(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953018
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】フレキシブル回路基板及びフレキシブル回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20211018BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
H05K1/18 G
H05K3/32 B
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-508805(P2018-508805)
(86)(22)【出願日】2017年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2017007388
(87)【国際公開番号】WO2017169421
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-65009(P2016-65009)
(32)【優先日】2016年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】友岡 真一
【審査官】
齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許発明第19708615(DE,C1)
【文献】
米国特許第3832769(US,A)
【文献】
特開2001−308491(JP,A)
【文献】
特開平6−283894(JP,A)
【文献】
特開昭54−8871(JP,A)
【文献】
特開平2−152245(JP,A)
【文献】
特開2015−225961(JP,A)
【文献】
特開平5−114772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル回路シートにリードを有する電子部品を実装して形成されるフレキシブル回路基板であって、
前記フレキシブル回路シートは、
樹脂フィルムからなる基材と、
前記基材に形成された貫通孔と、
前記基材の一面側から前記貫通孔を覆う、導電性粒子がバインダーに分散した導電性ペーストを硬化させた印刷層からなる回路パターンとなる導電層と、
を有し、前記電子部品の前記リードが前記基材の他面側から前記貫通孔を通じて前記導電層上に載置されているとともに、前記貫通孔内には、導電性粒子がバインダーに分散して形成されている導電性接着剤が前記貫通孔の周縁から外側にはみ出さないように前記周縁まで充填されて硬化して前記電子部品を固定する導電性接着部が形成されているフレキシブル回路基板。
【請求項2】
前記導電層の前記基材側と反対側の表面を覆う第1保護層を有する請求項1記載のフレキシブル回路基板。
【請求項3】
前記導電性接着部と前記リードとの接着部分を覆う第2保護層を有する請求項1又は2記載のフレキシブル回路基板。
【請求項4】
前記貫通孔は前記導電層側に向かうに従い小さくなるように内周面が傾斜している請求項1乃至3の何れか1項記載のフレキシブル回路基板。
【請求項5】
前記貫通孔の周辺に突出部が形成されている請求項1乃至4の何れか1項記載のフレキシブル回路基板。
【請求項6】
前記導電層は導電性粒子がバインダーに分散してなり、前記導電層中の前記導電性粒子の含有量が85質量%以上96質量%以下である請求項1乃至5の何れか1項記載のフレキシブル回路基板。
【請求項7】
前記導電層の厚さが2μm以上50μm以下である請求項1乃至6の何れか1項記載のフレキシブル回路基板。
【請求項8】
前記基材の厚さが10μm以上200μm以下である請求項1乃至7の何れか1項記載のフレキシブル回路基板。
【請求項9】
フレキシブル回路シートにリードを有する電子部品を実装して形成されるフレキシブル回路基板の製造方法であって、
樹脂フィルムからなる基材の一面側に導電性粒子がバインダーに分散した導電性ペーストを印刷して硬化させた導電層を形成する工程と、
前記基材の他面側からレーザーを照射し前記基材に貫通孔を形成し前記導電層を露出する工程と、
前記貫通孔を通じて前記導電層に電子部品の前記リードを載置するとともに前記貫通孔に導電性粒子がバインダーに分散して形成されている導電性接着剤を前記貫通孔の周縁から外側にはみ出さないように前記周縁まで充填し硬化させて前記電子部品を固定する工程と、
