特許第6953634号(P6953634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6953634DC/DCコンバータを備える車両充電器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953634
(24)【登録日】2021年10月1日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータを備える車両充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20211018BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20211018BHJP
   B60L 53/22 20190101ALI20211018BHJP
【FI】
   H02J7/00 P
   H02M3/28 V
   B60L53/22
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-535314(P2020-535314)
(86)(22)【出願日】2018年9月12日
(65)【公表番号】特表2020-533945(P2020-533945A)
(43)【公表日】2020年11月19日
(86)【国際出願番号】FR2018052231
(87)【国際公開番号】WO2019053369
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2020年4月30日
(31)【優先権主張番号】1758460
(32)【優先日】2017年9月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508021716
【氏名又は名称】ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ボードソン
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/131348(WO,A1)
【文献】 特開2003−153597(JP,A)
【文献】 特開2014−143817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02M 3/00 − 3/44
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリ充電器(400)であって、前記バッテリ充電器は、
主電圧コンバータであって、
少なくとも1つの一次側および少なくとも1つの二次側を備える少なくとも1つの変圧器(TF)と、
前記変圧器(TF)の前記一次側に給電する被駆動トランジスタの少なくとも1つの上流ブリッジ(PR2)と、
前記変圧器の前記二次側により給電される被駆動トランジスタの少なくとも1つの下流ブリッジ(PR3)であって、電流および/または電圧により駆動されたときに、充電されるバッテリに給電するための第1の電圧を生成することを可能にし、少なくとも2つのレッグ(Leg1、Leg2)を備える少なくとも1つの下流ブリッジ(PR3)と、を備える主電圧コンバータと、
直接またはインダクタ(L5)を介して前記下流ブリッジの第1のレッグ(Leg1)の中間点(T1)に接続された少なくとも1つの分離スイッチ(TR)であって、開いているときに前記下流ブリッジを使用して前記第1の電圧を供給し、閉じているときに前記下流ブリッジの少なくとも前記第1のレッグを使用して、前記バッテリによって給電される前記下流ブリッジの前記トランジスタのすべてまたは一部を駆動することによって、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を生成することを可能にする少なくとも1つの分離スイッチ(TR)と、
前記トランジスタのための制御回路(410)と、
を備えるバッテリ充電器。
【請求項2】
前記第2の電圧はDC電圧である、請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記下流ブリッジ(PR3)の低電位の出力と前記少なくとも1つの分離スイッチ(TR)との間に配置されたキャパシタ(C5)をさらに備える、請求項1または2に記載の充電器。
【請求項4】
前記キャパシタ(C5)は極性化されていない、請求項3に記載の充電器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの分離スイッチ(TR)に接続される、少なくとも1つの安全スイッチ(TS)をさらに備え、
前記少なくとも1つの安全スイッチ(TS)を介して、前記第2の電圧を出力する、請求項1から4のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項6】
