデルの成長の阻害の記録の時点から、処置前の成長速度に類似の成長速度に戻った時点までを意味する。
【0106】
用語「相加的な」は、2つの化合物、構成成分、または標的薬の組合せの結果が、各化合物、構成成分、または標的薬個々の合計よりも大きくないことを意味するために使用される。用語「相加的な」は、各化合物、構成成分、または標的薬を個々に使用する場合よりも処置対象の疾患状態または障害の改善がないことを意味する。
【0107】
用語「相乗効果」または「相乗的な」は、2つの化合物、構成成分、または標的薬の組合せの結果が、各作用物質を合わせた合計よりも優れていることを意味するために使用される。用語「相乗効果」または「相乗的な」は、各化合物、構成成分、または標的薬を個々に使用する場合よりも処置対象の疾患状態または障害が改善することを意味する。処置対象の疾患状態または障害におけるこの改善は「相乗効果」である。「相乗的な量」は、相乗効果をもたらす、2つの化合物、構成成分、または標的薬の組合せの量であり、この場合「相乗的な」は本明細書において定義される通りである。
【0108】
1つまたは2つの構成成分の間の相乗的な相互作用を決定するために、様々なw/w比の範囲および用量にわたる構成成分を、処置を必要とする患者に投与することによって、効果のための最適な範囲、および効果のための各構成成分の絶対的な用量の範囲を決定的に測定することができる。しかし、インビトロモデルまたはインビボモデルにおける相乗効果の観察は、ヒトおよび他の種における効果を予測し得、また、インビトロモデルまたはインビボモデルは、本明細書において記載されるように、相乗効果を測定するために存在し、このような研究の結果はまた、薬物動態学的な/薬力学的な方法を適用することによって、ヒトおよび他の種において必要な効果的用量および血漿濃度の比の範囲ならびに絶対的な用量および血漿濃度を予測するために使用することができる。
【0109】
本発明に従うと、ある量の第1の化合物または構成成分は、ある量の第2の化合物または構成成分と組み合わされ、合わせた量は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である。合わせると効果的な量は、処置対象の障害の症候の1つまたは複数をある程度軽減する。がんの処置に関して、効果的な量は、(1)腫瘍のサイズを低減させる、(2)腫瘍転移の出現を阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは止める)、(3)腫瘍の成長もしくは腫瘍の侵襲性をある程度阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは止める)、および/または(4)がんに関連する1つもしくは複数の徴候または症候をある程度軽減する(または、好ましくはなくす)効果を有する量を指す。用量および投与レジメンの治療的または薬理学的有効性はまた、これらの特異的な腫瘍を有する患者における疾患の制御および/または全生存を誘発する、増強する、維持する、または延長する能力として特徴付けすることができ、これは、疾患が進行するまでの時間の延長として測定することができる。
【0110】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の相乗的な組合せに関する。一実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療薬、具体的にはTGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0111】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の相乗的な組合せに関する。一実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療薬、具体的にはTGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0112】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置における、TGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の、相乗的な組合せに関する。一実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療薬、具体的にはTGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0113】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置における、TGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の、相乗的な組合せに関する。一実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療薬、具体的にはTGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0114】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との組合せであって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との相乗的な組合せに関する。一実施形態では、本発明の方法または使用は、標的治療薬、具体的には4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との相乗的な組合せに関する。
【0115】
「標準的臨床投薬レジメン」は、本明細書において使用される場合、典型的に臨床現場で使用される、物質、作用物質、化合物、または組成物を投与するためのレジメンを指す。「標準的臨床投薬レジメン」には、「標準的臨床用量」または「標準的投薬スケジュール」が含まれる。
【0116】
「非標準的臨床投薬レジメン」は、本明細書において使用される場合、臨床現場で典型的に使用される量、用量、またはスケジュールと異なる、物質、作用物質、化合物、または組成物を投与するためのレジメンを指す。「非標準的臨床投薬レジメン」には、「非標準的臨床用量」または「非標準的投薬スケジュール」が含まれる。
【0117】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤の組合せであって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の相乗的な組合せであって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。
