特許第6952826号(P6952826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952826
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20211018BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20211018BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   H01L29/78 652J
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 652K
   H01L29/78 658A
   H01L29/78 652E
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-73294(P2020-73294)
(22)【出願日】2020年4月16日
(62)【分割の表示】特願2016-212712(P2016-212712)の分割
【原出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2020-113796(P2020-113796A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】京極 真也
(72)【発明者】
【氏名】飯島 良介
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−100466(JP,A)
【文献】 特開2017−069270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分領域と第2部分領域とを含み第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1部分領域から前記第2部分領域に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1部分領域から離れた前記第1導電形の第2半導体領域と、
前記第1部分領域と前記第2半導体領域との間に設けられた第2導電形の第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第3部分領域と、前記第1部分領域と前記第3部分領域との間に位置する第4部分領域と、を含む、前記第3半導体領域と、
前記第2方向において前記第2部分領域から離れ前記第1方向において前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域から離れた第1電極と、
第1絶縁領域と第2絶縁領域とを含む第1絶縁膜であって、前記第1絶縁領域は、前記第1方向において、前記第2半導体領域と前記第1電極との間、及び、前記第1方向において前記第3半導体領域と前記第1電極との間に設けられ、前記第1絶縁領域の一部は、前記第3部分領域と接し、前記第2絶縁領域は、前記第2方向において前記第2部分領域と前記第1電極との間に設けられた、前記第1絶縁膜と、
前記第1方向において前記第1絶縁膜の少なくとも一部と前記第4部分領域との間に設けられた第1部分を含む、前記第1導電形の第4半導体領域と、
を備え、
前記第1〜第4半導体領域は、炭化珪素を含み、
前記第4半導体領域は、III族元素及びV族元素を含み、
前記第4半導体領域における前記第1導電形の第1不純物濃度は、前記第1部分領域における前記第1導電形の第2不純物濃度よりも高く、
前記第1不純物濃度は、前記第2部分領域のうちで前記第1絶縁膜と接する部分における前記第1導電形の不純物濃度よりも高く、
前記第3部分領域における前記第2導電形の不純物濃度は、前記第4部分領域における前記第2導電形の不純物濃度よりも高く、
前記第1不純物濃度は、1×1017/cm以上5×1018/cm以下であり、
前記第1不純物濃度と、前記第4部分領域における前記第2導電形の不純物濃度と、の差の、前記第4部分領域における前記第2導電形の前記不純物濃度に対する比は、1以上である、半導体装置。
【請求項2】
前記第3半導体領域の下端は、前記第1絶縁膜の下端よりも下に位置する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁領域の前記第1方向に沿った長さは、前記第2絶縁領域の前記第2方向に沿った長さよりも短い、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1部分の前記第1方向に沿う厚さは、前記第1絶縁領域の前記第1方向に沿った長さの0.15倍以上0.75倍以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1部分の前記第1方向に沿う厚さは、0.015μm以上0.45μm以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3半導体領域は、前記第2方向において前記第4部分領域と前記第1部分領域との間に設けられた第5部分領域をさらに含み、
前記第4部分領域における前記第2導電形の前記不純物濃度は、前記第5部分領域における前記第2導電形の不純物濃度よりも高く、
前記第5部分領域から前記第1半導体領域のうちの前記第2方向において前記第1絶縁領域と重なる部分の少なくとも一部への方向は、前記第1方向に沿う、請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第2絶縁領域と重ならない、請求項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1部分の少なくとも一部は、前記第1方向において、前記第2絶縁領域と前記第4部分領域との間に位置した、請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1部分の一部は、前記第1方向において、前記第1絶縁領域と前記第4部分領域との間に位置した、請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1方向において、前記第1電極の一部は、前記第4半導体領域の一部と重なる、請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第4半導体領域の一部は、前記第2方向において、前記第1絶縁領域と重なる、請求項1〜1のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第4半導体領域の前記一部は、前記第2方向において、前記第1電極の一部と重なる、請求項1記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、オン抵抗の低減が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−117593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、オン抵抗を低減できる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1〜第4半導体領域と、第1電極と、第1絶縁膜と、を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域とを含み第1導電形である。前記第2半導体領域は、前記第1部分領域から前記第2部分領域に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1部分領域から離れ、前記第1導電形である。