特許第6953510号(P6953510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953510
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】吹付けランスチップ
(51)【国際特許分類】
   C21C 5/46 20060101AFI20211018BHJP
   C21C 7/072 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   C21C5/46 101
   C21C7/072 A
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-505284(P2019-505284)
(86)(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公表番号】特表2019-513905(P2019-513905A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2017058973
(87)【国際公開番号】WO2017178606
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2020年1月30日
(31)【優先権主張番号】2016/5263
(32)【優先日】2016年4月15日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】518362878
【氏名又は名称】ソウドビーム エスエイ
【氏名又は名称原語表記】SOUDOBEAM SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】ジーン−フィリップ トーマス
【審査官】 藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−524437(JP,A)
【文献】 特表平11−508324(JP,A)
【文献】 特開平10−280026(JP,A)
【文献】 特開平01−312023(JP,A)
【文献】 実開昭54−154302(JP,U)
【文献】 韓国登録特許第10−1117262(KR,B1)
【文献】 米国特許第06217824(US,B1)
【文献】 独国特許出願公開第19506718(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 5/00
C21C 5/28−5/50
C21C 7/00−7/10
F27D 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴撹拌用に意図された吹付けランスチップ(1)であって、
−少なくとも2つの開口(4)を備えた第1の前壁(3)によって、浴に向けて曲げられた端部で閉鎖された、攪拌気体を供給するための中央管(2)と、
−冷却液の流路のための第1の環状空洞(6)を中央管(2)とともに形成し、中央開口(8)と、前記第1の前壁(3)に設けられた開口(4)1つ当たり1つの流路オリフィス(9)とを有し、セパレータ(7)と称される第2の前壁により、浴に向けて曲げられた一方の端部で終端する内部管(5)と、
−冷却液の流路のための第2の環状空洞(11)を内部管(5)とともに形成し、前記第1の前壁(3)に設けられた開口(4)1つ当たり1つの出口オリフィス(13)を有し、前記中央開口(8)に向けられ、軸線方向断面において湾曲した包絡面を有する中央テーパ領域(14)を備える内面(30)を有する第3の前壁(12)によって、浴に向けて曲げられた端部で閉鎖された外部管(10)と、
−一方では前記セパレータ(7)と前記第3の前壁(12)との間に位置し、他方では前記中央開口(8)と前記第2の環状空洞(11)との間に位置し、冷却液が流れる熱交換空間(16)と、
−前記第1の前壁(3)の各開口(4)を出て、前記対応する流路オリフィス(9)を液密に通過して前記対応する出口オリフィス(13)にまで到達する、インジェクタ(17)と称される、攪拌気体用の出口導管とを備えるランスチップ(1)において、
前記セパレータ(7)は軸線方向断面において中央開口(8)に湾曲した縁部(18)を有し、高さ(H3)が前記縁部(18)の前部(19)と前記第3の前壁(12)との間に画定され、熱交換空間(16)において、所定の最小高さ(H1)が前記中央開口(8)の側に存在し、比H1/H3が、5%と80%との間であり、
前記セパレータ(7)は、浴(20)に向けて曲げられた正弦波状の表面を有し、前記熱交換空間が前記セパレータの中心に最大の高さHmaxを有することを特徴とするランスチップ。
【請求項2】
冷却液の流路の距離Rを、セパレータ(7)の縁部(18)の前記前部(19)とチップの長手方向軸線Lとの間でチップの長手方向軸線Lに垂直に取って、前記流路距離Rは、比R/H3が20%と150%の間である、請求項1に記載のランスチップ。
【請求項3】
