特許第6952851号(P6952851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6952851
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】吸引器用コントローラ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20211018BHJP
   A24F 40/90 20200101ALI20211018BHJP
【FI】
   A24F40/53
   A24F40/90
【請求項の数】22
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-150102(P2020-150102)
(22)【出願日】2020年9月7日
【審査請求日】2020年9月7日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒舘 卓央
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−214258(JP,A)
【文献】 特開2020−058237(JP,A)
【文献】 国際公開第2020/059049(WO,A1)
【文献】 特表2019−525747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引器用コントローラであって、
第1ラインに接続された正極および第2ラインに接続された負極を有する電源と、
前記電源の前記正極から前記第1ラインを通して供給され、前記第2ラインを通して前記電源の前記負極に戻る電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、
前記電源から前記第1ラインを通して供給され、前記第2ラインを通して前記電源の前記負極に戻る電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、
前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、
を備えることを特徴とする吸引器用コントローラ。
【請求項2】
前記検出部は、更に、前記電源へ供給される電流を検出し、
前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源の充電を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項3】
前記電源を充電する充電回路を更に備え、
前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記充電回路を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記検出結果が異常を示している場合に、前記充電回路による前記電源の充電を停止させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源から前記ヒータへの放電を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項6】
前記電源から供給される電圧を受けて、前記エアロゾル源が加熱されるように前記ヒータを駆動するための駆動電圧を発生する第1レギュレータと、
前記電源から供給される電圧を受けて、前記ヒータの抵抗を測定するための測定電圧を発生する第2レギュレータと、を更に備え、
前記プロセッサは、前記検出結果が異常を示している場合に、前記第1レギュレータおよび前記第2レギュレータの動作を停止させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記検出結果が異常を示している場合に、前記電源から前記ヒータへの放電を停止する、
ことを特徴とする請求項5に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項8】
前記検出部は、第1抵抗を含み、
前記監視部は、第2抵抗を含み、
前記第1抵抗および前記第2抵抗は、前記電源の正極から負極に至る経路に直列に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項9】
前記第1抵抗および前記第2抵抗は、前記電源の前記正極から流出した電流が前記ヒータを通った後に前記第1抵抗および前記第2抵抗を通るように配置されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項10】
前記保護回路は、前記監視部による監視結果が異常を示している場合に、前記電源をから供給される電流と前記電源へ供給される電流を遮断する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項11】
前記検出部は、更に、前記電源へ供給される電流を検出し、
前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源の充電を停止させ、
前記保護回路は、前記監視結果に基づいて前記電源の充電を停止させ、
前記プロセッサが前記電源の充電を停止させる条件と前記保護回路が前記電源の充電を停止させる条件とが互いに異なる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項12】
前記保護回路は、前記電源の充電電流値が第1閾値を第1時間にわたる監視において超えた場合、および、前記充電電流値が前記第1閾値より小さい第2閾値を前記第1時間より長い第2時間にわたる監視において超えた場合において前記電源の充電を停止させ、
前記プロセッサは、前記充電電流値が前記第1閾値より小さく前記第2閾値より大きい第3閾値を前記第1時間より短い第3時間にわたる検出において超えた場合、および、前記充電電流値が前記第2閾値より小さい第4閾値を前記第1時間より長く前記第2時間より短い第4時間にわたる検出において超えた場合において前記電源の充電を停止させる、
ことを特徴とする請求項11に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項13】
前記第2時間および前記第4時間は、1回のエアロゾル要求動作に応答して前記ヒータに対して前記電源から電流が供給され得る時間より長い、
ことを特徴とする請求項12に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源の放電を停止させ、
前記保護回路は、前記監視結果に基づいて前記電源の放電を停止させ、
前記プロセッサが前記電源の放電を停止させる条件と前記保護回路が前記電源の放電を停止させる条件とが互いに異なる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項15】
前記保護回路は、前記電源の放電電流値が第5閾値を第5時間にわたる監視において超えた場合、および、前記放電電流値が前記第5閾値より小さい第6閾値を前記第5時間より長い第6時間にわたる監視において超えた場合において前記電源の放電を停止させ、
前記プロセッサは、前記放電電流値が前記第5閾値より小さく前記第6閾値より大きい第7閾値を前記第5時間より短い第7時間にわたる検出において超えた場合、および、前記放電電流値が前記第6閾値より小さい第8閾値を前記第5時間より長く前記第6時間より短い第8時間にわたる検出において超えた場合において前記電源の放電を停止させる、
ことを特徴とする請求項14に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項16】
前記第6時間および前記第8時間は、1回のエアロゾル要求動作に応答して前記ヒータに対して前記電源から電流が供給され得る時間より長い、
ことを特徴とする請求項15に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項17】
記第1ラインおよび前記第2ラインは、前記電源を構成要素とする閉回路の一部を構成するように配置され、
前記保護回路は、前記第2ラインを遮断可能に前記第2ラインに配置されたスイッチを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項18】
前記第2ラインにおける前記負極と前記スイッチとの間に一端が接続されたサーミスタを更に備え、
前記サーミスタの他端は、前記サーミスタの抵抗値に依存する電圧が前記プロセッサに供給されるように配置される、
ことを特徴とする請求項17に記載の吸引器用コントローラ。
【請求項19】
吸引器用コントローラであって、
電源と、
前記電源から供給される電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、
前記電源から供給される電流及び/又は前記電源へ供給される電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、
前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、
前記電源から供給される電圧を受けて、前記エアロゾル源が加熱されるように前記ヒータを駆動するための駆動電圧を発生する第1レギュレータと、
前記電源から供給される電圧を受けて、前記ヒータの抵抗を測定するための測定電圧を発生する第2レギュレータと、を備え、
前記プロセッサは、前記検出結果が異常を示している場合に、前記第1レギュレータおよび前記第2レギュレータの動作を停止させる、
ことを特徴とする吸引器用コントローラ。
【請求項20】
吸引器用コントローラであって、
電源と、
前記電源から供給される電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、
前記電源から供給される電流及び/又は前記電源へ供給される電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、
前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、を備え、
前記検出部は、第1抵抗を含み、
