特許第6953516号(P6953516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6953516エアロゾル形成基体および熱伝導性要素を備えるエアロゾル発生物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953516
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体および熱伝導性要素を備えるエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/22 20200101AFI20211018BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20211018BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20211018BHJP
【FI】
   A24D1/22
   A24F40/42
   A24D1/20
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-510326(P2019-510326)
(86)(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公表番号】特表2019-526251(P2019-526251A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】EP2017071240
(87)【国際公開番号】WO2018037048
(87)【国際公開日】20180301
【審査請求日】2020年8月13日
(31)【優先権主張番号】16185881.6
(32)【優先日】2016年8月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マルガ アレクサンドル
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−535530(JP,A)
【文献】 特開平9−28366(JP,A)
【文献】 特表平8−511175(JP,A)
【文献】 特表2009−502194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20−1/22
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成材料および前記エアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するたばこ含有ラッパーを含むエアロゾル形成基体であって、前記ラッパーが、前記ラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有する、エアロゾル形成基体と、
前記エアロゾル形成基体の上流の可燃性熱源と、
前記ラッパーの少なくとも一部分の周りにありかつそれと接触する、熱伝導性要素と、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記熱伝導性要素が、前記可燃性熱源の少なくとも後方部分および前記ラッパーの少なくとも前方部分の周りにあり、かつそれらと接触する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記可燃性熱源の後端面と前記エアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアをさらに備える、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記可燃性熱源がブラインド可燃性炭素質熱源である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
エアロゾル形成材料および前記エアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーを含むエアロゾル形成基体であって、前記ラッパーが、前記ラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有する、エアロゾル形成基体と、
前記ラッパーの少なくとも一部分の周りにあり、かつそれと接触し、サセプタである、熱伝導性要素と、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記ラッパーがたばこ含有ラッパーである、請求項5に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記ラッパーが、前記ラッパーの総重量の少なくとも約10重量%のエアロゾル形成体含有量を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記ラッパーが、前記ラッパーの総重量の約20重量%以下のエアロゾル形成体含有量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル形成体が一つ以上の多価アルコールを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル形成体がグリセリンを含む、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記熱伝導性要素が金属箔および金属合金箔のうち一方または両方を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記熱伝導性要素がアルミ箔を含む、請求項11に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記エアロゾル形成基体がたばこ材料を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
請求項5に記載のエアロゾル発生物品と、
変動または交流電磁場を生成するためのインダクタを備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体および熱伝導性要素を備えるエアロゾル発生物品に関連する。ある特定の例では、本発明は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流のエアロゾル形成基体と、可燃性熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分を囲む熱伝導性要素と、を備えるエアロゾル発生物品に関連する。その他の例では、本発明は、エアロゾル形成基体および熱伝導性要素を備えるエアロゾル発生物品に関連し、熱伝導性要素は、変動または交流電磁場を生成するためのインダクタを備える電気的に作動する装置によって加熱されることが可能なサセプタである。
【背景技術】
【0002】
たばこ材料が燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当技術分野において提唱されてきた。このような「加熱式」喫煙物品の一つの目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの公知の有害な煙成分を低減することである。
【0003】
加熱式喫煙物品では通常、エアロゾルは、熱源、例えば、化学的、電気的または可燃性熱源から、熱源の内部、周囲、または下流に位置しうるたばこ材料を含む物理的に分離されたエアロゾル形成基体に熱を伝達することにより生成される。
【0004】
加熱式喫煙物品の一つの種類では、可燃性炭素質熱源から可燃性炭素質熱源の下流に位置するたばこ材料を含む物理的に分離されたエアロゾル形成基体への熱伝達によりエアロゾルが生成される。使用時に、揮発性化合物は可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によってたばこ材料から放出され、喫煙物品を通して引き込まれた空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝結してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0005】
こうした加熱式喫煙物品において、エアロゾルを得るのに、可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を確保するために、加熱式喫煙物品の可燃性炭素質熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに、熱伝導性要素を含めることは公知である。例えば、WO−A2−2009/022232号は、可燃性炭素質熱源、可燃性熱源の下流のエアロゾル形成基体、ならびに可燃性炭素質熱源の後方部分およびエアロゾル形成基体の隣接する前方部分の周りにあり、かつそれらと直接接触する熱伝導性要素を備える喫煙物品を開示している。使用時に、可燃性炭素質熱源の燃焼の間に生成された熱は、当接する可燃性炭素質熱源の下流端および熱伝導性要素を通じる伝導によって、エアロゾル形成基体の前方部分の周辺部に伝達される。
【0006】
加熱式喫煙物品の別のタイプにおいて、エアロゾルはサセプタからたばこ材料を含むエアロゾル形成基体への熱の伝達によって生成される。使用時に、渦電流は、物理的に分離された誘導加熱装置内の誘導源によって生成された交流電磁場によってサセプタ内に誘発される。熱は、抵抗損失によってサセプタ内に生成される(ジュール加熱)。熱はまた、ヒステリシス損失によってサセプタ内に生成されてもよく、ここにおいて、サセプタは磁性である。揮発性化合物は、サセプタからエアロゾル形成基体への熱伝達によってたばこ材料から放出され、喫煙物品を通して引き込まれた空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝結してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0007】
