(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952806
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池用の複合結合剤及びその調製
(51)【国際特許分類】
C08L 33/02 20060101AFI20211011BHJP
C08L 3/02 20060101ALI20211011BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20211011BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20211011BHJP
【FI】
C08L33/02
C08L3/02
H01M4/62 Z
H01M4/134
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-568311(P2019-568311)
(86)(22)【出願日】2017年6月13日
(65)【公表番号】特表2020-524725(P2020-524725A)
(43)【公表日】2020年8月20日
(86)【国際出願番号】CN2017088035
(87)【国際公開番号】WO2018227366
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジンジン チャン
(72)【発明者】
【氏名】レイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】チーシン シュイ
【審査官】
小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第106159272(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102074704(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第103074007(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106784842(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106531964(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0093639(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102443200(CN,A)
【文献】
Jiulin Wang et al,Cabonyl-β-cyclodextrin as a Novel Binder for Sulfer Composite Cathodes in Rechargeable Lithim Batteries,Advanced Functional Materials,vol.23、No.9,2013年,p.1194-1201
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/02
C08L 3/02
C08L 101/02
H01M 4/62
H01M 4/134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリアクリル酸である、カルボキシル基を含んでなる結合剤と、
b)未変性の相当するシクロデキストリンよりも良好な水溶性を有するカルボニル変性β−シクロデキストリンであって、カルボキシル化の比率は25%〜45%であるカルボニル変性β−シクロデキストリンと
の架橋生成物であって、前記ポリアクリル酸及び前記カルボニル変性β−シクロデキストリンが、2:1〜6:1の重量比にある架橋生成物を含んでなる複合結合剤。
【請求項2】
請求項1に記載の複合結合剤を含んでなる電極材料。
【請求項3】
請求項1に記載の複合結合剤を含んでなるケイ素ベースのリチウムイオン電池。
【請求項4】
(1)前記カルボキシル基を含んでなる結合剤の水溶液、並びに前記カルボニル変性β−シクロデキストリンの水溶液をそれぞれ調製するステップと、
(2)前記調製された水溶液を撹拌下で混合するステップと、
(3)前記混合された溶液を減圧下で乾燥及び脱水するステップと、
(4)その場での架橋反応を実行するステップと
を含んでなる、請求項1に記載の複合結合剤の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池に関するものであり、特にリチウムイオン電池用のケイ素ベースアノードにおける結合剤ネットワークの開発及び改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯用電子デバイス及び電気自動車の急速な開発及び普及によって、エネルギー及び電力密度が増加したリチウムイオン電池に対する要求はよりいっそう緊急となっている。ケイ素は、Li
4.4Siに関して4200mAh/gであるその高い理論的比容量のため、リチウムイオン電池のための有望な候補電極材料である。
