(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)多官能アミン変性オリゴマーが、2官能アミン変性オリゴマーであり、かつ25℃での粘度が2000cps以下である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物。
窒素含有単官能モノマーがアクリロイルモルフォリン、ビニルメチルオキサゾリジノン、ビニルカプロラクタム、および、N,N−ジメチルアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、活性エネルギー線を照射されることにより硬化する重合性成分を含有する。そして上記A〜Fの各要件を満たすものであり、以下に順に説明する。
なお、各要件のうち、複数に含まれる成分はそれぞれの要件に重複して包含される。
<A.多官能アミン変性オリゴマー>
本発明における多官能アミン変性オリゴマーはアミノ基を有する多官能のオリゴマーである。
このような多官能アミン変性オリゴマーとして、サートマー社製のCN501、CN503、CN550、CN373、CN383、CN384及びCN371NS、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL 80、EBECRYL 81、EBECRYL 83、及びEBECRYL 7100、BASF社製のLAROMER PO 83F、LAROMER PO 84F、DSM−Agi社製のAgiSyn001、AgiSyn002、AgiSyn003、AgiSyn005、AgiSyn006、AgiSyn007、AgiSyn008等を使用できる。
なかでも、分子内に2個の光重合性官能基を有するオリゴマーが好ましく、光重合性官能基が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
多官能アミン変性オリゴマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中に0.2〜14.0質量%である。なかでも、1.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上が更に好ましい。また12.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下がより好ましい。含有量が0.2質量%未満であると、硬化性及びタック性が低下する可能性がある。含有量が14.0質量%を超えると粘度が高くなりすぎる。
多官能アミン変性オリゴマーの中でも、25℃での粘度が2000cps以下であることが、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物全体の粘度を適切な範囲とするために必要である。
【0009】
<B.単官能モノマー>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物中に含有される単官能モノマーとしては以下のものが挙げられる。
ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのアクリレート類、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド変性物、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグルコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、フェノールエチレングリコール変性アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシフェニルアクリレート(EO2モル)、エトキシフェニルアクリレート(EO1モル)、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビニロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性コハク酸(メタ)アクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンホルマールアクリレート、アクリロイルモルフォリン、アクリロニトリル、アクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。
【0010】
このような単官能モノマーは、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物中に専ら低粘度化を目的に含有され、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中50.0質量%以上含有され、70.0質量%以上が好ましく、80.0質量%以上がより好ましく、85.0質量%以上がさらに好ましく、90.0質量%以上が最も好ましい。
また、アミド構造を有する単官能モノマーを含有することが好ましく、アクリロイルモルフォリンやビニルカプロラクタム、アクリルアミド、ジエチルアクリルアミドを含有することがより好ましい。ジメチルアクリルアミドは含有しても良く、しなくても良い。
アミド構造を有する単官能モノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中20.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましく、35.0質量%以上がさらに好ましく、38.0質量%以上が最も好ましい。また、60.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以下がより好ましく、48.0質量%以下がさらに好ましく、46.0質量%以下が最も好ましい。
【0011】
アミド構造を有する単官能モノマーの中でも、アクリロイルモルフォリンを含有することがさらに好ましい。アクリロイルモルフォリンの含有量は、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中5.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、15.0質量%以上がさらに好ましく、20.0質量%以上が最も好ましい。また、40.0質量%以下が好ましく、35.0質量%以下がより好ましく、32.0質量%以下がさらに好ましく、30.0質量%以下が最も好ましい。
