(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置1の外観の一例を示す斜視図である。図中の第1方向X、第2方向Y、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していても良い。本実施形態において、第3方向Zを「上」又は「上方」と称し、第3方向Zと反対方向を「下」又は「下方」と称する場合がある。
【0010】
表示装置1は、表示部DSP、光学素子10、20A、及び20Bを備えている。本実施形態において、光学素子10は、第1光学素子に相当し、光学素子20Aは、第2光学素子に相当し、光学素子20Bは、第3光学素子に相当する。表示部DSP、光学素子10、及び光学素子20Aは、筐体70に収容されている。光学素子20Bは、一例では、筐体70に保持されているが、筐体70とは別の部材に保持されていてもよい。
【0011】
表示部DSPは、表示光を出射するものであれば、その構成は特に限定されない。表示部DSPは、一例として、液晶層を有する液晶表示装置である。但し、表示部DSPは、有機エレクトロルミネッセンス素子等を有する自発光型の表示装置、電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を適用した表示装置、或いはエレクトロクロミズムを適用した表示装置などであっても良い。
【0012】
光学素子10は、入射光の少なくとも一部を反射するとともに、入射光の一部を透過する。光学素子10は、一例では、平板状であり、第1面10Aと、第1面10Aと反対側の第2面10Bとを有している。光学素子10は、第1面10A及び第2面10Bが第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX−Y平面と平行になるように配置されている。第1面10Aは、表示部DSP及び光学素子20Aと対向している。第2面10Bは、光学素子20Bと対向している。光学素子10は、第1方向Xに沿って延出した端部10E1及び10E2を有している。端部10E1は、表示部DSPと近接する側に位置している。端部10E2は、光学素子20Aと光学素子20Bとの間に位置している。
【0013】
光学素子20A及び20Bは、入射光に対して位相差を付与するとともに再帰反射する。光学素子20Aと光学素子20Bとは、第3方向Zに沿って並び、光学素子10を挟んでいる。
【0014】
光学素子20Aは、筐体70内において、表示部DSPと第2方向Yに沿って並んでいる。図示した例では、光学素子20Aは、第1方向Xに沿って延出した端部20A1及び20A2を有している。端部20A1は、第2方向Yにおいて、端部20A2より表示部DSP側に位置している。端部20A2は、第3方向Zにおいて、端部20A1より光学素子10に近接している。
【0015】
光学素子20Bは、光学素子10を挟み、光学素子20A及び表示部DSPと対向している。図示した例では、光学素子20Bは、第1方向Xに沿って延出した端部20B1及び20B2を有している。端部20B1は、第2方向Yにおいて、端部20B2より表示部DSP側に位置している。端部20B2は、第3方向Zにおいて、端部20B1より光学素子10に近接している。図示した例では、光学素子20Bは、表示部DSPと略平行に配置されている。
【0016】
図2は、
図1に示す表示装置1の構成例を示す図である。
図2は、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY−Z平面と平行な面を示している。表示装置1は、光学素子10、表示部DSP、光学素子20A、及び光学素子20Bを備えている。
【0017】
光学素子10は、第1偏光素子11、第2偏光素子12、及び支持基板13を備えている。
【0018】
第1偏光素子11及び第2偏光素子12は、第1直線偏光を透過する透過軸を有し、透過軸に直交する第2直線偏光を反射する。例えば、第1直線偏光は入射面に平行なP波であり、第2直線偏光は入射面に垂直なS波である。このような第1偏光素子11及び第2偏光素子12は、例えばワイヤグリッド偏光フィルタや、輝度上昇フィルムを適用した反射型偏光フィルムや、この反射型偏光フィルムと直線偏光板とを重ねた多層体などによって構成されている。図示した例では、第1偏光素子11は、第1面10Aを有している。第1面10Aは、表示部DSP及び光学素子20Aと対向している。第2偏光素子12は、第2面10Bを有している。第2面10Bは、光学素子20Bと対向している。第1面10A及び第2面10Bは、X−Y平面に平行な面であり、第2直線偏光に対する反射面に相当する。
【0019】
支持基板13は、第1偏光素子11と第2偏光素子12との間に位置し、これらと接着されている。一例では、支持基板13は、ガラスや樹脂によって形成されている。支持基板13の屈折率は、第1偏光素子11及び第2偏光素子12を形成する材料と同等であることが望ましい。
【0020】
表示部DSPは、表示パネルPNL、変調素子30、及び駆動部DRを備えている。
【0021】