【0003】
しかしながら、Siベース電極材料のサイクリング性能は、工業的用途に関してまだ満足できるものではない。最大の課題の1つは、ケイ素の繰り返される体積変化による結合剤破損であり、例えばリチウム化/脱リチウム化プロセスの間、ケイ素は劇的な膨張及び収縮を経験し、Siベース活物質及び電極の両方において多くの亀裂がもたらされるであろう。結合剤ネットワークは、電極における体積変化の間に電極完全性を維持し、そして良好なサイクリング性能を達成することにおいて重要な役割を果たすものとして知られている。
【0004】
全ての種類の結合剤の中でも、ポリアクリル酸(PAA)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)ベースのポリマーなどのカルボキシ基を含んでなる結合剤は、PVDF及びスチレン−ブタジエンゴムなどの非官能性ポリマーよりも良好な電気化学的性能を示し、したがって、しばしば使用されている。これらの官能性結合剤は、結合剤の極性官能基とSi粒子の部分的に加水分解された表面層との間の水素結合及び/又は共有化学結合によって強化されたSi粒子との結合を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それにもかかわらず、カルボキシル基によって形成された結合は、なおケイ素の体積変化に耐えるほど十分強くない。これを克服するために、ポリマー鎖が架橋技術によって固定された、Si電極材料用の架橋CMC−PAA結合剤を含む三次元ポリマーネットワークが連続的に開発されてきた。これらのデザインでは、それらの高い体積膨張からの悪影響を抑制することによって、Si電極材料の電気化学的性能が効果的に強化された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、リチウムイオン電池用のケイ素ベースアノードにおいて使用される結合剤へのさらなる変性及び改良を提供することが本発明の目的である。本発明によれば、Siベース電極材料用の変形可能な複合結合剤が提案された。
【0007】
特に、
a)カルボキシル基を含んでなる結合剤と、
b)α−、β−若しくはγ−シクロデキストリン及び/又は未変性の相当するシクロデキストリンよりも良好な水溶性を有する変性α−、β−若しくはγ−シクロデキストリンと
の架橋生成物を含んでなる複合結合剤が提案される。
【0008】
したがって、本発明は、結合剤とリチウムイオン電池用のケイ素ベース材料との間の三次元結合ネットワーク及び強化された相互作用を有する変形可能な複合結合剤を提供する。
【0009】
本発明は、本発明による複合結合剤を含んでなる電極材料をさらに提供する。
【0010】
本発明は、本発明による複合結合剤を含んでなるケイ素ベースリチウムイオン電池をさらに提供する。
【0011】
本発明は、
(1)カルボキシ基を含んでなる結合剤の水溶液、並びにα−、β−若しくはγ−シクロデキストリン及び/又は変性α−、β−若しくはγ−シクロデキストリンの水溶液をそれぞれ調製するステップと、
(2)上記調製された水溶液を撹拌下で混合するステップと、
(3)混合された溶液を減圧下で乾燥及び脱水するステップと、
(4)その場での架橋反応を実行するステップと
を含んでなる、上記複合結合剤を調製するための方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリンがPAAに添加された時の三次元結合ネットワーク及び相当する構造式の略図である。
【
図2】β−シクロデキストリンへの過酸化水素のカルボニル変性を示す略図である。
【
図3】実施例1において調製された架橋生成物の赤外スペクトルである。
【
図4】実施例1〜4において調製されたSi電極のサイクリング性能を示すプロットである。
【
図5】実施例3及び比較例1において調製されたSi電極のサイクリング性能の比較を示すプロットである。
【
図6】実施例3及び比較例1において調製されたSi電極の種々のCレートを示すプロットである。
【
図7】0.5Cにおける実施例3において調製されたSi電極のサイクリング性能を示すプロットである。
【
図8】3Cにおける実施例3において調製されたSi電極のサイクリング性能を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
他に示されない限り、本明細書中で引用される全ての出版物、特許出願書、特許及び他の参考文献は、本明細書中での参照によって、全ての目的に関して、完全に明示されるかのように、それら全体において明確に組み込まれる。
【0014】
別途定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。対立する場合、定義を含めて本明細書が優先される。
【0015】
量、濃度又は他の値若しくはパラメーターが、範囲、好ましい範囲又は上限の好ましい値及び下限の好ましい値のリストとして示される場合、範囲が別々に開示されるかどうかにかかわらず、これは、いずれかの上限範囲又は好ましい値といずれかの下限範囲又は好ましい値とのいずれかの対から形成される全ての範囲を特に開示するものとして理解される。数値の範囲が本明細書に記載される場合、別途明記されない限り、この範囲は、その終点並びにこの範囲内の全ての整数及び分数を含むものとして意図される。