たばこ材料が燃焼するよりはむしろ加熱される加熱式喫煙物品において、エアロゾル形成基体において達成される温度は、知覚的に許容されるエアロゾルを生成する能力に顕著な影響を及ぼす。たばこ材料の加熱が主に、エアロゾル形成基体の周辺部への伝導性熱伝達によって起こる加熱式喫煙物品において、エアロゾル形成基体内に達成される温度は、吸い始めの間にたばこ材料から十分な揮発性化合物を放出して、容認できるエアロゾルを生成するために十分に高くなくてもよい。これは、ユーザーへのエアロゾル送達の一貫性に不利に影響を及ぼしうる。
【発明の概要】
【0008】
本発明によると、エアロゾル形成材料、およびエアロゾル形成材料の周りにあり、かつそれと接触するラッパーを含み、ラッパーは、ラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有する、エアロゾル形成基体と、ラッパーの少なくとも一部分の周りにあり、かつそれと接触する熱伝導性要素と、を備える、エアロゾル発生物品が提供される。
【0009】
本発明によるエアロゾル発生物品は、伝導によりエアロゾル形成基体の周辺部に熱を伝達するためのラッパーの少なくとも一部分の周りにあり、かつそれと接触する熱伝導性要素を備える。
【0010】
ラッパーは、エアロゾル形成材料と間接的に接触してもよい。
【0011】
本明細書に使用される場合、「間接的に接触」という用語は、二つの構成要素の間に置かれた一つ以上の中間材料を介するため、二つの構成要素の表面が互いに触れ合っていない、二つの構成要素間の接触を意味するために使用される。
【0012】
ラッパーは、エアロゾル形成材料と直接接触することが好ましい。
【0013】
本明細書に使用される場合、「直接接触」という用語は、中間材料が何もなく、二つの構成要素の表面が互いに触れ合っている、二つの構成要素間の接触を意味するために使用される。
【0014】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料の周りにあり、かつそれと接触するラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有するラッパーを含めることにより、有利には、エアロゾル形成材料、およびエアロゾル形成材料の周りにあり、かつそれと接触するラッパーを含むエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品であって、ラッパーがラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有さないエアロゾル発生物品に関して得られる吸煙間のエアロゾル送達よりも、より一貫したエアロゾル送達がもたらされる。
【0015】
具体的には、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有するラッパーを含めることにより、有利には、エアロゾル形成材料、およびエアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーを含むエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品であって、ラッパーが、ラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有さないエアロゾル発生物品と比較して、初期段階および最終段階の吸煙におけるエアロゾル送達の増大がもたらされる。
【0016】
初期段階の吸煙におけるエアロゾル送達を増大することによって、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有するラッパーを含めることにより、有利には、知覚的に受容可能なエアロゾルを生成するための、ユーザーがエアロゾル発生物品の使用を開始した後に必要とされる時間の長さが短縮される。
【0017】
エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有するラッパーを含めることにより、また、有利には、エアロゾル形成材料、およびエアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーを含むエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品であって、ラッパーが、ラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有さないエアロゾル発生物品と比較して、本発明によるエアロゾル発生物品の初期段階の臭味が改善されうる。具体的には、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有するラッパーを含めることにより、有利には、エアロゾル形成材料、およびエアロゾル形成材料の周りにありかつそれと接触するラッパーを含むエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品であって、ラッパーがラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有さないエアロゾル発生物品が直面しうる、望ましくない初期段階の「焦げた」臭味または「オフノート」が低減され、または消滅されうる。
【0018】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料、およびエアロゾル形成材料の周りにあり、かつそれと接触するラッパーを含み、ラッパーは、ラッパーの総重量の約5重量%以上のエアロゾル形成体含有量を有する、エアロゾル形成基体を備える。
【0019】
ラッパーは、ラッパーの総重量の少なくとも約8重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0020】
ラッパーは、ラッパーの総重量の少なくとも約10重量%のエアロゾル形成体含有量を有することが有利である。
【0021】
ラッパーは、ラッパーの総重量の少なくとも約12重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0022】
例えば、ラッパーは、ラッパーの総重量の約8重量%〜約30重量%、ラッパーの総重量の約10重量%〜約30重量%、またはラッパーの総重量の約12重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0023】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料、およびエアロゾル形成材料の周りにあり、かつそれと接触するラッパーを含み、ラッパーは、ラッパーの総重量の約30重量%以下のエアロゾル形成体含有量を有する、エアロゾル形成基体を備える。
【0024】
ラッパーは、ラッパーの総重量の約25重量%以下のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0025】
例えば、ラッパーは、ラッパーの総重量の約5重量%〜約25重量%、ラッパーの総重量の約8重量%〜約25重量%、ラッパーの総重量の約10重量%〜約25重量%、またはラッパーの総重量の約12重量%〜約25重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0026】
ラッパーは、ラッパーの総重量の約20重量%以下のエアロゾル形成体含有量を有することが有利である。
【0027】
例えば、ラッパーは、ラッパーの総重量の約5重量%〜約20重量%、ラッパーの総重量の約8重量%〜約20重量%、ラッパーの総重量の約10重量%〜約20重量%、またはラッパーの総重量の約12重量%〜約20重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0028】
ラッパーは、ラッパーの総重量の約18重量%以下のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0029】
例えば、ラッパーは、ラッパーの総重量の約5重量%〜約18重量%、ラッパーの総重量の約8重量%〜約18重量%、ラッパーの総重量の約10重量%〜約18重量%、またはラッパーの総重量の約12重量%〜約18重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0030】
ラッパーは、ラッパーの総重量の約16重量%以下のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0031】
例えば、ラッパーは、ラッパーの総重量の約5重量%〜約16重量%、ラッパーの総重量の約8重量%〜約16重量%、ラッパーの総重量の約10重量%〜約16重量%、またはラッパーの総重量の約12重量%〜約16重量%のエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0032】
エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつエアロゾル発生物品の動作温度で実質的に熱劣化に対する耐性のある、任意の適切な化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ−、ジ−またはトリアセテートなど)、およびモノ−、ジ−またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸およびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0033】