表示パネルPNLは、表示画像I0を示す表示光を出射する。本実施形態において、表示パネルPNLは、一例では、一対の基板間に液晶層を保持した液晶表示パネルである。表示パネルPNLから出射される表示光は、例えば、第2直線偏光である。表示パネルPNLは、表示画像I0を表示する表示面IP0を有している。表示面IP0は、第1面10Aと対向している。図示した例では、表示パネルPNLは、表示面IP0と第1面10Aとの距離LDが第2方向Yに沿って大きくなるように配置されている。つまり、端部10E1側における距離LDは、端部10E2側における距離LDより小さい。ここで、距離LDは、第3方向Zに沿った距離である。
【0022】
液晶表示パネルは、光源装置からの光を選択的に透過させることで画像を表示する透過型であっても良いし、外光あるいは光源装置からの光を選択的に反射させることで画像を表示させる反射型であっても良いし、透過型及び反射型の双方の表示機能を備えた半透過型であっても良い。なお、表示部DSPは、表示パネルPNLに代えて、プロジェクタから出射された出射光が投影されるスクリーンを備えていても良いし、照明装置によって照明される表示媒体(ポスターなど)を備えていても良い。
【0023】
変調素子30は、表示パネルPNLと重なっている。図示した例では、変調素子30は、表示面IP0と略平行に対向している。変調素子30は、表示パネルPNLの表示面IP0側に接着されていても良いし、表示面IP0から離間していても良い。変調素子30は、表示パネルPNLから出射された第2直線偏光を選択的に第1直線偏光に変調するものである。ここでの『選択的に』とは、時間的に変調するものと、空間的に変調するものとを含む。以下の例では、時間的に変調する変調素子30について説明し、空間的に変調する変調素子30については後述する。
【0024】
変調素子30は、2つのモードに制御され、モードに応じて透過光に位相差を付与する。例えば、変調素子30は、第1モードにおいて、透過光に約λ/2の位相差を付与する。ここで、λは、透過光の波長である。これにより、第1モードの変調素子30を第2直線偏光が透過した場合、偏光面が約90°回転され、第1直線偏光に変換される。一方、変調素子30は、第2モードにおいて、透過光に位相差を付与しない。すなわち、第2モードの変調素子30を透過した第2直線偏光は、その偏光面を変えない。したがって、第1モードと第2モードとを切り替えることで、表示部DSPから出射される表示光の偏光面を、光学素子10の透過軸と平行、又は垂直となるように時間的に切り替えることができる。
【0025】
駆動部DRは、表示パネルPNL及び変調素子30をそれぞれ駆動する。すなわち、駆動部DRは、表示パネルPNLの表示動作を制御する。また、駆動部DRは、変調素子30において、第1モードと第2モードとを切り替える。一例では、駆動部DRは、表示パネルPNLに表示される表示画像I0と同期して、変調素子30の第1モードと第2モードとを切り替える。
【0026】
光学素子20Aは、第1再帰反射素子201と、第1位相差板RA1とを備えている。
【0027】
第1再帰反射素子201は、入射光を再帰反射する。すなわち、第1再帰反射素子201は、入射光を、入射光と平行で且つ反対方向に反射する。第1再帰反射素子201は、第1面10Aの下方に位置し、第1面10A及び表示部DSPと対向する表面201Aと、表面201Aと反対側の裏面201Bとを有している。第1再帰反射素子201は、第1面10Aと表面201Aとの距離L21が第2方向Yに沿って小さくなるように、X−Y平面に対して傾いている。つまり、端部10E1側における距離L21は、端部10E2側における距離L21より大きい。ここで、距離L21は、第3方向Zに沿った長さである。
【0028】
図示した例では、表面201Aは平坦面である。裏面201Bは、再帰反射体を有している。すなわち、裏面201Bは、凹部CC及び凸部CVを有する凹凸面である。凸部CVは、光学素子10とは反対側に向かって突出している。第1再帰反射素子201は、裏面201Bにおいて、光学素子10で反射された反射光を再帰反射する再帰反射部21と、光学素子10で反射された反射光を再帰反射せずに散乱させる非再帰反射部22と、を備えている。
【0029】
このような第1再帰反射素子201は、例えば、樹脂材料によって形成されている。上述の再帰反射部21及び非再帰反射部22は、樹脂材料と空気との界面に形成されている。第1再帰反射素子201に入射した入射光のほとんどは、裏面201Bを透過することなく、裏面201Bにおいて再帰反射もしくは散乱される。
【0030】
第1位相差板RA1は、透過光に約λ/4の位相差を付与する。第1位相差板RA1は、第1面10Aと第1再帰反射素子201との間に位置し、第1再帰反射素子201と重なっている。図示した例では、第1位相差板RA1は、表面201Aと略平行に対向している。第1位相差板RA1は、表面201Aに接着されていても良いし、表面201Aから離間していてもよい。
【0031】
光学素子20Bは、第2再帰反射素子202と、第2位相差板RA2とを備えている。
【0032】
第2再帰反射素子202は、入射光を再帰反射する。第2再帰反射素子202は、第1再帰反射素子201の直上に位置し、第2面10Bと対向する表面202Aと、表面202Aと反対側の裏面202Bとを有している。第2再帰反射素子202は、光学素子10を挟み、表示部DSPとも対向している。図示した例では、表面202Aは、表示面IP0と略平行に対向している。すなわち、第2再帰反射素子202は、表面202Aと第2面10Bとの距離L22が第2方向Yに沿って小さくなるように、X−Y平面に対して傾いている。つまり、端部10E1側における距離L22は、端部10E2側における距離L22より大きい。ここで、距離L22は、第3方向Zに沿った長さである。
