(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。実施形態の各図は、所定の構成を模式的に示したものである。従って、実施形態の各図は、他の図との対応、又は図中の構成を特定する後述の数値との対応が正確ではない場合もある。実施形態の各図で、ハッチングは、切断面を示す。
【0018】
<化粧シート>
化粧シート10について、
図1〜5を参照して説明する。化粧シート10は、基材20と、凹部30を含む(
図1参照)。凹部30は、基材20の表面に設けられる。実施形態では、化粧シート10及び基材20は、長尺のシート材とする。また、化粧シート10は、複数の凹部30を含むこととする。複数の凹部30は、エンボス加工装置50により基材20の表面に形成される。エンボス加工装置50は、エンボス加工方法を実施する。エンボス加工装置50及びエンボス加工方法については、後述する。基材20の長手方向は、化粧シート10の長手方向となり、基材20の短手方向は、化粧シート10の短手方向となる。実施形態では、化粧シート10及び基材20の長手方向を「長手方向」といい、化粧シート10及び基材20の短手方向を「短手方向」という(
図1,3参照)。長手方向及び短手方向は、互いに直交する。長手方向の一方側を「第一側」といい、長手方向の他方側を「第二側」という。短手方向の一方側を「第三側」といい、短手方向の他方側を「第四側」という。
【0019】
基材20としては、各種のシート材が採用される。例えば、厚さの異なる各種のシート材が基材20として採用される。基材20は、2層以上の積層体である。この場合、化粧シート10も、基材20と同数の積層体となる。実施形態では、基材20は、3層の積層体であり、第一シート22と、第二シート24と、第三シート26を含む(
図3参照)。基材20は、クッション性を有する。この場合、化粧シート10も、3層の積層体となり(
図1参照)、クッション性を有する。但し、基材20は、2層又は4層以上の積層体としてもよい。基材20を2層の積層体とする場合、基材20は、第一シート22及び第二シート24を含む積層体としてもよい。この他、基材20は、積層体ではない単一層のシート材としてもよい。基材20を単一層のシート材とする場合、基材20は、第一シート22として採用可能なシート材としてもよい。また、基材20は、クッション性を有する厚手のシート材としてもよい。
【0020】
実施形態では、化粧シート10及び基材20の厚さ方向を「厚さ方向」という(
図1,3参照)。厚さ方向は、化粧シート10及び基材20で第一シート22、第二シート24及び第三シート26が積層される方向に一致する。厚さ方向の一方側を「表側」といい、厚さ方向の他方側を「裏側」という。基材20では、厚さ方向の表側は、第一シート22が設けられる側となり、厚さ方向の裏側は、第三シート26が設けられる側となる。基材20、第一シート22、第二シート24及び第三シート26の各シート材では、表面は、厚さ方向の表側となる面であり、裏面は、厚さ方向の裏側となる面である(
図3参照)。エンボス加工により、基材20の表面は、化粧シート10の表面となり、基材20の裏面は、化粧シート10の裏面となる(
図1参照)。即ち、化粧シート10の状態では、化粧シート10の表面及び基材20の表面は、同じ面を意味する。同様に、化粧シート10の状態では、化粧シート10の裏面及び基材20の裏面は、同じ面を意味する。例えば、化粧シート10が車両用の内装品の表地となる場合、化粧シート10の表面は、前述の内装品の表面となる。車両のユーザは、内装品の表面として、化粧シート10の表面を視認する。
【0021】
基材20の厚さは、諸条件を考慮して適宜決定される。但し、基材20の厚さは、0.3〜19mmの範囲の所定値とするとよい。好ましくは、基材20の厚さは、1.3〜19mmの範囲の所定値とするとよい。これにより、基材20の表面に明瞭な凹部30を形成することができる。基材20の長手方向及び短手方向の各寸法は、諸条件を考慮して適宜決定される。基材20は、第二シート24の表面に第一シート22を貼り合わせ、第二シート24の裏面に第三シート26を貼り合わせて形成される(
図3参照)。第二シート24と第一シート22の貼り合わせ及び第二シート24と第三シート26の貼り合わせには、公知の工法が採用される。例えば、前述の貼り合わせは、接着剤を介して行われる。この他、前述の貼り合わせは、フレームラミネートによって行われる。前述の2つの工法を比較した場合、発明者は、基材20の製造時の工程負荷及び基材20の軽量化の点で、フレームラミネートが好ましいと考える。フレームラミネートは、既に実用化された技術である。従って、フレームラミネートに関する説明は、省略する。
【0022】
第一シート22としては、各種のシート材が採用される。例えば、第一シート22としては、繊維質シート材が採用される。繊維質シート材としては、織物、編物、不織布又は天然皮革が例示される。天然皮革は、床革を含む。また、第一シート22としては、次のようなシート材が採用される。前述のシート材は、繊維質シート材に合成樹脂を含浸又は積層させたシート材である。このようなシート材としては、人工皮革、合成皮革又はポリ塩化ビニルレザーが例示される。更に、第一シート22としては、樹脂フィルムが採用される。この他、第一シート22としては、前述のシート材のうちの一部又は全部のシート材の複合材が採用される。第一シート22の厚さは、0.3〜5mmの範囲の所定値とするとよい。好ましくは、第一シート22の厚さは、0.5〜3mmの範囲の所定値とするとよい。但し、第一シート22の厚さは、前述の範囲とは異なる値としてもよい。第一シート22の厚さは、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0023】