を有するフレキシブル回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムを基材とするフレキシブル回路シート上に電子部品が載置されて形成されるフレキシブル回路基板およびフレキシブル回路基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
柔軟性があり、弱い力で繰り返し変形させることが可能であり、変形した状態でもその電気的特性を維持する性質を有するフレキシブル回路基板は、様々な電気製品に応用されている。
【0003】
こうしたフレキシブル回路基板は、樹脂フィルムを基材とするフレキシブル回路シートに電子部品を実装することで製造される。
【0004】
フレキシブル回路シートへの電子部品の実装は、例えば特許文献1に示すように、フレキシブル回路シートに形成された配線パターンに導電性接着剤を塗布した後、この塗布部分に電子部品のリード(電極)を圧着して実装することで行われている。
【0005】
図8は、こうした従来のフレキシブル回路基板200の一例を示す要部断面図である。従来のフレキシブル回路基板200は、樹脂フィルムからなる基材40上に配線パターンとなる導電層70が形成されたフレキシブル回路シート90を備えるとともに、導電性接着剤が硬化して形成される導電性接着部60により電子部品の電極30が導電層70上に固定されて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−170048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のフレキシブル回路基板200では、導電性接着剤により形成される配線パターンのはみ出しにより電子部品の隣り合う電極30同士が短絡する恐れがある。そのため、はみ出しを生じない程度の少量の導電性接着剤により電極30の固定を行う必要があった。
【0008】
そして、導電性接着剤の量が少なくなると接着部位における接着強度が不足するため、フレキシブル回路シートの湾曲や衝撃によって電子部品が剥離しやすいという課題があった。
【0009】
そこで本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも多くの導電性接着剤を使用しても電極同士の短絡を効果的に防止するとともに、電子部品とフレキシブル回路シートの固着力を高めることのできるフレキシブル回路基板及びフレキシブル回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るフレキシブル回路基板は、フレキシブル回路シートに電極を有する電子部品を実装して形成されるフレキシブル回路基板であって、フレキシブル回路シートは、樹脂フィルムからなる基材と、基材に形成された貫通孔と、基材の一面側から貫通孔を覆う、回路パターンとなる導電層と、を有し、電子部品の電極が基材の他面側から貫通孔を通じて導電層上に載置されているとともに、貫通孔内に導電性接着剤が硬化した導電性接着部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
こうした本発明によると、貫通孔内に導電性接着剤を充填することができ、従来よりも導電性接着剤を多く用いることができる。そのため、電子部品とフレキシブル回路シートとの固着力を高めることができ、フレキシブル回路基板が変形した際にも電子部品が剥離することを防止することができる。また、導電性接着剤が貫通孔内に留まるため導電性接着剤のはみ出しも防止され、電極同士の短絡を効果的に防止することができる。
【0012】
また、本発明は、導電層の基材側と反対側の表面を覆う第1保護層を有する態様とすることができる。
【0013】
こうした態様により、貫通孔の形成時に導電層の一部が貫通してしまっても、保護層により当該貫通箇所を閉塞することができる。
【0014】
また、本発明は、導電性接着部と電極との接着部分を覆う第2保護層を有する態様とすることができる。
【0015】
こうした態様により、導電性接着部の耐候性を高めることができる。
【0016】
また、本発明は、貫通孔の内周面が導電層側に向かうに従い径が小さくなるよう傾斜している態様とすることができる。
【0017】
こうした態様により、貫通孔の内周面における導電性接着部との接着面積をより広く確保することができ、固着力をより高めることができる。
【0018】
また、本発明は、貫通孔の周辺に突出部が形成されている態様とすることができる。
【0019】
こうした態様により、突出部の無い貫通孔と比較して導電性接着剤の塗布量を多くすることができ、電極と基材の固着面をより広くして、固着力を更に高めることができる。
