【文献】
STEVEN R. NORSWORTHY, et al.,"Delta-Sigma Data Converters",米国,IEEE PRESS,1997年,p.353-355
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示の技術は実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器、全般に関する説明
2.本開示のアナログ−デジタル変換器
2−1.実施例1(2次のΔΣアナログ−デジタル変換器の例)
2−2.実施例2(実施例1の変形例:制御回路部の回路構成が異なる例)
2−3.実施例3(実施例2の変形例:1段目の積分器のタイプが異なる例)
2−4.実施例4(第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を予備として持つ例)
2−5.実施例5(実施例4の変形例)
2−6.実施例6(3次のΔΣアナログ−デジタル変換器の例)
2−7.変形例
3.本開示の固体撮像素子(CMOSイメージセンサの例)
3−1.基本的なシステム構成
3−2.実施例7(隣接する画素列のアナログ−デジタル変換器に属するカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を用いる例)
3−3.積層構造
4.本開示の電子機器(撮像装置の例)
5.本開示がとることができる構成
【0014】
<本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器、全般に関する説明>
本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器にあっては、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部について、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と同じアナログ−デジタル変換器内に設けられている形態とすることができる。
【0015】
上述した好ましい構成、形態を含む本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器にあっては、積分回路部について、縦続接続された少なくとも2つの積分器から成る構成とすることができる。このとき、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部が、積分回路部の1段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部であり、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部が、積分回路部の2段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部であることが好ましい。
【0016】
更に、上述した好ましい構成、形態を含む本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器にあっては、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部について、その出力端を1段目の積分器に選択的に接続する第1のスイッチ素子、及び、2段目の積分器に選択的に接続する第2のスイッチ素子を有する構成とすることができる。また、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部について、その出力端を2段目の積分器に選択的に接続する第3のスイッチ素子、及び、1段目の積分器に選択的に接続する第4のスイッチ素子を有する構成とすることができる。
【0017】
更に、上述した好ましい構成、形態を含む本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器にあっては、第1の接続モード及び第2の接続モードの切替え制御を行う制御回路部を有する構成とすることができる。第1の接続モードは、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第1のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第3のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続するモードである。第2の接続モードは、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第2のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第4のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続するモードである。
【0018】
更に、上述した好ましい構成、形態を含む本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器にあっては、制御回路部について、第1の接続モード及び第2の接続モードの切替え制御を、量子化回路部の量子化動作に同期して交互に行う構成とすることができる。
【0019】
更に、上述した好ましい構成、形態を含む本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器にあっては、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部について、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と同じアナログ−デジタル変換器内に複数設けられている構成とすることができる。このとき、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び複数の第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のうち、ランダムテレグラフノイズが最も小さいデジタル−アナログ変換部の出力端が積分回路部の入力端に接続されることが好ましい。また、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のスイッチ回路部分を、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部で共用する構成とすることができる。
【0020】
更に、上述した好ましい構成、形態を含む本開示のアナログ−デジタル変換器、固体撮像素子、及び、電子機器にあっては、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部について、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部が設けられたアナログ−デジタル変換器に隣接するアナログ−デジタル変換器内に設けられている形態とすることができる。
【0021】
あるいは又、上述した好ましい構成、形態を含む本開示の固体撮像素子にあっては、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部について、カラム処理部において隣接するアナログ−デジタル変換器内に設けられている形態とすることができる。アナログ−デジタル変換器は、画素列毎に設けられる場合の他、複数の画素列を単位として設けられ、複数の画素列間で時分割で用いられる場合がある。従って、アナログ−デジタル変換器が例えば画素列毎に設けられている場合は、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部として、隣接する画素列のアナログ−デジタル変換器内に設けられているデジタル−アナログ変換部を用いることが好ましい。
【0022】
更に、上述した好ましい構成、形態を含む本開示の固体撮像素子にあっては、画素アレイ部が形成された半導体基板と、アナログ−デジタル変換器を含むカラム処理部が形成された半導体基板とが積層されて成る、所謂、積層構造の構成とすることができる。
【0023】
<本開示のアナログ−デジタル変換器>
本開示のアナログ−デジタル変換器(AD変換器)は、フィードバックループ中にカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部(DA変換部)を有する連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器である。本実施形態に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器は、カレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の電流源の低周波ノイズのうち、特に、ΔΣ変調によるノイズ低減効果を受けずにそのままアナログ−デジタル変換器の出力に乗ってしまうランダムテレグラフノイズを低減するためになされたものである。
【0024】
より具体的には、本実施形態に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器は、カレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の電流源トランジスタの面積を大きくしたり、電流源トランジスタの相互コンダクタンスg
mが小さめになるように動作点設計を行ったりすることなく、ランダムテレグラフノイズの低減を実現する。以下に、ランダムテレグラフノイズの低減を実現するための、本実施形態に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の具体的な実施例について説明する。
