(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前段パッキンが、略方形枠状のパッキン基部と、前記パッキン基部における前記嵌合面と対向する基部表面に小径基端部が接続されるとともに前記小径基端部と反対側を拡径先端部として前記嵌合面に当接するリップ部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタの防水シール構造。
前記リップ部が、前記嵌合ガイドリブよりも外側へ湾曲して前記嵌合ガイドリブとの接触を避ける外側湾曲部を有することを特徴とする請求項4に記載のコネクタの防水シール構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコネクタの防水シール構造は、水の浸入経路に泥を含んだ泥水Wmが浸入した後、雌ハウジング501と雄ハウジング503の結合を解除すると、雌フード内壁513及び雄フード内壁505に付着した泥が剥がれ落ちることがあった。剥がれ落ちた泥は、コネクタの再結合時に、パッキン509に付着することで防水性の低下、及びコネクタ内部に侵入することで端子間の導通不良を発生させる問題があった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、雌雄コネクタの結合解除及び再結合に際し、異物の侵入を抑制できるコネクタの防水シール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 一方のハウジングに形成され、コネクタ嵌合方向に垂直な嵌合面に凹設された周溝と、前記一方のハウジングに嵌合する他方のハウジングに形成され、前記周溝に突出先端側から挿入される嵌合筒部と、前記周溝の溝底に配置され前記周溝の周溝内側周面と前記嵌合筒部の筒部内周面との間を水密にシールする環状のパッキンと、前記嵌合筒部の基端外周部に外嵌され、前記周溝の外側の前記嵌合面に水密に接して前記嵌合筒部の筒部外周面と前記筒部外周面が対向する前記周溝の周溝外側周面との間を前記周溝の溝入口で封鎖する前段パッキンと、を備えることを特徴とするコネクタの防水シール構造。
【0008】
上記(1)の構成のコネクタの防水シール構造によれば、一方のハウジングと他方のハウジングとが結合されると、一方のハウジングの嵌合面に凹設された周溝に、他方のハウジングの嵌合筒部が挿入される。そして、両ハウジングが結合されると、周溝の溝底に設けられたパッキンが、嵌合筒部の筒部内周面に水密に接する。これにより、周溝内側周面と筒部内周面との間が、周溝のほぼ溝底においてパッキンにより水密にシールされる。
このパッキンによる止水部は、溝底であるため、溝入口から離間している。即ち、溝入口から溝底の止水部に至る筒部外周面と周溝外側周面との間には、コネクタ嵌合解除方向に摺接する摺接間隙が存在する。この摺接間隙は、筒部外周面と周溝外側周面とが触れるのみの接触のため、止水作用は有しない。従って、泥水は、仮に溝入口から摺接間隙に入ると、パッキンを設けた溝底の止水部まで浸入する。パッキンよりも内方の筒部内周面と周溝内側周面との間は、パッキンにより止水されてそれ以上の水の侵入は阻止される。
本構成のコネクタの防水シール構造では、嵌合筒部の基端外周部に、前段パッキンが外嵌されている。この基端外周部は、コネクタの結合時、周溝の外側となって溝入口に位置する。前段パッキンは、一方のハウジングの周溝よりも外側の嵌合面に水密に接する。つまり、前段パッキンは、周溝の溝入口において、嵌合筒部の筒部外周面と周溝の周溝外側周面との間(即ち、摺接間隙)を封鎖する。これにより、パッキンが設けられている止水部に至る経路となる摺接間隙にも、水や泥水が浸入しなくなる。
このように、本構成のコネクタの防水シール構造では、水や泥水が、周溝の溝入口に位置する前段パッキンで止水されるので、溝底の止水部に至る摺接間隙が、泥水が浸入しないきれいなままの遮水領域となる。このため、摺接間隙では、浸入した泥水が乾くことによる泥の剥離が生じない。従って、一方のハウジングと他方のハウジングとの結合が解除され、周溝から嵌合筒部が抜去される際においても、筒部外周面や周溝外側周面に付着した泥が脱落し、パッキンに付着したり、端子間に侵入したりすることがない。その結果、本構成のコネクタの防水シール構造は、雌雄コネクタの結合解除及び再結合時に、異物の侵入を抑制することができる。
