(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
本体と、この本体に対して開閉方向へ移動する引出を有し、所定以上の震動を受けたときに前記引出が前記本体から開かないようにする耐震ラッチ装置が取り付けられた耐震ラッチ機能付き引出装置であって、
前記引出の側面には開閉方向に延びるパイプ材が設けられ、前記引出の底板と前記パイプ材との間が開口しており、
前記耐震ラッチ装置は、
前記本体側に設けられ、震動によって引出側に向けて突出するラッチ体を有する耐震ラッチ本体と、
前記引出側に設けられ、突出する前記ラッチ体と係合するラッチ係合部を有し、前記パイプ材と接する態様で前記パイプ材に沿って取り付けられるラッチ受け具と
を備え、
前記ラッチ受け具には、前記パイプ材を挟み込むようにして固定する蓋部が設けられていることを特徴とする耐震ラッチ機能付き引出装置。
本体と、この本体に対して開閉方向へ移動する引出を有し、所定以上の震動を受けたときに前記引出が前記本体から開かないようにする耐震ラッチ装置が取り付けられた耐震ラッチ機能付き引出装置であって、
前記引出の側面には開閉方向に延びるパイプ材が設けられ、前記引出の底板と前記パイプ材との間が開口しており、
前記耐震ラッチ装置は、
前記本体側に設けられ、震動によって引出側に向けて突出するラッチ体を有する耐震ラッチ本体と、
前記引出側に設けられ、突出する前記ラッチ体と係合するラッチ係合部を有し、前記パイプ材と接する態様で前記パイプ材に沿って取り付けられるラッチ受け具と
を備え、
前記ラッチ受け具は、前記パイプ材を上下方向に対して挟み込むパイプキャッチ部材と、前記パイプキャッチ部材に取り付けられ、前記パイプ材を左右方向に対して挟み込む挿入プレートとを備えたことを特徴とする耐震ラッチ機能付き引出装置。
本体と、この本体に対して開閉方向へ移動する引出を有し、所定以上の震動を受けたときに前記引出が前記本体から開かないようにする耐震ラッチ装置が取り付けられた耐震ラッチ機能付き引出装置であって、
前記引出の側面には開閉方向に延びるパイプ材が設けられ、前記引出の底板と前記パイプ材との間が開口しており、
前記耐震ラッチ装置は、
前記本体側に設けられ、震動によって引出側に向けて突出するラッチ体を有する耐震ラッチ本体と、
前記引出側に設けられ、突出する前記ラッチ体と係合するラッチ係合部を有し、前記パイプ材と接する態様で前記パイプ材に沿って取り付けられるラッチ受け具と
を備え、
前記ラッチ受け具は、前記パイプ材に上側から引っ掛けて固定するためのフック部を備えたことを特徴とする耐震ラッチ機能付き引出装置。
本体と、この本体に対して開閉方向へ移動する引出を有し、所定以上の震動を受けたときに前記引出が前記本体から開かないようにする耐震ラッチ装置が取り付けられた耐震ラッチ機能付き引出装置であって、
前記引出の側面には開閉方向に延びるパイプ材が設けられ、前記引出の底板と前記パイプ材との間が開口しており、
前記耐震ラッチ装置は、
前記本体側に設けられ、震動によって引出側に向けて突出するラッチ体を有する耐震ラッチ本体と、
前記引出側に設けられ、突出する前記ラッチ体と係合するラッチ係合部を有し、前記パイプ材と接する態様で前記パイプ材に沿って取り付けられるラッチ受け具と
を備え、
前記ラッチ受け具は、前記パイプ材に前記引出の左右方向の外側から押し込んで嵌合させるための嵌合爪を備えたことを特徴とする耐震ラッチ機能付き引出装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る耐震ラッチ機能付き引出装置について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る耐震ラッチを設けた引出装置の全体斜視図、
図2は、
図1の引出装置に使用される引出の斜視図である。
【0016】
なお、以下の説明で使用する「左側」「右側」「手前側」「奥側」「上側」「下側」の方向は、引出装置の引出を開閉方向の手前側から見た方向をいうものであり、詳細には、
図1で示す方向をいうものとする。
【0017】
