【課題を解決するための手段】
【0002】
一つの目的は、効率的に作動可能であり、且つ高い照度レベルをもたらすことができる、前照灯を規定することである。
【0003】
この目的は、とりわけ、請求項1の特徴を有する前照灯によって解決される。その他の請求項の主題は、更なる好適な発展である。
【0004】
特に、本前照灯は、デジタル制御可能で調光可能な複数のLEDによる光学的ファーフィールドの画素微細照明のための画素化構造を有する。
【0005】
少なくとも1つの実施形態によると、前照灯は第1の半導体チップを備える。更に、前照灯は、第2の半導体チップを含む。厳密に1つの第1の半導体チップと厳密に1つの第2の半導体チップとが存在することが好ましい。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および第2の半導体チップの各々は、光、特に可視光、を発生させるように設計される。第1および第2の半導体チップは、発光ダイオードチップ、略してLEDチップ、であることが好ましい。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の半導体チップおよび第2の半導体チップの各々は、いくつかの画素に分割される。これら画素は、互いに独立に電気的に制御可能である。これにより、これら画素は、互いに独立に光を発生させることができる。第1ならびに第2の半導体チップ内の全ての画素は、構造が同一であることが好ましい。これら画素内に更なる細分割が存在しないことが好ましい。これが意味するのは、各画素が半導体チップの最小の電気光学単位を表すことである。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によると、前照灯は第1の光学素子を備える。この第1の光学素子は、第1の半導体チップの光学的に下流にある。第1の半導体チップからの光は、第1の光学素子を介して、第1の倍率でベース領域内に向けられる。ベース領域は、例えば、矩形である。
【0009】
少なくとも1つの実施形態によると、前照灯は、第2の光学素子を含む。第2の光学素子は、第2の半導体チップからの光を第2の倍率で明領域内に向かわせる。明領域も、例えば、矩形である。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によると、第2の倍率は、第1の光学素子の倍率の少なくとも0.3倍または0.4倍、および/または最大で0.7倍または0.6倍である。特に、第2の倍率は、第1の倍率の0.5倍である。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によると、明領域はベース領域より小さい。明領域のサイズは、ベース領域の少なくとも10%または15%または20%、および/または最大で60%または50%または35%、であることが好ましい。特に、ベース領域は、明領域より4倍大きい。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によると、明領域はその一部分、大部分、または全体、がベース領域内にある。大部分とは、好ましくは少なくとも50%または75%または90%を意味する。特に、明領域は、ベース領域の連続した途切れない経路によって周囲全体が取り囲まれる。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によると、明領域とベース領域とは、基本的な幾何学的形状が同じであり、例えば矩形の基本形状を有する。明領域の基本形状は、ベース領域の基本形状と同じように向けられることが好ましい。これが意味するのは、この2つの基本形状の間に捩れがないことである。例えば、それぞれの基本形状を形成するそれぞれの矩形の長辺の向きは、互いに平行である。
【0014】
本前照灯は、自動車などの自動車両向けである。本前照灯は、自動車用前照灯であり得る。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、本前照灯は、光を発生させるための第1の半導体チップと、同じく光を発生させるための第2の半導体チップとを備える。第1の半導体チップおよび第2の半導体チップの各々は、いくつかの画素を備える。第1の光学素子は、第1の半導体チップからの光を第1の倍率でベース領域内に向かわせるように構成される。第2の光学素子は、第2の半導体チップからの光を第2の倍率で明領域内に向かわせる。明領域がベース領域より小さくなるように、第2の倍率は第1の倍率の0.3倍と0.7倍の間、好ましくは0.4倍と0.6倍の間、である。明領域は、少なくとも大部分がベース領域内にある。