【0020】
また、本発明は、導電層が導電性粒子をバインダーに分散してなり、導電層中の導電性粒子の含有量が85質量%以上96質量%以下である態様とすることができる。
【0021】
こうした態様により、導電層の厚みを薄くしても、基材に貫通孔を形成しながらも導電層については貫通させずに残存させることができる。また、バインダーの導電性粒子の保持力を確保し、導電層が脆くなることを防止することができる。
【0022】
また、本発明は、導電層の厚さが2μm以上50μm以下である態様とすることができる。
【0023】
こうした態様により、導電層の材料である導電性ペーストの使用量を抑えコストの増加を抑制しつつ、レーザー加工の際に基材とともに導電層が除去されることを防止することができる。
【0024】
また、本発明は、基材の厚さが10μm以上200μm以下である態様とすることができる。
【0025】
こうした態様により、基材としての十分な強度と耐久性を確保しつつ、レーザーによる加工性を良好なものとすることができる。
【0026】
本発明に係るフレキシブル回路基板の製造方法は、フレキシブル回路シートに電極を有する電子部品を実装して形成されるフレキシブル回路基板の製造方法であって、樹脂フィルムからなる基材の一面側に導電層を形成する工程と、前記基材の他面側からレーザーを照射し前記基材に貫通孔を形成し前記導電層を露出する工程と、前記貫通孔を通じて前記導電層に電子部品の前記電極を載置するとともに前記貫通孔に導電性接着剤を充填し硬化させる工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
こうした本発明によると、導電層上への電子部品の固定に際して従来よりも多くの導電性接着剤を用い、電子部品とフレキシブル回路シートとの固着力を高めつつ、導電性接着剤のはみ出しが防止され電極同士の短絡が効果的に防止されたフレキシブル回路基板を提供することができる。また、レーザーを用いることで、貫通孔が複雑な形状や複雑な配置である場合にもこれを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0028】
上述した本発明によると、従来よりも多くの導電性接着剤を使用しても電極同士の短絡を効果的に防止するとともに、電子部品とフレキシブル回路シートの固着力を高めることができる。これにより、従来よりも電子部品の剥離が少なく、丈夫で信頼性の高いフレキシブル回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係るフレキシブル回路基板を示す平面図。
【
図3】フレキシブル回路基板の製造方法の第1の工程を示す要部断面図。
【
図4】フレキシブル回路基板の製造方法の第2の工程を示す要部断面図。
【
図5】第2実施形態に係るフレキシブル回路基板を示す要部断面図。
【
図6】第3実施形態に係るフレキシブル回路基板を示す要部断面図。
【
図7】第4実施形態に係るフレキシブル回路基板を示す要部断面図。
【
図8】従来のフレキシブル回路基板を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係るフレキシブル回路基板について図を参照しつつ説明する。
【0031】
第1実施形態[図1、2]
第1実施形態に係るフレキシブル回路基板1は、フレキシブル回路シート9に電極としてのリード3を有する電子部品2が導電性接着部6により固定されて形成されている。導電性接着部6とは、硬化した導電性接着剤によるリード3の固定部位をいう。
【0032】
フレキシブル回路シート9は、基材4と、基材4に形成された貫通孔5と、基材4の一面側から貫通孔5を覆う、回路パターンとなる導電層7とを有して形成されている。
【0033】
基材4は、樹脂フィルムにより形成されている。この樹脂フィルムの材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、メタアクリル(PMMA)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等などから形成することができる。これらの中で、レーザー加工性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。
【0034】
樹脂フィルムとしては、導電層や導電性接着剤との密着性を高めるプライマー層や、表面保護層、帯電防止等を目的とするオーバーコート層などのうち有機高分子からなる表面処理を施したものを用いても良い。
【0035】