有利には、エアロゾル形成体は、一つ以上の多価アルコールを含む。
【0034】
より有利には、エアロゾル形成体はグリセリンを含む。
【0035】
ラッパーは、エアロゾル形成材料に巻かれて、エアロゾル形成基体を形成することが可能な任意の適切なシート材料から形成されうる。
【0036】
ラッパーは、紙ラッパーであることが有利である。本明細書で使用される場合、「紙ラッパー」という用語は、セルロース繊維から形成されるラッパーを説明するために使用される。
【0037】
適切な紙ラッパーは当技術分野で公知であり、従来の紙巻たばこにおいて紙巻たばこペーパーおよびフィルタープラグラップとして使用される紙ラッパーを含むが、これに限定されない。
【0038】
ラッパーは、非たばこ含有ラッパーであってもよい。
【0039】
例えば、ラッパーは、非たばこ含有紙ラッパーであってもよい。
【0040】
本明細書で使用される場合、「非たばこ含有ラッパー」という用語は、たばこ材料を含まないラッパーを説明する。
【0041】
ラッパーは、たばこ含有ラッパーであってもよい。これは有利には、本発明によるエアロゾル発生物品の初期段階の臭味をさらに改善しうる。
【0042】
例えば、ラッパーは、たばこ含有紙ラッパーであってもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「たばこ含有ラッパー」という用語は、たばこ材料を含むラッパーを説明するために使用される。
【0044】
適切なたばこ含有ラッパーは当技術分野で公知であり、再構成たばこシート材料および均質化したたばこシートを含むが、これに限定されない。
【0045】
熱伝導性要素は、ラッパーの少なくとも一部と間接的に接触してもよい。
【0046】
熱伝導性要素は、ラッパーの少なくとも一部と直接接触することが有利である。このことは、エアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を容易にしうる。
【0047】
有利には、熱伝導性要素は不燃性である。
【0048】
熱伝導性要素は酸素制限性であってもよい。言い換えれば、熱伝導性要素は、熱伝導性要素を通る酸素の通路を阻害または妨碍しうる。
【0049】
熱伝導性要素は、任意の適切な熱伝導性材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0050】
適切な熱伝導性材料は当技術分野で公知であり、金属箔(例えば、アルミ箔、スチール箔、鉄箔および銅箔など)、および金属合金箔を含むが、これらに限定されない。
【0051】
熱伝導性要素は、改良非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定される時に、23°Cおよび50%の相対湿度にて、約10ワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K))〜約500ワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K))であることが好ましく、約15ワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K))〜約400ワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K))のバルク熱伝導率を有する一つ以上の熱伝導性材料を含むことがより好ましい。
【0052】
熱伝導性要素は、一つ以上の金属、一つ以上の金属合金、または一つ以上の金属および一つ以上の金属合金の組み合わせを含むことが有利である。
【0053】
熱伝導性要素は、アルミ箔を含むことが有利である。
【0054】
熱伝導性要素は、熱伝導性材料の単一の層で形成されてもよい。あるいは、熱伝導性要素は、一つ以上のその他の熱伝導性の層または非熱伝導性の層と組み合わせて熱伝導性材料の少なくとも一つの層を含む多層または層状材料で形成されてもよい。このような実施形態において、熱伝導材料の少なくとも一つの層は、上記の熱伝導材料のいずれかを含んでもよい。
【0055】
例えば、熱伝導性要素は、熱伝導性材料の少なくとも一つの層、および紙などの熱絶縁材料の少なくとも一つの層を含む層状材料で形成されてもよい。
【0056】
熱伝導性要素はサセプタであってもよい。以下でさらに説明されるように、こうした実施形態では、エアロゾル発生物品は、変動または交流電磁場を生成するためのインダクタを備える電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するように構成されうる。
【0057】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物の加熱に応じて放出することができるエアロゾル形成材料を含む基体を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝結した蒸気の液体の小滴を含んでもよい。
【0058】
エアロゾル形成材料は、エアロゾル形成体を含むことが有利である。
【0059】
エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつエアロゾル発生物品の動作温度で実質的に熱劣化に対する耐性のある、任意の適切な化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ−、ジ−またはトリアセテートなど)、およびモノ−、ジ−またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸およびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0060】
有利には、エアロゾル形成体は、一つ以上の多価アルコールを含む。
【0061】
より有利には、エアロゾル形成体はグリセリンを含む。
【0062】
エアロゾル形成材料は、ラッパーと同じエアロゾル形成体を含んでもよい。
【0063】
あるいは、エアロゾル形成材料は、ラッパーと異なるエアロゾル形成体を含んでもよい。
【0064】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体であることが好ましい。エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。
【0065】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0066】
エアロゾル形成基体はニコチンを含む場合がある。
【0067】
エアロゾル形成基体はたばこ材料を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「たばこ材料」という用語は、たばこ葉、たばこリブ、たばこ茎、たばこ幹、たばこダスト、膨化たばこ、再構成たばこ材料、および均質化したたばこ材料を含むが、それらに限定されないたばこを含む何らかの材料を説明するために使用される。
【0068】
たばこ材料は、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、より糸、細片、シート、またはそれらの任意の組み合わせの形態であってもよい。
【0069】
たばこ材料は、均質化したたばこ材料を含むことが有利である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を説明するために使用される。
【0071】
エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を含むことが有利である。
【0072】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体、およびたばこ材料の周りにあり、かつそれと接触するラッパーを含むロッドを備え、ラッパーは、ラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有する。
【0073】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形または楕円形の断面の一般的に円筒形の要素を示すために使用される。
【0074】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さよりもかなり大きい幅および長さを有する薄層状の要素を説明するために使用される。
【0075】
本明細書に使用される「集められた」という用語は、巻き込まれ、折り畳まれ、または別途エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横断方向に圧縮され、または収縮したシートを説明するために使用される。
【0076】
エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のきめのあるシートの集合体を含むことが有利である。
【0077】
本明細書で使用される「きめのあるシート」という用語は、捲縮され、型押しされ、デボス加工され、穿孔され、または別途変形されたシートを説明するために使用される。
【0078】
均質化したたばこ材料のきめのあるシートの使用は、均質化したたばこ材料シートの集結を有利に容易にしてエアロゾル形成基体を形成してもよい。
【0079】
エアロゾル形成基体は、複数の間隔を置いたへこみ、突起、穿孔またはそれらの任意の組み合わせを含む均質化したたばこ材料のきめのあるシートの集合体を含んでもよい。
