特許第6953399号(P6953399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953399
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】成形が可能な毛髪ケア用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20211018BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20211018BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20211018BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20211018BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20211018BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20211018BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/81
   A61K8/362
   A61K8/60
   A61K8/86
   A61Q5/00
   A61K8/46
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-513660(P2018-513660)
(86)(22)【出願日】2016年9月20日
(65)【公表番号】特表2018-530541(P2018-530541A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】KR2016010486
(87)【国際公開番号】WO2017057868
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0137535
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フヮン, ユン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ピン, ソン ア
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ミン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ, キョン ミ
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ジャン ウォン
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−512963(JP,A)
【文献】 米国特許第5703026(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0058236(US,A1)
【文献】 特表2005−538202(JP,A)
【文献】 特表2013−510888(JP,A)
【文献】 特表2017−538738(JP,A)
【文献】 特表2013−529659(JP,A)
【文献】 特表2004−534807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤を含み、
前記カチオン性界面活性剤は、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択されたいずれか一種以上のカチオン性界面活性剤であり、
前記アニオン性界面活性剤は、ラウレススルホコハク酸ジナトリウムであり、
前記増粘剤は、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸スターチから選択されたいずれか一種以上の増粘剤であり、
前記アニオン性界面活性剤は、総組成物に対して0.1質量%〜0.5質量%で
前記カチオン性界面活性剤は、総組成物に対して0.1質量%〜5質量%であり、
前記増粘剤は、総組成物に対して0.1質量%〜15質量%である、
成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項2】
前記増粘剤は、重量平均分子量が1,000〜85,000Mwである、請求項1に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項3】
前記カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤は、1:0.1〜1:0.5〜12の質量比で含まれる、請求項1に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項4】
前記カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤は、1:0.2〜0.6:0.5〜5の質量比で含まれる、請求項1に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項5】
当該組成物は、炭素数12以上の高級脂肪族アルコールをさらに含む、請求項1に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項6】
前記高級脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びセテアリルアルコールから選択されたいずれか一種以上である、請求項に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項7】
前記高級脂肪族アルコールと増粘剤とは10〜1:1〜10の質量比で含まれる、請求項に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項8】
当該組成物はpH調節剤をさらに含む、請求項1に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項9】
