特許第6953089号(P6953089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953089
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】部品実装装置及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20211018BHJP
【FI】
   H05K13/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-228700(P2017-228700)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-102511(P2019-102511A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片井 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】半場 保好
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−056252(JP,A)
【文献】 特開2011−044639(JP,A)
【文献】 特開2013−175616(JP,A)
【文献】 特開2011−199095(JP,A)
【文献】 特開2004−047858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する基板搬送部と、前記基板搬送部により搬送された前記基板に部品を移載する部品移載部と、前記部品移載部に供給する前記部品を保持するフィーダが取り外し可能に設けられた部品供給部と、を備える部品実装装置であって、
作業者が視認可能な第1表示部と、
前記フィーダが取り外された場合の当該フィーダの行き先に関する情報である行き先情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶した前記行き先情報に応じて前記第1表示部に複数の前記行き先に対して異なる表示態様で表示させる表示制御部と、を備え
前記第1表示部は、前記フィーダに設けられており、
前記表示制御部は、遅くとも前記フィーダが部品供給部から取り外される前から、前記第1表示部に前記行き先の情報を表示させる、部品実装装置。
【請求項2】
前記第1表示部は、複数色の表示が可能とされており、
前記表示制御部は、前記行き先情報が異なる場合に前記第1表示部に異なる色を表示させる請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
作業者が視認可能に設けられた第2表示部と、
前記フィーダの取り外しを検知する検知部と、を備え、
前記表示制御部は、前記検知部が前記フィーダの取り外しを検知すると前記フィーダの前記行き先における取付位置に関する情報を前記第2表示部に表示する請求項1又は請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
作業者が視認可能に設けられた外部表示部を有する外部機器に対して有線又は無線の通信手段により通信可能とされており、
前記フィーダの取付位置に関する情報は前記外部表示部に表示される請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記部品供給部から取り外された前記フィーダを再度取り付けるまで、前記第1表示部に前記行き先の情報を表示させる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の、部品実装装置。
【請求項6】
前記第1表示部が表示する前記行き先の情報は、部品庫への移動、異なる部品実装装置への移動、及び、同一の部品実装装置内における異なる位置への移動、を含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の、部品実装装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の一の部品実装装置と、前記一の部品実装装置に対して有線又は無線の通信手段により通信可能とされた一又は複数の他の部品実装装置とを有する部品実装システムであって、
前記一の部品実装装置は、前記フィーダの取り外しを検知する検知部と、前記検知部が前記フィーダの取り外しを検知すると前記フィーダの行き先となる他の部品実装装置に前記フィーダの取付位置に関する情報を送信する制御部とを備え、
