特許第6953762号(P6953762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許6953762画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム
<>
  • 特許6953762-画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム 図000002
  • 特許6953762-画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム 図000003
  • 特許6953762-画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム 図000004
  • 特許6953762-画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム 図000005
  • 特許6953762-画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム 図000006
  • 特許6953762-画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム 図000007
  • 特許6953762-画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953762
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】画像形成装置、動作音抑制方法及び動作音抑制プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20211018BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20211018BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20211018BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20211018BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   B41J29/38 202
   B41J29/46 Z
   H04N1/00 C
   G03G21/14
   G03G21/00 386
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-67824(P2017-67824)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167513(P2018-167513A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】加來 信弥
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−033569(JP,A)
【文献】 特開2014−215458(JP,A)
【文献】 特開2014−142498(JP,A)
【文献】 特開平06−171117(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0185544(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−0584616(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H04N 1/00
G03G 21/14
G03G 21/00
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時に動作音を発生する少なくとも一つの動作手段と、
音を検知して音量情報を出力するセンサーと、
前記動作手段の動作の開始後完了までの間に、前記センサーから出力される音量情報に基づいて1回または複数回の音量検出を行う音量検出手段と、
前記音量検出手段により検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、閾値以下の場合は、前記動作手段の全部または一部を停止させるか、または動作音が小さい動作に変更させる制御手段と、
を備え、
前記自装置の周辺環境の音量は前記動作手段の動作音を含まないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記音量検出手段が音量検出を行うときは、前記制御手段は前記動作手段の全部を停止させ、
前記制御手段は、前記動作手段の全部を停止させた状態で前記音量検出手段により検出された音量が、予め設定された閾値以下か否かを判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
予め行われた前記動作手段の動作音量の測定の結果を保存する保存手段を備え、
前記音量検出手段は前記動作手段の動作状態のまま音量検出を行い、
前記制御手段は、前記音量検出手段により検出された音量から前記保存手段に保存されている動作中の動作手段に対応する動作音量を差し引いた結果が、予め設定された閾値以下か否かを判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記動作手段が印刷手段であり、