【0009】
(2) 前記前段パッキンが、前記嵌合筒部の基端外周部に対して着脱自在に装着されることを特徴とする上記(1)に記載のコネクタの防水シール構造。
【0010】
上記(2)の構成のコネクタの防水シール構造によれば、前段パッキンが、嵌合筒部の基端外周部に対して着脱自在に装着される。これにより、コネクタは、使用状況(仕様)に応じて前段パッキンを設けないタイプと、前段パッキンを備えるタイプとの製品バリエーションを持つことができる。その結果、例えば、通常の雨水や結露水のみが止水できればよい使用状況(仕様)であれば、前段パッキンを省略することにより、コネクタ重量や製品コストを低減することができる。一方、泥水などの浸入が考えられる使用状況(仕様)では、前段パッキンを装備することにより、結合解除及び再結合を繰り返した際の異物の侵入を抑制した高信頼性のコネクタとすることができる。
【0011】
(3) 前記前段パッキンが、略方形枠状のパッキン基部と、前記パッキン基部における前記嵌合面と対向する基部表面に小径基端部が接続されるとともに前記小径基端部と反対側を拡径先端部として前記嵌合面に当接するリップ部と、を有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のコネクタの防水シール構造。
【0012】
上記(3)の構成のコネクタの防水シール構造によれば、前段パッキンが、略方形枠状のパッキン基部と、このパッキン基部における嵌合面と対向する基部表面に形成されたリップ部とからなる。リップ部は、小径基端部がパッキン基部に接続されるとともに、この小径基端部と反対側が拡径先端部となる。前段パッキンは、パッキン基部が、他方のハウジングの嵌合筒部突出面に平行に重ねて装着される。
パッキン基部の基部表面から突出する拡径先端部は、嵌合筒部の基端外周部を包囲しつつ一方のハウジングの嵌合面に向かって末広がりに拡開した環状となる。このリップ部の拡径先端部は、コネクタが結合されることにより、一方のハウジングの嵌合面から押圧されて小径基端部に接近する方向に弾性変形し、嵌合面に水密に接する。
拡径先端部を嵌合面に接触させた前段パッキンは、嵌合筒部の中心軸を含みかつ嵌合面に垂直な断面において、嵌合筒部の半径方向外側に開いた断面略U字状の形状となる。これにより、前段パッキンは、外方から水や泥水による水圧が加わった際においても、リップ部の拡径先端部がパッキン基部との間隔が拡がる方向に弾性変形する。その結果、リップ部は、拡径先端部がより大きな力で一方のハウジングの嵌合面に接することとなり、浸入水の水圧増加に伴ってシール面の接触圧を増加させることができる信頼性の高い止水構造を構成できる。
【0013】
(4) 前記周溝外側周面にコネクタ嵌合方向に延在して形成される嵌合ガイド溝と、前記筒部外周面にコネクタ嵌合方向に延在して突設され、前記嵌合ガイド溝に挿入される嵌合ガイドリブと、を備え、前記嵌合ガイドリブにおける前段パッキン側のリブ端部が、前記パッキン基部における前記嵌合面と対向する基部表面に当接することを特徴とする上記(3)に記載のコネクタの防水シール構造。
【0014】
上記(4)の構成のコネクタの防水シール構造によれば、一方のハウジングの周溝外側周面に、嵌合ガイド溝が形成される。また、他方のハウジングの筒部外周面に、嵌合ガイドリブが形成される。これら嵌合ガイド溝及び嵌合ガイドリブは、コネクタ嵌合方向に延在して形成されることにより、コネクタ嵌合時のガイド機構となる。このうち、嵌合筒部の筒部外周面に設けられた嵌合ガイドリブは、前段パッキン側のリブ端部が、嵌合筒部突出面に凹設されているパッキン台座部の直前に位置する。これにより、パッキン台座部に装着された前段パッキンのパッキン基部は、基部表面がリブ端部に当接する。基部表面がリブ端部に当接した前段パッキンのパッキン基部は、パッキン台座部からの容易な離脱が規制される。本構成のコネクタの防水シール構造では、嵌合時のガイド機構である嵌合ガイドリブを有効利用して、前段パッキンを着脱自在な構造の下で確実に保持することができる。
【0015】