【0080】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。
【0081】
本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波型形状を有するシートを説明するために使用される。
【0082】
エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、実質的に平行な隆起または波型形状は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、または平行に延在することが有利である。これは、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を容易にして、エアロゾル形成基体を形成する。
【0083】
しかし、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートが、あるいはまたはさらに、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に鋭角または鈍角で配置される複数の実質的に平行な隆起または波型形状を有してもよいことが認識される。
【0084】
エアロゾル形成基体は実質的に円柱状であることが好ましい。
【0085】
エアロゾル形成基体は、約5mm〜約20mmの長さ、例えば約6mm〜約15mmの長さ、または約7mm〜約12mmの長さを有してもよい。
【0086】
エアロゾル形成基体は、約5mm〜約9mmの直径、例えば約7mm〜約8mmの直径を有してもよい。
【0087】
本明細書に使用される場合、「遠位」、「上流」および「前方」、ならびに「近位」、「下流」および「後方」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品は、使用時にユーザーに送達するためにエアロゾルがエアロゾル発生物品を抜け出る近位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端は口側の端と呼ばれることもある。使用時に、エアロゾル発生物品によって生成されたエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生物品の近位端を吸い込む。
【0088】
本発明によるエアロゾル発生物品は、遠位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の遠位端の下流にある。また、エアロゾル発生物品の近位端は、エアロゾル発生物品の下流端として言及してもよく、エアロゾル発生物品の遠位端はまた、エアロゾル発生物品の上流端として言及してもよい。本発明によるエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分は、エアロゾル発生物品の近位端とエアロゾル発生物品の遠位端との間のこれらの相対的位置に基づき互いの上流または下流にあると説明されうる。
【0089】
本明細書に使用される場合、「長軸方向」および「軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の近位端と遠位端との間の方向を説明するために使用される。
【0090】
本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品の構成要素、または構成要素の部分のエアロゾル発生物品の長軸方向における最大寸法を説明するために使用される。それは、エアロゾル発生物品の近位端と遠位端との間の方向における最大寸法である。
【0091】
「横断方向」という用語は、本明細書に使用される場合、長軸方向に対して垂直な方向を説明するために使用される。それは、エアロゾル発生物品の近位端と遠位端との間の方向に対して垂直な方向である。
【0092】
本明細書に使用される「直径」という用語は、エアロゾル発生物品の横断方向での最大寸法を示す。
【0093】
熱伝導性要素は、実質的にラッパーの全長に沿ってラッパーの周りにあり、かつそれと接触しうる。
【0094】
あるいは、熱伝導性要素は、ラッパーの長さの一部分のみに沿ってラッパーの周りにあり、かつそれと接触しうる。
【0095】
上述したように、一定の実施形態では、熱伝導性要素はサセプタであってもよく、エアロゾル発生物品は、変動または交流電磁場を生成するためのインダクタを備える電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するように構成されうる。
【0096】
こうした実施形態では、エアロゾル発生物品は、使用時に、インダクタにより生成された変動または交流電磁場が、抵抗損失(ジュール加熱)およびヒステリシス損失(サセプタが磁性である場合)のうち一方または両方の結果としてサセプタの加熱を引き起こすサセプタにおける渦電流を誘発するように、エアロゾル発生装置と連動する。サセプタ内に生成された熱は、伝導によりエアロゾル形成基体の周辺部に伝達される。
【0097】
本発明によると、熱伝導性要素がサセプタである本発明によるエアロゾル発生物品と、変動または交流電磁場を生成するためのインダクタを備える電気的に作動するエアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システムがまた提供される。
【0098】
その他の実施形態では、エアロゾル発生物品は熱源を備えうる。こうした実施形態では、熱伝導性要素は、伝導によって、熱源からエアロゾル形成基体の周辺部に熱を伝達する。
【0099】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流の可燃性熱源を備える。
【0100】
具体的には、好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流の可燃性炭素質熱源を備える。
【0101】
本明細書に使用される場合、「炭素質」という用語は、炭素を含む可燃性熱源を説明するために使用される。
【0102】
可燃性熱源は、固体の可燃性熱源であることが好ましい。
【0103】
熱伝導性要素は、可燃性熱源の少なくとも後方部分およびラッパーの少なくとも前方部分の周りにあり、かつそれと接触することが有利である。
【0104】
熱伝導性要素は、可燃性熱源の少なくとも後方部分およびラッパーの少なくとも前方部分の周りにあり、かつそれと直接接触することが有利である。
【0105】
こうした実施形態において、熱伝導性要素は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に熱リンクを提供する。有利には、これは、許容されるエアロゾルを提供するための可燃性熱源からエアロゾル形成基体への適切な熱伝達の促進を助ける。
【0106】
可燃性熱源はエアロゾル発生物品の遠位端に位置するか、またはそれに近接する。
【0107】
可燃性熱源は実質的に円筒形であることが好ましい。
【0108】
可燃性熱源は、約7mm〜約17mmの長さ、例えば約7mm〜約15mmの長さ、または約7mm〜約13mmの長さを有してもよい。
【0109】
可燃性熱源は、約5mm〜約9mmの直径、例えば約7mm〜約8mmの直径を有してもよい。
【0110】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源の前方部分を少なくとも部分的に覆うように構成されるキャップを備えうる。こうした実施形態では、キャップは、取り外し可能であり、それにより、エアロゾル発生物品の使用前に可燃性熱源の前方部分が露出される。
【0111】
本明細書に使用される場合、「キャップ」という用語は、可燃性熱源の前方部分を実質的に囲むエアロゾル発生物品の遠位端における保護カバーを説明するために使用される。
【0112】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを備えうる。
【0113】
可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることにより、可燃性熱源の点火および燃焼の間にエアロゾル形成基体が曝される温度が、有利に抑制されうる。これは、エアロゾル発生物品の使用時にエアロゾル形成基体の熱劣化または燃焼を回避または低減するのに役立ちうる。
【0114】
可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることにより、エアロゾル発生物品の貯蔵および使用中、可燃性熱源へのエアロゾル形成基体の構成要素の移動が、有利に実質的に防止または阻害されうる。
【0115】
本明細書に使用される場合、「不燃性」という用語は、その点火および燃焼の間に可燃性熱源によって到達される温度で実質的に不燃性であるバリアを説明するために使用される。
【0116】
可燃性熱源の前端面は可燃性熱源の上流端にある。可燃性熱源の上流端は、エアロゾル発生物品の近位端から最も遠い可燃性熱源の末端である。可燃性熱源の後端面は可燃性熱源の前端面と向かい合う。可燃性熱源の後端面は可燃性熱源の下流端にある。可燃性熱源の下流端は、エアロゾル発生物品の近位端に最も近い可燃性熱源の末端である。
【0117】
バリアは可燃性熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方に隣接してもよい。あるいは、バリアは可燃性熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0118】
有利には、バリアは、可燃性熱源の後端面に接着される、または別の方法で貼り付けられる。
【0119】