前記監視部は、第2抵抗を含み、
前記第1抵抗および前記第2抵抗は、前記電源の正極から負極に至る経路に直列に配置されている、
ことを特徴とする吸引器用コントローラ。
【請求項21】
吸引器用コントローラであって、
電源と、
前記電源から供給される電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、
前記電源から供給される電流及び/又は前記電源へ供給される電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、
前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、を備え、
前記保護回路は、前記電源の充電電流値が第1閾値を第1時間にわたる監視において超えた場合、および、前記充電電流値が前記第1閾値より小さい第2閾値を前記第1時間より長い第2時間にわたる監視において超えた場合において前記電源の充電を停止させ、
前記プロセッサは、前記充電電流値が前記第1閾値より小さく前記第2閾値より大きい第3閾値を前記第1時間より短い第3時間にわたる検出において超えた場合、および、前記充電電流値が前記第2閾値より小さい第4閾値を前記第1時間より長く前記第2時間より短い第4時間にわたる検出において超えた場合において前記電源の充電を停止させる、
ことを特徴とする吸引器用コントローラ。
【請求項22】
吸引器用コントローラであって、
電源と、
前記電源から供給される電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、
前記電源から供給される電流及び/又は前記電源へ供給される電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、
前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、を備え、
前記保護回路は、前記電源の放電電流値が第5閾値を第5時間にわたる監視において超えた場合、および、前記放電電流値が前記第5閾値より小さい第6閾値を前記第5時間より長い第6時間にわたる監視において超えた場合において前記電源の放電を停止させ、
前記プロセッサは、前記放電電流値が前記第5閾値より小さく前記第6閾値より大きい第7閾値を前記第5時間より短い第7時間にわたる検出において超えた場合、および、前記放電電流値が前記第6閾値より小さい第8閾値を前記第5時間より長く前記第6時間より短い第8時間にわたる検出において超えた場合において前記電源の放電を停止させる、
ことを特徴とする吸引器用コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引器用コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御部と、充電検出スイッチ部と、放電検出スイッチ部と、バッテリーと、インターフェースを有する電子シガレットが記載されている。制御部は、充電検出スイッチ部からの信号に基づいてインターフェースに対する入力電圧が過剰であるかどうかを判断し、その判断に基づいて充電検出スイッチ部を制御する。また、制御部は、放電検出スイッチ部からの信号に基づいて放電電流が過剰であるかどうかを判断し、その判断に基づいて放電検出スイッチ部を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2015/0036250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸引器は、仕様範囲の限界付近の環境下で使用されうるし、意図せずに仕様範囲から逸脱した環境下で使用される可能性もある。また、吸引器に搭載された二次電池の性能が経年劣化によって低下してくると、極端な環境下での使用はその経年劣化を加速させうる。従来から二次電池の充電および/または放電の監視がなされてきているが、それは単純かつ脆弱なものであったと言えるかもしれない。
【0005】
本発明の1つの側面は、吸引器の保護機能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、吸引器用コントローラに係り、前記吸引器用コントローラは、第1ラインに接続された正極および第2ラインに接続された負極を有する電源と、前記電源の前記正極から前記第1ラインを通して供給され、前記第2ラインを通して前記電源の前記負極に戻る電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、前記電源から前記第1ラインを通して供給され、前記第2ラインを通して前記電源の前記負極に戻る電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、を備える。
明細書に記載された発明の1つの側面は、吸引器用コントローラに係り、前記吸引器用コントローラは、電源と、前記電源から供給される電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、前記電源から供給される電流及び/又は前記電源へ供給される電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、を備える。
【0007】
前記検出部は、前記電源へ供給される電流を検出しうる。また、前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源の充電を制御しうる。
【0008】
前記吸引器用コントローラは、前記電源を充電する充電回路を更に備えうる。前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記充電回路を制御しうる。
【0009】
前記プロセッサは、前記検出結果が異常を示している場合に、前記充電回路による前記電源の充電を停止させうる。
【0010】
前記検出部は、前記電源から供給される電流を検出しうる。また、前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源から前記ヒータへの放電を制御しうる。
【0011】
前記吸引器用コントローラは、前記電源から供給される電圧を受けて、前記エアロゾル源が加熱されるように前記ヒータを駆動するための駆動電圧を発生する第1レギュレータと、前記電源から供給される電圧を受けて、前記ヒータの抵抗を測定するための測定電圧を発生する第2レギュレータと、を更に備えうる。前記プロセッサは、前記検出結果が異常を示している場合に、前記第1レギュレータおよび前記第2レギュレータの動作を停止させうる。
【0012】
前記プロセッサは、前記検出結果が異常を示している場合に、前記電源から前記ヒータへの放電を停止しうる。
【0013】
前記検出部は、第1抵抗を含み、前記監視部は、第2抵抗を含みうる。前記第1抵抗および前記第2抵抗は、前記電源の正極から負極に至る経路に直列に配置されうる。
【0014】
前記第1抵抗および前記第2抵抗は、前記電源の前記正極から流出した電流が前記ヒータを通った後に前記第1抵抗および前記第2抵抗を通るように配置されうる。
【0015】
前記保護回路は、前記監視部による監視結果が異常を示している場合に、前記電源をから供給される電流と前記電源へ供給される電流を遮断しうる。
【0016】
前記検出部は、前記電源へ供給される電流を検出しうる。前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源の充電を停止させうる。前記保護回路は、前記監視結果に基づいて前記電源の充電を停止させうる。前記プロセッサが前記電源の充電を停止させる条件と前記保護回路が前記電源の充電を停止させる条件とが互いに異なりうる。
【0017】
前記保護回路は、前記電源の充電電流値が第1閾値を第1時間にわたる監視において超えた場合、および、前記充電電流値が前記第1閾値より小さい第2閾値を前記第1時間より長い第2時間にわたる監視において超えた場合において前記電源の充電を停止させうる。前記プロセッサは、前記充電電流値が前記第1閾値より小さく前記第2閾値より大きい第3閾値を前記第1時間より短い第3時間にわたる検出において超えた場合、および、前記充電電流値が前記第2閾値より小さい第4閾値を前記第1時間より長く前記第2時間より短い第4時間にわたる検出において超えた場合において前記電源の充電を停止させうる。
【0018】
前記検出部は、前記電源から供給される電流を検出しうる。前記プロセッサは、前記検出結果に基づいて前記電源の放電を停止させうる。前記保護回路は、前記監視結果に基づいて前記電源の放電を停止させうる。前記プロセッサが前記電源の放電を停止させる条件と前記保護回路が前記電源の放電を停止させる条件とは、互いに異なりうる。
【0019】
前記保護回路は、前記電源の放電電流値が第1閾値を第1時間にわたる監視において超えた場合、および、前記放電電流値が前記第1閾値より小さい第2閾値を前記第1時間より長い第2時間にわたる監視において超えた場合において前記電源の放電を停止させうる。前記プロセッサは、前記放電電流値が前記第1閾値より小さく前記第2閾値より大きい第3閾値を前記第1時間より短い第3時間にわたる検出において超えた場合、および、前記放電電流値が前記第2閾値より小さい第4閾値を前記第1時間より長く前記第2時間より短い第4時間にわたる検出において超えた場合において前記電源の放電を停止させうる。
【0020】
前記第2時間および前記第4時間は、1回のエアロゾル要求動作に応答して前記ヒータに対して前記電源から電流が供給され得る時間より長くてよい。
【0021】
前記吸引器用コントローラは、前記電源の正極に接続された第1ラインと、前記電源の負極に接続された第2ラインと、を更に備えうる。
【0022】
前記第1ラインおよび前記第2ラインは、前記電源を構成要素とする閉回路の一部を構成するように配置されうる。前記保護回路は、前記第2ラインを遮断可能に前記第2ラインに配置されたスイッチを含みうる。
【0023】
