特許第6953039号(P6953039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953039
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】噴霧システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/00 20180101AFI20211018BHJP
   B05B 1/26 20060101ALI20211018BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20211018BHJP
   B05B 1/28 20060101ALI20211018BHJP
   B05B 12/12 20060101ALI20211018BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20211018BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20211018BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20211018BHJP
   C02F 1/461 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   B05B12/00 Z
   B05B1/26 A
   B05B9/04
   B05B1/28
   B05B12/12
   A61L9/01 B
   A61L9/14
   A61L2/18
   C02F1/461 Z
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-80225(P2020-80225)
(22)【出願日】2020年4月30日
(62)【分割の表示】特願2017-135570(P2017-135570)の分割
【原出願日】2017年7月11日
(65)【公開番号】特開2020-127942(P2020-127942A)
(43)【公開日】2020年8月27日
【審査請求日】2020年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】506310050
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−081802(JP,A)
【文献】 特開2013−006530(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/152707(WO,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1631642(KR,B1)
【文献】 米国特許第05813087(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00− 3/18,
7/00− 9/08,
12/00−12/14,
13/00−13/06
A61L 2/00− 2/28,
9/00−12/14
C02F 1/46− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に張り巡らされた液体供給管と、
前記液体供給管に接続された一以上の噴霧ノズルと、
タンクに収納された噴霧用の液体を前記液体供給管に送出するポンプと、
各噴霧ノズルに対応して設けられ、前記噴霧ノズルから噴霧される霧状の液体に当接してこれらを微細化する当接板と、
前記当接板の下端側に設けられた回収部と、
回収部からの液体を回収するため建物に張り巡らされた液体回収管と、
を備えた噴霧システムにおいて、
予め定められた時刻の所定時間前になると、前記液体供給管に接続された前記噴霧ノズルから噴霧がなされない程度の圧力にて前記液体供給管に液体を送出し、前記予め定められた時刻になると、前記液体供給管に接続された前記噴霧ノズルから噴霧されるように、所定圧力にて前記液体供給管に液体を送出するポンプ制御手段をさらに備え、
前記液体回収管には、回収部に向けて逆止弁が設けられており、逆止弁を作用させて液体回収管の空圧を高くすることで液体を回収するよう構成した噴霧システム。
【請求項2】
請求項1の噴霧システムにおいて、
前記建物内のエリアごとに設けられた少なくとも湿度、温度、風速、アンモニア濃度、二酸化炭素濃度、照度のいずれか一つを検出する環境センサと、
前記環境センサからの出力を受けて、前記いずれかのエリアにおいて検出出力が所定の条件を充足すると、前記ポンプによって、前記液体供給管に接続された前記噴霧ノズルから噴霧されるように、所定圧力にて前記液体供給管に液体を送出するポンプ制御手段と、
をさらに備え、
前記所定のエリアに向けて噴霧するように、前記当接板の角度を調整する噴霧システム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかの噴霧システムにおいて、
前記噴霧用の液体は、次亜塩素酸水であることを特徴とする噴霧システム。
【請求項4】
請求項3の噴霧システムにおいて、
前記タンクの水を電気分解して次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成部をさらに備ることを特徴とする噴霧システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの噴霧システムにおいて、