当該組成物はリーブオンタイプ又はウォッシュオフタイプである、請求項1に記載の成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載の毛髪ケア用組成物にて成形された毛髪ケア成形品及びブリスター包装を含み、前記毛髪ケア成形品は、前記ブリスター包装内でコーティングなしに固形の製剤で存在する、毛髪ケア用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤を含む成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
成人の毛髪は、汚れ、頻繁なパーマ、ヘアードライ、染色、ブラシ掛けなどによる損傷が深刻であるため、一定の水準以上のコンディショニング効果を持つ毛髪ケア用組成物が必要である。コンディショニング効果のための既存の毛髪製品は、液状や粘性を持つタイプであって、チューブやポンプを介して手に取って使用する製品である。すなわち、従来の剤形は、乳化剤形のクリーム状であったため、製品成形や所望の個別包装形態にするのが不可能であった。
【0003】
一方、コンディショニング効果のための毛髪ケア用組成物は、日常生活で使用される他、キャンピングや旅行の際も必要であり、これを充足するために、毛髪ケア用製品でも携行の便宜性が求められている。
【0004】
したがって、毛髪ケア用製品本然の役割であるコンディショニング効果が低下することなくキャンピングや旅行の際に携行し易い便利な商品への適用が可能な成形容易性や成形安定性を持つ固形製剤の毛髪ケア用組成物に関する研究がさらに必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許10-2011-0026525号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面は、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物であって、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤を含む毛髪ケア用組成物を提供することをその目的とする。
【0007】
本発明の一側面は、コンディショニング効果に優れ且つ成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供することをその目的とする。
【0008】
本発明の一側面において、前記増粘剤はポリアクリル酸ナトリウムである、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供することをその目的とする。
【0009】
本発明の一側面において、前記カチオン性界面活性剤は、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択されたいずれか一種以上のカチオン性界面活性剤であり、前記アニオン性界面活性剤は、ラウレススルホコハク酸ジナトリウム、ラウリルグルコースカルボン酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム、C14−16オレフィンサルフェートナトリウム、及びラウレスサルフェートアンモニウムから選択されたいずれか一種以上のアニオン性界面活性剤であり、前記増粘剤は、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウムスターチ(Sodium Polyacrylate Starch)から選択されたいずれか一種以上の増粘剤である、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供することをその目的とする。
【0010】
本発明の一側面において、前記組成物は、炭素数12以上の高級脂肪族アルコールをさらに含む、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供することをその目的とする。
【0011】
本発明の一側面は、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物は、リーブオンタイプ又はウォッシュオフタイプである、毛髪ケア用組成物を提供することをその目的とする。
【0012】
本発明の一側面は、前記毛髪ケア用組成物にて成形された毛髪ケア成形品及びブリスター包装を含み、前記毛髪ケア成形品は、前記ブリスター包装内でコーティングなしに固形の製剤で存在する毛髪ケア用製品を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤を含む成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0014】
本発明の一側面において、前記増粘剤はポリアクリル酸ナトリウムである、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0015】
本発明の一側面において、前記ポリアクリル酸ナトリウムは、重量平均分子量が1,000〜85,000Mwである、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0016】
本発明の一側面において、前記カチオン性界面活性剤は、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択されたいずれか一種以上のカチオン性界面活性剤であり、前記アニオン性界面活性剤は、ラウレススルホコハク酸ジナトリウム、ラウリルグルコースカルボン酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム、C14−16オレフィンサルフェートナトリウム、及びラウレスサルフェートアンモニウムから選択されたいずれか一種以上のアニオン性界面活性剤であり、前記増粘剤は、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウムスターチから選択されたいずれか一種以上の増粘剤である、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0017】
