(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属粒子を含むメタリックインクと色材を含むカラーインクとが重ねて付与されることにより形成されるカラーメタリック領域を含むカラーメタリック画像を記録するための画像データに基づき、表示装置にプレビュー画像を表示するためのプレビュー画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたプレビュー画像データに基づき、前記プレビュー画像を表示させるために前記表示装置を制御する制御手段と、
を有する画像処理装置であって、
前記プレビュー画像データにおいて前記カラーメタリック領域を表す色は、前記画像データにおいて前記カラーメタリック領域を構成する色とは異なることを特徴とする画像処理装置。
前記画像データにおいて前記カラーメタリック領域における金属光沢の量の差は、前記プレビュー画像データにおいて同一色相における明度の差および彩度の差の少なくともいずれか一方によって表現されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記カラーメタリック領域を構成する色は、前記カラーメタリック領域を記録するために付与される前記カラーインクであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
前記画像データは、前記カラーメタリック領域を記録するためのカラーメタリック画像データと、前記カラーインクを用いて金属光沢のない色画像を記録するための色画像データと、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記カラーメタリック画像データに基づき、前記カラーメタリック領域を記録するために付与される前記メタリックインクの量を取得し、取得された前記メタリックインクの量に基づいて前記プレビュー画像データにおいて前記カラーメタリック領域を表す色を決定することにより、前記プレビュー画像データを生成することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
前記生成手段により決定される前記カラーメタリック領域を表す色の階調と、前記メタリックインクの量と、の関係は、線形であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記色画像データにおいて前記カラーメタリック領域に対応する画素の色を、決定された前記カラーメタリック領域を表す色に置き換えることにより前記プレビュー画像データを生成することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
前記画像データにおいて前記カラーメタリック領域における金属光沢の量の差は、前記プレビュー画像データにおいて透過率の差、もしくは、被覆率の差によって表現されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記メタリックインクが記録媒体上に付与された画像において、正反射光の反射率は、拡散反射光の反射率よりも高いことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
金属粒子を含むメタリックインクと色材を含むカラーインクとが重ねて付与されることにより形成されるカラーメタリック領域を含むカラーメタリック画像を記録するための画像データに基づき、表示装置にプレビュー画像を表示するためのプレビュー画像データを生成する生成工程と、
前記生成工程で生成されたプレビュー画像データに基づき、前記プレビュー画像を前記表示装置に表示させる表示工程と
を有する画像処理方法であって、
前記プレビュー画像データにおいて前記カラーメタリック領域を表す色は、前記画像データにおいて前記カラーメタリック領域を構成する色とは異なることを特徴とする画像処理方法。
金属粒子を含むメタリックインクと色材を含むカラーインクとが重ねて付与されることにより形成されるカラーメタリック領域を含むカラーメタリック画像を記録するための画像データに基づき、表示手段にプレビュー画像を表示するためのプレビュー画像データを生成する画像処理装置と、
前記画像処理装置により生成されたプレビュー画像データに基づいて、前記プレビュー画像を表示可能な表示手段と
を有し、
前記プレビュー画像データにおいて前記カラーメタリック領域を表す色は、前記画像データにおいて前記カラーメタリック領域を構成する色とは異なることを特徴とする表示装置。
前記画像データは、前記カラーメタリック領域を記録するためのカラーメタリック画像データと、前記カラーインクを用いて金属光沢のない色画像を記録するための色画像データと、を含み、
前記表示手段は、前記色画像データに基づく色画像と、前記プレビュー画像データに基づく前記プレビュー画像とを切り替えて表示する
ことを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による画像処理装置、画像処理方法、表示装置およびプログラムの一例を詳細に説明するものとする。なお、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
(第1実施形態)
まず、
図1乃至
図9を参照しながら、本発明による画像処理装置の第1実施形態について説明する。ここで、
図1は、本発明による画像処理装置および記録装置のブロック構成図である。
図2は、記録装置における記録部の概略構成図である。
【0012】
画像処理装置10は、汎用のパーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、その他携帯端末あるいは据置端末が用いられる。画像処理装置10は、各種の処理を実行するための中央処理装置(CPU)12を備えている。このCPU12には、バス14を介して、CPU12により種々の処理を実行するためのプルグラムを格納したROM16と、CPU12によるプログラム実行時に必要な各種レジスタなどが設定されたワーキングエリアとしてのRAM18とが接続されている。そして、このCPU12、ROM16およびRAM18などにより構成される制御部20において、記録データとしての記録画像に対する種々の処理が実行されることとなる。
【0013】
また、CPU12には、バス14を介して、外部装置と有線あるいは無線で接続可能なインターフェース(I/F)22が接続されている。画像処理装置10では、このI/F22を介して記録装置100に接続されている。また、I/F22には、ユーザが画像処理装置10に対して指示を入力するための入力部24と、ユーザに対して所定の情報を提示するための表示部26(表示手段)とが接続されている。
【0014】
ここで、画像処理装置10と記録装置100との通信の一例として、スマートフォン(画像処理装置)から記録装置100に対して記録ジョブを送信する場合について説明する。スマートフォンの表示画面上に表示された文書に記録したい文書があったとき、ユーザは、スマートフォンのOS(Operating System)において提供された記録指示を、入力端末などを介して呼び出す。一般的に普及しているスマートフォン端末では、端末ベンダーと記録装置ベンダーとが提携することで、OS上に統合的な記録プロトコルが提供されている。ユーザからの記録指示が入力されると、OSは、記録対象の文書を所定の画像形式に変換した後に、記録プロトコルに則って記録ジョブを作成する。具体的には、記録対象となる文書データをビットマップ画像化し、その後、JPEG画像に圧縮する。そして、圧縮画像を含むXML文書形式の記録ジョブファイルを作成し、予め登録されている記録装置100に対して無線LANを介して送信することとなる。