前記分離スイッチ(TR)は、インダクタ(L5)を介して前記下流ブリッジの前記第1のレッグ(Leg1)の前記中間点(T1)に接続されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の充電器。
【請求項7】
前記主電圧コンバータは、前記変圧器(TF)の前記二次側と前記下流ブリッジの前記レッグのうちの1つの前記中間点(T1)との間に配置された少なくとも1つのスイッチ(K1)をさらに備える、請求項6に記載の充電器。
【請求項8】
前記制御回路は、前記変圧器(TF)の前記二次側の電流を実質的にゼロに維持するために、前記上流ブリッジ(PR2)の各レッグの前記トランジスタの開放を駆動し、前記少なくとも1つの下流ブリッジ(PR3)の前記少なくとも2つのレッグ(Leg1、Leg2)の前記トランジスタを同相で駆動するように構成される、請求項6に記載の充電器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の充電器を使用してバッテリを充電する方法であって、前記下流ブリッジの少なくとも前記第1のレッグを使用して、前記バッテリによって給電される前記下流ブリッジの前記トランジスタのすべてまたは一部を駆動することによって、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を生成するために、直接またはインダクタ(L5)を介して、前記充電器の前記下流ブリッジの第1のレッグ(Leg1)の中間点(T1)に接続された前記分離スイッチ(TR)が選択的に閉じられる、方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の充電器を備えた自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車両またはハイブリッド自動車両の充電に関する。
【0002】
本発明は、特に、DC/DC電圧コンバータの追加機能を実行するように構成された電気自動車両またはハイブリッド自動車両に搭載されたバッテリ充電器に関する。
【背景技術】
【0003】
公知の方法では、自動車両は、入力電圧、例えば48Vを第1の出力電圧、例えば12Vに変換するように構成されたDC/DC電圧コンバータを備えている。DC/DC電圧コンバータは、例えば、バッテリ、例えば12Vのバッテリに給電するために、充電するために、またはカーラジオなどの電気機器に給電するために使用される。
【0004】
さらに、自動車両には、公知の方法で、例えば48Vのバッテリなどの車両バッテリを充電できる車載充電器(OBC)が装備されている。
【0005】
公知の自動車両では、DC/DC電圧コンバータと車載充電器(OBC)機能は、2つの別個の電子モジュールによって実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハイブリッド自動車両または電気自動車両をさらに改善し、車載充電器と電子システムのコストとサイズを最小限に抑える必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この必要性を満たすことを目的としており、したがって、その主題は、その態様の1つによれば、車両に搭載されたバッテリ充電器であって、バッテリ充電器は、
主電圧コンバータであって、
少なくとも1つの一次側および少なくとも1つの二次側を備える少なくとも1つの変圧器と、
変圧器の一次側に給電する被駆動トランジスタの少なくとも1つの上流ブリッジと、
変圧器の二次側により給電される被駆動トランジスタの少なくとも1つの下流ブリッジであって、電流および/または電圧により駆動されたときに、充電されるバッテリに給電するための第1の電圧を生成することを可能にし、少なくとも2つのレッグを備える少なくとも1つの下流ブリッジと、を備える主電圧コンバータと、
直接またはインダクタを介して下流ブリッジの第1のレッグの中間点に接続された少なくとも1つの分離スイッチであって、開いているときに下流ブリッジを使用して第1の電圧を供給し、閉じているときに下流ブリッジの少なくとも前記第1のレッグを使用して、前記バッテリによって給電される下流ブリッジのトランジスタのすべてまたは一部を駆動することによって、第1の電圧とは異なる第2の電圧を生成することを可能にする少なくとも1つの分離スイッチと、
トランジスタのための制御回路と、を備える。
【0008】
本発明の特定の実施形態では、第2の電圧はDC電圧である。
【0009】
本発明の特定の実施形態では、第1の電圧はDC電圧である。
【0010】
本発明の特定の実施形態では、第1および第2の電圧はDC電圧である。
【0011】
