(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号間隔算出部は、前記第1の信号を受信してから前記第2の信号を受信するまでにモニタ時間間隔ごとにカウントされたカウント数に、前記モニタ時間間隔を乗じることにより前記信号間隔を算出することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
前記出力角度算出部は、前記モータの目標トルクと、前記モータの回転速度と、前記PWM信号の出力角度との関係を示す出力角度マップを、前記モータの目標トルクおよび前記回転速度を用いて検索することにより、前記出力角度を取得することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
前記出力角度算出部は、前記モータの目標トルクと、前記モータの回転速度と、前記PWM信号のデューティ比との関係を示すデューティ比マップを、前記モータの目標トルクおよび前記回転速度を用いて検索することにより前記PWM信号のデューティ比を取得することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
前記信号受信部が受信する前記信号は、前記複数の回転位置センサから出力されたパルス信号の立ち上がりエッジ信号および立ち下がりエッジ信号であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
前記誤差は、前記回転位置センサから前記信号が出力されたタイミングにおける前記モータの回転位置に基づいて得られる値であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
駆動装置の制御部は、モータの回転速度を用いて出力角度(進角、遅角)を算出し、算出された出力角度に基づくタイミングでPWM信号をインバータに出力する。制御部は、モータの各相に対応付けて設けられた複数の回転位置センサから出力される信号を用いてモータの回転速度を算出する。回転位置センサからは、所定の電気角ごとに立ち上がりエッジ信号または立ち下がりエッジ信号(以下、まとめて「センサ信号」ともいう。)が出力される。
【0006】
ところで、回転位置センサの取付位置には誤差(ずれ)がある場合がある。このため、回転位置センサから受信したセンサ信号を用いて算出された出力角度でモータ制御を行うと、モータの効率が低下するおそれがある。また、モータの効率が低下した状態で所要のトルクをモータに出力させようとして、モータに電力を供給するバッテリの負荷が大きくなるおそれもある。
【0007】
そこで、本発明は、回転位置センサの取付位置に誤差がある場合でも、適切なモータ制御を行うことが可能な電動車両制御装置、電動車両制御方法、電動車両制御プログラムおよび電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る駆動装置は、
負荷を駆動するモータに設けられた複数の回転位置センサから出力され、前記モータの回転速度に応じた間隔で到来する信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が第1の信号を受信した後、第2の信号を受信すると、前記第1の信号の受信時刻と前記第2の信号の受信時刻との間の信号間隔を算出する信号間隔算出部と、
前記モータの回転速度および目標トルクに基づいて、前記モータに交流電力を供給するインバータを制御するためのPWM信号の出力角度を算出する出力角度算出部と、
前記各回転位置センサの取付位置の誤差を取得する取付誤差取得部と、
前記信号受信部が前記第2の信号の次に到来する第3の信号を受信するまでに、前記信号間隔、前記出力角度、および前記各回転位置センサに係る前記誤差に基づいて前記PWM信号の出力タイミング時間を決定するタイミング決定部と、
前記第3の信号が受信されてから前記出力タイミング時間が経過したときに前記インバータにPWM信号を出力するモータ制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記駆動装置において、
前記モータは、第1の相、第2の相および第3の相を有し、
前記複数の回転位置センサは、前記第1の相に対応する第1の回転位置センサと、前記第2の相に対応する第2の回転位置センサと、前記第3の相に対応する第3の回転位置センサであり、
前記第1の信号は、前記第1の回転位置センサから出力されたものであり、
前記第2の信号は、前記第2の回転位置センサから出力されたものであり、
前記第3の信号は、前記第3の回転位置センサから出力されたものであり、
前記取付誤差取得部は、前記第1の回転位置センサに係る第1の誤差、前記第2の回転位置センサに係る第2の誤差、および前記第3の回転位置センサに係る第3の誤差を取得し、
前記タイミング決定部は、
前記第1の誤差および前記第2の誤差に基づいて前記信号間隔を補正し、
前記第3の誤差に基づいて前記出力角度を補正し、
前記補正された信号間隔に、前記補正された出力角度に対応する時間を乗じることにより、前記出力タイミング時間を算出するようにしてもよい。