第一シート22では、繊維質シート材は、天然繊維又は合成繊維を素材としたシート材としてもよい。但し、繊維質シート材は、エンボス加工における加工性の点で、合成繊維を素材としたシート材とするとよい。好ましくは、繊維質シート材は、熱可塑性樹脂製の繊維を素材としたシート材とするとよい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル樹脂又はポリ塩化ビニリデンが例示される。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン又はポリプロピレンが例示される。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートが例示される。ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6又はナイロン66が例示される。繊維質シート材は、前述の複数の樹脂を含む群から選ばれる1種又は2種以上の熱可塑性樹脂製の繊維を素材として形成してもよい。
【0024】
第一シート22が繊維質シート材に合成樹脂を含浸又は積層させたシート材であるとする。この場合、含浸又は積層される樹脂としては、公知の合成樹脂が採用される。前述の合成樹脂としては、ポリウレタン樹脂又は塩化ビニル樹脂が例示される。繊維質シート材は、公知の染料又は顔料により着色されていてもよい。染料又は顔料は、諸条件を考慮して適宜選択される。
【0025】
第二シート24は、クッション性を有する。これに伴い、基材20は、クッション性を有する。第二シート24としては、クッション性を有する各種のシート材が採用される。このようなシート材としては、合成樹脂発泡体が例示される。合成樹脂発泡体としては、軟質ウレタンフォームが例示される。第二シート24の厚さは、1〜14mmの範囲の所定値とするとよい。好ましくは、第二シート24の厚さは、1〜10mmの範囲の所定値とするとよい。
【0026】
第三シート26としては、各種のシート材が採用される。例えば、第三シート26としては、織物、編物又は不織布が採用される。第三シート26では、シート材の目付は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、第三シート26が織物又は編物である場合、織物又は編物の目付は、10〜80g/m
2の範囲の所定値とするとよい。第三シート26が不織布である場合、不織布の目付は、10〜40g/m
2の範囲の所定値とするとよい。第三シート26は、第一シート22と同様、エンボス加工における加工性の点で、熱可塑性樹脂製の繊維を素材としたシート材とするとよい。前述の熱可塑性樹脂としては、第一シート22に関連して上述した樹脂が例示される。
【0027】
化粧シート10では、複数の凹部30は、長手方向に所定の間隔Wで繰り返して配置される(
図1,4参照)。これに伴い、化粧シート10では、表面が凹凸状となる。但し、このような複数の凹部30の配置は、例示である。複数の凹部30の配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。化粧シートでは、凹部30は、少なくとも1個設けられていればよい。
【0028】
複数の凹部30は、同一形状の凹部である。凹部30は、厚さ方向に基材20を貫通せず、短手方向に基材20を横断する(
図1,4参照)。凹部30は、基材20を短手方向から側面視した形状が次のような台形状となる。前述の台形状は、厚さ方向の表側が長辺となり、厚さ方向の裏側が短辺となる形状である(
図5参照)。実施形態では、凹部30の内面Eを形成する3個の面を「底面E0」、「第一壁面E1」及び「第二壁面E2」という。化粧シート10では、底面E0は、基材20の表面に沿った面である(
図5参照)。第一壁面E1は、次のような面である(
図4,5参照)。即ち、第一壁面E1は、長手方向の第二側で底面E0と繋がる。また、第一壁面E1は、基材20の表面に対して傾斜角θ1で傾斜する。更に、第一壁面E1は、長手方向の第一側で基材20の表面と繋がる。第二壁面E2は、次のような面である(
図4,5参照)。即ち、第二壁面E2は、長手方向の第一側で底面E0と繋がる。また、第二壁面E2は、基材20の表面に対して傾斜角θ2で傾斜する。更に、第二壁面E2は、長手方向の第二側で基材20の表面と繋がる。傾斜角θ1,θ2は、同一角度である(
図5参照)。実施形態では、底面E0、第一壁面E1及び第二壁面E2を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「内面E」という。
【0029】