【0015】
記録装置100は、各種のプログラムを実行するCPU102を備えている。CPU102には、バス104を介して、記録処理を行うためのプログラムやテーブルを保持するROM106と、プログラム実行時に必要な各種レジスタなどが設定されたワーキングエリアとしてのRAM108とが接続されている。また、記録装置100は、バス104を介して、外部装置と有線あるいは無線で接続するためのI/F110が接続されている。さらに、記録装置100は、バス104を介して、記録を行う記録部112と、画像処理などの高負荷の処理を行うためのハードウェア装置としてのDPS(Digital Signal Processor)114とが接続されている。こうした記録部112を除く1または複数の構成を、単一のLSIとして実装し、ASICとして部品化してもよい。記録装置100は、I/F110を介して画像処理装置10と接続される。
【0016】
記録部112は、
図2のように、記録媒体Mを搬送する搬送部120と、搬送部120において搬送される記録媒体Mに対してインクを吐出するヘッド部122とを備えている。搬送部120は、所定の方向に延在し、互いに所定の間隔を空けて配置された2つのシャフト124、126を備えている。また、シャフト124、126には、例えば、従動ローラ(不図示)などが付勢されている。そして、モータ(不図示)などによりシャフト124、126を回転し、シャフト124、126と従動ローラとでニップしながら、矢印A方向に記録媒体Mを搬送することとなる。
【0017】
ヘッド部122は、記録媒体Mの搬送方向と交差(本実施形態では直交)する方向に移動可能なキャリッジ128と、着脱可能に搭載されたインクカートリッジ130と、インクカートリッジ130に貯留されたインクを吐出する記録ヘッド132とを備えている。キャリッジ128は、矢印A方向と交差(本実施形態では直交)する方向に延在するガイドレール133上に移動可能に配置されている。また、記録ヘッド132は、キャリッジ128における記録媒体Mと対向する面に配置されている。これにより、記録ヘッド132は、搬送される記録媒体Mと対向することとなる。
【0018】
インクカートリッジ130には、色材を含む複数色(本実施形態では4色)のカラーインクと1つのメタリックインクとがそれぞれ独立して貯留されている。本実施形態では、カラーインクは、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクおよびブラック(K)インクである。また、メタリックインクは、銀(Ag)インクである。なお、インクカートリッジ130に貯留されるインクについては、上記5つに限定されるものではない。
【0019】
インクカートリッジ130は、キャリッジ128内の流路(不図示)を介して、記録ヘッド132のノズル(不図示)に接続されている。記録ヘッド132は、通信ケーブルを介して記録装置100のバス104に接続され、記録画像情報と吐出制御情報とが入力されることで、所定のタイミングで吐出制御を行う。記録ヘッド132では、ノズルにおいて、吐出エネルギー発生素子としてヒータ(不図示)が設けられており、このヒータを加熱することによりインクを吐出する。即ち、ヒータの加熱によってノズル内のインクが急速に加熱されて膜沸騰により気泡が生成され、この気泡によってインク滴を吐出する。なお、吐出エネルギー発生素子としては、ピエゾ素子を用いるようにしてもよい。
【0020】
記録ヘッド132には、各インクについて、例えば、600dpi間隔で512個のノズルが搬送方向に並んで配置されたノズル列が形成されている。また、各インクのノズル列はキャリッジ128の移動方向に沿って並設されている。そして、各ノズルはそれぞれ独立して吐出を制御可能な構成となっている。これにより、例えば、0.85インチの高さ(搬送される記録媒体Mと記録ヘッド132との距離)に対し吐出が可能となる。
【0021】
こうした構成の記録装置100において、画像処理装置10から記録ジョブが入力されると、記録画像を処理した後に、記録動作が開始される。ここで、記録ジョブには、記録データと記録指示とが含まれている。記録データは、記録画像を表す画像データであり、後述する色画像データ(以下、単に「色画像」と適宜に称する。)および金属光沢画像データ(以下、単に「金属光沢画像」と適宜に称する。)である。また、記録指示には、用紙種、用紙サイズ、記録品位、記録サイズ、2in1などのレイアウト情報などが含まれている。
【0022】
記録ジョブが入力されると、まず、記録データを、記録装置100に搭載されているインク色濃度データ(CMYKAg)に変換(色分解)する。変換方法は、マトリクス演算処理あるいは四次元LUT(ルックアップテーブル)を用いた処理など、公知の手法を用いることができる。記録装置100では、Kインク、Cインク、Mインク、YインクおよびAgインクを用いることから、記録データは、CMYKAgの色信号からなる画像に色空間変換される。なお、インクの数は、Kインク、Cインク、Mインク、YインクおよびAgインクの5つとしたが、画質向上のために、ライトシアン(Lc)インク、ライトマゼンタ(Lm)インク、グレー(Gy)インクなどを追加してもよい。
【0023】
次に、インク色濃度データ(CMYKAg)に対して量子化を行う。量子化方法としては公知の方法を用いることができる。本実施形態では、Ditherを行う。公開されている手法としては、B.E.Bayer(An Optimum Method for Two−Lebel Rendition of Continuous tone Pictures, ICC Conf.(1973))がある。その後、量子化されたデータおよび記録指示に基づいて、記録部112により記録媒体Mに対する記録が行われる。
【0024】
メタリックインクは、金属粒子含有インクであって、本実施形態では金属粒子として銀粒子を含有した銀インクである。メタリックインクは、記録制御を変更することによって、多種の機能を発現することができる。具体的には、金属光沢を備えたメタリック装飾印刷、導電性を備えた回路印刷、高い反射率を備えた鏡印刷などである。なお、以下の説明では、金属粒子含有インクによって発現する機能のことを「金属機能」と適宜に称する。
【0025】
メタリックインクにおける金属粒子の含有量(質量%)は、インク全質量に対して、0.1質量%以上、30.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上、15.0質量%以下であることがより好ましい。金属粒子については、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、錫などの粒子とする。これら金属粒子は、単体または合金でもよく、組み合わせて使用することも可能である。また、金属粒子は、保存安定性、形成される画像(記録物)の導電性や金属光沢などの観点から、金、銀、銅粒子を用いることが好ましく、銀粒子が特に好ましい。
【0026】
銀粒子は、形成される画像の高い金属光沢性と無彩色性のため、カラーインクとの組み合わせにより幅広いメタリックカラーを表現することができる。銀粒子の平均粒子径は、インクの保存安定性と金属粒子により形成される画像の導電性や光沢性などの観点から、1nm以上、200nm以下であることが好ましく、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。なお、具体的な平均粒子径の測定方法としては、レーザー光の散乱を利用したキュムラント法解析などの動的光散乱法による測定装置を使用して測定できる。
【0027】