【0118】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置における、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤の組合せの使用であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される使用に関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK阻害剤のある量の組合せの使用であって、CDK阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される使用に関する。
【0119】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置における、TGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の組合せであって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の相乗的な組合せであって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。
【0120】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のCDK4/6阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤の組合せであって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤およびある量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤およびCDK4/6阻害剤の相乗的な組合せであって、CDK4/6阻害剤が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。
【0121】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、ある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との組合せであって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、およびある量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与され、さらに、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との相乗的な組合せであって、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩が、非標準的臨床投薬レジメンに従って投与される、組合せに関する。
【0122】
「低用量」は、本明細書において使用される場合、臨床現場で典型的に使用される量または用量よりも少ない、物質、作用物質、化合物、または組成物の量または用量を指す。
【0123】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、低用量のCDK阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0124】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、低用量のCDK阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0125】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、低用量のCDK4/6阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0126】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、低用量のCDK4/6阻害剤と組み合わせたある量のTGFβ阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤の組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量のTGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、TGFβ阻害剤および低用量のCDK4/6阻害剤の相乗的な組合せに関する。
【0127】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的な、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩と組み合わせた、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、および低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において効果的である、方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において使用するための、4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との組合せに関する。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩、および低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんを処置するための方法であって、合わせた量が、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置において相乗効果を達成する方法に関する。別の実施形態では、本発明は、乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの処置のための、ある量の4−(2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピリジン−4−イルアミノ)−N−(1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ニコチンアミド(PF−06952229)またはその薬学的に許容できる塩と、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩との相乗的な組合せに関する。
【0128】
当業者であれば、公知の方法に従って、患者に投与するための、本発明の組合せで使用する場合の各化合物の適切な量、用量、または投薬量を、年齢、体重、全体的健康、投与する化合物、投与経路、治療を必要とする乳がん、特に、HR陽性の、HER2陰性の、進行した、または転移性の乳がんの性質および進行度、ならびに他の薬物治療の存在などの因子を考慮して、決定することができよう。