前記噴霧用の液体は、水であることを特徴とする噴霧システム。
【請求項6】
請求項1〜5の噴霧システムにおいて、
前記当接板は凹状に構成されていることを特徴とする噴霧システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消毒液などを霧状にして噴霧する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、畜舎、病院、老人ホームなどの建物内に消毒液を噴霧するための装置が提案されている。特許文献1には、次亜塩素酸を含む薬剤を含む水を、ノズルから噴射してメッシュ板を透過させることにより霧状化して、これを放出する装置が開示されている。この装置によれば、広い場所に対しても薬剤を含む霧を発生させることができる。
【0003】
また、薬剤を含まない水(薬剤を含んでいてもよい)を霧状化して放出し、空気中のダストやアンモニアなどを除去する装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−162997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置においては、部屋などに霧を送り込むことはできるが、その放出方向を制御することは難しかった。たとえば、所望の場所に対して集中して霧を送り込んだり、均等に霧を送り込んだりすることは難しかった。このため、特に工場などの比較的広い場所において、所定の場所に霧を送り込むことが求められる場合には、その要求にこたえることができなかった。
この発明は上記のような問題点を解決して、簡易な構成で、所望の方向に霧を導くことのできる噴霧システムを提供することを目的とする。
あるいは、寒冷地などにおいて消毒液などが凍結して噴霧ができなくなることを防止した噴霧システムを提供することを目的とする。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解決して、簡易な構成で、所望の方向に霧を導くことのできる噴霧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の独立して適用可能な特徴を以下に列挙する。
【0008】
(1)この発明に係る噴霧装置は、噴霧用の液体を供給するための液体供給管と、前記液体供給管に接続された噴霧ノズルと、噴霧ノズルから噴霧される霧状の液体に当接してこれらを微細化する当接板であって、少なくとも前記霧状の液体の噴霧方向に対するピッチ角またはローリング角が調整可能に構成されている当接板とを備えている。
【0009】
したがって、霧を微細化させて遠くへ導くことが可能であり、さらに、その方向も調整することができる。
【0010】
(2)この発明に係る噴霧装置は、当接板は凹状に構成されていることを特徴としている。
【0011】
したがって、霧の噴霧される方向を適切に制御することができる。
【0012】
(3)この発明に係る噴霧装置は、当接板の下端側に設けられた回収部をさらに備えたことを特徴としている。
【0013】
したがって、微細な霧にならなかった液体を回収することができる。
【0014】
(4)この発明に係る噴霧装置は、当接板の少なくとも前記ピッチ角またはローリング角を変更する駆動部をさらに備えたことを特徴としている。
【0015】
したがって、駆動部によって当接板のピッチ角またはローリング角を変更することができる。
【0016】
(5)この発明に係る噴霧装置は、噴霧用の液体が、次亜塩素酸水であることを特徴としている。
【0017】
したがって、人体に吸収されても害がない消毒液を噴霧することができる。
【0018】
(6)この発明に係る噴霧装置は、噴霧用の液体が、水であることを特徴としている。
【0019】
したがって、通常の水道水を用いることができ特別な装置を必要としない。
【0020】
(7)この発明に係る噴霧システムは、建物に張り巡らされた液体供給管と、前記液体供給管に接続された一以上の噴霧ノズルと、タンクに収納された噴霧用の液体を前記液体供給管に送出するポンプと、各噴霧ノズルに対応して設けられ、前記噴霧ノズルから噴霧される霧状の液体に当接してこれらを微細化する当接板であって、少なくとも前記霧状の液体の噴霧方向に対するピッチ角またはローリング角が調整可能に構成されている当接板とを備えている。
【0021】
したがって、建物内の所望の場所にあるいは均等に噴霧を行うことができる。
【0022】
(8)この発明に係る噴霧システムは、建物内の人の有無および場所を検出するための人感センサと、当接板の少なくともピッチ角またはローリング角を変更する駆動部と、当該人感センサによって検出された人の場所に対して微細化された霧が向かうように、前記当接板の少なくともピッチ角またはローリング角を調整するよう駆動部を制御する駆動部制御手段とを備えている。
【0023】
したがって、人のいる場所に集中して噴霧を行うことができる。
【0024】
(9)この発明に係る噴霧システムは、建物内に設けられた少なくとも湿度、温度、風速、アンモニア濃度、二酸化炭素濃度、照度のいずれか一つを検出する環境センサと、前記環境センサからの出力を受けて、検出出力が所定の条件を充足すると、前記ポンプによって、前記液体供給管に接続された前記噴霧ノズルから噴霧されるように、所定圧力にて前記液体供給管に液体を送出するポンプ制御手段とをさらに備えている。