前記第3半導体領域は、前記第1部分領域と前記第2半導体領域との間に設けられ、第2導電形である。前記第3半導体領域は、第3部分領域と、前記第1部分領域と前記第3部分領域との間に位置する第4部分領域と、を含む。前記第1電極は、前記第2方向において前記第2部分領域から離れ前記第1方向において前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域から離れる。前記第1絶縁膜は、第1絶縁領域と第2絶縁領域とを含む。前記第1絶縁領域は、前記第1方向において、前記第2半導体領域と前記第1電極との間、及び、前記第1方向において前記第3半導体領域と前記第1電極との間に設けられる。前記第1絶縁領域の一部は、前記第3部分領域と接する。前記第2絶縁領域は、前記第2方向において前記第2部分領域と前記第1電極との間に設けられる。前記第4半導体領域は、第1部分を含み、前記第1導電形である。前記第1部分は、前記第1方向において前記第1絶縁膜の少なくとも一部と前記第4部分領域との間に設けられる。前記第1〜第4半導体領域は、炭化珪素を含む。前記第4半導体領域は、III族元素及びV族元素を含む。前記第4半導体領域における前記第1導電形の第1不純物濃度は、前記第1部分領域における前記第1導電形の第2不純物濃度よりも高い。前記第3部分領域における前記第2導電形の不純物濃度は、前記第4部分領域における前記第2導電形の不純物濃度よりも高い。前記第1不純物濃度は、1×1017/cm以上5×1018/cm以下である。前記第1不純物濃度と、前記第4部分領域における前記第2導電形の不純物濃度と、の差の、前記第4部分領域における前記第2導電形の前記不純物濃度に対する比は、1以上である。
本発明の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、基板の上に設けられた第1導電形の第1半導体膜と、前記第1半導体膜の上に設けられた第2導電形の第3半導体膜と、前記第3半導体膜の上に設けられた第1導電形の第2半導体膜と、を含む、積層体であって、前記第1半導体膜の一部は、前記第3半導体膜の2つの領域の間にある、前記積層体に、前記第2半導体膜からトレンチを形成することを含む。前記トレンチの底部は、前記第1半導体膜の前記一部に到達する。前記製造方法は、前記トレンチの側壁において露出する前記第3半導体膜の側面の下側部分に前記第1導電形の不純物を導入することを含む。前記不純物は、前記トレンチの底部には導入されない。前記下側部分における前記第1導電形の不純物濃度は、前記下側部分における前記第2導電形の前記不純物の濃度よりも高い。前記製造方法は、前記下側部分への前記不純物の前記導入の後に前記トレンチの表面に第1絶縁膜を形成することを含む。前記製造方法は、前記第1絶縁膜の前記形成の後に前記トレンチの残余の空間に導電材料を導入して第1電極を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図2】実施形態に係る半導体装置の特性を例示する模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図5】半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図8】半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図9図9(a)〜図9(d)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、第2の実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図11図11(a)〜図11(e)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図12】第3の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13】第3の実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図1(a)は、図1(b)に示すB1−B2線による断面に相当する断面図である。図1(b)は、図1(a)のA1−A2線で切断したときの斜視図である。
【0009】
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置110は、第1〜第4半導体領域11〜14と、第1電極21と、第1絶縁膜31と、を含む。
【0010】
第1半導体領域11は、第1部分領域11a及び第2部分領域11bを含む。第1半導体領域11は、第1導電形である。
【0011】
第1部分領域11aから第2部分領域11bに向かう方向を第1方向D1とする。
【0012】
第1方向D1をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0013】
第2半導体領域12は、第2方向D2において、第1部分領域11aから離れる。第2方向D2は、第1方向D1と交差する。例えば、第2方向D2は、例えば、Z軸方向である。
【0014】
第2方向D2は、第1部分領域11a及び第2半導体領域12の積層方向である。この積層方向をZ軸方向とし、Z軸方向に対して交差する方向を第1方向D1としても良い。
【0015】
第2半導体領域12は、第1導電形である。
【0016】
第3半導体領域13は、第1部分領域11aと第2半導体領域12との間に設けられる。第3半導体領域13は、第2導電形である。
【0017】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形で、第2導電形がn形でも良い。以下の説明では、第1導電形がn形で、第2導電形がp形とする。
【0018】
第3半導体領域13は、第3部分領域13c及び第4部分領域13dを含む。この例では、第3半導体領域13は、第5部分領域13eをさらに含む。
【0019】
第4部分領域13dは、第2方向D2において、第1部分領域11aと第3部分領域13cとの間に位置する。第5部分領域13eは、第2方向D2において、第4部分領域13dと第1部分領域11aとの間に設けられる。
【0020】
例えば、第1半導体領域11の第1部分領域11aの上に、第3半導体領域13が設けられ、第3半導体領域13の上に第2半導体領域12が設けられる。第3半導体領域13において、第1部分領域11aの上に、第5部分領域13eが設けられる。第5部分領域13eの上に、第4部分領域13dが設けられる。第4部分領域13dの上に、第3部分領域13cが設けられる。
【0021】
例えば、第3部分領域13cにおける第2導電形(例えばp形)の不純物濃度は、第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度は、第5部分領域13eにおける第2導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、下から上に向かうに従って、第2導電形(例えばp形)の不純物濃度が上昇する。
【0022】
第1電極21は、第2方向D2(例えば、Z軸方向)において、第2部分領域11bから離れる。第1電極21は、第1方向D1(例えば、X軸方向)において、第2半導体領域12及び第3半導体領域13から離れる。
【0023】
後述するように、第1電極21は、ゲート電極となる。第1半導体領域11の第2部分領域11bは、ゲート電極の下に位置する領域である。
【0024】