メタリックインクにおける金属粒子の分散方法は特に限定されるものではない。例えば、分散樹脂により分散させた樹脂分散金属粒子、界面活性剤により分散させた金属粒子などを用いることができる。なお、分散方式の異なる金属粒子を組み合わせて使用することもできる。分散樹脂は、水溶性もしくは水分散性を有する樹脂を用いることができるが、重量平均分子量が1000以上、100000以下のものが好ましく、重量平均分子量3000以上、50000以下のものがより好ましい。
【0028】
分散樹脂としては、例えば、以下のものを用いることができる。スチレン、ビニルナフタレン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、または、これらの誘導体などを単量体とするポリマー。なお、ポリマーを構成する単量体のうち、1つ以上は親水性単量体であることが好ましく、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、または、これらの塩などを用いてもよい。または、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂を用いることもできる。これらの樹脂は、塩基を溶解した水溶液に可溶である、即ち、アルカリ可溶型であることが好ましい。
【0029】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤および両性界面活性剤などの界面活性剤を用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール類、アセチレングリコール化合物、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物などを用いることができる。また、インクの表面張力を調整することを目的として、上記の界面活性剤をさらに加えてもよい。
【0030】
メタリックインクには、水および水溶性有機溶剤を含有する水性媒体を用いることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量に対して、3.0質量%以上、50.0質量%以下とすることが好ましい。また、インク中の水の含有量
(質量%)は、インク全質量を基準として50.0質量%以上、95.0質量%以下とすることが好ましい。なお、水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。
【0031】
水溶性有機溶剤は、例えば、以下のものを用いることができる。メタノール、エタノール、プロパノール、プロパンジオール、ブタノール、ブタンジオール、ペンタノール、ペンタジオール、ヘキサノール、ヘキサンジオールなどのアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの平均分子量200、300、400、600および1000などのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどの炭素数2〜6のアルキレン基を持つアルキレングリコール類。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの低級アルキルエーテルアセテート。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類。
【0032】
また、メタリックインクは、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤および蒸発促進剤などの種々の添加剤を含有してもよい。記録装置100において、こうしたメタリックインクを用いると、記録媒体M上に付与した際に、焼成などの特殊操作なしに導電性や金属の光沢性を発現することができる。
【0033】
以上の構成において、記録装置100で記録する記録画像の確認作業のために、画像処理装置10の表示部26に当該記録画像がプレビュー表示される表示処理について説明する。ここで、表示処理について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、表示処理の詳細な処理内容を示すフローチャートである。この表示処理では、まず、ユーザが記録データ(画像データ)として入力した記録画像情報(記録画像)が保存される(S302)。即ち、S302では、ユーザにより入力された記録画像がRAM108に保存される。記録画像については、ユーザが画像編集アプリケーションなどを用いて、オリジナル画像に対して、金属光沢を持たせるメタリック領域を別プレーンあるいは別チャネルとして指定することで作成される。
【0034】
S302では、記録画像として、
図4のように、色画像および金属光沢画像の2つの記録データ、つまり、色画像データおよび金属光沢画像データ(カラーメタリック画像データ)が保存される。色画像とは、カラーインクによる記録により発現する色に関する情報(色情報)を有する画像である。金属光沢画像(カラーメタリック画像)とは、メタリックインクとカラーインクを重ねて付与することによるカラーメタリック領域を表現するための金属光沢に関する情報(金属光沢情報)を有する画像である。前述したように、色画像とは別プレーンで作成された画像である。ここでは、金属光沢画像として、金色の光沢を有する金色プレーンを有するものとして説明する。
【0035】
なお、画像編集アプリケーションに表示されるオリジナル画像については、金属光沢を持たない画像であってもよいし、所定の領域に金属光沢を持つように処理された画像であってもよい。従って、金属光沢を持たないオリジナル画像では、ユーザが金属光沢を持たせて記録したい領域を指定し、指定された領域に対して、付与する金属光沢情報を設定することで、金属光沢画像が生成される。また、金属光沢情報を備えたオリジナル画像では、ユーザが金属光沢情報を備えた領域を指定する。ここで、金属光沢情報とは、カラーインクとメタリックインクが重ねて付与されることにより発現されるカラーメタリック領域の金属光沢の濃淡(程度)を示す機能量である。例えば、金色プレーンでは、各画素について0%〜100%の数値で表される。
【0036】
色画像は、一般的なカメラなどの撮像装置から出力される画像データであるR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色で構成されるRGB画像とする。なお、色画像としては、RGB画像に限定されず、その補色であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を用いた画像であってもよい。また、特色であるK(ブラック)やオレンジなどを含めた4色以上を用いた画像であってもよい。即ち、色画像としては、記録装置100に搭載されたカラーインクの色材(顔料、染料など)に紐づいている色情報を備えていることとなる。なお、それぞれの色は、一画素ごとに順番に並んでもよいし、一ラインごと、数ラインごと、画像ごとなどの所定の単位で並んでいてもよい。
【0037】
金属光沢画像は、前述したように、記録装置100に搭載されたカラーインクとメタリックインクとが重ねて付与されることによって発現する金属光沢情報を有する画像である。なお、金属光沢情報については、オリジナル画像において指定した金属光沢を持たせて記録する領域の金属光沢の有無および金属光沢の濃度に基づいて取得される。従って、入力される記録データは、色画像であるRGB画像、および、金属機能情報を有する金色光沢画像である。
【0038】
なお、金属光沢情報については、一種類に限定されるものではない。例えば、金色のカラーメタリック領域を示す金色プレーンの他に、他色のカラーメタリック領域を示すプレーンを備えるものであってもよい。また、スポットカラーとしての金インクを用いた金属光沢情報を追加してもよく、複数の金属光沢情報を有する形態であってもよい。このような複数種類の金属光沢情報を備えることによって、記録装置100への転送回数を削減することができるため、画像処理装置10と記録装置100との通信におけるオーバーヘッドを削減し、転送速度を向上することができる。