【0033】
第2再帰反射素子202は、第1再帰反射素子201と同様に、樹脂材料によって形成されている。図示した例では、表面202Aは、平坦面である。裏面202Bは、裏面201Bと同様に、凹部CC及び凸部CVを有する凹凸面であり、再帰反射部21と、非再帰反射部22を有している。第2再帰反射素子202に入射した入射光のほとんどは、裏面202Bを透過することなく、裏面202Bにおいて再帰反射もしくは散乱される。
【0034】
第2位相差板RA2は、透過光に約λ/4の位相差を付与する。第2位相差板RA2は、第2面10Bと第2再帰反射素子202との間に位置し、第2再帰反射素子202と重なっている。図示した例では、第2位相差板RA2は、表面202Aと略平行に対向している。第2位相差板RA2は、表面202Aに接着されていても良いし、表面202Aから離間していても良い。
【0035】
上記の構成において、第1再帰反射素子201入射し第1再帰反射素子201によって再帰反射された光は第1位相差板RA1を2回透過する。また、第2再帰反射素子202に入射し第2再帰反射素子202によって再帰反射された光は第2位相差板RA2を2回透過する。したがって、光学素子20A及び20Bによって再帰反射された再帰反射光には、約λ/2の位相差が付与される。
【0036】
なお、第1再帰反射素子201及び第2再帰反射素子202は、それぞれの平坦面が光学素子10を向くように配置されたが、それぞれの凹凸面(再帰反射体を有する面)が光学素子10を向くように配置されても良い。
【0037】
また、凹凸面(図示した例では、裏面201B及び202B)は、光反射性を呈する反射膜によって覆われていてもよい。反射膜は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金などの光反射性を呈する材料によって形成され、略均一の膜厚で形成される。また、反射膜は、その腐食を防止するための表面処理が施されても良いし、シリコン窒化物(SiN)などの無機系材料によってコーティングされても良い。
【0038】
図3は、表示部DSPから出射された表示光が空中像(aerial image)I1及びI2として結像されるまでの光路の一例を示す図である。空中像I1及びI2は、表示画像I0の実像に相当する。
図3(a)は、変調素子30が第1モードに制御された場合を示し、
図3(b)は、変調素子30が第2モードに制御された場合を示している。以下では、
図3及び
図2を参照して、表示部DSPにおける表示画像I0を空中像I1及びI2として結像させるための各構成の機能について説明する。
図2において、破線の矢印A1は、第1モードにおける光路を示し、実線の矢印A2は、第2モードにおける光路を示している。本実施形態において、表示パネルPNLは、表示画像I0の表示光に相当する第2直線偏光を出射するものとする。ここでの第2直線偏光は、光学素子10の透過軸と直交する偏光面を有するものである。
【0039】
図3(a)に示すように、変調素子30が第1モードに制御されている場合、変調素子30は、表示パネルPNLから出射された第2直線偏光を第1直線偏光に変調する。ここでの第1直線偏光は、光学素子10の透過軸と平行な偏光面を有するものである。この第1直線偏光は、
図2において破線の矢印A1で示すように、光学素子10を透過した後、第2位相差板RA2を透過し、円偏光に変換される。ここでの円偏光とは、光の進行方向と対向する方向から見て例えば左回りに回転する軌跡を描くものである。続いて、円偏光は、第2再帰反射素子202によって再帰反射される。このとき再帰反射された反射光は、円偏光である。再帰反射された円偏光は、第2位相差板RA2を再び透過し、第2直線偏光に変換される。この第2直線偏光は、第2面10Bによって反射され、表示画像I0を表す空中像I2として結像される。空中像I2の結像面IP2は、第2面10Bに対して表示面IP0と面対称に位置している。
【0040】
一方、
図3(b)に示すように、変調素子30が第2モードである場合、変調素子30は、第2直線偏光を変調しない。すなわち、変調素子30を透過した後も第2直線偏光は、維持される。この第2直線偏光は、
図2において実線の矢印A2で示すように、第1面10Aによって第1再帰反射素子201へ向かって反射される。第2直線偏光は、第1位相差板RA1を透過し、円偏光に変換される。続いて、円偏光は、第1再帰反射素子201によって再帰反射される。再帰反射された円偏光は、第1位相差板RA1を再び透過し、第1直線偏光に変換される。この第1直線偏光は、光学素子10を透過し、表示画像I0を表す空中像I1として結像される。空中像I1の結像面IP1は、第1面10Aに対して表示面IP0と面対称に位置している。
【0041】
以上のように、変調素子30の第1モードと第2モードとを切り替えることで、結像面の異なる空中像I1及びI2が結像される。
図2に示す例では、空中像I2は、空中像I1の上方つまり第3方向Zに沿って光学素子10から離間する方向に位置している。結像面IP1と結像面IP2との距離LIPは、第1面10Aと第2面10Bとの第3方向Zに沿った距離に応じて変化する。あるいは、距離LIPは、支持基板13の厚さT13に依存する。なお、距離LIPは、結像面IP1及びIP2と直交する方向の距離である。
