特許第6953325号(P6953325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953325
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】炎検知装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/12 20060101AFI20211018BHJP
【FI】
   F23N5/12 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-23143(P2018-23143)
(22)【出願日】2018年2月13日
(65)【公開番号】特開2019-138579(P2019-138579A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩司
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−169976(JP,A)
【文献】 実開昭60−27248(JP,U)
【文献】 特開平2−298721(JP,A)
【文献】 特開2003−74840(JP,A)
【文献】 特開平5−33934(JP,A)
【文献】 特開平9−112894(JP,A)
【文献】 特開2015−137820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナの燃焼炎を検知し得るように配置されるフレームロッドと、該フレームロッドを加熱するヒータとを備え、点火装置による前記バーナの点火時に、前記フレームロッドの通電電流の検出値に基づいて前記バーナの着火を検知するように構成された炎検知装置であって、
前記点火装置は、前記バーナの点火時に、当該炎検知装置により前記バーナの着火が検知されない状態で、複数回、点火動作を実行するように構成されており、
前記バーナの着火が検知されない状態での前記点火装置の点火動作が所定回数に達するまでは、前記ヒータを作動停止状態に維持し、前記点火装置の点火動作が前記所定回数に達した場合に、次回以後の該点火装置の点火動作時に、前記ヒータを作動させるように構成されたヒータ制御部を備えることを特徴とする炎検知装置。
【請求項2】
請求項1記載の炎検知装置において、
前記ヒータの作動状態での前記点火装置の点火動作時に前記バーナの着火が検知されない場合に、該点火動作時に取得された前記フレームロッドの通電電流の検出値と、前記ヒータの作動停止状態での点火動作時に取得された前記フレームロッドの通電電流の検出値との相互の大小関係に基づいて、前記フレームロッドに起因する炎検知不良の発生の有無を判断する炎検知不良判断部と、該炎検知不良判断部の判断結果に応じた対応処理を実行する応答処理部とをさらに備えることを特徴とする炎検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームロッドを備える炎検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炎中に配置される金属製のフレームロッドに流れる電流を検知することで炎検知(着火検知を含む)を行う炎検知装置は、従来より、種々様々な燃焼装置で利用されている。例えば、特許文献1には、セラミックプレートにより構成されたバーナに点火ヒータにより点火する装置で、バーナの着火・燃焼を点火ヒータの横に配置したフレームロッドを用いて検知するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−169976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレームロッドは、炎検知のために高温中にさらされるため、該フレームロッドの表面には酸化膜が形成されやすい。そして、該酸化膜が形成されると、特に低温環境でのバーナの点火時には、フレームロッドの通電抵抗が大きなものとなって、炎の検知感度が低下し、ひいては、適正に炎検知を行うことが困難となりやすい。
【0005】
一方、フレームロッドに酸化膜がある程度形成されても、フレームロッドを加熱した状態では、低温時に比べて、フレームロッドに電流が流れやすくなることが従来より知られている。
【0006】