可燃性熱源の後端面にバリアを接着する、または貼り付けるための適切な方法は、当技術分野において公知であり、吹き付け塗装、蒸着、浸漬、材料移動(例えば、ブラッシングまたは糊付け)、静電沈着またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0120】
可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間のバリアは、低い熱伝導率または高い熱伝導率を有してもよい。例えば、バリアは、改良非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定される時に、23℃および50%の相対湿度にて、バルク熱伝導率が約0.1W毎メートルケルビン(W/(m・K))〜約200W毎メートルケルビン(W/(m・K))である材料から形成されてもよい。
【0121】
可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間のバリアの厚さは、適切に調節されて、良好な性能を達成しうる。例えば、バリアの厚さは約10ミクロン〜約500ミクロンであってもよい。
【0122】
可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間のバリアは、点火中および燃焼中、可燃性熱源が達した温度で実質的に熱安定しており不燃性である一つ以上の適切な材料から形成されうる。適切な材料は、当技術分野で公知であり、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、ガラス、ミネラル、セラミック材料、樹脂、金属、またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0123】
一定の好ましい実施形態において、バリアはアルミ箔を含む。
【0124】
アルミ箔のバリアは、可燃性熱源にそれを糊付けするまたはプレスすることによって、可燃性熱源の後端面に適用されうる。バリアは、アルミ箔が可燃性熱源の少なくとも実質的に後端面全体を覆い、それに接着するように、切り取られ、または別途機械加工されうる。アルミ箔は、可燃性熱源の後端面全体を覆い、それに接着することが有利である。
【0125】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流の非ブラインド可燃性熱源を備えうる。
【0126】
本明細書に使用される場合、「非ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から後端面まで延在する少なくとも一つの気流チャネルを含む可燃性熱源を説明するために使用される。
【0127】
本明細書に使用される場合、「気流チャネル」という用語は、ユーザーの吸入のために引き込まれうる空気が通る、可燃性熱源の長さに沿って延在するチャネルを説明するために使用される。
【0128】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流の非ブラインド可燃性炭素質熱源を備えてもよい。
【0129】
エアロゾル形成基体の上流の非ブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品では、非ブラインド可燃性熱源の前端面から後端面に延在する少なくとも一つの気流チャネルは、ユーザーによる吸入のためにエアロゾル発生物品を通して引き込まれうる空気の一つ以上の気流経路の一部を形成する。
【0130】
エアロゾル形成基体の上流の非ブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体の加熱は、伝導および強制対流によって生じる。
【0131】
本発明によるエアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の上流の非ブラインド可燃性熱源と、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の不燃性の実質的に不通気性のバリアとを備える場合、バリアは、可燃性熱源の前端面から後端面まで延在する少なくとも一つの気流チャネルを通ってエアロゾル発生物品に入る空気が、エアロゾル発生物品を通って下流に引き込まれることを可能にすべきである。
【0132】
エアロゾル発生物品は、非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを備えてもよい。
【0133】
非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることにより、有利には、非ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼時に形成された燃焼および分解生成物が、引き込まれた空気が少なくとも一つの気流チャネルを通過する際に、少なくとも一つの気流チャネルを通してエアロゾル発生物品に引き込まれた空気に入ることが、有利に実質的に防止または阻害されうる。
【0134】
非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間の不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることにより、ユーザーによる吸煙の間、非ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化が有利に実質的に防止または阻害されうる。これは、ユーザーによる吸煙の間、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または阻害しうる。
【0135】
非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間のバリアは、低い熱伝導率または高い熱伝導率を有してもよい。
【0136】
非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間のバリアの厚さは、適切に調節されて、良好な性能を達成しうる。
【0137】
非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間のバリアは、実質的に熱安定しており、点火およびその燃焼の間に非ブラインド可燃性熱源によって達成される温度で不燃性である一つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、例えば粘土、金属酸化物(酸化鉄、アルミナ、チタニア、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニアおよびセリアなど)、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、およびその他のセラミック材料またはこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0138】
非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間のバリアは、少なくとも一つの気流チャネル内に挿入されるライナーを備えてもよい。
【0139】
非ブラインド可燃性熱源と少なくとも一つの気流チャネルとの間のバリアは、非ブラインド可燃性熱源の少なくとも一つの気流チャネルの内側表面に接着またはその他の方法で貼り付けられうる。
【0140】
非ブラインド可燃性熱源の少なくとも一つの気流チャネルの内側表面にバリアを接着または貼り付けるための適切な方法は、当技術分野において公知であり、US−A−5,040,551号およびWO−A2−2009/074870号に記載の方法を含むが、これらに限定されない。
【0141】
好ましい実施形態では、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を備える。
【0142】
特定の好ましい実施形態では、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性炭素質熱源を備える。
【0143】
本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から後端面まで延在するいかなる気流チャネルも含まない可燃性熱源を説明するために使用される。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から可燃性熱源の後端面まで延在する一つ以上の気流チャネルを含む可燃性熱源を説明するためにも使用され、その場合、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体バリアとの間の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、空気が可燃性熱源の長さに沿って一つ以上の気流チャネルを通して引き込まれることを防止する。
【0144】
エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品において、ブラインド可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、伝導によって主に生じ、強制対流によるエアロゾル形成基体の加熱は最小にされる、または減少される。これは、エアロゾル発生物品の主流エアロゾルの組成物へのユーザーの吸煙状況の影響を最小にする、または減少させるのに有利に役立ちうる。
【0145】