【0016】
本願明細書に記載の前照灯においては、視野(FoV:field of view)としても公知の光学的ファーフィールドの照明が、μAFS(AFS:adaptive headlamp)としても公知の、2つのハイブリッド集積LEDアレイチップによって実現される。これら半導体チップの各々の縦横比は、必要な照明範囲の縦横比にほぼ対応する、例えば、半導体チップの約4:1の縦横比に対して、水平に40°、鉛直に10°であることが好ましい。この照明範囲は、特に明領域に対応する。ここで、倍率が互いに異なる2つの同一の半導体チップは、光学的ファーフィールドに結像されることが好ましい。
【0017】
一方の半導体チップ、特に第1の半導体チップ、は、FoV全体を照明し、第2の半導体チップは鉛直および水平方向に半分の倍率でFoV内に結像されることが好ましい。明領域は、第2の半導体チップが発生させているとき、ベース領域の水平方向中心に、または中心から僅かに外れて、位置合わせされていることが好ましい。前照灯のプレフィールドおよびカットオフラインを基本的に照明するために、明領域は、鉛直方向に、好ましくはその大部分または全体が鉛直0°線の前方にあり、したがって下方に結像される。第2の半導体チップのほぼ半分の倍率は、画素分解能を鉛直および水平方向に基本的に倍増させ、したがって強度を倍増させる。
【0018】
例えば、ベース領域の全角度範囲にわたって結像される第1の半導体チップは、0.1°の角度分解能を実現する。より小さなスケールで結像される第2の半導体チップは、ほぼ0.05°の角度分解能を実現することが好ましい。
【0019】
2つの半導体チップの相互作用の故に、ベース領域に相当する背景より中心の明領域を明るく照明できる。更に、明領域における分解能は、取り囲んでいる残りのベース領域における分解能より高い。これにより、前照灯のより微細な範囲調整が可能になる。加えて、第2の半導体チップによって、前照灯用の単一の半導体チップだけの場合に比べ、より高い光強度を明領域において実現できる。2つの半導体チップを合わせたチップ面積を、全体の照射を可能にする相応により大きな単一の半導体チップのチップ面積より小さくすることができる。2つの半導体チップへの分割によるこのチップ面積節減は、コストの削減を可能にする。両半導体チップにおける光の強度が150lm/mm
2〜400lm/mm
2の範囲内であるとき、ほぼ40μm〜30μmの画素サイズで、ほぼ1/20°という高い角度分解能を中心明領域において実現できる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の半導体チップと第2の半導体チップとは、構造が同一である。これが意味するのは、同一の半導体チップを製造公差内で使用できることである。これが意味するのは、両半導体チップは同じサイズであり、同じ分光組成の光を発生させ、複数画素への細分割も同じであることである。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および第2の変倍率は不変である。これが意味するのは、前照灯が意図どおりに作動されたとき、それぞれの倍率が変化しないことである。換言すると、第1の光学素子および第2の光学素子の各々は、好ましくは可動部品が皆無の、固定光学システムであり得る。特に、前照灯が意図どおりに作動されたとき、両半導体チップおよびこれらに対応付けられた光学素子の間の距離は変化しない。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の光学素子および/または第2の光学素子は、いくつかのレンズを備える。これらレンズはガラスレンズであり得る。これらレンズは、例えば、凸または両凸収束レンズ、フレネルレンズ、またはマイクロレンズアレイ、として設計される。これら光学素子ひいてはレンズは、例えば、円柱レンズ、または円柱レンズと同様に設計されたレンズ、の場合、回転対称、または対称軸のみ、を有することができる。それぞれの光学素子のレンズは、それぞれの半導体チップから離れる方向に光路に沿って配置されることが好ましい。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の光学素子および第2の光学素子は、互いに独立している。これが特に意味するのは、第1および第2の光学素子は、光学的に有効な部品を一切共有しないことである。これにより可能になるのは、第1の半導体チップを第1の光学素子と共に、第2の半導体チップおよび第2の光学素子とは独立に取り扱えることである。