(5) 前記リップ部が、前記嵌合ガイドリブよりも外側へ湾曲して前記嵌合ガイドリブとの接触を避ける外側湾曲部を有することを特徴とする上記(4)に記載のコネクタの防水シール構造。
【0016】
上記(5)の構成のコネクタの防水シール構造によれば、リップ部が、嵌合ガイドリブを避けるための外側湾曲部を有する。前段パッキンは、基部表面にリップ部の小径基端部が接続して形成される。リップ部は、外側湾曲部が形成される位置で、基部表面に接続される小径基端部の位置が外側にずれる。リップ部は、この外側湾曲部により外側へずれることで、嵌合ガイドリブとの干渉が回避される。また、小径基端部が外側にずれた外側湾曲部の内側には、パッキン基部の基部表面が大きく表出する。この表出したパッキン基部の基部表面には、嵌合ガイドリブのリブ端部が当接する。即ち、本構成の前段パッキンは、外側湾曲部をリップ部に設けることにより、嵌合ガイドリブに対するリップ部の干渉を回避しつつ、大きく表出させたパッキン基部の基部表面をリブ端部に係止させて、止水性と保持性の双方を確保することができる。
【0017】
(6) 前記パッキン基部が、前記外側湾曲部の位置で更に外側に突出する凸片部を有し、前記パッキン基部が当接する前記他方のハウジングの嵌合筒部突出面には、前記凸片部の突出先端面を表出させる治具挿入凹部が形成されることを特徴とする上記(5)に記載のコネクタの防水シール構造。
【0018】
上記(6)の構成のコネクタの防水シール構造によれば、他方のハウジングの嵌合筒部突出面に、凸片部の突出先端面を表出させる治具挿入凹部が設けられる。前段パッキンは、パッキン基部の基部表面が嵌合筒部突出面と面一となって装着されるが、治具挿入凹部が設けられることにより、この治具挿入凹部において凸片部の突出先端面を表出させることができる。これにより、前段パッキンは、治具挿入凹部に挿入した先細の治具を凸片部とパッキン台座部との間に差し込んで、交換時等における前段パッキンの容易な脱着を可能にすることができる。
【0019】
(7) 前記一方のハウジングが、カム溝を有して回動自在なレバーを備え、前記他方のハウジングが、前記レバーの回転により前記カム溝に引き寄せられるカム軸を備え、前記カム軸が、前記嵌合筒部における前記筒部外周面と離間して平行に形成されたカム軸支持板部に垂設されることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のコネクタの防水シール構造。
【0020】
上記(7)の構成のコネクタの防水シール構造によれば、一方のハウジングに回動自在に設けられたレバーに、カム溝が形成される。このカム溝には、他方のハウジングに設けられたカム軸が挿入される。即ち、一方のハウジングと他方のハウジングとが、レバー式コネクタとして構成される。レバー式コネクタは、レバーが回転されることにより、カム溝によりカム軸が引き寄せられ、梃子の作用により低挿入力で結合が可能となる。本構成のレバー式コネクタでは、カム軸が、他方のハウジングの筒部外周面と離間して平行に形成されたカム軸支持板部に垂設されることで、カム軸の下端と筒部外周面との間には、間隙が形成される。この間隙は、前段パッキンを嵌合筒部に外嵌する際に、前段パッキンとカム軸との干渉を回避するための間隙となる。これにより、嵌合筒部に前段パッキンを外嵌するに際し、カム軸を乗り越えたりせずに前段パッキンを容易に装着でき、前段パッキンの過剰な変形や、傷付きを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコネクタの防水シール構造によれば、雌雄コネクタの結合解除及び再結合に際し、異物の侵入を抑制できる。
【0022】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタの防水シール構造を備えるコネクタの分解斜視図である。
本実施形態に係るコネクタは、防水シール構造を有したレバー式コネクタ17を一例として説明する。レバー式コネクタ17は、互いに結合する一方のハウジングと、他方のハウジングとからなる。本実施形態において、一方のハウジングは雌ハウジング19を一例として説明し、他方のハウジングは雄ハウジング21を一例として説明する。
【0025】