使用において、ユーザーによる吸入のために、エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品を通じて一つ以上の気流経路に沿って引き込まれた空気は、ブラインド可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない。ブラインド可燃性熱源を通る気流チャネルの欠如は、ユーザーによる吸煙の間のブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に防止または阻害する。これは、ユーザーによる吸煙の間、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または阻害する。
【0146】
ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を防止または阻害すること、およびそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を防止または阻害することによって、激しい吸煙状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解が有利に回避されうる。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーの吸煙状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。
【0147】
また、エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を含めることにより、ブラインド可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物ならびにその他の材料が、その使用中にエアロゾル発生物品を通して引き込まれる空気に入ることが、有利に実質的に防止または阻害されうる。
【0148】
エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を通して空気を一つ以上の気流経路の中へと引き込むためのブラインド可燃性熱源の後端面の下流にある一つ以上の空気吸込み口を備える。
【0149】
エアロゾル形成基体の上流の非ブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を通して一つ以上の気流経路の中へと空気を引き込むための非ブラインド可燃性熱源の後端面の下流の一つ以上の空気吸込み口も備えてもよい。
【0150】
一定の実施形態では、エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の周辺部の周りに一つ以上の空気吸込み口を備える。
【0151】
こうした実施形態では、ユーザーによる吸煙の間、冷気は、エアロゾル形成基体の周辺部の周りで一つ以上の空気吸込み口を通してエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体内に引き込まれる。これは、有利には、ユーザーによる吸煙の間、エアロゾル形成基体の温度を低減し、そのためエアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または阻害する。
【0152】
本明細書に使用される「冷気」という用語は、ユーザーによる吸煙の際に可燃性熱源によって著しく加熱されない周囲空気を説明するために使用される。
【0153】
エアロゾル形成基体の温度の急上昇を防止または阻害することによって、エアロゾル形成基体の周辺部に一つ以上の空気吸込み口を含めることは、激しい吸煙状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解を回避または低減するのに有利に役立つ。さらに、エアロゾル形成基体の周辺部の周りに一つ以上の空気吸込み口を含めることにより、エアロゾル発生物品の主流エアロゾルの組成物に対するユーザーの吸煙状況の影響が有利には最小化または低減される。
【0154】
一定の好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流端の近位に位置する一つ以上の空気吸込み口を備える。
【0155】
当然のことながら、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流の非ブラインド可燃性熱源、またはユーザーによる吸入の間に空気がそれを通じて引き込まれる場合がない一つ以上の閉じた、または塞がれた通路を備えるエアロゾル形成基体の上流のブラインド可燃性熱源を備えてもよい。
【0156】
例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、可燃性熱源の長さに沿って、可燃性熱源の前端面から途中までのみ延在する一つ以上の閉じた通路を備える、エアロゾル形成基体の上流の可燃性熱源を備えてもよい。
【0157】
一つ以上の閉じた空気通路を含めることにより、空気からの酸素に曝される可燃性熱源の表面領域が増大し、可燃性熱源の点火および燃焼の持続が有利に容易となりうる。
【0158】
本発明によるエアロゾル発生物品がエアロゾル形成基体の上流の可燃性炭素質熱源を備える場合、可燃性炭素質熱源は、可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約35%の炭素含有量(例えば、可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約40パーセントの炭素含有量、または可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約45パーセントの炭素含有量)を有することが好ましい。
【0159】
一部の実施形態では、可燃性炭素質熱源は可燃性炭素ベース熱源であってもよい。
【0160】
本明細書に使用される場合、「炭素ベース」という用語は、主に炭素から成る可燃性炭素質熱源であって、可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約50パーセントの炭素含有量を有する可燃性炭素質熱源を説明するために使用される。例えば、可燃性炭素質熱源は、可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約60パーセント、または可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約70パーセント、もしくは可燃性炭素質熱源の乾燥質量で少なくとも約80パーセントの炭素含有量を有してもよい。
【0161】
可燃性炭素質熱源は、一つ以上の適切な炭素含有材料から形成されてもよい。
【0162】
一つ以上の結合剤を、一つ以上の炭素含有材料と組み合わせてもよい。このような実施形態では、可燃性炭素質熱源は、一つ以上の有機結合剤、一つ以上の無機結合剤、または一つ以上の有機結合剤と一つ以上の無機結合剤との組み合わせを含みうる。
【0163】
可燃性炭素質熱源は、可燃性炭素質熱源の特性を改善するために一つ以上の添加剤を含みうる。適切な添加剤としては、可燃性炭素質熱源の圧密を促進する添加剤(例えば、焼結助剤)、可燃性炭素質熱源の点火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、ジルコニウムおよびこれらの組み合わせなどの酸化剤)、可燃性炭素質熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、クエン酸カリウムなどのカリウムおよびカリウム塩)、可燃性炭素質熱源の燃焼によって生成される一つ以上の気体の分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe23およびAl23などの触媒)、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
有利には、可燃性炭素質熱源は、少なくとも一つの点火補助剤を含む。一定の好ましい実施形態では、可燃性炭素質熱源は、WO−A1−2012/164077号に記載されているように、少なくとも一つの点火補助剤を含む。
【0165】
本発明によるエアロゾル発生物品で使用するための可燃性炭素質熱源を製造するための適切な処理は、当技術分野において公知であり、押し付け処理および押し出し成形処理を含むが、これらに限定されない。
【0166】
本発明によるエアロゾル発生物品は、熱伝導性要素の少なくとも一部分の周りに一つ以上の追加的な熱伝導性要素を備えうる。
【0167】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流の移動要素またはスペーサー要素を備えうる。
【0168】
移動要素は、エアロゾル形成基体に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル形成基体から間隙を介していてもよい。
【0169】
移動要素を含めることにより、エアロゾル形成基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却が有利に可能となる。移動要素を含めることにより、本発明によるエアロゾル発生物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択により所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することも有利には可能となる。
【0170】
移動要素の長さは、約7mm〜約50mm、例えば約10mm〜約45mm、または約15mm〜約30mmであってもよい。移動要素の長さは、エアロゾル発生物品の所望の全長、およびエアロゾル発生物品内のその他の構成要素の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0171】