図1で示す引出装置1は、例えば、キッチンなどで使用される収納用の引出であり、本体10から引出20を手前側に引き出して使用するものである。なお、引出装置1としては、事務机や収納用のキャビネットなど、その他の用途にも広く適用できるものである。
【0018】
本体10は、その前面が開口する中空箱形形状になっており、その前面以外が右側面部10a、左側面部10b、奥面部10c、天井部10d、および底面部10eで覆われている。そして、引出20を閉じた状態で、引出20の前板21が、その前面の開口を塞ぐように構成されている。
【0019】
この引出20は、
図2に示すように、前板21と、この前板21から奥側に向けて延びる底板22と、底板22の奥側端部から上方に延びる背面板23と、底板22から上方に離間した位置で、前板21から背面板23まで底板22に沿って略水平に延びる棒状の2本のパイプ材24とで構成されている。
【0020】
底板22および背面板23の左右方向の長さは、本体10内部の収納空間の左右方向の長さよりも小さく形成されており、この収納空間に収納可能である。また、2本のパイプ材24は、この底板22の左右方向の端部の上方にそれぞれ配置されている。
【0021】
また、背面板23の上下方向の長さは、本体10内部の収納空間の上下方向の長さの約半分の長さに形成されている。2本のパイプ材24は、この背面板23の上端部から前板21まで略水平に配置されている。この引出20は、本体10に設けられたガイドレール(図示せず)に沿って前後方向に容易に開閉できるようになっている。
【0022】
このような引出20は、従来の構造(特許文献1、2で開示される引出の構造)のものと比較して、収納空間の上下方向の約半分の長さしかないため、材料費を低く抑えることができるとともに、軽量で開閉操作がし易くなる。さらに、側面を板材で覆っていないため、とてもスリムな印象を受け、デザイン性に優れている。
【0023】
また、引出装置1には、
図1に示すように、手前側から見て右側の位置に、耐震ラッチ装置Lが取り付けられる。この耐震ラッチ装置Lは、本体10側に取り付けられる耐震ラッチ本体30と、引出20側に取り付けられるラッチ受け具40とで構成されている。
なお、耐震ラッチ装置Lは、手前側から見て左側の位置であって、本実施の形態の構造と左右対称に取り付けることもできる。
【0024】
図3は、引出装置の本体側に取り付けられる耐震ラッチ本体30を単体で示す斜視図であって、(A)はラッチ体31が突出していない状態、(B)はラッチ体31が突出している状態である。
耐震ラッチ本体30は、本体10の右側面部10aに形成された埋設凹部に埋め込まれ、ラッチ体31の表出面が右側面部10aの内面とほぼ同じ面を構成するようにして取り付けられる。この耐震ラッチ本体30は、上下に位置する2つの取付穴32、32にねじを挿通してねじ止めすることで固定されている。
【0025】
ラッチ体31は、その基端部31bに回動軸(図示せず)を有しており、この回動軸を中心に先端係止部31aが水平方向に回転して左側へ突出することができるようになっている(
図3(B)参照)。このラッチ体31の突出動作は、耐震ラッチ本体30の内部に設けられた感震体(図示せず)の動作に連動する。
なお、この耐震ラッチ装置Lの耐震ラッチ本体30の構造や、感震体の動作・作用については、従来技術(特許文献2参照)と同じであるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0026】
図4は、引出装置の引出に取り付けられるラッチ受け具40を単体で示す斜視図であって、斜め手前側から見た状態、
図5は、
図4のラッチ受け具40を斜め奥側から見た斜視図である。また、
図6は、ラッチ受け具40をパイプ材24に取り付けるための斜視図であって、(A)は固定前、(B)は固定後の状態である。
【0027】
ラッチ受け具40は、
図4〜
図6に示すように、右側に位置する本体部60と、その左側に位置する蓋部50とで構成されている。この蓋部50は、
図6(A)に示すように、ヒンジ51によって上下方向に回動して開閉できるようになっており、