前記吸引器用コントローラは、前記第2ラインにおける前記負極と前記スイッチとの間に一端が接続されたサーミスタを更に備えうる。前記サーミスタの他端は、前記サーミスタの抵抗値に依存する電圧が前記プロセッサに供給されるように配置されうる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の1つの側面によれば、吸引器の保護機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態の吸引器の構成を模式的に示す図。
図2図1に示される吸引器におけるコントローラの電気部品の構成例を示す図。
図3図2の電気部品の構成及び動作を説明するための図。
図4図2の電気部品の構成及び動作を説明するための図。
図5図2の電気部品の構成及び動作を説明するための図。
図6図2の電気部品の構成及び動作を説明するための図。
図7図2の電気部品の構成及び動作を説明するための図。
図8図2の電気部品の構成及び動作を説明するための図。
図9】一実施形態の吸引器におけるヒータの温度制御を例示する図。
図10】電源の保護に関する保護回路の動作を例示する図。
図11】電源の保護に関するプロセッサの動作を例示する図。
図12】電源の保護に関する基準を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0027】
図1には、一実施形態の吸引器100の構成が模式的に示されている。吸引器100は、エアロゾル生成装置として構成されうる。吸引器100は、ユーザによる吸引動作などのようにエアロゾルを要求する動作(以下、エアロゾル要求動作ともいう)に応じて、エアロゾルを含む気体、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体、または、エアロゾル、または、香味物質を含むエアロゾルが吸口部130を通してユーザに提供されるように構成されうる。吸引器100は、コントローラ102と、霧化器104とを備えうる。吸引器100は、霧化器104を取り外し可能な状態で保持する保持部103を備えうる。コントローラ102は、吸引器用コントローラとして理解されてもよい。霧化器104は、エアロゾル源を霧化するように構成されうる。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール等の多価アルコール等の液体でありうる。あるいは、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。エアロゾル源は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、液体および固体の混合物であってもよい。エアロゾル源に代えて、水等の蒸気源が用いられてもよい。
【0028】
吸引器100は、香味源131を含むカプセル106を更に備えてもよく、霧化器104は、カプセル106を取り外し可能な状態で保持するカプセルホルダ105を含みうる。カプセルホルダ105は、霧化器104ではなくコントローラ102に含められていてもよい。香味源131は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源131は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源131は、エアロゾル源に添加されてもよい。吸引器100又は霧化器104がカプセルホルダ105を含む構成に代えて、霧化器104とカプセルホルダ105を一体としてもよい。
【0029】
コントローラ102は、電気部品110を含みうる。電気部品110は、ユーザインターフェース116を含みうる。あるいは、コントローラ102は、電気部品110およびユーザインターフェース116を含むものとして理解されてもよい。ユーザインターフェース116は、例えば、表示部DISP(例えば、LED等の発光素子、および/または、LCD等の画像表示器)、および/または、操作部OP(例えば、ボタンスイッチ等のスイッチ、および/または、タッチディスプレイ)を含みうる。表示部DISPは、情報を報知する報知部として理解されてもよい。
【0030】
コントローラ102の保持部103は、第1電気接点C1および第2電気接点C2を含みうる。保持部103によって霧化器104が保持された状態において、保持部103の第1電気接点C1は、霧化器104の第3電気接点C3に接し、また、保持部103の第2電気接点C2は、霧化器104の第4電気接点C4に接しうる。コントローラ102は、第1電気接点C1および第2電気接点C2を通して霧化器104に電力を供給しうる。
【0031】
霧化器104は、前述の第3電気接点C3および第4電気接点C4を含みうる。また、霧化器104は、エアロゾル源を加熱するヒータHTと、エアロゾル源を保持する容器125と、容器125によって保持されたエアロゾル源をヒータHTによる加熱領域に輸送し且つ当該加熱領域でエアロゾル源を保持する輸送部(ウィック)126とを含みうる。該加熱領域の少なくとも一部は、霧化器104内に設けられた流路128に配置されうる。第1電気接点C1、第3電気接点C3、ヒータHT、第4電気接点C4および第2電気接点C2は、ヒータHTに電流を流すための電流経路を形成する。輸送部126は、例えば、ガラス繊維のような繊維素材またはセラミックのような多孔質素材またはこれらの組合せで構成されうる。なお、容器125に保持されたエアロゾル源を加熱領域に輸送する手段は、ウィックに限られず、スプレーのような噴霧装置またはポンプのような輸送手段が代わりに用いられてもよい。
【0032】
霧化器104は、前述のように、カプセル106を取り外し可能に保持するカプセルホルダ105を含むことができる。カプセルホルダ105は、一例において、カプセル106の一部をカプセルホルダ105内または霧化器104内に収容し、他の一部を露出させるようにカプセル106を保持しうる。ユーザは、吸口部130を口で銜えて、エアロゾルを含有する気体を吸引することができる。このように、取り外し可能なカプセル106に吸口部130が備えられることで、吸引器100を清潔に保つことができる。
【0033】
ユーザが吸口部130を銜えて吸引動作を行うと、矢印で例示されるように、不図示の開口を通じて霧化器104の流路128に空気が流入し、ヒータHTがエアロゾル源を加熱することによって蒸気化及び/又はエアロゾル化されたエアロゾル源がその空気によって吸口部130に向けて輸送される。吸口部130に向けて輸送される過程において、蒸気化及び/又はエアロゾル化されたエアロゾル源が冷却されて微小な液滴が形成されることで、エアロゾル化が促進されうる。そして、香味源131が配置されている構成においては、そのエアロゾルに香味源131が発生する香味物質が添加されて吸口部130に輸送され、ユーザの口に吸い込まれる。香味源131が発生する香味物質はエアロゾルに添加されるため、ユーザの口腔内に留まらず、効率的にユーザの肺まで効率的に香味物質を輸送することができる。
【0034】
図2には、コントローラ102の電気部品110の構成例が示されている。電気部品110は、例えば、電源BAT、保護回路16、17、制御回路CC、第1電圧変換器11、第2電圧変換器(第2レギュレータ)12、第3電圧変換器(第1レギュレータ)13、第1スイッチQ1、第2スイッチQ2、第1トランジスタ(第3スイッチ)Q3、第2トランジスタ(第4スイッチ)Q4、測定回路MC、プラグPGおよびブリッジ回路BCを含みうる。なお、雄型(凸型)であるプラグPGに代えて雌型(凹型)であるレセプタクルを用いてもよい。制御回路CCは、コントローラ102の動作を制御するように構成される。制御回路CCは、例えば、プロセッサ14と、LEDドライバ18と、LED19と、スイッチ20と、パフセンサ21と、タッチセンサ22とを含みうる。電源BATには、例えば、リチウムイオン二次電池を用いてもよいし、リチウムイオンキャパシタを用いてもよいし、これらの組合せを用いてもよいし、他のタイプの電力供給素子を用いてもよい。
【0035】
プロセッサ14は、例えば、MCUで構成されうる。LEDドライバ18およびLED19は、前述の表示部DISPの全部または一部を構成しうる。LED19は、表示器の一例であり、LEDドライバ18は、プロセッサ14からの指令に従ってLED19を駆動しうる。パフセンサ21は、ユーザによるパフ動作を検出しうる。パフセンサ21は、例えば、マイクロフォンコンデンサ、流量センサ、あるいは、1つ又は複数の圧力センサなどから構成されてもよい。タッチセンサ22は、前述の操作部OPの全部または一部を構成しうる。コントローラ102は、プラグPGを介して外部電源EBから電力の供給を受けうる。また、コントローラ102は、スイッチ20およびプラグPGを介して、外部電源EBを有する外部装置(不図示)と通信しうる。プロセッサ14は、SDA(Serial DAta、シリアルデータ)ラインとSCL(Serial CLock、シリアルクロック)ラインを用いたシリアル通信の一種であるIC通信等の通信インターフェースによってLEDドライバ18、スイッチ20、パフセンサ21および第3電圧変換器13と通信しうる。なお、通信インターフェースは、IC通信に限られず、代わりにUART通信またはSPI通信といった他のシリアル方式の通信インターフェースを用いてもよい。スイッチ20は、イネーブル端子ENを有し、該イネーブル端子ENには、プラグPGを介して外部装置から保護回路16を介して与えられる電圧を抵抗R4、R3で分圧した電圧が供給されうる。スイッチ20は、そのイネーブル端子ENに供給される電圧が所定レベルを超えると、プロセッサ14、LEDドライバ18、スイッチ20、パフセンサ21および第3電圧変換器13間の通信インターフェースとプラグPGに接続される外部装置とを接続状態(通信可能状態)にしうる。他の観点において、スイッチ20は、そのイネーブル端子ENに供給される電圧が所定レベルを超えると、プロセッサ14とプラグPGに接続される外部装置とを接続状態(通信可能状態)にしうる。
【0036】