前記他の部品実装装置及び前記通信手段により通信可能とされた外部機器の少なくとも一方は、作業者が視認可能に設けられた表示部と、前記フィーダの取付位置に関する情報を受信すると前記取付位置に関する情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では部品実装装置及び部品実装システムに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィーダにセットされた電子部品を、ヘッドユニットに装備された吸着ヘッドで吸着して移送し、プリント基板等に実装する部品実装機が知られている。特許文献1は、実装機モジュールのフィーダセット台にセットしたフィーダのいずれかが部品切れ等により不要になってフィーダを交換する必要があるときには、不要となったフィーダの位置に対応するフィーダ交換位置表示器を点灯させると共に、フィーダ準備台車の交換用のフィーダの表示器を点灯させる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−18968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の構成では、表示器の点灯により作業者は不要となったフィーダの位置やフィーダ準備台車の交換用のフィーダの位置を知ることができるが、不要となったフィーダを取り外した後のフィーダの行き先を知ることができない。そのため、作業者は、実装機モジュールで不要となったフィーダを取り外す際に、当該フィーダの次の行き先を調べる必要があり、フィーダの取り外しの際の移動作業に手間がかかるという問題があった。
【0005】
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、
フィーダの取り外しの際の移動作業を容易に行うことが可能な部品実装装置及び部品実装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された部品実装装置は、基板を搬送する基板搬送部と、前記基板搬送部により搬送された前記基板に部品を移載する部品移載部と、前記部品移載部に供給する前記部品を保持するフィーダが取り外し可能に設けられた部品供給部と、を備える部品実装装置であって、作業者が視認可能な第1表示部と、前記フィーダが取り外された場合の当該フィーダの行き先に関する情報である行き先情報を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶した前記行き先情報に応じて前記第1表示部に複数の前記行き先に対して異なる表示態様で表示させる表示制御部と、を備える。
上記構成によれば、作業者は第1表示部の表示態様によりフィーダが取り外された場合のフィーダの行き先に関する情報を知ることができる。これにより、フィーダの取り外しの際のフィーダの移動作業を容易に行うことが可能になる。
【0007】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記第1表示部は、複数色の表示が可能とされており、前記表示制御部は、前記行き先情報が異なる場合に前記第1表示部に異なる色を表示させる。
このようにすれば、簡素な構成で、フィーダの行き先を作業者が視認することができる。
【0008】
作業者が視認可能に設けられた第2表示部と、前記フィーダの取り外しを検知する検知部と、を備え、前記表示制御部は、前記検知部が前記フィーダの取り外しを検知すると前記フィーダの前記行き先における取付位置に関する情報を前記第2表示部に表示する。
このようにすれば、フィーダの取り外しが行われたときに第2表示部によりフィーダの取付位置に関する情報を知ることができるため、より一層、フィーダの移動の作業性を向上させることができる。
【0009】
作業者が視認可能に設けられた外部表示部を有する外部機器に対して有線又は無線の通信手段により通信可能とされており、前記フィーダの取付位置に関する情報は前記外部表示部に表示される。
このようにすれば、外部機器によりフィーダの取付位置に関する情報を知ることができる。
【0010】
一の部品実装装置と、前記一の部品実装装置に対して有線又は無線の通信手段により通信可能とされた一又は複数の他の部品実装装置とを有する部品実装システムであって、前記一の部品実装装置は、前記フィーダの取り外しを検知する検知部と、前記検知部が前記フィーダの取り外しを検知すると前記フィーダの行き先となる他の部品実装装置に前記フィーダの取付位置に関する情報を送信する制御部とを備え、前記他の部品実装装置及び前記通信手段により通信可能とされた外部機器の少なくとも一方は、作業者が視認可能に設けられた表示部と、前記フィーダの取付位置に関する情報を受信すると前記取付位置に関する情報を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える、部品実装システム。
このようにすれば、複数の部品実装装置間のフィーダの移動作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に記載された技術によれば、フィーダの取り外しの際の移動作業を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の部品実装システムを示す図
図2】部品実装装置を示す正面図
図3】部品実装装置を示す平面図
図4】複数のフィーダの第1表示部の表示態様を示す図
図5】フィーダの操作部及び第1表示部を示す図
図6】部品実装システムの電気的構成を示すブロック図
図7】フィーダが取り外された部品実装装置のモニタの表示を示す図