但し、複数の凹部30は、異なる形状の凹部としてもよい。また、上述した凹部30の形状は、例示である。化粧シート10では、凹部30は、上述した形状とは異なる形状の凹部としてもよい。例えば、凹部30は、短手方向に基材20を横断しない凹部としてもよい。凹部30は、傾斜角θ1,θ2が異なる凹部としてもよい。また、凹部30は、壁面が環状となる凹部としてもよい。この場合、凹部30は、底面及び開口端が円形状、楕円形状、多角形状、星形状及び花形状の何れかである凹部としてもよい。凹部30は、底面及び開口端が同一形状又は異なる形状の凹部としてもよい。異なる形状は、相似形を含む。更に、凹部30は、厚さ方向の表側から凹部30を正視した状態で、底面の中心及び開口端の中心がずれた凹部としてもよい。この他、凹部30は、底面が基材20の表面に沿わない凹部としてもよい。
【0030】
内面Eは、4種類の凹凸模様Fを含む(
図2,4参照)。実施形態では、4種類の凹凸模様Fを「凹凸模様F1」、「凹凸模様F2」、「凹凸模様F3」及び「凹凸模様F4」という。凹凸模様F1,F2,F3,F4は、それぞれ異なる凹凸模様Fである。凹凸模様F1,F2,F3,F4を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「凹凸模様F」という。凹凸模様F1は、底面E0の領域G1に設けられる(
図2,4参照)。領域G1は、底面E0の短手方向の中央領域である。この中央領域は、底面E0の短手方向の中心位置を含む。凹凸模様F2は、底面E0の領域G2,G3に設けられる(
図2,4参照)。領域G2,G3は、底面E0のうち、領域G1の短手方向の第三側及び第四側となる領域である。実施形態では、領域G2は,領域G1の短手方向の第三側となり、領域G3は、領域G1の短手方向の第四側となる。凹凸模様F3は、第一壁面E1の全領域に設けられる(
図2,4参照)。凹凸模様F4は、第二壁面E2の全領域に設けられる(
図2,4参照)。
【0031】
但し、上述した内面E及び凹凸模様Fの対応に関し、次の第一点及び第二点は、例示である。第一点は、複数種類の凹凸模様Fが設けられる内面Eの領域である。第二点は、内面Eに対する複数種類の凹凸模様Fの配置である。第一点及び第二点は、諸条件を考慮して適宜決定される。底面E0では、凹凸模様Fは、1種類としてもよい。第一壁面E1では、凹凸模様Fは、複数種類としてもよい。第二壁面E2では、凹凸模様Fは、複数種類としてもよい。
【0032】
凹凸模様F1は、次の第一部分列を長手方向に所定の間隔で2列設けた凹凸模様Fである(
図2,4及び
図5上段参照)。第一部分列は、四角錐状の凹状部
分を短手方向に所定の間隔で14個配列して形成される(
図2,4参照)。凹凸模様F2は、次の第二部分列を長手方向に所定の間隔で4列設けた凹凸模様Fである(
図2,4及び
図5下段参照)。第二部分列は、四角錐状の凹状部分を短手方向に所定の間隔で6個配列して形成される(
図2,4参照)。凹凸模様F1,F2で厚さ方向の表側となる凹状部分の開口端の面積及び凹凸の高低差を比較すると、凹凸模様F1は、共に凹凸模様F2より大きくなる(
図2,4,5参照)。凹凸模様F3は、2本の第一溝を含む凹凸模様Fである(
図2,4,5参照)。2本の第一溝は、短手方向に第一壁面E1を横断する互いに平行な溝である。第一溝は、基材20を短手方向から側面視した形状が矩形状となる凹状部分である(
図5参照)。凹凸模様F4は、2本の第二溝を含む凹凸模様Fである(
図2,4,5参照)。2本の第二溝は、短手方向に第二壁面E2を横断する互いに平行な溝である。第二溝は、基材20を短手方向から側面視した形状が三角状となる凹状部分である(
図5参照)。
【0033】
但し、上述したような凹凸模様F1,F2,F3,F4は、例示である。凹凸模様Fとしては、各種の凹凸模様が採用される。凹凸模様Fの態様は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、凹凸模様Fでは、複数の凹状部分は、規則的に配置してもよく(一例として「凹凸模様F1,F2,F3,F4」参照)、又は複数の凹状部分は、不規則に配置してもよい(不図示)。また、凹凸模様Fでは、凹状部分は、特定の形状としてもよく(一例として「凹凸模様F1,F2,F3,F4」参照)、又は不規則な形状としてもよい。
【0034】
<エンボス加工装置>
エンボス加工装置50について、
図6,7を参照して説明する。エンボス加工装置50は、化粧シート10を製造する加工装置である。エンボス加工装置50は、供給装置95から繰り出された長尺の基材20を搬送し、基材20にエンボス加工を行う(
図6参照)。エンボス加工装置50では、エンボス加工は、連続的に行われる。基材20は、エンボス加工装置50でエンボス加工が施された後、化粧シート10として、回収装置96に回収される。
【0035】
図6では、次の各部の図示は、簡略化されている。前述の各部は、基材20及び化粧シート10と、供給装置95と、回収装置96である。基材20及び化粧シート10は、供給装置95から回収装置96まで連続した長尺のシート材の態様を有する。供給装置95としては、公知のエンボス加工装置に設けられる供給装置を採用できる。回収装置96としては、公知のエンボス加工装置に設けられる回収装置を採用できる。従って、供給装置95及び回収装置96に関する説明は、省略する。実施形態では、基材20及び化粧シート10が供給装置95から回収装置96に向けて搬送される方向を「搬送方向」という。搬送方向は、長手方向に沿った方向となる。