そこで、酸化膜に起因する炎の検知感度の低下を抑制するために、バーナの点火時に、フレームロッドをヒータにより加熱することが考えられる。この場合、前記特許文献1に見られるように、点火ヒータを備えるものでは、バーナの点火毎に、該点火ヒータの熱によりフレームロッドを加熱することは可能である。
【0007】
しかしながら、イグナイタ等の点火装置によりバーナの点火を行う燃焼機器では、点火時に、フレームロッドを加熱するためには、点火ヒータとは別のヒータが必要となり、この場合、点火毎に、ヒータによるフレームロッドの加熱を行うと次のような不都合を生じる。
【0008】
すなわち、フレームロッドに酸化膜が形成されていない場合、もしくは該酸化膜が十分に少ない場合には、低温環境でのバーナの点火時でも、フレームロッドの加熱を行わずとも、適正に炎検知を行うことが可能である。
【0009】
このため、酸化膜に起因する炎の検知感度の低下を抑制するために、点火毎に、フレームロッドを加熱すると、フレームロッドに酸化膜が形成されていない場合、もしくは該酸化膜が十分に少ない場合には、フレームロッドの加熱のための余分なエネルギーを消費してしまうという不都合を生じる。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、フレームロッドの加熱のためのエネルギー消費を極力抑制しつつ、バーナの着火を適正に検知できる炎検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の炎検知装置は、かかる目的を達成するために、バーナの燃焼炎を検知し得るように配置されるフレームロッドと、該フレームロッドを加熱するヒータとを備え、点火装置による前記バーナの点火時に、前記フレームロッドの通電電流の検出値に基づいて前記バーナの着火を検知するように構成された炎検知装置であって、
前記点火装置は、前記バーナの点火時に、当該炎検知装置により前記バーナの着火が検知されない状態で、複数回、点火動作を実行するように構成されており、
前記バーナの着火が検知されない状態での前記点火装置の点火動作が所定回数に達するまでは、前記ヒータを作動停止状態に維持し、前記点火装置の点火動作が前記所定回数に達した場合に、次回以後の該点火装置の点火動作時に、前記ヒータを作動させるように構成されたヒータ制御部を備えることを特徴とする(第1発明)。なお、上記所定回数は、1回又は複数回のいずれでもよい。
【0012】
かかる本発明によれば、前記バーナの点火時に、前記点火装置の点火動作が所定回数に達するまでは、前記ヒータが作動停止状態に維持される。このため、点火動作が所定回数に達するまでに、炎検知装置によりバーナの着火が検知されれば、前記ヒータによるフレームロッドの加熱を行うことなく、バーナの燃焼運転を開始することが可能となる。
【0013】
ここで、フレームロッドに酸化膜が形成されていない場合、あるいは、フレームロッドに形成された酸化膜が十分に少ない場合には、前記所定回数までの任意の回数目の点火動作時にバーナが正常に着火すれば、炎検知装置により適切にバーナの着火が検知されるので、その後の点火動作を行う必要はない。
【0014】
従って、フレームロッドに酸化膜が形成されていない場合、あるいは、フレームロッドに形成された酸化膜が十分に少ない場合には、通常、前記ヒータによるフレームロッドの加熱を行うことなく(すなわち、ヒータの発熱のためのエネルギー消費を必要とすることなく)、バーナの燃焼運転を開始することができる。
【0015】
一方、フレームロッドでの酸化膜が形成がある程度進行している場合には、前記所定回数の点火動作時までに、バーナの着火が検知されない場合もある。しかるに、この場合には、次回以降の点火動作時に、ヒータが作動され、該ヒータによりフレームロッドが加熱される。そして、フレームロッドが加熱されると、酸化膜にクラックが入り、電流はそのクラックの隙間を流れることが可能となると考えられる。
【0016】
このため、前記次回以降の点火動作によってバーナが着火した場合に、フレームロッドに電流が流れやすくなる。その結果、バーナの着火が、炎検知装置により適正に検知できるようになり、バーナの燃焼運転を正常に開始することが可能となる。
【0017】
よって、本発明の炎検知装置によれば、フレームロッドの加熱のためのエネルギー消費を極力抑制しつつ、バーナの着火を適正に検知できる。
【0018】