本発明の特定の実施形態では、第1の電圧は、下流ブリッジが変圧器の二次側によって給電され、かつ分離スイッチが開いているときに供給される。
【0012】
本発明により、公知の方法で別個の構成要素によって実行された電子機能が組み合わされ、それにより、全体のサイズおよび製造コストを削減することが可能になる。
【0013】
さらに、冷却装置とトランジスタ制御回路を共有できるため、全体のサイズと製造コストをさらに向上させることができる。
【0014】
主電圧コンバータは、1つまたは複数の上流ブリッジ、特に1つまたは複数の変圧器を含むことができる。同じ上流ブリッジは、1つまたは複数の変圧器を提供することができる。
【0015】
さらに、主電圧コンバータは、1つまたは複数の下流ブリッジ、特に多くの変圧器を含むことができる。
【0016】
充電器に分離された主電圧コンバータが含まれている限り、1つまたは複数の変圧器が存在すると有用である。
【0017】
トランジスタの上流ブリッジは、トランジスタの少なくとも1つのレッグを含むことができる。
【0018】
本発明では、充電器のブリッジがDC/DC電圧コンバータ機能を実行するために使用されることが理解される。コンバータの下流ブリッジは、分離スイッチが開いているときに第1の電圧を供給するために使用され(充電器機能)、分離スイッチが閉じているとき、前記バッテリによって給電される下流ブリッジのトランジスタのすべてまたは一部を制御することによって、第1の電圧とは異なる第2の電圧を生成するために、下流ブリッジの少なくとも1つのレッグが使用される(コンバータ機能)。
【0019】
このような構成は、一般に、充電器とコンバータの機能が同時に使用されないという事実によって可能になる。充電器機能は、車両が停止しているときに使用され、コンバータ機能は車両が走行しているときに使用される。
【0020】
本発明によれば、充電器がいくつかの同一の並列アームを含む場合には、充電器とコンバータの両方の機能を同時に使用することができる。その場合、充電器とコンバータの各機能に少なくとも1つのアームを割り当てることができる。
【0021】
第2の電圧を使用して自動車両の車載ネットワークに給電し、例えば携帯電話を車載で充電できるようにすることができる。
【0022】
第1および第2の出力電圧は、有利には共通の接地に接続されている。
【0023】
第1の出力電圧は、60V未満、好ましくは48V以下とすることができる。一実施形態では、第1の出力電圧は48Vである。
【0024】
第2の出力電圧は、60V未満、好ましくは48V以下とすることができる。一実施形態では、第2の出力電圧は12Vまたは24Vである。
【0025】
本発明の特定の実施形態では、充電器はさらに、下流ブリッジの低電位の出力と前記少なくとも1つの分離スイッチとの間に配置されたキャパシタをさらに備えることができる。本発明の特定の実施形態では、充電器は、下流ブリッジの低電位の出力と、下流ブリッジの第1のレッグの中間点に接続されていない前記少なくとも1つの分離スイッチの端子との間に配置されるキャパシタをさらに備えることができる。別の言い方をすれば、キャパシタは、端子の一方が下流ブリッジの低電位の出力に、端子の他方が分離スイッチが閉じている場合にのみ、下流ブリッジの第1のレッグの中間点に電気的に接続される。
【0026】
本発明の特定の実施形態では、前記キャパシタンスは無極性であり得る。
【0027】
充電器は、1つまたは複数の分離スイッチ、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つを含むことができる。多数の分離スイッチにより、アセンブリの電力を向上させることができる。一例として示す実施形態では、4つの分離スイッチが並列に、それぞれは、2つの下流ブリッジの一方の2つのアームのうち一方の中間点に接続されるように配置される。
【0028】
充電器は、前記少なくとも1つの分離スイッチと第2の電圧出力との間に少なくとも1つの安全スイッチをさらに含むことができる。1つまたは複数の分離スイッチが開いているときに、1つまたは複数の安全スイッチが開くことができる。
【0029】
充電器は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つなど、1つまたは複数の安全スイッチを含むことができる。多数の安全スイッチにより、アセンブリの電力を向上させることができる。原則として、分離スイッチと安全スイッチの数は同じである。一例として示す実施形態では、並列に配置された4つの安全スイッチを備える。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、分離スイッチTRは、インダクタを介して下流ブリッジの第1のレッグの中間点、インダクタおよび下流ブリッジの第1のレッグに接続され、したがって「バック」型の降圧コンバータを形成する。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、主電圧コンバータは、変圧器の二次側と下流ブリッジのレッグうちの1つの中間点との間、例えば二次側と下流ブリッジの第1のレッグの中間点との間に配置された少なくとも1つのスイッチをさらに備える。前記少なくとも1つのスイッチは、単純なスイッチ、インバータ、トランジスタ、サイリスタまたは同等のものから選択することができる。