【0042】
図4は、表示面IP0、光学素子10、結像面IP1及びIP2の位置関係を示す図である。
図4において、結像面IP1を破線で示し、結像面IP2を一点鎖線で示している。なお、図示した例では、表示面IP0は、矩形状であるが、表示面IP0の形状は、これに限定されず、例えば矩形以外の多角形状でも良く、円形又は楕円形状でも良い。
【0043】
図4の左上に示す例では、表示面IP0に表示画像I01として文字列「ABC」が表示されている。このとき、変調素子30は、表示画像I01と同期して、第1モードに制御される。表示画像I01を示す第2直線偏光は、第1モードの変調素子30によって第1直線偏光に変調され、空中像I2として結像面IP2内に結像される。結像面IP2は、図中の一点鎖線で示すように、第2面10Bに対して表示面IP0と面対称に位置している。
【0044】
図4の右上に示す例では、表示面IP0に表示画像I02として背景画像が表示されている。このとき、変調素子30は、表示画像I02と同期して、第2モードに制御される。表示画像I02を示す第2直線偏光は、第2モードの変調素子30によって変調されずに、空中像I1として結像面IP1内に結像される。結像面IP1は、図中の破線で示すように、第1面10Aに対して表示面IP0と面対称に位置している。
【0045】
表示画像I01及びI02と同期して、且つ、観測者が知覚できない程度に早い周期で第1モードと第2モードとを切り替えることで、
図4の下側に示すように、観測者は、背景画像から浮き上がった文字列「ABC」を視認することができる。
【0046】
本実施形態において、結像面IP1及びIP2は、方向D1及び方向D2で規定される面と平行である。なお、方向D1は、上述の第1方向Xに相当する。方向D2は、第2方向Yと鋭角θで交差する方向である。つまり、結像面IP1及びIP2は、X−Y平面と交差する平面であり、あるいは、第1面10A及び第2面10Bと鋭角θで交差する面である。方向D3は、方向D1及びD2と直交する方向である。結像面IP1と結像面IP2とは、方向D3に沿って離間している。図示した例では、結像面IP1は、結像面IP2より光学素子10側に位置している。
【0047】
表示画像I0と空中像I1及びI2との関係に着目すると、空中像I1及びI2は、表示画像I0の第3方向Zにおける上下の関係が逆であり、表示画像I0の第1方向Xにおける左右の関係は同一である。
【0048】
次に、各構成の具体例について以下に説明する。
【0049】
図5は、
図2に示した表示パネルPNLの一構成例を示す図である。ここでは、表示パネルPNLの一例として、アクティブマトリクス駆動方式の透過型液晶表示パネルについて説明する。すなわち、表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向した第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持された液晶層LCと、を備えている。第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、これらの間に所定のセルギャップを形成した状態で貼り合わせられている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示エリアDAを備えている。表示エリアDAは、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルPXを有している。
【0050】
表示エリアDAは、サブピクセルPXとして、例えば赤色を表示する赤画素PXR、緑色を表示する緑画素PXG、及び、青色を表示する青画素PXBを有している。なお、表示エリアDAは、さらに、赤、緑、青とは異なる色のサブピクセル(例えば白色を表示する白画素)を有していても良い。カラー表示を実現するための主画素は、これらの複数の異なる色のサブピクセルPXによって構成されている。すなわち、ここでの主画素とは、カラー画像を構成する最小単位である。図示した例では、主画素は、赤画素PXR、緑画素PXG、及び、青画素PXBによって構成されている。
【0051】
赤画素PXRは、赤色カラーフィルタを備え、光源装置からの白色光のうち主として赤色光を透過可能に構成されている。緑画素PXGは、緑色カラーフィルタを備え、光源装置からの白色光のうち主として緑色光を透過可能に構成されている。青画素PXBは、青色カラーフィルタを備え、光源装置からの白色光のうち主として青色光を透過可能に構成されている。なお、詳述しないが、カラーフィルタは、第1基板SUB1に形成されていても良いし、第2基板SUB2に形成されていても良い。
【0052】
第1基板SUB1は、複数の走査線G、及び、走査線Gと交差する複数の信号線Sを備えている。各走査線Gは、表示エリアDAの外側に引き出され、走査線駆動部GDに接続されている。各信号線Sは、表示エリアDAの外側に引き出され、信号線駆動部SDに接続されている。走査線駆動部GD及び信号線駆動部SDは、コントローラCNTに接続されている。コントローラCNTは、映像信号に基づいて制御信号を生成して、走査線駆動部GD及び信号線駆動部SDを制御する。
【0053】
各サブピクセルPXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CEなどを備えている。スイッチング素子SWは、走査線G及び信号線Sに電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタによって構成されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、複数の画素電極PEとそれぞれ対向している。
【0054】
なお、表示パネルPNLの詳細な構成については説明を省略するが、基板主面の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、あるいは、基板主面の法線に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モードでは、画素電極PEが第1基板SUB1に備えられる一方で、共通電極CEが第2基板SUB2に備えられる。また、基板主面に沿った横電界を利用する表示モードでは、画素電極PE及び共通電極CEの双方が第1基板SUB1に備えられている。さらには、表示パネルPNLは、上記の縦電界、横電界、及び、傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応した構成を有していても良い。
【0055】
図6は、
図2に示した表示パネルPNLの一構成例を示す断面図である。ここでは、横電界を利用する表示モードの一つであるFFS(Fringe Field Switching)モードを適用した表示パネルPNLの断面構造について簡単に説明する。
【0056】
第1基板SUB1は、第1絶縁基板100、第1絶縁膜110、共通電極CE、第2絶縁膜120、画素電極PE1乃至PE3、第1配向膜AL1などを備えている。共通電極CEは、赤画素PXR、緑画素PXG、及び、青画素PXBに亘って延在している。赤画素PXRの画素電極PE1、緑画素PXGの画素電極PE2、青画素PXBの画素電極PE3のそれぞれは、共通電極CEと対向し、それぞれスリットSLAを有している。図示した例では、共通電極CEは第1絶縁膜110と第2絶縁膜120との間に位置し、画素電極PE1乃至PE3は第2絶縁膜120と第1配向膜AL1との間に位置している。なお、画素電極PE1乃至PE3が第1絶縁膜110と第2絶縁膜120との間に位置し、共通電極CEが第2絶縁膜120と第1配向膜AL1との間に位置していても良い。この場合、スリットSLAは、共通電極CEに形成される。
【0057】
第2基板SUB2は、第2絶縁基板200、遮光層BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、それぞれ液晶層LCを挟んで画素電極PE1乃至PE3と対向している。カラーフィルタCFRは赤色のカラーフィルタであり、カラーフィルタCFGは緑色のカラーフィルタであり、カラーフィルタCFBは青色のカラーフィルタである。なお、図示した例では、カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、第2基板SUB2に形成されたが、第1基板SUB1に形成されても良い。
液晶層LCは、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に封入されている。
光源装置LSは、第1基板SUB1と対向している。光源装置LSとしては、種々の形態が適用可能であるが、詳細な構造については説明を省略する。
【0058】
第1偏光板PL1を含む第1光学素子OD1は、第1絶縁基板100の外面に配置されている。第2偏光板PL2を含む第2光学素子OD2は、第2絶縁基板200の外面に配置されている。例えば、第1偏光板PL1の第1吸収軸及び第2偏光板PL2の第2吸収軸は、直交している。なお、図示した例では、第2光学素子OD2の表面が表示パネルPNLの表示面IP0に相当する。第2偏光板PL2は、上記の通り、第2直線偏光を出射するように配置されている。
【0059】
赤画素PXR、緑画素PXG、及び、青画素PXBによって構成された主画素は、ピッチP1で配列されている。
【0060】
図7は、再帰反射素子20の一構成例を示す平面図である。ここでは、互いに直交する第1方向d1及び第3方向d3によって規定される平面での平面図を図示している。ここで説明する再帰反射素子20は、上記の第1再帰反射素子201及び第2再帰反射素子202として適用可能である。
【0061】
再帰反射素子20は、複数の再帰反射体23によって構成されている。図示した平面図においては、再帰反射体23は、正三角形状のエッジEGを備えている。エッジEGは、第3方向d3に平行な辺EA、第1方向d1及び第3方向d3とそれぞれ交差する方向に延出した辺EB及びECを備えている。再帰反射体23は、一例では、互いに直交する3つの反射面23A、23B、23Cを備えている。辺EA、EB、ECの各々は、反射面23A、23B、23Cに含まれる。3つの反射面23A、23B、23Cの交点は、再帰反射体23の中心Oに相当する。一例では、再帰反射体23は、その中心Oが紙面の奥に向かって窪んでいる。再帰反射体23が3つの反射面23A、23B、23Cによって囲まれた凹部を備えている場合、エッジEGは再帰反射体23の頂部に相当し、中心Oは再帰反射体23の底部に相当する。但し、再帰反射体23が3つの反射面23A、23B、23Cによって囲まれた凸部を備えていても良く、この場合、エッジEGは再帰反射体23の底部に相当し、中心Oは再帰反射体23の頂部に相当する。