アミド構造を有する単官能モノマーの中でも、ビニルカプロラクタムを含有することもさらに好ましい。ビニルカプロラクタムの含有量は、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中5.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、13.0質量%以上がさらに好ましく、15.0質量%以上が最も好ましい。また、25.0質量%以下が好ましく、22.0質量%以下がより好ましく、20.0質量%以下がさらに好ましく、18.0質量%以下が最も好ましい。
さらにビニルカプロラクタムに対してアクリロイルモルフォリンが含有する質量の比は、アクリロイルモルフォリン/ビニルカプロラクタムが1.00以上が好ましく、1.10以上がより好ましく、1.20以上がさらに好ましく、1.30以上が最も好ましい。また2.20以下が好ましく、2.00以下がより好ましく、1.80以下がさらに好ましい。この比が1.00以上であると、他の効果が優れた上で、さらに硬化性を向上させやすい。この比が2.20を超えると活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の粘度が高くなり、取り扱いが困難になる可能性がある。
【0012】
<C.ガラス転移温度が20℃以上の単官能モノマー>
上記単官能モノマーのうち、ガラス転移温度が20℃以上の単官能モノマーを選択し、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中30.0質量%以上含有する。中でも35.0質量%以上が好ましく、38.0質量%以上がより好ましく、40.0質量%以上がさらに好ましく、45.0質量%以上が最も好ましい。また、70.0質量%以下が好ましく、65.0質量%以下がより好ましく、60.0質量%以下がさらに好ましく、55.0質量%以下が最も好ましい。
ガラス転移温度が20℃以上の単官能モノマーの中でも、上記アミド構造を有する単官能モノマー、及び環状構造を有する化合物が好ましく、アミド構造を有する単官能モノマー以外では、中でもイソボルニル(メタ)アクリレートやサイクリックトリメチロールプロパンホルマールアクリレートがより好ましい。
またガラス転移温度が20℃以上の単官能モノマーの中でも、ガラス転移温度が50℃以上のものが好ましく、70℃以上のものがより好ましい。
但し、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレートを含有しても良く、含有しなくても良い。
【0013】
<D.ガラス転移温度が10℃以下の単官能モノマー>
上記単官能モノマーのうち、ガラス転移温度が10℃以下の単官能モノマーを選択し、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中20.0質量%以上含有する。中でも25.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましく、33.0質量%以上がさらに好ましく、35.0質量%以上が最も好ましい。また、60.0質量%以下が好ましく、55.0質量%以下がより好ましく、50.0質量%以下がさらに好ましく、45.0質量%以下が最も好ましい。
またガラス転移温度が10℃以下の単官能モノマーの中でも、ガラス転移温度が−30℃以下のものが好ましく、−50℃以下のものがより好ましい。
【0014】
<E.ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマー>
ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマーは、分子中に炭素−炭素不飽和結合を複数有する化合物であり、例えば以下の化合物を採用できる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(Tg:−45℃)、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(Tg:−15℃)、EO(10モル又は20モル)変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート。
活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中に、ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマーは3.0質量%以上含有する。5.0質量%以上でもよく、7.0質量%以上でも良い。また、12.0質量%以下含有し、11.0質量%以下でも良く、9.0質量%以下でも良い。
ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマーの含有量が3.0質量%より少ない場合には、塗膜が硬くならず、鉛筆硬度、耐摩擦性及び耐水性に劣ることになる。また、12.0質量%を超えると、各種基材への密着性に劣ることになる。
またガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマーの中でも、ガラス転移温度が−20℃以下のものが好ましく、−30℃以下のものがより好ましい。
なお、α,β−不飽和エーテルモノマーを含有しても良く、含有しなくても良い。
【0015】
<F.窒素含有単官能モノマー>
窒素含有単官能モノマーとして、例えば以下の群から選ばれた化合物を採用できる。
アクリロイルモルフォリン、ビニルメチルオキサゾリジノン、ビニルカプロラクタム、および、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ラクトン変性可とう性アクリレート。
活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量中に、窒素含有単官能モノマーは30.0質量%以上含有する。さらに33.0質量%以上が好ましく、35.0質量%以上がより好ましい。また、50.0質量%以下含有し、48.0質量%以下が好ましく、45.0質量%以下がより好ましく、40.0質量%以下がさらに好ましい。
【0016】
<光重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物に配合できる光重合開始剤は特に限定されない。
使用できる光重合開始剤として例えば下記のものが挙げられるが、但し経時的に塗膜を黄変させる等の着色をさせる光重合性開始剤を使用しないことが好ましい。ビス(2,4,6−トリメチルべンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure 81)、エトキシ(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス−2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等である。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物中の光重合開始剤の含有量は特に限定されず、全重合性成分の合計量に対して0.3〜1.5質量%が好ましく、中でも0.4質量%以上がより好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。