【0129】
一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約125mgを1日に1回、約100mgを1日に1回、約75mgを1日に1回、または約50mgを1日に1回の1日投薬量で投与される。推奨される開始用量または標準的臨床用量である一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約125mgを1日に1回の1日投薬量で投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、非標準的臨床用量で投与される。一実施形態では、非標準的臨床用量は、低用量のパルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩である。例えば、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約100mgを1日に1回、約75mgを1日に1回、または約50mgを1日に1回の用量で投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約100mgを1日に1回の用量で投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約75mgを1日に1回の用量で投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約50mgを1日に1回の用量で投与される。本明細書において提供される投薬量は、パルボシクリブの遊離塩基形態の用量を指すか、または、投与されるパルボシクリブ塩形態の遊離塩基当量として計算される。例えば、100mg、75mg、または50mgなどの、パルボシクリブの投薬量または量は、遊離塩基当量を指す。この投薬量レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整することができる。例えば、用量は、治療状況の緊急性によって示される通りに、比例して低減または増大させることができる。
【0130】
一実施形態では、PF−06873600またはその薬学的に許容できる塩は、約125mgを1日に1回、約100mgを1日に1回、約75mgを1日に1回、または約50mgを1日に1回の1日投薬量で投与される。一実施形態では、PF−06873600またはその薬学的に許容できる塩は、約125mgを1日に1回の1日投薬量で投与される。一実施形態では、PF−06873600またはその薬学的に許容できる塩は、非標準的臨床用量で投与される。一実施形態では、非標準的臨床用量は、低用量のPF−06873600またはその薬学的に許容できる塩である。例えば、PF−06873600またはその薬学的に許容できる塩は、約100mgを1日に1回、約75mgを1日に1回、または約50mgを1日に1回の用量で投与される。一実施形態では、PF−06873600またはその薬学的に許容できる塩は、約100mgを1日に1回の用量で投与される。一実施形態では、PF−06873600またはその薬学的に許容できる塩は、約75mgを1日に1回の用量で投与される。一実施形態では、PF−06873600またはその薬学的に許容できる塩は、約50mgを1日に1回の用量で投与される。本明細書において提供される投薬量は、PF−06873600の遊離塩基形態の用量を指すか、または、投与されるPF−06873600塩形態の遊離塩基当量として計算される。例えば、100mg、75mg、または50mgなどの、PF−06873600の投薬量または量は、遊離塩基当量を指す。この投薬量レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整することができる。例えば、用量は、治療状況の緊急性によって示される通りに、比例して低減または増大させることができる。
【0131】
本発明の方法の実施は、様々な投与レジメンまたは投薬レジメンを通して達成することができる。本発明の組合せの化合物は、断続的に、同時に、または連続的に投与することができる。一実施形態では、本発明の組合せの化合物は、同時投薬レジメンで投与することができる。
【0132】
投与レジメンまたは投薬レジメンの反復を、がん細胞の所望の低減または減少を達成するために必要に応じて行うことができる。「連続投薬スケジュール」は、本明細書において使用される場合、投薬の中断を伴わない、例えば無処置の日を伴わない、投与レジメンまたは投薬レジメンである。処置サイクルの間に投薬中断を伴わない、21または28日間の処置サイクルの反復が、連続投薬スケジュールの一例である。一実施形態では、本発明の化合物の組合せは、連続投薬スケジュールで投与することができる。一実施形態では、本発明の組合せの化合物は、連続投薬スケジュールで同時に投与することができる。
【0133】
一実施形態では、PF−06952229またはその薬学的に許容できる塩は、1日に1回投与して、28日間の全サイクルを含むようにする。28日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0134】
一実施形態では、PF−06952229またはその薬学的に許容できる塩は、1日に1回投与して、21日間の全サイクルを含むようにする。21日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0135】
パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の標準的投薬スケジュールを含む、標準的な推奨される投薬レジメンは、21日間連続して1日に1回投与し、その後7日間を無処置にして、28日間の全サイクルを含むようにする。28日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0136】
一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、非標準的投薬スケジュール下で投与される。例えば、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、1日に1回投与して、28日間の全サイクルを含むようにする。28日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0137】
一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、非標準的投薬スケジュール下で投与される。例えば、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、1日に1回投与して、21日間の全サイクルを含むようにする。21日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0138】