【0062】
このような再帰反射体23は、第3方向d3に配列されている。また、再帰反射体23は、第1方向d1にピッチP2で配列されている。但し、第1方向d1及び第3方向d3にそれぞれ隣り合う再帰反射体23は、互いに180度反転した形状を有している。図中の再帰反射体231及び再帰反射体232は、第1方向d1に並んでいる。再帰反射体231及び再帰反射体232は、エッジE12に対して線対称の位置関係にある。
【0063】
空中像I1及びI2の解像度は、再帰反射体23のピッチP2に依存する。解像度の劣化を抑制するためには、ピッチP2は、
図6に示した表示パネルPNLにおける画素のピッチP1よりも小さいことが望ましい。
【0064】
図8は、
図7に示した再帰反射体23の一構成例を示す斜視図である。ここでは、互いに直交するxyz座標系を適用して、再帰反射体23の形状について説明する。
【0065】
再帰反射体23は、xyz座標系において、3つの反射面23A、23B、23Cを有している。これらの反射面23A乃至23Cは、いずれも同一形状であり、直角二等辺三角形である。また、これらの反射面23A乃至23Cは、互いに直交している。このような形状の反射面23A乃至23Cを有する再帰反射体23は、コーナーキューブ、あるいは、コーナーリフレクタなどと称される。
【0066】
x軸上の点A(α,0,0)、y軸上の点B(0,α,0)、z軸上の点C(0,0,α)としたとき、反射面23Aは、x−y平面に形成され、原点O、点A、及び、点Bによって規定される。反射面23Bは、y−z平面に形成され、原点O、点B、及び、点Cによって規定される。反射面23Cは、x−z平面に形成され、原点O、点A、及び、点Cによって規定される。点A及び点Bを結ぶ線分、点B及び点Cを結ぶ線分、及び、点A及び点Cを結ぶ線分は、それぞれ
図7に示したエッジEGの辺EA、EB、ECに相当する。なお、ここでの原点Oとは、
図7に示した中心Oに相当する。
【0067】
原点Oが再帰反射体23の底部に相当する場合、3つの点A、点B、及び、点Cによって規定される面は存在せず、3つの反射面23A乃至23Cによって囲まれた内側は、空気層である。原点Oが再帰反射体23の頂部に相当する場合、3つの点A、点B、及び、点Cによって規定される面が存在し、再帰反射体23は正四面体となる。
【0068】
再帰反射体23では、入射光が3つの反射面23A乃至23Cでそれぞれ反射されることによって入射光とほぼ同一の光路に反射する再帰反射を実現している。但し、3つの点A、点B、及び、点Cの近傍は、再帰反射しない(3つの反射面で反射されない)非再帰反射部となりうる。なお、再帰反射体23の形状は、図示した例に限られるものではなく、非再帰反射部をカットした形状であっても良い。
【0069】
図9は、
図2に示す変調素子30の構成例を示す断面図である。
図9(a)は、第1モードに制御された変調素子30の断面図であり、
図9(b)は、第2モードに制御された変調素子30の断面図である。図中の第1方向a、第2方向b、及び第3方向cは、互いに直交している。
図9は、第2方向b及び第3方向cによって規定されるb−c平面に平行な面を示している。ここでは、表示光としての第2直線偏光L2は、第3方向cに進んでいるものとする。図示した例では、第2直線偏光L2の偏光方向は、第2方向bに平行であり、第1直線偏光L1の偏光方向は、第1方向aに平行である。
【0070】
変調素子30は、支持基板31及び32、第1電極33、第2電極34、配向膜35及び36、及び液晶層37を備えた液晶パネルである。第1電極33は、支持基板31と配向膜35との間に位置している。第2電極34は、支持基板32と配向膜36との間に位置している。液晶層37は、配向膜35と配向膜36との間に位置している。支持基板31及び32は、ガラス基板や樹脂基板などの可視光に対して透明な基板である。第1電極33及び第2電極34は、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成されている。なお、図示した例では、第1電極33は支持基板31に設けられ、第2電極34は支持基板32に設けられているが、第1電極33及び第2電極34がいずれも同一基板、すなわち支持基板31又は32に設けられていても良い。液晶層37としては、例えば、正の誘電率異方性を有している。配向膜35及び36は、例えば、液晶分子37Mを主面に平行な方向に配向させる配向規制力を有する水平配向膜である。配向膜35は、第2方向bに沿って配向処理されており、配向膜36は、第1方向aに沿って配向処理されている。
【0071】
図9(a)は、液晶層37を挟んで対向する第1電極33と第2電極34との間に電圧が印加されていない第1モード(オフ状態)を示している。このとき、液晶層37において、液晶分子37Mは、90°ツイスト配向している。すなわち、配向膜35の近傍における液晶分子37Mは、第2方向bに沿って初期配向している。配向膜36近傍における液晶分子37Mは、第1方向aに沿って初期配向している。第1モードの変調素子30に入射した第2直線偏光L2は、ツイスト配向した液晶分子37Mの影響を受けて、その偏光軸が回転し、液晶層37を透過した後に第1直線偏光L1となる。
【0072】