当該印刷手段がセキュリティ印刷を行っている場合、前記制御手段はセキュリティ印刷の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記動作手段による動作が一定値以下の頁数の文書に対する処理動作である場合、前記制御手段は前記処理動作の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記音量検出手段により検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が閾値以下のため前記制御手段により前記動作手段の全部または一部の停止が行われた場合、そのことをユーザーに通知するための通知手段を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
動作時に動作音を発生する少なくとも一つの動作手段と、音を検知して音量情報を出力するセンサーを備えた画像形成装置が、
前記動作手段の動作の開始後完了までの間に、前記センサーから出力される音量情報に基づいて1回または複数回の音量検出を行う音量検出ステップと、
前記音量検出ステップにより検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、閾値以下の場合は、前記動作手段の全部または一部を停止させるか、または動作音が小さい動作に変更させる制御ステップと、
を実行し、
前記自装置の周辺環境の音量は前記動作手段の動作音を含まないことを特徴とする動作音抑制方法。
【請求項8】
動作時に動作音を発生する少なくとも一つの動作手段と、音を検知して音量情報を出力するセンサーを備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記動作手段の動作の開始後完了までの間に、前記センサーから出力される音量情報に基づいて1回または複数回の音量検出を行う音量検出ステップと、
前記音量検出ステップにより検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、閾値以下の場合は、前記動作手段の全部または一部を停止させるか、または動作音が小さい動作に変更させる制御ステップと、
を実行させ
前記自装置の周辺環境の音量は前記作手段の動作音を含まないことを特徴とする動作音抑制プログラム。
【請求項9】
前記音量検出ステップにより音量検出を行うときは、前記制御ステップでは前記動作手
段の全部を停止させ、
前記制御ステップは、前記動作手段の全部を停止させた状態で前記音量検出ステップにより検出された音量が、予め設定された閾値以下か否かを判定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項8に記載の動作音抑制プログラム。
【請求項10】
予め行われた前記動作手段の動作音量の測定の結果を保存する保存手段を備え、
前記音量検出ステップでは前記動作手段の動作状態のまま音量検出を行い、
前記制御ステップでは、前記音量検出ステップにより検出された音量から前記保存手段に保存されている動作中の動作手段に対応する動作音量を差し引いた結果が、予め設定された閾値以下か否かを判定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項8に記載の動作音抑制プログラム。
【請求項11】
前記動作手段が印刷手段であり、
当該印刷手段がセキュリティ印刷を行っている場合、前記制御ステップではセキュリティ印刷の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる処理を前記コンピュータに実行させる請求項8〜10のいずれかに記載の動作音抑制プログラム。
【請求項12】
前記動作手段による動作が一定値以下の頁数の文書に対する処理動作である場合、前記制御ステップでは前記処理動作の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる処理を前記コンピュータに実行させる請求項8〜11のいずれかに記載の動作音抑制プログラム。
【請求項13】
前記音量検出ステップにより検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が閾値以下のため前記制御ステップにより前記動作手段の全部または一部の停止が行われた場合、そのことをユーザーに通知するための通知ステップを前記コンピュータに更に実行させる請求項8〜12のいずれかに記載の動作音抑制プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば多機能デジタル複合機であるMFP(Multi Function Peripherala)等の画像形成装置、同装置で実行される動作音抑制方法及び動作音抑制プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のMFP等の画像形成装置では、スキャナ装置による原稿の読み取り時の動作音や印刷部による印刷時の動作音が発生するが、このような動作音は静かなオフィス環境においては騒音源となりやすい。また、印刷物の中には直ちに印刷を行わなくても良い印刷物もある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ファクシミリ受信時に発する音や印刷時に発する音をまわりの騒音の状況に合わせて制御可能な画像形成装置が提案されている。具体的には、画像形成装置は、周囲の音量を検出する音量検出部を有し、音量検出部で測定した周辺音量が閾値以下であるときには、印字部の印字動作を禁止するというものである。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された画像形成装置は、印字部の印字動作の開始前に音量検出部で周辺の音量を検出するものであったため、次のような問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−147813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