上記第1発明では、前記ヒータの作動状態での前記点火装置の点火動作時に前記バーナの着火が検知されない場合に、該点火動作時に取得された前記フレームロッドの通電電流の検出値と、前記ヒータの作動停止状態での点火動作時に取得された前記フレームロッドの通電電流の検出値との相互の大小関係に基づいて、前記フレームロッドに起因する炎検知不良の発生の有無を判断する炎検知不良判断部と、該炎検知不良判断部の判断結果に応じた対応処理を実行する応答処理部とをさらに備えることが好ましい(第2発明)。
【0019】
ここで、フレームロッドへの酸化膜の形成の進行度合いが高まった状態では、フレームロッドを加熱しない場合だけでなく、フレームロッドを加熱した状態でも、バーナが正常に着火したのに、フレームロッドに酸化膜が形成されていない場合に比して、フレームロッドに流れる電流が小さくなって、炎検知装置によって、着火を検知できなくなりやすい。
【0020】
一方、フレームロッドへの酸化膜の形成の進行度合いが高まった状態でも、バーナが着火した状態でのフレームロッドの通電電流は、フレームロッドをヒータにより加熱していない場合よりも、ヒータにより加熱した場合の方が大きくなる傾向がある。
【0021】
そこで、第2発明では、前記炎検知不良判断部は、ヒータの作動状態での点火動作時(すなわち、前記所定回数よりも大きい回数目の点火動作時)にバーナの着火が検知されない場合に、該点火動作時に取得されたフレームロッドの通電電流の検出値と、ヒータの作動停止状態での点火動作時(すなわち、前記所定回数以下の回数目の点火動作時)に取得されたフレームロッドの通電電流の検出値との相互の大小関係に基づいて、フレームロッドに起因する炎検知不良の発生の有無を判断する。これにより、当該判断を適正に行うことが可能となる。
【0022】
そして、前記応答処理部が、炎検知不良判断部の判断結果に応じた対応処理(例えば報知処理)を実行することで、フレームロッドに起因する炎検知不良が発生した場合に、それに適した対応処理を実行できる。なお、上記対応処理は、報知処理に限らず、燃焼機器の所定の動作制御等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態の炎検知装置を備える燃焼機器の要部構成を示す図。
図2図1に示す点火装置及び炎検知装置の作動を示すフローチャート。
図3】本発明の第2実施形態の炎検知装置を備える燃焼機器の要部構成を示す図。
図4図1に示す点火装置及び炎検知装置の作動を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1及び図2を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の炎検知装置1Aは、例えば給湯器、ファンヒータ等の燃焼機器に備えられたものである。該燃焼機器は、炎検知装置1Aの他、バーナ10と、バーナ10の点火を行う点火装置20とを備える。
【0025】
バーナ10は、例えばガスバーナであり、燃料供給路11から燃料ガスが供給されると共に、図示を省略する燃焼ファンから燃料用空気が供給される。燃料供給路11には、該燃料供給路11を開閉する電磁弁12と、バーナ10への燃料供給量を調整する比例弁等の燃料調整弁13とが介装されている。
【0026】
なお、バーナ10は、ガスバーナに限らず、灯油等の液体燃料を燃焼させるバーナであってもよい。
【0027】
点火装置20は、バーナ10に近接して配置された放電電極21と、該放電電極21に火花放電を発生させるイグナイタ22と、バーナ10の点火のための制御処理を実行する点火制御部23とを備える。
【0028】
点火制御部23は、例えばマイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成される。そして、点火制御部23は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の一方又は両方により実現される機能によって、前記電磁弁12、燃料調整弁13及びイグナイタ22の作動制御を行うことで、バーナ10に点火するための点火動作を実行することが可能である。
【0029】
この点火動作では、点火制御部23は、バーナ10に一定量の燃料を供給するように電磁弁12及び燃料調整弁13を制御すると共に、イグナイタ22を作動させることで、放電電極21に火花放電を発生させる。これによりバーナ10が点火される。
【0030】