図9(b)は、第1電極33と第2電極34との間に電圧が印加された第2モード(オン状態)を示している。このとき、液晶層37において、液晶分子37Mは、その長軸が形成された電界に沿うように垂直配向している。すなわち、液晶分子37Mの長軸は、第3方向cに沿って配向している。第2モードの変調素子30に入射した第2直線偏光L2は、垂直配向した液晶分子37Mの影響をほとんど受けず、その偏光軸が維持されたまま液晶層37を透過する。
【0073】
図10は、
図9に示す第1電極33及び第2電極34の構成例を示す平面図である。
図10は、第1方向a及び第2方向bによって規定されるa−b平面に平行な面を示している。変調素子30は、a−b平面において、光が透過可能な有効領域AAを備えている。一例では、有効領域AAは、第1方向aに沿った短辺及び第2方向bに沿った長辺を有する長方形状であるが、その形状は図示した例に限らず、他の多角形状であっても良いし、円形状や楕円形状であっても良い。
【0074】
図10(a)に示した構成例では、第1電極33及び第2電極34は、いずれも有効領域AAの全面に亘って途切れることなく延在した単一のシート状電極によって構成されている。上記の通り、第1電極33及び第2電極34は、液晶層37を挟んで対向している。駆動部DRは、第1電極33及び第2電極34の各々と電気的に接続されている。このような構成例では、駆動部DRが第1電極33及び第2電極34に対して印加する電圧を制御することにより、有効領域AAの全面において液晶層37における液晶分子37Mの配向方向が制御される。これにより、変調素子30は、有効領域AAの全面において上記の第1モード(偏光面を回転するモード)と第2モード(偏光面を変調しないモード)とを制御ことができる。
【0075】
図10(b)に示した構成例は、
図10(a)に示した構成例と比較して、変調素子30の有効領域AAが帯状の複数のサブ領域SAを備えた点で相違している。第1電極33は、
図10(a)に示した構成例と同様に、単一のシート状電極によって構成されている。第2電極34は、互いに離間した複数の帯状電極341乃至347によって構成されている。図示した例では、帯状電極341乃至347の各々は、第1方向aに延在した長方形状であり、第2方向bに間隔をおいて並んでいる。第1電極33、及び、帯状電極341乃至347は、互いに対向している。駆動部DRは、第1電極33と電気的に接続されるとともに、帯状電極341乃至347の各々と電気的に接続されている。サブ領域SAは、第1電極33と、帯状電極341乃至347のうちの1つとがa−b平面で重なる重複部に相当する。つまり、図示した例では、各サブ領域SAは、第1方向aに延在した帯状の領域である。
【0076】
なお、帯状電極341乃至347の各々は、第2方向bに延在し、第1方向aに間隔をおいて並んでいても良い。また、ここに示した構成例は、第1電極33及び第2電極34のうちの一方がシート状電極によって構成され他方が複数の帯状電極によって構成された例に相当するものであり、第1電極33が複数の帯状電極によって構成され、第2電極34が単一のシート状電極によって構成されても良い。
【0077】
このような構成例では、駆動部DRが帯状電極341乃至347に対して個別に印加する電圧を制御することにより、サブ領域SAの各々において液晶分子37Mの配向方向が制御される。これにより、変調素子30は、サブ領域SA毎に第1モードと第2モードとを制御することができる。なお、この構成例の変調素子30は、帯状電極341乃至347の全てを一括して駆動することにより、有効領域AAの全面において第1モードと第2モードとを制御することもできる。
【0078】
図10(c)に示した構成例は、
図10(a)に示した構成例と比較して、変調素子30の有効領域AAがマトリクス状の複数のサブ領域SAを備えた点で相違している。第1電極33は、互いに離間した複数の帯状電極331乃至335によって構成されている。第2電極34は、互いに離間した複数の帯状電極341乃至346によって構成されている。図示した例では、帯状電極331乃至335の各々は、第2方向bに延在し、第1方向aに間隔をおいて並んでいる。また、帯状電極341乃至346の各々は、第1方向aに延在し、第2方向bに間隔をおいて並んでいる。帯状電極331乃至335、及び、帯状電極341乃至346は、互いに対向している。駆動部DRは、帯状電極331乃至335の各々と電気的に接続されるとともに、帯状電極341乃至346の各々と電気的に接続されている。サブ領域SAは、帯状電極331乃至335のうちの1つと、帯状電極341乃至346のうちの1つとがa−b平面で交差する四角形状の交差部に相当する。つまり、図示した例では、サブ領域SAは、第1方向a及び第2方向bにマトリクス状に配列されている。
【0079】
このような構成例では、駆動部DRが帯状電極331乃至335及び帯状電極341乃至346に対して個別に印加する電圧を制御することにより、サブ領域SAの各々において液晶分子37Mの配向方向が制御される。これにより、変調素子30は、サブ領域SA毎に第1モードと第2モードとを制御することができる。なお、この構成例の変調素子30は、帯状電極331乃至335及び帯状電極341乃至346の全てを一括して駆動することにより、有効領域AAの全面において第1モードと第2モードとを制御することもできる。
【0080】