樹脂フィルムの厚みは、10〜200μmとすることが好ましい。200μmまでの厚みがあればフレキシブル回路シートとしての強度を充足し、200μmを超えて厚くするほど強度を高める必要性に乏しく、厚み方向のスペースが少なくなるという不都合もある。また、200μmを超えると、後述する導電層7の厚みに比べて樹脂フィルムの厚みが厚くなりすぎることから、レーザーを用いて加工を行う場合に、導電層7を残して樹脂フィルムを除去するためのレーザー出力の調整が難しくなる。一方、10μm未満では、基材4としての耐久性が不十分となるおそれがある。
【0036】
貫通孔5は、実装する電子部品2のリード3の配置に適応するパターンとして形成する。具体的には、リード3の外形よりも大きく、且つ隣り合うリード間に基材4が残存するようにする。隣り合うリード3間の貫通孔5が繋がってしまうと、当該繋がる部分を通じて導電性接着剤が流れ出てしまい、隣り合うリード3同士が短絡してしまうためである。
【0037】
貫通孔5は、その内周面が基材4の表面に対して垂直となるように形成されている。また、貫通孔5は平面視で長円形となるように形成されている。
【0038】
なお、貫通孔5の平面視における形状は長円形に限らず任意のものとすることができる。ただし、貫通孔5が円形、楕円形、長円形であることにより、矩形となる貫通孔5と異なり内周部分に角部が形成されないため、当該角部に導電性接着剤が行き渡らず空隙部分が形成され、固着力が低下するという不具合の発生を防止することができる。また、レーザーで貫通孔5を形成する場合には、矩形よりも長円形の方が容易に加工することができる。
【0039】
更に、平面視が円形の貫通孔5よりも長円形の貫通孔5の方が貫通孔5間のピッチを狭くすることができ、電子部品2のリード3が狭ピッチで配置されていても隣接するリード3同士を短絡させることなく配置することが可能となる。
【0040】
導電層7は、導電性粒子がバインダーに分散した導電性ペースト(導電性塗液)を硬化させて形成されている。導電性ペーストを用いれば印刷により回路パターンを形成できるため、銅箔をエッチングして形成する回路パターンよりも少ない工程数で配線自由度の高いフレキシブル回路シートを安価に製造できる利点がある。
【0041】
導電性粒子としては、金属でなる粒子を用いることができ、具体的には銀、銅、アルミニウム、ニッケルやそれらの合金、あるいは金属を銀や金でコーティングした粒子を挙げることができる。これらの中でも導電性が高い銀粒子を用いることが好ましい。後述のレーザー処理において、導電層7を除去せずに基材4に貫通孔5を形成するためには、こうした金属でなる粒子が好ましい。これに対して樹脂を金属でコーティングしてなる導電粒子は、レーザーで除去され易いことから用い難い。
【0042】
バインダーとしては、有機高分子を用いることができる。具体的にはアクリル、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル等の各種樹脂を例示することができる。これらの中でもポリエステルが好ましい。
【0043】
導電性粒子はバインダー中に分散しており、導電層7の導電性粒子とバインダーの合計質量に占める導電性粒子の質量の割合が多いほど、レーザーで基材4に貫通孔5を設ける際に導電層7を除去し難くなる。したがって、導電層7中の導電性粒子の割合は85質量%以上が好ましく、88質量%以上がより好ましい。
【0044】
85質量%未満ではレーザーを用いた製造方法での製造は困難である。また、85質量%以上であれば、導電層7の厚みを4〜20μmと薄くしても、基材4に貫通孔5を形成しながらも導電層7については貫通させずに残存させることができる。88質量%以上であれば、基材4の厚さにかかわらず基材4を確実に除去しつつ、導電層7を貫通させずにその一部を残すことができる。
【0045】
導電層7中の導電性粒子の質量の割合の上限は96質量%程度である。96質量%を超えると、バインダーが導電性粒子を保持できず、導電層7が脆くなるおそれがある。
【0046】
導電層7の厚みは2〜50μmとすることができる。また、4〜20μmとすることが好ましい。2μm未満では、レーザー加工の際に基材4とともにレーザーで除去されるおそれがあり、50μmを超えると、導電性ペーストの使用量が増えることからコスト増となる。厚さを4μm以上とすれば、レーザー出力の条件幅が広がり製造が容易になる。また、厚さを20μm以下とすれば、導電層7により形成される回路パターンと、その周囲の基材4の表面との間の段差が小さくなり、回路パターン上にさらに保護層等を塗布する際の気泡の混入を抑えることができる。
【0047】