図8】フィーダの行き先となる部品実装装置のモニタの表示を示す図
図9】フィーダの行き先となる部品実装装置のインジケータの表示を示す図
図10】フィーダが取り外される部品実装装置の制御部の処理を示すフローチャート
図11】フィーダの行き先となる部品実装装置の制御部の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.部品実装システム70の構成
実施形態の部品実装システム70について図1図11を参照しつつ説明する。
実施形態の部品実装システム70は、図1に示すように、複数の部品実装装置10(10A〜10H)と、PC65(Personal computer,「外部機器」の一例)とを有し、これらが有線又は無線の通信手段C1(ローカルエリアネットワーク等)により接続されている。複数の部品実装装置10A〜10Hは、列状に並べられて複数の生産ラインを構成している。
【0014】
部品実装装置10は、モニタ63A(「第2表示部63」の一例)を有する装置本体11と、装置本体11に装着される部品供給部40とを備える。部品供給部40は、フィーダ50とフィーダ50がセットされる台車41とを有し、フィーダ50と台車41とは部品庫71から段取り用のスペースに移動されて段取り作業が行われる。段取り作業後のフィーダ50がセットされた台車41は、装置本体11に装着されて装置本体11側に電子部品72(「部品」の一例)を供給する部品供給部40とされる。以下では、部品実装装置10の基台12Aの長辺方向及び基板搬送部13の搬送方向(図3の左右方向)をX軸方向とし、基台12Aの短辺方向(図3の上下方向)をY軸方向とし、部品実装装置10の高さ方向(図2の上下方向)をZ軸方向として説明する。
【0015】
装置本体11は、図2に示すように、直方体状のハウジング12を備え、ハウジング12の上部における正面及び背面には第2表示部63としてのモニタ63Aが固定されている。モニタ63Aは、例えば液晶表示画面を有し、詳しくは後述するが、フィーダ50を取り外した際にフィーダ50の次の行き先や取付位置等が表示される。また、装置本体11は、図3に示すように、プリント基板P(「基板」の一例)を搬送方向(X軸方向)に搬送するための基板搬送部13と、部品供給部40から供給された電子部品72を吸着してプリント基板P上に実装する実装用ヘッド30を有する部品移載部20とが収容されている。基板搬送部13は、基台12A上に設けられ、搬送方向に循環駆動する一対のコンベアベルト14を備えており、プリント基板Pは、両コンベアベルト14に架設する形でセットされる。プリント基板Pは、搬送方向の一方側(図3の右側)からコンベアベルト14に沿って基台12A上の作業位置(図3の二点鎖線の位置)に搬入され、この作業位置で停止した状態で電子部品72の実装作業がされた後、コンベアベルト14に沿って他方側(図3の左側)に搬出される。
【0016】
部品移載部20は、基台12A及び部品供給部40等の上方に設けられる一対の支持フレーム21と、ヘッドユニット22と、ヘッドユニット22を駆動するヘッドユニット駆動機構とから構成される。各支持フレーム21は、それぞれX軸方向における基台12Aの両側に位置しており、Y軸方向に延びている。支持フレーム21には、X軸サーボ機構及びY軸サーボ機構が各種モータ64(図6)によってX軸方向及びY軸方向に駆動可能に設けられている。X軸サーボ機構のガイドレールには、その軸方向に沿ってヘッドユニット22が移動自在に取り付けられている。ヘッドユニット22には、電子部品72の実装動作を行う実装用ヘッド30が列状をなして複数個搭載されている。各実装用ヘッド30は、ヘッドユニット22の下面から下向きに突出しており、その先端には電子部品72を負圧によって吸着する吸着ノズルがそれぞれ設けられている。ヘッドユニット22は、各種モータ64により、上下方向に昇降可能とされている。実装用ヘッド30は、フィーダ50により供給される電子部品72を取り出し、プリント基板P上に移載する。
【0017】
部品供給部40は、図1に示すように、装置本体11に対して着脱可能な台車41と、台車41に並んで保持される複数のフィーダ50とを備える。台車41は、一又は複数列に並んだ複数の装着スロットを有し、複数のフィーダ50を基板搬送方向に一又は複数列に並べた状態で各フィーダ50を着脱可能に保持する。台車41には、部品供給テープが巻かれたリールが回動可能に保持されている。部品供給テープには、複数の電子部品72が所定ピッチで並んで保持されており、部品供給テープがリールから引き出された状態で、フィーダ50の所定位置に取り付けられる。また、台車41又は装置本体11には、図9に示すように、第2表示部63としてのインジケータ63Bが固定されている。インジケータ63Bは、各フィーダ50に対応した表示が可能な複数のLED(light emitting diode)63B1,63B2が並んで設けられており、作業者は、フィーダ50を取付ける際にインジケータ63Bの表示により各フィーダ50の取付位置を認識することができる。
【0018】