即ち、特許文献1に記載の画像形成装置では、オフィス等における画像形成装置の周辺音量が所定音量よりも大きい場合、つまり静音状態ではない場合に印字動作が開始されるが、印字動作の開始後完了までの間に、周辺環境が静音状態になる場合もある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、一旦印字動作が開始されると印字終了まで印字動作が停止することなく継続されるため、印字動作の開始後完了までの間に、オフィス環境等が静音状態になった場合は、やはり騒音の原因となるという問題がある。
【0008】
しかも、印字動作の開始後に音量検出部で周辺音量を検出したとしても、自身の印字部の動作音も検出してしまうため、周辺音量が所定音量よりも大きいと判断されてしまう。
このため、印字動作の開始後完了までの間に周辺環境が静音状態になったとしても、いずれにせよ印字動作を停止させることはできなかった。
【0009】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、動作の開始後完了までの間に周辺環境が静音状態になった場合、動作音を抑制することができる画像形成装置を提供し、さらには同装置で実行される動作音抑制方法及び動作音抑制プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)動作時に動作音を発生する少なくとも一つの動作手段と、音を検知して音量情報を出力するセンサーと、 前記動作手段の動作の開始後完了までの間に、前記センサーから出力される音量情報に基づいて1回または複数回の音量検出を行う音量検出手段と、前記音量検出手段により検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、閾値以下の場合は、前記動作手段の全部または一部を停止させるか、または動作音が小さい動作に変更させる制御手段と、を備え、前記自装置の周辺環境の音量は前記動作手段の動作音を含まないことを特徴とする画像形成装置。
(2)前記音量検出手段が音量検出を行うときは、前記制御手段は前記動作手段の全部を停止させ、前記制御手段は、前記動作手段の全部を停止させた状態で前記音量検出手段により検出された音量が、予め設定された閾値以下か否かを判定する前項1に記載の画像形成装置。
(3)予め行われた前記動作手段の動作音量の測定の結果を保存する保存手段を備え、前記音量検出手段は前記動作手段の動作状態のまま音量検出を行い、前記制御手段は、前記音量検出手段により検出された音量から前記保存手段に保存されている動作中の動作手段に対応する動作音量を差し引いた結果が、予め設定された閾値以下か否かを判定する前項1に記載の画像形成装置。
(4)前記動作手段が印刷手段であり、当該印刷手段がセキュリティ印刷を行っている場合、前記制御手段はセキュリティ印刷の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる前項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
(5)前記動作手段による動作が一定値以下の頁数の文書に対する処理動作である場合、前記制御手段は前記処理動作の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる前項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)前記音量検出手段により検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が閾値以下のため前記制御手段により前記動作手段の全部または一部の停止が行われた場合、そのことをユーザーに通知するための通知手段を備えている前項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
(7)動作時に動作音を発生する少なくとも一つの動作手段と、音を検知して音量情報を出力するセンサーを備えた画像形成装置が、前記動作手段の動作の開始後完了までの間に、前記センサーから出力される音量情報に基づいて1回または複数回の音量検出を行う音量検出ステップと、前記音量検出ステップにより検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、閾値以下の場合は、前記動作手段の全部または一部を停止させるか、または動作音が小さい動作に変更させる制御ステップと、を実行し、前記自装置の周辺環境の音量は前記動作手段の動作音を含まないことを特徴とする動作音抑制方法。
(8)動作時に動作音を発生する少なくとも一つの動作手段と、音を検知して音量情報を出力するセンサーを備えた画像形成装置のコンピュータに、前記動作手段の動作の開始後完了までの間に、前記センサーから出力される音量情報に基づいて1回または複数回の音量検出を行う音量検出ステップと、前記音量検出ステップにより検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、閾値以下の場合は、前記動作手段の全部または一部を停止させるか、または動作音が小さい動作に変更させる制御ステップと、を実行させ、前記自装置の周辺環境の音量は前記作手段の動作音を含まないことを特徴とする動作音抑制プログラム。