【0032】
本発明の特定の実施形態では、制御回路は、変圧器の二次側の電流を実質的にゼロに維持するために、上流ブリッジの各レッグのトランジスタの開放を駆動し、前記少なくとも1つの下流ブリッジの少なくとも2つのレッグのトランジスタを同相で駆動するように構成される。
【0033】
この実施形態では、1つの同じ変圧器の下流ブリッジのトランジスタは、同期方式で駆動され、同じ動作サイクルで制御される。下流ブリッジのレッグのトランジスタのうちの1つが開いていているときに、他の1つはオンであり、その逆も同様である。前記下流ブリッジの2つのレッグの中間点T1およびT2は同じ電位である。さらに、上流ブリッジのトランジスタは開いている。変圧器の二次側には電流がない。発振がより大きいコンバータの出力で電流を取得する。
【0034】
この実施形態では、変圧器の二次側と下流ブリッジのレッグのうちの1つの中間点T1との間にスイッチK1を追加する必要はなく、主電圧コンバータはそのようなスイッチK1を欠くことができる。
【0035】
本発明の別の主題は、独立して、または先行するものと組み合わせされ、上述の充電器を備えた自動車両である。自動車両は全電気式またはハイブリッドである。
【0036】
本発明のさらなる主題は、本発明による充電器を使用して自動車両のバッテリを充電する方法である。そのような方法によれば、下流ブリッジの少なくとも前記第1のレッグを使用して、前記バッテリによって給電される下流ブリッジのトランジスタのすべてまたは一部を駆動することによって、第1の電圧とは異なる第2の電圧を生成するために、直接またはインダクタを介して、充電器の下流ブリッジの第1のレッグの中間点に接続された分離スイッチが選択的に閉じられる。
【0037】
本方法は、上記の本発明の特徴のすべてまたは一部を含むことができる。
【0038】
本発明は、本発明の非限定的な実施例の以下の詳細な説明を読み、添付の図面を検討することにより、より良く理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】公知のDC/DCコンバータの電気回路を示す図である。
図2a】車載充電器の電気回路の公知の変形実施形態を示す図である。
図2b】車載充電器の電気回路の公知の変形実施形態を示す図である。
図2c】車載充電器の電気回路の公知の変形実施形態を示す図である。
図3】本発明による充電器の電気回路の変形実施形態を示す図である。
図4】本発明による充電器の電気回路の変形実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
DC/DC主電圧コンバータ
図1には、第1の入力電圧、例えば48Vを第2の出力電圧、例えば12Vに変換するように構成された主DC/DC電圧コンバータ100が示されている。
【0041】
主電圧コンバータ100は、それ自体公知の方法で、チョッパとして動作するブリッジを含む。このようなコンバータは降圧コンバータと呼ばれ、DC電圧をより低い値の別のDC電圧に変換する。例示的な実施形態では、これは、例えば、48Vの電圧を12Vの電圧に変換する場合であり得る。
【0042】
図1の例示的な実施形態では、DC/DCコンバータ100は、並列に配置された4つのセルCを含む。もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、セルCの数は異なっていてもよい。例えば、2〜12個のセル、例えば2個、3個、4個、5個、または6個のセルがあってもよい。
【0043】
複数のセルを使用すると、半導体へのストレスを低減することができる。したがって、コンバータのセルはすべて、連続する各セルのトランジスタの制御間でT/4の位相差を有する同じ出力キャパシタC2につながるため、インターリーブコンバータが参照され、ここで、Tはコンバータの動作サイクルの周期である。言い換えると、各セル内のデューティサイクルは同じであるが、トランジスタの制御は1つのセルから別のセルへT/4だけ位相シフトされる。
【0044】
ここで説明する例では、この出力キャパシタC2は無極性である。
【0045】
各セルCは、第1のトランジスタT8、第2のトランジスタT9、およびインダクタンスL1を含む。
【0046】