【0025】
したがって、環境に応じて、噴霧の開始停止を制御することができる。
【0026】
(10)この発明に係る噴霧システムは、予め定められた時刻の所定時間前になると、前記液体供給管に接続された前記噴霧ノズルから噴霧がなされない程度の圧力にて前記液体供給管に液体を送出し、前記予め定められた時刻になると、前記液体供給管に接続された前記噴霧ノズルから噴霧されるように、所定圧力にて前記液体供給管に液体を送出するポンプ制御手段をさらに備えたことを特徴としている。
【0027】
したがって、噴霧に、ポンプ側の上流と下流による噴霧開始タイミングのずれを小さくすることができる。
【0028】
(11)この発明に係る噴霧システムは、当接板の下端側に設けられた回収部をさらに備えたことを特徴としている。
【0029】
したがって、微細な霧にならなかった液体を回収することができる。
【0030】
(12)この発明に係る噴霧システムは、回収部にて回収された液体を、前記タンクに導くための液体回収管を備えたことを特徴としている。
【0031】
したがって、回収した液体を再利用することが可能となる。
【0032】
(13)この発明にかかる噴霧システムは、噴霧用の液体が、次亜塩素酸水であることを特徴としている。
【0033】
したがって、人体に吸収されても害がない消毒液を噴霧することができる。
【0034】
(14)この発明に係る噴霧システムは、タンクの水を電気分解して次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成部をさらに備えている。
【0035】
したがって、水を原料として次亜塩素酸水を生成し噴霧することができる。
【0036】
(15)この発明に係る噴霧システムは、噴霧用の液体が、水であることを特徴としている。
【0037】
したがって、通常の水道水を用いることができ特別な装置を必要としない。
【0038】
(16)この発明に係る噴霧システムは、当接板が凹状に構成されていることを特徴としている。
【0039】
したがって、霧の噴霧される方向を適切に制御することができる。
【0040】
(17)この発明に係る制御プログラムは、建物に張り巡らされた液体供給管に設けられた一以上の噴霧ノズルに対向して設けられた当接板であって、前記噴霧ノズルから噴霧される霧状の液体に当接してこれらを微細化する当接板の噴霧方向に対するピッチ角またはローリング角を制御する制御部をコンピュータによって実現するための制御プログラムであって、コンピュータを、建物内に設けられた人感センサの出力を受けて、人の位置を推定し、当該推定した人の位置に霧が向かうように、前記ピッチ角またはローリング角を制御する手段として機能させるためのものである。
【0041】
したがって、人のいる場所に集中して噴霧を行うよう制御することができる。
【0042】
(18)この発明に係る噴霧システムは、建物に張り巡らされた液体供給管と、前記液体供給管に接続された一以上の噴霧ノズルと、タンクに収納された噴霧用の液体を前記液体供給管に送出するポンプと、各噴霧ノズルに対応して設けられ、前記噴霧ノズルから噴霧される霧状の液体に当接してこれらを微細化する当接板と、前記当接板の下端側に設けられた回収部と、前記回収部にて回収された液体を、前記タンクに導くための液体回収管とを備えたことを特徴としている。
【0043】
したがって、微細な霧にならなかった液体を回収することができる。
【0044】
この発明において「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】この発明の一実施形態による噴霧装置の構成を示す図である。
図2】噴霧装置のノズル近傍の拡大図である。
図3】液体供給管2の先端部の拡大図である。
図4】他の例による当接板6の例である。
図5】他の例による噴霧装置の構成を示す図である。
図6】他の例による、当接板6のピッチ角θの調整機構である。
図7】他の例による噴霧装置の構成を示す図である。
図8】他の例による、当接板6のピッチ角θの調整機構である。
図9】第2の実施形態による噴霧システムの全体構成である。
図10】消毒液生成部60の構成例である。
図11】噴霧装置の構成を示す図である。
図12】制御回路のハードウエア構成である。
図13】制御プログラム96のフローチャートである。
図14】制御プログラム96のフローチャートである。
図15】弁120の構成を示す図である。
図16】エリアごとの湿度計測の結果を示す図である。
図17】他の例による、当接板6の角度調整機構である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
1.第1の実施形態
1.1構成および機能
図1にこの発明の一実施形態による噴霧装置の構成を示す。図1Aが平面図、図1Bが断面図である。なお、液体供給管2、噴霧ノズル4は断面図として描いていない。液体供給管2は、送出ポンプ(図示せず)に接続されており、噴霧用の液体を供給する。噴霧用の液体としては、消毒液、水などを用いることができる。
【0047】
液体供給管2の先端部には噴霧ノズル4が設けられている。送出ポンプによって液体供給管2に噴霧用液体を供給すると、噴霧ノズル4から噴霧用液体が霧状になって噴出される。
【0048】
霧状に噴出された噴霧用液体は、当接板6の当接部6aに当接し、微細化された霧となる。このようにして、噴霧用液体を微細な霧にして噴霧することができる。