【0039】
金属光沢画像は、金属光沢情報に基づいて、金属光沢のある位置と金属光沢のない位置とを表す2値画像となる場合もあり、金属光沢のある位置と金属光沢のない位置を表すとともに金属光沢の階調まで表す多値画像となる場合もある。2値画像であれば、画像におけるデータ量を削減することができ、画像処理装置10と記録装置100との間の通信データ量を削減することができる。また、多値画像とすることにより、銀インクの量を調整して、金属光沢に階調を持たせて表すことができ、より表現力の高い記録結果を得ることができる。
【0040】
次に、金属光沢画像の金属光沢情報を、表示部26に表示可能な表示色で表す銀色表示画像データ(以下、単に「銀色表示画像」と称する。)に変換する変換処理を行う(S304)。表示色で金属光沢情報が表された銀色表示画像については、RAM108に保存される。銀色表示画像における表示色は、銀色表示画像の色情報である。
【0041】
ここで、金属光沢について説明する。
図5(a)には、マゼンタ階調パッチチャート(Color Only)と、銀インクのベタパッチにマゼンタの階調パッチを重ねたパッチチャート(Color+Silver)における金属光沢の測定結果が示されている。測定環境はそれぞれ45°/0°とSCI(Specular component included)である。45°/0°の測定とは、
図5(b)のような環境である。この環境では拡散反射光のみを測定する。SCIの測定とは、
図5(c)のような環境である。この環境では拡散反射光と正反射光の両方が含まれる光を測定する。
【0042】
図5(a)に示すように、カラーインクのみが付与された画像を測定した場合は、45°/0°で測定された値とSCIで測色された値に大きな違いが無い。それに比べ、カラーインクと銀インクが重ねて付与された画像を測色した場合は、これらの測色値は大きく異なり、SCIで測定された輝度値(L
*値)は、45°/0°で測定された輝度値よりも大きい。従って、画像に金属光沢を持たせるということは、拡散反射光と正反射光で大きく異なる輝度を持たせることとなる。特に、正反射光の反射率は、拡散反射光の反射率よりも高い。しかし、一般的な表示装置において、拡散反射光と正反射光で異なる輝度を持たせて表示することはできず、プレビュー表示で金属光沢を表現することは困難である。
【0043】
これに対し、S304では、金属光沢画像について、画素毎に金属光沢情報を表示部26で表示可能な色情報(表示色)で表す銀色表示画像に変換する変換処理を実行する。なお、本実施形態における変換処理については、以下の説明において第1の変換処理と称することとする。ここで、
図6を参照しながら、S304の第1の変換処理について説明する。
図6は、第1の変換処理の詳細な処理内容が示されたフローチャートである。
【0044】
第1の変換処理では、まず、金属光沢情報を表す表示色の色を決定する(S602)。上記したように、金属光沢については、表示装置に表示することが困難である。しかしながら、ユーザの利便性向上ためには、記録された画像(記録物)の金属光沢の位置やその濃淡をユーザに認識させる必要がある。従って、本実施形態では、画像処理装置10における表示部26で表示可能な色で、且つ、金属光沢を有するカラーメタリック領域を構成するカラーインクとは異なる色を用いて、金属光沢の有無を表現する。これにより、プレビュー表示において金属光沢のない領域との差を明確にし、カラーメタリック領域の位置をユーザに容易に認識させることができる。さらに、プレビュー表示において、金属光沢の程度を、金属光沢があることを示す色の濃淡(階調変化)で表現する。これにより、カラーメタリック領域における金属光沢の程度の変化をユーザに容易に認識させることができる。
【0045】
S602では、色画像における金属光沢画像が位置する領域(カラーメタリック領域)の色情報に基づいて、表示部26で表示可能な表示色を、カラーメタリック領域を示す色として決定する。例えば、オリジナル画像において指定されたカラーメタリック領域が金色であるとすると、実際に記録媒体M上に記録される画像において、金色はイエローインクとメタリックインクとが重ねて付与されることによって形成される。ここで、メタリックインクを用いた装飾を行う場合の表現方法として、金属光沢の程度が変化するものがある。例えば、メタリックインクとイエローインクを用いて表現される金色の装飾を行う際に、光沢のない黄色から徐々に光沢を増し、光沢のある金色へと変化するグラデーション表現がなされることがある。このとき、プレビュー表示に用いる金属光沢情報の表示色を、カラーメタリック領域(この例では金色)を構成する色(この例ではイエロー)に決定すると、表示装置にプレビュー表示された画像ではユーザが金色領域と黄色領域とを判別することができなくなる。特に、イエローインクの付与量が一定のまま、メタリックインクの付与量が徐々に増えるグラデーション画像の場合には、ユーザがプレビュー表示における黄色から金色への変化を判別ことが難しい。
【0046】
このため、本実施形態では、カラーメタリック領域を構成する色とは異なる色相の色、または、カラーメタリック領域を構成する色とは異なる彩度の色を、プレビュー表示における表示色として決定する。S602では、金属光沢画像におけるカラーメタリック領域を構成する色の色相とは異なる色相、または、カラーメタリック領域を構成する色の彩度とは異なる彩度を、表示色の色相または彩度として決定する。まず、金属光沢画像におけるカラーメタリック領域の色情報を色分解処理することにより、メタリックインク成分を除いた、カラーインクを用いて表現される色がわかる。そして、このカラーインクで表現される色の色相(または彩度)とは異なる色相(または彩度)を、プレビュー表示における表示色の色相(または彩度)に決定する。具体的には、オリジナル画像の金属光沢画像が位置する領域が金色であれば、メタリックインク成分を除いた、カラーインクによる表現色がイエローとなるため、イエロー以外の色相(または彩度)が表示色の色相(または彩度)として決定される。例えば、イエローとは彩度が異なる色として、彩度が0のグレーである。同様に、カラーメタリック領域が赤メタリック色であれば、カラーインクの表現色が赤となるため、赤以外の色相(または彩度)が、表示色の色相(または彩度)として決定される。例えば、赤とは色相が異なる色として、赤の補色であるシアンである。
【0047】
これにより、金属光沢のない黄色から金属光沢のある金色のように、金属光沢量がグラデーションで変化する記録画像であっても、プレビュー表示においては、金属光沢のある領域はイエロー以外の色相(または彩度)で表現される。このため、金属光沢を表現できない表示装置においてプレビュー表示を行う場合であっても、光沢量の異なる金色領域と黄色領域との判別が可能となる。なお、このような表示色の色相(または彩度)を決定する決定処理は、制御部20により実行される。
【0048】
次に、n=1とし(S604)、第n番目の処理対象画素における銀色量を取得する(S606)。S604では、処理対象画素を表す変数「n」を1とする。そして、金属光沢画像における各画素に、通し番号が付され、S606では、金属光沢情報に基づいて、金属光沢画像における第n番目の画素における銀色量が取得される。ここで、金属光沢情報は、各画素において金属光沢の濃淡を示す情報である。例えば、金色プレーンにおいては、各画素について、金色の量が0%〜100%で表現される。そして、この金属光沢情報(本例では、上述した金色の量)に基づき、銀色量が取得される。銀色量とは、メタリックインクの付与量を示す量であり、0%〜100%で表現される。