【0025】
[実施例1]
実施例1は、2次のΔΣアナログ−デジタル変換器の例である。実施例1に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成の概略を
図1に示す。
【0026】
図1に示すように、実施例1に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器1は、積分回路部10、量子化回路部20、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40、及び、制御回路部50を備える構成となっている。第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40は、ΔΣアナログ−デジタル変換器1のフィードバックループ中に設けられている。
【0027】
積分回路部10は、縦続接続された2つの積分器、即ち、1段目の積分器11及び2段目の積分器12を有し、アナログ入力信号INの値とフィードバック値との差分を積分する。1段目の積分器11は、当該積分器11の入力端N
1と基準電位点(例えば、GND)との間に接続された容量素子C
1によって構成されている。2段目の積分器12は、電圧を電流に変換するg
mアンプ121を有し、当該g
mアンプ121の出力端(積分器12の入力端)N
2と基準電位点(例えば、GND)との間に接続された容量素子C
2によって構成されている。
【0028】
量子化回路部20は、例えば比較器21から構成されており、クロック信号CLKに同期して、積分回路部10の出力を基準電圧V
refと比較することによって積分回路部10の出力を量子化し、1ビットのデジタル信号OUTとして出力する。この1ビットのデジタル信号OUTは、次段の不図示の低域通過フィルタ(デジタルフィルタ)により、必要となる周波数帯域以外の成分が取り除かれてデジタル信号に変換される。
【0029】
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30は、量子化回路部20の出力に応じてフィードバック値を生成し、1段目の積分器11に供給する。具体的には、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30は、電流源I
1及び4つのスイッチ素子31〜34から成る差動スイッチ回路によって構成されている。
【0030】
4つのスイッチ素子31〜34の各一端は、電流源I
1の入力端に共通に接続されている。第1のスイッチ素子としてのスイッチ素子31の他端は、配線L
1を通して1段目の積分器11の入力端N
1に電気的に接続されている。第2のスイッチ素子としてのスイッチ素子32の他端は、配線L
2を通して2段目の積分器12の入力端N
2に電気的に接続されている。
【0031】
スイッチ素子33,34は互いに直列接続され、トランジスタ35を介して電源V
ddのノードに接続されている。トランジスタ35は、所定のバイアス電圧がゲートに印加されることによって負荷素子として機能する。
【0032】
第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40は、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30と同じΔΣアナログ−デジタル変換器1内に設けられており、量子化回路部20の出力に応じてフィードバック値を生成し、2段目の積分器12に供給する。具体的には、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40は、電流源I
2及び4つのスイッチ素子41〜44から成る差動スイッチ回路によって構成されている。
【0033】
4つのスイッチ素子41〜44の各一端は、電流源I
2の入力端に共通に接続されている。第3のスイッチ素子としてのスイッチ素子41の他端は、配線L
3を通して2段目の積分器12の入力端N
2に電気的に接続されている。第4のスイッチ素子としてのスイッチ素子42の他端は、配線L
4を通して1段目の積分器11の入力端N
1に電気的に接続されている。
【0034】
スイッチ素子43,44は、互いに直列接続され、トランジスタ45を介して電源V
ddのノードに接続されている。トランジスタ45は、所定のバイアス電圧がゲートに印加されることによって負荷素子として機能する。
【0035】
制御回路部50は、量子化回路部20の動作に同期して、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30の4つのスイッチ素子31〜34、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の4つのスイッチ素子41〜44の接続モードの切替え制御を行う。具体的には、制御回路部50は、2つのD型フリップフロップ51,52、2つのインバータ回路53,54、及び、2つのNOR回路55,56によって構成されている。
【0036】
フリップフロップ51は、Q出力を第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子32、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子42の切替え制御信号SW
gate2とする。また、フリップフロップ51は、Q出力の反転出力を第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子34、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子44の切替え制御信号SW
gateyとする。
【0037】
フリップフロップ52は、Q出力を第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子31、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子41の切替え制御信号SW
gate1とする。また、フリップフロップ52は、Q出力の反転出力を第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子33、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子43の切替え制御信号SW
gatexとする。
【0038】
インバータ回路53は、比較器21の出力信号を極性反転して、2つのNOR回路55,56の各一方の入力とする。インバータ回路54は、比較器21の動作の基準となるクロック信号CLKの1/2分周(2倍の周期)のクロック信号CLK
div2を極性反転する。NOR回路55は、インバータ回路54で極性反転されたクロック信号CLK
div2を他方の入力とする。NOR回路56は、クロック信号CLK
div2を直接他方の入力とする。
【0039】
NOR回路55の出力は、フリップフロップ51のD入力となる。NOR回路56の出力は、フリップフロップ52のD入力となる。フリップフロップ51及びフリップフロップ52は、比較器21の動作の基準となるクロック信号CLKの逆相のクロック信号をクロック入力としている。
【0040】
上記の回路構成の制御回路部50は、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40における第1の接続モード及び第2の接続モードの切替え制御を、量子化回路部20の動作に同期して交互に行う。
【0041】
ここで、第1の接続モードは、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30の出力端を、スイッチ素子31を介して1段目の積分器11に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の出力端を、スイッチ素子41を介して2段目の積分器12に接続する接続モードである。第1の接続モードへの切替えは、切替え制御信号SW
gate1による制御の下に実行される。
【0042】
第2の接続モードは、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30の出力端を、スイッチ素子32を介して2段目の積分器12に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の出力端を、スイッチ素子42を介して1段目の積分器11に接続する接続モードである。第2の接続モードへの切替えは、切替え制御信号SW
gate2による制御の下に実行される。
【0043】
実施例1に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器における各部の信号のタイミング波形図を
図2に示す。
図2には、比較器21の動作の基準となるクロック信号CLK、比較器21の出力、クロック信号CLKの1/2分周のクロック信号CLK
div2、第1の接続モードへの切替え制御信号SW
gate1、及び、第2の接続モードへの切替え制御信号SW
gate2のタイミング波形を示している。
【0044】
制御回路部50は、クロック信号CLK
div2が高(H)レベルの状態では、切替え制御信号SW
gate1によって第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子31及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子41を、比較器21の出力信号に応じてオン(閉)又はオフ(開)状態にする。また、切替え制御信号SW