【0024】
第1の半導体チップは、第1の光学素子と共に、別個に取り扱い可能なモジュールを形成し、第2の半導体チップは、第2の光学素子と共に、別のモジュールを形成することが可能であり、場合によっては、それぞれハウジングまたはハウジングの一部と共に、モジュールを形成することが可能である。これらモジュールは、互いに独立に取り付け可能であることが好ましく、自動車または自動車両内に装着および/または交換可能である。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の光学素子と第2の光学素子とは互いに部分的に接触する。例えば、1つ以上の接触点、または1つ以上の接触線、または一接触面が第1の光学素子と第2の光学素子との間に存在する。第1および第2の光学素子が接触しているという事実は、両光学素子が互いに光学的に独立している可能性を排除しない。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の光学素子と第2の光学素子とは、互いに部分的にのみ独立している。これが意味するのは、例えば、第1および第2の光学素子は共通の部品を少なくとも1つ有することである。この共通の部品は、例えば、発生させた光を前照灯がそこから射出する出射レンズである。このような出射レンズを、第1および第2の光学素子に共通の単一の光学活性部品とすることが可能である。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の光学ユニットおよび第2の光学ユニットの各々は、それぞれ専用の光入射レンズを有する。これが意味するのは、これら光入射レンズは、互いに独立に選択可能であることである。複数の光入射レンズが存在する場合、それぞれの光学素子の更なるレンズが、例えば共通の出射レンズとそれに対応付けられたそれぞれの光入射レンズとの間に、存在し得る。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の半導体チップおよび/または第2の半導体チップは、対応付けられた光入射レンズに対して、および/または対応付けられた出射レンズに対して、偏心配置される。光入射レンズに対するこれら半導体チップの偏心配置は、出射レンズに対する偏心配置を打ち消すことができる。これが特に当てはまるのは、第1および第2の半導体チップに対して共通の1つの出射レンズが存在する場合である。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の半導体チップと第2の半導体チップとは、共通のキャリアに、特に互いに隣接して、配置される。このキャリアは、放熱板および/または印刷回路基板でもよい。例えば、キャリアは、放熱板、セラミック板、メタルコアボード、または印刷回路基板、略してPCB、である。キャリアは、半導体チップ同士を接続するための導体経路を複数有することが好ましい。
【0030】
キャリアは、PCBまたはメタルコアPCBが取り付けられた放熱板で構成可能である。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および第2の半導体チップ間の距離は、第1の半導体チップの対角線の長さの少なくとも半分または全長である。代わりに、または加えて、この距離は、第1の半導体チップの対角線の長さの最大で6または4または3つ分である。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によると、ファーフィールドにおけるベース領域の水平開き角は、例えば前照灯の光射出面から、少なくとも25°または30°である。代わりに、または加えて、この開き角は、最大で55°または60°である。ベース領域のための好適な水平開き角は、約35°である。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によると、ベース領域の鉛直開き角は、少なくとも3°または5°である。代わりに、または加えて、この鉛直開き角は、最大で20°または15°または13°である。特に、この鉛直開き角は、ほぼ10°である。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によると、ベース領域のための第1の半導体チップの画素当たりのファーフィールド角度分解能は、少なくとも0.03°または0.06°である。