各フィーダ50は、前後に長い形状をしており、部品供給テープに保持された電子部品72を実装用ヘッド30側に供給する。各フィーダ50は、図5に示すように、フィーダ操作部51と、第1表示部52とを有する。フィーダ操作部51は、部品供給の速度(リールの回転速度)等を変更可能とされている。第1表示部52は、複数(本実施形態では3個)のLED52A〜52Cが一列に並んで設けられており、それぞれ通電により赤、橙、緑の色の点灯、点滅が可能とされる。
【0019】
本実施形態では、第1表示部52の表示は、フィーダ50が部品庫71に戻される場合に赤のLED52Aが点灯し、フィーダ50が異なる部品実装装置10に移動する場合に橙のLED52Bが点灯し、フィーダ50が同じ部品実装装置10における異なるセット位置(装着スロット)に移動する場合に緑のLED52Cが点灯するようになっている。複数のフィーダ50が台車41の装着スロットにセットされると、図4に示すように、複数の第1表示部52が一列に並んだ状態となる。これにより、作業者は、各フィーダ50について点灯しているLED52A〜52Cの色により当該フィーダ50を取り外した後の次の行き先(同一又は異なる部品実装装置や部品庫)を認識することができる。
【0020】
また、各フィーダ50には、ICタグやバーコード等の識別情報が付されており、例えば段取作業時等においてバーコードリーダ等の読取装置により識別情報を読み取り、フィーダ50、部品供給テープ、電子部品72等の識別情報を装置本体11側の記憶部61やPC65のメモリ66A等に記憶可能となっている。
【0021】
2.部品実装装置10の電気的構成
部品実装システム70の電気的構成について図6を参照しつつ説明する。
部品実装システム70は、図6に示すように、複数の装置本体11と台車41とフィーダ50とPC65とが通信手段C1により通信可能に接続されている。
【0022】
フィーダ50は、フィーダ操作部51と、第1表示部52と、制御部53と、コネクタCN1とを備えており、これらが通信可能に接続されている。制御部53は、フィーダ50に関する情報を記憶可能なメモリ53Aを備えている。台車41の装着スロットに対してフィーダ50をセットすると、フィーダ50のコネクタCN1は、台車41のコネクタCN2に接続されてフィーダ50と台車41との間が電気的に接続される。
【0023】
台車41は、制御部42と検知部43と台車側表示部44とコネクタCN2,CN3とを備えている。制御部42は、フィーダ50に関する情報を記憶するメモリ42Aを備えている。フィーダ50が台車41の装着スロットにセットされた状態で、装置本体11に対して台車41が装着されていると、フィーダ50と装置本体11との間が電気的に接続される。また、装置本体11に対して台車41が装着された状態で、フィーダ50が台車41から取り外されると、フィーダ50と装置本体11との間の電気的な接続が遮断されるため、検知部43は、台車41の装着スロットに対して着脱が行われたフィーダ50を検知することができる。検知部43がフィーダ50の着脱を検知すると、制御部42は、装置本体11にフィーダ50の識別情報やフィーダ50の取り付け、取り外しの情報等を送信する。台車側表示部44は、台車の操作に関する情報を表示することができる。なお、台車側表示部44の表示はこれに限られず、例えば、台車側表示部44にフィーダ50の取付位置の情報を表示するインジケータ63Bを設けるようにしてもよい。
【0024】
装置本体11は、制御部60と本体操作部62と第2表示部63と各種モータ64とコネクタCN4とが通信可能に接続されている。制御部60は、CPU等からなり、入出力部60Aと表示制御部60Bとモータ制御部60Cと記憶部61とを備える。表示制御部60Bは、第1表示部52や第2表示部63の表示内容を制御する。本実施形態では、表示制御部60Bは、装置本体11に装着された台車41からフィーダ50が取り外される時期が近くなると、フィーダ50の次の行き先の情報をフィーダ50の第1表示部52に表示する。
【0025】
また、装置本体11に装着された台車41からフィーダ50が取り外されたことを示す信号が台車41側から入出力部60Aに入力されると、表示制御部60Bは、図7に示すように、フィーダ50の行き先の部品実装装置(マシン)、機器、場所等の識別情報、当該行き先における取付位置(台車位置及びセット位置)、フィーダ50の使用開始時間(生産開始時間)、生産する製品等の情報を第2表示部63に表示(ナビゲーション)させる。フィーダ50の行き先は、図1に示すように、同じ部品実装装置10Aの異なる台車位置(図1のA1)、同一の生産ラインの異なる部品実装装置10A,10B(図1のA2)、異なる生産ラインの部品実装装置10A,10D(図1のA3)、部品実装装置10Aから段取りスペース(図1のA4)、部品実装装置10Aから部品庫71(図1のA5)等があり、フィーダ50の行き先に応じた番号や名称が表示される。
【0026】
一方、フィーダ50の行き先となる部品実装装置10の表示制御部60Bは、当該部品実装装置10の第2表示部63に、図8に示すように、フィーダ50の行き先及び当該行き先における取付位置(台車位置及びセット位置)、フィーダ50の使用開始時間(生産開始時間)、生産する製品の情報等を第2表示部63に表示(ナビゲーション)させる。なお、第2表示部63の台車位置とは、一台の部品実装装置10における複数(本実施形態では4箇所)の台車41の装着位置の識別情報であり、セット位置は、フィーダ50をセットする装着スロットの番号等とすることができる。
