(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953628
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】耳付きヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/16 20060101AFI20211018BHJP
【FI】
A42B3/16
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-519193(P2020-519193)
(86)(22)【出願日】2018年6月8日
(65)【公表番号】特表2020-523500(P2020-523500A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】IB2018054161
(87)【国際公開番号】WO2018229619
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2020年1月20日
(31)【優先権主張番号】NC2017/0006010
(32)【優先日】2017年6月16日
(33)【優先権主張国】CO
(73)【特許権者】
【識別番号】519448810
【氏名又は名称】イーエフイーエム アコースティックス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】EFEM ACOUSTICS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100086690
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】モラレス ベラスケス, ルイス フェリペ
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−291409(JP,A)
【文献】
特開2014−042589(JP,A)
【文献】
特開平04−308210(JP,A)
【文献】
米国特許第05632048(US,A)
【文献】
実開昭60−067325(JP,U)
【文献】
特開2010−047886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視界空間を有するシェル(1)を備えるヘルメットであって、ユーザの両耳が位置する2つの端部のそれぞれにおいて、前記シェル中の聴覚穴(14)と、前記シェル(1)の外側に結合された耳形状要素(8)と、イヤーパッド(4)にトランペット(10)によって接合されたコーン(5)であって、前記シェル(1)の内側に取り付けられるコーンとを備え、前記耳形状要素(8)、前記コーン(5)、前記トランペット(10)および前記イヤーパッド(4)それぞれは、聴覚穴(17、16、13)を備え、これらの聴覚穴は、互いに整列されるとともに、前記シェル(1)中の前記聴覚穴(14)とも整列され、前記耳形状要素(8)、前記コーン(5)、前記トランペット(10)および前記イヤーパッド(4)は、前記ユーザの外耳道が延びる方向に対して垂直に配置されることを特徴とする、ヘルメット。
【請求項2】
前記耳形状要素(8)が締結構造(11)を備えており、前記締結構造(11)が、前記シェル(1)中の結合穴(12)を貫通し、前記コーン(5)の連結穴(15)に接合される、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記トランペット(10)が、前記イヤーパッド(4)の前記聴覚穴(13)に挿入される、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記コーン(5)が、当該コーン(5)の聴覚穴(16)内にフィルタ(6)を備える、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項5】
前記シェル(1)の前記聴覚穴(14)および前記耳形状要素(8)の前記聴覚穴(17)を通過するファブリック片(7)をさらに備える、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項6】
前記耳形状要素(8)がライナ(9)で覆われている、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項7】
前記コーン(5)および前記トランペット(10)が、シリコーンで作製される、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項8】
前記ファブリック片(7)が、プラッシュである、請求項5に記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]本発明は、ユーザの空間認識を改善する車両運転者用の保護ヘルメットに関する。
【0002】
[0002]米国特許第6347412号明細書は、音をユーザのほぼ後方からユーザの耳に向けるための装置を開示している。装置は、ユーザが直接使用できるか、またはヘルメットなどの別個の支持体に連結できる音反射体を含む。音反射体とヘルメットとの間の連結は、固定可能であるか、または調整可能であることができる。ヘルメット支持体が使用される場合、装置は、2つの音反射体間に位置するスペーサを含むことができる。セパレータは、2つの反射体のそれぞれに音を向ける。減衰クッションの追加により、音反射体がユーザの耳の周りの空気をそらして風の音を低減し、後方からの音を聞くユーザの能力を高めることが助けられる。
【0003】
[0003]特開2010047886号公報は、密閉状態を解除するための穴と、乱流の形成を防ぐために対応する穴を覆う風雑音抑制装置と、風に伴うノイズの発生を防ぐための聴覚正規化手段とを含むヘルメットに言及している。
【0004】
[0004]米国特許第3797040号明細書は、モーターサイクリストが使用するための保護ヘルメットを開示しており、ユーザの耳に沿って聴覚ポートが位置することを強制するために設置される、手動制御式耳蓋またはフラップの対を備える。タブが完全に開いているとき、ユーザがこれらを意図的に閉じるまで、タブはこの位置に留まる。各ドアまたはフラップは、自動二輪車が動いている間、密閉シールを提供するためのゴム製ガスケットを備える。
【0005】