(9)前記音量検出ステップにより音量検出を行うときは、前記制御ステップでは前記動作手段の全部を停止させ、前記制御ステップは、前記動作手段の全部を停止させた状態で前記音量検出ステップにより検出された音量が、予め設定された閾値以下か否かを判定する処理を前記コンピュータに実行させる前項8に記載の動作音抑制プログラム。
(10)予め行われた前記動作手段の動作音量の測定の結果を保存する保存手段を備え、前記音量検出ステップでは前記動作手段の動作状態のまま音量検出を行い、前記制御ステップでは、前記音量検出ステップにより検出された音量から前記保存手段に保存されている動作中の動作手段に対応する動作音量を差し引いた結果が、予め設定された閾値以下か否かを判定する処理を前記コンピュータに実行させる前項8に記載の動作音抑制プログラム。(11)前記動作手段が印刷手段であり、当該印刷手段がセキュリティ印刷を行っている場合、前記制御ステップではセキュリティ印刷の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる処理を前記コンピュータに実行させる前項8〜10のいずれかに記載の動作音抑制プログラム。
(12)前記動作手段による動作が一定値以下の頁数の文書に対する処理動作である場合、前記制御ステップでは前記処理動作の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる処理を前記コンピュータに実行させる前項8〜11のいずれかに記載の動作音抑制プログラム。(13)前記音量検出ステップにより検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が閾値以下のため前記制御ステップにより前記動作手段の全部または一部の停止が行われた場合、そのことをユーザーに通知するための通知ステップを前記コンピュータに更に実行させる前項8〜12のいずれかに記載の動作音抑制プログラム。
【発明の効果】
【0011】
前項(1)に記載の発明によれば、動作手段の動作の開始後完了までの間に、センサーから出力される音量情報に基づいて1回または複数回の音量検出が行われ、検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かが判定される。そして、閾値以下の場合は、動作手段の全部または一部が停止されるか、または動作音が小さい動作に変更される。従って、動作手段の動作の開始後完了までの間に周辺環境が静音状態になった場合は、検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が閾値以下になるから、動作手段の全部または一部は停止されまたは動作音量が低下する動作に変更され、このため画像形成装置の動作音を抑制することができ、オフィス環境等の改善に資することができる。
【0012】
前項(2)に記載の発明によれば、音量の検出を行うときは、動作手段の全部が停止されるから、動作手段の動作音を排除した状態で音量検出が行われ、動作手段の動作音以外の音の大小、換言すれば周辺環境が静音状態か否かを精度良く判定することができる。
【0013】
前項(3)に記載の発明によれば、予め行われた動作手段の動作音量の測定の結果が保存手段に保存されており、音量検出は動作手段の動作状態のまま行われるとともに、検出された周辺音量から保存手段に保存されている動作中の動作手段に対応する動作音量を差し引いた結果が、予め設定された閾値以下か否かが判定されるから、音量の検出のために動作手段を停止等させる必要はなくなり、効率化を図ることができる。
【0014】
前項(4)に記載の発明によれば、セキュリティ印刷が行われている場合は、印刷後に周辺環境が静音状態になったとしてもセキュリティ印刷の完了まで印刷動作がそのまま継続されるから、印刷動作を停止等させることによるセキュリティ上の問題が発生することはない。
【0015】
前項(5)に記載の発明によれば、動作手段による動作が一定値以下の頁数の文書に対する処理動作である場合、処理完了までの時間も短いため、処理動作の完了まで動作手段の動作がそのまま継続される。
【0016】
前項(6)に記載の発明によれば、検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が閾値以下のため動作手段の全部または一部が停止された場合はユーザーに通知されるから、ユーザーは動作手段の全部または一部が停止したことを認識することができる。
【0017】
前項(7)に記載の発明によれば、動作手段の動作の開始後完了までの間に周辺環境が静音状態になった場合は、動作手段の動作は停止されまたは動作音が小さい動作に変更されるから、画像形成装置の動作音を抑制することができ、オフィス環境等の改善に資することができる。
【0018】
前項(8)に記載の発明によれば、動作手段の動作の開始後完了までの間に1回または複数回の音量検出を行い、検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が予め設定された閾値以下か否かを判定し、閾値以下の場合は動作手段の動作を停止するか、または動作音が小さい動作に変更する処理を、画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【0019】