【0010】
また、前記駆動装置において、
前記モータは、第1の相、第2の相および第3の相を有し、
前記複数の回転位置センサは、前記第1の相に対応する第1の回転位置センサと、前記第2の相に対応する第2の回転位置センサと、前記第3の相に対応する第3の回転位置センサであり、
前記第1の信号は、前記第1の回転位置センサから出力されたものであり、
前記第2の信号は、前記第2の回転位置センサから出力されたものであり、
前記第3の信号は、前記第3の回転位置センサから出力されたものであり、
前記取付誤差取得部は、前記第1の回転位置センサに係る第1の誤差、前記第2の回転位置センサに係る第2の誤差、および前記第3の回転位置センサに係る第3の誤差を取得し、
前記タイミング決定部は、下式により前記出力タイミング時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【数1】
【0011】
ここで、toは前記出力タイミング時間であり、ΔTは前記信号間隔であり、AS1は前記第1の誤差であり、AS2は前記第2の誤差であり、AS3は前記第3の誤差であり、θは前記モータの電気角であり、DEGは前記出力角度である。
【0012】
また、前記駆動装置において、
前記信号間隔算出部は、前記第1の信号を受信してから前記第2の信号を受信するまでにモニタ時間間隔ごとにカウントされたカウント数に、前記モニタ時間間隔を乗じることにより前記信号間隔を算出するようにしてもよい。
【0013】
また、前記駆動装置において、
前記信号間隔算出部は、前記信号間隔を算出した後、前記カウント数をリセットするようにしてもよい。
【0014】
また、前記駆動装置において、
前記出力角度算出部は、前記モータの目標トルクと、前記モータの回転速度と、前記PWM信号の出力角度との関係を示す出力角度マップを、前記モータの目標トルクおよび前記回転速度を用いて検索することにより、前記出力角度を取得するようにしてもよい。
【0015】
また、前記駆動装置において、
前記信号間隔算出部は、下式により得られる瞬時回転速度を前記モータの回転速度として用いて前記出力角度を算出するようにしてもよい。
n = 60000/(ΔT×Np)
ここで、nは前記モータの瞬時回転速度[rpm]であり、ΔTは前記信号間隔[mSec]であり、Npは前記モータが電気角で一回転する間に前記信号受信部が受信するセンサ信号の数である。
【0016】
また、前記駆動装置において、
前記出力角度算出部は、前記モータの目標トルクと、前記モータの回転速度と、前記PWM信号のデューティ比との関係を示すデューティ比マップを、前記モータの目標トルクおよび前記回転速度を用いて検索することにより前記PWM信号のデューティ比を取得するようにしてもよい。
【0017】
また、前記駆動装置において、
前記信号受信部が受信する前記信号は、前記複数の回転位置センサから出力されたパルス信号の立ち上がりエッジ信号および立ち下がりエッジ信号であるようにしてもよい。
【0018】
また、前記駆動装置において、
前記誤差は、前記回転位置センサから前記信号が出力されたタイミングにおける前記モータの回転位置に基づいて得られる値であるようにしてもよい。
【0019】
また、前記駆動装置において、
前記誤差は、前記モータを複数回回転させて得られた値の平均値であるようにしてもよい。
【0020】
本発明に係る電動車両は、
前記駆動装置であって、前記負荷が電動車両の車輪である、駆動装置を備えることを特徴とする。
【0021】
また、前記電動車両において、
前記車輪と前記モータがクラッチを介さずに機械的に接続されていてもよい。
【0022】
本発明に係る駆動方法は、
信号受信部が、負荷を駆動するモータに設けられた複数の回転位置センサから出力され、前記モータの回転速度に応じた間隔で到来する信号を受信するステップと、
信号間隔算出部が、前記信号受信部が第1の信号を受信した後、第2の信号を受信すると、前記第1の信号の受信時刻と前記第2の信号の受信時刻との間の信号間隔を算出するステップと、
出力角度算出部が、前記モータの回転速度および目標トルクに基づいて、前記モータに交流電力を供給するインバータを制御するためのPWM信号の出力角度を算出するステップと、
取付誤差取得部が、前記各回転位置センサの取付位置の誤差を取得するステップと、
タイミング決定部が、前記信号受信部が前記第2の信号の次に到来する第3の信号を受信するまでに、前記信号間隔、前記出力角度、および前記各回転位置センサに係る前記誤差に基づいて前記PWM信号の出力タイミング時間を決定するステップと、
モータ制御部が、前記第3の信号が受信されてから前記出力タイミング時間が経過したときに前記インバータにPWM信号を出力するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る駆動プログラムは、
信号受信部が、負荷を駆動するモータに設けられた複数の回転位置センサから出力され、前記モータの回転速度に応じた間隔で到来する信号を受信するステップと、
信号間隔算出部が、前記信号受信部が第1の信号を受信した後、第2の信号を受信すると、前記第1の信号の受信時刻と前記第2の信号の受信時刻との間の信号間隔を算出するステップと、