一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、非標準的投薬スケジュール下で投与される。例えば、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、14日間連続して1日に1回投与し、その後7日間を無処置にして、21日間の全サイクルを含むようにする。21日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0139】
パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩の標準的臨床投薬レジメンは、125mgを21日間連続して1日に1回投与し、その後7日間を無処置にして、28日間の全サイクルを含むようにする。28日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0140】
一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、非標準的投薬レジメン下で投与される。例えば、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約50mg、約75mg、または約100mgを1日に1回投与して、28日間の全サイクルを含むようにする。28日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約50mgで投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約75mgで投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約100mgで投与される。
【0141】
一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、非標準的投薬レジメン下で投与される。例えば、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約50mg、約75mg、または約100mgを1日に1回投与して、21日間の全サイクルを含むようにする。21日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約50mgで投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約75mgで投与される。一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約100mgで投与される。
【0142】
一実施形態では、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、非標準的投薬レジメン下で投与される。例えば、パルボシクリブまたはその薬学的に許容できる塩は、約75mgを1日に1回、14日間連続して投与し、その後7日間を無処置にして、21日間の全サイクルを含むようにする。21日間のサイクルの反復は、本発明の組合せでの処置の間、継続される。
【0143】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、20mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0144】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、40mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0145】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、80mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0146】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、150mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0147】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、250mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0148】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、375mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0149】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、500mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0150】
本発明の一実施形態では、PF−06952229は、625mgを1日に2回(BID)投与され、28日間サイクルにおける7日間処置/7日間無処置レジメンが採用されてもよい。
【0151】
本発明のさらなる実施形態では、PF−06952229は、パルボシクリブおよびレトロゾールと組み合わせて投与され、ここで、パルボシクリブは、125mgを1日に1回、21日間にわたり経口投与し、その後7日間を無処置にし、レトロゾールは、2.5mgを毎日、経口投与する。
【0152】
本発明の組合せの化合物の投与は、化合物を作用部位に送達し得る任意の方法によって行うことができる。これらの方法としては、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、血管内注射、または注入を含む)、局所投与、および直腸投与が含まれる。
【0153】
本発明の方法または組合せの化合物は、投与の前に製剤化することができる。製剤化は、特定の投与態様に好ましくは適合される。これらの化合物は、当技術分野において公知の薬学的に許容できる担体と共に製剤化され得、また、当技術分野において公知の広範な投薬形態で投与され得る。本発明の医薬組成物の作製において、活性成分は、通常、薬学的に許容できる担体と混合されるか、または担体によって希釈されるか、または担体内に封入される。このような担体としては、限定はしないが、固体の希釈剤または充填剤、賦形剤、無菌の水性培地、および様々な無毒の有機溶媒が含まれる。投薬単位形態または医薬組成物としては、錠剤、ゼラチンカプセルなどのカプセル、ピル、粉末、顆粒、水性および非水性の経口溶液および懸濁液、薬用ドロップ、トローチ、ハードキャンディー、スプレー、クリーム、軟膏、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏剤、注射用溶液、エリキシル、シロップ、ならびに、個々の用量への小分けに適合した容器内にパッケージされた非経口溶液が含まれる。