本実施形態のコネクタの防水シール構造は、雌ハウジング19に形成された周溝11(
図7参照)と、雄ハウジング21に形成された嵌合筒部である雄フード39と、周溝11の溝底75に配置されるパッキン13(
図7参照)と、雄フード39の基端外周部69に外嵌される前段パッキン15(
図4)とを主要な構成として有している。
【0026】
レバー式コネクタ17は、雌ハウジング19に回動可能に設けられたレバー23を回動操作することで、雄ハウジング21に対する嵌合及び離脱を補助する。レバー23は、一対のアーム部25と、アーム部25を連結する連結部27とを有する断面略U字状に形成されている。レバー23が雌ハウジング19に組み付けられる際には、一対のアーム部25が弾性を利用して外側に広げられながら、それぞれのアーム部25に形成されたボス嵌合孔29が雌ハウジング19の両外側面に形成されたボス部31に挿通されて、回動可能とされる。
【0027】
アーム部25の外面には、アーム部25の縁部からボス嵌合孔29の近傍に達するカム溝33が形成されている。カム溝33は、その一端がアーム部25の縁部で開放されている。このカム溝33には、開放された一端側から雄ハウジング21に形成されたカム軸35が挿入される。
【0028】
カム軸35は、雄ハウジング21に形成されるカム軸支持板部37に形成される。カム軸支持板部37は、雄フード39の筒部外周面41と離間して平行に形成される。カム軸35は、筒部外周面41に対向するカム軸支持板部37の対向面から、筒部外周面41に向かって垂直に垂設される。カム軸35の下端と、筒部外周面41との間には、間隙43(
図7参照)が形成される。この間隙43は、前段パッキン15を装着する際に、前段パッキン15とカム軸35との干渉を回避するための間隙となっている。
【0029】
図2は、一方のハウジングである雌ハウジング19と他方のハウジングである雄ハウジング21が結合した状態の斜視図である。
雌ハウジング19は、雄ハウジング21と嵌合が開始されると、アーム部25のカム溝33に、雄ハウジング21のカム軸35が挿入される。レバー式コネクタ17は、この状態で連結部27を把持してボス部31を回動中心にレバー23を
図2の反時計回りに回転することで、梃子の作用によりカム軸35をカム溝33の奥側へ移動させながら、低挿入力で雌ハウジング19と雄ハウジング21とを結合することができる。また、レバー式コネクタ17は、結合解除時、レバー23を
図2の時計回りに回転することで、同様に梃子の作用によりカム軸35をカム溝33の開口側へ移動させながら、低解除力で雌ハウジング19と雄ハウジング21との結合を解除することができる。
【0030】
図3は、
図1に示した一方のハウジングである雌ハウジング19を嵌合面側から見た斜視図である。
雌ハウジング19は、嵌合側の面に、複数の端子収容室45(
図2参照)の相手端子受入口47が縦横に配列されている。これら複数の端子収容室45は、
図3の横方向に長い略長方形の雌側ブロック部49に集合して形成されている。この雌側ブロック部49は、外方が雌フード51により隙間を有して包囲されている。雌側ブロック部49と雌フード51との間に形成される環状の隙間は、周溝11となっている。雌フード51は、コネクタ嵌合方向に垂直な雌フード先端に、嵌合面53を有する。本実施形態において、嵌合面53は、雌フード先端から環状に掘り下げられた凹状のシール面として形成される。このシール面には、前段パッキン15のリップ部55が接する。
従って、周溝11は、雌ハウジング19に形成され、コネクタ嵌合方向に垂直な嵌合面53に凹設されている。
【0031】
周溝11は、周溝外側周面57に、コネクタ嵌合方向に延在して形成される嵌合ガイド溝59を有する。
なお、周溝11は、溝を挟んで周溝外側周面57の対向側が、周溝内側周面61(
図7参照)となる。本実施形態において、コネクタ嵌合解除方向(
図7の左右方向)の周溝11の長さは、周溝外側周面57よりも周溝内側周面61が短く形成されている。つまり、雌側ブロック部49の嵌合側先端面は、雌フード先端よりも奥側に後退して配置されている。
【0032】
図4は、前段パッキン15が取り外された他方のハウジングである雄ハウジング21の分解斜視図である。