本実施形態の炎検知装置1Aは、バーナ10で発生する燃焼炎(二点鎖線で示す)に接するように配置されたフレームロッド2と、該フレームロッド2を加熱するヒータ3と、炎検知に関する処理を実行する炎検知処理部7とを備える。ヒータ3は、棒状の電熱ヒータであり、フレームロッド2に隣接して並ぶようにして、ガラス等の絶縁材から成る基台部4からフレームロッド2と共に突設されている。そして、フレームロッド2及びヒータ3は、それぞれ通電線5を介して炎検知処理部7に接続されている。
【0031】
炎検知処理部7は、例えば、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成される。そして、炎検知処理部7は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の一方又は両方により実現される機能として、フレームロッド2にバーナ10との間で一定電圧の交流電圧を付与した状態で該フレームロッド2に流れる電流を検出する電流検出部7aとしての機能と、該電流の検出値に基づいて、バーナ10の着火を検知する着火検知部7bとしての機能と、ヒータ3の作動制御(通電制御)を行うヒータ制御部7cとしての機能を含む。
【0032】
また、炎検知処理部7は、点火動作に関する情報(例えば点火動作を実行中であるか否か、点火動作の実行回数等の情報)を点火制御部23から取得可能である共に、バーナ10の着火が検知されたか否かの情報等を点火制御部23に与えることが可能である。
【0033】
補足すると、炎検知処理部7の全部又は一部の機能と、点火制御部23の全部又は一部の機能とは、共通の電子回路ユニットにより実現されるように構成されていてもよい。また、炎検知処理部7及び点火制御部23の一方又は両方の機能を有する電子回路ユニットが燃焼機器の全体の運転制御を行う機能を含んでいてもよい。
【0034】
次に、本実施形態の炎検知装置1A及び点火装置20の作動を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
バーナ10の燃焼運転の開始要求が発生すると、STEP1において、燃焼機器の運転制御部(図示省略)により初期チェックが行われる。この初期チェックでは、燃焼機器の所定の電子機器や電源が正常であるか否か等がチェックされる。なお、この初期チェックで異常が検知された場合には、燃焼機器の運転は停止される。
【0036】
次いで、STEP2において、点火制御部23の制御処理により、点火装置20の前記した点火動作(1回目の点火動作)が行われる。そして、この点火動作の実行中に、STEP3において、炎検知処理部7の電流検出部7aによるフレームロッド2の電流検出が行われつつ、該電流の検出値に基づくバーナ10の着火検知(着火したか否かの検知)が着火検知部7bにより実行される。この場合、着火検知部7bは、フレームロッド2の電流の検出値が、所定値(例えば1μA)以上の電流値に増加したか否かにより、バーナ10が着火したか否かを検知する。
【0037】
上記STEP3において、点火動作の開始後、所定時間以内(例えば4秒以内)にバーナ10の着火が検知された場合には、該STEP3の判断結果が肯定的になる。この場合には、STEP4において、点火制御部23による点火動作が中止される。より具体的には、イグナイタ22の作動が停止される。
【0038】
そして、STEP5において、バーナ10の燃焼運転の制御が、運転制御部により開始される。
【0039】
一方、STEP3において、点火動作の開始後、所定時間以内にバーナ10の着火が検知されない場合には該STEP3の判断結果が否定的になる。この場合には、STEP6において、点火制御部23による点火動作が中止される。より具体的には、イグナイタ22の作動が停止されると共に、電磁弁12が閉弁制御される(バーナ10への燃料供給が遮断される)。
【0040】
さらに、STEP7において、炎検知処理部7のヒータ制御部7cによりヒータ3がON状態(通電により発熱する状態)に作動制御される。これにより、ヒータ3が発熱し、その熱によりフレームロッド2が加熱される。
【0041】
次いで、STEP8〜10において、前記STEP1〜3と同様に、初期チェック、点火動作(2回目の点火動作)、及び着火検知が行われる。この場合、フレームロッド2がヒータ3により加熱されているため、フレームロッド2での酸化被膜の形成が多少進行していても、該フレームロッド2にバーナ10の燃焼炎が作用した場合に、該フレームロッド2に電流が流れやすい状態になる。