【0016】
本発明によれば、本発明者は、驚くべきことに、α−、β−若しくはγ−シクロデキストリン及び/又はカルボニル変性β−シクロデキストリンなど変性α−、β−若しくはγ−シクロデキストリンが、カルボキシル基を含んでなる結合剤に導入される場合、優れたサイクリング安定性及び高いクーロン効率を達成することができることを見出した。
【0017】
シクロデキストリンは、環内で一緒に結合した糖分子から構成される化合物の系統である。典型的なシクロデキストリンは、6〜8個のグルコピラノシド単位によって構成されて、溶媒の二級及び一級ヒドロキシル基にそれぞれ暴露しているトロイドのより大きい開口部及びより小さい開口部を有するトロイドとしてトポロジー的に表すことができる。
【0018】
本明細書中、典型的なα−、β−又はγ−シクロデキストリンは、環内に6〜8単位の数のグルコースモノマーを含有し、円錐形を形成する:
α−シクロデキストリン:6員糖環分子
β−シクロデキストリン:7員糖環分子
γ−シクロデキストリン:8員糖環分子
【0019】
α−、β−及びγ−シクロデキストリンの式は、以下を参照することができる:
【化1】
【0020】
円錐形を次式から明らかに示すことができる。
【化2】
【0021】
本明細書中、略語CDは、α−、β−若しくはγ−シクロデキストリン及び/又は変性α−、β−若しくはγ−シクロデキストリンの両方を意味する。未変性α−、β−又はγ−シクロデキストリンより良好な水溶性を有するため、α−、β−又はγ−シクロデキストリンを変性することは有利である。この態様において、例えば、CDは、カルボニル基、アミン基及びその組合せによって変性されることが可能である。好ましい実施形態において、カルボニル変性シクロデキストリンが使用される。より好ましい実施形態において、カルボキシル及びカルボニルの両方を誘導するであろうカルボニル変性β−シクロデキストリンが使用される。
図2に略図を示す。変性後、カルボキシル化の比率は、約15%〜60%、より好ましくは25%〜45%である。
【0022】
理論によって拘束されず、且つ
図1に示されるように、サイクリング安定性における改善及び高いクーロン効率は、カルボキシル基を含んでなる結合剤とCDとの架橋によるためであると考えられる。(PAAとして省略される)ポリアクリル酸などのカルボキシル基を含んでなる結合剤はCD環と一緒に連結し、したがって、均一な3Dネットワークのため、結合剤はより改善された強靭性及び機械的強度を有する。さらに結合剤は、カルボキシル基及びヒドロキシル官能基によってSiと強く結合し、Si上での高い機械的接着強度、並びにSi粒子による可逆性のモルフォロジー変化による特に回復可能な変形を示す。結果として、Si粒子の体積膨張はCD環によって緩和され、そして体積膨張の後のSi粒子の単離は緩和される。
【0023】
本明細書中、カルボキシル基を含有する結合剤は、それがカルボキシル基を有する限り、いずれかの適切な結合剤であることが可能である。好ましい結合剤は、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」として省略される)、アルギン酸ナトリウム(以下、「SA」として省略される)、そのコポリマー及びその組合せからなる群から選択される。
【0024】
好ましい実施形態において、本発明の複合結合剤は、
a)ポリアクリル酸と、
b)カルボニル変性β−シクロデキストリンと
を含んでなる架橋生成物であって、ポリアクリル酸及びカルボニル変性β−シクロデキストリンが、1:1〜10:1、より好ましくは1:1〜8:1、なおさらに好ましくは1:1〜6:1の重量比にある架橋生成物を含んでなる。
【0025】
本明細書中、本発明の複合結合剤を調製する方法は、
(1)カルボキシ基を含んでなる結合剤の水溶液、並びにα−、β−若しくはγ−シクロデキストリン及び/又は変性α−、β−若しくはγ−シクロデキストリンの水溶液をそれぞれ調製するステップと、
(2)上記調製された水溶液を撹拌下で混合するステップと、
(3)混合された溶液を減圧下で乾燥及び脱水するステップと、
(4)その場での架橋反応を実行するステップと
を含んでなる。
【0026】
ケイ素−黒鉛複合アノードに関して、本発明の複合結合剤を使用して500サイクル以上で80%の容量保留を達成することができる。加えて、リチウム電池中で種々の結合剤を使用するケイ素−黒鉛複合アノードのCレート性能を試験する。本発明の複合結合剤を使用する電池のCレート性能は、PAA結合剤のみを使用するものよりも良好であったことが証明された。
【0027】
本発明の別の利点は、合成プロセスが容易であり、且つ規模を拡大することが容易であるということである。
【実施例】
【0028】
以下の制限されない実施例では、本発明による複合結合剤を含んでなる電極の調製が説明され、そして得られた電極の性能と、本発明に従わずに調製された電極の性能が比較される。以下の実施例では、本発明の様々な特性及び特徴を例証するが、その範囲は、それらに制限されるものとして解釈されない。