【0154】
非経口製剤としては、その調製のための、薬学的に許容できる水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液、エマルジョン、および無菌粉末が含まれる。担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。流動性は、レシチンなどの被覆剤、界面活性剤の使用によって、または適切な粒子サイズを維持することによって、維持することができる。典型的な非経口投与形態としては、無菌水溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液中の、本発明の化合物の溶液または懸濁液が含まれる。このような投薬形態は、必要に応じて、適切に緩衝することができる。
【0155】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの潤滑剤が、錠剤目的で有用であることが多い。類似のタイプの固体組成物もまた、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルにおいて採用することができる。したがって、好ましい材料としては、ラクトースすなわち乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液またはエリキシルが経口投与に望ましい場合、その中の活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはその組合せなどの希釈剤と共に、様々な甘味料または香料、着色料または染料、および必要に応じて、乳化剤または懸濁剤と組み合わせることができる。
【0156】
特定の量の活性化合物で様々な医薬組成物を調製する方法は当業者に公知であるか、または明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easter、Pa.、第15版(1975)を参照されたい。
【0157】
本発明はまた、本発明の組合せの治療薬、および治療薬の投与についての文書による指示を含む、キットに関する。一実施形態では、文書による指示は、例えば本発明の治療薬の同時投与または連続投与のための、治療薬の投与態様を詳述し、定める。一実施形態では、文書による指示は、例えば、28日間サイクルの間の治療薬の各々についての投与日数を特定することによって、治療薬の投与態様を詳述し、定める。
【実施例】
【0158】
(実施例1)TGFβ阻害剤であるPF−06952229は、CT26同系マウス腫瘍モデルにおいて、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブおよびCDK2/4/6阻害剤(PF−0687360
0)と相乗作用を示す
概要
PF−06952229を、CT26同系マウス腫瘍モデルにおいて、パルボシクリブと組み合わせて評価して、原発性腫瘍の成長および生存に対する有効性を評価した。CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブと組み合わせたPF−06952229は、PF−06952229単剤療法(p=0.009)およびパルボシクリブ単剤療法(p=0.017)と比較して、生存を有意に増大させた。
【0159】
材料および方法
CT26細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手し、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI1640)内で培養した。全ての細胞を、5%二酸化炭素(CO
2)を有する37℃の加湿インキュベーター内で維持した。メスBalb/cJマウスを、Jackson Laboratoriesから8週齢で入手した。同系モデルを作成するために、25万のCT26腫瘍細胞を、メスBALB/cJマウスの右脇腹に皮下移植した。腫瘍を有するマウスを、腫瘍細胞移植後10日目に、群当たりおよそ50mm
3の平均腫瘍サイズに基づいて、6つの処置群にランダム化した。研究群には、媒質、30mg/kgのPF−06952229、10mg/kgのPD−0332991(パルボシクリブ)、PF−06873600(CDK2/4/6阻害剤)、PF−06952229+PD−0332991の組合せ、およびPF−06952229+PF−06873600の組合せが含まれた。PF−06952229を、7日間処置および7日間無処置のスケジュールで1日に2回(BID)、経口投与した。PD−0332991またはPF−06873600を、BIDで、研究の終了まで連続的に経口投与した。処置群および投薬レジメンの情報を表1にまとめる。
【0160】
【表1】
【0161】
腫瘍容積を週に3回測定した。式(長さ×幅
2)×0.5を使用して計算した、立方ミリメートル単位の容積での二次元キャリパー測定に基づいて、腫瘍容積を計算した。腫瘍容積が、この研究での生存エンドポイントである2000mm
3に達したら、マウスを屠殺した。生存曲線を、GraphPad Prism 7ソフトウェアを使用してプロットした。ログランク(マンテル・コックス)検定を使用して、統計分析を行った。
【0162】
結果:
処置開始後40日目の生存の結果は、TGFβ阻害剤であるPF−06952229単剤療法での処置は、CT26同系腫瘍モデルにおける生存を有意には増大させなかったが、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブと組み合わせたPF−06952229処置は、PF−06952229単剤療法(p=0.0088)およびパルボシクリブ単剤療法(p=0.0173)と比較して、生存を有意に増大させたことを示す。有意な組合せ効果はまた、TGFβ阻害剤であるPF−06952229をCDK2/4/6阻害剤であるPF−06873600と組み合わせた場合にも見られ、PF−06952229単剤療法(p<0.0001)およびPF−06873600単剤療法(p=0.0013)と比較して生存を有意に増大させた。
図1および表2を参照されたい。
【0163】
【表2】
【0164】
処置開始後17日目に、腫瘍成長の結果は、TGFβ阻害剤であるPF−06952229単剤療法での処置は、CT26異種移植片腫瘍モデルにおける腫瘍の成長を有意には阻害しなかったが、CDK2/4/6阻害剤であるPF−06873600と組み合わせたPF−06952229処置は、有意な組合せ効果をもたらし、ひいては、PF−06952229単剤療法(p=0.0005)およびPF−06873600単剤療法(p=0.0004)と比較して腫瘍成長の阻害を増大させたことを示す(