【0042】
そして、STEP9での点火動作の開始後、所定時間以内にバーナ10の着火が検知された場合には、STEP10の判断結果が肯定的になる。この場合には、前記STEP3でバーナ10の着火が検知された場合と同様に、前記STEP4で点火動作が中止され(イグナイタ22の作動が停止される)、さらに前記STEP5において、バーナ10の燃焼運転の制御が開始される。なお、この場合、ヒータ3の作動(通電)は、バーナ10の燃焼運転の制御の開始時又は開始後に停止される。
【0043】
一方、STEP9での点火動作の開始後、所定時間以内にバーナ10の着火が検知されない場合には、STEP10の判断結果が否定的になる。この場合には、STEP11において、点火制御部23による点火動作が中止される。より具体的には、イグナイタ22の作動が停止されると共に、電磁弁12が閉弁制御される(バーナ10への燃料供給が遮断される)。
【0044】
次いで、STEP12において、点火制御部23(又は炎検知処理部7)は、前記STEP2から現在までの点火動作の実行回数である点火動作回数が所定の上限回数Nmax(例えば3回)未満であるか否かを判断する。そして、点火動作回数<Nmaxである場合(STEP12の判断結果が肯定的である場合)には、前記したSTEP8からの処理が再び実行される。この場合、ヒータ制御部7cによるヒータ3のON状態は継続される。
【0045】
また、点火動作回数≧Nmaxである場合(STEP12の判断結果が否定的である場合)には、STEP13において、運転制御部により燃焼機器の運転(ヒータ3の作動を含む)が停止される。なお、この場合、バーナ10の点火を正常に行うことができない旨のエラー報知が図示しない表示器等を介して出力され得る。
【0046】
かかる第1実施形態によれば、1回目の点火動作時には、ヒータ3の通電による発熱は行われず、2回目以降の点火動作時に、ヒータ3の通電による発熱(ひいてはフレームロッド2の加熱)が行われる。
【0047】
ここで、フレームロッド2に酸化膜が形成されていないか、もしくは、その形成が十分に少ない状態(フレームロッド2に燃焼炎が作用した場合に該フレームロッド2に十分な電流が流れ得る状態)では、通常、1回目の点火動作時に、バーナ10の着火が検知されて、STEP3の判断結果が肯定的になる。従って、ヒータ3の通電による発熱を行うことなく(ヒータ3でエネルギーを消費することなく)、バーナ10の燃焼運転が開始される。このため、フレームロッド2の加熱のためのエネルギー消費を削減できる。
【0048】
一方、1回目の点火動作時に、バーナ10の着火が検知されない場合には、その後、ヒータ3の通電による発熱(ひいては、フレームロッド2の加熱)が行われた状態で、点火動作が行われるので、フレームロッド2で酸化膜の形成が多少進行していても、バーナ10が正常に着火すれば、フレームロッド2に十分な電流が流れ、ひいては、バーナ10の着火を適正に検知することができる。ひいては、バーナ10の通常の燃焼運転を行うことができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図3及び図4を参照して説明する。なお、本実施形態は、前記第1実施形態と一部の構成及び処理が相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0050】
図3を参照して、本実施形態の炎検知装置1Bの炎検知処理部7は、第1実施形態と同様に電流検出部7a、着火検知部7b及びヒータ制御部7cとしての機能を有することに加えて、さらに、バーナ10の着火が検知されない場合に、フレームロッド2での酸化膜の形成が過剰に進行した状態であるか否かを判断する炎検知不良判断部7dとしての機能と、該炎検知不良判断部7dの判断結果に応じた対応処理を実行する応答処理部7eとを有する。
【0051】
また、炎検知処理部7は、燃焼機器に備えられた報知出力部としての表示器30の表示を制御することが可能である。本実施形態では、以上説明した以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0052】
次に、本実施形態の炎検知装置1B及び点火装置20の作動を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