なお、上記の構成例において、サブ領域SAの形状は、四角形状に限定されるものではなく、他の多角形状であっても良いし、円形状や楕円形状などであっても良いし、任意の形状とすることができる。このようなサブ領域SAの形状を規定する第1電極33及び第2電極34の形状は、自由に選択することができる。
【0081】
図11は、
図10に示す有効領域AAにおいて透過光に付与される位相差の分布を示す平面図である。ここでは、有効領域AAのうち、透過光に約λ/2の位相差を付与する領域を変調領域MAと称し、透過光に位相差を付与しない領域を無変調領域NMAと称する。変調領域MAは、上述の第1モードによって実現され、無変調領域NMAは、上述の第2モードによって実現される。
【0082】
図11に示す例では、有効領域AAの全面に亘って、変調領域MAと無変調領域NMAが交互に切り替わっている。例えば、時刻t0において有効領域AAの全面は、変調領域MAであり、時刻t1において無変調領域NMAであり、時刻t2において変調領域MAとなる。時刻t0及びt2において、変調素子30に入射した第2直線偏光は、第1直線偏光に変調され、最終的に空中像I2として結像される。時刻t1において変調素子30を変調されることなく透過した第2直線偏光は、最終的に空中像I1として結像される。このような構成は、
図10(a)乃至10(c)のいずれの構成によっても実現される。
【0083】
次に、空間的に変調する変調素子30について説明する。
【0084】
図12は、
図2に示す変調素子30の他の構成例を示す平面図である。
図12に示す変調素子30は、有効領域AAが変調領域MAと無変調領域NMAとを含んでいる点で、
図11に示す構成例と相違している。図示した例では、変調領域MA及び無変調領域NMAは、第1方向aに延在し、第2方向bに沿って交互に並んでいる。一例では、変調領域MA及び無変調領域NMAの幅WAは、上述の主画素のピッチP1と等しい。ここでの幅WAは、第2方向bに沿った長さである。なお、幅WAは、ピッチP1の整数倍の大きさを有していても良い。
【0085】
図12に示す例では、有効領域AAのうち変調領域MAに入射した第2直線偏光は、第1直線偏光に変調された後に、空中像I2として結像され、無変調領域NMAを変調されることなく透過した第2直線偏光は、空中像I1として結像される。このような構成は、
図10(b)又は
図10(c)に示す構成によって実現される。あるいは、このような構成は、液晶パネルを用いずに、位相差フィルムを用いて実現されても良い。すなわち、変調素子30が位相差フィルムである場合、位相差を付与する変調領域MA、及び、位相差を付与しない無変調領域NMAを備えた単一のフィルムであってもよいし、無変調領域NMAに開口部を有するフィルムであってもよい。ここでの変調領域MAは、透過光に対して約λ/2の位相差を付与する。変調素子30が位相差フィルムである場合には、位相差フィルムが表示面IP0に接着されても良いし、位相差フィルムが表示面IP0に直接成膜されても良い。
【0086】
本実施形態によれば、表示装置1は、表示光の一部を透過し他の一部を反射する光学素子10と、入射光を再帰反射する第1再帰反射素子201及び第2再帰反射素子202とを備えることで、結像面の異なる空中像I1及びI2を表示することができる。一例では、空中像I2の背面に空中像I1を観察することができる。したがって、観測者は、奥行きのある画像を視認することができる。さらに、奥行き、すなわち空中像I1と空中像I2との距離LIPは、第1偏光素子11と第2偏光素子12との間に位置する支持基板13の厚さ13Tによって自在に設定することができる。
【0087】
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態に係る表示装置2の外観を概略的に示す図である。
図13は、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX−Z平面に平行な面を示している。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、筐体70がカバー70Aを有し、光学素子20Bがカバー70Aの内面70A1に配置されている点で相違している。
【0088】
光学素子10は、筐体70の上面70Bよりも下方、すなわち表示部DSPに近接する側に位置している。図示した例では、カバー70Aは、端部10E2の近傍において、筐体70に取り付けられている。カバー70Aは、第1方向Xに沿った軸を中心として回動自在である。
図13(a)は、カバー70Aが開けられた開状態を示している。開状態において、カバー70Aは、任意の位置に保持することができる。
図13(b)は、カバー70Aが閉じられた閉状態を示している。閉状態において、カバー70Aの外面70A2は、上面70Bと揃っている。
【0089】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに本実施形態によれば、カバー70Aを閉じることで、光学素子10及び20Bを保護することができる。また、カバー70Aによって、空中像I1及びI2の背景を暗くすることができるため、空中像I1及びI2の視認性を向上することができる。
【0090】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。