【0036】
エンボス加工装置50は、エンボス加工型60と、エンボス受型80と、加熱部90を備える。エンボス加工型60は、ロール形状を有する。この場合、エンボス加工型60は、エンボスロールと称されることもある。エンボス受型80は、ロール形状を有する。この場合、エンボス受型80は、受けロール又はバックアップロールと称されることもある。
【0037】
エンボス加工型60及びエンボス受型80は、配置方向に並んで設けられる。エンボス加工型60は、配置方向の第五側に設けられる。エンボス受型80は、配置方向の第六側に設けられる。実施形態では、配置方向を鉛直方向とし、搬送方向を水平方向とする。また、配置方向の第五側を鉛直方向の上側とし、配置方向の第六側を鉛直方向の下側とする。この場合、基材20の厚さ方向(凹部30の深さ方向)は、鉛直方向に一致する。エンボス加工型60のシャフト62及びエンボス受型80のシャフト82は、平行な状態となる。エンボス加工型60の幅方向(
図7参照)及びエンボス受型80の幅方向は、短手方向に一致する。短手方向の第三側及び第四側に準じ、幅方向の一方側を「第三側」といい、幅方向の他方側を「第四側」という。幅方向の第三側は、短手方向の第三側に対応し、幅方向の第四側は、短手方向の第四側に対応する。配置方向は、鉛直方向とは異なる方向としてもよい。搬送方向は、水平方向とは異なる方向としてもよい。搬送方向は、配置方向に対して直交する方向とするとよい。
【0038】
エンボス加工型60は、シャフト62を回転軸として、搬送方向に対応する方向に回転する。エンボス加工型60には、駆動部からの駆動力が付与される。駆動部は、シャフト62に取り付けられる。これに伴い、エンボス加工型60は、前述したように回転する。
図6では、駆動部の図示は、省略されている。駆動部としては、モータが例示される。
図6に示す次の矢印は、エンボス加工型60の回転方向を示す。前述の矢印は、エンボス加工型60の内部に示す片矢の矢印である。エンボス加工型60は、公知のエンボス加工型と同様の材料にて形成される。例えば、エンボス加工型60は、金属製とされる。エンボス加工型60を形成する金属としては、鋼材が例示される。
【0039】
エンボス加工型60は、型部70を含む(
図6,7参照)。型部70は、凹部30に対応する形状を有する。エンボス加工方法の実施時、型部70は、基材20の表面に接し、基材20の表面を押圧する(
図6参照)。これに伴い、型部70は、基材20の表面に凹部30を形成する。型部70は、4種類の凹凸部Kを含む(
図6,7参照)。実施形態では、4種類の凹凸部Kを「凹凸部K1」、「凹凸部K2」、「凹凸部K3」及び「凹凸部K4」という。凹凸部K1,K2,K3,K4は、それぞれ異なる凹凸部Kである。凹凸部K1,K2,K3,K4を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「凹凸部K」という。凹凸部K1,K2,K3,K4は、型部70の外面Jに設けられる(
図7参照)。外面Jは、頂面J0と、第三壁面J1と、第四壁面J2を含む。頂面J0、第三壁面J1及び第四壁面J2は、外面Jを形成する。頂面J0は、型部70の天面であり、底面E0に対応する。第三壁面J1は、領域M1を含む。第四壁面J2は、領域M2を含む。領域M1,M2については、後述する。
【0040】
凹凸部K1は、凹凸模様F1に対応する。そのため、凹凸部K1は、凹凸模様F1に対応する凹凸状の形状を有する。化粧シート10では、凹部30は、底面E0の領域G1に凹凸模様F1を含む(
図2,4,5参照)。従って、型部70では、凹凸部K1は、頂面J0で領域G1に対応する領域L1に設けられる(
図7参照)。領域L1は、頂面J0の幅方向の中央領域である。この中央領域は、頂面J0の幅方向の中心位置を含む。
【0041】
凹凸部K2は、凹凸模様F2に対応する。そのため、凹凸部K2は、凹凸模様F2に対応する凹凸状の形状を有する。化粧シート10では、凹部30は、底面E0の領域G2,G3に凹凸模様F2を含む(
図2,4,5参照)。従って、型部70では、凹凸部K2は、頂面J0で領域G2,G3に対応する領域L2,L3に設けられる(
図7参照)。領域L2,L3は、頂面J0のうち、領域L1の幅方向の第三側及び第四側となる領域である。実施形態では、領域L2は,領域L1の幅方向の第三側となり、領域L3は、領域L1の幅方向の第四側となる。
【0042】
凹凸部K3は、凹凸模様F3に対応する。そのため、凹凸部K3は、凹凸模様F3に対応する凹凸状の形状を有する。化粧シート10では、凹部30は、第一壁面E1の全領域に凹凸模様F3を含む(
図2,4,5参照)。従って、型部70では、凹凸部K3は、第三壁面J1で第一壁面E1に対応する領域M1に設けられる(
図7参照)。領域M1は、第三壁面J1の一部の領域である。領域M1は、第三壁面J1の幅方向の全体を含み、周方向において頂面J0と繋がる。周方向は、シャフト62を中心とする円周方向である。周方向は、エンボス加工型60の回転方向及びこれとは反対の方向に一致する。周方向は、長手方向に対応する。
【0043】
凹凸部K4は、凹凸模様F4に対応する。そのため、凹凸部K4は、凹凸模様F4に対応する凹凸状の形状を有する。化粧シート10では、凹部30は、第二壁面E2の全領域に凹凸模様F4を含む(