[0005]米国特許第3021526号明細書は、耳カバーと、各カバー上に耳クッションを支持するために取り付けられた手段とを備えるヘルメットであって、手段のそれぞれは、同心円状に配置され、断面が長方形で、直径が徐々に小さくなる一連の実質的に剛性の入れ子式リングを含む、ヘルメットについて述べている。各連続リングは、前記リングがより大きなリング内で完全に入れ子になったときに、次に大きい隣接するリングに対して実質的に横方向に動くことを可能にする寸法になっている。追加的に、本体は、連続リングを連結し、リングの内縁および次の隣接するリングの外縁に取り付けられたダイヤフラムと、耳クッションを最も内側のリングに固定するための手段とを備える。
【0006】
[0006]中国特許第2172578号明細書は、凸状縁と、聴覚オリフィスと、聴覚カバーとを備える、聴感覚を備えたプリズムヘルメットについて述べている。プリズムヘルメットは高い耐久性を持ち、安全な運転を保証する。これは、モーターサイクリストおよびいくつかの覆いのない自動車の運転者によって使用することができる。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明者は、覆いのない車両の運転者用のヘルメットの技術分野において、環境の場所および距離に対する運転者の空間認識を高めて、車両事故のリスクを低減する必要性を認識した。
【0008】
[0008]本発明者は、人間の耳の音響形状を再現する内部構造および外部構造を備えて、車両運転中の知覚の低減を回避する保護ヘルメットを提供する。これらの構造は、ユーザの各耳の耳道に対して垂直に配置されて、環境の可聴周波数内での運転者の感知を可能にする。追加的に、本発明の保護ヘルメットは、乱流を低減するノイズフィルタおよびファブリックを利用して、人間の耳の音響を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のヘルメットの好ましい実施形態における内部構造および外部構造を備えて組み立てられたヘルメットの切断図である。
【
図2】本発明のヘルメットの好ましい実施形態の分解図である。
【
図3】本発明のヘルメットの内部構造の一部であるコーンの面の一方の斜視図である。
【
図4】本発明のヘルメットの内部構造の一部であるコーンの他方の面の斜視図である。
【
図5】本発明のヘルメットの内部構造の一部であるコーンの側面図である。
【
図6】本発明のヘルメットの外部構造の一部である耳要素の外面の斜視図である。
【
図7】本発明のヘルメットの外部構造の一部である耳要素の内面の斜視図である。
【0010】
[0009]本発明のヘルメットは、シェル(1)と、ユーザの両耳が通常配置されるその両側の各々に、内部構造(3)および外部構造(2)とを備える。これらの構造は、人間の耳の音響形態を再現する。ヘルメットは、シェル(1)中に覗き穴も備える。
【0011】
[0010]内部構造(3)は、ヘルメットの内側に配置され、一方で外部構造(2)は、ヘルメットの外側に配設され、この2つは、シェル(1)に結合される。内部構造および外部構造(2および3)は、これらの構造がシェル(1)に結合されるときにシェル(1)の聴覚穴に整列される聴覚穴を備えて、外側からの音の進入を可能にする。
【0012】
[0011]特に、内部構造(3)は、イヤーパッド(4)およびコーン(5)を備えることができる。
【0013】
[0012]外部構造(2)は、耳形状要素(8)と、任意選択により、ライナ(9)とを備えることができる。
【0014】
[0013]コーン(5)は、イヤーパッド(4)との結合トランペット(10)を備えることができる。イヤーパッド(4)、イヤーパッドに結合するトランペット(10)、およびコーン(5)はそれぞれ、聴覚穴を備える。内部構造(3)および外部構造(2)がシェル(1)に組み付けられると、聴覚穴は位置合わせされる。
【0015】
[0014]特に、トランペット(10)は、イヤーパッド(4)の聴覚穴(13)に挿入されて、前記パッド(4)をコーン(5)に結合する。
【0016】
[0015]本発明の好ましい実施形態では、コーン(5)およびトランペット(10)は塑性材料で作製され、それによってトランペット(10)を変形させてこれをイヤーパッド(4)の聴覚穴(13)に挿入することを可能にする。好ましくは、塑性材料は、シリコーンであってもよい。
【0017】
[0016]耳形状要素(8)は、シェル(1)に接合されたとき、イヤーパッド(4)、イヤーパッド(4)との結合トランペット(10)、コーン(5)およびシェル(1)の聴覚ポートに整列される聴覚穴を備える。
【0018】
[0017]耳形状要素(8)は、その内面に保持構造(11)を備えることができる。コーン(5)は、締結構造(11)を受け入れるための連結穴(15)を備えることができる。同様に、シェル(1)は、耳形状要素(8)の締結構造(11)が貫通する結合穴(12)を備えることができ、こうしてコーン(5)および耳形状要素(8)の両方をシェル(1)に結合する。
【0019】
[0018]本発明の好ましい実施形態では、コーン(5)の聴覚穴(16)内にフィルタ(6)を配設することができる。
【0020】
[0019]さらに、ファブリック片(7)をシェル(1)の聴覚穴(14)および耳形状要素(8)の聴覚穴(17)に挿入することができ、前記ファブリック片は、コーン(5)の聴覚穴(16)にも接着される。任意選択により、ファブリック片は、フィルタ(6)の上部のコーン(5)に接着する。
【0021】
[0020]外部構造(2)は、耳形状要素(8)上にライニング(9)を備えて、これを雨および外的要素から保護することができる。ライナ(9)は、例えば接着剤によって、耳形状要素(8)の内部の壁に固定することができる。
【0022】
[0021]すべての聴覚穴(13、14、16、および17)は整列されており、
耳形状要素(8)、コーン(5)、トランペット(10)およびイヤーパッド(4)は、ユーザの外耳道の
延びる方向に対して垂直に配置される。
【0023】
[0022]音信号は、外部構造(2)を通って入り、音響的にコーン(5)に伝達する。その後、トランペット(10)は、この音をユーザの耳に送信し、信号の閉鎖も生成する。したがって、耳は心理音響学による知覚に対応し、音源の相対的な場所および距離を知覚する。ユーザの耳に取り付けられたコーンのサイズにより、ユーザに対して場所および距離の知覚をより簡単に生成する、可聴周波数および指向性周波数の知覚を高めることが可能である。
【0024】
[0023]本発明の好ましい実施形態では、イヤーパッド(4)は模造皮革で作製可能であり、フィルタ(6)は防風フォーム製とすることができ、ファブリック片(7)
はプラッシュとすることができ、シェル(1)はポリカーボネートで作製可能であり、耳形状要素(8)はシリコ− ンで作製可能であり、ライニング(9)は熱および紫外線に耐性があるファブリックで作製可能である。ただし、このリストは限定的なものではなく、類似の材料を使用することができる。