図6(B)に示すように、この蓋部50と本体部60とでパイプ材24を左右から挟み込むようになっている。また、蓋部50と本体部60は、前後方向(開閉方向)に沿って長尺に形成されており、全体的にパイプ材24に沿うようにして配置されることになる。
【0028】
本体部60は、
図4および
図5に示すように、手前側に位置する取付面部61と、この取付面部61の奥側に位置する傾斜部62と、この傾斜部62の奥側に位置する係合部63とで構成されている。
【0029】
取付面部61は、
図4に示すように、上下方向に延びる板状に形成されており、その手前側に当接面61aが形成されている。また、当接面61aの上側および下側には、前後方向に貫通する取付穴61b、61bがそれぞれ形成されている。この当接面61aは、
図2に示すように、引出20の前板21の裏面と面で当接することにより、取付面部61の前後方向の取付位置が決定される。また、取付穴61b、61bには、取付ねじ61c、61cが挿通され、前板21に固定されるようになっている。
【0030】
傾斜部62は、取付面部61から奥側に向かって斜め左方向に傾斜しており、その右側に係合解除面62aが形成されている。この係合解除面62aは、上下方向に略垂直に形成され、傾斜部62に沿って奥側に向かって斜め左方向に傾斜する平面である。
【0031】
係合部63は、係合解除面62aの奥側の終端からさらに奥側に向かって延びる平面部64と、この平面部64の上下端部から右側に向けてそれぞれ突出する上下面部65、65と、これらの上下面部65、65を繋ぐようにして上下に連続して延びるラッチ係合部66および補助係合部67とで構成されている。
【0032】
平面部64は、上下方向に略垂直に形成され、開閉方向に沿って係合部63の奥側終端まで延びている。また、上下面部65、65も同様に、平面部64の上下を囲うようにして係合部63の奥側終端まで延びている。
【0033】
補助係合部67は、ラッチ係合部66よりも奥側に設けられている。また、ラッチ係合部66と補助係合部67との間には、ラッチ係合部66から補助係合部67に向かうに従い左側へ直線的に傾斜する係合解除部69が設けられている。この係合解除部69は、平面部64から右側に突出する板状のリブであり、上面視で直角3角形に形成されている。この係合解除部69は、ラッチ係合部66に対して奥側に向けて力が作用したときに、その力を受けるための補強になる。
【0034】
また、補助係合部67のさらに奥側には、補助係合部67の奥側に延びる確認用突部68が形成されている。この確認用突部68は、上下方向の中央部に配置されている。この確認用突部68は、補助係合部67に対して奥側に向けて力が作用したときに、その力を受けるための補強になる。この確認用突部68、および、上下面部65、65、ラッチ係合部66、補助係合部67は、平面部64から右側へ突出している長さが全て同一になるように形成されている。
【0035】
また、平面部64には、この平面部64を左右方向に貫通する4つの角穴64aがそれぞれ設けられている。この角穴64aは、平面部64の上側および下側に2つずつ形成されている。
【0036】
また、係合部63の平面部64を挟んだ裏側(平面部64の左側)には、
図6(A)に示すように、パイプ材24を挟持するための空間が形成されている。この空間内には、複数のリブ72が前後方向に間隔を空けて設けられており、これらのリブ72には、パイプ材24の円柱状の外周形状に合わせて半円弧状に形成された半円状溝72aがそれぞれ形成されている。また、係合部63の手前側および奥側の端部の外壁部にも、同様に半円状溝70、71がそれぞれ形成されている。
【0037】
同様に、蓋部50の内部空間にも複数のリブ54が設けられ、これらのリブ54には半円状溝54aがそれぞれ形成されている。また、蓋部50の手前側および奥側の端部の外壁部にも同様に、半円状溝52、53がそれぞれ形成されている。
【0038】
また、蓋部50には、
図6(A)に示すように、蓋部50を閉めたとき(