【0049】
その後、S602において決定された色と、S606において取得された銀色量と、に応じて、プレビュー表示における表示色が決定する(S608)。
図7(a)は、プレビュー表示においてカラーメタリック領域を表す色がグレーに決定された場合の、銀色量に応じた階調で表示色が規定された変更表の例である。この変更表では、S602において決定された色は、銀色量が100%のときに最も濃度の高い色が表示され、銀色量が減少するに従って、表示色の階調が変化する。そして、銀色量が0%のときに白色で表示される。なお、金属光沢画像が2値画像のときには、金属光沢を有する画素の銀色量は100%となり、表示色は、S602で決定した色相における最も濃度の高い色で表示される。
【0050】
銀色量0%における白色とは、RGB各8bitの画像データにおける(R,G,B)=(255,255,255)のことであり、RGB信号値の最大値を示す。なお、変更表においては、表示色の階調と銀色量との関係を線形としてもよく、例えば、
図7(b)のように銀色量100%から銀色量0%における表示色の階調の変化率を変更してもよい。金属光沢の変化がメタリックインクの付与量と比例しない場合には、このような変化率の異なる変更表を用いることで、階調表現の精度を向上させることができる。また、表示色は、色画像の表示形式と対応させる。本実施形態では、色画像をRGB画像としているため、表示色を色画像と対応するようにRGB値で表示する。このように、S608における処理では、近似式による演算処理や一次元LUT(ルックアップテーブル)など公知の技術を用いることができる。また、変更表における表示色は、金属光沢の量に応じて、その色相の明度および彩度の少なくとも一方が変化するようにしてもよい。これにより、カラーメタリック領域における金属光沢の量の差が、同一色相における明度の差および彩度の差の少なくとも一方によって表現されることとなる。
【0051】
S608において、第n番目の画素において、銀色量に応じた表示色が決定すると、決定された表示色が第n番目の画素に関連付けてRAM108に保存される(S610)。その後、全画素の表示色が決定されたか否かが判断される(S612)。即ち、S612では、「n」が金属光沢画像の通し番号の最後の値に達したか否かが判断される。ここで、全画素の表示色を変更していない、つまり、「n」が最後の値に達していないと判断されると、nがインクリメントされ(S614)、S606に戻る。また、S612において、全画素の色表示が変更された、つまり、「n」が最後の値に達したと判断されると、この第1の変換処理を終了して、後述するS306に進む。
【0052】
このように、第1の変換処理では、金属光沢を発現するカラーメタリック領域について、表示部26に表示可能な表示色の色相(または彩度)を決定する。そして、決定された色相(または彩度)と金属光沢情報に基づく銀色量に応じて表示色を決定し、金属光沢画像を銀色表示画像に変換する。従って、銀色表示画像は、金属光沢を発現するカラーメタリック領域を表示部26に表示するための色情報を含む。なお、こうした第1の変換処理は、制御部20により実行される。
【0053】
図3に戻る。S304における、金属光沢画像を銀色表示画像に変換する変換処理(第1の変換処理)が終了すると、S306に進み、色画像と、当該変換処理により取得された銀色表示画像と、を合成する合成処理が行われる。この合成処理により生成された画像データたる合成画像データ(以下、単に「合成画像」と称する。)が、RAM108に保存される。なお、本実施形態における合成処理については、以下の説明において第1の合成処理と称する。ここで、
図8を参照しながら、S306の第1の合成処理について説明する。
図8は、第1の合成処理の詳細な処理内容が示されたフローチャートである。
【0054】
第1の合成処理では、まず、n=1とし(S802)、色画像における第n番目の処理対象画素の色情報、本実施形態ではRGB値(R1,G1,B1)が取得される(S804)。次に、金属光沢画像における第n番目の処理対象画素の銀色量、本実施形態では0%〜100%の付与量が取得される(S806)。また、銀色表示画像における第n番目の処理対象画素の色情報、本実施形態ではRGB値(R2,G2,B2)が取得される(S808)。なお、S804〜S808については、並行して実行してもよいし、順番を入れ替えて実行してもよい。このようにRAM108に保存された各画像の処理対象画素における銀色量やRGB値の取得処理は、制御部20により実行される。
【0055】
その後、銀色量が「0」であるか否かが判断される(S810)。S810において、銀色量が「0」であると判断されると、第n番目の処理対象画素について、S804で取得された色画像のRGB値(R1,G1,B1)が合成値として決定される(S812)。そして、全画素の合成値が取得されたか否かが判断され(S814)、全画素の合成値が取得されていないと判断されると、nがインクリメントされ(S816)、S804に戻る。また、S814において、全画素の合成値が取得されたと判断されると、第1の合成処理を終了して、S308の処理に進む。
【0056】
一方、S810において、銀色量が「0」でないと判断されると、第n番目の処理対象画素について、S808で取得された銀色表示画像のRGB値(R2,G2,B2)が合成値として置き換えられ(S818)、S814に進む。なお、S812、S818で置き換えられた合成値は、第n番目の画素に関連付けてRAM108に保存される。各画素に合成値(色情報)が関連付けられて生成された画像は、RAM108において合成画像(プレビュー画像データ)として保存される。なお、銀色量に基づいて合成値が取得される処理は、制御部20により実行される。即ち、本実施形態では、制御部20が、金属光沢画像を銀色量に応じて表示色が変化する銀色表示画像に変換し、色画像、金属光沢画像および銀色表示画像に基づいて合成画像を生成する生成部として機能する。
【0057】
これに対し、S304では、金属光沢画像について、画素毎に金属光沢情報を表示部26で表示可能な色情報(表示色)で表す銀色表示画像に変換する変換処理を実行する。なお、本実施形態における変換処理については、以下の説明において第1の変換処理と称することとする。ここで、
図6を参照しながら、S304の第1の変換処理について説明する。
図6は、第1の変換処理の詳細な処理内容が示されたフローチャートである。
【0058】
図3に戻る。S306における第1の合成処理が終了すると、S308に進み、第1の合成処理により取得された合成画像が、表示部26にプレビュー表示される。具体的には、表示部26において、
図9のように、表示領域138に、合成画像とともにキャンセルボタン140と記録ボタン142とが表示される。ユーザは、表示された合成画像を確認し、そのまま画像の記録を行う場合には記録ボタン142が選択され、記録が開始される。一方、画像の記録を行わない場合にはキャンセルボタン140が選択される。なお、表示部26には、合成画像のみが表示され、記録ボタンやキャンセルボタンに相当する操作子などを、表示部26とは別に設けるようにしてもよい。なお、こうした合成画像のプレビュー表示は、制御部20により実行される。即ち、本実施形態では、制御部20が合成画像を表示するよう表示部26を制御する制御部として機能する。
【0059】