1つの側面において、コントローラ102の電気部品110は、第1経路P1と、第2経路P2と、測定回路MCとを備えうる。第1経路P1は、第1電圧V1が供給される第1電圧端子T1と、霧化器104のエアロゾル源を加熱するヒータHTが接続される接続端子C1とを電気的に接続する。第2経路P2は、第1電圧V1とは異なる第2電圧V2が供給される第2電圧端子T2と、接続端子C1とを抵抗Rを介して電気的に接続する。測定回路MCは、ヒータHTの抵抗値RHTRを測定する。第1電圧V1は、ヒータHTを加熱させるための電圧であり、第2電圧V2は、ヒータHTの抵抗値RHTRを測定するための電圧である。ヒータHTが自身の温度に応じて抵抗値RHTRが変化する正又は負の温度係数特性を有していれば、ヒータHTの抵抗値RHTRは自身の温度と強い相関を有する。換言すれば、プロセッサ14は、測定回路MCを使ってヒータHTの抵抗値RHTRを取得することで、ヒータHTの温度を取得することができる。ヒータHTの温度を制御することは、吸引器100が意図した香味を持つエアロゾルをユーザに送達することに密接に関係するため、重要である。プロセッサ14は、ヒータHTの抵抗値RHTRを測定する測定回路MCの出力に基づいて、ヒータHTの温度が目標値又は目標範囲に収束するように、第1経路P1を流れる電流を制御してもよい。また、プロセッサ14は、ヒータHTの抵抗値RHTRを測定する測定回路MCの出力に基づいて、ヒータHTの温度が閾値を越える場合には、第1経路P1を流れる電流を遮断してもよい。
【0037】
このような構成によれば、ヒータHTを加熱させるための第1電圧V1が変更された場合においても、ヒータHTの抵抗値RHTRを測定するための第2電圧V2が影響を受けない。よって、第1電圧V1が変更された場合においても、ヒータHTの抵抗値RHTRを測定する処理が影響を受けない。つまり、エアロゾル源を加熱するためのヒータHTに供給される電圧の変更に対する寛容性が向上しうる。第1電圧V1の変更は、後述のように、加熱強度を示す情報に従ってなされうる。第1電圧V1の変更は、あるいは、吸引器100の設計あるいは使用の変更によってなされうる。
【0038】
第1電圧V1は、例えば、第3電圧変換器(第1レギュレータ)13によって提供されうる。第3電圧変換器13は、例えば、電源BATから供給される電圧を使って第1電圧V1を生成しうる。第3電圧変換器13は、例えば、昇降圧DC/DCコンバータで構成されうる。該昇降圧DC/DCコンバータは、ICチップとそれに接続される幾つかの素子(例えば、コイル、トランジスタ、ダイオード等)によって構成されてもよい。第3電圧変換器13は、例えば、ユーザから指令される加熱強度(ヒータHTによるエアロゾル源の加熱強度)に応じた第1電圧V1を発生するように構成されうる。ここで、加熱強度を示す情報は、タッチセンサ22を含む操作部OPを介して、または、プラグPGに接続された外部装置を介して、ユーザからプロセッサ14に提供されてよく、プロセッサ14は、その情報に応じた電圧値を示す指令値を第3電圧変換器13に送信するように構成されてよい。加熱強度を示す情報は、例えば、加熱強度が互いに異なる複数のモードのいずれかがユーザによって選択されることによって特定されうる。第1電圧V1は、例えば、2.5Vより大きい電圧でありうるが、これに限定されるものではない。昇降圧DC/DCコンバータに代えて、昇圧DC/DCコンバータ又は降圧DC/DCコンバータによって第3電圧変換器13が構成されてもよい。ただし、さまざまな加熱強度を実現するためには、生成可能な第1電圧V1の範囲が最も広い昇降圧DC/DCコンバータによって第3電圧変換器13を構成することがより好ましい。なお、要求される加熱強度や利用されるヒータHTに拠っては、昇圧DC/DCコンバータ又は降圧DC/DCコンバータによって第3電圧変換器13を構成し、変換効率の向上や実装面積の低減を図ってもよい。
【0039】
第2電圧V2は、例えば、第2電圧変換器(第2レギュレータ)12によって提供されうる。第2電圧変換器12は、例えば、電源BATから供給される電圧を使って第2電圧V2を生成しうる。第2電圧変換器12は、例えば、LDO(Low DropOut)で構成されうる。第2電圧V2は、例えば、2.5Vでありうるが、これに限定されるものではない。LDOに代えて前述したDC/DCコンバータのようなスイッチングレギュレータによって第2電圧変換器12が構成されてもよい。ただし、第3電圧変換器13のように加熱強度に応じて生成する電圧の値を変えるという要求が存在せず、寧ろヒータHTの抵抗値RHTRを安定的に測定するためには固定された第2電圧V2を生成することが好ましい。この点を踏まえると、前述したコイル、トランジスタ、ダイオード等が不要なために小規模且つ低コストを実現しやすいLDOによって第2電圧変換器12が構成されてもよい。なお、LDOは供給される電圧(電力)と出力する電圧(電力)の差分を熱として捨てるため、LDOはDC/DCコンバータと比べて大電流を扱うことが難しい。第2経路P2を流れる電流は第1経路P1を流れる電流より小さいため、第2電圧変換器12としてLDOを用いることができるとも言える。
【0040】
プロセッサ14は、第3電圧変換器(第1レギュレータ)13および第2電圧変換器(第2レギュレータ)12を共通のイネーブル信号EN2で制御するように構成されうる。換言すると、第3電圧変換器13および第2電圧変換器12を同時に起動し、第3電圧変換器13および第2電圧変換器12の動作を同時に停止させうる。このような構成とすることで、基板規模の増大や配線の複雑化を抑制しつつ、第3電圧変換器13および第2電圧変換器12の起動と停止を簡易に行うことができる。なお、第3電圧変換器13が第1電圧V1を生成するタイミングと第2電圧変換器12が第2電圧V2を生成するタイミングとが近接又は重なるため、第3電圧変換器13の動作と第2電圧辺変換器12の動作とを同期させることに、消費電力の観点からは弊害が殆ど無い点にも留意されたい。
【0041】
測定回路MCは、第2経路P2と、ヒータHTと直列に接続されたシャント抵抗Rとを含みうる。ヒータHTと異なり、シャント抵抗Rの抵抗値は温度に対し殆ど不変でありうる。また、測定回路MCは、ヒータHTに印加される電圧VHTRを検出する差動増幅器15を含みうる。差動増幅器15は、ヒータHTによる電圧降下を検出するように配置されうる。ここで、シャント抵抗Rの抵抗値をその参照符号と同様にRと標記する。差動増幅器15は、接続端子C1の電圧に応じた電圧が供給される第1入力端子(例えば、非反転入力端子)、所定電圧が供給される第2入力端子(反転入力端子)、および、出力端子を有しうる。該第1入力端子には、保護素子PEが接続されうる。保護素子PEは、例えば、該第1入力端子に対して第2電圧V2を超える電圧が供給されることを防止するように構成されうる。保護素子PEは、例えば、ツェナーダイオードまたはバリスタを含みうる。
【0042】
第2経路P2には、シャント抵抗RおよびヒータHTと直列に第2スイッチQ2が直列に配置されうる。電気部品110は、例えば、第1電圧V1と第2電圧V2との差によって第1経路P1と第2経路P2との間で流れる電流を遮断する遮断部BEを備えうる。後述するように第1スイッチQ1をオン状態にする期間と第2スイッチQ2をオン状態にする期間とが互いに重複する期間を有する場合は、第1経路P1から第2経路P2へ電流が流れ込む虞があるため、遮断部BEによって第2電圧変換器12などを保護することができる。遮断部BEは、ダイオード等の整流素子を含みうる。該整流素子は、第2電圧端子T2から接続端子C1に向かって順方向となるように配置されうる。第2スイッチQ2は、プロセッサ14が発生する制御信号によって制御されうる。差動増幅器15の電源端子(受電端子)には、第2電圧端子T2と遮断部BEとの間のノードから電圧が供給されうる。このように差動増幅器15の電源端子へ供給される電圧は、遮断部BEの順方向電圧降下の影響を受けない分だけ高いものとなる。つまり、差動増幅器15における差動電圧および出力電圧が、該電源端子へ供給される電圧へ貼り付きにくくなる。また、該差動電圧および該出力電圧が該電源端子へ供給される電圧へ貼り付かないように差動増幅器15における増幅率を増加させることで、プロセッサ14が取得するヒータHTの温度Tの分解能を向上させることができる。つまり、第2経路P2の電流が流れる向きにおいて遮断部BEよりも下流から、差動増幅器15の電源端子へ電圧を供給した場合に比べて、プロセッサ14は高精度にヒータHTの温度Tを取得することができる。また、第2電圧V2は、プロセッサ14がヒータTの温度を取得する時のみ第2電圧変換器12から出力される構成によれば、差動増幅器15は必要な時のみ動作し、吸引器100の省電力化を併せて実現することができる。他の観点において、差動増幅器15の電源端子(受電端子)には、第2電圧端子T2の電圧、即ち第2電圧V2が供給されうる。
【0043】
ヒータHTの抵抗値RHTRを検出するときは、第1スイッチQ1がオフされ、第2スイッチQ2がオンされうる。このとき、ヒータHTを流れる電流をIHTR、第1接続端子C1の電圧をVHTR、遮断部BEの順方向電圧降下をVとすると、RHTR式(1)で与えられる。
【0044】
HTR=VHTR/IHTR=VHTR・(RHTR+R)/(V2−V
・・・式(1)
式(1)を変形すると、RHTRを与える式(2)が得られる。
【0045】
HTR=R・VHTR/(V2−V−VHTR
・・・式(2)
差動増幅器15の出力電圧をVAMP、差動増幅器15の増幅率をAとすると、VAMPは式(3)で与えられる。
【0046】
AMP=A・VHTR ・・・式(3)
式(3)を変形すると、VHTRを与える式(4)が得られる。
【0047】
HTR=VAMP/A ・・・式(4)
よって、式(2)および式(4)に従って、ヒータHTの抵抗値RHTRを得ることができる。
【0048】
プロセッサ14は、測定回路MCの差動増幅器15の出力電圧VAMPが入力される入力端子、および、該入力端子に入力された電圧であるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器を含みうる。プロセッサ14は、測定回路MCを使って得られる情報(ここでは、VAMP)に応じて、ヒータHTによる加熱を制御するための第1スイッチQ1を制御する制御信号を発生しうる。
【0049】
プロセッサ14は、例えば、MCU(Micro Controller Unit(マイクロコントローラユニット))で構成されうる。プロセッサ14は、ヒータHTの抵抗値RHTRに基づいて、式(5)に従って、ヒータHTの温度を計算しうる。
【0050】
T=Tref+(1/α)・(RHTR−Rref)・(1/Rref)・10