ランスチップは所定の外径Dextを有し、前記セパレータ(7)の縁部(18)は、前記第1の前壁に向けて曲げられた面と浴に向けて曲げられた面との間の、インジェクタ(17)の回転軸線に平行に取られた厚さ(e1)によって画定され、比e1/Dextが5%と30%の間である、請求項1または2に記載のランスチップ。
【請求項4】
浴の反対側に位置する第1の端部(E1)と、第3の前壁(12)の内面(30)の中央領域(14)に連結された、浴に向けて曲げられた第2の端部(E2)とを備えるピラー(22)を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載のランスチップ。
【請求項5】
ピラー(22)は、中央領域(14)に連結された第1端部と第2端部(E1とE2)の間に薄肉部(I)を有し、薄肉部(I)は、所定の長さL1と、ピラー(22)が第3の前壁(12)の内面(30)の中央領域(14)とともに、連続した湾曲部(23)を形成するように減少する軸線方向断面を有する、請求項4に記載のランスチップ。
【請求項6】
ピラー(22)の前記薄肉部Iは、前記第2の端部(E2)で最小所定直径D3を有し、第3の前壁(12)の内面(30)の前記中央領域(14)は、高さhおよび底辺bを有し、高さhは、長手方向軸線Lに垂直な、ランスチップの内壁(30)の接線平面(32)と、テーパ状の中央領域(14)の頂点に接する平行平面(31)との間で測定され、底面bは、内壁(30)の接線平面(32)内に位置するとともに内壁(30)の延長部との交点(33)によって挟まれ、比h/(b−D3)が20%と120%の間である、請求項5に記載のランスチップ。
【請求項7】
偏向器(24)が、前記中心攪拌気体供給管(2)の中心に存在し、偏向器は、中央導管を出る気体が、攪拌気体出口オリフィスに係合するように導かれることを可能にする、請求項1〜6の何れか1項に記載のランスチップ。
【請求項8】
インジェクタ(17)は、ランスチップの長手方向軸線(L)に対して斜めに配置された回転軸線(m)を有する、請求項1〜7の何れか1項に記載のランスチップ。
【請求項9】
チップの上記要素は別々に製造され、高エネルギー溶接よって相互結合領域に固定される、請求項1〜8の何れか1項に記載のランスチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴撹拌用に意図された吹付けランスチップであって、
−少なくとも2つの開口を備えた第1の前壁によって、浴に向けて曲げられた端部で閉鎖された、攪拌気体を供給するための中央管と、
−冷却液の流路のための第1の環状空洞を中央管とともに形成し、中央開口と、前記第1の前壁に設けられた開口1つ当たり1つの流路オリフィスとを有し、セパレータと称される第2の前壁により、浴に向けて曲げられた一方の端部で終端する内部管と、
−冷却液の流路のための第2の環状空洞を内部管とともに形成し、前記第1の前壁に設けられた開口1つ当たり1つの出口オリフィスを有し、前記中央開口に向けられ、軸線方向断面において湾曲した包絡面を有する中央テーパ領域を備える内面を有する第3の前壁によって、浴に向けて曲げられた端部で閉鎖された外部管と、
−一方では前記第2の前壁と第3の前壁の前記内面との間に位置し、他方では前記中央開口と前記第2の環状空洞との間に位置し、冷却液が流れる熱交換空間と、
前記第1の前壁の各開口を出て、前記対応する流路オリフィスを液密に通過して前記対応する出口オリフィスにまで到達する、インジェクタと称される、攪拌気体用の出口導管とを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
明細書を通じて、「前記中央開口に向けられ、軸線方向断面において湾曲した包絡面を有するテーパ状の中央領域」なる用語は、簡潔化のために、単に「中央凹部」なる用語によって適宜表される。
【0003】
本発明に記載されているような吹付けランスチップは、特に、鋼生成用酸素コンバータ(BOF基本酸素炉、AODアルゴン酸素脱炭)に使用される。コンバータは、内部に含まれる炭素を燃焼させるために、溶鉄の浴に酸素を注入することによって鋼を得ることを可能にする。酸素をコンバータに吹き込む分野における基本原理(例えば、LD(Linz−Donawitz))は、環状に配置された3〜6個の酸素の噴流を溶鉄浴上に送ることである。これらの酸素噴流の形成を可能にするランスは、次いで、温度が1700℃に達する可能性のある溶鉄浴の上に1〜5mの距離で配置される。
【0004】
次いで、ランスチップの温度は、最大で400℃上昇し、その環境に約20分間保持しなければならない。その後、チップを取り出し、室温、すなわち20℃に戻す。これらの圧力は、製鋼コンバータ浴に使用されるランスチップに損傷を与え、典型的には、相当数の逐次使用にわたってランスチップがさらされる顕著な圧力の後に、ランスチップの耐用年数が短縮される。
【0005】
ランスチップの冷却を改善するために、浴に向けて曲げられたランスチップの内壁に沿って冷却液が移動できるように、熱交換空間が開発されている。冷却液、一般に水が前壁に沿って移動すると、この壁を形成する金属の熱量がこの冷却液に伝達される。このようにして、ランスチップの温度はチップ全体にわたって均一であり、壁が浴にさらされている部分のみが特に上昇することはもはやない。