雄ハウジング21は、嵌合側の面に、複数の雄端子(図示せず)を縦横に突出させた雄側ブロック部65を有している。雄側ブロック部65は、外方が雄フード(嵌合筒部)39により隙間を有して包囲される。
雄フード39は、雌ハウジング19の周溝11に、突出先端側から挿入される。
【0033】
雄フード39は、筒部外周面41に、コネクタ嵌合方向に延在して突設される複数の嵌合ガイドリブ67を有する。嵌合ガイドリブ67は、雌ハウジング19の嵌合ガイド溝59に挿入される。レバー式コネクタ17は、雌ハウジング19の嵌合ガイド溝59に、雄ハウジング21の嵌合ガイドリブ67を挿入することにより、嵌合開始位置の位置決めが可能となり、その後の嵌合に円滑に移行できるように構成されている。
雄ハウジング21は、雄フード39の基端外周部69に、環状の前段パッキン15が外嵌される。この前段パッキン15については、後述する。
【0034】
図5は、
図2の結合されたコネクタを一方のハウジングである雌ハウジング19側から見た正面図である。
雌ハウジング19と雄ハウジング21とが結合されたレバー式コネクタ17は、
図5に示すように雌ハウジング側から見ると、雄ハウジング21の左右方向に向かって固定用フランジ部71が突出している。固定用フランジ部71にはボルト挿通孔73が穿設されている。雄ハウジング21は、ボルト挿通孔73にボルトが挿通され、例えば、車両に配置された筐体等にボルト締めにより固定されている。
【0035】
図6は、
図5のA−A断面図である。
雌ハウジング19と雄ハウジング21とが結合されたレバー式コネクタ17は、
図6に示すように、雌ハウジング19の周溝11に、雄ハウジング21の雄フード39が挿入される。周溝11に挿入された雄フード39は、周溝11の溝底75に設けられたパッキン13に接する。
【0036】
パッキン13は、例えばゴム等の弾性材料により環状に形成される。パッキン13は、周溝11の溝底75に配置され、周溝11の周溝内側周面61と雄フード39の筒部内周面77との間を水密にシールする。
【0037】
図7は、
図6のB部拡大図である。
一方、雄フード39の基端外周部69には、上記した前段パッキン15が外嵌される。前段パッキン15は、例えばゴム等の弾性材料により環状に形成される。前段パッキン15は、周溝11の外側の嵌合面53に水密に接して、雄フード39の筒部外周面41と、この筒部外周面41が対向する周溝11の周溝外側周面57との間を、周溝11の溝入口79で封鎖する。
【0038】
本実施形態において、前段パッキン15は、雄フード39の基端外周部69に、着脱自在となって装着される。
図4に示すように、前段パッキン15は、略方形枠状のパッキン基部81と、リップ部55とを有する。リップ部55は、パッキン基部81における嵌合面53と対向する基部表面89に小径基端部83が接続される。リップ部55は、小径基端部83と反対側が拡径先端部85となる。前段パッキン15は、レバー式コネクタ17が結合すると、リップ部55の拡径先端部85が、雌ハウジング19の嵌合面53に当接する。
【0039】
雄フード39に形成された上記の嵌合ガイドリブ67は、前段パッキン側のリブ端部87(
図4参照)が、パッキン基部81における嵌合面53と対向する基部表面89(
図4参照)に当接する。これにより、前段パッキン15は、筒部外周面41からの容易な脱落が規制される。
【0040】
リップ部55は、嵌合ガイドリブ67よりも外側へ湾曲して嵌合ガイドリブ67との接触を避ける外側湾曲部91(
図4参照)を有する。これにより、リップ部55は、嵌合ガイドリブ67と干渉しないように構成されている。
【0041】
パッキン基部81は、外側湾曲部91の位置で更に外側に突出する凸片部93を有している。また、パッキン基部81が当接する雄ハウジング21の嵌合筒部突出面95(
図4参照)には、凸片部93の突出先端面97を表出させる治具挿入凹部99が形成される。
【0042】
嵌合筒部突出面95には、雄フード39を包囲して環状に形成された凹溝状のパッキン台座部101(
図4参照)が形成される。パッキン台座部101の深さは、パッキン基部81の厚みと同一となる。従って、パッキン基部81がパッキン台座部101に装着された前段パッキン15は、パッキン基部81の基部表面89が嵌合筒部突出面95と面一となる。