【0017】
<増感剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物には、400nm以上の主に紫外線の波長域で光吸収特性を有し、その範囲の波長の光により硬化反応の増感機能が発現する増感剤(化合物)を使用できる。また十分に硬化可能であれば使用しなくても良い。なお、上記「400nm以上の波長の光により増感機能が発現する」とは、400nm以上の波長域で光吸収特性を有することをいう。このような増感剤を用いることで、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、LED硬化性を向上できる。
【0018】
上記増感剤は、アントラセン系増感剤やチオキサントン系増感剤等が好ましい。中でも、チオキサントン系増感剤が好ましい。これらは単独又は2種以上を併用して用いることができる。
9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等のアントラセン系増感剤、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系増感剤を挙げることができる。市販品の代表例としては、アントラセン系増感剤では、DBA 、DEA(川崎化成工業社製)、チオキサントン系増感剤では、DETX、ITX(Lambson社製)等が例示できる。
増感剤の含有量は、好ましくは全重合性成分の合計量に対して0〜8.0質量%の範囲である。8.0質量%を超えても、効果の向上が見られず、過剰添加となり好ましくない。
【0019】
なお、増感剤として、チオキサントン系増感剤を使用した場合は、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物を黄色に変色させる傾向があるため、顔料に基づく色(本来の色相)より黄味がかった色相になるので、色毎に、チオキサントン系増感剤の含有量を適宜決めることが好ましい。
具体的には、色味の変化の影響を受けやすいホワイトインク組成物及びクリアーインク組成物では、増感剤として、チオキサントン化合物は含まないようにすることが好ましい。また、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物では、色相の変化が問題となるので、色相に問題が生じない範囲で使用することが好ましい。また、ブラックインク組成物、及びイエローインク組成物は、変色があっても色相に影響しないのと、光重合性が他の色相より乏しいことから、増感剤として、チオキサントン系化合物を併用使用することが好ましい。
【0020】
<着色剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物には、各色相の着色剤を含有させて、各色の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物を得ることもできる。
このような着色剤としては、通常の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物で従来から使用されている顔料、染料を特に制限なく使用できるが、耐光性を考慮すると、有機顔料又は無機顔料等の顔料が好ましい。
そして有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、アンスラキノン系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系の顔料等が挙げられる。無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物の代表的な色相ごとの顔料の具体例としては以下のものが挙げられる。
まず、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用イエローインク組成物として使用するためのイエロー顔料としては、例えば、C.I.PigmentYellow1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、108、109、114 、120、128、129、138、139、150、151、155、166、180、184、185、213等が挙げられ、好ましくは、C.I.PigmentYellow150、155、180、21 3等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用マゼンタインク組成物として使用するためのマゼンタ顔料としては、例えば、C.I.PigmentRed5 、7、12、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57、57:1、63:1、101、102、112、122、123、144、146、149、168、177、178、179、180、184、185、190、202、209、224、242、254、255、270、C.I.PigmentViolet19等が挙げられ、好ましくは、C.I.PigmentRed122、202、PigmentViolet19等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用シアンインク組成物として使用するためのシアン顔料としては、例えば、C .I.PigmentBlue1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、18、22、27、29、60等で、好ましくは、C.I.PigmentBlue15:4等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用ブラックインク組成物として使用するためのブラック顔料としては、例えば、カーボンブラック(C.I.Pigment Black7)等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用ホワイトインク組成物として使用するためのホワイト顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、好ましくは、アルミナ、シリカ等の種々の材料で表面処理された酸化チタンが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物における顔料の含有量は、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物の総質量に対して1〜20質量%であることが好ましい。顔料の含有量が1質量%未満では、得られる印刷物の画像品質が低下する傾向がある。一方、20質量%を超えると、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物の粘度特性に悪影響を与える傾向がある。