gate2によって第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子32及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子42をオフ(開)状態にする。
【0045】
この接続モード、即ち、クロック信号CLK
div2が高レベル(論理“1”)のときの接続モードが第1の接続モードである。第1の接続モードで比較器21の出力が高(H)のときの積分回路部10に対する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の接続状態を
図3に示す。
【0046】
制御回路部50は、クロック信号CLK
div2が低(L)レベルの状態では、切替え制御信号SW
gate2によって第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子32及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子42を、比較器21の出力信号に応じてオン状態又はオフ状態にする。また、切替え制御信号SW
gate1によって第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子31及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子41をオフ状態にする。
【0047】
この接続モード、即ち、クロック信号CLK
div2が低レベル(論理“0”)のときの接続モードが第2の接続モードである。第2の接続モードで比較器21の出力が
低(L)のときの積分回路部10に対する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の接続状態を
図4に示す。
【0048】
上述したように、実施例1に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器1では、1段目の積分器11及び2段目の積分器12に対する、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の接続状態が、量子化回路部20の動作に同期して交互に行われる。そして、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30又は第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40から与えられるフィードバック値は、1段目の積分器11の入力端N
1に入力される段階で、アナログ入力信号の値との差分がとられることになる。
【0049】
因みに、従来例に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器にあっては、第1の接続モードの接続状態に固定された状態にある。従来例に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成の概略を
図5に示す。従来例のように、1段目の積分器11及び2段目の積分器12に対する、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の接続状態が固定の場合、1段目の積分器11に接続される第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30の電流源I
1の低周波ノイズ、特にランダムテレグラフノイズが、ΔΣ変調によるノイズ低減効果を受けずにそのまま出力OUTに乗ってしまう。
【0050】
ところで、ランダムテレグラフノイズが顕著に大きいトランジスタは稀にしか出現しないため、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40がある場合に、その両方の電流源I
1,I
2のランダムテレグラフノイズが共に悪くなる確率は飛躍的に小さくなる。
【0051】
ΔΣアナログ−デジタル変換器において、フィードバックループの内側のデジタル−アナログ変換部、即ち、2段目の積分器12以降に接続されるデジタル−アナログ変換部から発生する低周波ノイズは、ΔΣ変調によって大きく減衰されるために殆どノイズ性能に影響を及ぼさないことが知られている。
【0052】
実施例1に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1は、この点に鑑みてなされたものであり、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のフィードバック値の出力先をフィードバックの度に切り替えながら使うようにしている。
【0053】
これにより、ΔΣアナログ−デジタル変換器1の1段目の積分器11に接続される第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30の電流源I
1のランダムテレグラフノイズが顕著に大きかった場合に、ΔΣアナログ−デジタル変換器1の出力OUTに現れるランダムテレグラフノイズをほぼ半減させることができる。より具体的には、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30が2段目の積分器12に接続されることで、電流源I
1のランダムテレグラフノイズがΔΣ変調によって大きく減衰されるため、出力OUTに現れるランダムテレグラフノイズがほぼ半減する。
【0054】
尚、元々2段目の積分器12以降に接続されていた第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40の電流源I
2のランダムテレグラフノイズが顕著に大きかった場合には、その半分のランダムテレグラフノイズが1段目の積分器11にも入ってしまうことになる。この場合、ΔΣアナログ−デジタル変換器1の出力OUTに現れるランダムテレグラフノイズは増えてしまうことになる。しかし、ある大きさのランダムテレグラフノイズの出現確率は、ランダムテレグラフノイズの大きさが半分になると2桁程度大きくなることから、これは実使用上問題にならない。
【0055】
上述したように、実施例1に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1によれば、カレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の電流源トランジスタの面積を大きくしたり、電流源トランジスタ相互コンダクタンスg
mが小さめになるように動作点設計を行ったりしなくても、ランダムテレグラフノイズを低減することができる。その結果、歩留りを向上できる。
【0056】
ランダムテレグラフノイズの低減対策としては、電流源トランジスタの面積を大きくすることが一般的である。この場合、カレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の電流源トランジスタがΔΣアナログ−デジタル変換器全体のサイズに影響するほどの大きさになることがある。これに対し、実施例1に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1によれば、ランダムノイズの低減分を電流源トランジスタのサイズ縮小に充てることができるため、アナログ−デジタル変換器のサイズの縮小化に寄与できる。
【0057】
また、ランダムノイズの低減分を電流源トランジスタのオーバードライブ電圧の低減に充てることもできる。これにより、その分アナログ−デジタル変換器1の入力ダイナミックレンジや積分回路部10の許容信号振幅を大きくできるために、SN比の向上、入力信号に対する出力信号の線形性の向上、及び、低電源電圧設計の容易性といったメリットも生じる。
【0058】
尚、実施例1では、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のフィードバック値の出力先をフィードバックの度に切り替えるとしたが、この制御形態に限られるものではない。すなわち、フィードバック値の出力先を片方に固定して、いずれの接続状態の方がランダムテレグラフノイズが小さくなるかをあらかじめ調べておく。そして、ランダムテレグラフノイズが小さくなる接続状態に固定とする。これにより、実使用時において更にランダムテレグラフノイズを低減できる。この固定接続状態とする場合には、クロック信号CLK
div2を高レベルか低レベルのどちらかに固定して、
図3の接続状態か、
図4の接続状態かのどちらかランダムテレグラフノイズが少ない方の接続状態に固定することによって実現できる。
【0059】
[実施例2]
実施例2は、実施例1の変形例であり、制御回路部50の回路構成が実施例1と異なっている。実施例2に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成を
図6に示し、実施例2に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器における各部の信号のタイミング波形を
図7に示す。
【0060】
図6に示すように、制御回路部50は、1つのD型フリップフロップ51、2つのインバータ回路53,54、1つのバッファ回路57、及び、2つのNOR回路58,59によって構成されている。フリップフロップ51は、バッファ回路57を経た比較器21の出力信号をD入力とし、比較器21の動作の基準となるクロック信号CLKの逆相のクロック信号をクロック入力としている。インバータ回路53は、フリップフロップ51のQ出力を極性反転し、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子33、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子43の切替え制御信号SW