代わりに、または加えて、この角度分解能は、最大で0.4°または0.2°または0.15°である。この角度分解能は、鉛直および水平方向に同じでもよく、例えば、ほぼ0.1°である。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によると、明領域のための第2の半導体チップの画素当たりのファーフィールド角度分解能は、ベース領域のための第1の半導体チップの画素当たりの角度分解能を少なくとも1.5または1.8または2倍上回る。このコンテキストにおいて、上回るとは、角度分解能が言及した倍数だけより良好であること、すなわち、角領域のためにより精確なラスタが存在すること、を意味する。例えば、明領域のための第2の半導体チップの角度分解能は、少なくとも0.025°および/または最大で0.125°、特にほぼ0.05°、である。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によると、明領域は、主視線方向に対して左右横方向に対称に向けられる。主視線方向は、前照灯が設置された自動車両の直線状の視線に相当し得る。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によると、ベース領域は、主視線方向に対して左右方向に非対称的に、および/または偏心して、向けられる。非対称的とは、ベース領域の形状が矩形でないことを意味し得る。ベース領域を非対称的に、および/または偏心させて、設計することによって、車道エリアの照明をより狙いどおりに行うことができる。非対称は、例えば、第2の半導体チップに対して第1の半導体チップを傾斜させることによって実現できる。ただし、第1および第2の半導体チップは、互いに等しい向きで、長手方向の辺が平行であることが好ましい。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および第2の半導体チップの各々は、少なくとも30×80画素または50×150画素を有する。代わりに、または加えて、第1および第2の半導体チップの画素数は、最大で500×1500または320×1050である。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によると、平面図で見た、第1および第2の半導体チップの縦横比は、少なくとも2または3である。代わりに、または加えて、この縦横比は、最大で8または5または4である。この縦横比は、平面図で見た、半導体チップの長辺対短辺の比である。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および/または第2の半導体チップの画素の各々は、平面図で見たときに、少なくとも10μm×10μmまたは20μm×20μmのサイズを有する。代わりに、または加えて、このサイズは、最大で0.2mm×0.2mmまたは0.1mm×0.1mmまたは60μm×60μmである。全ての画素の構造が同一であることが好ましい。これら画素は、上から見たときに、例えば、正方形または矩形の平面を有する。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および/または第2の半導体チップは、意図どおりの作動中、1つの射出側で、少なくとも150lm/mm
2または200lm/mm
2または250lm/mm
2の光束を射出する。代わりに、または加えて、射出側の光束は、最大で500lm/mm
2または400lm/mm
2である。上記の値は、特に前照灯の定常動作中に該当し、したがって、ウォームアップフェーズでは上記の値を超える、または下回る、こともあり得る。
【0042】
少なくとも1つの実施形態によると、前照灯は、少なくとも30lxまたは50lxの照度を25mの距離でベース領域に生じさせるように構成される。第1および第2の両半導体チップが明領域を照明する場合は、少なくとも150lxまたは250lxの照度が明領域に実現されることが好ましい。
【0043】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および/または第2の半導体チップの各々は、1つの半導体積層体を有する。半導体積層体は、それぞれの光を電界発光によって発生させるための活性ゾーンを有する。
【0044】
半導体積層体は、III−V族化合物半導体材料に基づくことが好ましい。この半導体材料は、例えば、Al
nIn
1−n−mGa
mNなどの窒化物化合物半導体材料、またはAl
nIn
1−n−mGa