出力角度算出部が、前記モータの回転速度および目標トルクに基づいて、前記モータに交流電力を供給するインバータを制御するためのPWM信号の出力角度を算出するステップと、
取付誤差取得部が、前記各回転位置センサの取付位置の誤差を取得するステップと、
タイミング決定部が、前記信号受信部が前記第2の信号の次に到来する第3の信号を受信するまでに、前記信号間隔、前記出力角度、および前記各回転位置センサに係る前記誤差に基づいて前記PWM信号の出力タイミング時間を決定するステップと、
モータ制御部が、前記第3の信号が受信されてから前記出力タイミング時間が経過したときに前記インバータにPWM信号を出力するステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、モータの各相に対応付けて設けられた複数の回転位置センサの取付位置の誤差を考慮してPWM信号の出力タイミング時間を決定するため、各相の回転位置センサの取付位置に誤差がある場合でも、適切なモータ制御を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、本発明に係る駆動装置の一実施形態として、電動車両を駆動制御する電動車両制御装置について説明する。なお、本発明に係る駆動装置は、電動車両の車輪以外の負荷を駆動するものであってもよい。
【0027】
まず、
図1を参照して、実施形態に係る電動車両100について説明する。
【0028】
電動車両100は、バッテリから供給される電力を用いてモータを駆動することで走行する車両である。本実施形態では、電動車両100は、電動バイク等の電動二輪車であり、より詳しくは、
図1に示すように、モータ3と車輪8がクラッチを介さずに機械的に直接接続された電動二輪車である。なお、本発明に係る電動車両は、モータ3と車輪8がクラッチを介して接続された車両であってもよい。また、二輪車に限定されるものではなく、例えば三輪または四輪の電動車両であってもよい。
【0029】
電動車両100は、
図1に示すように、電動車両制御装置1と、バッテリ2と、モータ3と、アングルセンサ(回転位置センサ)4と、アクセルポジションセンサ5と、アシストスイッチ6と、メータ(表示部)7と、車輪8と、充電器9と、を備えている。
【0030】
以下、電動車両100の各構成要素について詳しく説明する。
【0031】
電動車両制御装置1は、電動車両100を制御する装置であり、制御部10と、記憶部20と、電力変換部(ドライバ)30とを有している。なお、電動車両制御装置1は、電動車両100全体を統御するECU(Electronic Control Unit)として構成されてもよい。
【0032】
次に、電動車両制御装置1の各構成要素について詳しく説明する。
【0033】
制御部10は、電動車両制御装置1に接続された各種装置から情報を入力する。具体的には、制御部10は、バッテリ2、アングルセンサ(回転位置センサ)4、アクセルポジションセンサ5、アシストスイッチ6、充電器9から出力される各種信号を受信する。制御部10は、メータ7に表示する信号を出力する。また、制御部10は、電力変換部30を介してモータ3を制御する。制御部10の詳細については後述する。
【0034】
記憶部20は、制御部10が用いる情報や、制御部10が動作するためのプログラムを記憶する。この記憶部20には、トルクマップ等の各種マップや、アングルセンサの取付位置の誤差等の情報が記憶される。なお、記憶部20は、例えば不揮発性の半導体メモリであるが、これに限定されない。また、記憶部20は制御部10の一部として組み込まれていてもよい。
【0035】
電力変換部30は、バッテリ2から出力される直流電力を交流電力に変換してモータ3に供給する。本実施形態では、電力変換部30は、
図2に示すように、3相のフルブリッジ回路で構成されたインバータを有する。半導体スイッチQ1,Q3,Q5はハイサイドスイッチであり、半導体スイッチQ2,Q4,Q6はローサイドスイッチである。半導体スイッチQ1〜Q6の制御端子は、制御部10に電気的に接続されている。半導体スイッチQ1〜Q6は、例えばMOSFETまたはIGBT等である。
【0036】
図2に示すように、電源端子30aと電源端子30bとの間には平滑コンデンサCが設けられている。
【0037】
入力端子3aはモータ3のU相の入力端子であり、入力端子3bはモータ3のV相の入力端子であり、入力端子3cはモータ3のW相の入力端子である。
【0038】
半導体スイッチQ1は、
図2に示すように、バッテリ2の正極が接続された電源端子30aと、モータ3の入力端子3aとの間に接続されている。同様に、半導体スイッチQ3は、電源端子30aと、モータ3の入力端子3bとの間に接続されている。半導体スイッチQ5は、電源端子30aと、モータ3の入力端子3cとの間に接続されている。
【0039】
半導体スイッチQ2は、モータ3の入力端子3aと、バッテリ2の負極が接続された電源端子30bとの間に接続されている。同様に、半導体スイッチQ4は、モータ3の入力端子3bと、電源端子30bとの間に接続されている。半導体スイッチQ6は、モータ3の入力端子3cと、電源端子30bとの間に接続されている。