【0021】
<顔料分散剤>
また、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、必要に応じて顔料分散剤を含有していてもよい。
顔料分散剤は、顔料の分散性、本発明のインク組成物の保存安定性を向上させるために使用するもので、従来から使用されているものを特に制限なく使用できるが、その中でも高分子分散剤を使用することが好ましい。このような顔料分散剤としては、カルボジイミド系分散剤、ポリエステルアミン系分散剤、脂肪酸アミン系分散剤、変性ポリアクリレート系分散剤、変性ポリウレタン系分散剤、多鎖型高分子非イオン系分散剤、高分子イオン活性剤等が挙げられる。これら顔料分散剤は単独で又は2種以上を混合して使用できる。
上記顔料分散剤は、使用する全顔料の量を100質量部としたときに、1〜200質量部含有することが好ましい。顔料分散剤の含有量が1質量部未満では、顔料分散、本発明のインク組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。一方、200質量部を超えて含有させることもできるが効果に差がでない場合もある。顔料分散剤の含有量のより好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は60質量部である。
【0022】
<界面活性剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、使用するインクジェットヘッドに応じて、界面活性剤として従来から活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物に使用されているシリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を、吐出安定性を改良するために含有することが好ましい。
シリコーン系界面活性剤の具体例としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明のインク組成物における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.005〜1.0質量%である。0.005質量%未満であると、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の表面張力が高くなり、インクジェットヘッドからの吐出安定性が低下する。一方、1.0質量%を超えると、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物中に泡が増加し吐出安定性が低下する。
【0023】
<添加剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物には、必要に応じて種々の機能性を発現させるため、各種の添加剤を添加することができる。具体的には、表面調整剤、光安定化剤、表面処理剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤等が挙げられる。また、ビヒクルとして機能するが硬化性ではない樹脂を配合しても良く、配合しなくても良い。また、溶媒を含有させても良いが、含有しなくても良い。
【0024】
(表面調整剤)
活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、表面調整剤を好適に含む。表面調整剤は特に限定されない。一例を挙げると、表面調整剤は、シリコーン系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アセチレン系表面調整剤等である。アセチレンジオール系表面調整剤は、ダイノール607、ダイノール609、EXP−4001、EXP−4300、オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)等である。シリコーン系界面活性剤は、BYK−307、333、347、348、349、345、377、378、3455(ビックケミー社製)等である。フッ素系界面活性剤は、F−410、444、553(DIC社製)、FS−65、34、35、31、30(デュポン社製)等である。
表面調整剤が含有される場合において、表面調整剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、表面調整剤の含有量は、インキ組成物の表面張力が塗膜形成に適した範囲となるための量であることが好ましく、インキ組成物中に0.1〜1.5質量%であることがより好ましい。
【0025】
(重合禁止剤)
重合禁止剤は特に限定されない。一例を挙げると、重合禁止剤は、N−CH
3タイプ、N−Hタイプ、N−ORタイプ等のヒンダードアミン、フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系等の重合禁止剤である。
【0026】
(消泡剤)
消泡剤は、シリコーン系消泡剤、プルロニック系消泡剤等である。
【0027】
(ガラス転移温度が10℃を超える多官能モノマー)
本発明による効果を損なわない範囲で、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物にガラス転移温度が10℃を超える多官能モノマーを含有させることができる。 そのような多官能モノマーは例えば以下のとおり。多く含有させると、基材への密着性に劣ることになる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド変性物、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート等。
【0028】
<本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の物性>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、25℃における粘度が、10.0cps以下であることが好ましい。さらに詳しくは、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の具体的な粘度を、各インクジェット装置に適応できるように設計することもできる。