このようにプレビュー表示された合成画像において、メタリックインクが付与される画素は、金属光沢情報に基づいて決定された色の表示色(色情報)で表され、それ以外の画素は、オリジナルの色画像における色情報で表される。このため、金属光沢を持たせて記録するカラーメタリック領域をユーザに容易に認識させることができる。特に、本実施形態においては、記録画像中の金属光沢を持たせて記録するカラーメタリック領域の位置の識別を容易にしたとともに、多値の金属光沢画像に基づいて、カラーメタリック領域における金属光沢の濃淡を容易に認識させることができる。
【0060】
なお、このような合成画像のプレビュー表示については、画像処理装置10の表示部26を用いた手法に限定されるものではない。例えば、記録装置100に表示部を設け、当該表示部にプレビュー画像が表示されるようにしてもよいし、画像処理装置10の表示部26と記録装置100の表示部の両方に表示されるようにしてもよい。
【0061】
以上において説明したように、画像処理装置10は、金属光沢情報に基づいて、表示部26に表示可能な表示色の色が決定される。このとき、決定される色は、金属光沢が付与されるカラーメタリック領域(ユーザが指定した金属光沢を持たせて記録される領域)を構成する色とは異なる色とした。そして、決定された色において、金属光沢情報に基づく銀色量に応じた色が、プレビュー表示される表示色として決定され、金属光沢画像が銀色表示画像に変換される。そして、色画像と銀色表示画像とが合成され、金属光沢画像において、金属光沢情報が関連付けられた画素に対しては銀色表示画像における色情報(表示色)が、それ以外の画素に対しては色画像の色情報が関連付けられた合成画像が生成される。
【0062】
このような構成により、画像処理装置10においては、金属光沢が発現するカラーメタリック領域がその金属光沢を構成する色とは異なる色で表現され、さらに金属光沢の光沢量を示す階調が表現された合成画像をプレビュー表示することができる。ユーザは、表示部26におけるプレビュー表示を確認することで、記録媒体Mにカラーメタリック領域を含む画像を記録した際の、金属光沢が発現するカラーメタリック領域の位置やその金属光沢の光沢量を、プレビュー表示上で容易に識別することができる。その結果、実際に記録媒体M上に画像を記録して確認作業を行う場合と比較して、確認作業における記録媒体Mやインクの使用量を削減でき、ユーザの負担が軽減される。
【0063】
(第2実施形態)
次に、
図10乃至
図12を参照しながら、本発明による画像処理装置の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、上記した画像処理装置10と同一または相当する構成については、同一の符号を用いることにより、その詳細な説明は適宜に省略する。
【0064】
この第2実施形態による画像処理装置200は、以下の点において、上記した画像処理装置10と異なっている。即ち、表示処理におけるS304の変換処理において、金属光沢画像を、各画素について銀色量に応じて表示色の透過率が変更された銀色表示画像に変換する。また、表示処理におけるS306の合成処理において、色画像の色情報、表示色(銀色表示画像の色情報)および透過率に応じた合成値を算出し、合成画像を取得する。以下、画像処理装置200における変換処理および合成処理について詳細に説明する。なお、本実施形態における変換処理および合成処理については、以下の説明では、第2の変換処理および第2の合成処理と称することとする。
【0065】
まず、
図10を参照しながら、第2の変換処理について説明する。
図10は、第2の変換処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。第2の変換処理では、まず、金属光沢情報を表す表示色が決定される(S1002)。次に、n=1とし(S1004)、第n番目の処理対象画素における銀色量が取得される(S1006)。S1002〜S1006の処理内容はそれぞれ、上記したS602〜S606の処理と同様のため説明を省略する。
【0066】
その後、取得した銀色量に応じて表示色の透過率が決定される(S1008)。即ち、S1008では、例えば、
図11(a)のように、銀色量に応じた表示色の透過率が示された変更表に基づいて透過率が決定される。この変更表では、表示色は、S1002で決定した表示色で一定である。透過率は、銀色量0%のときに100%とし、銀色量が増えるに従って線形に減少し、銀色量100%のときに0%とする。なお、変更表においては、例えば、
図11(b)のように、銀色量100%のときに透過率を0%より大きい値としてもよい。また、
図11(c)のように、透過率0%から透過率100%の変化率を変更してもよい。
【0067】
こうして、第n番目の画素において、銀色量に応じた表示色の透過率に決定すると、決定した透過率が第n番目の画素に関連付けてRAM108に保存される(S1010)。その後、全画素の表示色の透過率が決定されたか否かを判断し(S1012)、全画素について決定されていないと判断されると、nをインクリメントし(S1014)、S1006に戻る。また、S1012において、全画素について決定されたと判断されると、この第2の変換処理を終了して、S306に進む。
【0068】
なお、第2の変換処理では、金属光沢情報に基づいて、各画素における表示色および表示色の透過率が決定される。従って、第2の変換処理によりRAM108に保存される銀色表示画像には、各画素において表示色(色情報)と表示色の透過率とに関する情報が関連付けられている。
【0069】
このように、第2の変換処理では、決定された表示色を、金属光沢情報に基づく銀色量に応じて表示割合を決定し、決定した表示割合に基づいて金属光沢画像を銀色表示画像に変換する。このような第2の変換処理は、制御部20により実行される。
【0070】
次に、
図12を参照しながら、第2の合成処理について説明する。
図12は、第2の合成処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。S304による金属光沢画像の銀色表示画像への変換処理(第2の変換処理)が終了すると、S306に進み、色画像と、当該変換処理で取得された銀色表示画像とを合成する合成処理(第2の合成処理)が行われる。合成された合成画像はRAM108に保存される。
【0071】
第2の合成処理では、まず、n=1とし(S1202)、色画像における第n番目の処理対象画素の色情報、つまり、本実施形態ではRGB値(R1,G1,B1)が取得される(S1204)。また、銀色表示画像における第n番目の処理対象画素の色情報、つまり、本実施形態では、RGB値(R2,G2,B2)と、透過率とが取得される(S1206)。なお、S1204、S1206については、並行して実行してもよいし、順番を入れ替えて実行してもよい。また、こうした処理対象画素からの情報の取得については、第1の合成処理と同様に、制御部20により実行される。
【0072】
その後、取得した色情報および透過率に基づいて、第n番目の処理対象画素における合成値が取得される(S1208)。即ち、S1208では、透過率をαとし、透過率αが0≦α≦100であった場合、次式によって合成値(Rout,Gout,Bout)が算出される。
Rout={α×R1+(100−α)×R2}/100
Gout={α×G1+(100−α)×G2}/100
Bout={α×B1+(100−α)×B2}/100
【0073】
こうして取得された合成値は、第n番目の画素に関連付けてRAM108に保存され、各画素に合成値(色情報)が関連付けられた画像については、RAM108において合成画像(プレビュー画像データ)として保存される。なお、こうした合成値を取得する処理については、第1の合成処理と同様に、制御部20により実行されることとなる。即ち、本実施形態では、制御部20が、金属光沢画像を銀色量に応じて表示色の透過率が変化する銀色表示画像に変換し、この銀色表示画像および色画像に基づいて合成画像を生成する生成部として機能する。