前項(9)に記載の発明によれば、音量検出を行うときは、動作手段の全部を停止させ、動作手段の全部を停止させた状態で検出された音量が、予め設定された閾値以下か否かを判定する処理を画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【0020】
前項(10)に記載の発明によれば、動作手段の動作状態のまま音量の検出を行い、検出された音量から保存手段に保存されている動作中の動作手段に対応する動作音量を差し引いた結果が、予め設定された閾値以下か否かを判定する処理を画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【0021】
前項(11)に記載の発明によれば、セキュリティ印刷を行っている場合は、セキュリティ印刷の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる処理を画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【0022】
前項(12)に記載の発明によれば、動作手段による動作が一定値以下の頁数の文書に対する処理動作である場合、処理動作の完了まで動作手段の動作をそのまま継続させる処理を画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【0023】
前項(13)に記載の発明によれば、検出された音量に基づいて、自装置の周辺環境の音量が閾値以下のため動作手段の全部または一部が停止された場合、そのことをユーザーに通知するための処理を画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図3】画像形成装置の他の動作例を示すフローチャートである。
図4】画像形成装置のさらに他の動作例を示すフローチャートである。
図5】予め測定され保存手段に保存されている各動作手段の動作音量のテーブルを示す図である。
図6】画像形成装置のさらに他の動作例を示すフローチャートである。
図7】画像形成装置のさらに他の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。この実施形態では、画像形成装置1として、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等を有する多機能デジタル複合機である前述したMFPが用いられている。以下、画像処理装置をMFPともいう。
【0027】
図1に示すように、MFP1は、制御部100、固定記憶装置110、画像読取装置120、操作パネル130、画像出力装置140、プリンタコントローラ150及びネットワークインターフェイス(ネットワークI/F)160、マイク170等を備え、互いにシステムバス175を介して接続されている。
【0028】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、S−RAM(Static Random Access Memory)103、NV−RAM(Non Volatile RAM)104及び時計IC105等を備えている。
【0029】
CPU101は、ROM102等に保存されている動作プログラムを実行することにより、MFP1の全体を統括的に制御する。例えばコピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等を実行可能に制御するほか、特にこの実施形態では、自装置の動作前や動作中に、マイク170を介して音量検出を行い、検出結果に応じて所定の処理を実行するが、詳細は後述する。
【0030】
ROM102は、CPU101が実行するプログラムやその他のデータを格納する。
【0031】
S−RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に保存する。
【0032】
NV−RAM104は、バッテリでバックアップされた不揮発メモリであり、画像形成に係わる各種の設定等を記憶するものである。この実施形態では、画像読取装置120や画像出力装置140等のハードウェアからなる各動作部を通常動作させたときの、あるいは所定の動作モードで動作させたときの動作音量が予め測定されており、測定された動作音量が初期データとしてNV−RAM104に保存されている。
【0033】
時計IC105は、時刻を計時すると共に、内部タイマーとして機能し処理時間の計測等を行う。
【0034】
固定記憶装置110は、ハードディスク等からなり、プログラムや各種データ等を保存する。
【0035】
画像読取装置120は動作時に動作音を発生する動作部の一つであり、スキャナ等を備え、プラテンガラス上にセットされた原稿を走査することによって読み取り、読み取った原稿を画像データに変換する。
【0036】
操作パネル130は、ユーザーがMFP1へジョブ等の指示や各種設定を行う際に用いられるものであり、リセットー131、スタートキー132、ストップキー133、表示部134及びタッチパネル135等を備えている。
【0037】
リセットキー131は、設定をリセットする際に使用されるものであり、スタートキー132はスキャン等の開始操作に使用されるものであり、ストップキー133は動作を中断する場合等に押下されるものである。
【0038】
表示部134は、例えば液晶表示装置からなりメッセージや各種の操作画面等を表示するものであり、タッチパネル135は表示部134の画面上に形成され、ユーザーのタッチ操作を検出する。