【0040】
バッテリ2は、電動車両100の車輪8を回転させるモータ3に電力を供給する。このバッテリ2は電力変換部30に直流電力を供給する。バッテリ2は、例えばリチウムイオン電池であるが、他の種類のバッテリであってもよい。なお、バッテリ2の数は一つに限らず、複数であってもよい。すなわち、電動車両100には、互いに並列または直列に接続された複数のバッテリ2が設けられてもよい。また、バッテリ2には、制御部10に動作電圧を供給するための鉛電池が含まれてもよい。
【0041】
バッテリ2は、バッテリ管理ユニット(BMU)を含む。バッテリ管理ユニットは、バッテリ2の電圧やバッテリ2の状態(充電率等)に関するバッテリ情報を制御部10に送信する。
【0042】
モータ3は、電力変換部30から供給される交流電力により、車輪8等の負荷を駆動するモータである。本実施形態では、モータ3は、車輪8に機械的に接続されており、所望の方向に車輪8を回転させる。モータ3は、U相、V相およびW相を有する三相交流モータである。前述のように、モータ3は、クラッチを介さずに車輪8に機械的に直接接続されている。なお、本実施形態では三相交流モータとして三相ブラシレスモータを使用するが、モータ3の種類はこれに限定されない。
【0043】
アングルセンサ4は、モータ3のロータ3rの回転位置を検出するセンサである。
図3に示すように、ロータ3rの周面には、N極とS極の磁石(センサマグネット)が交互に取り付けられている。アングルセンサ4は、例えばホール素子により構成されており、モータ3の回転に伴う磁場の変化を検出する。なお、
図3に示す磁石の数は一例であってこれに限られない。また、磁石はフライホイール(図示せず)の内側に設けられてもよい。
【0044】
図3に示すように、アングルセンサ4は、モータ3のU相に対応付けて設けられたU相アングルセンサ4uと、モータ3のV相に対応付けて設けられたV相アングルセンサ4vと、モータ3のW相に対応付けて設けられたW相アングルセンサ4wとを有している。各相のアングルセンサ4u,4v,4wは、モータ3に設けられている。本実施形態では、U相アングルセンサ4uとV相アングルセンサ4vとはロータ3rに対して30°の角度をなすように配置されている。同様に、V相アングルセンサ4vとW相アングルセンサ4wとはモータ3のロータ3rに対して30°の角度をなすように配置されている。
【0045】
なお、アングルセンサ4u,4v,4wの配置は、
図3に示す例に限られない。例えば、アングルセンサ4u,4v,4wは、各相(U,V,W)のモータコイルの近傍に配置されてもよいし、あるいは、モータコイル間に配置されてもよい。
【0046】
図4に示すように、U相アングルセンサ4u、V相アングルセンサ4vおよびW相アングルセンサ4wは、ロータ3rの回転位置に応じた位相のパルス信号を出力する。このパルス信号の幅(あるいは、センサ信号の時間間隔)は、モータ3(すなわち、車輪8)の回転速度が高いほど狭くなる。なお、
図4は、アングルセンサ4u,4v,4wの取付位置の誤差が無い場合を示している。
【0047】
図4に示すように、所定の回転位置ごとに、モータステージを示す番号(モータステージ番号)が割り振られている。モータステージはロータ3rの回転位置を示しており、本実施形態では、電気角60°ごとにモータステージ番号1,2,3,4,5,6が割り振られている。
【0048】
出力ステージは、通電ステージとも呼ばれ、アングルセンサ4により検出されたモータステージに、出力角度に基づく時間を加えたものである。出力角度は、後述のようにモータ3の回転速度や目標トルクに応じて変化する。
【0049】
制御部10は、PWM信号を用いて、電力変換部30の半導体スイッチQ1〜Q6をオンオフ制御する。これにより、バッテリ2から供給される直流電力が交流電力に変換される。例えば、
図5に示すように、U相ローサイドスイッチ(半導体スイッチQ2)は、出力ステージ6,1,2,3においてPWM制御される。V相ローサイドスイッチ(半導体スイッチQ4)は、出力ステージ2,3,4,5においてPWM制御され、W相ローサイドスイッチ(半導体スイッチQ6)は、出力ステージ4,5,6,1においてPWM制御される。なお、PWM制御が行われるステージは、通電方式等により決まるもので、この例に限られない。
【0050】
上記のようにハイサイドスイッチではなく、ローサイドスイッチをオンオフ制御することにより、モータ3の回生動作により発生した電流がバッテリ2に流入することが回避できる。なお、バッテリ2への回生電流の流入が許容される場合には、ハイサイドスイッチをオンオフ制御してもよい。
【0051】
図5に示す例では、ハイサイドスイッチもオンになるタイミングがある。例えば、U相ハイサイドスイッチである半導体スイッチQ1は出力ステージ1,2において所定の時間間隔でオン制御される。このようにハイサイドスイッチをオン制御することによって電力変換部30の発熱を抑制することができる。なお、電流ショートを防止するため、ハイサイドスイッチがオンに制御されるとき、対応する(すなわち、同じアームの)ローサイドスイッチはオフに制御される。