gatexとする。
【0061】
NOR回路58は、クロック信号CLKの1/2分周のクロック信号CLK
div2及びフリップフロップ51のQ出力の反転出力を2入力とし、その出力を第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子32、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子42の切替え制御信号SW
gate2とする。NOR回路59は、フリップフロップ51のQ出力の反転出力及びインバータ回路54を経たクロック信号CLK
div2を2入力とし、その出力を第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ素子31、及び、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のスイッチ素子41の切替え制御信号SW
gate1とする。
【0062】
上記の回路構成の制御回路部50を有する実施例2に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1においても、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のフィードバック値の出力先をフィードバックの度に切り替えながら使うことになる。従って、実施例1の場合と同様に、電流源トランジスタの面積を大きくしたり、電流源トランジスタの相互コンダクタンスg
mが小さめになるように動作点設計を行ったりしなくても、ランダムテレグラフノイズを低減することができる。
【0063】
尚、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40において、負荷側のスイッチ素子が、実施例1では2つであるのに対し、実施例2では1つとなっているが、回路動作上、特に違いはない。
【0064】
[実施例3]
実施例3は、実施例2の変形例であり、1段目の積分器11のタイプが実施例2と異なっている。実施例3に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成を
図8に示す。
【0065】
図8に示すように、1段目の積分器11は、演算増幅器111を用いた回路構成となっている。演算増幅器111の反転(−)入力端には、抵抗素子R
1を介してアナログ信号が入力され、非反転(+)入力端には、基準電圧V
refが入力される。また、演算増幅器111の反転入力端と出力端との間には容量素子C
1が接続されている。
【0066】
上記の回路構成の1段目の積分器11において、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30又は第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40から与えられるフィードバック値は、演算増幅器111の反転入力端に入力される段階で、アナログ入力信号の値との差分がとられることになる。演算増幅器111を用いることで、より安定して積分波形を得ることができる。
【0067】
1段目の積分器11以外の構成については、
図6に示す実施例2に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1と同じである。従って、実施例3に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器1においても、実施例1及び実施例2の場合と同様に、電流源トランジスタの面積を大きくしたり、電流源トランジスタ相互コンダクタンスg
mが小さめになるように動作点設計を行ったりしなくても、ランダムテレグラフノイズを低減することができる。
【0068】
[実施例4]
実施例4は、1段目の積分器11に対してのみカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を備える2次のΔΣアナログ−デジタル変換器1において、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40を、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30の予備として持つ例である。実施例4に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成を
図9に示す。
【0069】
実施例4に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1は、フィードバックループ中にカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を1つ(第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30)しか持たないタイプのアナログ−デジタル変換器である。この場合、2段目の積分器12にフィードバック値を与えるカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部が存在しないため、2段目の積分器12は、入力端N
2と基準電位点(例えば、GND)との間に、抵抗素子R
2及び容量素子C
2が直列に接続された回路構成となる。
【0070】
実施例4に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1では、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40を、2段目の積分器12にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部として用いるのではなく、あくまで第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30の予備として備える。そして、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のうち、ランダムテレグラフノイズが小さい方の出力端を1段目の積分器11の入力端N
1に固定的に接続する。
【0071】
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30は、電流源I
1にバイアス電圧Biasを選択的に与えるスイッチ素子37、及び、電流源I
1のバイアス電圧Biasの入力端を選択的に接地するスイッチ素子38を有している。第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40も同様の機能を持つスイッチ素子47,48を有している。
【0072】
そして、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のうち、ランダムテレグラフノイズが小さい方のスイッチ素子37/47をオン(閉)状態にする。これにより、バイアス電圧Biasが与えられ、電流源I
1/I
2が活性化する。
【0073】
実施例4に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1では、使用しない方のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30/40については、スイッチ素子38/48をオン(閉)状態にし、電流源I
1/I
2のバイアス電圧Biasの入力端を接地する(低レベルに落とす)ようにしている。これにより、使用しない方のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30/40の電流源I
1/I
2が非活性化となり、電流源I
1/I
2に無駄にバイアス電流が流れることはない。
【0074】
ここでは、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40を1つ用意するとしたが、1つに限られるものではなく、複数用意するようにしてもよい。この場合、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び複数の第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40のうち、ランダムテレグラフノイズが最も小さいデジタル−アナログ変換部の出力端を1段目の積分器11の入力端N
1に固定的に接続することになる。
【0075】
上記の構成の実施例4に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1によれば、ランダムテレグラフノイズが小さいデジタル−アナログ変換部を1段目の積分器11の入力端N
1に固定的に接続することで、ランダムテレグラフノイズが大きいデジタル−アナログ変換部を接続する場合よりも、ランダムテレグラフノイズを低減できる。尚、フィードバックループ中にカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を1つしか持たないタイプのΔΣアナログ−デジタル変換器1において、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40を予備として備えることで、予備として備えない場合よりも面積が大きくなる。しかし、ΔΣアナログ−デジタル変換器全体を予備として備える場合に比べて、ΔΣアナログ−デジタル変換器1の面積を小さくできる。
【0076】
[実施例5]
実施例5は、実施例4の変形例である。実施例5に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成を