第1絶縁膜31は、第1絶縁領域31a及び第2絶縁領域31bを含む。第1絶縁領域31aは、第1方向D1(例えば、X軸方向)において、第2半導体領域12と第1電極21との間、及び、第1方向において第3半導体領域13と第1電極21との間に設けられる。第1絶縁領域31aの一部は、第3部分領域13cと接する。
【0025】
第2絶縁領域31bは、第2方向D2(例えば、Z軸方向)において、第2部分領域11bと第1電極21との間に設けられる。
【0026】
第1絶縁領域31aは、第1絶縁膜31の側部に対応する。第2絶縁領域31bは、第1絶縁膜31の底部に対応する。
【0027】
第4半導体領域14は、第1部分14pを含む。後述するように、第4半導体領域14は、第2部分14qをさらに含んでも良い。第4半導体領域14は、第1導電形(例えば、n形)である。
【0028】
第1部分14pは、第1方向D1(例えば、X軸方向)において、第1絶縁膜31の少なくとも一部と、第4部分領域13dとの間に設けられる。
【0029】
例えば、第1部分14pの少なくとも一部は、第1方向D1(例えば、X軸方向)において、第2絶縁領域31b(底部)と第4部分領域13dとの間に位置する。例えば、第1部分14pの一部は、第1方向D1において、第1絶縁領域31a(側部)と第4部分領域13dとの間に位置しても良い。
【0030】
この例では、半導体装置110は、第6半導体領域16、第7半導体領域17、第2電極22、第3電極23及び第2絶縁膜32をさらに含む。後述する第5半導体領域15がさらに設けられても良い。
【0031】
第2電極22は、第2半導体領域12と電気的に接続される。第2絶縁膜32は、第2電極22の一部と、第1電極21との間に設けられる。第2絶縁膜32は、第1電極21と第2電極22との間を電気的に絶縁する。
【0032】
第6半導体領域16は、第2電極22と電気的に接続される。第6半導体領域16は、第2導電形(例えばp形)である。第2半導体領域12は、第1方向D1(例えばX軸方向)において、第6半導体領域16と第1絶縁膜31の一部との間に設けられる。第3半導体領域13の一部は、第2方向D2(例えば軸方向)において、第6半導体領域16と第1半導体領域11との間に設けられる。
【0033】
第3電極23は、第1半導体領域11と電気的に接続される。第1半導体領域11は、第3電極23と第3半導体領域13との間、及び、第3電極23と第1絶縁膜31との間に設けられる。
【0034】
第7半導体領域17は、第3電極23と第1半導体領域11との間に設けられる。第7半導体領域17は、第1導電形(例えばn形)である。例えば、第7半導体領域17は、半導体基板である。
【0035】
実施形態において、例えば、第1〜第4半導体領域11〜14は、例えば、炭化珪素(SiC)を含む。第6半導体領域16及び第7半導体領域17も炭化珪素を含んでも良い。
【0036】
導電形(例えば、形)の不純物は、例えば、III属元素である。第導電形の不純物は、例えば、Al及びBからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第導電形(例えば、形)の不純物は、例えば、V属元素である。第導電形の不純物は、例えば、N、P及びAsからなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0037】
第1半導体領域11は、例えば、n形のドリフト層として機能する。第2半導体領域12は、例えば、n形のソース領域として機能する。第3半導体領域13は、例えば、p形のベース領域として機能する。第1電極21は、例えば、ゲート電極として機能する。第1絶縁膜31は、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第2電極22は、例えば、ソース電極として機能する。第3電極23は、例えば、ドレイン電極として機能する。第2絶縁膜32は、例えば、層間絶縁膜として機能する。
【0038】
図1(b)に示すように、第1電極21は、第2方向D2及び第3方向D3に沿って延びる。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2と交差する。第3方向D3は、例えば、Y軸方向である。第1電極21は、例えば、トレンチ状のゲート電極である。例えば、第7半導体領域17(例えば、半導体基板)の上に、半導体領域を含む積層体が設けられ、積層体にトレンチが形成される。このトレンチの内側の内壁に第1絶縁膜31が形成される。そして、トレンチの残余の空間に導電材料が埋め込まれて第1電極21が形成される。半導体装置110は、例えば、トレンチ状のゲート電極を有する、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)型のSiCトランジスタである。
【0039】
図1(b)に示すように、第4半導体領域14は、第1電極21に沿って延びる。第4半導体領域14は、第3方向D3に沿って延びる。
【0040】
実施形態において、第4半導体領域14における第1導電形(例えば、n形)の第1不純物濃度は、第1部分領域11aにおける第1導電形の第2不純物濃度よりも高い。
【0041】
このように、実施形態に係る半導体装置110おいては、第1導電形の不純物濃度が高い第4半導体領域14が、第3半導体領域13の一部と、第1絶縁膜31の一部と、の間に設けられる。これにより、オン抵抗が低減できる半導体装置を提供できることが分かった。
【0042】
半導体装置110において、第4半導体領域14が、電流経路の別の一部となる。ゲートバイアスを印加したときに、この第4半導体領域14のうちの第1絶縁膜31の近傍部分に、例えば、高いキャリア密度の領域(例えば蓄積チャネル)が局所的に誘起されると考えられる。この蓄積チャネルの領域は、狭い。このため、第4半導体領域14が薄い(X軸方向の長さが短い)場合においても、低いオン抵抗が得られる。
【0043】
第4半導体領域14の第1部分14pの厚さ(X軸方向の長さ)は、薄い。例えば、第1部分14pの第1方向D1に沿う厚さw4(図1(a)参照)は、0.015μm以上0.45μm以下である。厚さw4が薄いため、セルピッチの縮小が容易である。厚さw4と特性との関係の例については、後述する。
【0044】
例えば、ダブルトレンチ構造の第1参考例においては、ゲート絶縁膜における電界を緩和するためのトレンチが設けられる。しかしながら,電界を緩和するためのこのトレンチのために、セルピッチを縮小することが困難である。これに対して、実施形態においては、セルピッチの縮小が容易である。これにより、さらに低いオン抵抗が得られる。
【0045】
以下、半導体装置110の特性のシミュレーション結果の例について説明する。
シミュレーションにおいては、以下のモデルが用いられる。第1半導体領域11のZ軸方向の厚さは、9μmである。第1半導体領域11におけるn形の不純物濃度は、8×1015/cmである。第2半導体領域12のZ軸方向の厚さは、0.15μmである。第2半導体領域12におけるn形の不純物濃度は、1×1020/cmである。第3部分領域13cのZ軸方向の厚さは、0.35μmである。第3部分領域13cにおけるp形の不純物濃度は、8×1017/cmである。第4部分領域13dのZ軸方向の厚さは、0.3μmである。第4部分領域13dにおけるp形の不純物濃度は、5×1017/cmである。第5部分領域13eのZ軸方向の厚さは、0.15μmである。第5部分領域13eにおけるp形の不純物濃度は、5×1016/cmである。第4半導体領域14のZ軸方向の厚さは、0.35μmである。第4半導体領域14のX軸方向の厚さ(厚さw4)は、0.05μmである。第4半導体領域14におけるn形の不純物濃度は、4×1017/cmである。第1絶縁領域31aの厚さ(図1(a)に示す長さta)は80nmである。第2絶縁領域31bの厚さ(図1(a)に示す長さtb)は250nmである。以下、第1電極21に25V、第2電極22に0V、第3電極23に0.3Vを印加したとき(オン時)の特性についてのシミュレーション結果の例について説明する。