図2,4,5参照)。従って、型部70では、凹凸部K4は、第四壁面J2で第二壁面E2に対応する領域M2に設けられる(
図7参照)。領域M2は、第四壁面J2の一部の領域である。領域M2は、第四壁面J2の幅方向の全体を含み、周方向において頂面J0と繋がる。
図7で第四壁面J2に示す2点鎖線は、次の境界を示す説明用の図示である。前述の境界は、周方向で頂面J0とは反対側となる領域M2の境界である。
【0044】
化粧シート10では、複数の凹部30が長手方向に所定の間隔Wで繰り返される(
図1,4参照)。従って、エンボス加工型60では、複数の凹部30の配置に対応させ、型部70が周方向に所定の間隔で繰り返される(
図6参照)。複数の型部70の周方向の間隔は、間隔Wに対応する。
【0045】
エンボス受型80は、シャフト82を回転軸として、搬送方向に対応する方向に回転する。エンボス受型80の回転方向は、エンボス加工型60の回転方向とは反対となる。エンボス受型80は、基材20の裏面に接する。エンボス加工装置50では、エンボス加工型60及びエンボス受型80は、基材20を挟み込む。エンボス受型80は、基材20の裏面に接した状態で、エンボス加工型60の回転に従動して回転する。
図6に示す次の矢印は、エンボス受型80の回転方向を示す。前述の矢印は、エンボス受型80の内部に示す片矢の矢印である。
【0046】
エンボス受型80は、樹脂製の弾性部84を含む。弾性部84は、本体部86の外周面に設けられる。弾性部84は、本体部86の外周面で本体部86と一体をなす。本体部86には、シャフト82が固定される。本体部86は、エンボス加工型60と同様の材料で形成される。弾性部84では、次の面が平滑面となる。前述の面は、エンボス受型80の外周面となる弾性部84の外周面である。実施形態では、「平滑」は、例えば、高低のない状態、又は凹凸のない状態を意味する。従って、「平滑面」は、例えば、平滑な平面と、平滑な曲面と、平滑な傾斜面を含む。ロール形状のエンボス受型80では、弾性部84の外周面は、平滑な曲面となる。
【0047】
弾性部84は、公知の樹脂により形成される。但し、弾性部84は、硬さがD95以下の樹脂により形成するとよい。好ましくは、弾性部84は、硬さがA90以下の樹脂により形成するとよい。より好ましくは、弾性部84は、硬さがA70以下の樹脂により形成するとよい。前述の各値は、次に示す硬さ試験方法にて取得される硬さの平均値である。前述の硬さ試験方法は、JIS K6253−3:2012(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ)に準拠して実施される。タイプA,Dの相違に伴う硬さ試験方法の違いは、試験機であり、試験片形状、試験環境、試験時間及び試験点数は、同じである。
[硬さ試験方法]
試験機
タイプD:タイプDデュロメータ(高分子計器株式会社 デジタルゴム硬度計DD4−D型)
タイプA:タイプAデュロメータ(高分子計器株式会社 デジタルゴム硬度計DD4−A型)
試験片形状(横×縦×厚さ):40mm×60mm×11mm
試験環境(温度,相対湿度):23±2℃,50±5%RH
測定時間:瞬間
測定点数:5点
弾性部84を硬さがD95以下の樹脂により形成することで、次のような効果を得ることができる。即ち、エンボス加工装置50では、基材20がエンボス加工型60とエンボス受型80の間を通過する際、弾性部84が変形する。この場合、弾性部84の変形は、弾性変形である。弾性部84の変形により、基材20の裏面に接する弾性部84の領域を増加させることができる。これに伴い、型部70に合致した形状の凹部30を化粧シート10の表面に再現することができる。凹部30では、内面Eのテカリを抑制することができる。
図6では、弾性部84の図示は、簡略化されている。
図6では、弾性部84は、前述の変形が生じた状態では、図示されていない。
【0048】
弾性部84を形成する樹脂としては、硬さがD95以下である次の樹脂が採用される。前述の樹脂としては、ゴム、熱可塑性エラストマー又はプラスチックが例示される。発明者は、前述の各樹脂のうち、ゴムが好ましいと考える。ゴムとしては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロブレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム又は天然ゴムが例示される。発明者は、耐熱性の点で、シリコーンゴム又はフッ素ゴムが好ましいと考える。発明者は、耐久性の点で、ニトリルゴム、ウレタンゴム又は天然ゴムが好ましいと考える。発明者は、前述の各ゴムのうち、汎用性の点で、シリコーンゴムが好ましいと考える。シリコーンゴムは、前述したように耐熱性に優れた特性を有する。シリコーンゴムは、安価である。弾性部84を形成するゴムは、前述の複数のゴムを含む群から選ばれる1種又は2種以上のゴムとしてもよい。この他、弾性部84を形成するゴムは、純ゴムとしてもよい。但し、このゴムには、公知の添加剤を1種又は複数種含めてもよい。前述の添加剤としては、充填剤、可塑剤、加硫剤又は老化防止剤が例示される。
【0049】