図6(B)の状態)に、上述した平面部64の4つの角穴64aにそれぞれ係止される4つの係止爪55がそれぞれ設けられている。これらの係止爪55は、弾性によって撓むことで係止或いは係止解除されるようになっている。
さらに、蓋部50には、
図6(B)に示すように、蓋部50を閉じたときの上面部分に取り外し用穴56が形成されている。
【0039】
一方、この耐震ラッチ装置Lは、本体10と引出20を組み付けた状態で、耐震ラッチ装置Lが正常に動作するかを確認する必要がある。しかしながら、組立作業時に地震相当の震動を与えて確認することは生産効率が悪い。そのため、耐震ラッチ装置Lの動作確認用に治具80を使用して確認している。
図7は、耐震ラッチ本体30に動作確認用の治具80を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0040】
この治具80は、平板状の板金を折り曲げ加工することで形成されており、平面部83と、この平面部83の上下を右側に向けて折り曲げた取付爪81、81と、平面部83の奥側を左側に向けて折り曲げた2つの確認用爪82、82とで構成されている。この治具80は、上下方向に対称になっている。
【0041】
取付爪81、81は、ラッチ体31の上下端部の隙間に嵌まるようにして形成されている。この取付爪81、81を嵌め込んだ状態で、平面部83がラッチ体31の平面と面で接するようになっている。
確認用爪82、82は、ラッチ体31が突出したときの突出長さと等しい長さに折り曲げられており、ラッチ体31が突出している状態を擬似的に作り出すことができるようにしている。また、確認用爪82、82は、上下方向に所定の間隔を空けて設けられている。
【0042】
治具80の使用方法としては、まず、治具を耐震ラッチ本体30に取り付け(
図7の状態)、引出20を本体10に差し入れて閉める方向に移動させる。このとき、2つの確認用爪82、82は、ラッチ受け具40の確認用突部68の上側および下側をそれぞれ通過する。ここで、確認用爪82が確認用突部68と当接するようであれば、上下方向の調整が必要であることが確認される。この場合、取付面部61の上下方向に延びる取付穴61bに沿ってラッチ受け具40の位置調整を行う。
【0043】
2つの確認用爪82、82は、ラッチ受け具40の確認用突部68を通過した後、補助係合部67と当接することで、突出した場合のラッチ体31が正常に係合することになり、耐震ラッチ装置Lが正常に動作することが確認される。このとき、確認用爪82が補助係合部67と当接しない場合には、左右方向の調整が必要であることが確認される。この場合、耐震ラッチ本体30の取付部分でシム調整を行う。
【0044】
次に、本発明の実施の形態に係る耐震ラッチ機能付き引出装置の組立方法について詳細に説明する。
本体10側に取り付けられる耐震ラッチ本体30は、
図1に示すように、本体10の右側面部10aの内側面に形成された埋設凹部(図示せず)に埋め込まれ、取付ねじで固定される。このように埋設凹部に埋め込むことにより、耐震ラッチ本体30の上下、左右、前後の取付位置が1つに決定される。
【0045】
一方、ラッチ受け具40は、
図6(A)、(B)に示すように、ラッチ受け具40の本体部60と蓋部50で挟み込むようにして取り付ける。その後、ラッチ受け具40を手前側にスライドさせて、
図1に示すように、取付面部61の当接面61aを引出20の前板21の裏面と当接させ、取付ねじ61cで固定する。
【0046】
このように、パイプ材24に沿うようにして取り付けることで、ラッチ受け具40の上下、左右の取付位置が決定され、かつ、当接面61aを前板に突き当てて取り付けることで、ラッチ受け具40の前後方向の取付位置が1つに決定される。
【0047】
一方、ラッチ受け具40を取り外す作業は、逆の手順をたどることで行うことができる。このとき、蓋部50を開く作業において、
図6(B)に示すように、取り外し用穴56にドライバーなどを差し込んで、てこの原理を利用して容易に開くことができるので、ラッチ受け具40を簡単に取り外すことができる。
【0048】
次に、耐震ラッチ装置Lの動作・作用について説明する。