【0006】
また、冷却液の循環が悪いと、冷却液の温度が局所的に上昇することがある。その結果、液体は熱応力下で局部的に気化することがある。この結果、冷却液内に閉じ込められた気体で満たされた空洞が形成される。このような液体中の気体状空洞の形成は、キャビテーション現象として知られている。これらのキャビテーション現象は、気相と固相との間の熱交換が液相と固相との間よりも著しく悪いため、前壁冷却の有効性の低下を引き起こす。熱変動にさらされた壁全体にわたって冷却が均一でない場合、この壁の異なる領域の間に機械的応力が現れる。この温度の不均質な分布は結果的にランスチップの耐用年数を低下させる。実際、後者は、何回かの作業サイクルの後に、その耐用年数を大幅に制限する外乱を有する。
【0007】
特許文献1および2は、例えば、冷却液を前面壁の内面に沿って高速で流すことができるように設計されたランスチップを有し、この同じ前面壁は、流れを最大にするために小さな中央凹部を有する。
【0008】
次に、特許文献3は、二次冷却液噴流が向けられたランスチップの中央領域に大きな凹部を設け、液体の流れに渦流運動を引き起こしている。
【0009】
特許文献4は、浴に向けて曲げられ、高さと底面との間の比が一定である凹部を形成することによって、ランスチップの熱交換空間における冷却液の流れをさらに改善しようと試みている。この比は、熱交換空間が冷却液の実質的に一定な経路のための断面を有し、この空間を通る冷却液の通過速度をほぼ一定にすることを可能にする。
【0010】
特許文献5は、熱交換空間の2つの壁、すなわちセパレータと第3の前壁の内面との間の粗さの差に基づく冷却システムを有する、溶鋼中またはその上で使用される吹付けランスチップを記載している。適切な冷却を確実にするために、溶鋼にさらされる表面の粗さの差と最小曲率半径との間の比が一定のままでなければならない。
【0011】
ランスチップの冷却が、機械的応力の発現とは別に、有効でない場合、攪拌気体導管の出口オリフィスの周りに前壁の侵食現象が現れることも分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,432,534号明細書
【特許文献2】国際公開第96/23082号パンフレット
【特許文献3】欧州特許公開第0340207号明細書
【特許文献4】国際公開第02/22892号パンフレット
【特許文献5】独国特許公開第19506718号明細書
【発明の概要】
【0013】
以下の説明において、「撹拌気体出口導管」という表現は、簡略化のために、単にインジェクタという用語によって表現されることがある。
【0014】
インジェクタ出口オリフィスの直径は、それらの端部での侵食に追従して増加する傾向がある。この直径の増加は、酸素噴流を歪ませ、このことは、ランスチップの破壊に伴って、これらの噴流が分散し、結果としてその有効性が低下することを招く。実際に、炭素酸化反応は、噴流の浴への浸透の深さによって、およびそれらの攪拌によって促進される。ランスチップは、溶融金属浴の上の1〜5mの距離に配置され、効果的であるために、噴流はできるだけ長い距離にわたって一貫したプロファイルを持たなければならない。これらの噴流は溶融金属浴中に深く浸透しないので、これらの噴流が分散されると、反応収率が低下する。したがって、浴中の反応収率は最適ではなく、また、ランスチップの耐用年数の大幅な変動性を示す。
【0015】
それゆえ、ランスチップの適切な動作のためには有効な冷却が重要である。これは、その耐用年数を有利に延長するだけでなく、耐用年数にわたって反応収率のより良い安定性を保証し、これにより前壁の端部での侵食が最小限に抑えられるからである。しかし、このような冷却は、ランスチップの使用中に遭遇する極限状態において、実施することも非常に困難である。
【0016】
上記の文献はチップ冷却技術の改善に寄与しているが、残念なことに、それらは依然として、十分な耐用年数またはこの耐用年数にわたって安定した浴中の反応収率を提供しない。
【0017】
本発明の目的は、製造が簡単でランスチップの耐用年数にわたって溶融金属浴中の改善され安定した反応収率を保証するランスチップを提供することによって従来技術の欠点を克服することである。
【0018】
この問題を解決するために、上述したように、セパレータが軸線方向断面において中央開口に湾曲した縁部を有し、高さH3が前記縁部の前部と第3の前壁の前記内面との間に画定され、熱交換空間において、所定の最小高さH1が前記中央開口の側に存在し、比H1/H3が、5%と80%との間、有利には5%と75%との間、好ましくは5%と70%との間、好適には5%と65%との間、特に有利には5%と60%との間、好ましくは10%と60%との間、有利には15%と60%との間、好ましくは20%と60%との間、好適には25と60%との間、特に有利には25%と55%との間、好ましくは30%と55%との間である、本発明に従うランスチップが提供される。
【0019】