【0046】
図2は、実施形態に係る半導体装置の特性を例示する模式図である。
図2においては、半導体装置110をYZ平面で切断したときの断面に対応する。切断の位置は、第1電極21のX軸方向の中心の位置を含む。図2において、曲線の等高線は、電子の擬フェルミポテンシャルの等高線に対応する。図2において、画像の濃度は、電流密度に対応する。濃度が高い領域における電流密度は、濃度が低い領域における電流密度よりも高い。
【0047】
図2に示すように、電流密度は、第2半導体領域12の下部と第1絶縁膜31との間の界面の近傍、第4半導体領域14と第1絶縁膜31との間の界面、及び、第1半導体領域11の上部と第1絶縁膜31との間の界面の近傍において、局所的に高い。第2半導体領域12と第1半導体領域11との間の電流経路において、第4半導体領域14の第1絶縁膜31との間の界面部分に、局所的に電流が流れる。
【0048】
この電流経路における抵抗(オン抵抗)は、低い。特性オン抵抗(RonA)は、例えば、約1.4mΩ・cmである。特性オン抵抗は、オン抵抗(Ron)と、チャネル形成領域の面積(A)と、の積である。このように低いオン抵抗(または特性オン抵抗)が得られるのは、実施形態に係る第4半導体領域14による。
【0049】
一方、このシミュレーション条件の構成において、第1絶縁膜31に印加される最大電界が求められる。例えば、ゲート−ソース電圧を0Vとし、ドレイン‐ソース電圧を1200Vとした時、最大電界は、3MV/cm以下である。この値よりも第1絶縁膜31の耐圧は、十分に高い。例えば、良好な長期信頼性が得られる。さらに、後述するように、アバランシェ降伏が生じる電圧は、1600Vを超える。
【0050】
このように、実施形態においては、第1絶縁膜31に印加される最大電界を抑制し、アバランシェ降伏が生じる電圧を高く維持しつつ、オン抵抗を小さくできる。
【0051】
一方、上記のような第4半導体領域14を設けない第2参考例において、第1絶縁膜31に印加される最大電界を3MV/cm以下とし、アバランシェ降伏が生じる電圧を1600Vを超える構成も考えられる。この場合、電界緩和のために、トレンチの下の領域の不純物濃度が十分に高く設定される。例えば、この領域のn形の不純物濃度は、上部に位置するp形の領域(第3半導体領域13)の不純物濃度よりも高く、例えば、1×1018/cmを超える。しかしながら、第2参考例の構成においては、オン抵抗(JFET抵抗成分)が大きくなる。
【0052】
このように、実施形態においては、最大電界を抑制し、アバランシェ降伏を抑制しつつ、低いオン抵抗が得られる。
【0053】
例えば、第4半導体領域14の第1部分14pの第1方向D1に沿う厚さw4(幅)が薄く(狭く)設定されても低いオン抵抗が得られる。厚さw4(幅)が薄いため、例えば、トレンチ底の等電位線の曲率が抑制される。例えば、電界の集中が緩和される。これにより、実施形態においては、第1絶縁膜31の高い耐圧が得られると考えられる。例えば、高耐圧の半導体装置が得られると考えられる。
【0054】
このように、実施形態によれば、低いオン抵抗が得られる。
【0055】
図3(a)及び図3(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、第4半導体領域14の第1部分14pの第1方向D1に沿う厚さw4(幅)と、半導体装置の特性と、の関係を例示している。これらの図の横軸は、厚さw4である。図3(a)の縦軸は、特性オン抵抗RonA(mΩ・cm)である。図3(b)の縦軸は、耐圧Vb(V)である。耐圧Vb(V)は、例えば、アバランシェ降伏が生じる電圧に対応する。図3(a)及び図3(b)において、厚さw4を除いて、シミュレーションの条件は、図2に関して説明した条件と同じである。特性オン抵抗RonAが小さいことは、オン抵抗Ronが小さい(低い)ことに対応する。
【0056】
図3(a)に示すように、厚さw4が過度に小さくなると、特性オン抵抗RonAが大きくなる。例えば、厚さw4が0.015μmよりも小さいときには、特性オン抵抗RonAが著しく上昇する。これは、蓄積チャネルの形成が不十分になることが原因であると考えられる。厚さw4が0.015μm以上において、小さい特性オン抵抗RonAが得られる。厚さw4が0.04μm以上において、小さい特性オン抵抗RonAが安定して得られる。
【0057】
図3(b)に示すように、厚さw4が大きくなると、耐圧Vbが低下する。例えば、厚さw4が0.45μmを超えると、耐圧Vbが急激に低下する。
【0058】
実施形態においては、例えば、厚さw4は、0.015μm以上0.45μm以下であることが好ましい。これにより、小さい特性オン抵抗RonAと、高い耐圧Vbと、が得られる。厚さw4は、0.04μm以上であることがさらに好ましい。小さい特性オン抵抗RonAが安定して得られる。
【0059】
例えば、第1不純物濃度(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)が高くなると、耐圧Vbが低下し易くなる。このため、第1不純物濃度が高い場合は、厚さw4は、小さいこと(例えば、0.40μm以下)がさらに好ましい。耐圧Vbの観点では、厚さw4は、0.30μm以下であることがさらに好ましく、厚さw4は、0.20μm以下であることがさらに好ましい。
【0060】
実施形態において、実用的な第1電極21を考慮すると、厚さw4が0.015μm以上0.45μm以下であるときに、例えば、厚さw4が第1電極21の第1方向D1に沿う長さw21(幅)の0.02倍以上0.75倍以下となる。
【0061】
実施形態においては、高い耐圧を維持できる。実施形態において、第1絶縁膜31(ゲート絶縁膜)の最大電界を悪化することが実質的にない。実施形態においては、ゲート絶縁膜の高い信頼性を維持できる。セルピッチが、縮小可能である。低いオン抵抗が得られる。
【0062】
既に説明したように、第1不純物濃度(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)は、第2不純物濃度(第1部分領域11aにおける第1導電形の不純物濃度)よりも高い。例えば、第1不純物濃度は、1×1017/cm以上5×1018/cm以下である。一方、第2不純物濃度は、例えば、1×1015/cm以上1×1018/cm以下である。
【0063】
第1不純物濃度が、1×1017/cmよりも低いときは、例えば、第3半導体領域13から第4半導体領域14へ延びる空乏化領域が拡大し、蓄積チャネルが形成されにくくなる。このため、オン抵抗が増大する場合がある。第1不純物濃度が、5×1018/cmよりも高いときは、例えば、トレンチ側壁の第1絶縁膜31(ゲート絶縁膜)の最大電界が上昇する。このため、例えば、ゲート絶縁膜の信頼性が低下する場合がある。例えば、耐圧が低下する場合がある。
【0064】