【0039】
画像出力装置140は動作時に動作音を発生する動作部の一つであり、画像読取装置120で読み取られた原稿の画像データや、外部操作から送信されたプリントデータから生成された複写画像を用紙上に印字するものである。
【0040】
プリンタコントローラ150は、ネットワークインターフェース160によって受信されたプリントデータから複写画像を生成するものである。
【0041】
ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)160は、外部の端末装置等との間でデータの送受信を行う通信手段として機能する。
【0042】
マイク170は、音を検知して音量情報を出力するセンサーとして機能するものであり、例えば操作パネル130の近傍等に配置されている。
【0043】
次に、図1に示したMFP1の動作の概要を説明する。
【0044】
ユーザーはオフィス環境下等でMFP1を利用しているが、早朝や昼休み、昼礼、会議中等、MFP1の印刷動作時等の動作音が騒音源として認識される状況がある。
【0045】
そこで、静音環境下では印刷等をさせないことが考えられるが、例えば昼休み前やMFP1の前での立ち話等、直前までは周辺音量が大きいため動作を開始することがありうる。しかし、動作の開始後に静音環境になった場合は動作音が騒音源となることから、この実施形態では、動作開始後も音量を検出するとともに、検出された音量が閾値以下かどうかを判定して以下に説明するような処理を実行する。
【0046】
図2は、MFP1の具体的な動作処理を示すフローチャートである。なお、図2及び図3以降に示すフローチャートで示される動作は、MFP1の制御部100によって実行され、更に詳細にはCPU101がROM102等の記録媒体に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0047】
MFP1はステップS01においてジョブを受け付けたかどうかを判定する。受け付けていなければ(ステップS01でNO)、受け付けるまで待つ。受け付けると(ステップS01でYES)、ステップS02で、マイク170を介して音量検出を行う。
【0048】
次いで、ステップS03で、検出した音量が予め設定された閾値以下かどうかを判定する。閾値以下であれば(ステップS03でYES)、周辺環境が静音状態でありジョブを実行すると騒音源となることから、ステップS04でジョブの実行を待機し、ステップS02に戻る。
【0049】
検出した音量が閾値以下でなければ(ステップS03でNO)、周辺環境が静音状態ではないため、ステップS05でジョブの実行を開始したのち、ステップS06に進む。
【0050】
ステップS06では、ジョブ実行開始から予め設定された一定時間が経過したかどうかを判定する。一定時間が経過していなければ(ステップS06でNO)、ステップS06に留まり一定時間が経過するのを待つ。一定時間が経過すると(ステップS06でYES)、ステップS07でジョブを実行している動作部の動作を停止したのち、ステップS08で、マイク170を介して音量検出を行う。
【0051】
次いでステップS09で、検出した音量が予め設定された閾値以下かどうかを判定する。閾値以下であれば(ステップS09でYES)、周辺環境が静音状態でありジョブを再開すると騒音源となることから、ステップS12に進み動作の停止を維持した後、ステップS13でユーザーにその旨を通知し、処理を終了する。ユーザーへの通知は、ログインユーザーと関連付けて記憶されているメードアドレス等の宛先に電子メール等により行えば良い。なお、ステップS13でのユーザーへの通知を行わず、ステップS06に戻り、次の周辺音量の検出結果を待っても良い。
【0052】
ステップS09で、検出した音量が閾値以下でなければ(ステップS09でNO)、周辺環境が静音状態でなくジョブを再開しても騒音源とならないから、ステップS10に進みジョブを再開した後、ステップS11でジョブが完了したかどうかを調べる。ジョブが完了すれば(ステップS11でYES)、処理を終了する。ジョブが完了していなければ(ステップS11でNO)、ステップS06に戻る。
【0053】
このようにこの実施形態では、ジョブの実行開始から完了まで、換言すれば画像読取装置120や画像出力装置140等の動作部の動作の開始後完了までの間に、1回または複数回の音量検出を行い、検出された音量が予め設定された閾値以下の場合は動作は停止される。従って、ジョブの開始前は静音状態でなくジョブを開始した後に周辺環境が静音状態になった場合は、動作部の動作は停止されジョブは停止されるから、MFP1の動作音の発生を防止でき、オフィス環境等の改善に資することができる。
【0054】
しかも、音量検出を行うときは、動作部の動作が停止されるから、動作部の動作音を排除した状態で周辺音量の検出を行うことができ、動作部の動作音以外の音の大小、換言すれば周辺環境が静音状態か否かを精度良く判定することができる。
【0055】
図3は、MFP1の他の動作例を示すフローチャートである。この例では、音量が閾値以下でない場合、画像読取装置120や画像出力装置140等の動作部の動作を停止するのではなく、動作音が小さい動作モードに変更するものである。
【0056】
図3のフローチャートにおいて、ステップS01〜S06までは図2のフローチャートと同一であるので、同一のステップ番号を付し説明は省略する。
【0057】
ステップS06で、一定時間が経過すると(ステップS06でYES)、ステップS21でジョブを実行している動作部の動作モードを、動作音が小さい動作モードに変更したのち、ステップS22で、マイク170を介して音量検出を行う。