図10に示す。実施例5に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1では、予備として備える第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40が、スイッチ回路部分(スイッチ素子41,43等)を持たず、電流源I
2及びスイッチ素子47,48から成る回路構成となっている。
【0077】
すなわち、実施例5に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1は、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ回路部分を、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40で共用する構成となっている。
【0078】
上記の構成の実施例5に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1においても、実施例4の場合と同様の作用、効果を得ることができる。また、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のスイッチ回路部分を、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40で兼用することにより、実施例4の場合よりも面積を小さくできるメリットがある。
【0079】
[実施例6]
実施例6は、3次のΔΣアナログ−デジタル変換器の例である。実施例6に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成の概略を
図11に示す。
【0080】
実施例6に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1において、1段目の積分器11及び2段目の積分器12は、実施例1の場合と同じ回路構成となっている。但し、この回路構成に限られるものではなく、例えば1段目の積分器11について、実施例3のように、演算増幅器111を用いた回路構成であってもよい。3段目の積分器13は、g
mアンプ131を有し、当該g
mアンプ131の出力端と基準電位点(例えば、GND)との間に直列に接続された抵抗素子R
3及び容量素子C
3によって構成されている。
【0081】
積分回路部10以外の構成、即ち、量子化回路部20、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40、及び、制御回路部50の構成は、実施例1又は実施例2の場合と基本的に同じである。従って、実施例6に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1においても、実施例1の場合と同様に、電流源トランジスタの面積を大きくしたり、電流源トランジスタ相互コンダクタンスg
mが小さめになるように動作点設計を行ったりしなくても、ランダムテレグラフノイズを低減することができる。
【0082】
尚、実施例6に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1に対しても、実施例4や実施例5の技術を適用することができる。
【0083】
[変形例]
以上では、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30と同じΔΣアナログ−デジタル変換器内に設けられているデジタル−アナログ変換部を、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。すなわち、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30が設けられたΔΣアナログ−デジタル変換器に隣接するΔΣアナログ−デジタル変換器内に設けられているデジタル−アナログ変換部を、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として用いるようにしてもよい。その具体例については、実施例7として、後で詳細に説明する。
【0084】
以上説明した実施例1乃至実施例6に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器1は、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子において、単位画素から出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器として用いることができる。但し、固体撮像素子への適用に限られるものではなく、実施例1乃至実施例6に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器1は、通信機の受信装置の信号処理システムやオーディオシステムなどの種々の分野において用いることができる。以下では、固体撮像素子に適用する場合を例に挙げて説明する。
【0085】
<本開示の固体撮像素子>
[基本的なシステム構成]
図12は、本開示の固体撮像素子の基本的なシステム構成を示す概略構成図である。ここでは、固体撮像素子として、X−Yアドレス方式の固体撮像素子の一種であるCMOSイメージセンサを例に挙げて説明する。CMOSイメージセンサとは、CMOSプロセスを応用して、または、部分的に使用して作成されたイメージセンサである。
【0086】
本例に係るCMOSイメージセンサ60は、図示せぬ半導体基板(チップ)上に形成された画素アレイ部61、及び、当該画素アレイ部61と同じ半導体基板上に集積された周辺回路部を有する構成となっている。周辺回路部は、例えば、垂直駆動部62、カラム処理部63、水平駆動部64、及び、システム制御部65によって構成されている。
【0087】
CMOSイメージセンサ60は更に、信号処理部68及びデータ格納部69を備えている。信号処理部68及びデータ格納部69については、CMOSイメージセンサ60と同じ基板上に搭載しても構わないし、CMOSイメージセンサ60とは別の基板上に配置するようにしても構わない。また、信号処理部68及びデータ格納部69の各処理については、CMOSイメージセンサ60とは別の基板に設けられる外部信号処理部、例えば、DSP(Digital Signal Processor)回路やソフトウェアによる処理でも構わない。
【0088】
画素アレイ部61は、光電変換を行うことで、受光した光量に応じた光電荷を生成し、かつ、蓄積する光電変換部を含む単位画素(以下、単に「画素」と記述する場合がある)70が行方向及び列方向に、即ち、行列状に2次元配置された構成となっている。ここで、行方向とは画素行の画素の配列方向(所謂、水平方向)を言い、列方向とは画素列の画素の配列方向(所謂、垂直方向)を言う。
【0089】
画素アレイ部61において、行列状の画素配列に対し、画素行毎に画素駆動線66(66
1〜66
m)が行方向に沿って配線され、画素列毎に垂直信号線67(67
1〜67
n)が列方向に沿って配線されている。画素駆動線66は、画素から信号を読み出す際の駆動を行うための、後述する駆動信号を伝送する。
図12では、画素駆動線66について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動線66の一端は、垂直駆動部62の各行に対応した出力端に接続されている。
【0090】
垂直駆動部62は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部61の各画素70を全画素同時あるいは行単位等で駆動する。すなわち、垂直駆動部62は、当該垂直駆動部62を制御するシステム制御部65と共に、画素アレイ部61の各画素70を駆動する駆動部を構成している。この垂直駆動部62はその具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0091】
読出し走査系は、単位画素70から信号を読み出すために、画素アレイ部61の単位画素70を行単位で順に選択走査する。単位画素70から読み出される信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対し、その読出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃出し走査を行う。
【0092】
この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の単位画素70の光電変換部から不要な電荷が掃き出されることによって当該光電変換部がリセットされる。そして、この掃出し走査系による不要電荷の掃き出す(リセットする)ことにより、所謂電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0093】
読出し走査系による読出し動作によって読み出される信号は、その直前の読出し動作または電子シャッタ動作以降に受光した光量に対応するものである。そして、直前の読出し動作による読出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃出しタイミングから、今回の読出し動作による読出しタイミングまでの期間が、単位画素70における光電荷の露光期間となる。
【0094】
垂直駆動部62によって選択走査された画素行の各画素70から出力される信号は、画素列毎に垂直信号線67の各々を通してカラム処理部63に入力される。
【0095】