上述の文献とは対照的に、セパレータ、特に中心開口の縁部と、第3の前壁に対する位置とに同時に働きかけることによって、冷却液の流れを驚くほど改善できることが発見された。
【0020】
実際、一方では、中央開口のセパレータ縁部は、その湾曲した軸線方向断面のおかげで、第1環状空洞から到着する冷却液が、この湾曲した縁部と第3の前壁の内面の中央凹部との間で漸進的な回転を行い、熱交換空間に邪魔されずに到達することを可能にする。
【0021】
ランスチップのインジェクタは、まず第1と第2の前壁の間に、次に第2と第3の前壁の間の熱交換空間内に、冷却液の経路に障害物を形成する。したがって、冷却液の「沈静化」は、第1および第2の前壁の間の、インジェクタによって形成された第1の障害物を迂回した後に起きる。この役割は、本発明によれば、軸線方向断面において湾曲し、中央開口が形成されることを可能にするセパレータ縁部により、最大化された冷却液流路断面の熱交換空間内で達成される。
【0022】
さらに、セパレータの軸線方向断面におけるこの湾曲した縁部は、エネルギー損失を冷却液流中で最小限に抑えることを可能とし、このことは、熱交換空間に到着する前の、セパレータの湾曲した縁部と、第3の前壁の内面のテーパ状の中央領域との間を通過中の液体の加速を改善する。この第1の加速は、セパレータ縁部と中央凹部との間の冷却液流路断面によって規制される。インジェクタの回転軸線を通る円錐に含まれる容積において、H1は、熱交換空間における第3の前壁の内面に沿った水路の最小高さである。この第1の加速は、金属/液体交換表面が実質的に最も小さい部分であり、したがって冷却が最も困難な領域であるランスチップの中央部分の冷却を改善することを可能とする。
【0023】
本発明による「流路断面」という用語は、冷却液の流れ方向に垂直に取った断面であると理解される。
【0024】
一方、第3の前壁に対するセパレータの位置決めは、冷却液の加速を規制する所定の高さを有する熱交換空間を形成することを可能にする。本発明によるセパレータは、実質的に平坦であり、第3の前壁と実質的に平行であり、したがって、乱流およびキャビテーション現象が低減された冷却液の流れを確実にする。
【0025】
したがって、本発明によるランスチップは、冷却液の経路を最大にし、これによって乱流を最小にするとともに、熱応力にさらされた壁を効果的に冷却するために、この液体の加速を改善することを可能にする。その結果、本発明によるランスチップの耐用年数は著しく増加し、インジェクタ出口の縁部の侵食は、浴中の反応収率が改善され、かつ、ランスチップの耐用年数にわたって安定したままであるように最小化される。実際、適切な冷却は、攪拌気体のための出口の縁部の侵食を減少させ、より一貫性のある噴流をインジェクタ出口で得ることを可能にする。これらのより一貫性のある噴流は、より深く溶融金属浴に浸透し、そのより良好な攪拌を確実にし、したがって、浴中の反応収率の向上を確実にする。さらに、本発明のチップのように、浴の表面から放出され、ランスチップに向かって上昇する気体およびダストは、冷却が改善されると、チップの劣化に与える影響がより小さい。その結果、本発明によるチップの耐用年数が長くなる。
【0026】
別の特定の実施形態において、本発明によるランスチップは、所定の外径Dextを有し、前記セパレータ縁部は、厚さe1によって画定され、したがって比e1/Dextは3%と30%の間、好ましくは4%と25%の間、有利には5%と20%の間、好ましくは5%と15%の間である。
【0027】
セパレータ縁部の厚さe1は、第1の前壁に向けて曲げられた面とセパレータ浴に向けられて曲げられた面との間の、インジェクタの回転軸線に平行に取られた距離である。この特定のセパレータ縁部の厚さは、一方では、中央凹部に面するセパレータ縁部の周りの冷却液の回転をさらに改善することを可能にする。他方では、特定のセパレータ縁部の厚さは、冷却液が流れる際のエネルギー損失を有利に低減する。エネルギー損失の低減は、液体の加速の維持、したがってチップの冷却の最適化につながる。
【0028】
有利には、ランスチップセパレータは、浴に向けて曲げられた、実質的に正弦波状の表面を有する。
【0029】
「正弦波状の表面」という用語は、波状の曲線を形成する表面であると理解され、例えば、2つの凹部の間に1つの凸部を有する。したがって、正弦波状の表面を有するセパレータは、第3の前壁に対して2つの凹部の間に1つの凸部を有する。したがって、最小の厚さがセパレータの2つの最大厚さの間に位置する。
【0030】
この正弦波状の表面は、冷却液に対する熱交換空間に改善された流路断面を提供するという利点を有する。実際、上述したように、熱交換空間に入る前に、冷却液の第1の加速が生じる。セパレータの正弦波状の表面は、実質的にセパレータの中心にある冷却液の流路断面の増加をもたらす。実際、その中心においてセパレータを実質的に横切るインジェクタは、熱交換空間を遮断する。したがって、この場所において、セパレータは、冷却液の流路のための空間を作るために凹形(内側に向かって膨らみを有する)に作られている。したがって、セパレータ浴に向けて曲げられた表面の正弦波形状は、セパレータと第3の前壁の内面との間のインジェクタの第2の迂回中にエネルギー損失を低減することを可能にする。この正弦波状の表面は、溶鉄の浴にさらされた壁を適切に冷却するのに有利である。