導電層7は、導電性ペーストを所望の回路パターン形状に印刷して形成することができる。導電性ペーストは、(1)導電性粒子とバインダーを溶剤に溶解したり、(2)導電性粒子とバインダーの前駆体(主剤と硬化剤)を溶剤に溶解したり、(3)バインダーの前駆体が液状の場合には、バインダーの前駆体に導電性粒子を分散させたものを用いることができる。なお、導電性ペーストには前記成分に加えて分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを適宜添加してもよい。
【0048】
フレキシブル回路シート9への電子部品2の固定は、電子部品2のリード3が貫通孔5を通じて導電層7上に載置されているとともに、貫通孔5内に導電性接着剤が充填され硬化されることで行われる。
【0049】
導電性接着剤は、導電性粒子がバインダーに分散して形成されている接着剤である。
【0050】
導電性接着剤に含まれる導電性粒子としては、金属でなる粒子を用いることができ、具体的には銀、銅、アルミニウム、ニッケルやそれらの合金、あるいは金属を銀や金でコーティングした粒子を挙げることができる。これらの中でも導電性が高く、耐候性を備えた銀粒子を用いることが好ましい。
【0051】
導電性接着剤に含まれるバインダーとしては、有機高分子を用いることができる。具体的にはアクリル、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、などの各種樹脂を例示することができる。これらの中でもエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂を用いることで、基剤4とリード3との密着性を高めることができる。
【0052】
フレキシブル回路基板の製造方法[図3、4]
次に、第1実施形態に係るフレキシブル回路基板1の製造方法について説明する。
【0053】
まず、第1の工程として、
図4に示すように、基材4の一面側に導電性ペーストを塗布して導電層7を形成する。
【0054】
導電性ペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコートによる塗布、ディスペンサーによる塗布などを挙げることができる。それらの中でも、特にスクリーン印刷を採用することが、比較的詳細且つ複雑な回路パターンを安価に形成できる点で好ましい。
【0055】
次に、第2の工程として、
図5に示すように、基材4に対して導電層7が形成されている面とは反対側の面側からレーザーを照射し、導電層7を残して基材4に貫通孔5を形成する。これにより貫通孔5から導電層7が露出した状態となる。
【0056】
第2の工程で使用するレーザーとしては、炭酸ガスレーザーが好ましい。YAGレーザーやファイバーレーザー等の固体レーザーでは基材4の除去とともに導電層7も除去され易く、導電層7を残して基材4のみを除去することが困難である。これに対して、炭酸ガスレーザーによれば、厚みの厚い基材4を貫通させながらも厚みの薄い導電層7を残す加工を容易に行うことができる。
【0057】
上記炭酸ガスレーザーの照射時、導電層7には、その周囲とは色味の異なるレーザー痕領域が形成される。この色味が異なる領域は、導電層7が変質して色味が変わった領域であって、基材4を完全に貫通したときに形成される。したがって、こうした領域を確認することで炭酸ガスレーザーを照射した後の品質確認にも利用できる。
【0058】
なお、貫通孔5の形成はレーザー以外にも切断刃を用いて行うことが可能である。切断刃は基材4に多数の貫通孔5を形成する場合に複数の貫通孔5を同時に形成することが可能であるという利点がある。ただし、切断刃による場合には複雑な形状や配置となる貫通孔5の加工は困難である一方、レーザーを用いれば、複雑な形状や配置となる貫通孔5の加工を容易に行うことができる。
【0059】
次に、第3の工程として、貫通孔5を通じて導電層7に電子部品2のリード3が載置されるとともに、貫通孔5に導電性接着剤が充填され硬化される。このようにして、導電性接着部6が形成され、
図1及び
図2に示すように、電子部品2のフレキシブル回路シート9上への固定が完了した状態となる。
【0060】
なお、第3の工程では貫通孔5内に挿入された電子部品2のリード3と基材4とを導電性接着剤で固定しているが、先に貫通孔5内に電子部品のリード3を挿入してからその周囲に導電性接着剤を充填してもよいし、予め貫通孔5内に導電性接着剤を充填してから電子部品のリードを貫通孔内に挿入してもよい。
【0061】
第2実施形態[図5]