・・・式(5)
ここで、Trefは基準温度である。Rrefは基準抵抗値であり、これは基準温度TrefにおけるヒータHTの抵抗値RHTRである。αはヒータ127の温度係数[ppm/℃]である。なお、基準温度Trefは、任意の温度とすることができ、基準抵抗値Rrefを取得する際のヒータHTの温度が基準温度Trefである。基準抵抗値Rrefを取得する際のヒータHTの温度としては、吸引器100内の任意箇所の温度を代用することができる。吸引器100は、温度を測定する温度センサ(例えば、後述のサーミスタTM)を含むことができ、該温度センサによって測定される温度を基準温度Trefとすることができる。
【0051】
図9には、吸引器100におけるヒータHTの温度制御の流れが示されている。図9に示される温度制御は、プロセッサ14によって制御される。工程S901では、プロセッサ14は、パフセンサ21の出力に基づいて、ユーザによる吸引(パフ動作)を検出しうる。ここで、パフセンサ21は、例えば、圧力の変化、音、空気の流れ、操作部OPの操作の少なくとも1つに基づいてユーザによる吸引(パフ動作)を検出するように構成されうる。工程S901でユーザによる吸引が検出されると、工程S902において、プロセッサ14は、イネーブル信号EN2を活性化することによって、第3電圧変換器(第1レギュレータ)13および第2電圧変換器(第2レギュレータ)12を起動する。これにより、第3電圧変換器13は、第1電圧端子T1から第1電圧V1を出力可能となり、第2電圧変換器12は、第2電圧端子T2から第2電圧V2を出力可能となる。なお、第3電圧変換器13が第1経路P1に第1電圧V1を出力するためには、第1スイッチQ1をオンにする必要がある点に留意されたい。同様に、第2電圧変換器12が第2経路P2に第2電圧V2を出力するためには、第2スイッチQ2をオンにする必要がある点に留意されたい。本実施形態では、パフセンサ21が、上述したエアロゾル要求動作の検知に用いられるものとして説明した。換言すれば、ユーザによる吸引(パフ動作)が、エアロゾル要求動作に相当する。本実施形態に代えて、操作部OPが、上述したエアロゾル要求動作の検知に用いられるものとしてもよい。この場合においては、操作部OPへの操作が、エアロゾル要求動作に相当する。具体的一例として、プロセッサ14は、操作部OPへの操作が続く限り、エアロゾル要求動作を検出してもよい。
【0052】
工程S903では、プロセッサ14は、第1スイッチQ1をオンし、次いで、工程S904では、プロセッサ14は、第2スイッチQ2をオンし、次いで、工程S905では、プロセッサ14は、第1スイッチQ1をオフしうる。次いで、工程S906では、プロセッサ14は、差動増幅器15の出力電圧VAMPを検出し、式(2)および式(4)に従って、ヒータHTの抵抗値RHTRを計算し、式(5)に従ってヒータHTの温度Tを計算しうる。なお、プロセッサ14は、式(2)、式(4)および式(5)を温度Tについて解いた1つの式に従ってヒータHTの温度Tを計算してもよいし、他の方法に従ってヒータHTの温度Tを計算してもよい。
【0053】
工程S907では、プロセッサ14は、第2スイッチQ2をオフする。この例では、プロセッサ14が第1スイッチQ1をオン状態にする期間と第2スイッチQ2をオン状態にする期間とが互いに重複する期間を有する。しかし、プロセッサ14は、第1スイッチQ1をオン状態にする期間と第2スイッチQ2をン状態にする期間とが互いに重複する期間を有しないように、第1スイッチQ1および第2スイッチQ2を制御してもよい。第1スイッチQ1をオン状態にする期間と第2スイッチQ2をオン状態にする期間とが互いに重複する期間を有することで、高頻度にヒータHTの温度Tを計算できるため、プロセッサ14が実行する、ヒータHTの温度Tに基づく制御の精度を向上させることができる。同様に、第1スイッチQ1がオフとなることでヒータHTが加熱されない期間が短くなるため、意図した香味を持つエアロゾルをユーザに送達しやすくなる。
【0054】
工程S908では、プロセッサ14は、工程S906で計算したヒータHTの温度Tが所定温度(閾値)より小さいかどうかを判断し、ヒータHTの温度Tが所定温度より小さいと判断した場合には工程S910に進み、そうでないと判断した場合には工程S909においてエラー処理を実行しうる。該エラー処理は、例えば、表示部DISPにエラーメッセージを表示すること、ヒータHTの加熱を禁止すること、ヒータHTが自然冷却されることを待つこと、および、エラー原因を解析すること(例えば、ヒータHTの温度Tの上昇率に基づいてエラー原因を特定)、の少なくとも1つを含みうる。
【0055】
工程S910では、プロセッサ14は、工程S901で検出した吸引が終了しているかどうかを判断し、終了していると判断した場合には工程S911に進み、そうでないと判断した場合には工程S903に戻る。工程S911では、プロセッサ14は、イネーブル信号EN2を非活性化することによって、第3電圧変換器(第1レギュレータ)13および第2電圧変換器(第2レギュレータ)12の動作を停止させる。
【0056】
工程S910から工程S903に戻った場合、その後における工程S905(第1スイッチQ1のオフ)のタイミングは、直前に実施された工程S906で得られたヒータHTの温度Tに基づいて決定されうる。工程S905(第1スイッチQ1のオフ)のタイミングは、例えば、ヒータHTの目標温度と直前に実施された工程S906で得られたヒータHTの温度Tとの差分に基づいて、ヒータHTの温度Tが該目標温度に近づくように、例えば、PID演算によって決定されうる。
【0057】
1つの側面において、コントローラ102の電気部品110は、霧化器104のエアロゾル源を加熱するヒータHTが接続される接続端子C1と、コントローラ102の動作を制御するための制御回路CCと、制御回路CCの全体または一部に電圧を供給する第1電圧変換器11と、接続端子C1に電圧(第2電圧V2)を供給する第2電圧変換器12と、を備えうる。ここで、第1電圧変換器11が動作する第1期間と第2電圧変換器12が動作する第2期間とは、互いに異なりうる。なお、それぞれの電圧変換器が動作する期間とは、それぞれの電圧変換器が起動していることで変換された電圧を出力可能な期間と解釈されてもよいし、それぞれの電圧変換器が変換された電圧を出力している期間と解釈されてもよい。換言すると、プロセッサ14は、第1期間と第2期間とが同一ではないように、第1電圧変換器11および第2電圧変換器12を制御しうる。プロセッサ14は、例えば、第1電圧変換器11をイネーブル信号EN1で制御するように構成されうる。第2電圧変換器12が動作する第2期間は、第1電圧変換器11が動作する第1期間の一部でありうる。一例において、第2期間は、第1期間の開始後、第1期間の終了前に開始し、第1期間の終了前または第1期間の終了時に終了しうる。このような構成は、動作させるべき負荷(デバイス)に応じて第1期間および第2期間を個別に決定することを可能にするので、吸引器100あるいはコントローラ102の低消費電力化に有利である。
【0058】
第1電圧変換器11は、例えば、LDO(Low DropOut)で構成されうる。また、第2電圧変換器12は、例えば、LDO(Low DropOut)で構成されうる。第1電圧変換器11および第2電圧変換器12は、互いに同じ仕様を有してもよいが、互いに異なる仕様を有してもよい。前者は、コントローラ102の製造コスト(部品の調達コスト)の低下に寄与しうる。後者は、電源電圧などの要求する性能が互いに異なる負荷(デバイス)の選定を可能にするので、吸引器100あるいはコントローラ102の多機能化に有利である。
【0059】
後者について、より具体的な例を挙げれば、第1電圧変換器11の出力端子に接続される負荷の数は、第2電圧変換器12の出力端子に接続される負荷の数より多い。図2に示された例では、第1電圧変換器11の出力端子に接続される負荷は、スイッチ20、パフセンサ21およびタッチセンサ22であり、第2電圧変換器12の出力端子に接続される負荷は、第2経路P2(ヒータHT)および差動増幅器15である。図2に示された例では、LEDドライバ18およびLED19は、第2電圧変換器12の出力端子ではなく、電源BAT、又は、プラグPGを介して外部電源EBに接続される。他の例では、第1電圧変換器11の出力端子に接続される負荷は、LEDドライバ18、LED19、スイッチ20、パフセンサ21およびタッチセンサ22であり、第2電圧変換器12の出力端子に接続される負荷は、第2経路P2(ヒータHT)および差動増幅器15でありうる。
【0060】
あるいは、第1電圧変換器11の出力端子に接続される負荷の総消費電力は、第2電圧変換器12の出力端子に接続される負荷の総消費電力より小さい。例えば、図2に示された例において、第1電圧変換器11の出力端子に接続されるスイッチ20、パフセンサ21およびタッチセンサ22の総消費電力は、第2電圧変換器12の出力端子に接続されるヒータHTおよび差動増幅器15の総消費電力より小さい。このことは、香味を持つエアロゾルを送達するという吸引器100の主な用途を鑑みて、特にヒータHTの消費電力が大きいことから理解され得るだろう。
【0061】
あるいは、第1電圧変換器11の自己消費電流は、第2電圧変換器12の自己消費電流より小さい。電圧変換器の自己消費電流とは、電圧変換器の入力端子に入力される電圧(電力)を電圧変換器の出力端子から出力される電圧(電力)へ変換するために電圧変換器で消費される電流を指す。自己消費電流は、電圧変換器のデータシートから参照することもできる。自己消費電流は、一般的に電圧変換器の仕様に応じて異なり、小さいほど高効率な電圧変換が可能なことを示している。つまり、自己消費電流が小さい電圧変換器ほど、電源BATの省電力につながり、電圧変換器の発熱を抑制することができる。特に、第1電圧変換器11が動作する第1期間が(第2電圧変換器12が動作する第2期間と比して)長い場合、第1電圧変換器11に自己消費電流が小さいものを用いることは、前述した省電力化や発熱の抑制の観点から重要である。特に、省電力化が図れた吸引器100は、電源BATの1回の充電当たりで提供可能な香味を持つエアロゾルの量が増加するため、その商品価値を大きく向上させることができる。
【0062】