【0049】
液体供給管2の先端部において、噴霧ノズル4を取り囲むように、固定管8と可動管10が設けられている。固定管8は液体供給管2に固定されている。この固定管8の外周に、その内周がはまり込むように、可動管10が挿入されている。したがって、可動管10は、固定管8の外周周りに回転可能となっている。
【0050】
前述の当接板6は、この可動管10に取り付けられている。図2に、当接板6の取付状態を示す。図2Aは側段面図、図2Bはノズル4の後方から見た図である。
【0051】
当接板6の当接部6aの下方には、所定角度を持って連続して基部6bが設けられている。当接部6aと基部6bの両側面にブラケット15が垂直に設けられている。ブラケット15には、後述の蝶ねじ13のねじ部を受け入れるための貫通穴が設けられている。
【0052】
可動管10の外周両側面には、軸方向にネジ孔を有する円柱部材17が固定されている。したがって、図2Bに示すように、蝶ねじ13のねじ部を、当接板6に固定されたブラケットの貫通穴を通し、可動管10に固定された円柱部材17のネジ孔に螺入することで、当接板6を矢印Aの方向に回動しつつ角度を調整可能である。これにより、ノズル4からの霧状の液体が当接板6に当接する角度を調整し、微細化された霧の上下の放出方向を変えることができる。
【0053】
なお、この実施形態においては、当接板6の当接部6aの水平に対する角度θを、少なくとも45度〜60度に調整できるようにしている。角度が大きいほど、霧を高く放出でき、角度が小さいほど、霧を遠くへ放出することができる。角度を調整した後は、蝶ねじ13を締めることにより、当接板6の角度が変わらないように固定することができる。
【0054】
以上のようにして、当接板6について、ノズル4からの噴霧方向に対するピッチ角θを調整可能としている。
【0055】
さらに、この実施形態では、当接板6について、ノズル4からの噴霧方向に対するローリング角φも調整可能としている。ローリング角φを調整するための機構を、図3に示す。図3Aは平面断面図である。液体供給管2の先端部には、軸方向に垂直に固定ブラケット24が設けられている。この実施形態では、安定のため、両方向に固定ブラケット24を設けている。固定ブラケット24には、ネジ孔26が設けられている。
【0056】
また、液体供給管2の先端部には、固定管8が固定されている。この固定管8の外形にはまり込む内径を有する可動管10が装着されている。可動管10の外周には、前記固定ブラケット24に対向するように、軸方向に垂直に可動ブラケット20が設けられている。
【0057】
図3Bに、可動ブラケット20の側から液体供給管2の方向を見た図を示す。前述のように、固定管8に差し込まれた可動管10は、矢印Bの方向に回転可能であり、ノズル4からの噴霧方向に対するローリング角φを調整可能である。
【0058】
可動管10には、前述のように当接板6が固定されているので、可動管10のローリング角φを変えることにより、当接板6のローリング角φも同じように変わることになる。
【0059】
ローリング角φを変化させることにより、霧の放出方向(図1Aの噴出方向に対して左右方向)を変えることができる。したがって、所望の方向に霧を導くことができる。なお、図3Bにおいて、ローリング角φは0度の状態を示している。
【0060】
図3Bに示すように、可動ブラケット20には円周方向に沿った長穴22が設けられ、固定ブラケット24にはネジ穴26が設けられている。可動ブラケット20の長穴22には、蝶ねじ(図示せず)が貫通させられ、固定ブラケット24のネジ孔26に螺入される。。
【0061】
したがって、ローリング角φの調整を行った後、蝶ねじ(図示せず)を締めることにより、可動管10の位置を固定することができる。
【0062】
上記のようにして、可動式の当接板6を設けることにより、霧状に噴出された液体をさらに微細な霧状にすることができるとともに、当接板6のピッチ角θ、ローリング角φを調整して、霧の放出方向を調整することができる。したがって、設置場所に応じて、所望の場所に霧が向かうように霧を放出させることができる。
【0063】
1.2その他の例
(1)上記実施形態においては、当接板6の形状を平面形状としている。しかし、図4に示すように、当接部6aおよび基部6b(当接部6aだけでもよい)をU字状(凹形状)に形成し、この凹部に噴霧を当てるようにしてもよい。これにより、方向付けがより行いやすくなる。
【0064】
(2)上記実施形態では、液体供給管2に直接的にノズル4を接続するようにしている。したがって、液体供給管2の水圧が低く、ノズル4からの噴霧が適切に行えない場合であっても、ノズル4から液体が放出されてしまうことになる。
【0065】
そこで、図5Aに示すように、適切な噴霧を行うための所定圧力を超えないと液体を通過させないように、液体供給管2とノズル4との間にチェックバルブ30を設けるようにしてもよい。これにより、液体供給管2の水圧が所定圧力以下の場合には、液体がノズル4に供給されず、液だれなどを生じにくくすることができる。
【0066】
(3)図6に、他の実施形態による当接板6のピッチ角θの調整機構を示す。この例では、可動管10に固定された円柱部材17に、基部6bが固定されている。したがって、基部6bは可動管10に固定されている。
【0067】