耐震ラッチ装置Lは、地震などの震動に起因してラッチ体31の先端係止部31aが左側に突出したときに、この先端係止部31aがラッチ受け具40のラッチ係合部66と前後方向で係合し、引出20が手前側に移動できないようになる。また、先端係止部31aが突出した状態では、先端係止部31aが上下面部65によって上下方向にずれないようになっている。このとき、耐震ラッチ本体30とラッチ受け具40の前後、左右、上下方向の位置は、上述したように1つに決定されているので、取付誤差などで係合が不十分になることがない。
【0049】
また、先端係止部31aがラッチ係合部66と係合した状態では、地震などの震動の大きさによってラッチ受け具40を左側に押す大きな力が作用することがある。この力は、ラッチ係合部66に対し水平方向の左側に位置するパイプ材24で直接受けることができるので、ラッチ受け具40が撓むようなことがなく、かつ、その力に対する強度を確保することができる。
【0050】
さらに、ラッチ受け具40は、パイプ材24に沿って配置されているので、引出20のパイプ材24と底板22との間の空間(開口)がそのまま確保されることになる。そのため、空間部分を有するという引出20特有の機能や斬新な意匠性が損なわれることがない。
【0051】
一方、先端係止部31aとラッチ係合部66の係合した状態は、引出20を本体10に押し込み、引出20を閉じた状態に戻すことにより解除することができる。より詳細には、引出20を押し込むと、突出した先端係止部31a(
図6(B)の状態)がラッチ受け具40の係合解除面62aによって右側へと押し戻され、突出していない状態(
図6(A)の状態)にリセットされるようになる。
【0052】
また、感震体の動作のタイミングなどによって、先端係止部31aがラッチ係合部66と係合しなかった場合には、ラッチ係合部66の補助として設けた補助係合部67が先端係止部31aと係合するようにしている。先端係止部31aがこの補助係合部67と係合した場合であっても、ラッチ受け具40に作用する上述した大きな力は、パイプ材24で直接受けることができる。また、この係合の解除についても、引出20を押し込むことで先端係止部31aが係合解除部69によって右側へと押し戻され、突出していない状態にリセットされるようになる。
【0053】
本発明の実施の形態に係る耐震ラッチ機能付き引出装置によれば、本体10と、この本体10に対して開閉方向へ移動する引出20を有し、所定以上の震動を受けたときに引出20が本体10から開かないようにする耐震ラッチ装置Lが取り付けられるものであり、引出20の側面に開閉方向に延びるパイプ材24が設けられ、引出20の底板22とパイプ材24との間が開口しており、耐震ラッチ装置Lは、本体10側に設けられ、震動によって引出20側に向けて突出するラッチ体31を有する耐震ラッチ本体30と、引出20側に設けられ、突出するラッチ体31と係合するラッチ係合部66を有し、パイプ材24と接する態様でパイプ材24に沿って取り付けられるラッチ受け具40とを備えているので、ラッチ係合部66で受ける力をパイプ材24で直接受けることができる。そのため、この力でラッチ体31とラッチ係合部66との係合が外れるおそれがない。また、引出20の底板22とパイプ材24との間の空間を塞ぐことがないので、空間部分を有するという引出20の特有の機能や斬新な意匠性が損なわれることがない。
【0054】
また、ラッチ受け具40には、引出20の前側を構成する前板21に当接する取付面部61が形成され、取付面部61を前板21に当接した状態で固定しているので、ラッチ受け具40を引出20に取り付ける際に、前後方向(開閉方向)の取付位置が1つに決まるようになる。そのため、組立作業者が位置の調整作業を行う必要がない。
【0055】
さらに、ラッチ受け具40には、パイプ材24を挟み込むようにして固定する蓋部50が設けられているので、この蓋部50を閉じることで、ラッチ受け具40をパイプ材24に強固に固定することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態に係る耐震ラッチ機能付き引出装置について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、ラッチ受け具40に蓋部50を設け、蓋部50と本体部60とで挟み込むことでラッチ受け具40をパイプ材24に固定しているが、蓋部50を設けずに構成することができる。