本発明の一側面において、前記カチオン性界面活性剤は、総組成物に対して0.1質量%〜5質量%であり、前記アニオン性界面活性剤は、総組成物に対して0.1質量%〜1質量%未満であり、前記増粘剤は、総組成物に対して0.1質量%〜15質量%である、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0018】
本発明の一側面において、前記カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤は、1:0.1〜1:0.5〜12の質量比で含まれる、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。具体的に、前記カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤は、1:0.2〜0.6:0.5〜5の質量比で含まれていてよい。
【0019】
本発明の他の側面は、前記組成物は、炭素数12以上の高級脂肪族アルコールをさらに含む、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。具体的に前記高級脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びセテアリルアルコールから選択された何れか一種以上であってよい。
【0020】
本発明の他の側面において、前記高級脂肪族アルコールと増粘剤とは10〜1:1〜10の質量比で含まれる、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0021】
本発明の他の側面は、前記組成物はpH調節剤をさらに含む、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0022】
本発明の他の側面は、前記組成物はリーブオンタイプ又はウォッシュオフタイプである、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0023】
本発明の他の側面は、前記毛髪ケア用組成物にて成形された毛髪ケア成形品及びブリスター包装を含み、前記毛髪ケア成形品は、前記ブリスター包装内でコーティングなしに固形の製剤で存在する毛髪ケア用製品を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一側面に係る組成物は、固形の製剤であって固形安定性に優れる。
【0025】
本発明の一側面に係る組成物は、固形の製剤であって優れた成形性を持つ。
【0026】
本発明の一側面に係る組成物は、固形の製剤であってシェア(力)に対する抵抗性に優れる。
【0027】
本発明の一側面に係る組成物は、固形の製剤であって固形製剤に多様な質感を付与することができる。
【0028】
本発明の一側面に係る組成物を毛髪に適用した場合、固形の製剤を提供するとともに優れたトリートメント効果を奏する。
【0029】
本発明の一側面に係る組成物を毛髪に適用した場合、固形の製剤を提供するとともに優れたコンディショニング効果を奏する。
【0030】
本発明の一側面に係る組成物を毛髪に適用した場合、柔らかさ及び滑らかさに優れる。
【0031】
本発明の一側面に係る組成物を毛髪に適用した場合、塗り広がり性に優れる。
【0032】
本発明の一側面に係る組成物は、リーブオンタイプの毛髪ケア組成物を提供することができる。
【0033】
本発明の一側面に係る組成物は、ウォッシュオフタイプの毛髪ケア組成物を提供することができる。
【0034】
本発明の一側面に係る組成物を含む毛髪ケア組成物は、コーティングなしにブリスター包装形態の製品で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本明細書の実施例に係る成形が可能な固形製剤の組成物の写真である。
図2】本明細書の実施例に係る成形が可能な固形製剤の組成物であって、六面体、四面体及び球形に成形された固形製剤の組成物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明に関して詳しく説明することにする。
【0037】
本発明の一側面は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤を含む、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0038】
本発明の一側面は、毛髪ケアのための成形が可能な固形製剤の組成物を製造するに際する、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤の用途を提供する。
【0039】
本発明の一側面は、対象の毛髪ケアのための方法であって、当該方法は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤を含む、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を対象に適用する段階を含む方法を提供する。
【0040】
本明細書において用いられる用語「成形が可能な固形」とは、手或いは機械を利用して固形の製剤を特定の形状、例えば、球形、四面体形、又は六面体形などへの成形が容易であり、成形後に一定水準の力(シェア)にも崩壊しない固形を意味する。
【0041】
本発明の一側面において、前記増粘剤はポリアクリル酸ナトリウムである、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0042】
本発明の一側面において、前記ポリアクリル酸ナトリウムは、重量平均分子量が1,000〜85,000Mwである、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0043】
前記ポリアクリル酸ナトリウムの分子量は、具体的に、1,000Mw以上、1,200Mw以上、1,500Mw以上、2,000Mw以上、5,000Mw以上、10,000Mw以上、15,000Mw以上、30,000Mw以上、又は40,000Mw以上であってよい。
【0044】
また、前記ポリアクリル酸ナトリウムの分子量は、85,000Mw以下、83,000Mw以下、80,000Mw以下、75,000Mw以下、70,000Mw以下、65,000Mw以下、60,000Mw以下、50,000Mw以下、又は45,000Mw以下であってよい。