【0031】
好ましくは、浴に向けて曲げられた前記セパレータの前記実質的に正弦波状の表面は、熱交換空間が実質的に前記セパレータの中心に最大の高さを有するようになっている。
【0032】
好ましくは、本発明によるランスチップは、浴の反対側に位置する第1の端部と、第3の前壁の中央領域に連結された、浴に向けて曲げられた第2の端部とを備えるピラーを有する。
【0033】
一方では、このピラーは、冷却液の循環が、中央開口に突入する際に改善されることを可能にする。実際には、中心開口は衝突領域とすることができ、したがって、この中心開口の中心に存在するピラーは、乱流の最小化を可能にする。液体は、熱交換空間に到着する前にピラーに沿って移動する。
【0034】
さらに、このピラーは、銅等の熱伝導率の良好な材料で形成されることが有利であり、冷却液に向かう浴にさらされた前壁に蓄積された熱量の良好な伝達を確実にする。この熱量伝達現象は「コールドシンク」として知られている。ピラーによって伝達された熱は、次いで、その周囲を移動する冷却液に向かって拡散する。
【0035】
特に有利には、ピラーは、中央領域に連結された第1端部と第2端部との間に薄肉部を有しており、薄肉部は、所定の長さL1と中央領域に向けて連続的に減少する幅方向断面を有しているので、ピラーは第3の前壁の内面の中央領域とともに、連続した湾曲断面を形成する。
【0036】
本発明によれば、「連続した曲面」という用語は、「曲線の連続性」、好ましくは「接線の連続性」を有する表面であると理解される。
【0037】
本発明に従う「接線の連続性」という用語は、ピラーの軸線方向断面において、ピラーの薄肉部の曲線と第3の前壁のテーパ状中央領域の曲線とが、それらの接合端部の端において、すなわち、接合部(ピラーの第2の端部)において等しい接線を有することを意味すると理解される。接線は、接合端部での曲線の一次導関数である。
【0038】
「曲線の連続性」の第2の水準は、任意選択で、2つの曲線(ピラーの薄肉部および第3の前壁の内面のテーパ状中央領域)の曲率半径が、それらの接合端部において、すなわち、それらの接合部において等しいことを意味する「曲率の連続性」とすることができる。換言すれば、ピラーの薄肉部の曲線と第3の前壁の内面のテーパ状中央領域の曲線は、それらの接合部において同じ方向を有し、この点で同じ半径を有する。曲率半径は、その接合端部、すなわちピラーの第2の端部での接合部における曲線の2次導関数である。
【0039】
チップの周辺部(環状空洞)に到達する冷却液は中心開口に収束し、そこで、熱交換空間、例えば前面に到着する前に、ピラーとセパレータの縁部との間で約180°の回転を行う。特定の幾何学的形状を有するこのピラーの存在は、一方で、中央開口を横切り、そこでピラーの薄肉部とセパレータの縁との間を通過する冷却液の流れを最大にすることを可能にし、他方で、冷却液が熱交換空間に到達する前に加速されることを可能にする。実際、本発明によるセパレータの縁部は、中心開口の中心に有利に存在するピラーの中央薄肉部との積極的嵌合を有する。これらの2つの要素の間のこの積極的嵌合は、中央開口における約180°の回転中の冷却液の随行に特に有利であり、したがって、液体中の乱流を低減させ、それを「沈静化」させ、「コールドシンク」として機能するピラーと、次いで、第3の前壁との良好な接触を維持する。さらに、この幾何学的形状は、熱交換空間への通過前の冷却液の加速も可能にする。
【0040】
本発明によるランスチップにおいて、ピラーは、前記薄肉部と第1の端部とを接合する所定の長さL2の第2の部分を有し、前記第2の端部は、所定の直径D2によって画定される円形の横断面を有し、比D2/Dextがランスチップの前記外径(Dext)の2%と30%の間、有利には7.5%と17.5%の間、好ましくは10%と15%の間となるようにすることが有利である。
【0041】
ランスチップのこの特定の実施形態において、その直径からすると、ピラーは、それがチップ内に占める体積を考慮して「巨大」とみなされ得る。銅等の熱伝導率の良好な材料からなるこの巨大なピラーは、冷却液に向けて浴にさらされた前壁に蓄積された熱量の良好な伝達を確実なものとし、したがって、「コールドシンク」現象を改善する。次いで、ピラーによって伝達された熱は、その周りを移動する冷却液に向かって拡散するが、薄肉部が湾曲した輪郭を有しているので、金属/液体熱交換面が増加する。したがって、熱はランスチップ内に良好に分配され、特に、極端な温度に最もさらされた領域、すなわち第3の前壁の中心の適切な冷却を確実にする。したがって、この実施形態によるランスチップは、チップの冷却の補完的な改良をもたらす。
【0042】
有利には、ピラーの前記薄肉部Iは、その第2の端部で最小所定直径D3を有し、前記中央領域は、高さhおよび底辺bを有し、比h/(b−D3)が20%と120%の間、好ましくは20%と110%の間、有利には30%と110%の間、好ましくは30%と100%の間、特には40%と100%の間、特に有利には40%と90%の間、好ましくは45%と85%の間、有利には50%と80%の間である。