基部6bの両側面に垂直に設けられたブラケット15には、貫通穴(図示せず)が設けられている。一方、当接部6aの後端部の両端部には、垂直にブラケット19が設けられている。このブラケット19には、ブラケット15の貫通穴(図示せず)に対応する位置に、ネジ孔21が設けられている。
【0068】
したがって、図6Bに示すように、ブラケット15の貫通穴に蝶ねじ13を貫通させ、ブラケット19のネジ孔21に螺入させることで、当接部6aのピッチ角θを調整することができる。調整が終われば、蝶ねじ13を締めることにより、当接部6aのピッチ角を固定することができる。
【0069】
なお、図1の構造と、図6の構造を併用するようにしてもよい。すなわち、図1のように可動管10に対して基部6bの角度を調整可能とし、さらに、図6のように基部6bに対して当接部6aの角度を調整可能としてもよい。
【0070】
(4)上記実施形態では、当接板6を固定した可動管10を噴霧方向の軸周りに回転して調整した後、図3Bの長穴22に蝶ねじ13を貫通させ、ネジ孔26に螺入することで、位置を固定するようにしている。しかし、図7に示すように、可動管10と液体供給管2の当接部において、互いにはまり合う形状(図7では、凹凸形状)とすることで、固定を確実なものとすることができる。
【0071】
このような構造は、図2Aに示す、当接板6のピッチ角を調整するブラケット15と円柱部材17との間にも適用することができる。
【0072】
(5)上記実施形態では、図2に示すような構造にて、当接板のピッチ角θを調整するようにしている。しかし、図8に示す構造にて調整を行うようにしてしてもよい。
【0073】
可動管10の下側には、ブラケット12が下方に伸びて設けられている。ブラケット12、14には、それぞれ貫通穴16が設けられている。この貫通穴16には、ボルト(図示せず)が貫通しておりナット(図示せず)によって固定されている。したがって、当接板6は、貫通穴16を中心として、矢印Aの方向に回動してピッチ角θを調整可能である。角度を調整した後は、ナットを締めることにより、当接板6のピッチ角θが変わらないように固定することができる。
【0074】
(6)上記実施形態では、図1に示すように当接板6全体を上下に調整する機構を用いたり、図6に示すように基部6bを固定し当接部6aのみを上下に調整する機構を用いたりしている。しかし、基部6b、当接部6aの双方を上下に調整可能としてもよい。
【0075】
(7)上記実施形態では、ピッチ角θ、ローリング角φの双方を調整できるようにしている。しかし、いずれか一方のみを調整可能としてもよい。
【0076】
(8)上記実施形態の基本例およびその他の例は、その本質に反しない限り他の実施形態にも適用することができる。
【0077】
2.第2の実施形態
2.1構成および機能
図9に、第2の実施形態による噴霧システムの全体構成を示す。工場や畜舎などの建物50内には、液体供給管52、液体回収管54が張り巡らされている。液体供給管52には、ノズル4が所定間隔で設けられている。また、建物50の天井部近傍には、所定間隔にて人感センサ55が設けられている。人感センサ55としては、赤外線センサ、静電容量センサなどを用いることができる。
【0078】
液体供給管52の一端には、ポンプ62が接続され、消毒液生成部60内の消毒液をポンプ62によって液体供給管52に送るようにしている。液体供給管52の他端は、回収タンク56に接続されている。
【0079】
また、液体回収管54の一端には空気ポンプ63が設けられ、他端は回収タンク56に接続されている。
【0080】
回収タンク56によって回収された消毒液は、タンク58に送り込まれる。タンク58の回収液は、水道水などと混合され、消毒液生成部60に送られる。消毒液生成部60は、食塩水を電気分解して消毒液(次亜塩素酸水)を生成するものである。
【0081】
図10にその構造を示す。層100は、陰イオン交換膜102と、陽イオン交換膜104によって,第1室106、第2室108、第3室110に仕切られている。第1室106、第3室110には水道水が、第2室には食塩水が導かれる。第1室には正電極112が設けられ、第3室には負電極114が設けられており第2室の食塩水の電気分解を行う。これにより、第1室106に次亜塩素酸ナトリウムを得ることができる。また、食塩水中の塩化ナトリウムは、陰イオン交換膜102によって遮断され、塩化ナトリウム含有の少ない次亜塩素酸ナトリウムを得ることができる。なお、このような消毒液生成部60として、株式会社アクトのクリーンファイン(商標)を用いることができる。
【0082】
図9に戻って、この実施形態では、回収タンク56、タンク58、消毒液生成部60、ポンプ62を建物50の外に設けているが、建物50の中に設けるようにしてもよい。
【0083】
図11に、ノズル4近傍の構造を示す。建物50内に配設された液体供給管52から垂直方向に分岐した液体供給管2が設けられている。液体供給管2の先端には、チェックバルブ30を介してノズル4が設けられている。液体供給管2には固定管8が固定され、その外周に可動管10が設けられている(図1B参照)。
【0084】
可動管10には、ブラケット12、14によって回動可能に接続された当接板6が設けられている。この実施形態では、当接板6を図4に示すようにU字状にしている。なお、U字状ではなく、V字状など、両端が中央部より高く形成された凹状であればよい。
【0085】