【0029】
実施例1
本発明の複合結合剤A1の調製
カルボニル変性β−シクロデキストリンの合成
カルボニル変性β−シクロデキストリンは簡単な手順によって得られた。特に2gのβ−シクロデキストリン(Sinopharm chemical)を濃度30%の2gのH
2O
2水溶液に添加し、そしてこれを密閉容器中80℃で24時間保持し、β−シクロデキストリンがH
2O
2と完全に反応することを保証した。次いで、溶液を減圧下で乾燥させ、全ての水及び残留H
2O
2を完全に除去した。
【0030】
PAA及びカルボニル変性β−シクロデキストリンの架橋生成物の合成
上記で得られたPAA(Alfa Aesar、平均Mw=240,000)の水溶液及びカルボニル変性β−シクロデキストリンの水溶液を撹拌下、1:1の重量比で混合した。上記の混合された溶液を減圧下で乾燥及び脱水させた。その場での架橋反応が実行された。
【0031】
図3に示すように、−COO−エステル基が調製されたことが証明される。PAA及びカルボニル変性β−シクロデキストリンの架橋生成物は、−COO−基の吸着ピークである1650cm
−1において、CDよりも比較的高い強度を有するが、PAAよりも比較的弱い強度を有する。
【0032】
実施例2
本発明の複合結合剤A2の調製
PAA及びカルボニル変性β−シクロデキストリンの重量比を2:1に変更したことを除き、本発明の複合結合剤A2は実施例1と同様の様式で調製された。
【0033】
実施例3
本発明の複合結合剤A3の調製
PAA及びカルボニル変性β−シクロデキストリンの重量比を4:1に変更したことを除き、本発明の複合結合剤A3は実施例1と同様の様式で調製された。
【0034】
実施例4
本発明の複合結合剤A4の調製
PAA及びカルボニル変性β−シクロデキストリンの重量比を6:1に変更したことを除き、本発明の複合結合剤A4は実施例1と同様の様式で調製された。
【0035】
比較例1
比較のため、水中PAA(Alfa Aesar、平均Mw=240,000)を比較結合剤C1として使用した。
【0036】
本発明による複合結合剤を含んでなる電極の調製
作用電極は、35:45:7:13の重量比において活物質Si粉末、黒鉛、Super P conductive(40nm、Timical)及び上記で調製された結合剤の混合物をペーストすることによって調製された。混合物をCu箔上にコーティングした後、電極を乾燥させ、直径12mmのディスク状に切断し、3MPaにおいてプレスして、最終的にケイ素電極を減圧下、70℃において5時間、次いで150℃においてさらに4時間熱処理した。
【0037】
電池組立て及び電気化学的試験:
2つの電極コイン型セルを使用して、そのようにして調製された複合材料の電気化学的性能を評価した。
【0038】
アルゴン充填グローブボックス(MB−10 compact、MBraun)中、電解質としての10重量%の炭酸フルオロエチレン(FEC)、分離器としてのPE膜(Celgard 2400)及び対電極としてのリチウム金属を含めて、体積比1:1の炭酸ジメチル(DMC)及び炭酸エチレン(EC)混合溶媒中1M LiPF
6を使用して、CR2016コインセルを組み立てた。サイクリング性能は、25℃において一定電流密度で、LAND電池試験システム(CT 2007A、Wuhan Land Electronics,Ltd.)において評価した。カットオフ電圧は、放電(Li挿入)に関してはLi
+/Liに対して0.01V及び充電(Li抽出)に関してはLi
+/Liに対して1.2Vであった。比容量はSi−黒鉛複合材料の重量を基準にして算出した。全ての電極における活物質(Si−黒鉛)の質量負荷は約2mg/cm
2である。
【0039】
図4は、それぞれ実施例1〜4において調製された結合剤を含むセルのサイクリング性能を示す。PAA対カルボニル変性β−シクロデキストリンの重量比が4:1である場合(実施例3)、最良のサイクリング性能を達成することができることがわかる。それぞれ2:1(実施例2)、6:1(実施例4)又は1:1(実施例1)の重量比で結合剤を含むセルのサイクリング性能は順に減少した。
【0040】
図5は、それぞれ実施例3及び比較例1において調製された結合剤を含むセルのサイクリング性能を示す。比較例1の結合剤を含んでなるセルの容量は、たったの20サイクル後に好ましくないことに50%減少したことがわかる。それとは対照的に、実施例3の結合剤を含むセルは、300サイクル後でさえも高いレベルにその容量を維持することができる。
【0041】
加えて、
図6は、それぞれ実施例3及び比較例1において調製された結合剤を含むセルのCレートを示す。実施例3の結合剤を含むセルが、比較例1の結合剤を含むセルと比較してCレート及びサイクリング性能を劇的に改善したことは明らかである。
【0042】
図7及び8は、それぞれ0.5C及び3Cにおける実施例3の結合剤を含むセルのサイクリング性能を示す。この図から、それらのサイクリング性能が満足できるものであることは明らかである。
【0043】
本発明は、ケイ素粒子を柔軟に包囲するユニークな結合剤を製造することによって電気化学的性能、特にサイクリング性能を大いに改善した。