【0043】
ピラーがテーパ状の中央領域の頂部に存在しない場合、D3は零であり、h/(b−D3)=h/bである。
【0044】
次いで、熱交換面は、浴から上昇する熱前線の同じ表面に対して増加し、これは液体中に渦またはキャビテーションのいずれも発生させない。さらに、熱交換空間内の液体流路断面は、冷却液が適切な速度プロファイルを有するようなものであるので、浴にさらされた前壁の冷却がさらに改善される。
【0045】
好ましくは、本発明によるランスチップは、中央開口におけるチップの長手方向軸線Lに対して垂直に取られた冷却液流路の距離Rを特徴とする。ピラーが中心開口に存在しない場合、この流路距離はR1と表され、セパレータの前面とチップの長手方向軸線との間で測定され、したがって中央開口の最小半径に対応する。ピラーが中心開口に存在するとき、セパレータの前面とピラーの薄肉部Iの外面との間で液体流路距離Rが測定され、その距離はR2と表される。これら2つの場合において、この流路距離Rは、比R/H3が20%と150%の間、好ましくは30%と140%の間、有利には30%と130%の間、好ましくは40%と130%の間、有利には50%と130%の間、好ましくは60%と120%の間、有利には60%と110%の間、好ましくは70%と110%の間であり、ピラーが存在しない場合にはRはR1に対応し、ピラーが存在する場合にはRはR2に対応する。
【0046】
この流路距離は、特に冷却液の場合には、熱交換空間に達する前に中央開口に収束する冷却液の流れをさらに改善することを可能にする。上述したチップの特徴と組み合わされた中央開口における液体流路距離は、外乱の低減および冷却液の加速を改善することによって、流れをさらに改善することを可能にする。
【0047】
有利には、前記セパレータは、前記第1の前壁に向けて曲げられた実質的に正弦波状の面を有する。
【0048】
特定の実施形態において、偏向器が、本発明によるランスチップの攪拌気体供給用の前記中心管の中心に実質的に存在する。
【0049】
この偏向器は、中央導管を出る気体が、攪拌気体出口導管に係合するように適切に導かれることを可能にする。
【0050】
本発明による装置の特に有利な実施形態において、前記攪拌気体出口導管は、ランスチップの長手方向軸線に対して斜めに配置された回転軸線を有する。
【0051】
特定の実施形態において、チップの上記要素は別々に製造され、高エネルギー溶接、好ましくは電子ビーム溶接によって相互結合領域に固定される。
【0052】
前述のチップは、実施される機能に応じて選択された材料からそれぞれ構成されるいくつかのチップ要素から製造される。次いで、これらの要素は、高エネルギー溶接、好ましくは電子ビームによってそれらの間に固定される。この種の溶接は、銅−スチールの接続が容易に達成され、良好な液体シールを有することを確実とし、これは、チップが受ける一連の熱サイクルに起因する疲労応力にもかかわらずである。
【0053】
本発明による装置の他の形態が添付の特許請求の範囲に示されている。
【0054】
本発明の他の詳細および利点は、添付の図面を参照することにより、以下の非限定的な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】ランスチップの正面図である。
図2】本発明によるランスチップの特定の実施形態における、図1の線II−IIに続く断面図を示す。
図3】本発明の特徴部分を示すために、本発明によるランスチップの詳細を示す。
図4】本発明による吹付けランスチップの変形例の、図2と同様の図を示す。
図5】本発明の有利な実施形態に必要なパラメータを測定する方法を示すために、本発明によるランスチップの詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面において、類似または同一の要素には同じ参照番号を付する。
【0057】
図1は、浴に向けて曲げられたランスチップ1の第3の前壁12を示す。この実施形態によれば、ランスチップ1は、第3の前壁12の中央領域14の周りに環状に配置された6つの攪拌気体出口オリフィス13を有する。
【0058】
図2は、攪拌気体が中央管2を介して供給される、本発明によるランスチップを示す。この中心管2は、少なくとも2つの開口4を備えた、浴に向けられた前壁3によって閉鎖されている。
【0059】
内部管5は、中心管2の周りに同軸に配置され、それらの間に、矢印Fの方向に冷却液を供給するための環状空洞6を形成する。この内部管5は、セパレータとして知られている前壁7によって終端されている。この前壁7には、中心管2の各開口4と整列した中央開口8およびオリフィス9が設けられている。本発明によるセパレータ7は、以下に概説される第3の前壁12に対して特定の幾何学的配置を有する。
【0060】