図2)。同様に、PF−06952229とパルボシクリブ(PD−0332991)との組合せもまた、組合せ効果の傾向を示し、PF−06952229またはパルボシクリブ単剤療法での処置単独と比較すると、腫瘍成長の阻害を増大させた(
図2)。
【0165】
結論
CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブまたはCDK2/4/6阻害剤との、TGFβ阻害剤であるPF−06952229の組合せは、CT26同系腫瘍モデルにおいて、PF−06952229単剤療法またはCDK阻害剤単剤療法と比較して、腫瘍成長の阻害を高め、生存を有意に向上させた。
【0166】
(実施例2)PF−06952229は、MCF7ヒトER+異種移植片マウス腫瘍モデルにおいて、パルボシクリブおよびパルボシクリブ+フルベストラント
(PF−05279929)と相乗作用を示す
概要
PF−06952229をMCF−7 ER
+HER2
−乳がん腫瘍マウスモデルマウスにおいて、選択的エストロゲン受容体分解剤であるフルベストラントの不存在下または存在下で、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブと組み合わせて評価した。CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ(PD−0332991)とのPF−06952229の組合せは、いずれかの単剤療法単独と比較して、腫瘍の成長を有意に阻害した。類似の結果が、PF−06952229をパルボシクリブ+フルベストラントと組み合わせた場合に観察された。
【0167】
材料および方法
MCF7ヒトER
+乳がん細胞をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手し、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI1640)内で培養した。全ての細胞を、5%二酸化炭素(CO
2)を有する37℃の加湿インキュベーター内で維持した。メスNSGマウスを、Jackson Laboratoriesから7週齢で入手した。異種移植モデルを作成するために、17β−ESTRADIOLペレット(0.36mg、90日間放出)を、腫瘍細胞移植の7日前に、メスNSGマウスの左脇腹に皮下移植した。次いで、500万のMCF7がん細胞を、メスNSGマウスの体軸の右側領域に皮下移植した。腫瘍を有するマウスを、腫瘍細胞移植後27日目に、およそ180mm
3の平均腫瘍サイズに基づいて処置群にランダム化し、処置を開始した。処置群には、媒質、10mg/kgのPD−0332991、30mg/kgのPF−06952229、PD−0332991+PF−05279929(10mg/kg)、PF−06952229+PD−0332991、およびPF−06952229+PD−0332991+PF−05279929の3重組合せが含まれた。PF−06952229を、7日間処置および7日間無処置のスケジュールで1日に2回(BID)、経口投与した。PD−0332991は、BIDで、研究の終了まで連続的に経口投与した。PF−05279929は、週に2回、皮下投与した。処置群および投薬レジメンの情報を表3にまとめる。
【0168】
【表3】
【0169】
腫瘍容積を週に2回測定した。式(長さ×幅
2)×0.5を使用して計算した、立方ミリメートル単位の容積での二次元キャリパー測定に基づいて、腫瘍容積を計算した。体重を週に2回測定した。腫瘍増殖曲線を、GraphPad Prism 7ソフトウェアを使用してプロットした。共分散(ANCOVA)モデルの統計分析を適用して、処置後の各時点の腫瘍サイズに対する処置の効果を評価し、個々の動物のベースライン腫瘍サイズに対して調整した。対照群または他の処置群に対する処置群の比較を、ANCOVAモデル下でt検定を使用して倍率変化で行い、関連する95%信頼区間を計算した。
【0170】
pSMAD2バイオアッセイ:腫瘍試料を、分析前に、2.0mLのクライオチューブ(Nalgene(商標))内に回収し、スナップ凍結した。解凍した腫瘍試料を、プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を添加した細胞抽出緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、CA)中でホモジナイズした。腫瘍溶解物を遠心分離して不溶性残屑をペレット化し、澄明化した上清を新たなチューブに移した。6−Plex TGFbeta Signaling Magnetic Beadキット(Millipore、Burlington、MA)を使用して、pSmad2を測定した。全てのアッセイは、室温で行った。96ウェルブラック丸底プレートをアッセイ緩衝液で10分間ブロックした後、25μLのワーキングミクロスフェアビーズ混合物(ビーズは、キットのアッセイ緩衝液で1倍に希釈した)および25μLの1:10希釈した腫瘍溶解物(アッセイ緩衝液で1:10希釈)をプレートに添加した。4℃で振とうしながら一晩インキュベートした後、携帯用磁気分離ブロック(EMD Milliporeカタログ番号40−285)を使用して、ビーズ混合物を洗浄した。pSmad2が結合したビーズを、25μLのビオチン化検出抗体溶液と1時間インキュベートし、次いで、ビーズ混合物を洗浄した。検出のために、25μLのストレプトアビジン−PE溶液を添加し、15分間インキュベートし、次いで、25μLの増幅緩衝液を添加し、もう一度インキュベーションを15分間行った。洗浄した後、ビーズを150μL/ウェルのシース液(Bio−Radカタログ番号171−000055)内で再懸濁し、Bio−Plex 200分析器(Bio−Rad、Hercules CA)を使用して分析した。各ウェルの平均蛍光強度(MFI)を、Bio−Plex Managerソフトウェア、バージョン6.1(Bio−Rad)を使用して判定した。MFIからブランクウェルのシグナル強度を差し引いたものをさらなる分析に使用した。
【0171】
Total Smad2バイオアッセイ:PathScan Total Smad2 Sandwitch ELISAキット(Cell signaling、カタログ番号7244C)を使用して、Smad2タンパク質の総量を製造者の指示に従って判定した。腫瘍溶解物試料を希釈剤緩衝液で1:100希釈し、100μLを適切なウェルに添加した。プレートを37℃で2時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、検出溶液(100μL/ウェル)を添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、次いで、100μLのHRP結合二次抗体を添加し、37℃で30分間インキュベートした。プレートを再び洗浄し、TMB基質を添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。反応を止めるために、STOP溶液を各ウェルに添加した。450nmでの試料の吸光度を、Spectramaxプレートリーダー(Molecular Devices)で測定した。