【0057】
図8は、本発明の実施の形態の第1変形例であって、ラッチ受け具140の斜視図である。また、
図9は、ラッチ受け具40の第2変形例、
図10は第3変形例、
図11〜
図14は第4変形例である。なお、以下の説明では、本発明の実施の形態と異なる部分のみを説明し、同一の部分は同一の符号を付することで説明を省略する。
【0058】
図8で示すラッチ受け具140は、蓋部50の代わりに、パイプ材24に上側から引っ掛けるためのフック部170、171を設けたものである。このフック部170、171は、ラッチ受け具140の両端部に配置され、フック部170、171の内側には、パイプ材24の外周形状とほぼ同一の内径を有する円弧状の引っ掛け部170a、171aがその内側に形成されている。
【0059】
パイプ材24にフック部170、171が取り付けられたときには、引っ掛け部170a、171aの上側および左右両側がパイプ材24の外周と接し、ラッチ受け具140が左右方向にがたつきがない状態で固定される。また、フック部170、171の下側の開口側からパイプ材24を着脱できるようになっている。
【0060】
このようなフック部170、171でパイプ材24に固定したとしても、ラッチ受け具140の左右方向の位置は1つに決定され、かつ、耐震ラッチ装置Lが動作した時に生じる左方向への大きな力に対しても、ラッチ受け具140を介してパイプ材24で受けることができる。また、引出20のパイプ材24と底板22との間の空間がそのまま確保されることになるため、空間部分を有するという引出20特有の機能や斬新な意匠性を損なうことがない。
【0061】
図9で示すラッチ受け具240は、蓋部50の代わりに、パイプ材24に右側から押し込んで嵌合させるための嵌合爪270、271を設けたものである。この嵌合爪270、271は、ラッチ受け具240の両端部に配置され、嵌合爪270、271の内側には、パイプ材24の外周形状とほぼ同一の内径を有する円弧状の嵌合部270a、271aがその内側に形成されている。
【0062】
パイプ材24に嵌合爪270、271が取り付けられたときには、嵌合部270a、271aの上下側および右側がパイプ材24の外周と接し、かつ、嵌合爪270、271の先端部がパイプ材24の左側と接する。これにより、ラッチ受け具240が上下左右方向にがたつきがない状態で固定される。また、嵌合爪270、271の弾性を利用して左側からパイプ材24を着脱できるようになっている。
【0063】
このような嵌合爪270、271でパイプ材24に固定したとしても、ラッチ受け具240の上下左右方向の位置は1つに決定され、かつ、耐震ラッチ装置Lが動作した時に生じる左方向への大きな力に対しても、ラッチ受け具240を介してパイプ材24で受けることができる。また、引出20のパイプ材24と底板22との間の空間がそのまま確保されることになるため、空間部分を有するという引出20特有の機能や斬新な意匠性が損なわれることがない。
【0064】
図10で示すラッチ受け具340は、蓋部50を設けないで構成したものである。すなわち、このラッチ受け具340は、パイプ材24の側面と接しているだけでパイプ材24に固定されておらず、取付面部61が前板21に取付ねじ61cで固定されるだけである。このようにパイプ材24と固定していなくても、ラッチ受け具340の上下左右方向の位置は1つに決定され、かつ、耐震ラッチ装置Lが動作した時に生じる左方向への大きな力に対しても、ラッチ受け具340を介してパイプ材24で受けることができる。また、引出20のパイプ材24と底板22との間の空間がそのまま確保されることになるため、空間部分を有するという引出20特有の機能や斬新な意匠性を損なうことがない。
【0065】
図11は、本発明の第4変形例であって、ラッチ受け具440を引出側に取り付けた状態を示す斜視図、