あるいは、第2電圧変換器12の負荷過渡応答特性は、第1電圧変換器11の負荷過渡応答特性より優れていてもよい。電圧変換器の負荷過渡応答特性とは、電圧変換器の出力電流が急激に増加又は減少したときに過渡状態となった出力電圧がどの程度の時間をかけて定常状態になるかを示す指標である。負荷過渡応答特性は、一般的に電圧の単位で表され、小さいほど早く定常状態になることを示している。この負荷過渡応答特性は、第2電圧変換器11のように、ヒータHTの温度Tを取得するという限られたタイミングでのみ、電流や電圧を出力する電圧変換器において特に重要である。負荷過渡応答特性が優れない場合は、式(2)からヒータHTの抵抗値RHTR(ヒータHTの温度T)を取得しようとしても、第2電圧変換器12が出力する第2電圧V2が安定した値を示しにくく、安定した値を示すまで第2電圧変換器12を起動させたまま待つ必要があるためである。換言すれば、第2電圧変換器11に負荷過渡応答特性が優れたものを用いれば、プロセッサ14はヒータHTの抵抗値RHTR(ヒータHTの温度T)をより高速且つ高精度に取得できるばかりか、第2電圧変換器12が動作している期間を短くできるため、吸引器100の省電力化を図ることができる。
【0063】
ところで、自己消費電流と負荷過渡応答特性は、一般的な電圧変換器においてトレードオフの関係になりやすい。自己消費電流が少ない電圧変換器は、負荷過渡応答特性が優れない傾向を有する。また、負荷過渡応答特性が優れた電圧変換器は、自己消費電流が多くなる傾向を有する。したがって、それぞれの電圧変換器の用途や出力端子に接続される負荷に応じて、このトレードオフとどのように折り合いをつけるかが重要である。本実施形態においては、第1電圧変換器11の出力端子に接続される負荷の数は多いものの、その総消費電力は、少ないため、急変しにくい。出力電圧の過渡状態が生じにくいことから、第1電圧変換器11に対する優れた負荷過渡応答特性の要求は弱いといえる。一方、第1電圧変換器11が動作する第1期間が(第2電圧変換器12が動作する第2期間よりも)長い場合、第1電圧変換器11に対する少ない自己消費電流の要求は強いといえる。つまり、第1電圧変換器11は、負荷過渡応答特性が優れなくても自己消費電流が少ない電圧変換器で構成されることが好ましい。
【0064】
本実施形態においては、第2電圧変換器12の出力端子に接続される負荷の数は少ないものの、その総消費電力は、多いため、急変しやすい。出力電圧の過渡状態が生じやすいことから、第2電圧変換器11に対する優れた負荷過渡応答特性の要求は強いといえる。一方、第2電圧変換器12が動作する第2期間が(第1電圧変換器11が動作する第1期間よりも)長い場合、第2電圧変換器12に対する少ない自己消費電流の要求は弱いといえる。つまり、第2電圧変換器12は、自己消費電流が多くても負荷過渡応答特性が優れた電圧変換器で構成されることが好ましい。
【0065】
換言すれば、第1電圧変換器11は、自己消費電流が第2電圧変換器12よりも少なく、且つ、負荷過渡応答特性が第2電圧変換器12よりも劣る電圧変換器で構成されることが好ましい。また、第2電圧変換器12は、自己消費電流が第1電圧変換器11よりも少なく、且つ、負荷過渡応答特性が第1電圧変換器11よりも優れる電圧変換器で構成されることが好ましい。また、第1電圧変換器11の自己消費電流は、第2電圧変換器12の自己消費電流よりも少ないことが好ましい。また、第2電圧変換器12の負荷過渡応答特性は、第1電圧変換器11の負荷過渡応答特性よりも優れていることが好ましい。
【0066】
図3図4図5に例示されるように、コントローラ102は、電源BATから第1電圧変換器11に電圧を供給する第1給電路SL1と、電源BATから第2電圧変換器12に電圧を供給する第2給電路SL2と、外部電源EBから第1電圧変換器11に電圧を供給する第3給電路SL3とを備えうる。1つの観点において、第1電圧変換器11には、電源BATおよび外部電源EBの双方から電力が供給されうるが、第2電圧変換器12には、電源BATからの電力供給は可能であるが、外部電源EBからの電力の供給はされない。これにより、第2電圧変換器12およびヒータHTが動作することで生じた熱が、外部電源EBから供給される電力で充電されている電源BATを加温し、その劣化を促進することを抑制することができる。
【0067】
図3に例示されるように、第1給電路SL1には、第1整流素子SDが配置されてもよく、第1整流素子SDを通して電源BATから第1電圧変換器11に電圧が供給されうる。第1整流素子SDは、電源BATから第1電圧変換器11に向かって順方向となるように配置されうる。第1整流素子SDは、例えば、ショットキーダイオードでありうる。ショットキーダイオードは、半導体と金属との接触を利用したものであり、PN接合型のダイオードよりも順方向電圧降下が小さいので、電源BATから第1電圧変換器11への電圧の供給に有利である。より詳しくは、後述する第1トランジスタQ3の第1ボディーダイオードD3を介して電源BATから第1電圧変換器11へ電圧を供給するよりも、ショットキーダイオードSDを介して電源BATから第1電圧変換器11へ電圧を供給した方が、電源BATから供給される電力の損失が少ない。
【0068】
図4に例示されるように、第2電圧変換器12には、第2給電路SL2を通して電源BATの正端子が電気的に接続されうる。電源BATの正端子と第2電圧変換器12とは、導電パターン(導電トレース)で直接に接続されうる。他の観点において、電源BATの正端子と第2電圧変換器12とは、抵抗器、スイッチ、IC等の電子素子を介することなく電気的に接続されうる。第3電圧変換器13に対しても、第2給電路SL2を通して電源BATの正端子が電気的に接続されうる。これにより、できる限り損失を少なくしながら電源BATから第2電圧変換器12および第3電圧変換器13へ電力を供給することができる。
【0069】
第1整流素子SDには、第1トランジスタQ3が並列に接続されうる。第1トランジスタQ3は、第1ボディーダイオードD3を含むことができ、第1ボディーダイオードD3の順方向は、ショットキーダイオードSDの順方向と同じでありうる。電源BATは、第1トランジスタQ3を介して外部電源EBによって充電されうる。
【0070】
図5に例示されるように、第3給電路SL3には、第2整流素子D4が配置されうる。第1電圧変換器11には、第2整流素子D4を通して外部電源EBから電圧が供給されうる。第2整流素子D4は、第3給電路SL3に配置された第2トランジスタQ4に備えられた第2ボディーダイオードを含みうる。これにより、外部電源EBから供給される電圧は、第2整流素子D4の順方向電圧降下により降圧されて第1電圧変換器11の入力端子へ供給される。第1電圧変換器11をLDOなどのシリーズレギュレータで構成する場合、余分な電力を熱として捨てることで入力電圧を降圧して出力端子から出力するため、入力電圧と出力電圧との差が小さいほど第1電圧変換器11の発熱を抑制することができる。つまり、第2整流素子D4の順方向電圧降下により第1電圧変換器11の入力電圧が低くなるため、第1電圧変換器11の発熱を抑制することができる。換言すれば、発熱が第1電圧変換器11へ集中することを回避し、これを第2整流素子D4と第1電圧変換器11へ分散できるため、吸引器100の耐久性を向上させることができる。第2整流素子D4を経由して外部電源EBから供給される電圧を第1電圧変換器11の入力端子へ供給した後、プロセッサ14は、第2トランジスタQ4をオン状態とし、第1トランジスタQ3をオン/オフさせてもよい。これにより、第2整流素子D4における発熱を抑制しつつ、第1トランジスタQ3とショットキーダイオードSDによって降圧された電圧を第1電圧変換器11の入力端子に供給できるため、吸引器100の耐久性を向上させることができる。
【0071】
第1トランジスタQ3のソースと第2トランジスタQ4のソースとは、電気的に接続されうる。更には、第1トランジスタQ3のソース、第2トランジスタQ4のソースおよび第1電圧変換器11の電源端子(受電端子)が相互に電気的に接続されうる。図6に充電経路CLとして例示されているように、電源BATは、第1トランジスタQ3および第2トランジスタQ4を介して外部電源EBによって充電されうる。第2トランジスタQ4は、保護回路16から出力される電圧を降下させた電圧を第1トランジスタQ3に供給しうる。第1トランジスタQ3および第2トランジスタQ4は、電源BATを充電する充電回路を構成しうる。これにより、充電回路において発生する熱を第1トランジスタQ3と第2トランジスタQ4へ分散できるため、吸引器100の耐久性を向上させることができる。第1トランジスタQ3および第2トランジスタQ4は、充電電流が流れる経路に直列に接続されうる。電源BATの充電は、プロセッサ14が第2トランジスタQ4をオンおよび第1トランジスタQ3をオンまたはオン/オフさせることによってなされうる。プロセッサ14が第1トランジスタQ4のオンとオフを高速で切替えることでドロッパ制御を実行すれば、電源BATの充電を高度に制御することができる。充電経路CLは、例えば、外部電源EBからプラグPG、ブリッジ回路BC、保護回路16、第2トランジスタQ4、第1トランジスタQ3を介して電源BATの正極に至る。
【0072】
図7には、電源BATが充電されている状態における電流経路(充電経路CL)がグレーの矢印で示されている。図8には、ヒータHTを通して電源BATを放電させた状態における電流経路(放電経路DL)がグレーの矢印で示されている。コントローラ102は、電源BATの正極に接続された第1ラインL1と、電源BATの負極に接続された第2ラインL2とを備え、第1ラインL1および第2ラインL2は、二次電池BATを構成要素とする閉回路の一部を構成するように配置されうる。
【0073】
1つの側面において、コントローラ102の電気部品110は、電源BATと、電源BATから供給される電流によって霧化器104のエアロゾル源を加熱するヒータHTが接続される接続端子C1と、プロセッサ14と、保護回路17とを含みうる。プロセッサ14は、電源BATから供給される電流及び/又は電源BATへ供給される電流を検出する検出部DPを含み、検出部DPによる検出結果に基づいて電源BATの状態を制御しうる。保護回路17は、電源BATの状態を監視する監視部MPを含み、監視部MPによる監視結果に基づいて電源BATを保護しうる。保護回路17は、プロセッサ14とは別体として設けられうる。このような構成は、電源BAT、さらには吸引器100の保護機能の向上に有利である。