ここで説明する例では、トランジスタT8およびT9はMOSFETである。
【0047】
そのようなコンバータ100の動作は、トランジスタT8の状態に従って2つの構成に分割することができる。
【0048】
導通状態では、トランジスタT8は閉じられ、インダクタンスL1を流れる電流は直線的に増加する。第2のトランジスタT9の端子間の電圧は負であるため、電流は流れない。
【0049】
遮断状態では、トランジスタT8は開いている。第2のトランジスタT9は、インダクタンスL1を通る電流の連続性を確保するために導通状態になる。インダクタンスL1を流れる電流は減少する。
【0050】
さらに、コンバータ100は、1つまたは複数のセルCの出力に直接接続され、閉じているときに出力電圧を供給し、開いているときに1つまたは複数のセルCを保護する分離スイッチTRを含む。
【0051】
コンバータ100は、安全スイッチTSも含み、安全スイッチTSはそれぞれ、対応する分離スイッチTRと直列に取り付けられている。これらの安全スイッチTSは、閉じているときに出力電圧を供給し、開いているときに1つまたは複数のセルCを保護する。
【0052】
このような構成は、両方向の電流の流れを防止する。DC/DCコンバータのハードウェアの故障、例えばトランジスタの故障の場合と同様に、入力または出力でネットワークの1つに低電圧または過電圧が現れると、分離スイッチおよび安全スイッチが(オープンスイッチとして)作動する。
【0053】
分離スイッチおよび安全スイッチの各対は、他の対と並列に取り付けられている。
【0054】
記載された例では、コンバータは4対の分離スイッチおよび安全スイッチを含み、それによりアセンブリの電力を改善するが、それらの数が異なる場合、例えば、1、2、3、5または6である場合でも、本発明の範囲から逸脱することはない。原則として、分離スイッチおよび安全スイッチの数は、コンバータのセルの数に等しくなる。
【0055】
説明した例では、分離スイッチと安全スイッチは、例えばMOSFETタイプのトランジスタである。
【0056】
コンバータ100のすべてのトランジスタおよびスイッチは、コンバータ100のコントローラ110によって制御される。
【0057】
バッテリ充電器(OBC)
車載充電器(OBC)は、例えば48Vとすることができる、第2の出力電圧を供給することにより、車両のバッテリを充電する。
【0058】
従来技術で知られているバッテリ充電器は、図2a〜図2cの例示的な実施形態に示されているように、2つのステージ、すなわち、力率補正(PFC)コンバータ200によって形成される第1のステージ、およびLLC DC/DCコンバータ300によって、またはデュアルブリッジDC/DCコンバータによって形成される第2のステージを含むことができる。
【0059】
力率補正(PFC)コンバータ
第1のステージに関して、力率補正コンバータPFC200の主な目的は、力率補正機能において、正弦波であり、ネットワーク上の電圧と同相である電流を、電流歪み率が5%未満の電流を引き込むことであり、つまり、PFCはネットワーク、この特定の場合では、主に単相220V電気ネットワーク上で有効電力のみを引き込む。
【0060】
力率補正コンバータPFC200は、図2aの実施形態において、AC/DCコンバータ、すなわち整流器ブリッジPR1、ならびにトランジスタT10、ダイオードD、およびインダクタンスL2を含む昇圧ブーストコンバータを含む。さらに、力率補正コンバータPFC200の下流およびLLC DC/DC300またはデュアルブリッジDC/DCの上流に、フィルタリングキャパシタンスC2が配置される。
【0061】
コンバータ200のすべてのトランジスタ、すなわち、開くことができる(遮断スイッチ)または閉じることができる(導通スイッチ)スイッチは、コンバータ200のコントローラ210によって制御される。
【0062】
LLC DC/DCコンバータ
第2のステージに関しては、これはLLC DC/DCコンバータ300、すなわち少なくとも1つの整流器ブリッジPR2を含み、その後に2つのインダクタンスL3、L4およびキャパシタンスC3を有する共振回路が続き、一次側および二次側を含む変圧器TFが続き、次に整流器ブリッジPR3が続くコンバータである。
【0063】
図2aに示す例では、LLC DC/DCコンバータ300は、2つの同一かつ並列のレッグを含み、したがって2つの整流器ブリッジPR2があり、それぞれに2つのインダクタンスL3、L4およびキャパシタンスC3を有する共振回路が続き、一次側および二次側を含む変圧器TFが続き、次に整流器ブリッジPR3が続くコンバータである。したがって、2つの変圧器TFがあり、2つの整流器ブリッジPR3がある。
【0064】
そのような実施形態は、例えば、7kWまたは3.5kWの電力での動作を可能にする。
【0065】