バーナ10の燃焼運転の開始要求が発生すると、図4のフローチャートに示す処理が実行される。この場合、STEP21〜25の処理は、第1実施形態におけるSTEP1〜5と同じである。
【0054】
STEP23でバーナ10の着火が検知されない場合(STEP23の判断結果が否定的になる場合)には、次にSTEP26において、前記STEP6と同様に点火制御部23による点火動作(1回目の点火動作)が中止されることに加えて、さらに、炎検知処理部7は、当該1回目の点火動作中に電流検出部7aにより検出された電流値Iaを記憶保持する。
【0055】
該電流値Iaは、より詳しくは、例えば、1回目の点火動作の終了時における電流検出値、あるいは、1回目の点火動作中のあらかじめ定められた所定時点での電流検出値、あるいは、1回目の点火動作中の電流検出値の最大値である。
【0056】
次いで、STEP27において、前記STEP7と同様に、炎検知処理部7のヒータ制御部7cによりヒータ3がON状態(通電により発熱する状態)に作動制御される。
【0057】
次いで、STEP28〜30において、前記STEP8〜10と同様に、初期チェック、点火動作(2回目の点火動作)、及び着火検知が行われる。
【0058】
そして、STEP30でバーナ10の着火が検知された場合(STEP30の判断結果が肯定的になった場合)には、第1実施形態と同様に、STEP23でバーナ10の着火が検知された場合と同様に、STEP24で点火動作が中止され(イグナイタ22の作動が停止される)、さらにSTEP25において、バーナ10の燃焼運転の制御が開始される。なお、この場合、ヒータ3の作動(通電)は、バーナ10の燃焼運転の制御の開始時又は開始後に停止される。
【0059】
一方、STEP30でバーナ10の着火が検知されない場合(STEP30の判断結果が否定的になった場合)には、STEP31において、前記STEP11と同様に点火制御部23による点火動作が中止されることに加えて、さらに、炎検知処理部7は、STEP29での点火動作中(直前の点火動作中)に電流検出部7aにより検出された電流値Ibを記憶保持する。
【0060】
該電流値Ibは、前記STEP26での電流値Iaと同様に取得されるものであり、例えば、STEP29での点火動作の終了時における電流検出値、あるいは、STEP29で点火動作中のあらかじめ定められた所定時点での電流検出値、あるいは、STEP29での点火動作中の電流検出値の最大値である。
【0061】
次いで、STEP32において、STEP31での電流値Ib(ヒータ3のON状態での点火動作時の電流値Ib)をSTEP26での電流値Ia(ヒータ3のOFF状態での点火動作時の電流値Ia)との相互の大小関係を判断処理が炎検知処理部7の炎検知不良判断部7dにより実行される。より詳しくは、STEP32では、Ia+α≦Ibであるか否か(IbがIaよりも所定値α以上(α>0)、大きいか否か)が判断される。なお、STEP32では、例えば、IaとIbとの比率Ia/Ibが所定値β以下(0<β<1)であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0062】
ここで、フレームロッド2での酸化膜の形成がある程度進行している場合、バーナ10が正常に着火した場合のフレームロッド2の通電電流は、該フレームロッド2をヒータ3により加熱していない場合よりも、ヒータ3により加熱した場合の方が大きくなる。これは、フレームロッド2が加熱されると酸化膜にクラックが入り、電流はそのクラックの隙間を流れることができるためであると考えられる。
【0063】
従って、STEP32の判断結果が肯定的になる場合は、前記STEP22の点火動作時と、STEP29の点火動作時とで、バーナ10が正常に着火しているものの、フレームロッド2での酸化膜の形成の進行度合いが高まっているために(フレームロッド2の電流が流れにくいために)、着火を正常に検知できない炎検知不良が発生した可能性が高い。
【0064】
そこで、STEP32の判断結果が肯定的である場合には、STEP34において、運転制御部により燃焼機器の運転(ヒータ3の作動を含む)が停止されると共に、炎検知処理部7の応答処理部7eが、フレームロッド2に起因する異常(より詳しくは、フレームロッド2に形成された酸化膜に起因する炎検知不良の異常)が発生した旨のエラー報知を表示器30に行わせる。