【0052】
アクセルポジションセンサ5は、電動車両100のアクセルに対する操作量(以下、「アクセル操作量」という。)を検知し、電気信号として制御部10に送信する。アクセル操作量は、エンジン車のスロットル開度に相当する。ユーザが加速したい場合にアクセル操作量は大きくなり、ユーザが減速したい場合にアクセル操作量は小さくなる。
【0053】
アシストスイッチ6は、ユーザが電動車両100のアシストを要求する際に操作されるスイッチである。アシストスイッチ6は、ユーザにより操作されると、アシスト要求信号を制御部10に送信する。そして、制御部10は、モータ3を制御して、アシストトルクを発生させる。
【0054】
メータ(表示部)7は、電動車両100に設けられたディスプレイ(例えば液晶パネル)であり、各種情報を表示する。メータ7は、例えば、電動車両100のハンドル(図示せず)に設けられる。メータ7には、電動車両100の走行速度、バッテリ2の残量、現在時刻、総走行距離、および残走行距離などの情報が表示される。残走行距離は、電動車両100があとどれくらいの距離を走行できるのかを示す。
【0055】
充電器9は、電源プラグ(図示せず)と、この電源プラグを介して供給される交流電源を直流電源に変換するコンバータ回路(図示せず)とを有する。コンバータ回路で変換された直流電力によりバッテリ2は充電される。充電器9は、例えば、電動車両100内の通信ネットワーク(CAN等)を介して電動車両制御装置1に通信可能に接続されている。
【0056】
次に、電動車両制御装置1の制御部10について詳しく説明する。
【0057】
図6に示すように、制御部10は、信号受信部11と、信号間隔算出部12と、出力角度算出部13と、取付誤差取得部14と、タイミング決定部15と、モータ制御部16とを有している。なお、制御部10の各部における処理は、ソフトウェア(プログラム)により実現することが可能である。
【0058】
信号受信部11は、モータ3の各相に対応付けて設けられたアングルセンサ4u,4v,4wから出力された信号であって、モータ3の回転速度に応じた間隔で到来する信号を受信する。信号受信部11が受信する信号は、U相アングルセンサ4u、V相アングルセンサ4vおよびW相アングルセンサ4wから出力されたセンサ信号(すなわち、パルス信号の立ち上がりエッジ信号または立ち下がりエッジ信号)である。本実施形態では、信号受信部11は、モータ3のロータ3rが電気角で60°回転するごとにセンサ信号を受信する。モータ3の回転速度が高くなるにつれて、センサ信号が到来する時間間隔は短くなる。
【0059】
図7に示すように、信号受信部11は、アングルセンサ4からセンサ信号を受信したか否かをモニタ時間間隔Δtmごとに確認する。モニタ時間間隔Δtmは、例えばモータ3の制御時間間隔である。なお、
図7において、時刻t2以降についてはモニタ時間間隔Δtmを示す矢印は図示していない。センサ信号の受信は、アングルセンサ4からの割り込み処理により行われてもよい。
【0060】
モニタ時間間隔Δtmは、電動車両100が最高速度で走行したときに信号受信部11が受信するセンサ信号の時間間隔よりも短く、例えば50マイクロ秒である。より一般的に言えば、モニタ時間間隔Δtmは、モータ3の回転速度が最大のときに信号受信部11が受信するセンサ信号の時間間隔よりも短い。
【0061】
信号間隔算出部12は、信号受信部11が第1の信号を受信した後、第2の信号を受信すると、第1の信号の受信時刻と第2の信号の受信時刻との間の信号間隔(センサ間時間とも呼ばれる。)を算出する。本実施形態では、
図7に示すように、信号間隔算出部12は、信号受信部11がセンサ信号S1を受信した後、次のセンサ信号S2を受信すると、センサ信号S1とセンサ信号S2間の信号間隔ΔTを算出する。信号間隔ΔTは、センサ信号S1の受信時刻t1とセンサ信号S2の受信時刻t2との間の時間間隔である。
図7の例では、センサ信号S1はV相アングルセンサ4v(第1の回転位置センサ)から出力された信号であり、センサ信号S2はU相アングルセンサ4u(第2の回転位置センサ)から出力された信号である。後述のセンサ信号S3は、W相アングルセンサ4w(第3の回転位置センサ)から出力された信号である。
【0062】
本実施形態では、信号間隔算出部12は、信号間隔ΔTとして、モニタ時間間隔Δtmごとにカウントされるカウント数を用いる。信号受信部11がセンサ信号を受信していない場合、信号受信部11または信号間隔算出部12は、モニタ時間間隔Δtmごとにカウント数を増やす。このカウント数は、直近のセンサ信号を受信してから経過した時間を示す。カウント数の初期値は0である。信号受信部11がセンサ信号を受信すると、カウント数Nはリセットされる(すなわち、初期値に戻る)。信号間隔算出部12は、センサ信号S1を受信してからセンサ信号S2を受信するまでにモニタ時間間隔Δtmごとにカウントされたカウント数Nに、モニタ時間間隔Δtmを乗じることにより信号間隔ΔTを算出する。
【0063】
また、信号間隔算出部12は、信号間隔ΔTに基づいて、モータ3の瞬時回転速度を算出する。具体的には、信号間隔算出部12は、式(1)によりモータ3の瞬時回転速度を算出する。