説明した例では、整流器ブリッジはトランジスタを含む。コンバータ300のすべてのトランジスタ(スイッチ)は、コンバータ300のコントローラ310によって制御される。
【0066】
図2aの例では、バッテリ充電器OBCは可逆的ではない。
【0067】
求められる電力に応じて、他のバッテリ充電器の構成も可能である。
【0068】
図2bに示す変形実施形態では、バッテリ充電器は可逆的である。このため、図2aに示したものとは、整流器ブリッジPR1の形式が異なり(「アクティブフロントエンド整流器」と呼ばれる)、これは、2つの第1のアームを形成するトランジスタと、整流器ブリッジPR1の2つの第1のアームの1つの中間点にそれぞれ接続された2つのインダクタンスL2を含む。
【0069】
最後に、およびオプションとして、力率補正コンバータPFC200は、電磁適合性(EMC)を改善するためのトランジスタの第3のアームを含む。
【0070】
この実施形態はまた、LLC DC/DCコンバータ300が2つの変圧器TFの上流にただ1つの整流器ブリッジPR2を含むという事実によって以前のものと異なり、それにより電子部品の数、したがってコストおよびサイズを削減する。
【0071】
図2cの実施形態では、バッテリ充電器も可逆的であり、LLC DC/DCコンバータ300は3つの同一のレッグ、したがって3つの整流器ブリッジPR2を含み、それぞれに2つのインダクタンスL3、L4とキャパシタンスC3を備えた共振回路が続き、その後に、一次側および二次側を含む変圧器TFが続き、次に整流器ブリッジPR3が続く。したがって、3つの変圧器TFがあり、3つの整流器ブリッジPR3がある。
【0072】
そのような実施形態は、例えば、7kWまたは11kWのより高い電力での動作を可能にする。
【0073】
最後に、力率補正コンバータPFC200は、図2aおよび図2bの例のように、単相ではなく三相にすることができる。
【0074】
デュアルブリッジDC/DCコンバータを備えたバッテリ充電器(OBC)
さらに、前の例のLLC DC/DCコンバータをデュアルブリッジDC/DCコンバータに置き換えることができるバッテリ充電器が公知である。そのようなデュアルブリッジDC/DCコンバータは、第1の一次ブリッジPR1、第2の二次ブリッジPR2、および2つのブリッジ間の変圧器を含む。つまり、デュアルブリッジDC/DCコンバータは共振ステージを備えていない(インダクタンスL3もキャパシタンスC3もない)。デュアルブリッジDC/DCコンバータを使用するバッテリ充電器の第1のステージは、当業者に公知であり、ここでは説明しない。
【0075】
統合コンバータを備えたバッテリ充電器
次に、本発明による車載バッテリ充電器について説明する。
【0076】
図3に示されているのは、主電圧コンバータを備える、車両に搭載されたバッテリ充電器が示されおり、主電圧コンバータは、
少なくとも1つの一次側および少なくとも1つの二次側を備える少なくとも1つの変圧器TF、特に説明されている例では2つの変圧器TFと、
変圧器の一次側に給電する被駆動トランジスタの少なくとも1つの上流ブリッジと、を備えるが、これは図3には表されていない。この上流部分は、例えば、図2aから図2bを参照して説明されたものに類似してもよく、変圧器の二次側により給電される被駆動トランジスタの少なくとも1つの下流ブリッジPR3は、電流および/または電圧により駆動されたときに、充電されるバッテリに給電するための第1の電圧を生成することを可能にし、この下流ブリッジは少なくとも2つのレッグを備える。説明した例では、2つの同一の下流ブリッジPR3があり、各下流ブリッジPR3は2つのレッグ(Leg1とLeg2、Leg3とLeg4)を含むHブリッジであり、充電されるバッテリは48Vのバッテリである。
【0077】
さらに、充電器は、インダクタL5を介して下流ブリッジPR3の第1のLeg1の中間点に接続された少なくとも1つの分離スイッチTR(または「逆方向」)を備え、開いているときに下流のブリッジPR3を使用して第1の電圧を供給し、閉じているときに下流ブリッジの少なくとも1つのレッグ、つまり第1のLeg1を使用して、前記バッテリによって給電される下流ブリッジのトランジスタのすべてまたは一部を駆動することによって、第1の電圧とは異なる第2の電圧を生成することを可能にする。説明した例では、4つの分離スイッチTRと、2つの下流ブリッジPR3の4つのレッグLeg1、Leg2、Leg3、Leg4の点T1、T2、T3、T4に接続された4つのインダクタL5がある。
【0078】
充電器はさらに、下流ブリッジの低電位の出力と分離スイッチTRとの間に配置されたキャパシタC5を備える。ここで説明する例では、キャパシタC5は極性がない。
【0079】