図6に示すように、モータ制御部60Cは、実装プログラムに従って各種モータ64を駆動させ、基板搬送部13や部品移載部20に所定の動作をさせる。
【0027】
記憶部61は、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、及びデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部61には、実装プログラムと基板データとが記憶されている。実装プログラムには、プリント基板P上の電子部品72の実装位置に関する情報等が含まれている。基板データには、フィーダ50の取り外し後(交換後)の行き先や取付位置に関する情報が含まれている。フィーダ50の行き先や取付位置に関する情報には、例えば、フィーダ50の交換後に移動する部品実装装置10、場所等の識別番号や生産ラインの番号、フィーダ50の識別番号、台車位置、装着スロットに対してフィーダ50がセットされるセット位置等を含めることができる。また、記憶部61には、フィーダ50の行き先に応じて表示するLED52A〜52Cの色の対応関係、フィーダ50の使用開始時間(生産開始時間)、生産する製品の情報、生産基板の切り替えによるフィーダ50の取り外し時期、電子部品72の部品コード、電子部品72の残量や部品供給テープの残り長さ等を記憶することができる。
【0028】
本体操作部62は、例えばタッチパネル等からなり、作業者が部品実装装置10の各種の設定等に関する操作を行うことができる。第2表示部63は、モニタ63Aとインジケータ63Bとを有する。
【0029】
PC65は、台車41に対して有線又は無線の通信手段C2により接続することができ、メモリ66Aを有する制御部66と、ディスプレイ等の外部表示部68と、キーボード等の外部操作部69とを有する。外部表示部68は、台車41の制御部42からの信号により、装置本体11に装着された台車41からフィーダ50が取り外されたことを示す情報を取得し、モニタ63Aと同様にフィーダ50の行き先及び当該行き先における取付位置等の情報を外部表示部68に表示(ナビゲート)させることができる。
【0030】
3.制御部60の処理
部品実装システム70は、フィーダ50の着脱の際には図10図11の処理を行う。
(フィーダ50の取り外し時の処理)
一の部品実装装置10の制御部60は、図10に示すように、いずれかのフィーダ50の取り外し時期が近くなったか否かを判断する(S11)。具体的には、制御部60は、例えば、記憶部61の基板データに含まれたフィーダ50の交換に関する情報、生産品種の切り替えの情報、実装数、生産数の残り、経過時間等に基づいてフィーダ50の取り外し時期(交換時期)が近いことを判断することができる。
【0031】
制御部60は、いずれかのフィーダ50の取り外し時期が近いことを判断すると(S11で「YES」)、図4に示すように、当該フィーダ50のLED52A〜52Cのうちから次の移動先を示す色のLEDを点灯する(S12)。これにより、作業者は、点灯したLED52A〜52Cの色により、取り外すべきフィーダ50の位置だけでなく、当該フィーダ50の取り外し後の行き先(移動先)を認識することができる。
【0032】
そして、制御部60は、フィーダ50の取り外しの有無を検知する(S13)。作業者がフィーダ50を取り外すと台車41の検知部43及び制御部42からの信号により、制御部60は、フィーダ50の取り外しを検知し(S13で「YES」)、図7に示すように、部品実装装置10の第2表示部63(及び外部機器の外部表示部68)に取付位置に関する情報を表示する(S14)。
【0033】
次に、記憶部61の基板データ等の情報に基づき、フィーダ50の行き先は別の部品実装装置10であるか否かを判断する(S15)。フィーダ50の行き先が別の部品実装装置10であると判断した場合には(S15で「YES」)、フィーダ50の行き先の部品実装装置10にフィーダ50の取付位置等に関する情報を送信する(S16)。一方、フィーダ50の行き先は同じ部品実装装置10であると判断した場合には(S15で「NO」)、処理を終了する。
【0034】
(フィーダ50の取り付け時の処理)
他の部品実装装置10の装置本体11の制御部60は、図11に示すように、上記した一の部品実装装置10からフィーダ50の取付位置等に関する情報を受信すると(S21で「YES」)、図8に示すように、第2表示部63のモニタ63Aに取付位置等に関する情報を表示する(S22)。また、図9に示すように、フィーダ50の取付位置のインジケータ63BのLED63B1を点灯し、取付位置以外のLED63B2は消灯する(S23)。次に、作業者がフィーダ50を取り付けると台車41の検知部43及び制御部42からの信号により、制御部60は、フィーダ50の取り付けを検知し(S24で「YES」)、モニタ63A及びインジケータ63Bの取付位置等の表示を消す(S25)。