【0045】
ポリアクリル酸ナトリウムの分子量が前記範囲内であるとき、優れたコンディショニング効果を奏するとともに固形組成物を提供することができ、且つ成形の際に特定の形状への成形が可能な程度の粘度を提供することができる。
【0046】
本発明の一側面において、前記カチオン性界面活性剤は、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択されたいずれか一種以上のカチオン性界面活性剤である、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。本発明の一側面において、多様なカチオン性界面活性剤を用いる場合、本発明の固形製剤の組成物は成形が容易となる。一具現例において、ステアラミドプロピルジメチルアミンをカチオン性界面活性剤として用いる場合、製造過程で溶解が円滑になされないことがあり、乳酸のようなpH調節剤を用いてpHを調節して溶解することができる。一具現例において、ステアラミドプロピルジメチルアミンをカチオン性界面活性剤として用いる場合、前記他のカチオン性界面活性剤を用いた場合に比べて組成物の粘度が低く製造されるので、他のカチオン性界面活性制を用いた場合に比べて増粘剤の含量を増加させて所望の水準の粘度で製造することができる。また、本発明の一側面において、前記界面活性剤の組み合わせを用いる場合にも、本発明の固形製剤の組成物は成形が容易となる。
【0047】
本発明の一側面において、前記アニオン性界面活性剤は、ラウレススルホコハク酸ジナトリウム、ラウリルグルコースカルボン酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム、C14−16オレフィンサルフェートナトリウム、及びラウレスサルフェートアンモニウムから選択されたいずれか一種以上のアニオン性界面活性剤であり、前記増粘剤は、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウムスターチから選択されたいずれか一種以上の増粘剤である、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。本発明の一側面において、前記アニオン性界面活性剤は、カチオン性界面活性剤を用いた場合と同様に、前記多様な種類のアニオン性界面活性剤を用いた場合にも、固形製剤の組成物で成形が容易となるという効果を奏する。
【0048】
本発明の一側面において、前記増粘剤は、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウムスターチから選択されたいずれか一種以上の増粘剤である、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0049】
本発明の一側面において、前記カチオン性界面活性剤は、総組成物に対して0.1質量%〜5質量%であり、前記アニオン性界面活性剤は、総組成物に対して0.1質量%〜1質量%未満であり、前記増粘剤は、総組成物に対して0.1質量%〜15質量%である、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0050】
前記カチオン性界面活性剤は、具体的に、総組成物に対して0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、1.0質量%以上、1.1質量%以上、1.2質量%以上、1.3質量%以上、1.4質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、又は3.0質量%以上であってよい。
【0051】
また、前記カチオン性界面活性剤は、総組成物に対して5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、1.9質量%以下、1.8質量%以下、1.7質量%以下、1.6質量%以下、1.5質量%以下、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.1質量%以下、1.0質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、又は0.6質量%以下であってよい。
【0052】
前記カチオン性界面活性剤の含量が前記範囲内であるとき、優れたコンディショニング効果を奏するとともに固形組成物を提供することができ、且つ成形の際に特定の形状への成形が可能な程度の粘度を提供することができる。
【0053】
前記アニオン性界面活性剤は、具体的に、総組成物に対して0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、又は0.7質量%以上であってよい。
【0054】
また、前記アニオン性界面活性剤は、総組成物に対して1.0質量%未満、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、又は0.6質量%以下であってよい。
【0055】
前記アニオン性界面活性剤の含量が前記範囲内であるとき、優れたコンディショニング効果を奏するとともに固形組成物を提供することができ、且つ成形の際に特定の形状への成形が可能な程度の粘度を提供することができる。
【0056】
前記増粘剤は、具体的に、総組成物に対して0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、1.0質量%以上、1.1質量%以上、1.2質量%以上、1.3質量%以上、1.4質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、7.0質量%以上、又は9.0質量%以上であってよい。
【0057】
また、前記増粘剤は、総組成物に対して15質量%以下、13質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1.8質量%以下、1.5質量%以下、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.1質量%以下、又は1.0質量%以下であってよい。
【0058】