【0043】
次に、上記した本実施形態に係るコネクタの防水シール構造の作用を説明する。
本実施形態に係るコネクタの防水シール構造では、雌ハウジング19と雄ハウジング21とが結合されると、雌ハウジング19の嵌合面53に凹設された周溝11に、雄ハウジング21の雄フード39が挿入される。そして、レバー式コネクタ17が結合されると、周溝11の溝底75に設けられたパッキン13が、雄フード39の筒部内周面77に水密に接する。これにより、周溝内側周面61と筒部内周面77との間が、周溝11のほぼ溝底75においてパッキン13により水密にシールされる。
【0044】
このパッキン13による止水部は、溝底75であるため、溝入口79から離間している。即ち、溝入口79から溝底75の止水部に至る筒部外周面41と周溝外側周面57との間には、コネクタ嵌合解除方向に摺接する摺接間隙が存在する。この摺接間隙は、筒部外周面41と周溝外側周面57とが触れるのみの接触のため、止水作用は有しない。従って、泥水Wm(
図7参照)は、仮に溝入口79から摺接間隙に入ると、パッキン13を設けた溝底75の止水部まで浸入する。パッキン13よりも内方の筒部内周面77と周溝内側周面61との間は、パッキン13により止水されてそれ以上の水の侵入は阻止される。
【0045】
本実施形態のコネクタの防水シール構造では、雄フード39の基端外周部69に、前段パッキン15が外嵌されている。この基端外周部69は、レバー式コネクタ17の結合時、周溝11の外側となって溝入口79に位置する。前段パッキン15は、雌ハウジング19の周溝11よりも外側の嵌合面53に水密に接する。つまり、前段パッキン15は、周溝11の溝入口79において、雄フード39の筒部外周面41と周溝11の周溝外側周面57との間(即ち、摺接間隙)を封鎖する。これにより、パッキン13が設けられている止水部に至る経路となる摺接間隙にも、水や泥水Wmが浸入しなくなる。
【0046】
このように、本実施形態のコネクタの防水シール構造では、水や泥水Wmが、周溝11の溝入口79に位置する前段パッキン15で止水されるので、溝底75の止水部に至る摺接間隙が、泥水Wmが浸入しないきれいなままの遮水領域となる。このため、摺接間隙では、浸入した泥水Wmが乾くことによる泥の剥離が生じない。従って、雌ハウジング19と雄ハウジング21との結合が解除され、周溝11から雄フード39が抜去される際においても、筒部外周面41や周溝外側周面57に付着した泥が脱落し、パッキン13に付着したり、端子間に侵入したりすることがない。その結果、本実施形態のコネクタの防水シール構造は、雌雄コネクタの結合解除及び再結合時に、異物の侵入を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態のコネクタの防水シール構造では、前段パッキン15が、雄フード39の基端外周部69に対して着脱自在に装着される。これにより、レバー式コネクタ17は、使用状況(仕様)に応じて前段パッキン15を設けないタイプと、前段パッキン15を備えるタイプとの製品バリエーションを持つことができる。その結果、例えば、通常の雨水や結露水のみが止水できればよい使用状況(仕様)であれば、前段パッキン15を省略することにより、コネクタ重量や製品コストを低減することができる。一方、泥水Wmなどの浸入が考えられる使用状況(仕様)では、前段パッキン15を装備することにより、結合解除及び再結合を繰り返した際の異物の侵入を抑制した高信頼性のレバー式コネクタ17とすることができる。
【0048】
また、本実施形態のコネクタの防水シール構造では、前段パッキン15が、略方形枠状のパッキン基部81と、このパッキン基部81における嵌合面53と対向する基部表面89に形成されたリップ部55とからなる。リップ部55は、小径基端部83がパッキン基部81に接続されるとともに、この小径基端部83と反対側が拡径先端部85となる。前段パッキン15は、パッキン基部81が、雄ハウジング21の嵌合筒部突出面95に平行に重ねて装着される。
【0049】