可動管10の後端部外周にはラック72が設けられ、これにはまり合うようにウオームギア74が歯合している。正逆回転可能なモータ(図示せず)によりウオームギア74を回転させることで、可動管10に固定された当接板6の当接部6aのローリング角φ(図3B参照)を制御することができる。この実施形態では、左右に45度程度制御可能としている。
【0086】
当接板6の基部6bと液体供給管2との間に電動シリンダ76が設けられている。電動シリンダ76はピッチ角制御回路(図示せず)により、その長さを調整可能である。したがって、制御回路によって電動シリンダ76を制御することにより、当接板6の当接部6aのピッチ角θを制御することができる。この実施形態では、45度〜60度程度の範囲にて制御可能としている。
【0087】
上述のように、当接板6はピッチ角θを制御可能であるが、いずれの角度に制御した場合であっても、当接板6は後方(図11において右側)に向かって下がるような傾斜となっている。したがって、ノズル4から噴霧され、当接部6aに当接して霧にならなかった消毒液は、基部6bの後端部から下に落ちることになる。
【0088】
このような消毒液の垂れが問題になる場合には、図11に示すように、基部6bの後端部の下に、回収部である回収通路64を設けるとよい。この実施形態では、回収通路64としてU字状(凹状)の通路を用いている。液体供給管52の下には、保持部材68によって、液体回収管54が固定されている。
【0089】
回収通路64は液体回収管54に向かって下がるように傾斜が設けられている。回収通路64の端部は、弁66を介して液体回収管54に接続されている。したがって、回収通路64に落ちてきた消毒液は、弁66を介して、液体回収管54に導かれて回収される。
【0090】
2.2制御部のハードウエア構成
この実施形態においては、上記の各部を制御するための制御部が設けられている。制御部をコンピュータによって構成した場合のハードウエア構成を、図12に示す。
【0091】
CPU80には、メモリ82、ハードディスク86、DVD−ROMドライブ88、タッチスクリーンディスプレイ90、人感センサ55、消毒液ポンプ62、空気ポンプ63、ローリング角制御モータ75、ピッチ角制御回路77が接続されている。
【0092】
ハードディスク86には、オペレーティングシステム94、制御プログラム96が記録されている。制御プログラム96は、オペレーティングシステム94と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD−ROM92に記録されていたものを、DVD−ROMドライブ88を介して、ハードディスク86にインストールしたものである。
【0093】
ローリング角制御モータ75は、ウオームギア74を回転させて当接板6のローリング角φを制御するためのものである。ピッチ角制御回路77は、電動シリンダ76の長さを制御して当接板6のピッチ角θを制御するためのものである。
【0094】
2.3制御処理
図13図14に制御プログラム96のフローチャートを示す。この実施形態では、所定時間(たとえば1時間)ごとに5分間の噴霧を行うとともに、人が建物50の中に入ってきたことを検出すれば、これにあわせて噴霧を行うようにしている。
【0095】
図13は、所定時間間隔での噴霧制御のフローチャートである。CPU80は、現在時刻が予め定められた噴霧時刻の所定時間前(この例では10分前)であるかどうかを判断する(ステップS1)。噴霧時刻は、操作者によってタッチスクリーン90から入力して、ハードディスク86に記録されている。この実施形態では、毎時0分に噴霧を行うようにしている。
【0096】
噴霧時刻の10分前になると、CPU80は、消毒液ポンプ62を駆動して、液体供給管52に消毒液を送出する(ステップS2)。この時、CPU80は、消毒液ポンプ62を制御し、液体供給管52内の水圧が、各バルブ4に設けられているチェックバルブ30のしきい値圧力(この例では5Kg/cm2)よりも小さい圧力(第1の圧力)にて送出する。たとえば、2Kg/cm2にて送出する。これにより、噴霧時刻になるまでに、液体供給管52の内部は消毒液で満たされることになる。
【0097】
CPU80は、次に、現在時刻が噴霧時刻になったかどうかを判断する(ステップS3)。噴霧時刻になれば、CPU80は、ローリング角制御モータ75、ピッチ角制御回路77を制御して、それぞれのバルブ4の当接板6のローリング角・ピッチ角を、予め定められた角度にする(ステップS4)。
【0098】
この実施形態では、建物50全体に均等に消毒液が噴霧されるように、各当接板6のローリング角・ピッチ角を定めている。たとえば、図9において、液体供給管52のコーナー近傍では、真っ直ぐではなくやや中央よりに偏向して噴霧されるようなローリング角とし、近くに霧が留まるようなピッチ角としている。また、中央部分(コーナー近傍以外)では、真っ直ぐに噴霧されるローリング角とし、遠くに霧が届くようなピッチ角としている。
【0099】
なお、建物50内の特定の場所に集中して噴霧を行うように、各当接板6のローリング角・ピッチ角を制御するようにしてもよい。
【0100】
続いて、CPU80は、消毒液ポンプ62を制御し、液体供給管52の水圧が、チェックバルブ30のしきい値圧力を超える圧力(第2の圧力)となるように消毒液を送出する(ステップS5)。したがって、各バルブ4から消毒液が噴霧され、当接板6によって微細化された上、方向付けられて細霧として送り出される。
【0101】