加熱部90は、エンボス加工型60に設けられる。加熱部90は、エンボス加工型60の内部に埋め込まれる。加熱部90は、電気ヒータである。実施形態では、エンボス加工型60に対し、4個の加熱部90が等角度間隔で埋め込まれている。但し、加熱部90は、電気ヒータとは異なる種類の加熱部としてもよい。加熱部90の数は、3個以下又は5個以上としてもよい。加熱部90の種類及び数は、諸条件を考慮して適宜決定される。エンボス加工型60における加熱部90の配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0050】
加熱部90は、エンボス加工型60を所定の温度に加熱する。前述の温度は、基材20の種類に応じて適宜設定される。例えば、前述の温度は、第一シート22及び第二シート24の一方又は両方の材質を考慮して適宜設定される。第一シート22がポリエチレンテレフタレートであるとする。ポリエチレンテレフタレートの融点は、260℃である。この場合、加熱部90は、エンボス加工型60を60〜260℃の範囲の所定値に加熱する。好ましくは、加熱部90は、エンボス加工型60を60〜220℃の範囲の所定値に加熱する。より好ましくは、加熱部90は、エンボス加工型60を130〜210℃の範囲の所定値に加熱する。
【0051】
<エンボス加工方法>
エンボス加工方法について、
図1〜6を参照して説明する。エンボス加工方法は、エンボス加工装置50で実施される。エンボス加工方法は、供給工程と、エンボス工程と、回収工程を含む(
図6参照)。エンボス加工方法により、
図3の基材20から
図1の化粧シート10が製造される。従って、エンボス加工方法は、化粧シート10の製造方法ともいえる。エンボス加工方法では、基材20を搬送方向に連続的に搬送しつつ、供給工程、エンボス工程及び回収工程が順次連続的に実施される。供給工程は、連続的に実施される。エンボス工程は、連続的に実施される。回収工程は、連続的に実施される。エンボス加工装置50では、エンボス加工方法が実施される場合、エンボス加工型60用の駆動部は、連続的に駆動する。
【0052】
エンボス加工方法では、基材20を押圧することで、凹部30が基材20の表面に形成される(
図3,1参照)。加熱部90は、エンボス加工型60を加熱する。エンボス加工方法は、エンボス加工型60が所定の温度に加熱された状態で実施される。エンボス加工装置50では、加熱部90のような加熱部は、エンボス受型80には設けられない。従って、エンボス加工方法では、エンボス受型80は、直接的には加熱されない。但し、エンボス加工装置50では、エンボス受型80に加熱部を設けてもよい。これにより、エンボス加工方法を、エンボス受型80が加熱部によって所定の温度に加熱された状態で実施することができる。エンボス受型80に加熱部を設ける場合、この加熱部により加熱されるエンボス受型80の温度は、諸条件を考慮して適宜設定される。エンボス受型80に加熱部を設けるか否かは、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0053】
エンボス加工方法の実施に先立ち、エンボス加工装置50は、次の位置が次の第一状態となるように調整される。前述の位置は、基材20の表面に対するエンボス加工型60の配置方向の位置である。第一状態は、基材20がエンボス加工型60とエンボス受型80の間を通過する際、ベース面64が基材20の表面に接しない状態である。ベース面64は、エンボス加工型60の外周面で、型部70が設けられていない領域である。換言すれば、ベース面64は、エンボス加工型60の外周面で、周方向に隣り合う2個の凸状の型部70の間の底側となる領域である。前述の底側は、ロール状であるエンボス加工型60の径方向を基準とした場合、中心側(シャフト62の側)となる。
【0054】
この他、エンボス加工装置50は、次の第二状態及び第三状態にするとよい。第二状態は、型部70が弾性部84に食い込むこととなる状態である(
図6で配置方向の第六側に示す「型部70」参照)。第三状態は、次の寸法が基材20の厚さより大きくなる状態である。前述の寸法は、ベース面64とエンボス受型80の外周面の間の配置方向の寸法である。第二状態及び第三状態のエンボス加工装置50でエンボス加工方法を実施することで、内面E全体の形状を明瞭にすることができる。即ち、底面E0、第一壁面E1及び第二壁面E2の形状を明瞭にすることができる。これに伴い、化粧シート10の意匠性を向上させることができる。
【0055】
供給工程は、エンボス加工装置50に基材20を供給する工程である(
図6参照)。即ち、供給工程では、供給装置95から基材20が繰り出される。供給装置95から繰り出された基材20は、搬送方向に搬送され、エンボス加工装置50に到達する。
【0056】
エンボス工程は、基材20の表面に複数の凹部30を形成する工程である(
図6参照)。エンボス工程では、エンボス加工装置50に到達した基材20にエンボス加工が施される。基材20の表面では、長手方向の所定の範囲が凹凸模様Fを含む内面Eへと形成される(
図2,4参照)。即ち、エンボス工程では、次の第一態様の第二壁面E2が形成され、次の第二態様の底面E0が形成され、次の第三態様の第一壁面E1が形成される(
図2,4,5参照)。第一態様は、全領域に凹凸模様F4を含む態様である。第二態様は、領域G1に凹凸模様F1を含み且つ領域G2,G3に凹凸模様F2を含む態様である。第三態様は、全領域に凹凸模様F3を含む態様である。