パッキン基部81の基部表面89から突出する拡径先端部85は、雄フード39の基端外周部69を包囲しつつ雌ハウジング19の嵌合面53に向かって末広がりに拡開した環状となる。このリップ部55の拡径先端部85は、レバー式コネクタ17が結合されることにより、雌ハウジング19の嵌合面53から押圧されて小径基端部83に接近する方向に弾性変形し、嵌合面53に水密に接する。
【0050】
拡径先端部85を嵌合面53に接触させた前段パッキン15は、雄フード39の中心軸を含みかつ嵌合面53に垂直な断面において、雄フード39の半径方向外側に開いた断面略U字状の形状となる。これにより、前段パッキン15は、外方から水や泥水Wmによる水圧が加わった際においても、リップ部55の拡径先端部85がパッキン基部81との間隔が拡がる方向に弾性変形する。その結果、リップ部55は、拡径先端部85がより大きな力で雌ハウジング19の嵌合面53に接することとなり、浸入水の水圧増加に伴ってシール面に対するリップ部55の接触圧を増加させることができる信頼性の高い止水構造を構成できる。
【0051】
また、本実施形態のコネクタの防水シール構造では、雌ハウジング19の周溝外側周面57に、嵌合ガイド溝59が形成される。また、雄ハウジング21の筒部外周面41に、嵌合ガイドリブ67が形成される。これら嵌合ガイド溝59及び嵌合ガイドリブ67は、コネクタ嵌合方向に延在して形成されることにより、コネクタ嵌合時のガイド機構となる。このうち、雄フード39の筒部外周面41に設けられた嵌合ガイドリブ67は、前段パッキン側のリブ端部87が、嵌合筒部突出面95に凹設されているパッキン台座部101の直前に位置する。これにより、パッキン台座部101に装着された前段パッキン15のパッキン基部81は、基部表面89がリブ端部87に当接する。基部表面89がリブ端部87に当接した前段パッキン15のパッキン基部81は、パッキン台座部101からの容易な離脱が規制される。本実施形態のコネクタの防水シール構造では、嵌合時のガイド機構である嵌合ガイドリブ67を有効利用して、前段パッキン15を着脱自在な構造の下で確実に保持することができる。
【0052】
また、本実施形態のコネクタの防水シール構造では、リップ部55が、嵌合ガイドリブ67を避けるための外側湾曲部91を有する。前段パッキン15は、基部表面89にリップ部55の小径基端部83が接続して形成される。リップ部55は、外側湾曲部91が形成される位置で、基部表面89に接続される小径基端部83の位置が外側にずれる。リップ部55は、この外側湾曲部91により外側へずれることで、嵌合ガイドリブ67との干渉が回避される。また、小径基端部83が外側にずれた外側湾曲部91の内側には、パッキン基部81の基部表面89が大きく表出する。この表出したパッキン基部81の基部表面89には、嵌合ガイドリブ67のリブ端部87が当接する。即ち、本実施形態の前段パッキン15は、外側湾曲部91をリップ部55に設けることにより、嵌合ガイドリブ67に対するリップ部55の干渉を回避しつつ、大きく表出させたパッキン基部81の基部表面89をリブ端部87に係止させて、止水性と保持性の双方を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態のコネクタの防水シール構造では、雄ハウジング21の嵌合筒部突出面95に、凸片部93の突出先端面97を表出させる治具挿入凹部99が設けられる。前段パッキン15は、パッキン基部81の基部表面89が嵌合筒部突出面95と面一となって装着されるが、治具挿入凹部99が設けられることにより、この治具挿入凹部99において凸片部93の突出先端面97を表出させることができる。これにより、前段パッキン15は、治具挿入凹部99に挿入した先細の治具を凸片部93とパッキン台座部101との間に差し込んで、交換時等における前段パッキン15の容易な脱着を可能にすることができる。
【0054】