カラム処理部63は、画素アレイ部61の画素列毎に、あるいは複数の画素列を単位として、選択行の各画素70から垂直信号線67を通して出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器(AD変換器)631を有している。カラム処理部63は、AD変換処理以外に、ノイズ除去処理などの信号処理を行う構成とすることができる。ノイズ除去処理としては、例えばCDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)処理や、DDS(Double Data Sampling)処理を例示することができる。例えば、CDS処理により、リセットノイズや画素70内の増幅トランジスタの閾値ばらつき等の画素固有の固定パターンノイズを除去することができる。
【0096】
水平駆動部64は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部63の1つの画素列、あるいは複数の画素列に対応する単位回路を順番に選択走査する。この水平駆動部64による選択走査により、カラム処理部63において単位回路毎にAD変換等の信号処理が施された画素信号が順番に出力される。
【0097】
システム制御部65は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータなどによって構成され、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミングを基に、垂直駆動部62、カラム処理部63、及び、水平駆動部64などの駆動制御を行う。
【0098】
信号処理部68は、少なくとも演算処理機能を有し、カラム処理部63から出力される画素信号に対して演算処理等の種々の信号処理を行う。データ格納部69は、信号処理部68での信号処理に当たって、その処理に必要なデータを一時的に格納する。
【0099】
上記の構成のCMOSイメージセンサ60において、カラム処理部63に、画素アレイ部61の画素列毎に、あるいは複数の画素列を単位として設けられるアナログ−デジタル変換器631として、先述した実施例1乃至実施例6に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1を用いることができる。実施例1乃至実施例6に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1は、カレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の電流源トランジスタの面積を大きくしたり、電流源トランジスタの相互コンダクタンスg
mが小さめになるように動作点設計を行ったりしなくても、ランダムテレグラフノイズを低減できる。
【0100】
CMOSイメージセンサ60にあっては、ランダムテレグラフノイズは、縦筋状のランダムノイズとなって画質を悪化させる一因となる。これに対し、カラム処理部63のアナログ−デジタル変換器631として、実施例1乃至実施例6に係るΔΣアナログ−デジタル変換器1を用いることで、アナログ−デジタル変換器631で発生するランダムテレグラフノイズを低減できるため、画質の向上を図ることができる。
【0101】
また、ランダムテレグラフノイズの低減分を電流源トランジスタの縮小に充てることができるため、アナログ−デジタル変換器631を縮小化できる。これにより、カラム処理部63の縮小化、ひいては、CMOSイメージセンサ60のチップサイズの縮小化に寄与できる。
【0102】
ところで、先述したように、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30が設けられたΔΣアナログ−デジタル変換器に隣接するΔΣアナログ−デジタル変換器内に設けられているデジタル−アナログ変換部を、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として用いることができる。その一具体例について、実施例7として以下に説明する。
【0103】
[実施例7]
実施例7は、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として、隣接する画素列のアナログ−デジタル変換器631に属するカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を用いる例である。実施例7に係る連続時間型のΔΣアナログ−デジタル変換器の回路構成の概略を
図13に示す。
【0104】
ここでは、カラム処理部63において、例えば、アナログ−デジタル変換器631が画素アレイ部61の画素列毎に1対1の対応関係をもって配置されている場合を例に挙げて説明する。尚、
図13には、図面の簡素化のために、ある画素列iと、当該画素列iに隣接する画素列i+1の2つの画素列に対応する2つのアナログ−デジタル変換器631
_i,631
_i+1を図示している。
【0105】
画素列iのアナログ−デジタル変換器631
_iは、隣接する画素列i+1のアナログ−デジタル変換器631
_i+1に属する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30を、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として用いるようにしている。そして、画素列iのアナログ−デジタル変換器631
_iでは、制御回路部50による制御の下に、自身に属する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30、及び、隣接するアナログ−デジタル変換器631
_i+1に属する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のフィードバック値の出力先をフィードバックの度に切り替えるようにしている。
【0106】
画素列i+1のアナログ−デジタル変換器631
_i+1はその逆である。すなわち、アナログ−デジタル変換器631
_i+1は、隣接する画素列iのアナログ−デジタル変換器631
_iに属する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30を第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として用いている。そして、画素列i+1のアナログ−デジタル変換器631
_i+1では、制御回路部50による制御の下に、自身に属する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30、及び、隣接するアナログ−デジタル変換器631
_iに属する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30のフィードバック値の出力先をフィードバックの度に切り替えるようにしている。
【0107】
上記の構成の実施例7に係るΔΣアナログ−デジタル変換器において、隣接する画素列のアナログ−デジタル変換器631
_i,631
_i+1のどちらかの電流源のランダムテレグラフノイズが顕著に大きかった場合を考える。この場合、実施例7によれば、半減したランダムテレグラフノイズが2つの画素列分のアナログ−デジタル変換器631
_i,631
_i+1にまたがって出力されることにより、ランダムテレグラフノイズに起因する画質の劣化が目立たなくなるため、撮像画像の画質を向上できる。
【0108】
尚、実施例7では、元々フィードバックループ中にカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を1つ(第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30)しか持たないタイプのΔΣアナログ−デジタル変換器に適用した場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。すなわち、実施例1などの場合のように、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部30及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40を持つタイプのΔΣアナログ−デジタル変換器にも適用可能である。
【0109】
また、原理的には、実施例1乃至実施例6の同じ画素列のアナログ−デジタル変換器631内での切替えと、実施例7の隣接する画素列のアナログ−デジタル変換器631間での切替えとを組み合わせた形態をとることも可能である。
【0110】
また、実施例7では、アナログ−デジタル変換器631が画素列毎に配置されている場合において、隣接する画素列のアナログ−デジタル変換器に属するカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として用いる場合を例に挙げたが、これに限られるものではない。具体的には、アナログ−デジタル変換器631が複数の画素列を単位として設けられる場合があり、この場合には、カラム処理部63内において隣接するアナログ−デジタル変換器に属するカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部40として用いることになる。
【0111】
尚、上述したCMOSイメージセンサ60のシステム構成は、一例であって、これに限られるものではない。例えば、データ格納部69をカラム処理部63の後段に配置し、カラム処理部63から出力される画素信号を、データ格納部69を経由して信号処理部68に供給するシステム構成であってもよい。あるいは又、カラム処理部63に対してデータ格納部69及び信号処理部68を並列的に設けるシステム構成であってもよい。
【0112】
[積層構造]