n = 60000/(ΔT×Np) ・・・(1)
ここで、nはモータ3の瞬時回転速度[rpm]であり、ΔTは信号間隔[mSec]であり、Npはモータ3が電気角で一回転する間に信号受信部11が受信するセンサ信号の数である。
【0064】
カウント数で信号間隔を測る場合、信号間隔算出部12は、式(2)によりモータ3の瞬時回転速度を算出する。
n = 60000/(NΔtm×Np) ・・・(2)
ここで、nはモータ3の瞬時回転速度[rpm]であり、Nはセンサ信号S1を受信してからセンサ信号S2を受信するまでにカウントされたカウント数であり、Δtmはモニタ時間間隔[mSec]であり、Npはモータ3が電気角で一回転する間に信号受信部11が受信するセンサ信号の数である。
【0065】
なお、信号間隔算出部12は、モータ3の回転速度として、平均回転速度を算出してもよい。
【0066】
出力角度算出部13は、電力変換部30を制御するためのPWM信号の出力タイミングを示す出力角度を算出する。より詳しくは、出力角度算出部13は、モータ3の瞬時回転速度および目標トルクに基づいてPWM信号の出力角度を算出する。なお、出力角度算出部13は、モータ3の回転速度として、瞬時回転速度に代えて、平均回転速度を用いて出力角度を算出してもよい。また、本実施形態では下記のように、出力角度算出部13はPWM信号のデューティ比の算出も行う。
【0067】
図8および
図9を参照して、デューティ比および出力角度の算出について詳しく説明する。出力角度算出部13は、アクセルポジションセンサ5から受信したアクセル操作量と、信号間隔算出部12により算出された瞬時回転速度とを用いてトルクマップM1を検索することにより、目標トルクを取得する。ここで、トルクマップM1は、
図9(a)に示すように、アクセル操作量と、モータ3の回転速度と、モータ3の目標トルクとの間の関係を示すマップである。
【0068】
次に、出力角度算出部13は、トルクマップM1から取得された目標トルクと、信号間隔算出部12により算出された瞬時回転速度を用いてデューティ比マップM2を検索することにより、デューティ比を取得する。ここで、デューティ比マップM2は、
図9(b)に示すように、モータ3の目標トルクと、モータ3の回転速度と、PWM信号のデューティ比との間の関係を示すマップである。
【0069】
さらに、出力角度算出部13は、トルクマップM1から取得された目標トルクと、信号間隔算出部12により算出された瞬時回転速度を用いて出力角度マップM3を検索することにより、出力角度を取得する。ここで、出力角度マップM3は、
図9(c)に示すように、モータ3の目標トルクと、モータ3の回転速度と、PWM信号の出力角度との間の関係を示すマップである。
【0070】
なお、制御部10が複数の通電方式(例えば、120°通電方式と180°通電方式)を用いて電力変換部30を制御する場合、デューティ比マップM2と出力角度マップM3は各通電方式に対応したものが用いられる。すなわち、120°通電方式を用いる場合は、120°通電方式用のデューティ比マップと出力角度マップを用いてデューティ比と出力角度が取得され、180°通電方式を用いる場合は、180°通電方式用のデューティ比マップと出力角度マップを用いてデューティ比と出力角度が取得される。
【0071】
取付誤差取得部14は、各相のアングルセンサ4u,4v,4wの取付位置の誤差を取得する。より詳しくは、取付誤差取得部14は、U相アングルセンサ4uに係る誤差AS_u、V相アングルセンサ4vに係る誤差AS_vおよびW相アングルセンサ4wに係る誤差AS_wを記憶部20から読み出して取得する。誤差AS_u,AS_v,AS_wは、
図10に示すように、アングルセンサ4u,4v,4wの正常な取付位置(破線で示される位置)からの角度ずれ量[°]である。なお、取付位置の誤差は、アングルセンサ4u,4v,4wの正しい取付位置から位置ずれ量を示すものであれば、角度ずれ量に限られない。
【0072】
誤差AS_u,AS_v,AS_wは、事前に(例えばモータ3の組み立て時に)測定された値であり、アングルセンサ4u,4v,4wからセンサ信号が出力されたタイミングにおけるモータ3の回転位置に基づいて得られる値である。例えば、モータ3を手動で回転させることによりアングルセンサ4u,4v,4wからセンサ信号を出力させる。そして、センサ信号が出力されるタイミングにおけるロータ3rの回転位置の、正しい取付位置との間の角度ずれ量を測定することにより誤差が求められる。なお、誤差の測定精度を上げるために、誤差はモータ3を複数回回転させて得られた値の平均値であることが好ましい。
【0073】
タイミング決定部15は、電力変換部30にPWM信号を出力するタイミングを決定する。より詳しくは、タイミング決定部15は、信号受信部11がセンサ信号S2の次に到来するセンサ信号S3(第3の信号)を受信するまでに、信号間隔ΔT、出力角度および誤差AS_u,AS_v,AS_wに基づいて、PWM信号の出力タイミング時間toを決定する。
【0074】
ここで、V相アングルセンサ4vからセンサ信号S1を受信した後、U相アングルセンサ4uからセンサ信号S2を受信した状況における、タイミング決定部15による出力タイミング時間toの算出方法について、