移動要素は少なくとも一つの端の開いた管状中空体を備えうる。このような実施形態では、使用時、エアロゾル発生物品の中へと引き込まれる空気は、それがエアロゾル発生物品を通ってエアロゾル形成基体からマウスピースまで下流に通過する時に、少なくとも一つの端の開いた管状中空体を通過する。
【0172】
移動要素は、エアロゾル形成基体への熱の移動によって生成されるエアロゾルの温度で実質的に熱安定している一つ以上の適切な材料から形成される少なくとも一つの端の開いた管状中空体を含んでいてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙、ボール紙、プラスチック、このような酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0173】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流にあるエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長軸方向に延在するチャネルを含んでもよい。
【0174】
エアロゾル冷却要素は、金属箔、重合体材料および実質的に非多孔性の紙またはボール紙から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。一定の実施形態において、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。
【0175】
一定の好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater−Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含んでもよい。
【0176】
本発明によるエアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の下流の移動要素、およびエアロゾル形成基体の下流のエアロゾル冷却要素を備える場合、エアロゾル冷却要素は、移動要素の下流にあることが好ましい。
【0177】
本発明に従ったエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流にマウスピースを備えうる。
【0178】
マウスピースは、エアロゾル発生物品の近位端に位置することが好ましい。
【0179】
マウスピースは低濾過効率のマウスピースであることが好ましく、非常に低い濾過効率のマウスピースであることがより好ましい。マウスピースは単一のセグメントであっても、または構成要素マウスピースであってもよい。あるいは、マウスピースはマルチセグメントマウスピースであっても、または複数構成要素マウスピースであってもよい。
【0180】
マウスピースは、適切な公知の濾過材料を含む一つ以上のセグメントを含むフィルターを含んでもよい。適切な濾過材料は当技術分野で公知であり、酢酸セルロースおよび紙を含むが、これらに限定されない。あるいはまたはさらに、マウスピースは吸収剤、吸着剤、風味剤、およびその他のエアロゾル変性剤および添加剤またはその組み合わせを含む一つ以上のセグメントを含みうる。
【0181】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流に一つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピース、移動要素、およびエアロゾル冷却要素のうち一つ以上は、一つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。
【0182】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル修飾剤」という用語は、使用時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体によって生成されるエアロゾルの一つ以上の特徴または特性を修飾する任意の薬剤を説明するために使用される。
【0183】
適切なエアロゾル修飾剤は、風味剤、および化学感覚剤を含むが限定されない。
【0184】
本明細書に使用される場合、「化学感覚剤」という用語は、使用において、味覚受容体または嗅覚受容体細胞による知覚以外、またはそれに追加した手段によってユーザーの口、または嗅空洞において知覚される任意の薬剤を説明するために使用される。化学感覚剤の知覚は、三叉神経、舌咽神経、迷走神経またはこれらのいくつかの組み合わせのいずれかを経て、典型的には「三叉神経応答」を経る。典型的には、化学感覚剤は、辛い、香辛料のきいた、冷却するまたは和らげる感覚として知覚される。
【0185】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流に、風味剤と化学感覚剤の両方である一つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピース、移動要素およびエアロゾル冷却要素のうち一つ以上は、冷却する化学感覚効果を提供するメントールまたは別の風味剤を含んでもよい。
【0186】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体および熱伝導性要素を囲む外側ラッパーを備えうる。
【0187】
本発明によるエアロゾル発生物品が、例えば、移動要素、冷却要素またはマウスピースなどのエアロゾル形成基体の下流の一つ以上の構成要素を備える場合、外側ラッパーは、エアロゾル形成基体の下流の構成要素の一部またはすべてを囲みうる。
【0188】
本発明によるエアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の上流の可燃性熱源および外側ラッパーを備える場合、外側ラッパーは、可燃性熱源の少なくとも後方部分を囲むことが好ましい。
【0189】
本発明によるエアロゾル発生物品は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成される外側ラッパーを含んでもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙巻たばこ用紙を含むが、これに限定されない。
【0190】
本発明によるエアロゾル発生物品は公知の方法および機械を使用して組み立てられてもよい。
【0191】
誤解を避けるために、本発明の一つの態様に関する上述の特徴はまた、本発明の他の態様に適用されてもよい。
【0192】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0193】
図1図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向断面を示す。
図2(a)】図2(a)は、図1に示した本発明の実施形態によるエアロゾル発生物品に関して吸煙毎に供給されたエアロゾル形成体(グリセリン)の量のグラフを示し、二つのエアロゾル発生物品は、本発明によるものではない。
図2(b)】図2(b)は、図1に示した本発明の実施形態によるエアロゾル発生物品に関して吸煙毎に供給されたニコチンの量のグラフを示し、二つのエアロゾル発生物品は、本発明によるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0194】
図1に示した本発明の実施形態によるエアロゾル発生物品2は、同軸配列で当接する、前端面6および対向する後端面8を有する可燃性炭素質熱源4、エアロゾル形成基体10、移動要素12、エアロゾル冷却要素14、スペーサー要素16、およびマウスピース18を備える。図1に示したように、エアロゾル形成基体10、移動要素12、エアロゾル冷却要素14、スペーサー要素16、およびマウスピース18、ならびにブラインド可燃性熱源4の後方部分は、例えば、紙巻たばこ用紙などのシート材料の外側ラッパー20に包まれる。
【0195】
可燃性炭素質熱源4は、ブラインド炭素質可燃性熱源であり、エアロゾル発生物品2の遠位端に位置する。図1に示したように、アルミ箔のディスクの形態の不燃性の実質的に不通気性のバリア22は、可燃性炭素質熱源4の後端面8とエアロゾル形成基体10との間に提供される。バリア22は、可燃性炭素質熱源4の後端面8上へアルミ箔のディスクをプレスすることによって可燃性炭素質熱源4の後端面8に適用され、可燃性炭素質熱源4の後端面8およびエアロゾル形成基体10に隣接する。
【0196】
エアロゾル形成基体10は、ブラインド可燃性炭素質熱源4の後端面8に適用されるバリア22のすぐ下流に位置する。エアロゾル形成基体10は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体24と、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体24の周りにあり、かつそれと直接接触する、ラッパー26と、を含む。均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体24は、例えば、グリセリンなどの適切なエアロゾル形成体を含む。ラッパー26は、例えば、グリセリンなどの適切なエアロゾル形成体を含み、ラッパーの総重量の約8重量%〜約20重量%のエアロゾル形成体含有量を有する。
【0197】
移動要素12はエアロゾル形成基体10のすぐ下流に位置し、円柱状の端の開いた中空の酢酸セルロースチューブ28を含む。
【0198】
エアロゾル冷却要素14は移動要素12のすぐ下流に位置し、例えば、ポリ乳酸などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を備える。
【0199】
スペーサー要素16はエアロゾル冷却要素14のすぐ下流に位置し、円柱状の端の開いた中空の紙またはボール紙管を備える。
【0200】