厚さw4が大きくなると第1絶縁膜31(ゲート絶縁膜)に加わる最大電界が高くなる傾向がある。第1不純物濃度(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)が高くなると、第1絶縁膜31に加わる最大電界が高くなる傾向がある。厚さw4が、0.45μm以下であるときに、最大電界が過度に高くなることが抑制できる。例えば、厚さw4が、0.40μm以下であると、第1不純物濃度が高くても、最大電界が過度に高くなることが効果的に抑制できる。最大電界の観点では、厚さw4は、0.30μm以下であることがさらに好ましく、厚さw4は、0.20μm以下であることがさらに好ましい。
【0065】
以下、半導体領域における不純物濃度を変えたときの特性の変化の例について説明する。以下では、第4半導体領域14における不純物濃度、及び、第4部分領域13dにおける不純物濃度に着目する。例えば、第1不純物濃度(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)が変更される。
【0066】
一方、第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度(不純物濃度C13d)が変更される。後述するように、例えば、第1導電形の半導体領域に第2導電形の不純物がイオン注入されて、第4部分領域13dが形成されても良い。このような場合、第4部分領域13dは、第2導電形の不純物に加えて、第1導電形の不純物も含む。しかしながら第4部分領域13dに含まれる第1導電形の不純物濃度は、第2導電形の不純物濃度に比べて十分に低い。第4部分領域13dにおける不純物濃度C13d(第2導電形の不純物濃度)は、第4部分領域13dにおける実効的なキャリア濃度に対応すると考えて良い。
【0067】
一方、第4半導体領域14も、例えば、イオン注入により形成される。例えば、第4半導体領域14も、第1導電形の不純物と、第2導電形の不純物を含む。以下のモデルでは、第4半導体領域14に含まれる第2導電形の不純物濃度(第2不純物濃度)は、第4部分領域13dに含まれる第2導電形の不純物濃度と同じである。このときに、第4半導体領域14に含まれる第1導電形の不純物濃度(第1不純物濃度)が変更される。
【0068】
図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、第1不純物濃度C1(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)を変えたときの特性のシミュレーション結果を例示している。このシミュレーションにおいては、第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度C13dは、一定であり、2×1017/cmである。このときに、第1不純物濃度C1が変更される。これ以外の条件は、図2に関して説明したのと同じである。図4(a)の横軸は、厚さw4である。図4(a)の縦軸は、特性オン抵抗RonAである。
【0069】
図4(a)から分かる通り、第1不純物濃度C1が高いと、特性オン抵抗RonAは、小さくなる。そして、厚さw4(幅)が狭くなると(小さくなる)と、特性オン抵抗RonAが急激に上昇する。4種類の第1不純物濃度C1のいずれの場合も、特性オン抵抗RonAが1.7mΩ・cmを超えると、特性オン抵抗RonAが急激に上昇する。特性オン抵抗RonAが1.7mΩ・cm以下において、幅w4が変化しても、小さい特性オン抵抗RonAが得られる。
【0070】
幅w4に関する幅パラメータLw4を導入する。幅パラメータLw4は、特性オン抵抗RonAが1.7mΩ・cm以下となる最小の厚さw4(幅)である。図4(a)の結果から、4種類の第1不純物濃度C1について、幅パラメータLw4が導出できる。
【0071】
図4(b)の横軸は、第1不純物濃度C1である。図4(b)の縦軸は、幅パラメータLw4(μm)である。第1不純物濃度C1が高くなると、幅パラメータLw4は、小さくなる。例えば、第1不純物濃度C1が高いと、幅w4が小さくても、小さい特性オン抵抗RonAが得られる。
【0072】
図5は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図5においては、第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度C13dは、4×1017/cmである。図5の横軸は、厚さw4である。図5の縦軸は、特性オン抵抗RonAである。図5から分かるように、第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度C13dが4×1017/cmである場合も、第1不純物濃度C1が高いと、特性オン抵抗RonAは、小さくなる。そして、厚さw4(幅)が狭くなると(小さくなる)と、特性オン抵抗RonAが急激に上昇する。図4(a)と図5を比較すると、特性オン抵抗RonAが1.7mΩ・cm以下となる幅w4は、第1不純物濃度C1及び不純物濃度C13dにより変化する。
【0073】
第1不純物濃度C1と不純物濃度C13dとの相対関係を変えたときの特性について説明する。既に説明したように、第4半導体領域14は、第1導電形の不純物と、第2導電形の不純物を含む。第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度が、第1不純物濃度C1である。第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度が、第2不純物濃度である。第2不純物濃度は、不純物濃度C13dと同じである。
【0074】
不純物濃度について、濃度パラメータRCを導入する。濃度パラメータRCは、(C1−C13d)/C13dである。(C1−C13d)は、第4半導体領域14における、第1導電形の不純物濃度と第2導電形の不純物濃度との差に対応する。(C1−C13d)は、第4半導体領域14における実効的な不純物濃度(実効的な第1導電形の不純物濃度)に対応する。一方、既に説明したように、第4部分領域13dにおける第1導電形の不純物濃度は十分に低い。このため、不純物濃度C13dは、第4部分領域13dにおける実効的なキャリア濃度(実効的な第2導電形の不純物濃度)に対応する。
【0075】
図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図6(a)においては、濃度パラメータRCは、0.5である。図6(b)においては、濃度パラメータRCは、1.0である。図7(a)においては、濃度パラメータRCは、2.0である。図7(b)においては、濃度パラメータRCは、4.0である。これらの図において、第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度C13dが変更される。これらの図において横軸は、厚さw4である。縦軸は、特性オン抵抗RonAである。
【0076】
これらの図から分かるように、不純物濃度C13dが低いと、特性オン抵抗RonAは、小さくなる。そして、厚さw4(幅)が狭くなると(小さくなる)と、特性オン抵抗RonAが急激に上昇する。
【0077】
図8は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図8の横軸は、濃度パラメータRCである。図8の縦軸は、幅パラメータLw4である。図8から分かるように、濃度パラメータRCが高いと幅パラメータLw4は小さい。濃度パラメータRCが高いと、厚さw4(幅)が小さくても小さい特性オン抵抗RonAが得られる。
【0078】