充電器はさらに、4つの安全スイッチTSを並列に備えている。これら4つの安全スイッチTSは、分離トランジスタTRのインダクタL5に接続されていない出力と第2の電圧の出力との間に配置されている。
【0080】
充電器はまた、トランジスタおよびスイッチのための制御回路410も備えている。
【0081】
充電器が車両のバッテリに第1の充電電圧を供給することにより、車載バッテリ充電器OBCの機能を果たすときに、分離スイッチTRが開く。したがって、下流ブリッジPR3のアームを使用して、LLC DCDCコンバータが生成される。下流ブリッジPR3のトランジスタは、図2aから図2bに関連して前述したように駆動される。充電器が電圧コンバータ機能を果たすと、第2の電圧を供給するために、分離スイッチTRが閉じられる。この構成では、下流ブリッジPR3の各アームは、インダクタL5と共に、「バック」型の降圧コンバータと呼ばれるDC/DCコンバータのセルCを形成する。
【0082】
これに関連して、DC/DCコンバータの入力または出力でネットワークの1つに低電圧または過電圧(外乱)が発生した場合、ならびにDC/DCのハードウェアの故障(例えば、スイッチの破損)の場合には、分離スイッチTRおよび安全スイッチTSも開かれる。
【0083】
説明した例では、分離スイッチおよび安全スイッチはトランジスタ、例えばMOSFETトランジスタである。これらの分離スイッチおよび安全スイッチも制御回路410によって制御される。別の言い方をすれば、トランジスタは、開いている(トランジスタがオフ)または閉じている(トランジスタがオン)電子スイッチとして使用される。
【0084】
したがって、有利な方法では、LLC DC/DCコンバータとDC/DC電圧コンバータを選択的に制御するための単一のコントローラがある。
【0085】
この実施形態では、分離スイッチが閉じられると、同一の変圧器の二次側によって給電される被駆動トランジスタの同一の下流ブリッジPR3に属するセルCの各々が、前記セルCの各々が同じ動作サイクル(「デューティサイクル」)で位相シフトなしで動作するように(制御回路410によって)制御される。このようにして、アームLeg1およびLeg2は、同じ動作サイクルで位相シフトなしで動作する。別の言い方をすれば、デューティサイクルは同一であり、トランジスタの駆動コマンドが一方のアームから他方のアームに位相シフトされない。制御回路410は、アームLeg3およびLeg4を同様に駆動する。さらに、制御回路410は、1つまたは複数の上流ブリッジの各レッグの開放を駆動する。その結果、変圧器TRの二次側の電流は実質的にゼロであり、点T1およびT2は同じ電位にある。同じことが点T3とT4にも当てはまる。さらに、アームLeg1およびLeg2を含むセルのスイッチの駆動コマンドは、アームLeg3およびLeg4を含むセルに対してT/2だけ位相シフトされる。
【0086】
図4に示されているのは本発明の変形実施形態であり、主電圧コンバータ400はスイッチK1およびスイッチK2をさらに備え、スイッチK1およびスイッチK2の各々が変圧器TFの二次側と2つの下流ブリッジPR3の各々のレッグの1つの中間点T1、T3との間にそれぞれ配置される。
【0087】
スイッチK1およびK2が閉じられると、分離スイッチTRが開かれ、充電器が車両のバッテリに第1の充電電圧を供給することによりその充電器機能を果たす。
【0088】
スイッチK1およびK2が開くと、分離スイッチTRが閉じられ、充電器が第2の電圧を提供するためにその電圧変換機能を果たす。各下流ブリッジは、図1に関連して説明したように、同じデューティサイクルで、さまざまなレッグのトランジスタを開閉するための駆動コマンド間でT/4(この例では)の位相シフトで駆動される。
【0089】
この変形実施形態では、コンバータの出力の電流がより小さな振幅の発振を示すため、キャパシタC5は図3に示す変形実施形態のサイズの半分になり得ることに留意されたい。
【0090】
もちろん、充電器は、点T1とT2にそれぞれ接続された2つの分離スイッチと2つの安全スイッチを備えた、単一の下流ブリッジと単一のスイッチK1のみを備える。この場合、下流ブリッジの2つのレッグの間にT/2の位相シフトがある。
【0091】
説明した例では、分離スイッチおよび安全スイッチはトランジスタ、例えばMOSFETトランジスタである。すべてのトランジスタとスイッチは、コントローラ410によって制御される。
【0092】
もちろん、本発明は、説明した例に限定されない。特に、ブリッジのレッグの数は異なってもよい。さらに、充電器のアームの数と変圧器の数は異なってもよい。それは例えば、1、2、3、または4であってもよい。最後に、本発明は、デュアルブリッジDC/DCコンバータを使用する充電器にも適用される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4