マウスピース18はスペーサー要素16のすぐ下流に位置する。図1に示したように、マウスピース18はエアロゾル発生物品2の近位端に位置し、フィルタープラグラップ32に包まれた、例えば非常に低い濾過効率の酢酸セルローストウなどの適切な濾過材料の円柱状プラグ30を含む。
【0201】
エアロゾル発生物品は、外側ラッパー20の下流端部分を取り囲むチッピングペーパー(図示せず)のバンドをさらに含んでいてもよい。
【0202】
図1に示したように、エアロゾル発生物品2は、ブラインド可燃性熱源4の後方部分4bおよびエアロゾル形成基体10の前方部分10aの周りにあり、かつそれと直接接触する、例えば、アルミ箔などの適切な熱伝導性材料から形成される熱伝導性要素34をさらに備える。図1に示す本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品2では、エアロゾル形成基体10は、熱伝導性要素34を越えて下流に延在する。すなわち、熱伝導性要素34は、エアロゾル形成基体10の後方部分の周りになくかつそれと直接接触しない。しかし、当然のことながら、本発明のその他の実施形態では(図示せず)、熱伝導性要素34がエアロゾル形成基体10の全長の周りにあってもよく、またそれと接触してもよい。当然のことながら、本発明のその他の実施形態(図示せず)では、熱伝導性要素34の上にある一つ以上の追加的な熱伝導性要素も提供されてもよい。
【0203】
図1に示す本発明の実施形態によるエアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体10の周辺部に一つ以上の第一の空気吸込み口36を備える。図1に示すように、第一の空気吸込み口36の周囲配置は、エアロゾル形成基体10のラッパー26および上にある外側ラッパー20に提供されて、冷気(図1で点線矢印によって示した)をエアロゾル形成基体10へと入れる。
【0204】
使用時、ユーザーは、可燃性炭素質熱源4を点火する。可燃性炭素質熱源4が点火されると、ユーザーはエアロゾル発生物品2のマウスピース18を吸う。ユーザーがマウスピース18で吸う時、冷気(図1に点線矢印によって示す)は、第一の空気吸込み口36を通ってエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10の中へと引き込まれる。
【0205】
エアロゾル形成基体10の前方部分10aの周辺部は、可燃性炭素質熱源4の後端面8およびバリア22ならびに熱伝導性要素34を通して伝導によって加熱される。
【0206】
伝導によるエアロゾル形成基体10の加熱は、ラッパー26からエアロゾル形成体を放出し、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体24からエアロゾル形成体、ならびにその他の揮発性および半揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体10から放出される化合物は、それがエアロゾル形成基体10を通して流れるにつれて、第一の空気吸込み口36を介してエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10に引き込まれる空気に混入されるエアロゾルを形成する。引き込まれた空気および混入されたエアロゾル(図1に破線の矢印によって示す)は、移動要素12の円柱状の端の開いた中空の酢酸セルロースチューブ28、エアロゾル冷却要素14、およびスペーサー要素16の内部を通って下流を通過し、ここで冷却され凝結する。冷却された引き込まれた空気および混入したエアロゾルは、マウスピース18を通って下流に流れ、エアロゾル発生物品2の近位端を通ってユーザーに送達される。可燃性炭素質熱源4の後端面8の上の不燃性の実質的に不通気性のバリア22は、使用時に、エアロゾル発生物品2を通って引き込まれる空気が可燃性炭素質熱源4と直接接触しないように、エアロゾル発生物品2を通って引き込まれた空気から可燃性炭素質熱源4を分離する。
【0207】
図1に示す本発明の実施形態によるエアロゾル発生物品は、グリセリンを含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体、および均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体の周りにあり、かつそれと直接接触するたばこ含有紙ラッパーを含み、たばこ含有紙ラッパーが、たばこ含有紙ラッパーの総重量の10重量%のグリセリン含有量を有する、エアロゾル形成基体と、たばこ含有紙ラッパーの前方部分の周りにあり、かつそれと接触するアルミ箔で形成される熱伝導性要素と、を備えて製造される。
【0208】
本発明に従わない第一の比較用エアロゾル発生物品は、グリセリンを含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体、および均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体の周りにありかつそれと直接接触するたばこ含有紙ラッパーを含む、エアロゾル形成基体と、たばこ含有紙ラッパーの前方部分の周りにありかつそれと接触するアルミ箔で形成される熱伝導性要素と、を備えて製造される。本発明に従わない第一の比較用エアロゾル発生物品のたばこ含有紙ラッパーは、グリセリンを含まない。他の点では、本発明に従わない第一の比較用エアロゾル発生物品のたばこ含有紙ラッパーは、本発明に従うエアロゾル発生物品のたばこ含有紙ラッパーと同じである。
【0209】
本発明に従わない第二のエアロゾル発生物品はまた、グリセリンを含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体、および均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体の周りにあり、かつそれと直接接触するフィルタープラグラップの紙ラッパーを含む、エアロゾル形成基体と、フィルタープラグラップの紙ラッパーの前方部分の周りにあり、かつそれと接触するアルミ箔で形成される熱伝導性要素と、を備えて製造される。
【0210】
本発明に従わない第一の比較用エアロゾル発生物品および第二の比較用エアロゾル発生物品は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体の周りにあり、かつそれと直接接触するタイプのラッパーという点においてのみ本発明に従うエアロゾル発生物品と異なり、第一の比較用エアロゾル発生物品および第二の比較用エアロゾル発生物品の可燃性炭素質熱源、熱伝導性要素、移動要素、エアロゾル冷却要素、スペーサー要素、およびマウスピース、ならびにすべてのその他の構成要素および寸法は、本発明に従うエアロゾル発生物品のそれらと同一である。
【0211】
本発明、第一の比較用エアロゾル発生物品、および第二の比較用エアロゾル発生物品に従うエアロゾル発生物品に関する吸煙毎の(a)グリセリン(マイクログラムにおける)および(b)ニコチン(マイクログラムにおける)の量は、55mlの吸煙量、2秒の吸煙持続時間、および30秒の吸煙間隔を用いた12回の吸煙を通じるカナダ保健省喫煙制度に基づく吸煙回数の関数として測定された。吸煙のそれぞれが、Cambridgeフィルターパッドで収集され、その後、液体溶剤を用いて抽出した。その結果得られた液体がガスクロマトグラフィーで分析され、ニコチン送達が決定された。結果を以下に示す。図2(a)吸煙毎のグリセリン送達プロフィール、および図2(b)吸煙毎のニコチン送達プロフィール。図2(a)および図2(b)において、本発明によるエアロゾル発生物品についての吸煙毎の送達プロフィールは、右側の柱によって示され、第一の比較用エアロゾル発生物品についての吸煙毎の送達プロフィールは、中央の柱によって示され、第二の比較用エアロゾル発生物品についての吸煙毎の送達プロフィールは、左側の柱によって示される。
【0212】
図2(a)および図2(b)に示すように、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体のたばこ材料の周りにあり、かつそれと直接接触するラッパーの総重量の10重量%のエアロゾル形成体含有量を有するラッパーを含めることにより、有利には、たばこ材料、およびたばこ材料の周りにあり、かつそれと直接接触するラッパーを含み、ラッパーが、ラッパーの総重量の約5重量%〜約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有さない、エアロゾル形成基体を備える、本発明に従わない第一の比較用エアロゾル発生物品および本発明に従わない第二の比較用エアロゾル発生物品について得られるものよりもより一貫した吸煙毎のグリセリンおよびニコチン送達プロフィールがもたらされる。図2(a)および図2(b)に示すように、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体のたばこ材料の周りにあり、かつそれと直接接触するラッパーの総重量の10重量%のエアロゾル形成体含有量を有するラッパーを含めることにより、一般的に、第一の比較用エアロゾル発生物品および第二の比較用エアロゾル発生物品と比較して、初期段階での吸煙(吸煙回数1〜3)および最終段階の吸煙(吸煙回数9〜12)におけるニコチンおよびグリセリンの量の増加、ならびに中間の吸煙(吸煙回数5〜7)におけるニコチンおよびグリセリンの量の減少がもたらされる。
【0213】
上記の特定の実施形態および例は本発明を説明するものであるが、本発明を限定するものではない。当然のことながら、本発明の他の実施形態がなされてもよく、また本明細書で記載した具体的な実施形態および例は網羅的なものでない。
図1
図2(a)】
図2(b)】