【0057】
エンボス工程では、搬送方向に搬送される基材20は、搬送途中に、エンボス加工型60とエンボス受型80の間を通過する(
図6参照)。このとき、基材20は、裏面で弾性部84に接し、裏側からエンボス受型80に支持される。基材20は、表面で型部70に接し、型部70によって押圧される。基材20は、加熱部90によって加熱されたエンボス加工型60からの熱によって加熱される。型部70は、基材20に食い込む。その際、凹凸部Kでは、最初に、凹凸部K4が基材20に食い込み、次に、凹凸部K1及び2個の凹凸部K2が基材20に食い込み、最後に、凹凸部K3が基材20に食い込む。エンボス工程により、基材20は、化粧シート10へと形成される(
図3,1参照)。エンボス工程では、基材20は、表面がベース面64に接触することなく、エンボス加工型60とエンボス受型80の間を通過する。
【0058】
回収工程は、エンボス加工装置50を通過した基材20を回収する工程である(
図6参照)。即ち、回収工程では、化粧シート10が回収装置96によってエンボス加工装置50から回収される。
【0059】
エンボス加工方法では、基材20の搬送速度は、0.1〜10m/分の範囲の所定値とするとよい。好ましくは、基材20の搬送速度は、0.3〜5m/分の範囲の所定値とするとよい。基材20の搬送速度を0.1m/分以上とすることで、次のような不具合が内面Eに発生することを防止することができる。前述の不具合は、テカリと、変色と、破れである。このことは、化粧シート10の裏面についても同様である。更に、基材20の搬送速度を0.1m/分以上とすることで、エンボス受型80がエンボス加工型60からの熱によって変形することを抑制することができる。基材20の搬送速度を10m/分以下とすることで、基材20がエンボス加工型60とエンボス受型80の間を通過する際、基材20に押圧力を適切に作用させることができる。基材20の表面に十分な凹部30を形成することができる。
【0060】
エンボス工程では、基材20の押圧時間は、0.01〜5秒の範囲の所定値とするとよい。好ましくは、基材20の押圧時間は、0.1〜2秒の範囲の所定値とするとよい。基材20の押圧時間は、型部70の形状を考慮して適宜設定される。基材20の押圧時間を0.01秒以上とすることで、基材20がエンボス加工型60とエンボス受型80の間を通過する際、基材20に押圧力を適切に作用させることができる。基材20の表面に十分な凹部30を形成することができる。基材20の押圧時間を5秒以下とすることで、次のような不具合が内面Eに発生することを防止することができる。前述の不具合は、テカリと、変色と、破れである。このことは、化粧シート10の裏面についても同様である。更に、基材20の押圧時間を5秒以下とすることで、エンボス受型80がエンボス加工型60からの熱によって変形することを抑制することができる。
【0061】
エンボス工程では、基材20の押圧力は、200〜2000N/cmの範囲の所定値とするとよい。基材20の押圧力を200N/cm以上とすることで、基材20がエンボス加工型60とエンボス受型80の間を通過する際、基材20に押圧力を適切に作用させることができる。基材20の表面に十分な凹部30を形成することができる。基材20の押圧力を2000N/cm以下とすることで、次のような不具合が内面Eに発生することを防止することができる。前述の不具合は、テカリと、変色と、破れである。このことは、化粧シート10の裏面についても同様である。更に、基材20の押圧力を2000N/cm以下とすることで、エンボス受型80がエンボス加工型60からの熱によって変形することを抑制することができる。
【0062】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0063】
(1)化粧シート10は、基材20と、凹部30を含む(
図1,2,4,5参照)。凹部30は、基材20の表面に設けられる。凹部30は、内面Eに凹凸模様F1,F2,F3,F4を含む。即ち、凹部30では、凹凸模様F1が底面E0の領域G1に設けられる。また、凹凸模様F2が底面E0の領域G2,G3に設けられる。更に、凹凸模様F3が第一壁面E1の全領域に設けられる。更にまた、凹凸模様F4が第二壁面E2の全領域に設けられる。
【0064】
そのため、領域G1及び領域G2,G3での光の反射を異なる状態とすることができる。また、領域G1及び第一壁面E1での光の反射を異なる状態とし、領域G1及び第二壁面E2での光の反射を異なる状態とすることができる。更に、領域G2,G3及び第一壁面E1での光の反射を異なる状態とし、領域G2,G3及び第二壁面E2での光の反射を異なる状態とすることができる。更にまた、第一壁面E1及び第二壁面E2での光の反射を異なる状態とすることができる。化粧シート10の表面を2以上の異なる方向から一見した場合、化粧シート10の看者を、同一の凹部30を異なる凹部であると錯覚させることができる。各種の錯覚作用に対応することができる。化粧シート10のデザインバリエーションを豊富化することができる。所定の製品の表地となる新たな化粧シート10を得ることができる。
【0065】
(2)エンボス加工装置50は、エンボス加工型60と、エンボス受型80と、加熱部90を備える(