なお、本明細書における粘度とは、E型粘度計(商品名:RE100L型粘度計、東機産業社製)を用いて、25℃、20rpmの条件で測定した粘度である。
また表面張力は20.0〜25.0mN/mであることが好ましい。
【0029】
(活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の製造)
次に、これらの材料を用いて本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を製造する方法について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、例えば、湿式サーキュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、DCPミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザー、ジーナスPY、DeBEE2000等)、パールミル等の分散機を使用して各成分を分散混合し、必要により活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の粘度を調整して得ることができる。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、上記した特定の光重合性成分を特定量含有させることで、紫外線、特に発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線に対する硬化性に優れ、アクリル樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリカーボネート等の基材に対する密着性及び耐擦性が良好で、吐出安定性及び貯蔵安定性に優れ、高い引火点、低皮膚刺激性及び低臭気といった安全性の全てにおいて優れたものとすることができる。
【0031】
本発明のインク組成物を調製する方法としては特に限定されず、上記した材料を全て添加してビーズミルや3本ロールミル等で混合して調製することができる。
なお、顔料、顔料分散剤及び光重合性成分を混合することにより、予めコンクベースインクを得ておき、そのコンクベースインクに所望の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の組成となるように、光重合性成分、光重合開始剤、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加して調製することもできる。
本発明のインク組成物を印字する基材としては、アクリル樹脂、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート等が好ましいが、従来から活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物が印字される基材(紙、プラスチックフィルム、カプセル、ジェル、金属箔、ガラス、布等)であれば問題なく印字できる。
【0032】
本発明のインク組成物を印字、硬化する方法として、具体的には、本発明のインク組成物をインクジェットヘッドにより基材に吐出した後、基材に着弾した本発明のインク組成物の塗膜を光で露光し硬化させる方法が挙げられる。
例えば、基材への吐出(画像の印字)は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用プリンターの低粘度対応のプリンタヘッドに供給し、基材に対して塗膜の膜厚が、例えば、1〜60μmとなるように該インク組成物をプリンタヘッドから吐出することにより行うことができる。また、光での露光、硬化(画像の硬化)は、画像として基材に塗布された本発明のインク組成物の塗膜に光を照射することにより行うことができる。
本発明のインク組成物を印字するインクジェット記録方式用プリンター装置としては、従来から使用されているインクジェット記録方式用プリンター装置が利用できる。なお、コンティニュアスタイプのインクジェット記録方式用プリンター装置を用いる場合は、本発明のインク組成物にさらに導電性付与剤を加え電導度の調節をする。
上記塗膜の硬化における光源としては、紫外線(UV)、紫外線(発光ダイオード(LED))、電子線、可視光線等を挙げることができ、環境面から好ましくは発光ピーク波長が350〜420nmの範囲の紫外線を発生する発光ダイオード(LED)である。
発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線とは、「発光ピーク波長が350〜420nmの範囲である紫外線を発生する、発光ダイオードから照射される光」とする。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例、比較例で使用した材料は次の通りである。表中の顔料、分散剤、樹脂、溶剤及び合計に関する欄の数値の単位は「質量%」である。
【0034】
(組成物の粘度)
実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物をE型粘度計(商品名:RE100L型粘度計、東機産業社製)を使用して、温度25℃、ローター回転速度20rpmの条件で、粘度(cps)を測定した。
【0035】
(表面張力)
各活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物について、レスカ社製、動的濡れ性試験機(商品名:WET−6000)を使用して、温度25℃で表面張力を測定した。
【0036】
(密着性)
活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を、アクリル(アクリル樹脂)、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、PS(ポリスチレン)の各基材上にベタ塗りをし、次いで紫外線を照射して硬化させた。
このようにして基材上に形成した硬化塗膜をカッターナイフでクロスカットし、100個正方形の小片の硬化塗膜とした。このカットした部分にセロハンテープ(ニチバン社製商品名セロテープ(登録商標))を貼り、これを引き剥がして、セロハンテープに粘着して剥離せずに、基材上に残った正方形の小片の数を数えた。例えば、100/100は1つも剥離せずに全ての小片が基材に残ったものであり、20/100は20個の小片が基材上に残り、80個の小片がセロハンテープに粘着して剥離したことを示す。
【0037】
(鉛筆硬度)
各硬化塗膜に対して、JIS K5600−5−4に準じて鉛筆引っかき試験(鉛筆硬度)の評価を行った。
【0038】
(耐摩擦性)