また、上記のCMOSイメージセンサ60では、画素アレイ部61と同じ半導体基板上に、アナログ−デジタル変換器631を含むカラム処理部63や、信号処理部68などの周辺回路部を形成した、所謂、平置構造のCMOSイメージセンサを例に挙げて説明したが、平置構造のCMOSイメージセンサへの適用に限られるものではない。すなわち、複数の半導体基板が互いに積層されて成る、所謂、積層構造のCMOSイメージセンサにも適用することができる。積層構造の一具体例としては、例えば
図14に示すように、画素アレイ部61が形成された半導体基板81と、アナログ−デジタル変換器631を含むカラム処理部63や、信号処理部68、データ格納部69等の周辺回路部が形成された半導体基板82とが積層されて成る積層構造を例示することができる。
【0113】
この積層構造のCMOSイメージセンサ60によれば、1層目の半導体基板81として画素アレイ部61を形成できるだけの大きさ(面積)のもので済むため、1層目の半導体基板81のサイズ(面積)、ひいては、チップ全体のサイズを小さくできる。更に、1層目の半導体基板81には画素の作成に適したプロセスを適用でき、2層目の半導体基板82には回路の作成に適したプロセスを適用できるため、CMOSイメージセンサ60の製造に当たって、プロセスの最適化を図ることができるメリットもある。
【0114】
尚、ここでは、2層の積層構造を例示したが、2層に限られるものではなく、3層以上の積層構造であってもよい。
【0115】
<本開示の電子機器>
上述した本開示の固体撮像素子は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、携帯電話機などの撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像素子を用いる複写機などの電子機器全般において、その撮像部(画像取込部)として用いることができる。尚、固体撮像素子はワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。電子機器に搭載される上記モジュール状の形態、即ち、カメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
【0116】
[撮像装置]
図15は、本開示の電子機器の一例である撮像装置の構成を示すブロック図である。
図15に示すように、本例に係る撮像装置100は、レンズ群等を含む撮像光学系101、撮像部102、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108等を有している。そして、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108がバスライン109を介して相互に接続された構成となっている。
【0117】
撮像光学系101は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像部102の撮像面上に結像する。撮像部102は、光学系101によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。DSP回路103は、一般的なカメラ信号処理、例えば、ホワイトバランス処理、デモザイク処理、ガンマ補正処理などを行う。
【0118】
フレームメモリ104は、DSP回路103での信号処理の過程で適宜データの格納に用いられる。表示装置105は、液晶表示装置や有機EL(electro luminescence)表示装置等のパネル型表示装置から成り、撮像部102で撮像された動画または静止画を表示する。記録装置106は、撮像部102で撮像された動画または静止画を、可搬型の半導体メモリや、光ディスク、HDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体に記録する。
【0119】
操作系107は、ユーザによる操作の下に、本撮像装置100が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源系108は、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、及び、操作系107の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0120】
上記の構成の撮像装置100において、撮像部102として、先述した本開示に係るCMOSイメージセンサ60を用いることができる。本開示に係るCMOSイメージセンサ60は、ランダムテレグラフノイズを低減できるため画質を向上できる。従って、撮像部102として、本開示に係るCMOSイメージセンサ60を用いることで、撮像画像の高画質化を図ることができる。
【0121】
また、本開示に係るCMOSイメージセンサ60は、ランダムテレグラフノイズの低減分を電流源トランジスタの縮小に充てることができるため、アナログ−デジタル変換器631の縮小化に伴ってカラム処理部63、ひいては、CMOSイメージセンサ60のチップサイズを縮小化できる。従って、撮像部102として、本開示に係るCMOSイメージセンサ60を用いることで、撮像部102を含む撮像光学系系の小型化に寄与できる。
【0122】
<本開示がとることができる構成>
尚、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
≪A.アナログ−デジタル変換器≫
[A−1]アナログ入力信号の値とフィードバック値との差分を積分する積分回路部、
積分回路部の出力をデジタル値に変換する量子化回路部、
量子化回路部の出力に応じてフィードバック値を生成する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部、及び、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と異なる第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を備え、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端、又は、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端が積分回路部の入力端に接続される、
アナログ−デジタル変換器。
[A−2]第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と同じアナログ−デジタル変換器内に設けられている、
上記[A−1]に記載のアナログ−デジタル変換器。
[A−3]積分回路部は、縦続接続された少なくとも2つの積分器から成り、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、積分回路部の1段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部であり、
第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、積分回路部の2段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部である、
上記[A−2]に記載のアナログ−デジタル変換器。
[A−4]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、その出力端を1段目の積分器に選択的に接続する第1のスイッチ素子、及び、2段目の積分器に選択的に接続する第2のスイッチ素子を有し、
第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、その出力端を2段目の積分器に選択的に接続する第3のスイッチ素子、及び、1段目の積分器に選択的に接続する第4のスイッチ素子を有する、
上記[A−3]に記載のアナログ−デジタル変換器。
[A−5]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第1のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第3のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続する第1の接続モード、及び、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第2のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第4のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続する第2の接続モードの切替え制御を行う制御回路部を有する、
上記[A−4]に記載のアナログ−デジタル変換器。
[A−6]制御回路部は、第1の接続モード及び第2の接続モードの切替え制御を、量子化回路部の量子化動作に同期して交互に行う、
上記[A−5]に記載のアナログ−デジタル変換器。
[A−7]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のうち、ランダムテレグラフノイズが小さい方の出力端が積分回路部の入力端に固定的に接続される、
上記[A−2]に記載のアナログ−デジタル変換器。
[A−8]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のスイッチ回路部分を、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部で共用する、
上記[A−7]に記載のアナログ−デジタル変換器。
[A−9]第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部が設けられたアナログ−デジタル変換器に隣接するアナログ−デジタル変換器内に設けられている、
上記[A−1]に記載のアナログ−デジタル変換器。