なお、予めステップS2によって液体供給管52には消毒液が満たされているので、消毒液ポンプ62から近くにあるバルブ4も遠くにあるバルブ4も、噴霧開始の時間に大きな差が生じない。このようにして、建物50内に消毒液が噴霧されることになる。
【0102】
上記噴霧中において、ノズル4から噴霧され当接板6に当接した消毒液は、微細化された霧となって噴霧される。しかし、その一部は、当接板6の当接部6a上に液体(無効液)として現れることになる。この無効液は、図11に示すように、U字状の当接部6a、基部6bを伝わって、基部6bの後端から落下し、回収通路64に導かれる。回収通路64もU字状に形成されており、無効液はこれを伝わって、液体回収管54に導かれる。
【0103】
図15に、液体回収管54と回収通路64の接合部分の詳細を示す。図15Aに示すように、接合部分において、液体回収管54には穴65が設けられており、回収通路64からの無効液を、導くようになっている。
【0104】
穴65には、弁120が設けられている。この弁120は、ゴムなどの柔軟性部材による基材122に弁体124が設けられた構造となっている。弁体124は、穴65を塞ぐことができる大きさに形成されている。通常の状態では、弁体124は穴65を塞いでおらず、回収通路64からの無効液を液体回収管54に導くことができるようになっている。したがって、噴霧中は、無効液は液体回収管54に導入される。
【0105】
液体回収管54は、回収タンク56に向けて下がる方向に傾斜(たとえば4度)させられているので、無効液は回収タンク56に回収される。
【0106】
所定時間噴霧し噴霧終了時刻になると(ステップS6)、CPU80は、消毒液ポンプ62を停止する(ステップS7)。したがって、噴霧も停止する。
【0107】
その後、CPU80は、液体回収管54の上流側端部に設けられた空気ポンプ63(図9参照)を所定時間駆動する(ステップS8)。これにより、液体回収管54内に残留した無効液を回収タンク56に導くことができる。この際、図15Aに示す弁120の基材122が空気の流れDによって押圧され、図15Bに示すように、弁体124を穴65の方向Eに押しやる。これによって、穴65が弁体124によって塞がれ、穴65から空気を逃がさず、液体回収管54全体に空気を送り込むことができる。
【0108】
以上のようにして、所定時間ごとの噴霧が行われる。
【0109】
次に、建物50内に人を検出した場合の噴霧処理について説明する。図14にそのフローチャートを示す。なお、図13の処理と図14の処理は、並行して行われている。ただし、図13の処理によって噴霧処理が行われている間は、図14の処理は停止している。
【0110】
CPU80は、建物50内に設けられた人感センサ55が人を検知したかどうかを判断する(ステップS11)。人が検知されると、CPU80は、各人感センサ55の出力に基づいて、どの場所に人がいるかを推定する(ステップS12)。特定の人感センサ55のみが人を検知した場合には、その位置に人がいると判断する。隣接する(あるいは1つ隔てた)複数の人感センサ55が人を検知した場合には、その人感センサ55を結ぶエリア内に人がいるものと推定する。
【0111】
続いて、CPU80は、上記にて推定した人の位置に対して集中的に噴霧が行われるように、ローリング角制御モータ75、ピッチ角制御回路77を制御し、各ノズル4の当接板6のローリング角・ピッチ角を調整する(ステップS13)。
【0112】
さらに、CPU80は、消毒液ポンプ62を駆動し、チェックバルブ30のしきい値圧力より小さい第1の圧力にて消毒液を送出する(ステップS14)。消毒液が液体供給管52全体に満たされるに十分な時間、上記第1の圧力にて消毒液ポンプ62を駆動した後、CPU80は、チェックバルブ30のしきい値圧力より大きい第2の圧力にて、消毒液ポンプ62を駆動する(ステップS15)。これにより、人のいる位置に向けて消毒液が集中的に噴霧される。
【0113】
消毒液の噴霧中も、CPU80は、人感センサ55に基づいて人の位置を推定する(ステップS17)。そして、推定した人の位置に集中的に噴霧がなされるように、各ノズル4の当接板6のローリング角・ピッチ角を調整する(ステップS18)。これは、噴霧中に人が移動した場合に、その移動した位置に向けて効果的に噴霧を行うためである。
【0114】
CPU80は、噴霧開始から予め定められた所定時間が経過したかどうかを判断する(ステップS16)。所定時間が経過すれば、CPU80は、消毒液ポンプ62を停止し、空気ポンプ63を定められた時間だけ駆動する(ステップS20)。
【0115】
以上のようにして、建物50内に人が入った時に消毒液を噴霧することができる。
【0116】
2.4.その他の例
(1)上記実施形態では、ピッチ角とローリング角の双方を制御しているが、いずれか一方だけを制御してもよい。
【0117】
(2)上記実施形態では、当接板6を移動させることによって噴霧方向を制御するようにしている。しかし、当接板6は固定しておき、ノズル4からの噴霧方向を変えることによって噴霧方向を制御するようにしてもよい。この場合、たとえば、ノズル4の先端部をユニバーサルジョイント構造として角度を変えるようにすることができる。
【0118】
(3)上記実施形態では、電動シリンダ76を用いてピッチ角を制御している。しかし、電動モータとギアを用いてピッチ角を制御するようにしてもよい。
【0119】
(4)上記実施形態では、予め定められた所定時間だけ噴霧を行うようにしている。しかし、湿度センサを所定位置(複数箇所であることが好ましい)に設けておき、噴霧開始前と噴霧開始後の湿度を取得し、その湿度差が所定値以上となるまで噴霧を行うようにしてもよい。