mPなどのリン化物化合物半導体材料、またはAl
nIn
1−n−mGa
mAsなどの、またはAl
nGa
mIn
1−n−mAs
kP
1−kなどの、ヒ化物化合物半導体材料であり、ここで、0≦n≦1、0≦m≦1、およびn+m≦1、および0≦k<1がそれぞれ適用される。半導体積層体の少なくとも1つの層または全ての層について、0<n≦0.8、0.4≦m<1、およびn+m≦0.95、ならびに0<k≦0.5が成り立つことが好ましい。半導体積層体は、ドーパントならびに追加成分を含み得る。ただし、簡素化のために、少量の他の物質で部分的に置換および/または補完され得る場合でも、半導体積層体の結晶格子の基本成分のみ、すなわち、Al、As、Ga、In、N、またはP、が示されている。
【0045】
好ましくは、半導体チップは、材料系AlInGaNに基づき、青色光あるいは近紫外線を好ましくは少なくとも360nmまたは385nm、および/または最大で420nmまたは410nm、の最大強度の波長で射出する。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および/または第2の半導体チップの各々は、1つ以上の蛍光体を備える。半導体積層体自体において発生させた光の部分または全変換は、少なくとも1つの蛍光体を介して作動される。特に、両半導体チップからの青色光が蛍光体からのほぼ黄色の光と混合されて、全体として白色混合光が射出されるように、部分変換が行われる。
【0047】
少なくとも1つの蛍光体は、(Ca,Sr)AlSiN
3:Eu
2+、Sr(Ca,Sr)Si
2Al
2N
6:Eu
2+、(Sr,Ca)AlSiN
3*Si
2N
2O:Eu
2+、(Ca,Ba,Sr)
2Si
5N
8:Eu
2+、(Sr,Ca)[LiA1
3N
4]:Eu
2+などのEu
2+によってドープされた窒化物、一般系(Gd,Lu,Tb,Y)
3(Al,Ga,D)
5(O,X)
12:REのガーネット(Xはハライド、N、または二価元素、Dは三価または四価元素、REはLu
3(Al
l−xGa
x)
5O
l2:Ce
3+、Y
3(Al
1−xGa
x)
5O
12:Ce
3+などの希土類金属類)、Eu
2+、(Ca,Sr,Ba)S:Eu
2+などのEu
2+によってドープされた硫化物類、(Ba,Sr,Ca)Si
2O
2N
2:Eu
2+などのEu
2+によってドープされたSiON類、系Li
xM
yLn
zSi
12−(m+n)Al
(m+n)O
nN
16−nからのβ−SiAlON類(REは希土類金属類)、系Si
6−xAl
zO
yN
8−y:RE
z(REは希土類金属類)からのβ−SiAlON類、AE
2−x−aRE
xEu
aSiO
4−xN
xまたはAE
2−x−aRE
xEu
aSi
1−yO
4−x−2yN
x(REは希土類金属およびAEはアルカリ土類金属)のような、または(Ba,Sr,Ca,Mg)
2SiO
4:Eu
2+などの、ニトリド−オルトケイ酸塩類、Ca
8Mg(SiO
4)
4Cl
2:Eu
2+などのクロロシリケート類、(Sr,Ba,Ca,Mg)
10(PO
4)
6Cl
2:Eu
2+などのクロロリン酸塩類、BaMgAl
10O
17:Eu
2+などのBaO−MgO−Al
2O
3系からのBAM蛍光体類、M
5(PO
4)
3(Cl,F):(Eu
2+,Sb
2+,Mn
2+)などのハロリン酸塩類、(Sr,Ba,Ca)
5(PO
4)
3Cl:Eu
2+などのSCAP蛍光体類から成る群から選択されることが好ましい。加えて、所謂量子ドットを変換体材料として導入することもできる。II−VI族化合物、および/またはIII−V族化合物、および/またはIV−VI族化合物、および/または金属ナノ結晶、を含むナノ結晶材料の形態の量子ドットが好適である。更に、蛍光体は、量子井戸構造を有してもよく、エピタキシャル成長させてもよい。
【0048】
少なくとも1つの実施形態によると、蛍光体は、対応付けられた第1および/または第2の半導体チップと同じように画素化される。したがって、蛍光体内の光学的クロストークを回避できる。あるいは、蛍光体を、対応付けられた半導体チップの画素のうちの一部または全てにわたって連続して延在させることもできる。
【0049】
少なくとも1つの実施形態によると、第1の半導体チップ、および/または第2の半導体チップ、および/またはそれぞれの蛍光体、の隣接画素間に光学的絶縁物が存在する。光学的絶縁物は、可視光に対して不透明、または殆ど不透明、である。光学的絶縁物は、金属層などの鏡面反射材料によって、または白色に見える封止体などの拡散性反射部品によって、あるいは、吸収性の、例えば黒色、部品によって、形成可能である。