更に、本実施形態のコネクタの防水シール構造では、雌ハウジング19に回動自在に設けられたレバー23に、カム溝33が形成される。このカム溝33には、雄ハウジング21に設けられたカム軸35が挿入される。即ち、雌ハウジング19と雄ハウジング21とが、レバー式コネクタ17として構成される。レバー式コネクタ17は、レバー23が回転されることにより、カム溝33によりカム軸35が引き寄せられ、梃子の作用により低挿入力で結合が可能となる。本構成のレバー式コネクタ17では、カム軸35が、雄ハウジング21の筒部外周面41と離間して平行に形成されたカム軸支持板部37に垂設されることで、カム軸35の下端と筒部外周面41との間には、間隙43が形成される。この間隙43は、前段パッキン15を雄フード39に外嵌する際に、前段パッキン15とカム軸35との干渉を回避するための間隙となる。これにより、雄フード39に前段パッキン15を外嵌するに際し、カム軸35を乗り越えたりせずに前段パッキン15を容易に装着でき、前段パッキン15の過剰な変形や、傷付きを防止することができる。
【0055】
従って、本実施形態に係るコネクタの防水シール構造によれば、雌雄コネクタの結合解除及び再結合に際し、異物の侵入を抑制できる。
【0056】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
ここで、上述した本発明に係るコネクタの防水シール構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 一方のハウジング(雌ハウジング19)に形成され、コネクタ嵌合方向に垂直な嵌合面(53)に凹設された周溝(11)と、
前記一方のハウジングに嵌合する他方のハウジング(雄ハウジング21)に形成され、前記周溝に突出先端側から挿入される嵌合筒部(雄フード39)と、
前記周溝の溝底(75)に配置され前記周溝の周溝内側周面(61)と前記嵌合筒部の筒部内周面(77)との間を水密にシールする環状のパッキン(13)と、
前記嵌合筒部の基端外周部(69)に外嵌され、前記周溝の外側の前記嵌合面に水密に接して前記嵌合筒部の筒部外周面(41)と前記筒部外周面が対向する前記周溝の周溝外側周面(57)との間を前記周溝の溝入口(79)で封鎖する前段パッキン(15)と、
を備えることを特徴とするコネクタの防水シール構造。
[2] 前記前段パッキン(15)が、前記嵌合筒部(雄フード39)の前記基端外周部(69)に対して着脱自在に装着されることを特徴とする上記[1]に記載のコネクタの防水シール構造。
[3] 前記前段パッキン(15)が、略方形枠状のパッキン基部(81)と、前記パッキン基部における前記嵌合面(53)と対向する基部表面(89)に小径基端部(83)が接続されるとともに前記小径基端部と反対側を拡径先端部(85)として前記嵌合面に当接するリップ部(55)と、を有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載のコネクタの防水シール構造。
[4] 前記周溝外側周面(57)にコネクタ嵌合方向に延在して形成される嵌合ガイド溝(59)と、
前記筒部外周面(41)にコネクタ嵌合方向に延在して突設され、前記嵌合ガイド溝に挿入される嵌合ガイドリブ(67)と、
を備え、
前記嵌合ガイドリブにおける前記前段パッキン側のリブ端部(87)が、前記パッキン基部(81)における前記嵌合面(53)と対向する基部表面(89)に当接することを特徴とする上記[3]に記載のコネクタの防水シール構造。
[5] 前記リップ部(55)が、前記嵌合ガイドリブ(67)よりも外側へ湾曲して前記嵌合ガイドリブとの接触を避ける外側湾曲部(91)を有することを特徴とする上記[4]に記載のコネクタの防水シール構造。
[6] 前記パッキン基部(81)が、前記外側湾曲部(91)の位置で更に外側に突出する凸片部(93)を有し、
前記パッキン基部が当接する前記他方のハウジング(雄ハウジング21)の嵌合筒部突出面(95)には、前記凸片部の突出先端面(97)を表出させる治具挿入凹部(99)が形成されることを特徴とする上記[5]に記載のコネクタの防水シール構造。
[7] 前記一方のハウジング(雌ハウジング19)が、カム溝(33)を有して回動自在なレバー(23)を備え、
前記他方のハウジング(雄ハウジング21)が、前記レバーの回転により前記カム溝に引き寄せられるカム軸(35)を備え、
前記カム軸が、前記嵌合筒部(雄フード39)における前記筒部外周面(41)と離間して平行に形成されたカム軸支持板部(37)に垂設されることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のコネクタの防水シール構造。