【0035】
4.本実施形態の作用、効果
部品実装装置10は、プリント基板P(基板)を搬送する基板搬送部13と、基板搬送部13により搬送されたプリント基板Pに電子部品72(部品)を移載する部品移載部20と、部品移載部20に供給する電子部品72を保持するフィーダ50が取り外し可能に設けられた部品供給部40と、を備える部品実装装置10であって、作業者が視認可能な第1表示部52と、フィーダ50が取り外された場合の当該フィーダ50の行き先に関する情報である行き先情報を記憶する記憶部61と、記憶部61が記憶した行き先情報に応じて第1表示部52に複数の行き先に対して異なる表示態様で表示させる表示制御部60Bと、を備える。
このようにすれば、作業者は第1表示部52の表示態様によりフィーダ50が取り外された場合のフィーダ50の行き先に関する情報を知ることができる。これにより、フィーダ50の取り外しの際のフィーダ50の移動作業を容易に行うことが可能になる。
【0036】
また、第1表示部52は、複数色の表示が可能とされており、表示制御部60Bは、行き先情報が異なる場合に第1表示部52に異なる色を表示させる。
このようにすれば、簡素な構成で、フィーダ50の行き先を作業者が視認することができる。
【0037】
また、作業者が視認可能に設けられた第2表示部63と、フィーダ50の取り外しを検知する検知部43と、を備え、表示制御部60Bは、検知部43がフィーダ50の取り外しを検知するとフィーダ50の取付位置に関する情報を第2表示部63に表示する。
このようにすれば、フィーダ50の取り外しが行われたときに第2表示部63によりフィーダ50の取付位置に関する情報を知ることができるため、より一層、フィーダ50の移動の作業性を向上させることができる。
【0038】
また、作業者が視認可能に設けられた外部表示部68を有するPC65(外部機器)に対して有線又は無線の通信手段C1により通信可能とされており、フィーダ50の取付位置に関する情報は外部表示部68に表示される。
このようにすれば、PC65によりフィーダ50の取付位置に関する情報を知ることができる。
【0039】
また、部品実装装置10と、部品実装装置10に対して有線又は無線の通信手段C1により通信可能とされた一又は複数の他の部品実装装置10とを有する部品実装システム70であって、一の部品実装装置10は、フィーダ50の取り外しを検知する検知部43と、検知部43がフィーダ50の取り外しを検知するとフィーダ50の行き先となる他の部品実装装置10にフィーダ50の取付位置に関する情報を送信する制御部60とを備え、他の部品実装装置10及び通信手段C1により通信可能とされたPC65の少なくとも一方は、作業者が視認可能に設けられた第2表示部63(表示部)及び外部表示部68(表示部)と、フィーダ50の取付位置に関する情報を受信すると取付位置に関する情報を第2表示部63(表示部)及び外部表示部68(表示部)に表示させる表示制御部60Bとを備える。
このようにすれば、複数の部品実装装置10間のフィーダ50の移動作業を容易に行うことができる。
【0040】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、フィーダ50の取り外しを検知した後にフィーダ50の行き先や取付情報を第2表示部63や外部表示部68に表示する構成としたが、これに限られない。例えば、フィーダ50の取り外しを検知する前にフィーダ50の行き先や取付情報を第2表示部63や外部表示部68に表示する構成としてもよい。
【0041】
(2)上記実施形態では、台車41に対してフィーダ50を取り付ける構成としたが、これに限られない。例えば装置本体11に直接フィーダ50を取り付け、台車41が装着されない部品実装装置としてもよい。
【0042】
(3)第1表示部52やインジケータ63Bの表示は、上記実施形態の表示に限られない。例えば、LEDの色を異なる色の表示としたり、LEDの点灯に限られず点滅としてもよい。また、LEDに限られず、液晶表示装置やランプ等の他の表示としてもよい。また、第1表示部の表示は、複数色に限られず、一色の表示でフィーダ50の行き先を表示するようにしてもよい。
【0043】
(4)部品実装システム70を構成する部品実装装置10やフィーダ50等の数は上記実施形態の数に限られず、種々の数に変更することができる。
【符号の説明】
【0044】
10(10A〜10H): 部品実装装置
11: 装置本体
13: 基板搬送部
20: 部品移載部
40: 部品供給部
41: 台車
43: 検知部
50: フィーダ
52: 第1表示部(表示部)
52A〜52C: LED
53,60,66: 制御部
60B: 表示制御部
61: 記憶部
63: 第2表示部(表示部)
63A: モニタ
63B: インジケータ
65:PC(外部機器)
68: 外部表示部(表示部)
70: 部品実装システム
71: 部品庫
72: 電子部品(備品)
C1,C2: 通信手段
P:プリント基板(基板)
図1
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