【0120】
また、各場所に設けられた湿度センサからのデータを取得し、各場所における湿度が所望の値になるように、当接板6のローリング角・ピッチ角を調整するようにしてもよい。たとえば、建物50内に均等に噴霧を行いたい場合であって、特定の場所の湿度が他の場所の湿度よりも低い時には、当該特定の場所に向けて噴霧が集中するように、当接板6のローリング角・ピッチ角を調整する。
【0121】
また、湿度センサからの湿度データに基づいて、所定湿度以下となれば噴霧を行い、所定湿度に達すれば噴霧を停止するようにしてもよい。この場合、噴霧開始の湿度より噴霧停止の湿度を高く設定することで、不必要な噴霧開始停止の繰り返しを防ぐことができる。
【0122】
また、この実施形態によれば、当接板6のローリング角・ピッチ角を調整して所望の位置に噴霧を行うことができるので、各位置の湿度を計測して各位置ごとに噴霧制御を行うことが可能である。
【0123】
たとえば、建物50内を均等に30%の湿度に維持するよう制御するものとする。図16Aに示すように、建物50内を15のエリアに分けてそれぞれのエリアについて湿度を取得する。いずれかのエリアの湿度が30%を下回れば噴霧を開始する。図16Aでは、斜線を施した3つのエリアが30%を下回っている。CPU80は、これを検知し、この3つのエリアの方向に向けて霧が到達するように、当接板6のローリング角・ピッチ角を調整して噴霧を行う。その結果、図16Bに示すように、全てのエリアの湿度が35%を上回ったら、CPU80は噴霧を停止するよう制御する。
【0124】
(5)上記実施形態では、所定時刻の所定時間前になるまでは、液体供給管54に消毒液を流さないようにしている。しかし、寒冷地などでは消毒液が凍結するおそれがあるので、常に、第1の圧力にて消毒液を流しておくことが好ましい。
【0125】
(6)上記実施形態では、人を検知してその場所に集中的に噴霧を行うようにしている。しかし、動物を検知して(移動物検出センサにより)その場所に集中的に噴霧を行うようにしてもよい。
【0126】
(7)上記実施形態では、噴霧された消毒液はそのまま回収しないで放置している。しかし、除湿装置を設けて空気中の消毒液を回収し、これをタンク58を介して消毒液生成部60に戻して再利用するようにしてもよい。このようにすれば、外部から水道水を導かずに、タンク58に水道水を貯めて消毒液を生成する場合であっても、タンク58への水道水の補給を少なくすることができる。
【0127】
(8)上記実施形態では、所定時間間隔で噴霧を行う制御と、人を検出して噴霧を行う制御を併用している。しかし、いずれか一方だけを行うようにしてもよい。
【0128】
(9)上記実施形態では、人を検知して噴霧を行うようにしている。しかし、好ましくない物質(たとえば、畜舎内のアンモニアや二酸化炭素)の濃度をエリアごとに(全体でもよい)検出して、その濃度が所定以上になれば噴霧を行うようにしてもよい。その制御手法は、図16に示す場合と同様である。
【0129】
この場合、噴霧された霧によって好ましくない物質を捕捉することが主目的であるから、消毒液でなくとも通常の水道水であってもよい。また、除湿装置によって積極的に霧を回収することが好ましい。
【0130】
(10)上記に加えて、あるいはこれらに代えて、温度、風速、照度などの環境を検出し、これらに基づいて噴霧の開始・停止を制御するようにしてもよい。たとえば、所定温度に達しないと効果を生じないような薬剤を噴霧する場合には、温度を計測して噴霧開始を制御することができる。
【0131】
(11)上記実施形態では、図11に示すような機構にて当接板6のピッチ角θを調整している。しかし、図17に示すような構造としてもよい。図17Aが側念ず、図17Bが平面図である。この例では、図6に示す構造を基本として、これを制御モータ(図示せず)によって制御している。
【0132】
U字状に形成された当接部6aの後端部には、ブラケット19が設けられている。このブラケット19にはシャフト204が固定されている。したがって、シャフト204が回転すると当接部6aのピッチ角θが変動する。基部6bのブラケット15には貫通穴が設けられ、シャフト204が貫通させられている。シャフト204の一端には、ギア200が設けられている。このギア200に歯合するように、ウオームギア202が設けられている。このウオームギア202は、ピッチ角制御モータ(図示せず)によって回転される。したがって、ピッチ角制御モータを制御することにより、ピッチ角θを制御することができる。
【0133】
(12)上記実施形態では、自動的に当接板6のローリング角・ピッチ角を調整している。しかし、図1図6に示す構成を採用して、手動で調整するようにしてもよい。
【0134】
(13)上記実施形態では、建物50の内部に噴霧を行っている。しかし、屋外において噴霧を行うようにしてもよい。
【0135】
(14)上記実施形態では、所望の場所(たとえば人のいる場所)に集中的に噴霧が行われるように制御している。しかし、所望の場所に噴霧が行われない(他の場所に集中的に噴霧が行われる)ように制御してもよい。
【0136】
(15)上記実施形態の基本例およびその他の例は、その本質に反しない限り他の実施形態にも適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17