【0172】
Phospho−Rb Ser807/811バイオアッセイ:ホスホ−Rbタンパク質S807/811を腫瘍溶解物においてマルチプレックスアッセイで分析し、これを、Meso−Scale Discovery(MSD)から購入した10スポット96ウェルU−PLEXプレートおよび固有のリンカーを使用して顕在化させ、特徴付けした。ホスホ−Rb特異的抗体であるpS807/811(8516BF)およびトータルRb抗体(9309BF)は、Cell Signaling Technology(CST)から購入した。この5−PLEXアッセイにおいて、ホスホ−Rb特異的抗体をビオチン化し、U−PLEXリンカーに結合させた。リンカーを次いで、U−PLEXプレート上の固有のスポット上に、捕捉試薬として自己集合させた。正確に希釈した腫瘍溶解物をプレートに添加した。試料中の分析物が捕捉試薬に結合した後、電気化学発光標識(MSD GOLD SULFO−TAG)とコンジュゲートしたRb検出抗体が分析物に結合して、サンドイッチ免疫アッセイが完了した。
【0173】
結果
処置開始後21日目に、腫瘍成長の結果は、TGFβ阻害剤であるPF−06952229単剤療法での処置は、MCF7異種移植片腫瘍モデルにおいて腫瘍の成長を有意には阻害しなかったが、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブと組み合わせたPF−06952229処置は、有意な組合せ効果をもたらし、ひいては、PF−06952229単剤療法(p<0.00001)およびパルボシクリブ単剤療法(p=0.0002)と比較して腫瘍成長の阻害を増大させたことを示す(
図3)。パルボシクリブ+フルベストラントと組み合わせると、PF−06952229はまた、パルボシクリブ+フルベストラント処置と比較して、p=0.0342の有意な組合せ効果を示した(
図4)。
【0174】
研究の同日に(処置開始後21日目)、群2(パルボシクリブ)の動物をランダム化して、群当たりn=5の動物の2つの新たな処置群を作成した。TGFβ阻害剤であるPF−06592229での処置を次いで、新たに作成した群の1つに加え、パルボシクリブ処置は、処置開始後66日目まで、新たに作成した群の両方に対して継続し、これで研究終了とした。同一の手順を21日目に群4に対して行い、この日に、この群の動物を2つの新たな処置群にランダム化し、TGFβ阻害剤であるPF−06952229での処置をこれらの群の1つに加え、その一方で、パルボシクリブ+フルベストラント処置は、新たに作成した群の両方に対して、66日目まで継続した。パルボシクリブ群またはパルボシクリブ+フルベストラント群への、TGFβ阻害剤であるPF−06952229の添加は、パルボシクリブまたはパルボシクリブ+フルベストラント単独と比較して統計上有意な効果を有さなかったが、TGFβ阻害剤であるPF−06952229での処置をパルボシクリブまたはパルボシクリブ+フルベストラント群に対して加えると、より大きな腫瘍阻害の傾向があった(
図5)。
【0175】
処置開始後21日目に単離した腫瘍試料のバイオマーカー分析は、TGFβ阻害剤であるPF−06592229での処置が、TGFβシグナル伝達経路の鍵となる構成成分であるpSMAD2を有意に阻害したことを実証した(
図6)。pSMAD2のあまり大きくない阻害もまたパルボシクリブ+フルベストラント群において観察されたが、TGFβ阻害剤であるPF−06952229単独の効果は、パルボシクリブ+フルベストラントの組合せよりも大きかった(p=0.004)(
図6)。TGFβ阻害剤であるPF−06952229をパルボシクリブまたはパルボシクリブ+フルベストラントと組み合わせて投与した群において、pSMAD2の最も強い阻害が観察され(両群において約80%阻害)、このことは、パルボシクリブの添加が、pSMAD2レベルを下方調節するPF−06952229の能力を向上させることを実証している(それぞれ、p=0.01およびp=0.007)(
図6)。Rbのリン酸化は、がん細胞におけるCDK4/6阻害の下流のバイオマーカーである。パルボシクリブ単剤での処置は、21日目で、pS807/811 Rbレベルをわずかに低下させ、その一方で、TGFβ阻害剤であるPF−06952229での単剤処置は、これらの同一のリンタンパク質をわずかに増大させた(
図7)。pS807/811 Rbレベルの阻害の向上が、パルボシクリブおよびフルベストラントの組合せで観察され(p=0.04)、類似の向上が、パルボシクリブおよびPF−06952229の組合せで処置した腫瘍で観察された(p=0.04)。TGFβ阻害剤であるPF−06952229を、パルボシクリブ+フルベストラントの組合せに添加すると、pS807/811 Rbレベルを最も強く阻害した(p<0.0001)(
図7)。総合すると、これらのデータは、TGFβ阻害剤であるPF−06952229をパルボシクリブ単独またはパルボシクリブ+フルベストラントと組み合わせて使用すると、pS808/811 Rbの阻害が向上する傾向があることを示す。
【0176】
結論
CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブと、またはパルボシクリブ+選択的エストロゲン受容体分解剤であるフルベストラントと組み合わせた、TGFβ阻害剤であるPF−06952229は、MCF−7 ER
+HER2
−異種移植片乳がん腫瘍モデルにおいて、PF−06952229もしくはパルボシクリブ単剤療法と比較して、またはパルボシクリブ+フルベストラントの組合せと比較して、より優れた腫瘍成長の阻害をもたらした。TGFβ阻害剤であるPF−06952229を、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブまたはパルボシクリブ+フルベストラントでの処置を事前に21日間受けた動物に加えると、パルボシクリブ単剤療法またはパルボシクリブ+フルベストラントの組合せと比較して、腫瘍成長の阻害が増大する傾向がもたらされた。さらに、TGFβ阻害剤であるPF−06952229+パルボシクリブの組合せまたはパルボシクリブ+フルベストラントの組合せは、TGFβR1(pSMAD2)およびCDK4/6(pS807/811 Rb)の両方について、下流シグナル伝達経路の阻害を増大させた。