例えば、第4半導体領域14と第4部分領域13dとの間において、空乏層が形成される場合がある。空乏層は、例えば、X軸方向に沿って延びる。第2導電形の不純物濃度C13d(第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度に対応する)が一定で、第1不純物濃度C1(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)が上昇すると、第4半導体領域14に向かって延びる空乏層の幅が狭く抑えられると考えられる。これにより、太い電流経路が得られ、低いオン抵抗が得られると考えられる。
【0079】
図1(a)に示すように、例えば、第3半導体領域13の第5部分領域13eは、第1方向D1(例えば、X軸方向)において、第1絶縁膜31の第2絶縁領域31bと重ならない。第1部分領域11aの上に第5部分領域13eが設けられている。第3半導体領域13の下端は、第1絶縁膜31の下端よりも下に位置する。
【0080】
第1方向D1(例えば、X軸方向)において、第1電極21の一部は、第4半導体領域14の一部と重なる。例えば、第1電極21の下端は、第4半導体領域14の下端よりも上に位置する。
【0081】
この例では、第4半導体領域14は、第1部分14pに加えて、第2部分14qをさらに含む。第2部分14qは、第2方向D2(Z軸方向)において、第1絶縁領域31aと重なる。第2部分14qは、第2方向D2(Z軸方向)において、第2絶縁領域31bの一部と重なっても良い。第2部分14qは、第2方向D2(Z軸方向)において、第1電極21の一部と重なっても良い。第2部分14qは、第1部分14pと連続している。
【0082】
例えば、第1部分14pの第1方向D1に沿う厚さw4(図1(a)参照)は、例えば、第1電極21の第1方向D1に沿う長さw21(幅)の0.02倍以上0.75倍以下である。第1部分14pの第1方向D1に沿う厚さw4は、例えば、第1絶縁領域31aの第1方向D1(例えば、X軸方向)に沿った長さtaの0.15倍以上0.75倍以下である。
【0083】
図1(a)に示す例においては、第1絶縁膜31の底部の厚さは、側部の厚さよりも厚い。例えば、第1絶縁領域31aの第1方向D1(例えば、X軸方向)に沿った長さtaは、第2絶縁領域31bの第2方向D2(例えば、Z軸方向)に沿った長さtbよりも短い。底部の厚さが側部の厚さよりも厚いことで、例えば、第1絶縁膜31(ゲート絶縁膜)の最大電界を抑制することができる。
【0084】
既に説明したように、第3半導体領域13における第2導電形の不純物濃度は、下から上に向かって上昇する。第3半導体領域13に、上記の第5部分領域13e、第4部分領域13d及び第3部分領域13cが設けられる。
【0085】
第5部分領域13eの第2方向D2に沿った長さte(図1(a)参照)は、例えば、0.10μm以上0.40μm以下である。第5部分領域13eにおける第2導電形の不純物濃度は、例えば、1×1015/cm以上1×1018/cm以下である。
【0086】
第4部分領域13dの第2方向D2に沿った長さtd(図1(a)参照)は、例えば、0.20μm以上0.50μm以下である。第4部分領域13dにおける第2導電形の不純物濃度は、例えば、5×1016/cmを超え1×1018/cm以下である。
【0087】
第3部分領域13cの第2方向D2に沿った長さtc(図1(a)参照)は、例えば、0.30μm以上0.50μm以下である。第3部分領域13cにおける第2導電形の不純物濃度は、例えば、1×1017/cmを超え3×1018/cm以下である。
【0088】
第1絶縁膜31の第2方向D2に沿う長さd31は、例えば、0.7μm以上1.0μm以下である。第1絶縁膜31の第1方向D1に沿う長さw31は、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
【0089】
例えば、第1絶縁膜31の底部の下端は、第4半導体領域14の上端よりも浅く位置する。
【0090】
第1電極21の下端は、第4半導体領域14の上端よりも深く位置する。
【0091】
実施形態において、第1電極21は、例えば、ポリシリコンを含む。第1電極21は、N、B、P、As及びAlの少なくとも1つを含んでも良い。第2電極22及び第3電極23の少なくともいずれかは、例えば、Ni、Ti、Al、Au、Pt、W及びMoの少なくとも1つなどの金属を含む。
【0092】
第1絶縁膜31及び第2絶縁膜32の少なくともいずれかは、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、及び、酸化アルミニウムの少なくともいずれかを含む。
【0093】
材料に関する上記の説明は例であり、実施形態において、これらの電極及び絶縁膜に他の材料が用いられても良い。
【0094】
以下、半導体装置110の製造方法の例について説明する。
図9(a)〜図9(d)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【0095】
図9(a)に示すように、積層体SBを準備する。積層体SBは、基板17sの上に設けられた第1導電形の第1半導体膜11Fと、第1半導体膜11Fの上に設けられた第2導電形の第3半導体膜13Fと、第3半導体膜13Fの上に設けられた第1導電形の第2半導体膜12Fと、を含む。基板17sは、例えば、第7半導体領域17となる。基板17s、及び、上記の半導体膜は、例えば、炭化珪素を含む。
【0096】
例えば、第3半導体膜13Fは、第5部分領域13e、第4部分領域13d及び第3部分領域13cを含む。
【0097】
第5部分領域13eにおける第2導電形(例えばp形)の不純物の濃度は、例えば、1×1015/cm以上1×1018/cm以下である。
【0098】
第4部分領域13dは、第5部分領域13eの上に設けられる。第4部分領域13dにおける第2導電形(例えばp形)の不純物の濃度は、例えば、5×1016/cmを超え1×1018/cm以下である。
【0099】
第3部分領域13cは、第4部分領域13dの上に設けられる。第3部分領域13cにおける第2導電形(例えばp形)の不純物の濃度は、例えば、1×1017/cmを超え3×1018/cm以下である。
【0100】
この例では、積層体SBは、第6半導体領域16をさらに含む。例えば、第1半導体領域11を含む層がエピタキシャル成長により形成される。この後、第2半導体膜12F及び第6半導体領域16が、例えばイオン注入により形成される。さらに、マスクM1を用いたイオン注入により、第3半導体領域13が設けられる。第1半導体膜11Fは、マスクM1と重なる領域を有しており、この領域には、第2導電形の不純物は導入されない。
【0101】
この後、マスクM1を除去する。
【0102】
図9(b)に示すように、積層体SBに、第2半導体膜12Fの側から、トレンチT1を形成する。例えば、第2半導体膜12F及び第6半導体領域16の上に、マスクM2を形成する。マスクM2は、例えば、シリコン酸化膜である。マスクM2の開口部において、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)などの処理を行うことで、トレンチT1が形成される。
【0103】
トレンチT1は、例えば、炭化珪素の(11−20)面に沿って延びる。トレンチT1は、炭化珪素の(1−100)面に沿って延びても良い。
【0104】
図9(c)に示すように、第3半導体膜13Fの側面に、第1導電形(例えばn形)の不純物I1を導入する。導入は、例えば、イオン注入を含む。不純物I1の導入は、第3半導体膜13Fの側面の全面に行われても良い。
【0105】