図7を参照しつつ説明する。
【0075】
タイミング決定部15は、V相アングルセンサ4vに係る誤差AS_v(第1の誤差)およびU相アングルセンサ4uに係る誤差AS_u(第2の誤差)に基づいて信号間隔ΔTを補正する。具体的には、タイミング決定部15は、式(3)により信号間隔ΔTを補正する。
ΔTa = ΔT×(AS_v/60+AS_u/60+1)
・・・(3)
ここで、ΔTaは補正された信号間隔である。なお、式(3)は、モータ3の電気角が60°の場合である。
【0076】
このような信号間隔の補正を行うことにより、アングルセンサ4u,4vの取付位置の誤差を考慮した、実際のセンサ間時間が得られる。
【0077】
次に、タイミング決定部15は、出力角度算出部13により算出された出力角度を、W相アングルセンサ4wに係る誤差AS_w(第3の誤差)に基づいて補正する。具体的には、タイミング決定部15は、式(4)により出力角度を補正する。
DEGa = AS_w+DEG ・・・(4)
ここで、DEGaは補正された出力角度であり、DEGは出力角度算出部13により算出された出力角度である。
【0078】
次に、タイミング決定部15は、式(5)により、補正された出力角度DEGaに対応する時間taを求める。なお、式(5)は、電気角が60°の場合である。
ta = DEGa/60 ・・・(5)
【0079】
次に、タイミング決定部15は、補正された信号間隔ΔTaに、補正された出力角度DEGaに基づく時間taを乗じることにより、出力タイミング時間toを算出する。すなわち、出力タイミング時間toは、式(6)により算出される。
to = ΔTa×ta ・・・(6)
【0080】
出力タイミング時間toは、これからインバータにPWM信号を出力するステージに係るアングルセンサの取付位置の誤差に基づいて、実際のセンサ間時間ΔTaを補正した時間である。
【0081】
出力タイミング時間toの算出処理を一般的な形にまとめると、式(7)となる。
【数2】
【0082】
ここで、AS1は第1の信号を出力した回転位置センサの取付位置の誤差(上の例ではAS_v)であり、AS2は第2の信号を出力した回転位置センサの取付位置の誤差(上の例ではAS_u)であり、AS3は第3の信号を出力した回転位置センサの取付位置の誤差(上の例ではAS_w)であり、θはモータ3の電気角であり、DEGは出力角度算出部13により算出された出力角度である。
【0083】
モータ制御部16は、算出されたデューティ比のPWM信号を電力変換部30に出力することによりモータ3を制御する。より詳しくは、モータ制御部16は、信号受信部11がセンサ信号S2の次に到来するセンサ信号S3をW相アングルセンサ4wから受信すると、センサ信号S3が受信されてから出力タイミング時間toが経過したときに電力変換部30にPWM信号を出力する。すなわち、
図7に示すように、モータ制御部16は、センサ信号S3が受信されてから出力タイミング時間toが経過した時刻t4で電力変換部30にPWM信号を出力する。
【0084】
本実施形態では、モータ制御部16は、センサ信号S3を受信すると、出力タイミング時間に相当するタイマー値を、制御部10が有するタイマー(図示せず)に設定する。そして、タイマーがタイムアウトすると、PWM信号を電力変換部30に送信する。なお、出力されるPWM信号のデューティ比は、センサ信号S3の受信後に出力角度算出部13により取得された値であってもよい。
【0085】
上記のようにデューティ比マップM2から取得されたデューティ比を有するPWM信号が、アングルセンサ4u,4v,4wの取付位置の誤差を考慮した出力タイミングで電力変換部30に出力される。これにより、モータ3の効率を低下させることなく、所望のトルクを発生するようにモータ3を制御することができる。
【0086】
上記の例では、U相アングルセンサ4uからセンサ信号を受信した場合の出力タイミング時間の算出処理について説明したが、タイミング決定部15は、W相アングルセンサ4wまたはV相アングルセンサ4vからセンサ信号を受信した場合も同様の処理を行って出力タイミング時間を算出してもよい。例えば、W相アングルセンサ4wからセンサ信号S3を受信した場合、タイミング決定部15は、センサ信号S2とセンサ信号S3間の信号間隔を算出し、誤差AS1としてU相アングルセンサ4uに係る誤差を用い、誤差AS2としてW相アングルセンサ4wに係る誤差を用い、誤差AS3としてV相アングルセンサ4vに係る誤差を用い、式(7)により出力タイミング時間を算出する。そして、モータ制御部16は、V相アングルセンサ4vからセンサ信号を受信すると、当該センサ信号を受信してから出力タイミング時間が経過した後にPWM信号を電力変換部30に出力する。このように、PWM信号の送信を開始するステージの前のステージにおいて、上述の出力タイミング時間の算出処理を行う。なお、上記方法に適用はPWM信号に限られず、半導体スイッチQ1〜Q6をオン状態にするためのオン制御信号をインバータに出力するタイミングを上記方法により算出、決定してもよい。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係る電動車両制御装置1では、信号間隔算出部12が、センサ信号S1とセンサ信号S2間の時間間隔である信号間隔を算出し、出力角度算出部13が、電力変換部30を制御するためのPWM信号の出力角度を算出し、取付誤差取得部14が、アングルセンサ4u,4v,4wの取付位置の誤差を取得する。そして、タイミング決定部15が、信号間隔、出力角度および各アングルセンサ4u,4v,4wに係る誤差に基づいてPWM信号の出力タイミング時間を決定し、モータ制御部16が、センサ信号S3を受信してから出力タイミング時間が経過した後にPWM信号を電力変換部30に出力する。