【0065】
一方、STEP32の判断結果が否定的である場合には、STEP33において、点火制御部23(又は炎検知処理部7)は、前記STEP12と同様に、前記STEP22から現在までの点火動作回数が所定の上限回数Nmax未満であるか否かを判断する。そして、点火動作回数<Nmaxである場合(STEP33の判断結果が肯定的である場合)には、前記STEP28の処理が再び実行される。この場合、ヒータ制御部7cによるヒータ3のON状態は継続される。
【0066】
また、点火動作回数≧Nmaxである場合(STEP33判断結果が否定的である場合)には、STEP35において、運転制御部により、燃焼機器の運転(ヒータ3の作動を含む)が停止されると共に、風等の影響による点火不良が発生した旨のエラー報知を表示器30に行わせる。
【0067】
なお、STEP34,35でのエラー報知は、視覚的な報知に限らず、音声等による聴覚的な報知であってもよく、あるいは、視覚的な報知と聴覚的な報知との両方の報知であってもよい。
【0068】
かかる本実施形態においては、第1実施形態と同様に、1回目の点火動作時には、ヒータ3の通電による発熱は行われず、2回目以降の点火動作時に、ヒータ3の通電による発熱(ひいてはフレームロッド2の加熱)が行われる。従って、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0069】
加えて、本実施形態では、2回以上の点火動作を実行しても、バーナ10の着火が検知されない場合に、ヒータ3のOFF状態での点火動作時(1回目の点火動作時)におけるフレームロッド2の電流値Iaと、ヒータ3のON状態での点火動作時(2回目以降の点火動作時)におけるフレームロッド2の電流値Ibとの相互の大小関係を判断することで、フレームロッド2の異常(フレームロッド2での酸化膜の形成の進行度合いが高まった状態になることに起因する炎検知不良の異常)を検知して、その旨のエラー報知を行うことができる。ひいては、フレームロッド2の交換等の処置を適切にとることができる。
【0070】
なお、以上説明した各実施形態では、点火動作回数の上限回数Nmaxを3回としたが、2回、あるいは、4回以上であってもよい。Nmax=2とした場合には、図2のSTEP12の判断処理、あるいは、図3のSTEP33の判断処理は省略してもよい。
【0071】
また、前記各実施形態では、1回目の点火動作時に着火が検知されない場合に、2回目以降の各回の点火動作時にヒータ3をON状態(作動状態)にして、フレームロッド2を加熱するようにした(本発明における所定回数を1回とした)。ただし、例えば2以上の所定回数目(例えば2回目)の点火動作までは、ヒータ3をOFF状態(作動停止状態)にして、該所定回数+1の回数目以降(例えば3回目以降)の点火動作時にヒータ3をON状態にするようにしてもよい。
【0072】
この場合、前記炎検知不良判断部7dの処理(STEP32の判断処理)で使用する電流値Iaは、1回目から所定回数目までのいずれか一つの回数目の点火動作時に取得される電流値でよいが、1回目から所定回数目までの各回の点火動作時に取得される電流値の平均値もしくは最大値等であってもよい。
【0073】
また、前記第2実施形態において、STEP31で電流値Ibを記憶する処理と、STEP32で電流値Ia,Ibを比較する処理とは、例えば、上限回数Nmaxに一致する回数目の点火動作でバーナ10の着火が検知されない場合にだけ実行するようにしてもよい。
【0074】
あるいは、例えば、上限回数Nmaxに一致する回数目までの各回の点火動作時にバーナ10の着火が検知されない場合に、ヒータ3によりフレームロッド2を加熱する2回目以降の各回の点火動作時に取得した電流値Ibの平均値もしくは最大値等と、ヒータ3を作動させない1回目の点火動作時に所得した電流値Iaとを用いて、炎検知不良判断部7dの処理(STEP32の判断処理)を行うようにしてもよい。
【0075】
また、前記各実施形態では、フレームロッド2とヒータ3とを別体に備えたが、例えばヒータ3をフレームロッド2の通電部と電気的に絶縁した状態でフレームロッド2に組付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1A,1B…炎検知装置、2…フレームロッド、3…ヒータ、7c…ヒータ制御部、7d…炎検知不良判断部、7e…応答処理部。
図1
図2
図3
図4