≪B.固体撮像素子≫
[B−1]光電変換部を含む単位画素が行列状に配置されて成る画素アレイ部、及び、
単位画素から出力されるアナログ画素信号をデジタル画素信号に変換するアナログ−デジタル変換器を含むカラム処理部を備え、
アナログ−デジタル変換器は、
アナログ画素信号の値とフィードバック値との差分を積分する積分回路部、
積分回路部の出力をデジタル値に変換する量子化回路部、
量子化回路部の出力に応じてフィードバック値を生成する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部、及び、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と異なる第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を備え、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端、又は、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端が積分回路部の入力端に接続される、
固体撮像素子。
[B−2]第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と同じアナログ−デジタル変換器内に設けられている、
上記[B−1]に記載の固体撮像素子。
[B−3]積分回路部は、縦続接続された少なくとも2つの積分器から成り、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、積分回路部の1段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部であり、
第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、積分回路部の2段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部である、
上記[B−2]に記載の固体撮像素子。
[B−4]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、その出力端を1段目の積分器に選択的に接続する第1のスイッチ素子、及び、2段目の積分器に選択的に接続する第2のスイッチ素子を有し、
第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、その出力端を2段目の積分器に選択的に接続する第3のスイッチ素子、及び、1段目の積分器に選択的に接続する第4のスイッチ素子を有する、
上記[B−3]に記載の固体撮像素子。
[B−5]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第1のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第3のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続する第1の接続モード、及び、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第2のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第4のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続する第2の接続モードの切替え制御を行う制御回路部を有する、
上記[B−4]に記載の固体撮像素子。
[B−6]制御回路部は、第1の接続モード及び第2の接続モードの切替え制御を、量子化回路部の量子化動作に同期して交互に行う、
上記[B−5]に記載の固体撮像素子。
[B−7]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のうち、ランダムテレグラフノイズが小さい方の出力端が積分回路部の入力端に固定的に接続される、
上記[B−4]に記載の固体撮像素子。
[B−8]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のスイッチ回路部分を、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部で共用する、
上記[B−7]に記載の固体撮像素子。
[B−9]第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、カラム処理部において隣接するアナログ−デジタル変換器内に設けられている、
上記[B−1]に記載の固体撮像素子。
[B−10]画素アレイ部が形成された半導体基板と、アナログ−デジタル変換器を含むカラム処理部が形成された半導体基板とが積層されて成る、
上記[B−1]乃至上記[B−9]のいずれかに記載の固体撮像素子。
≪C.電子機器≫
[C−1]光電変換部を含む単位画素が行列状に配置されて成る画素アレイ部、及び、
単位画素から出力されるアナログ画素信号をデジタル画素信号に変換するアナログ−デジタル変換器を含むカラム処理部を備え、
アナログ−デジタル変換器は、
アナログ画素信号の値とフィードバック値との差分を積分する積分回路部、
積分回路部の出力をデジタル値に変換する量子化回路部、
量子化回路部の出力に応じてフィードバック値を生成する第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部、及び、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と異なる第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部を備え、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端、又は、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端が積分回路部の入力端に接続される、
固体撮像素子を有する電子機器。
[C−2]第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部と同じアナログ−デジタル変換器内に設けられている、
上記[C−1]に記載の電子機器。
[C−3]積分回路部は、縦続接続された少なくとも2つの積分器から成り、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、積分回路部の1段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部であり、
第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、積分回路部の2段目の積分器にフィードバック値を与えるデジタル−アナログ変換部である、
上記[C−2]に記載の電子機器。
[C−4]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、その出力端を1段目の積分器に選択的に接続する第1のスイッチ素子、及び、2段目の積分器に選択的に接続する第2のスイッチ素子を有し、
第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、その出力端を2段目の積分器に選択的に接続する第3のスイッチ素子、及び、1段目の積分器に選択的に接続する第4のスイッチ素子を有する、
上記[C−3]に記載の電子機器。
[C−5]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第1のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第3のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続する第1の接続モード、及び、
第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第2のスイッチ素子を介して2段目の積分器に接続するとともに、第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部の出力端を、第4のスイッチ素子を介して1段目の積分器に接続する第2の接続モードの切替え制御を行う制御回路部を有する、
上記[C−4]に記載の電子機器。
[C−6]制御回路部は、第1の接続モード及び第2の接続モードの切替え制御を、量子化回路部の量子化動作に同期して交互に行う、
上記[C−5]に記載の電子機器。
[C−7]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のうち、ランダムテレグラフノイズが小さい方の出力端が積分回路部の入力端に固定的に接続される、
上記[C−4]に記載の電子機器。
[C−8]第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部のスイッチ回路部分を、第1のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部及び第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部で共用する、
上記[C−7]に記載の電子機器。
[C−9]第2のカレントステアリング型デジタル−アナログ変換部は、カラム処理部において隣接するアナログ−デジタル変換器内に設けられている、
上記[C−1]に記載の電子機器。
[C−10]画素アレイ部が形成された半導体基板と、アナログ−デジタル変換器を含むカラム処理部が形成された半導体基板とが積層されて成る、
上記[C−1]乃至上記[C−9]のいずれかに記載の電子機器。