外部管10が内部管5の周りに同軸に配置されている。この外部管は、内部管5とともに、矢印Fの方向に冷却液を排出するために使用される環状空洞11を形成する。この外部管は、撹拌されるべき浴に面する前壁12によって閉鎖され、内面30を備える。図2に示すように、第3の前壁12の内面30には、中央開口8に向けられ、軸線方向断面において湾曲した包絡面を有するテーパ状の中央領域14が設けられている。
【0061】
また、前壁12には、前壁3に設けられた各開口4および前壁7に設けられた各流路出口9と整列した出口オリフィス13も設けられている。これら整列した出口および開口の各々において、出口導管17が、ランスチップの外側に攪拌気体を放出するように配置されている。導管17の回転軸線mは、有利には、ランスチップの長手方向軸線Lに対して斜めに配置されている。
【0062】
この前壁12の冷却は、セパレータ7と前壁12の内面30との間に位置する熱交換空間16内の冷却液の循環によって確保される。図示の実施形態において、空洞6から来る冷却液は、矢印Fに沿って中央開口8を通って熱交換領域16に入る。次いで、液体は、矢印Fの方向に、すなわち空洞11に向かって外向きに流れる。
【0063】
図3において、本発明によるセパレータ7は、実質的に平坦であり、第3の前壁12の内面30に実質的に平行である。このセパレータ7は、中心開口8と、湾曲した軸線方向断面縁部18とを有する。次いで、中央開口8の最小直径を、セパレータ7の縁部18の前部19から測定することができる。この前部19を通りランスチップの長手方向軸線Lに平行な接線により、中央開口8の最小直径を測定することが可能となる。
【0064】
前部19を通りランスチップの長手方向軸線Lに平行な接線に沿って、前記前部19と第3の前壁12の内面30との間で測定された高さは、図3に示す高さH3に対応する。高さH1は、インジェクタ17の回転軸線mに平行に、セパレータ7の浴20に向けて曲げられた面と第3の前壁12の内面30との間で、中央開口8側で測定される。この高さH1は、中央開口8における熱交換空間16内の冷却液の最小流路高さを画定する。インジェクタの回転軸線を通る円錐に含まれる容積において、H1は、熱交換空間における第3の前壁の内面に沿った水流路の最小高さである。本発明によれば、比H1/H3は有利には30%と55%の間である。
【0065】
セパレータ7の縁部18の湾曲した軸線方向断面は、有利には、中央開口8における収束の間に冷却液を伴う。さらに、図3に示すように、セパレータ7の縁部18は、第3の前壁12の内面30のテーパ状の中央領域14と積極嵌合する。液体は、したがって、最も熱応力にさらされる第3の前壁12の内面と接触したままとなる。その結果、外乱およびキャビテーション現象が低減された冷却液の流れが、その経路に沿って得られ、維持され得る。このようにして「沈静化された」冷却液は、矢印Fに沿って第2の環状空洞11によってチップを出る前に、インジェクタ17が熱交換空間16内で形成する障害物を静かに迂回することができる。
【0066】
本発明によるランスチップ1の外径Dextは、図2に示すように、外管10の外面間で測定された直径に対応する。
【0067】
一般に、セパレータ7の厚さは、第1の前壁3に向けて曲げられた面21とセパレータ7の浴20に向けて曲げられた面との間で測定される。
【0068】
したがって、セパレータ7の縁部18の厚さe1は、中央開口8における熱交換空間16の最小高さH1の連続においてインジェクタ17の回転軸線mに平行に測定される。この厚さは、セパレータがランスチップ内で一定の容積を占めることを可能にし、縁部18の湾曲部分と組み合わせて、低減された外乱および良好な加速を有する冷却液の流れを維持することを可能にする。好ましくは、比e1/Dextは5%と15%の間である。
【0069】
図3に示すランスチップの特定の実施形態において、セパレータ7の浴20に向けて曲げられた表面は、実質的に正弦波状である。セパレータ7の浴20に向けて曲げられた表面が実質的に正弦波形状を有する場合、最大厚さe1は、第1の前壁3に向けて曲げられた表面21と、浴20に向けて曲げられた表面の最小の凹部を通る接線との間で測定される。反対に、最小厚さは、第1の前壁3に向けて曲げられた表面21と、浴20に向けて曲げられた表面の最大の凸部を通る接線との間で測定される。
【0070】
これは、セパレータ7が中央開口8において厚さe1を有し、中央で実質的に最小厚さを有するので、熱交換空間16はセパレータ7の中央において実質的に最大高さHmaxを有することを意味する。この最大高さHmaxの目的は、熱交換空間16内のインジェクタ17の領域内を通過する間の冷却液のために、より多くの空間を可能にすることである。
【0071】
図4は、本発明によるランスチップの特定の実施形態を示す。この実施形態において、中央開口8の中央に特定の構成の中央ピラー22が存在する。
【0072】