図12は、
図11のA部の拡大図、
図13は、
図12で示すラッチ受け具の分解斜視図、
図14(A)(B)は、
図11〜
図13で示す挿入プレート446の取付位置をそれぞれ変えた状態を示す斜視図である。
【0066】
ラッチ受け具440は、パイプ材24への固定位置を左右方向で調整可能にしたものである。このラッチ受け具440は、本実施形態で示すラッチ受け具40の機能を有するラッチ受け具本体441と、ラッチ受け具本体441の左側に固定される補強板442と、パイプ材24を上下方向で保持するためのパイプキャッチ部材443と、パイプ材24を左右方向で保持するための挿入プレート446とで構成されている。
【0067】
ラッチ受け具本体441の左側には、その全面を覆うようにして補強板442が取り付けられている。また、ラッチ受け具本体441および補強板442には、それぞれを貫通する態様で2つの取付穴442aが、前後方向に間隔を空けて設けられている。この取付穴442aのいずれかには、右側から皿タッピングねじ(図示せず)が挿通され、パイプキャッチ部材443が固定される。この取付穴442aは、ラッチ受け具本体441のラッチ係合部66(
図4、
図5参照)のできるだけ近傍に配置されている。
【0068】
パイプキャッチ部材443は、左側が開口するコ字形状に形成されており、右側面に下穴443aが形成されている。この下穴443aに上述した皿タッピングねじが取り付けられる。このパイプキャッチ部材443が取り付けられた状態で、コ字形状の内側にパイプ材24が入るようになる。
【0069】
パイプキャッチ部材443には、コ字形状の上側面から下側面まで貫通する角形の上下挿通穴444、445がそれぞれ設けられている。詳細には、
図13に示すように、パイプキャッチ部材443の右側部分に一対の2つの上下挿通穴444、444が配置され、左側部分にも一対の2つの上下挿通穴445、445が設けられている。
また、パイプキャッチ部材443には、一対の上下挿通穴444、445の間に前後方向に連続する切り込み443bが入れられている。
【0070】
挿入プレート446は、下側が開口するコ字形状に形成されており、上下方向に延びる2つの挿入部446a、446aを備えている。この挿入プレート446は、一対の上下挿通穴444、445のいずれかに上側から挿入される。2つの挿入部446a、446aの左右方向の間隔は、パイプ材24の直径と同等に形成されている。
【0071】
ラッチ受け具440の組立手順、作用としては、まず、ラッチ受け具本体441にパイプキャッチ部材443を組み付けた状態で、パイプキャッチ部材443のコ字形状の内側でパイプ材24を上下に挟み込むように右側からスライド移動させる。そして、挿入プレート446のコ字形状の内側でパイプ材24を左右に挟み込むように上側から挿入する。このとき、挿入プレート446は、耐震ラッチ本体30とラッチ受け具440との左右方向の距離に合わせて、一対の上下挿通穴444、445のいずれかを選択することになる。最後に、取付面部61を前板21に取付ねじ61cを用いて固定する。
【0072】
このとき、挿入プレート446を右側に位置する一対の上下挿通穴444、444に挿入した場合、パイプキャッチ部材443の左側の部分(上下挿通穴445、445が設けられている部分)が左側に突出してしまい、引出20への収納の邪魔になる。そのため、切り込み443bを利用して、上側および下側の突出部分を折って取り除くようにする。
【0073】
この構造によれば、挿入プレート446の挿入箇所を適宜選択することで、左右方向の取付寸法の調整を行うことができる。また、ラッチ受け具440の上下左右方向の位置は1つに決定され、かつ、耐震ラッチ装置Lが動作した時に生じる左方向への大きな力に対しても、ラッチ受け具本体441、パイプキャッチ部材443、および挿入プレート446を介してパイプ材24で受けることができる。また、引出20のパイプ材24と底板22との間の空間がそのまま確保されることになるため、空間部分を有するという引出20特有の機能や斬新な意匠性を損なうことがない。