図6参照)。エンボス加工型60では、型部70は、凹凸部Kとして、4種類の凹凸部K1,K2,K3,K4を含む(
図6,7参照)。凹凸部K1は、凹凸模様F1に対応し、頂面J0の領域L1に設けられる。凹凸部K2は、凹凸模様F2に対応し、頂面J0の領域L2,L3に設けられる。凹凸部K3は、凹凸模様F3に対応し、第三壁面J1の領域M1に設けられる。凹凸部K4は、凹凸模様F4に対応し、第四壁面J2の領域M2に設けられる。エンボス加工装置50は、エンボス加工方法を実施する。そのため、エンボス加工装置50によって化粧シート10を製造することができる。
【0066】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0067】
(1)凹部30は、底面E0に凹凸模様F1,F2を含み、第一壁面E1に凹凸模様F3を含み、第二壁面E2に凹凸模様F4を含む(
図2,4,5参照)。即ち、凹部30では、凹凸模様F1,F2,F3,F4の何れかの凹凸模様Fが内面Eの全領域に設けられる。凹部の内面の一部の領域では、凹凸模様Fは、省略してもよい。この場合、凹凸模様Fが省略された内面の領域は、平滑な状態となる。エンボス加工型では、型部は、凹部に対応する形状とされる。
【0068】
(2)凹部30は、底面E0を含む(
図2,4,5参照)。化粧シートでは、凹部は、底面を含まない凹部としてもよい。底面を含まない凹部としては、錐状の凹部が例示される。凹部が角錐状である場合、この凹部の内面は、複数の壁面によって形成される。凹部が円錐状である場合、この凹部の内面は、1個の壁面によって形成される。この他、底面を含まない凹部としては、半球状の凹部又は基材20を厚さ方向に貫通する凹部(貫通孔)が例示される。エンボス加工型では、型部は、凹部に対応する形状とされる。
【0069】
(3)エンボス加工装置50では、エンボス加工型60及びエンボス受型80は、ロール形状を有し、搬送方向に対応する方向に回転自在に支持される(
図6参照)。エンボス加工型及びエンボス受型は、ロール形状とは異なる形状としてもよい。例えば、エンボス加工型60及びエンボス受型80は、
図8に示すように、平板状の形状としてもよい。
図8では、
図6との対応を明らかにするため、各部に対する符号は、上記と同様としている。
図8のエンボス加工装置50では、
図6のエンボス加工装置50と同様、配置方向は、鉛直方向となり、搬送方向は、水平方向となる。
図8では、
図6と同様、次の各部の図示は、簡略化されている。前述の各部は、基材20及び化粧シート10と、供給装置95と、回収装置96である。
【0070】
図8のエンボス加工装置50で実施されるエンボス加工方法では、エンボス加工型60は、エンボス受型80に対して相対的に往復移動する。この相対的な往復移動では、配置方向の第五側から第六側への移動及び配置方向の第六側から第五側への移動が繰り返される。基材20は、エンボス加工型60がエンボス受型80に対して配置方向の第五側に移動した状態で、搬送方向に間欠的に搬送される。1回の搬送量は、間隔W(
図1,4参照)に一致した量とされる。
【0071】
エンボス加工型60には、加熱部90が設けられる。エンボス加工方法の実施時、加熱部90は、エンボス加工型60を加熱する。エンボス受型80には、加熱部は、設けられない。エンボス受型80では、次の面は、平滑な平面となる。前述の面は、エンボス受型80の外面となる弾性部84の外面である。弾性部84は、本体部86の外面に設けられる。エンボス加工型60が配置方向の第六側に移動した状態で、基材20は、エンボス加工型60及びエンボス受型80によって挟み込まれる。基材20は、裏面で弾性部84に接し、裏側からエンボス受型80に支持される。基材20は、表面で型部70に接し、型部70によって押圧される。型部70は、凹凸部Kとして、4種類の凹凸部K1,K2,K3,K4を含む(
図9参照)。凹凸部K1,K2,K3,K4は、基材20に食い込む。これに伴い、基材20の表面には、上記同様、凹部30が形成される。但し、
図8では、凹部30の図示は、省略されている。
【0072】
エンボス加工型60とエンボス受型80の相対的な移動は、エンボス受型80の位置を固定した状態で、エンボス加工型60を配置方向に往復移動させるとよい(
図8参照)。但し、エンボス加工型60とエンボス受型80の相対的な移動は、これとは異なる態様としてもよい。例えば、エンボス加工型60とエンボス受型80の相対的な移動は、エンボス加工型60及びエンボス受型80をそれぞれ配置方向に往復移動させて行うようにしてもよい。エンボス加工装置では、エンボス加工型及びエンボス受型は、例えば、次のようにしてもよい。即ち、エンボス加工装置は、ロール形状のエンボス加工型60(
図6参照)と、平板状のエンボス受型80(
図8参照)を備えるようにしてもよい。
【0073】
(4)エンボス受型80では、弾性部84は、本体部86の外周面に設けられる(
図6参照)。エンボス受型では、本体部86は、省略してもよい。ロール形状のエンボス受型で本体部86が省略される場合、シャフトは、弾性部に固定される。エンボス受型では、シャフトも、弾性部と同じ材料で形成してもよい。この他、エンボス受型では、弾性部84は、省略してもよい。例えば、エンボス受型は、弾性部84を含まない金属製としてもよい。