既に説明したように、第3半導体膜13Fは、第5部分領域13e(最も下の部分)、第4部分領域13d(下側部分)及び第3部分領域13c(上側部分)を含む。第3部分領域13cにおいては、第2導電形(例えばp形)の不純物の濃度は、高い。このため、第1導電形(例えばn形)の不純物I1が導入された後も、第3部分領域13cにおける導電形は、p形である。一方、第5部分領域13e(最も下の部分)及び第4部分領域13d(下側部分)における第2導電形(例えばp形)の不純物の濃度は、低い。このため、第1導電形(例えばn形)の不純物I1が導入された後には、これらの領域の導電形は、n形となる。
【0106】
例えば、不純物I1の導入は、第3半導体膜13Fの側面の下部に行われても良い。第3半導体膜13Fの側面は、下側部分13bpを有する。この下側部分13bpは、トレンチT1の側壁において露出する。第3半導体膜13Fの側面のこの下側部分13bpに不純物I1を導入しても良い。この導入は、例えば、イオン注入を含む。
【0107】
この下側部分13bpにおける第1導電形の不純物濃度は、下側部分13bpにおける第2導電形の不純物の濃度よりも高い。これにより、第1導電形の第4半導体領域14が形成される。一方、上側部分においては、不純物I1が導入された後において、n形の不純物よりもp形の不純物濃度が高い。この領域が、第3半導体領域13の一部となる。第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11の第1導電形の不純物濃度よりも高い。
【0108】
例えば、第3部分領域13cは、第1絶縁膜31に近い領域(第1領域13ca、図9(c)参照)と、第1絶縁膜31から遠い領域(第2領域13cb、図9(c)参照)と、を含む。第1領域13caは、X軸方向(第1方向D1)において、第2領域13cbと第1絶縁膜31との間に位置する。例えば、第1領域13caにおける第1導電形(n形)の不純物濃度は、第2領域13cbにおける第1導電形(n形)の不純物濃度よりも高い。例えば、第1領域13caにおける、第1導電形の不純物濃度と第2導電形の不純物濃度との差は、第2領域13cbにおける第1導電形の不純物濃度と第2導電形の不純物濃度との差よりも小さい。
【0109】
図9(d)に示すように、下側部分13bpへの不純物I1の導入の後に、トレンチT1の表面に第1絶縁膜31を形成する。さらに、第1絶縁膜31の形成の後に、トレンチT1の残余の空間に導電材料を導入して、第1電極21を形成する。
【0110】
この後、第2絶縁膜32、第2電極22及び第3電極23を形成する。これにより、半導体装置110が製造できる。
【0111】
上記の製造方法によれば、オン抵抗を低減できる半導体装置の製造方法を提供できる。
【0112】
上記の製造方法においては、第4半導体領域14に対して、第1電極21及び第1絶縁膜31がセルフアラインにより形成される。第4半導体領域14の、第1電極21及び第1絶縁膜31に対する位置精度は高い。セルピッチが縮小したときにおいても、電流経路の幅の変動が小さい。例えば、蓄積抵抗の低減が容易になる。
【0113】
上記の製造方法により第4半導体領域14が形成される場合、第4半導体領域14は、第2導電形の不純物、及び、第1導電形の不純物を含む。例えば、第4半導体領域14は、III族元素及びV族元素を含む。
【0114】
例えば、半導体装置110において、第1不純物濃度(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)と、第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度(第3不純物濃度)と、の差を第1差とする。第1不純物濃度は、第3不純物濃度よりも高い。
【0115】
一方、第1半導体領域11(第1部分領域11a)は、第1導電形の不純物を含み、第2導電形の不純物を含まなくても良い。第1半導体領域11(第1部分領域11a)が、第1導電形の不純物に加えて、第2導電形の不純物を含む場合において、第2不純物濃度(第1部分領域11aにおける第1導電形の不純物濃度)と、第1部分領域11aにおける第2導電形の不純物濃度(第4不純物濃度)と、の差を第2差とする。第2不純物濃度は、第4不純物濃度よりも高い。
【0116】
実施形態において、第1差は、第2差よりも大きい。第1差は、例えば、第2差の10倍以上60倍以下である。
【0117】
(第2の実施形態)
図10(a)及び図10(b)は、第2の実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図10(a)は、図10(b)に示すB1−B2線による断面に相当する断面図である。図1(b)は、図1(a)のA1−A2線で切断したときの斜視図である。
【0118】
図10(a)及び図10(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置120は、第1〜第4半導体領域11〜14、第1電極21、及び、第1絶縁膜31に加えて、第5半導体領域15をさらに含む。これ以外は、半導体装置110と同様である。例えば、半導体装置120は、第6半導体領域16、第7半導体領域17、第2電極22、第3電極23及び第2絶縁膜32をさらに含んでも良い。以下、第5半導体領域15について説明する。半導体装置110と同様の部分については、説明を省略する。
【0119】
半導体装置120において、第5半導体領域15は、第2方向D2(例えばZ軸方向)において、第2部分領域11bと第1絶縁膜31との間に設けられる。第5半導体領域15は、第1導電形(例えばn形)である。第5半導体領域15は、第1電極21の下に設けられる。第5半導体領域15は、例えば、炭化珪素を含む。
【0120】
第5半導体領域15における第1導電形の不純物濃度は、第2部分領域11bにおける第1導電形の不純物濃度よりも高い。第5半導体領域15における第1導電形の不純物濃度は、第1不純物濃度(第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度)よりも低くても良い。
【0121】
第5半導体領域15における第2導電形の不純物濃度は、例えば、1×1015/cm以上4×1017/cm以下である。第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度は、例えば、1×1017/cm以上5×1018/cm以下である。第1半導体領域11(例えば、第1部分領域11a)における第2導電形の不純物濃度は、例えば、1×1015/cm以上8×1016/cm以下である。
【0122】
このような半導体装置120においても、低いオン抵抗が得られる。さらに、実施形態においては、セルピッチの縮小が容易であるので、さらに低いオン抵抗が得られる。
【0123】
例えば、既に説明したように、第3半導体領域13は、第5部分領域13eを含む。第5部分領域13eは、第2方向D2(例えばZ軸方向)において第4部分領域13dと第1部分領域11aとの間に設けられる。第5部分領域13eは、第1方向D1(例えばX軸方向)において、第5半導体領域15と重なる。
【0124】
例えば、第5半導体領域15は、第2導電形の不純物を含んでも良い。例えば、第5半導体領域15は、III族元素及びV族元素を含んでも良い。例えば、第5半導体領域15における第1導電形の不純物濃度と、第5半導体領域15における第2導電形の不純物濃度と、の差は、第1部分領域11aにおける第1導電形の不純物濃度と、第1部分領域11aにおける第2導電形の不純物濃度と、の差よりも大きい。
【0125】
以下、半導体装置120の製造方法の例について説明する。
半導体装置120の製造方法において、半導体装置110の製造方法の少なくとも一部が適用されても良い。
【0126】