前記増粘剤の含量が前記範囲内であるとき、優れたコンディショニング効果を奏するとともに固形組成物を提供することができ、且つ成形の際に特定の形状への成形が可能な程度の粘度を提供することができる。
【0059】
本発明の一側面において、前記カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤は、1:0.1〜1:0.5〜12の質量比で含まれる、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。具体的に、前記カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤は、1:0.2〜0.6:0.5〜5の質量比で含まれていてよい。より具体的に、前記カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び増粘剤は、1:0.3:1〜2の質量比で含まれていてよい。本明細書において用いられる前記質量比を示す範囲は、当該範囲を示す2つの末端値の間に存在する全ての数が含まれてよい。したがって、例えば、1:0.3:1〜2の質量比は、1:0.3:1.1、1:0.3:1.2、1:0.3:1.3、1:0.3:1.4、1:0.3:1.5、1:0.3:1.6、1:0.3:1.7、1:0.3:1.8、1:0.3:1.9の質量比を含んでいてよく、前記質量比がこれらに制限されるものではないことは本発明の技術分野に属する通常の技術者にとって自明であろう。
【0060】
本発明の他の側面は、前記組成物は、炭素数12以上の高級脂肪族アルコールをさらに含む、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。具体的に、前記高級脂肪族アルコールはセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びセテアリルアルコールから選択されたいずれか一種以上であってよいが、これらに制限されるものではない。
【0061】
本発明の他の側面において、前記高級脂肪族アルコールと増粘剤とは、10〜1:1〜10の質量比で含まれる、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0062】
本発明の他の側面は、前記組成物は、pH調節剤をさらに含む、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。具体的に、前記pH調節剤は、乳酸を含んでいてよいが、これに制限されるものではない。
【0063】
前記組成物は、リーブオンタイプ又はウォッシュオフタイプである、成形が可能な固形製剤の毛髪ケア用組成物を提供する。
【0064】
本発明の他の側面は、前記毛髪ケア用組成物にて成形された毛髪ケア成形品及びブリスター包装を含み、前記毛髪ケア成形品は、前記ブリスター包装内でコーティングなしに固形の製剤で存在する毛髪ケア用製品を提供する。
【0065】
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明する。これらの実施例は、本発明の内容を理解するために提示されるものであるに過ぎず、本発明の権利範囲がこれらの実施例と試験例によって限定されるものではなく、当業界において通常的に周知の変形、置換、及び挿入などを実施することができ、これに関するものも本発明の範囲に含まれる。なお、実施例13及び実施例15は、本発明に含まれない。
【0066】
実施例1〜15及び比較例
下記の表1に表した組成にて実施例1〜15に係る毛髪ケア用組成物及び比較例を製造した。下記の成分は市販される製品を購入して使用した。
ベヘントリモニウムクロリド:ミウォン商事(株)
ステアルトリモニウムクロリド:ミウォン商事(株)
ベヘントリモニウムメトサルフェート*セチルアルコール*ブチレングリコール:CRODA INC.
ステアラミドプロピルジメチルアミン:ミウォン商事(株)
ラウレススルホコハク酸ジナトリウム:ミウォン商事(株)
ポリアクリル酸ナトリウム:sigma aldrich(Mw:1,200〜83,000)
ポリアクリル酸ナトリウムスターチ:大東化成工業株式会社
【0067】
【表1】
【0068】
[試験例1]組成物の固形製剤化及び成形容易性テスト
本明細書の一側面に係る実施例1〜15の固形製剤化及び成形容易性を確認した。比較例の成分は、従来のトリートメントあるいはリンスの基本骨格である界面活性剤や高級脂肪族アルコールの含量を高めても、球形状への成形が不可能であった。
【0069】
これに対し、実施例1〜15は、図1のような固形の製剤に製造され、特に、実施例1〜14に係る固形製剤の組成物を成形した形状は、図2のように成形が容易であり且つ成形安定性を有することを確認した。
【0070】
実施例1〜4に係る組成物は、カチオン性界面活性剤の種類を異にしても固形製剤として球形状への成形が可能であることを確認した。
【0071】
実施例5〜7に係る組成物は、カチオン性界面活性剤を1種以上用いる場合に、カチオン性界面活性剤の多様な組み合わせで球形状への成形が可能であることを確認した。
【0072】
高級脂肪族アルコールをさらに含む実施例8〜9に係る組成物も球形状への成形が可能であることを確認した。
【0073】
増粘剤及びアニオン性界面活性剤の含量が異なるように調節した実施例10〜14の場合でも、球形状への成形が可能であることを確認した。但し、実施例15の場合、球形状への成形の際に安定性が不足した。
【0074】
[試験例2]コンディショニング効果テスト−組成物の柔らかさ及び塗り広がり性の実験
本発明に係る組成物の毛髪への適用の際の柔らかさ及び塗り広がり性を測定するために、前記比較例と実施例1〜14を下記の方法にて実験した。
【0075】
組成物を使用する際の手での塗り広がり性及び毛髪への適用の際の柔らかさ/滑らかさの程度を、専門家パネル20人によって評価した。比較例と実施例1〜14の組成物を使用させた後、最も低い点数を1、最も高い点数を5としてテストを実施した。その平均を集計して下記の表2に表した。
【0076】
【表2】
【0077】
実験の結果、実施例1〜14の処理の際、既存の比較例と類似した水準のコンディショニング効果、すなわち優れた塗り広がり性や柔らかさを持つことを確認した。
図1
図2