【0074】
第n番目の処理対象画素における合成値が取得されると、全画素の合成値が取得されたか否かが判断される(S1210)。全画素について取得されていないと判断されると、nをインクリメントして(S1212)、S1204に戻る。また、S1210において、全画素について取得されたと判断されると、第2の合成処理を終了して、S308の処理に進む。
【0075】
S308の処理により生成される合成画像では、表示部26に表示された際に、金属光沢が強いほど銀色表示画像における色情報が強調され、金属光沢が弱いほど色画像における色情報が強調される。これにより、ユーザは、金属光沢が発現するカラーメタリック領域の下に位置する画像を認識することができ、実際に記録された画像におけるカラーメタリック領域の光沢度合をより明確に認識することができる。
【0076】
以上において説明したように、画像処理装置200は、金属光沢情報に基づいて、表示部26に表示可能な表示色を決定する。このとき、表示色は、金属光沢を付与されるカラーメタリック領域を構成する色とは異なる色に決定される。そして、金属光沢情報に基づく銀色量に応じて表示色の透過率を変更し、金属光沢画像を銀色表示画像に変換する。そして、表示色(銀色表示画像の色情報)、透過率および色画像の色情報に基づいて、表示部26にプレビュー表示するための合成画像の各画素における色情報を取得する。これにより、生成された合成画像では、カラーメタリック領域における金属光沢の量の差が、表示色の透過率の差によって表現されることとなる。
【0077】
このような構成により、画像処理装置200においては、上記画像処理装置10の作用効果に加えて、記録媒体上に記録された画像において、金属光沢が発現するカラーメタリック領域の下に位置する画像を認識することができる。このため、記録結果における金属光沢の位置をより明確に認識しつつ、光沢度合を確認することができる。
【0078】
(第3実施形態)
次に、
図13乃至
図15を参照しながら、本発明による画像処理装置の第3実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、上記した画像処理装置10と同一または相当する構成については、同一の符号を用いることにより、その詳細な説明は適宜に省略する。
【0079】
この第3実施形態による画像処理装置300は、以下の点において、上記した画像処理装置10と異なっている。即ち、表示処理におけるS304の変換処理において、金属光沢画像を、各画素について銀色量に応じて表示色の被覆率が変更された銀色表示画像に変換する。また、表示処理におけるS306の合成処理において、被覆率に基づいて合成値を決定し、合成画像を取得する。以下、画像処理装置300における変換処理および合成処理について詳細に説明する。なお、本実施形態における変換処理および合成処理については、以下の説明では、第3の変換処理および第3の合成処理と称する。
【0080】
まず、
図13を参照しながら、第3の変換処理について説明する。
図13は、第3の変換処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。第3の変換処理では、まず、金属光沢情報を表す表示色が決定される(S1302)、次に、n=1とし(S1304)、第n番目の処理対象画素における銀色量が取得される(S1306)。S1302〜S1306の処理内容はそれぞれ、上記したS602〜S606の処理と同様のため説明を省略する。
【0081】
その後、取得した銀色量に応じて表示色の被覆率が決定される(S1308)。即ち、S1308では、例えば、
図14(a)のように、銀色量に応じた表示色の単位面積当たりの被覆率が示された変更表に基づいて被覆率が決定される。この変更表では、表示色は、S1302で決定した表示色で一定である。被覆率は、銀色量0%のときに0%とし、銀色量が増えるに従って線形に増加し、銀色量100%のときに100%とする。なお、変更表においては、例えば、
図14(b)のように、銀色量100%のときに被覆率を100%より小さい値としてもよい。これにより、メタリックインクによって回路画像を記録するときのような、銀色量が100%に近い場合であっても、RGB画像とともに回路画像を表示することが可能になる。また、
図14(c)のように、被覆率0%から100%の変化率を変更してもよい。
【0082】
こうして、第n番目の画素において、銀色量に応じた表示色の被覆率に決定されると、決定した被覆率が第n番目の画素に関連付けてRAM108に保存される(S1310)。その後、全画素について表示色の被覆率が決定されたか否かが判断され(S1312)、全画素について決定されていないと判断されると、nをインクリメントし(S1314)、S1306に戻る。また、S1312において、全画素について決定されたと判断されると、この第3の変換処理を終了して、S306に進む。
【0083】
なお、第3の変換処理では、金属光沢情報に基づいて、各画素における表示色および表示色の被覆率が決定される。従って、第3の変換処理によりRAM108に保存される銀色表示画像には、各画素において表示色(色情報)と表示色の被覆率とに関する情報が関連付けられている。
【0084】
このように、第3の変換処理では、決定された表示色について、金属光沢情報に基づく銀色量に応じて表示割合を決定し、決定した表示割合に基づいて金属光沢画像を銀色表示画像に変換する。この第3の変換処理は、制御部20により実行される。
【0085】
次に、
図15を参照しながら、第3の合成処理について説明する。
図15は、第3の合成処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。S304による金属光沢画像の銀色表示画像への変換処理(第3の変換処理)が終了すると、S306に進み、色画像と、当該変換処理で取得された銀色表示画像とを合成する合成処理(第3の合成処理)が行われる。取得された合成画像は、RAM108に保存される。
【0086】
第3の合成処理では、まず、n=1とし(S1502)、色画像における第n番目の処理対象画素の色情報、つまり、本実施形態ではRGB値(R1,G1,B1)が取得される(S1504)。また、銀色表示画像における第n番目の処理対象画素の色情報、つまり、本実施形態ではRGB値(R2,G2,B2)と、被覆率とが取得される(S1506)。なお、S1504、S1506については、並行して実行してもよいし、順番を入れ替えて実行してもよい。また、こうした処理対象画素からの情報の取得については、第1の合成処理と同様に、制御部20により実行される。
【0087】
次に、取得した被覆率の量子化が行われる(S1508)。被覆率の量子化は、上述した公知の技術を用いて行われる。その後、この量子化後の値が「0」であるか否かが判断される(S1510)。S1510において、量子化後の値が「0」であると判断されると、第n番目の処理対象画素について、S1504で取得された色画像のRGB値(R1,G1,B1)を合成値とする(S1512)。そして、全画素の合成値が取得されたか否かが判断され(S1514)、全画素について取得されていないと判断されると、nをインクリメントして(S1516)、S1504に戻る。また、S1514において、全画素について取得されたと判断されると、第3の合成処理を終了して、S308の処理に進む。
【0088】