【0088】
上記のように本実施形態では、モータ3の各相に対応付けて設けられたアングルセンサ4u,4v,4wの取付位置の誤差を考慮して決定された出力タイミングでPWM信号を出力する。このため、アングルセンサ4u,4v,4wの取付位置に誤差がある場合であっても、ロータ3rの回転位置に応じた正確なPWM制御を行うことができる。よって、本実施形態によれば、モータ3を適切に制御することができるようになり、モータの効率を向上させることができる。また、モータ3の効率が向上することで、バッテリ2の負荷が低減するため、バッテリ2の劣化を抑制することもできる。
【0089】
<電動車両制御方法>
次に、
図11のフローチャートを参照して、本実施形態に係る電動車両制御方法の一例について説明する。なお、カウント数は事前に初期化されているものとする。
【0090】
信号受信部11は、モニタ時間間隔Δtmが経過したかどうかを判定する(ステップS11)。モニタ時間間隔Δtmが経過した場合(S11:Yes)、アングルセンサ4からセンサ信号を受信したかどうかを判定する(ステップS12)。センサ信号を受信してない場合(S12:No)、カウント数を1つ増やして(ステップS13)、ステップS11に戻る。
【0091】
一方、センサ信号を受信している場合(S12:Yes)、信号間隔算出部12は、センサ信号S1とセンサ信号S2との間にカウントされたカウント数を信号間隔ΔTとして算出し、カウント数を初期値にリセットする(ステップS14)。本ステップにおいて、信号間隔算出部12は、式(2)によりモータ3の瞬時回転速度を算出する。なお、カウント数のリセットはステップS15〜S19のいずれのタイミングで行ってもよい。
【0092】
次に、出力角度算出部13は、ステップS14で算出された瞬時回転速度と、アクセルポジションセンサ5から受信したアクセル操作量に基づいて、PWM信号のデューティ比と出力角度を求める(ステップS15)。具体的には、
図8を参照して説明したように、トルクマップM1、デューティ比マップM2および出力角度マップM3を用いることでPWM信号のデューティ比と出力角度を求める。
【0093】
次に、取付誤差取得部14は、各相のアングルセンサ4u,4v,4wの取付位置の誤差を取得する(ステップS16)。
【0094】
次に、タイミング決定部15は、電力変換部30にPWM信号を出力するタイミングを決定する(ステップS17)。具体的には、信号受信部11がセンサ信号S3を受信するまでに、信号間隔ΔT、出力角度および誤差AS_u,AS_v,AS_wに基づいて、PWM信号の出力タイミング時間toを決定する。
【0095】
次に、モータ制御部16は、出力タイミングであるか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、センサ信号S3を受信してから、ステップS17で決定された出力タイミング時間が経過したか否かを判定する。出力タイミングであると判定された場合(S18:Yes)、モータ制御部16は、電力変換部30(インバータ)にPWM信号を送信する(ステップS19)。
【0096】
上記の駆動方法によれば、アングルセンサ4u,4v,4wの取付位置の誤差を考慮してPWM信号の出力タイミングを決定するため、アングルセンサ4u,4v,4wの取付位置に誤差がある場合でも、適切なモータ制御を行うことができる。
【0097】
なお、上記の処理フローではカウント数を用いたが、センサ信号の受信時刻を用いて信号間隔を算出し、瞬時回転速度を算出してもよい。また、センサ信号を受信していない場合(S12:No)に、直近のアクセル操作量と、前回算出された瞬時回転速度とを用いてデューティ比マップM2からデューティ比を取得してもよい。そして、取得されたデューティ比を用いて、電力変換部30に送信するPWM信号を更新してもよい。
【0098】
上述した実施形態で説明した電動車両制御装置1(制御部10)の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、制御部10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0099】
また、制御部10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0100】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。