【0074】
プロセッサ14は、検出部DPが電源BATへ供給される電流を検出する場合、検出部DPによる検出結果に基づいて、電源BATの充電を制御しうる。より具体的には、プロセッサ14は、検出部DPによる検出結果に基づいて、電源BATを充電する充電回路を構成する前述の第1トランジスタQ3および第2トランジスタQ4を制御しうる。また、プロセッサ14は、検出部DPによる検出結果が異常を示している場合に、充電回路(第1トランジスタQ3および第2トランジスタQ4)による電源BATの充電を停止させうる。例えば、プロセッサ14は、検出部DPによる検出結果が異常を示している場合に、第1トランジスタQ3をオフ状態に制御しうる。第1トランジスタQ3がオフ状態になれば、外部電源EBと電源BATの間の電気的な接続が遮断されるため、電源BATの充電が停止される。
【0075】
第3電圧変換器(第1レギュレータ)13は、電源BATから供給される電圧を受けて、霧化器104のエアロゾル源が加熱されるようにヒータHTを駆動するための第1電圧V1(駆動電圧)を発生する。第2電圧変換器(第2レギュレータ)12は、電源BATから供給される電圧を受けて、ヒータHTの抵抗値RHTRを測定するための第2電圧V2(測定電圧)を発生する。プロセッサ14は、検出器DPが電源BATから供給される電流を検出し且つ検出部DPによる検出結果が異常を示している場合に、イネーブル信号EN2を非活性化することによって、第3電圧変換器(第1レギュレータ)13および第2電圧変換器(第2レギュレータ)12の動作を停止させうる。あるいは、プロセッサ14は、検出器DPが電源BATから供給される電流を検出し且つ検出部DPによる検出結果が異常を示している場合、スイッチQ1をオフ状態に制御するか、又は、スイッチQ1及びスイッチQ2をオフ状態に制御してもよい。あるいは、プロセッサ14は、検出器DPが電源BATから供給される電流を検出し且つ検出部DPによる検出結果が異常を示している場合、イネーブル信号EN2を非活性化させつつ、スイッチQ1およびスイッチQ2をオフ状態に制御してもよい。いずれの場合においても、電源BATとヒータHTの間の電気的な接続が遮断されるため、電源BATのヒータHTへの放電が停止される。イネーブル信号EN2を非活性化することにより電源BATのヒータHTへの放電を停止する態様は、併せて第3電圧変換器13と第2電圧変換器12の動作を停止することから、電源BATの省電力化に有利である。スイッチQ1とスイッチQ2をオフ状態に制御することにより電源BATのヒータHTへの放電を停止する態様は、第3電圧変換器13と第2電圧変換器12の動作を停止する場合に比べて、電流や電圧の過渡応答が少ないため、放電を停止する速度の観点から有利である。イネーブル信号EN2の非活性化とスイッチQ1とスイッチQ2のオフ状態への制御を併用して電源BATのヒータHTへの放電を停止する態様は、電圧変換器とスイッチのいずれかに故障が生じている場合においても放電を高確率で停止できる観点から有利である。プロセッサ14が検出部DPによる検出結果が過電流を示しており且つこれを異常として扱う場合、スイッチQ1、スイッチQ2、第3電圧変換器13および第2電圧変換器12のいずれかがショートしている虞がある。そのため、確実に電源BATのヒータHTへの放電を停止できるように、イネーブル信号EN2の非活性化とスイッチQ1とスイッチQ2のオフ状態への制御を併用することは重要である。
【0076】
保護回路17は、第2ラインL2を遮断可能に第2ラインL2に配置されたスイッチSPを含みうる。スイッチSPは、電源BATを充電する充電電流と電源BATから放電される放電電流を遮断できるように、2つのスイッチを異なる向きで直接接続して構成されることが好ましい。保護回路17は、監視部MPによる監視結果が異常を示している場合には、スイッチSPをオフ状態にすることによって、電源BATから供給される電流及び電源BATへ供給される電流を遮断しうる。保護回路17は、第1ラインL1から電力の供給を受けうる。
【0077】
検出部DPは、第1抵抗Rを含み、監視部MPは、第2抵抗Rを含み、第1抵抗Rおよび第2抵抗Rは、電源BATの正極から負極に至る経路に直列に配置されうる。第1抵抗Rおよび第2抵抗Rは、電源BATの正極から流出した電流がヒータHTを通った後に第1抵抗Rおよび第2抵抗Rを通るように配置されうる。あるいは、第1抵抗Rおよび第2抵抗Rは、第2ラインL2に直列に(即ち、第2ラインL2の一部を構成するように)配置されうる。このような第1抵抗Rと第2抵抗Rのローサイド接続に代えて、第1抵抗Rと第2抵抗Rをハイサイド接続することも可能である。ハイサイド接続においては、第1抵抗Rおよび第2抵抗Rは、電源BATの正極から流出した電流がヒータHTを通る前に第1抵抗Rおよび第2抵抗Rを通るように配置されうる。あるいは、第1抵抗Rおよび第2抵抗Rは、第1ラインL1に直列に(即ち、第1ラインL1の一部を構成するように)配置されうる。これは検出部DPや監視部MPが差動増幅器(オペアンプ)を含む場合に差動増幅器のコモンモード電圧を低く又は0にできることを意味している。コモンモード電圧が低いと差動増幅器の選択肢が広がるため、コストの観点から有利である。
【0078】
検出部DPは、第1抵抗Rを流れる電流、あるいは、第1抵抗Rによる電圧降下を検出し、プロセッサ14は、検出部DPによる検出結果に基づいて異常を検出し、電源BATの充電および/または電源BATからヒータHTへの放電を停止させうる。監視部MPは、第2抵抗Rを流れる電流、あるいは、第2抵抗Rによる電圧降下を検出し、保護回路17は、監視部MPによる監視結果に基づいて異常を検出し、電源BATの充電および/または電源BATからヒータHTへの放電を停止させうる。
【0079】
プロセッサ14が電源BATの充電を停止させる条件と保護回路17が電源BATの充電を停止させる条件とは、互いに異なりうる。また、プロセッサ14が電源BATの放電を停止させる条件と保護回路17が電源BATの放電を停止させる条件とは、互いに異なりうる。
【0080】
コントローラ102は、第2ラインL2における電源BATの負極とスイッチSPとの間に一端が接続されたサーミスタTMを備えうる。サーミスタTMは、主に電源BATの温度を取得するために用いられうる。サーミスタTMの他端は、サーミスタTMの抵抗値に依存する電圧がプロセッサ14に供給されるように配置されうる。一例において、プロセッサ14は、所定の電圧を出力端子VOから抵抗R5を介してサーミスタTMに供給し、抵抗R5とサーミスタTMによって分圧された電圧を入力端子VIで受け、これによりサーミスタTMの抵抗値を検出しうる。サーミスタTMの抵抗値は、温度を示す情報を提供しうる。この位置にサーミスタTMを備えれば、出力端子VOは、抵抗R5を介してサーミスタTMに接続され、その後、サーミスタTMから他の素子を介することなく電源BATの負極に接続される。これにより、入力端子VIに入力される電圧にノイズが混ざりにくくなり、プロセッサ14は、サーミスタTM又は電源BATの温度を高精度に取得することができる。
【0081】
図10には、保護回路17の動作が例示されている。工程S1001では、保護回路17は、パラメータi、jを0に初期化する。工程S1001では、保護回路17は、監視部MPによって、電源BATを流れる電流値i(充電時は充電電流値、放電時は放電電流値)を検出する。なお、以降の説明では、電流値iは絶対値として扱っている。つまり、充電時と放電時の双方において、電流値iは正の値のみ示し、その最小値は0である点に留意されたい。工程S1003では、保護回路17は、電流iが第1閾値iT1を超えているかどうかを判断し、超えていれば工程S1004に進み、そうでなければ工程S1008に進む。工程S1004では、保護回路17は、パラメータiの値に1を加え、工程S1005では、保護回路17は、パラメータiの値がimax以上であるかどうかを判断し、パラメータiの値がimax以上であれば工程S1006に進み、そうでなければ工程S1002に戻る。ここで、パラメータiの値がimax以上であることは、電流iが第1閾値iT1を超えた期間が第1時間t1(=imax/f)に達したことを意味する。なお、fは、工程S1002が実行される周期(サンプリング周期)である。工程S1006では、保護回路17は、過電流(即ち、異常)が検出されたものと判断し、工程S1007に進む。
【0082】
工程S1008では、保護回路17は、電流iが第1閾値iT1よりも小さい第2閾値iT2を超えているかどうかを判断し、超えていれば工程S1009に進み、そうでなければ工程S1001に戻る。工程S1009では、保護回路17は、パラメータjの値に1を加え、工程S1010では、保護回路17は、パラメータjの値がjmax以上であるかどうかを判断し、パラメータjの値がjmax以上であれば工程S1011に進み、そうでなければ工程S1002に戻る。ここで、パラメータjの値がjmax以上であることは、電流iが第2閾値iT2を超えた期間が第1時間t1(=imax/f)より長い第2時間t2(=jmax/f)に達したことを意味する。工程S1011では、保護回路17は、過電流(即ち、異常)が検出されたものと判断し、工程S1007に進む。工程S1007では、保護回路17は、スイッチSPをオフ状態にすることによって、電源BATから供給される電流及び/又は電源BATへ供給される電流を遮断する。これは、電源BATが充電されている状態であれば、充電を停止させることを意味し、電源BATが放電されている状態であれば、放電を停止させることを意味する。本実施形態においては、充電時と放電時とにおいて閾値の役割を果たす第1閾値iT1、第2閾値iT2、imaxおよびjmaxが共通であるものとして説明した。これに代えて、第1閾値iT1、第2閾値iT2、imaxおよびjmaxのうち少なくとも1つを充電時と放電時とで異ならせてもよい。また、サンプリング周期fを充電時と放電時で異ならせてもよい。
【0083】