一方、S1510において、量子化後の値が「0」でないと判断されると、第n番目の処理対象画素について、S1506で取得された銀色表示画像のRGB値(R2,G2,B2)を合成値とし(S1518)、S1514に進む。なお、S1512、S1518で取得された合成値は、第n番目の処理対象画素に関連付けられてRAM108に保存され、各画素に合成値(色情報)が関連付けられた画像については、RAM108において合成画像(プレビュー画像データ)として保存される。このような合成値を取得する処理は、第1の合成処理と同様に、制御部20により実行される。即ち、本実施形態では、制御部20が、金属光沢画像を銀色量に応じて表示色の透過率が変化する銀色表示画像に変換し、この銀色表示画像および色画像に基づいて合成画像を生成する生成部として機能する。
【0089】
S308の処理において表示部26に表示される合成画像では、金属光沢が発現する領域が金属光沢情報に基づく表示色で示される。このため、ユーザは、金属光沢が発現するカラーメタリック領域が小さくても、当該領域を高精度に確認することができる。
【0090】
以上において説明したように、画像処理装置300は、金属光沢情報に基づいて、表示部26に表示可能な表示色を決定する。このとき、表示色は、金属光沢を付与されている領域を構成する色と異なる色とした。また、金属光沢情報に基づく銀色量に応じた表示色の被覆率を決定し、金属光沢画像を銀色表示画像に変換する。そして、表示色、被覆率および色画像の色情報に基づいて、表示部26に表示するための合成画像の各画素における色情報を取得する。具体的には、合成画像の各画素では、被覆率を量子化し、その値が0であれば、色画像のRGB値を色情報とし、その値が0でなければ、銀色表示画像のRGB値を色情報とした。これにより、生成された合成画像では、カラーメタリック領域における金属光沢の量の差が、表示色の被覆率の差によって表現されることとなる。
【0091】
このように、画像処理装置300においては、上記画像処理装置10と同様の作用効果を示す。さらに、画像処理装置300では、銀色量が小さい場合であっても、ユーザに金属光沢が発現する領域をより高精度に認識させることができる。
【0092】
(他の実施形態)
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(6)のように変形してもよい。
【0093】
(1)上記実施形態では、変換処理のS602において、金属光沢画像が位置するカラーメタリック領域を構成する色とは異なる色に決定したが、これに限定されるものではない。表示部26で表示可能な表示色として、一般的に認識されているメタリック色の近似色に決定するようにしてもよい。例えば、銀色なら(R,G,B)=(192,192,192)、金色なら(R,G,B)=(255,215,0)とする。これにより複数のユーザがプレビュー表示を確認しているときにも、複数のユーザ間での認識に差が生じ難くなる。
【0094】
さらに、記録データの色画像を解析し、カラーメタリック領域を構成する色とは異なる色のうち、当該色画像において使用されていない色を表示色として決定するようにしてもよい。この場合、記録結果における金属光沢の位置が特有の色で表示されることとなる。これにより金属光沢を発現する領域の位置などの情報を、ユーザがより容易に認識することができる。
【0095】
色画像に使用されていない色を表示色として決定する際には、色画像に使用されている色を基準として、色空間内での範囲を設定してもよい。例えば、LAB色空間において、色画像に使用されている色に対する色差(デルタE)が「10」以上の色とする。また、RGB値などの各信号値との差分の合計が「30」以上などの閾値を設定してもよい。この場合には、記録データの色空間で行うことで、色空間変換演算を行う時間を削減できる。さらに、信号値毎に重み付けを行い、信号値の合計演算を行う際に当該重みを乗算して合計を算出するようにしてもよい。これにより、判定速度の向上および判定精度の向上を両立させることができる。
【0096】
また、ユーザが表示色を設定してもよい。ユーザにより設定された表示色がカラーメタリック領域を構成する色に近い色である場合のように、表示の際に認識し難い色であった場合には、ユーザに対してその旨を通知して色の変更を促してもよい。あるいは、自動的に異なる色(確認し易い色)に変更してもよい。これにより、ユーザにより表示色が設定された場合であっても、プレビュー表示において、記録される画像における金属光沢が発現する領域の位置などの情報を高精度に認識することができる。
【0097】
(2)上記第1実施形態では、第1の合成処理で、処理対象画素において、色画像および銀色表示画像からRGB値とともに、金属光沢画像から銀色量を取得した後に、銀色量が「0」か否かを判断して合成値を取得したが、これに限られるものではない。まず、金属光沢画像から銀色量を取得し、銀色量が「0」であれば、色画像からRGB値を取得して、このRGB値を合成値とし、銀色量が「0」でなければ、銀色表示画像からRGB値を取得して、このRGB値を合成値としてもよい。
【0098】
(3)上記第2実施形態では、第2の変換処理において、表示色を一定とし、この表示色の透過率を変化させたが、これに限られるものではない。透過率を一定とし、第1実施形態のように、銀色量に応じて表示色が変化させてもよい。
【0099】
(4)上記実施形態では、色画像と銀色表示画像とを合成する合成処理を実行し、この合成処理により取得した合成画像を表示部26に表示させたが、これに限定されるものではない。色画像と、金属光沢が発現する領域において銀色量に応じて表示色が変更された画像とを交互に表示させてもよい。具体的には、S308の処理において、色画像と合成画像とが交互に表示される。これにより、ユーザは、色画像と合成画像との違いを認識し易くなり、より高精度に金属光沢が発現する領域を認識することができる。
【0100】
また、S306の合成処理を省略し、S308の処理において、色画像と銀色表示画像とを交互に表示させてもよい。この場合、金属光沢が発現する領域だけが表示される時間があるため、当該領域が小さくてもユーザが見落とし難くなる。この場合には、上記第2実施形態および上記第3実施形態については、合成画像から金属光沢が発現する領域だけの画像が生成され、当該画像と色画像とが交互に表示される。
【0101】
さらに、色画像と銀色表示画像(あるいは合成画像)とを、所定回数だけ連続して切り替えて表示させることにより、ユーザは、金属光沢が発現する領域が残存効果として色画像上に残って認識することができる。これにより、より明確に金属光沢が発現する領域を認識することができる。
【0102】
(5)画像処理装置10、200、300では、処理画像をプレビュー表示するための表示部26を備えた。この場合、画像処理装置10、200、300は、記録画像を表示部26で表示可能なように処理する画像処理装置であるとともに、当該処理により取得された合成画像を表示する表示部26を備えた表示装置として機能する。しかしながら、本発明による画像処理装置では、表示部26を、画像処理装置10、200、300や記録装置100と別体で設けてもよい。これにより、画像処理装置10、200、300では、表示部26に表示可能なように記録画像を処理する画像処理装置としてのみ機能する。この場合、表示処理のS302、S304、S306の処理は、画像処理装置により実行され、S308の処理は表示部により実行される。なお、表示部26が別体で設けられる場合などには、画像処理装置では、制御部20において表示部26がどのような形式で出力するのかを判断し、この判断結果に応じた形式に画像を処理してもよい。
【0103】
(6)本発明による画像処理装置では、上記した各実施形態による表示処理を選択的に実行可能な構成としてもよい。また、上記実施形態では、変換表において、透過率および被覆率を線形(つまり、連続的)に変化するようにしたが、段階的に変化するようにしてもよい。
【0104】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。