第2実施形態に係るフレキシブル回路基板1’は第1実施形態に係るフレキシブル回路基板1に更に第1保護層8及び第2保護層8’が設けられている他は上述した第1実施形態に係る構成と同様の構成を備えている。そのため以下の説明では第1実施形態と異なる第1保護層8及び第2保護層8’について述べる。
【0062】
本実施形態に係るフレキシブル回路基板1’は、
図5に示すように、導電層7の基材4側とは反対側の表面に第1保護層8が形成されている。また、導電性接着部6とリード3の接着部分を覆って第2保護層8’が形成されている。第1保護層8及び第2保護層8’の素材としては、ポリエステル系、塩化ビニル系、又はアクリルウレタン系の各樹脂材料が挙げられる。
【0063】
導電層7の表面への第1保護層8の形成は、貫通孔5の形成前に行われる。これによりレーザーによる貫通孔5の形成時に導電層7の一部が貫通してしまっても、第1保護層8により当該貫通箇所を閉塞することができる。また、導電性接着部6とリード3の接着部分を覆う第2保護層8’を設けることにより、導電性接着部6の耐候性を高めることができる。これは特に銀を含む導電性接着剤を用いる場合には、銀の腐食を防ぐために特に有効となる。
【0064】
第3実施形態[図6]
第3実施形態に係るフレキシブル回路基板10は第1実施形態に係るフレキシブル回路基板1とは異なる形状の貫通孔5’を備える他は上述した第1実施形態に係る構成と同様の構成を備えている。そのため以下の説明では第1実施形態と異なる貫通孔5’について述べる。
【0065】
本実施形態に係るフレキシブル回路基板10の貫通孔5’は、先細りする形状、すなわち導電層7側に向かうに従い小さくなるように内周面が傾斜している態様となっている。このような先細りする形状は、炭酸ガスレーザーを用いることで容易に形成することができる。
【0066】
こうした貫通孔5’は、
図2に示すような径が均等な貫通孔5と比べて、内周面における導電性接着部6との接着面積をより広く確保することができ、固着力をより高めることができる。
【0067】
なお、炭酸ガスレーザーではなく、切断刃を用いて貫通孔5’を形成することもできる。その場合には、あらかじめ切断刃により基材4に貫通孔5’を形成した後、導電層7を形成する。
【0068】
第4実施形態[図7]
第4実施形態に係るフレキシブル回路基板100は、上述した第3実施形態に係るフレキシブル回路基板10とは異なり貫通孔5’の周囲に突出部51が形成されている他は上述した第3実施形態に係るフレキシブル回路基板10と同様の構成を備えている。そのため以下の説明では第3実施形態と異なる突出部51について述べる。
【0069】
突出部51は、貫通孔5’の周縁を覆って環状に形成された突条である。突出部51を備えることで、突出部51の無い貫通孔5’と比較して導電性接着剤の充填量を多くすることができ、リード3と基材4の固着面をより広くして、固着力を更に高めることができる。このような突出部51は炭酸ガスレーザーを用いることで容易に形成することができる。
【0070】
なお、第1実施形態に係る貫通孔5についても同様に突出部51を形成することができる。この場合も同様に導電性接着剤の充填量を多くすることができ、リード3と基材4の固着面をより広くして、固着力を更に高めることができる。
【0071】
変形例
電極の形状としては、第1実施形態で示した、いわゆるSOP(Small Outline Package)型の電子素子の電極形状であるリード3に限定されるものではなく、例えばチップLEDのような平坦な電極パッド、ボール型の電極、ピン型の電極を備えるものであってもよい。
【0072】
このような構成にしても、貫通孔内に導電性接着剤を充填することができ、従来よりも導電性接着剤を多く用いることができる。そのため、電子部品とフレキシブル回路シートとの固着力を高めることができ、フレキシブル回路基板が変形した際にも電子部品が剥離することを防止することができる。また、導電性接着剤が貫通孔内に留まるため導電性接着剤のはみ出しも防止され、電極同士の短絡を効果的に防止することができる。
【0073】
なお、第1実施形態で示したリードや、電極パッド、ボール型の電極、ピン型の電極の中では、貫通孔内に深く挿入でき、接着剤と電極表面の接触面積を大きくできるリードやピン型の電極を用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0074】
1、1’、10、100、200 フレキシブル回路基板
2 電子部品
3 リード(電極)
4 基材
5 貫通孔
6 導電性接着部
7 導電層
8 第1保護層
8’ 第2保護層
9 フレキシブル回路シート
51 突出部