図11(a)〜図11(e)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図11(a)に示すように、積層体SBを準備する。積層体SBは、基板17sの上に設けられた第1導電形の第1半導体膜11Fと、第1半導体膜11Fの上に設けられた第2導電形の第3半導体膜13Fと、第3半導体膜13Fの上に設けられた第1導電形の第2半導体膜12Fと、を含む。基板17sは、例えば、第7半導体領域17となる。基板17s、及び、上記半導体膜は、例えば、炭化珪素を含む。例えば、第3半導体膜13Fは、第5部分領域13e、第4部分領域13d及び第3部分領域13cを含む。この例では、積層体SBは、第6半導体領域16をさらに含む。
【0127】
図11(b)に示すように、積層体SBに、第2半導体膜12FからトレンチT1を形成する。
【0128】
図11(c)に示すように、第3半導体膜13Fの側面は、下側部分13bpを有する。この下側部分13bpは、トレンチT1の側壁において露出する。第3半導体膜13Fの側面のこの下側部分13bpに、第1導電形(例えばn形)の不純物I1を導入する。この導入は、例えば、イオン注入を含む。
【0129】
図11(d)に示すように、トレンチT1は、底部Tb1を有する。例えば、第3半導体膜13Fの一部(例えば、第5部分領域13e)は、底部Tb1において露出している。トレンチT1の底部Tb1に、第1導電形の不純物I2を導入する。これにより、底部Tb1に対応する第5部分領域13eの一部は、第1導電形となる。この部分が、第5半導体領域15となる。不純物I2が実質的に導入されない領域は、第3半導体領域13の一部となる。
【0130】
図11(c)及び図11(d)に示すように、不純物I1の導入方向と、第2方向D2(積層体SBの積層方向)と、の間の角度は、不純物I2の導入方向と、第2方向D2と、の間の角度よりも小さい。このような不純物I1の導入により、第4半導体領域14が形成され易くなる。このような不純物I2の導入により、第5半導体領域15が形成され易くなる。第4半導体領域14の形成と、第5半導体領域15の形成と、が互いに実質的に独立して行われる。これらの半導体領域の形成の制御性が高まる。
【0131】
図11(e)に示すように、下側部分13bpへの不純物I1の導入の後に、トレンチT1の表面に第1絶縁膜31を形成する。さらに、第1絶縁膜31の形成の後に、トレンチT1の残余の空間に導電材料を導入して、第1電極21を形成する。
【0132】
この後、第2絶縁膜32、第2電極22及び第3電極23を形成する。これにより、半導体装置120が製造できる。
【0133】
このように、上記の製造方法においては、第1絶縁膜31の形成の前に、トレンチT1の底部Tb1に第1導電形の不純物を導入する。これにより、第5半導体領域15が形成できる。
【0134】
上記の製造方法によれば、オン抵抗を低減できる半導体装置の製造方法を提供できる。
【0135】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、本実施形態に係る半導体装置130は、第1〜第4半導体領域11〜14、第1電極21、及び、第1絶縁膜31に加えて、第7半導体領域17Aを含む。これ以外は、半導体装置110と同様である。例えば、半導体装置130は、第6半導体領域16、第2電極22、第3電極23及び第2絶縁膜32をさらに含んでも良い。半導体装置130における第7半導体領域17Aは、第2導電形である。これ以外は、半導体装置110と同様である。
【0136】
図13は、第3の実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13に示すように、本実施形態に係る半導体装置140は、第1〜第4半導体領域11〜14、第1電極21、及び、第1絶縁膜31に加えて、第5半導体領域15をさらに含む。これ以外は、半導体装置130と同様である。例えば、半導体装置140は、第6半導体領域16、第7半導体領域17A、第2電極22、第3電極23及び第2絶縁膜32をさらに含んでも良い。
【0137】
半導体装置130及び140において、第7半導体領域17Aは、例えば、第2導電形の基板である。第7半導体領域17Aは、第3電極23と第1半導体領域11との間に設けられる。
【0138】
半導体装置130及び140は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。半導体装置130及び140においても、オン抵抗を低減できる半導体装置が提供できる。
【0139】
半導体装置130は、例えば、図9(a)〜図9(d)に関して説明した製造方法を適宜変更して製造することができる。半導体装置140は、例えば、図11(a)〜図11(e)に関して説明した製造方法を適宜変更して製造することができる。
【0140】
実施形態によれば、オン抵抗を低減できる半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【0141】
実施形態において、不純物濃度に関する情報は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。上記において、例えば、キャリア濃度に関する情報をSCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得て、キャリア濃度に基づいて不純物濃度を得ても良い。
【0142】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0143】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0144】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体領域、電極及び絶縁膜などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0145】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0146】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0147】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0148】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0149】
11〜17…第1〜第7半導体領域、 11F〜13F…第1〜第3半導体膜、 11a…第1部分領域、 11b…第2部分領域、 13bp…下側部分、 13c…第3部分領域、 13d…第4部分領域、 13e…第5部分領域、 14p…第1部分、 14q…第2部分、 17A…第7半導体領域、 17s…基板、 21〜23…第1〜第3電極、 31…第1絶縁膜、 31a…第1絶縁領域、 31b…第2絶縁領域、 32…第2絶縁膜、 110、111、120、130、140…半導体装置、 C1…第1不純物濃度、 C13d…不純物濃度、 D1〜D3…第1〜第3方向、 I1、I2…不純物、 Lw4…幅パラメータ、 M1、M2…マスク、 R1…抵抗、 RC…濃度パラメータ、 RonA…特性オン抵抗、 SB…積層体、 T1…トレンチ、 Tb1…底部、 Vb…耐圧、 d31…長さ、 ta、tb、tc、td、te…長さ、 w21、w31…長さ、 w4…厚さ
図1
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