図11には、プロセッサ14の動作が例示されている。工程S1101では、プロセッサ14は、パラメータk、lを0に初期化する。工程S1102では、プロセッサ14は、検出部DPによって、電源BATを流れる電流値i(充電時は充電電流値、放電時は放電電流値)を検出する。なお、以降の説明では、電流値iは絶対値として扱っている。つまり、充電時と放電時の双方において、電流値iは正の値のみ示し、その最小値は0である点に留意されたい。工程S1103では、プロセッサ14は、電流iが第3閾値iT3を超えているかどうかを判断し、超えていれば工程S1104に進み、そうでなければ工程S1108に進む。工程S1104では、プロセッサ14は、パラメータkの値に1を加え、工程S1105では、プロセッサ14は、パラメータkの値がkmax以上であるかどうかを判断し、パラメータkの値がkmax以上であれば工程S1106に進み、そうでなければ工程S1102に戻る。ここで、パラメータkの値がkmax以上であることは、電流iが第3閾値iT3を超えた期間が第3時間t3(=kmax/f)に達したことを意味する。なお、fは、工程S1102が実行される周期(サンプリング周期)である。工程S1106では、プロセッサ14は、過電流(即ち、異常)が検出されたものと判断し、工程S1107に進む。
【0084】
工程S1108では、プロセッサ14は、電流iが第3閾値iT3よりも小さい第4閾値iT4を超えているかどうかを判断し、超えていれば工程S1109に進み、そうでなければ工程S1101に戻る。工程S1109では、プロセッサ14は、パラメータlの値に1を加え、工程S1110では、プロセッサ14は、パラメータlの値がlmax以上であるかどうかを判断し、パラメータlの値がlmax以上であれば工程S1111に進み、そうでなければ工程S1102に戻る。ここで、パラメータlの値がlmax以上であることは、電流iが第4閾値iT4を超えた期間が第3時間t3(=kmax/f)より長い第4時間t4(=lmax/f)に達したことを意味する。工程S1111では、プロセッサ14は、過電流(即ち、異常)が検出されたものと判断し、工程S1107に進む。工程S1107では、プロセッサ14は、電源BATから供給される電流及び/又は電源BATへ供給される電流を遮断する。これは、電源BATが充電されている状態であれば、例えば、第1トランジスタQ3をオフ状態にすることによって実現され、電源BATが放電されている状態であれば、例えば、イネーブル信号EN2を非活性化することによって実現されうる。なお、前述した通りイネーブル信号EN2の非活性化に代えて又は併せて、プロセッサ14は、スイッチQ1およびスイッチQ2をオフ状態に制御してもよい。本実施形態においては、充電時と放電時とにおいて閾値の役割を果たす第3閾値iT3、第4閾値iT4、kmaxおよびlmaxが共通であるものとして説明した。これに代えて、第3閾値iT3、第4閾値iT4、kmaxおよびlmaxのうち少なくとも1つを充電時と放電時で異ならせてもよい。また、サンプリング周期fを充電時と放電時で異ならせてもよい。
【0085】
図12には、第1閾値IT1、第2閾値IT2、第3閾値IT3、第4閾値IT4、第1時間t1、第2時間t2、第3時間t3および第4時間t4の関係が例示されている。前述のように、第1閾値IT1、第2閾値IT2、第1時間t1、第2時間t2、は、保護回路17が電源BATの充電および放電の停止を判断するための基準であり、第3閾値IT3、第4閾値IT4、第3時間t3および第4時間t4は、プロセッサ14が電源BATの充電および放電の停止を判断するための基準である。第1閾値IT1および第1時間t1は、瞬間的(例えば、マイクロ秒オーダー)に大電流(例えば、アンペアオーダー)が流れることを検出するための基準である。同様に、第3閾値IT3および第3時間t3は、瞬間的(例えば、マイクロ秒オーダー)に大電流(例えば、アンペアオーダー)が流れることを検出するための基準である。一方、第2閾値IT2および第2時間t2は、長時間(例えば、秒オーダー)にわたって小電流(例えば、サブアンペアオーダー)が流れることを検出するための基準である。同様に、第4閾値IT4および第4時間t4は、長時間(例えば、秒オーダー)にわたって小電流(例えば、サブアンペアオーダー)が流れることを検出するための基準である。
【0086】
一例において、プロセッサ14は、保護回路17よりも厳しい基準に従って異常の発生を判断する。これは、第3閾値IT3を第1閾値IT1より小さく第2閾値IT2より大きい値に設定し、第4閾値IT4を第2閾値IT2より小さいに値に設定し、第3時間t3を第1時間t1より短い時間に設定し、第4時間t4を第1時間t1より長く第2時間t2より短い時間に設定することによって実現されうる。
【0087】
図12に例示された基準によれば、保護回路17は、電源BATの充電電流値が第1閾値IT1を第1時間t1にわたる監視において超えた場合、および、該充電電流値が第1閾値IT1より小さい第2閾値IT2を第1時間t1より長い第2時間t2にわたる監視において超えた場合において電源BATの充電を停止させる。また、プロセッサ14は、該充電電流値が第1閾値IT1より小さく第2閾値IT2より大きい第3閾値IT3を第1時間t1より短い第3時間t3にわたる検出において超えた場合、および、該充電電流値が第2閾値IT2より小さい第4閾値IT4を第1時間t1より長く第2時間t2より短い第4時間t4にわたる検出において超えた場合において電源BATの充電を停止させる。
【0088】
また、図12に例示された基準によれば、保護回路17は、電源BATの放電電流値が第1閾値IT1を第1時間t1にわたる監視において超えた場合、および、該放電電流値が第1閾値IT1より小さい第2閾値IT2を第1時間t1より長い第2時間t2にわたる監視において超えた場合において電源BATの放電を停止させる。また、プロセッサ14は、該放電電流値が第1閾値IT1より小さく第2閾値IT2より大きい第3閾値IT3を第1時間t1より短い第3時間t3にわたる検出において超えた場合、および、該放電電流値が第2閾値IT2より小さい第4閾値IT4を第1時間t1より長く第2時間t2より短い第4時間t4にわたる検出において超えた場合において電源BATの充電を停止させる。
【0089】
市販されている保護ICを保護回路17として採用する場合、保護ICの多くは、第1閾値iT1、第2閾値iT2、imaxおよびjmaxを予め定められた初期値から別の値へ変更しようとすると、保護ICの内部を変更する必要がある。したがって、市販されている保護ICを保護回路17として使用する場合、該保護ICの仕様と異なる厳しい基準に従って異常の発生を判断することには限界がある。一方、プロセッサ14が用いる第3閾値iT3、第4閾値iT4、kmaxおよびlmaxの変更はプロセッサ14が有する書込み端子などから比較的容易に行うことができる。したがって、本実施形態においては、プロセッサ14が(保護回路17よりも)厳しい基準に従って異常の発生を判断することで、吸引器100の保護機能を向上させている。また、プロセッサ14が保護回路17よりも厳しい基準に従って異常の発生を判断することは、プロセッサ14と保護回路17がそれぞれ適切な基準の下で独立して二重に異常の発生を判断することに相当する。これによっても、吸引器100の保護機能を向上させている。
【0090】
また、保護回路17とプロセッサ14のそれぞれが、電源BATから供給される電流及び/又は電源BATへ供給される電流を遮断するために操作する対象にも注目されたい。前述した通り、保護回路17は、電源BATから供給される電流及び/又は電源BATへ供給される電流を遮断するために、スイッチSPを操作する。一方、プロセッサ14は、電源BATから供給される電流を遮断するために第3電圧変換器13、第2電圧変換器12、スイッチQ1およびスイッチQ2の少なくとも1つを操作する。また、プロセッサ14は、電源BATへ供給される電流を遮断するために第1トランジスタQ3を操作する。このように保護回路17とプロセッサ14のそれぞれが電源BATから供給される電流及び/又は電源BATへ供給される電流を遮断するために操作する対象は異なっている。過電流が生じる状況下においては、電気部品110を構成するいずれかの素子に不具合が生じている虞がある。保護回路17とプロセッサ14が前述したような異なる基準に従ってそれぞれが異常の発生を判断したとしても、保護回路17とプロセッサ14が同じ対象を操作してしまうと、当該対象(素子)に不具合が生じていると吸引器100の保護を適切に図ることが困難になる。保護回路17とプロセッサ14が異なる対象を操作すればこのような事態は回避しやすくなるため、吸引器100の保護機能をより一層向上させることが可能となる。
【0091】
第2時間t2および第4時間t4は、1回のエアロゾル要求動作(パフ動作)に応答してヒータHTに対して電源BATから電流が供給され得る時間より長い時間として設定されうる。具体的一例として、第2時間t2および第4時間t4は、1回のエアロゾル要求動作(パフ動作)の検出が継続したとしても強制的にヒータHTに対して電源BATからの電流の供給を停止する時間より長い時間として設定されうる。また、第1閾値IT1および第3閾値IT3は、正常状態において工程S903〜S906において第2ラインL2を流れる電流値よりも大きい値でありうる。また、第2閾値IT2および第4閾値IT4は、正常状態において工程S903〜S906において第2ラインL2を流れる電流値よりも小さい値でありうる。
【0092】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【要約】
【課題】二次電池の保護機能を向上させる。
【解決手段】吸引器用コントローラは、電源と、前記電源から供給される電流によってエアロゾル源を加熱するヒータが接続される接続端子と、前記電源から供給される電流及び/又は前記電源へ供給される電流を検出する検出部を含み、前記検出部による検出結果に基づいて前記吸引器用コントローラの状態を制御するプロセッサと、前記電源の状態を監視する監視部を含み、前記監視部による監視結果に基づいて前記電源を保護し、且つ、前記プロセッサとは別体である保護回路と、を備える。
【選択図】図2
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