硬化塗膜に対して、学振型堅牢度試験機((株)大栄科学精器製作所製)を用いて、晒し布で500g×200回塗膜を擦ったときの、プレコートを塗布したKライナー、Cライナーからの硬化膜の取られ具合を目視で観察し、以下の評価基準にしたがって評価した。
○:硬化膜の取られが無かった。
△:硬化膜の表面に傷があった。
×:硬化膜が取られ、シートがみえた。
【0039】
(耐水性)
硬化塗膜を、濡らした綿棒で20回摩擦した後の印刷物の状態を観察し、以下の評価基準にしたがって耐水性を評価した。
○:印字がかすれなかった。
△:印字がわずかにかすれたが、文字がはっきりと判読できた。
×:印字がかすれて文字が判読できなかった。
【0040】
(LED硬化性)
25℃の雰囲気温度下に、インクジェット記録装置と、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物とを24時間置き、インクジェット記録装置およびインキ組成物の温度を25℃とした。その後、25℃で、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物をPVCシート上に、連続的に印刷(印字)した後、フォセオン・テクノロジー社製UV−LED光ランプにて、ランプとインキの塗布面との距離2cm下で、UV積算光量180mJ/cm
2で硬化させた。得られた硬化性塗膜を綿棒でこすり、その取られ具合により硬化性を評価した。
○:取られがなかった。
△:わずかに取られがあった。
×:取られがあった。
【0041】
(使用材料)
<着色剤>
赤色顔料(PR122)
黄色顔料(PY150)
青色顔料(PB15:4)
黒色顔料(PB7)
白色顔料(PW6)
【0042】
<顔料分散剤>
顔料分散剤a(EFKA PX4701:BASF社製)
顔料分散剤b(ソルスパース56000:日本ルーブリゾール社製)
顔料分散剤c(BYKJET9151:ビックケミー社製)
顔料分散剤d(PB821:味の素ファインテクノ社製)
【0043】
<A.多官能アミン変性オリゴマー>
多官能アミン変性オリゴマーa(CN371NS:サートマー社製)
多官能アミン変性オリゴマーb(CN373:サートマー社製)
多官能アミン変性オリゴマーc(AgiSyn008:DSM−Agi社製)
多官能アミン変性オリゴマーd(AgiSyn003:DSM−Agi社製)
【0044】
<C.ガラス転移温度が20℃以上の単官能モノマー>
イソボルニルアクリレート(商品名:SR506、サートマー社製)Tg=88℃
サイクリックトリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)(商品名:SR531、サートマー社製)Tg=32℃
【0045】
<D.ガラス転移温度が10℃以下の単官能モノマー>
エチルカルビトールアクリレート(商品名:V190、大阪有機化学工業社製)Tg=−67℃
テトラヒドロフルフリルアクリレート(商品名:SR285、サートマー社製)Tg=−15℃
ベンジルアクリレート(商品名:V160、大阪有機化学工業社製)Tg=6℃
【0046】
<E.ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマー>
エチレンオキサイド3モル付加トルメチロールプロパントリアクリレート((EO)TMPTA)(商品名:SR454、サートマー社製)Tg=−40℃
【0047】
<その他の多官能モノマー>
トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:SR351、サートマー社製)Tg=62℃
ジプロピレングリコールジアクリレート(商品名:SR508、サートマー社製)Tg=104℃
【0048】
<F.窒素含有単官能モノマー>
アクリロイルモルフォリン:(ACMO:KJケミカルズ社製)Tg=145℃
N−ビニルカプロラクタム:(V−CAP:ISPジャパン社製)Tg=90℃
【0049】
<光重合開始剤>
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Lambson社製)
<増感剤>
DETX:2,4−ジエチルチオキサントン(Lambson社製)
<重合禁止剤>
MEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル)
UV−22:キノン系重合禁止剤(クロマケム社製)
<レベリング剤>
BYK−377(固形分100%、ポリエーテル変性シロキサン型界面活性剤、ビックケミー・ジャパン社製)
【0050】
(実施例及び比較例)
<実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の製造>
下記表の組成になるように、各成分を混合して活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を製造した。
【0051】
【表1-1】
【0052】
【表1-2】
【0053】
【表1-3】
【0054】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、硬化前において低粘度であり、適切な表面張力を有している。
さらにLEDにより硬化し、その硬化塗膜は各種の基材に対して良好な密着性を有し、高い鉛筆硬度、耐摩擦性及び耐水性を有していた。
しかしながら、(A)多官能アミン変性オリゴマーを含有しない比較例1によればLED硬化性に劣り、(A)多官能アミン変性オリゴマーを多量に含有する比較例2によれば、インク組成物は高粘度化して、吐出性に劣る可能性があった。(E)ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマーを含有しない比較例3によれば、塗膜の鉛筆硬度が低く、耐摩擦性と耐水性に劣っており、(E)ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマーを
過剰に含有する比較例4によれば、各基材に対する密着性におとり、かつ硬化した塗膜が硬すぎる結果であった。
また、(F)窒素含有単官能モノマーの含有量が少ない比較例5によれば、LED硬化性に劣っており、逆に含有量が多い比較例6によればインク組成物は高粘度化して、吐出性に劣る可能性があった。(E)ガラス転移温度が10℃以下の多官能モノマーを使用せず、ガラス転移温度が10℃を超える多官能モノマーを使用した比較例7及び8によれば、塗膜は各基材への密着性に劣っていた。
【課題】各種の基材に対して密着性に優れた被膜を形成でき、LEDにより硬化でき、硬化被膜は高い硬度、耐摩擦性及び耐水性に優れる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を得る。