【0050】
少なくとも1つの実施形態によると、半導体積層体は、それぞれの半導体チップのいくつか、または全て、の画素にわたって連続して延在する。活性ゾーンも半導体チップのいくつか、または全て、にわたって連続して延在させることが可能である。ただし、活性ゾーンは複数の画素に細分割されることが好ましい。
【0051】
あるいは、隣接画間の半導体積層体を完全に除去可能である。この場合、全ての画素が同じ半導体積層体を有することが好ましい。これは、例えば、半導体積層体内の個々のサブ層の厚さ、およびこれらサブ層の精確なシーケンス、によって認識可能である。これらサブ層は、これら画素が実際に同じ半導体積層体に基づいているかどうかを識別するために使用できる一種の指紋を提供する。
【0052】
半導体積層体が複数の画素に個片化されている場合は、画素相互間の相対位置が変化しないことが好ましい。これにより、画素間の距離を特に小さくできる。したがって、隣接画間の間隙は、少なくとも0.3μmまたは1μm、および/または最大で20μmまたは10μmまたは5μmであることが好ましい。画素間の間隙は、フォトリソグラフィによって形成でき、ひいては特に小さくできる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および第2の半導体チップは、白色光を射出する。代わりに、または加えて、発生した光のCIE−xy標準色度図における色位置は、最大で0.04単位または0.01単位または0.003単位互いに異なる。これが意味するのは、2つの半導体チップが発生させた光の色位置は、観察者にとって、互いに異ならないか、または著しくは異ならないことである。色位置は、不変であって調整不能であることが好ましい。これが意味するのは、前照灯は特定の変更不能な色の光、特に白色光、を意図どおりに射出することである。
【0054】
加えて、前照灯のための作動方法が規定される。前照灯は、上記の実施形態のうちの1つ以上に関連して、上記のように設計される。したがって、作動方法の特徴は、前照灯についても、およびこの逆についても、開示されている。
【0055】
作動方法の少なくとも1つの実施形態において、第1および第2の半導体チップは、対応付けられた画素のうちの一部のみが光を発生させるように、永続的または一時的に作動される。これにより、走行エリアの照明を狙いどおりに行える。
【0056】
少なくとも1つの実施形態によると、第1および第2の半導体チップからの光強度が明領域内の少なくとも1つの点において合わされるように、第1および第2の半導体チップは一時的または永続的に作動される。これが意味するのは、これらの点は、高い明度を実現するために、第1および第2の半導体チップによって同時に照明されることである。
【0057】
本方法の少なくともの1つの実施形態によると、第1の半導体チップのみが、時には第2の半導体チップのみが、作動される。明領域全体およびベース領域全体の検出を画像記録デバイスによって行うことが可能である。この画像記録デバイスは、外部デバイスとすることも、前照灯が設置された自動車両に組み込むことも可能である。例えば、運転者支援のために、または自動運転用のために、自動車両に設置されたカメラが画像記録デバイスとしての役割を担うことができる。
【0058】
少なくとも1つの実施形態によると、ベース領域に対する明領域の、またはその逆の、電子調整が行われる。この調整は、明領域およびベース領域からの画像記録デバイスのデータに基づき、ソフトウェアによって行われることが好ましい。調整結果は、前照灯の制御ユニットまたは車両に格納される。これにより、明領域およびベース領域をカメラ調整によって電子的に整合できるので、複雑な機械的微調整が不要になる。
【0059】
制御ユニットは、半導体チップの一部、および/または半導体チップが取り付けられるキャリアの一部、とすることができる。この目的のために、両半導体チップの半導体積層体の各々を機能化基板、例えばCMOS技術の、例えば集積回路付きシリコン基板、に取り付けることができる。
【0060】
以下においては、本願明細書に記載の前照灯および本願明細書に記載の作動方法を複数の例示的実施形態を使用し、図面を参照して、より詳細に説明する。個々の図において、同様の参照符号は同様の要素を示している。ただし、ここにはスケール基準は示されていない。代わりに、より良好な理解のために、個々の要素は誇張されたサイズで示されている場合がある。