ピラー22は、第1の前壁3の側に第1の端部E1と、第3の前壁12の内面30の中央領域14に連結された第2の端部E2とを有する。このピラーは、好ましくは、第1の端部E1と第2の端部E2との間に薄肉部Iを有し、これにより、第3の前壁12の内面30のテーパ状の中央領域14とともに、連続した湾曲面23を形成することが可能となる。このようにして、第1の環状空洞6から矢印Fに沿ってやって来る冷却液は、セパレータ7の上面21に沿って移動し、液体の経路に第1の障害物を形成するインジェクタを迂回した後、中央開口8に収束する。この中心開口8の中心に存在するピラー22は、第3の前壁12の内面30に向かって冷却液を案内することを可能とし、または、ピラーの薄肉部Iは、このピラー22とセパレータ7の端部18との間の、矢印Fに沿った液体の流路を確保する。また、第3の前壁12の内面30のテーパ状中央領域14とピラー22との接続部は、矢印Fに沿った液体の漸進的回転を確保する連続湾曲面23を有する。熱交換空間16に到着する冷却液中の乱流は減少し、液体は、熱交換空間16内のかなりの容積を占めるインジェクタを静かに迂回することができる。この例では、溶融液浴にさらされた前壁12に蓄積された熱量は、その薄肉部Iによって冷却液との接触面が増加したピラー22に伝達され、これによって、金属/液体熱伝達が向上する。
【0073】
さらに、ピラー22は、有利には、前記薄肉部Iと前記第1の端部E1とを接続する所定の長さL2の第2の部分IIを有し、長さL2に沿って一定の、所定の直径D2によって画定される円形の横断面を有し、比D2/Dextは有利には10%と15%の間である。
【0074】
実際、ピラー22は熱伝導率の良い材料から形成され、熱は、浴から上昇し、第3の前壁12および中央領域14に伝達され、その後、ピラー22によって冷却液に向かって導かれる。ピラー22の周りを移動する冷却液は、第3の前壁12の熱の一定の捕集を確保する。これを最適化するために、浴に最もさらされる部分、すなわち第3の前壁12およびピラー22は、鋳造銅よりも良好な熱伝導率を保証する鍛錬銅で製造される。
【0075】
有利には、第1の薄肉部Iは、第2の部分IIとの接続部の直径D2から、好ましくはピラー22の第2の端部E2でのD2の60%と80%の間の値に徐々に変化する所定の直径D1によって特徴付けられる。したがって、ピラー22の薄肉部Iの直径D1は、最小値に達するまでランスチップの縦軸線Lに沿って浴に向かって移動するにつれて次第に減少し、次いでピラーの第2の端部E2に対応するD3と呼ばれる。
【0076】
好ましくは、ピラー22の薄肉部Iと第3の前壁12の内面30のテーパ状の中央領域14との間の連続湾曲面23は、ピラー22の第2の部分IIでの直径D2の30%以上の曲率半径によって特徴付けられる。
【0077】
図4に示す実施形態において、互いに対向するセパレータ7およびピラー22の薄肉部Iは積極嵌合を有するので、冷却液の最も繊細な随伴を確実なものとする。実際、セパレータ7の縁部18およびピラー22の薄肉部Iは、冷却液のために経路を形成することを可能にし、液体中の乱流を減少させる。
【0078】
また、偏向器24は、攪拌気体を供給するための管2の中心に配置することができる。この偏向器24は、中央導管2を出る気体がインジェクタ17に係合するように適切に導かれることを可能にする。
【0079】
図5は、第3の前壁12の内面30のこの中央領域14に対するパラメータを測定する方法を明確にするために、テーパ状の中央領域14の詳細を表している。高さhは、長手方向軸線Lに垂直な、ランスチップの内壁30の平面接線32と、テーパ状の中央領域14の頂点に接する平行平面31との間で測定される。テーパ状の中央領域14内の追加要素、例えばピラー22等がこれの頂部に設けられている場合、平面31は、この追加要素が存在しなければ採用するであろう位置にとどまる。テーパ状の中央領域14の頂部は、最小直径D3を有するピラー18の薄肉部Iの横断面と一致し、平面31もピラー22のこの最小直径D3の部分を通る。
【0080】
底面bは、内壁30の平面接線32内に位置する。それは、内壁30の延長部との交点33によって挟まれる。
【0081】
有利には、本発明によるチップは、比h/(b−D3)が50%と80%の間である。したがって、例えばピラー等の追加要素が中央領域14に存在しない場合、D3は零であり、比h/bは好ましくは50%と80%の間である。
【0082】
また、図5は、中央開口8におけるチップの長手方向軸線Lに対して垂直に取られた冷却液流路の距離Rを表す。ピラーが中央開口8に存在しない場合、距離Rは、セパレータ7の前部19と長手方向軸線Lとの間で測定され、冷却液流路のこの距離は、R1で示され、中央開口8の最小半径に対応する。ピラー22が中央開口に存在する場合、液体流路距離Rは、セパレータ7の前部19とピラー22の薄肉部Iの外面との間で測定され、距離は次にR2で示される。これらの2つの場合において、冷却液流路のこの距離は、比R/H3が好ましくは70%と110%との間であり、Rはピラーのない場合にR1に対応し、ピラーが存在する場合にR2に対応する。
【0083】
本発明は、上述した実施形態に決して限定されず、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく変更が適用され得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5