【0058】
次いでステップS23で、検出した音量が予め設定された閾値以下かどうかを判定する。閾値以下であれば(ステップS23でYES)、周辺環境が静音状態でありジョブを再開すると騒音源となることから、ステップS26に進み動作モードを更に動作音が小さくなるモードに変更した後、ステップS25に進む。
【0059】
動作モードの変更としては、例えば画像出力装置140における印刷速度や用紙搬送速度を遅くしたり、あるいは画像読取装置120における自動原稿搬送装置の原稿搬送速度を遅くする等の例を挙げることができる。
【0060】
ステップS23で、検出した音量が閾値以下でなければ(ステップS23でNO)、周辺環境が静音状態でなくジョブを再開しても騒音源とならないから、ステップS24に進み動作モードを元に戻した後、ステップS25に進む。
【0061】
ステップS25ではジョブが完了したかどうかを調べる。ジョブが完了すれば(ステップS25でYES)、処理を終了する。ジョブが完了していなければ(ステップS25でNO)、ステップS06に戻る。
【0062】
このようにこの実施形態では、ジョブの実行開始から完了まで、換言すれば画像読取装置120や画像出力装置140等の動作部の動作の開始後完了までの間に、1回または複数回の音量検出を行い、検出された音量が予め設定された閾値以下の場合は動作モードを変更して動作音を更に小さくするから、ジョブの開始前は静音状態でなくジョブを開始した後に周辺環境が静音状態になった場合にMFP1の動作音の発生を抑制でき、オフィス環境等の改善に資することができる。
【0063】
しかも、音量検出を行うときは、動作部の動作モードを動作音が小さくなるモードに変更されるから、動作部の動作音を可及的に排除した状態で音量検出を行うことができ、動作部の動作音以外の周辺音量の大小、換言すれば周辺環境が静音状態か否かを精度良く判定することができる。
【0064】
なお、図3の例において、動作モードを変更するのではなく、複数の動作部が動作している場合は一部の動作部、特に動作音の大きい動作部の動作を停止してもよい。
【0065】
図4は、MFP1のさらに他の動作例を示すフローチャートである。この例では、MFP1のジョブ実行動作を継続したまま、音量を測定するものである。
【0066】
MFP1はステップS31においてジョブを受け付けたかどうかを判定する。受け付けていなければ(ステップS31でNO)、受け付けるまで待つ。受け付けると(ステップS31でYES)、ステップS32で、マイク170を介して音量を検出する。
【0067】
次いで、ステップS33で、検出した音量が予め設定された閾値以下かどうかを判定する。閾値以下であれば(ステップS33でYES)、周辺環境が静音状態でありジョブを実行すると騒音源となることから、ステップS34でジョブの実行を待機し、ステップS02に戻る。
【0068】
検出した周辺音量が閾値以下でなければ(ステップS33でNO)、周辺環境が静音状態ではないため、ステップS35でジョブの実行を開始したのち、ステップS36に進む。
【0069】
ステップS36では、ジョブ実行開始から予め設定された一定時間が経過したかどうかを判定する。一定時間が経過していなければ(ステップS36でNO)、ステップS36に留まり一定時間が経過するのを待つ。一定時間が経過すると(ステップS36でYES)、動作を継続したままステップS37でマイク170を介して音量を検出する。
【0070】
次いでステップS38で、現在動作している画像読取装置120や画像出力装置140等の動作音量の初期値を、NV−RAM104から取得したのち、ステップS39に進む。
【0071】
図5に、NV−RAM104に記憶されている動作音量の初期値を示す。動作音量の初期値は、例えば初回動作時等に予め測定しておき、測定結果をNV−RAM104に保持しておく。図5の例では、画像読取装置120及び画像出力装置140についての動作音量(初期値)が記憶されているが、動作モードの異なる毎に動作音量を測定しておき、記憶させても良い。
【0072】
図4に戻り、ステップS39では、検出された音量から取得した動作音量の初期値を差し引いたのち、ステップS40で、差し引いたあとの値が予め設定された閾値以下かどうかを判定する。閾値以下であれば(ステップS40でYES)、周辺環境が静音状態でありジョブを再開すると騒音源となることから、ステップS43に進み動作の停止を維持した後、ステップS44でユーザーにその旨を通知し、処理を終了する。なお、ステップS13でのユーザーへの通知を行わず、ステップS36に戻り、次の音量の検出結果を待っても良い。
【0073】
ステップS40で、検出した音量が閾値以下でなければ(ステップS40でNO)、周辺環境が静音状態でなくジョブを再開しても騒音源とならないから、ステップS41に進みジョブを再開した後、ステップS42でジョブが完了したかどうかを調べる。ジョブが完了すれば(ステップS42でYES)、処理を終了する。ジョブが完了していなければ(ステップS42でNO)、ステップS36に戻る。
【0074】
このようにこの実施形態では、予め行われた画像読取装置120や画像出力装置140等の動作部の動作音量の測定結果が初期値としてNV−RAM104等に保存されており、音量検出は動作継続状態のまま行われるとともに、検出された音量から、保存されている動作中の動作部に対応する動作音量の初期値を差し引いた結果が、予め設定された閾値以下か否かを判定するから、音量検出のために動作部を停止等させる必要はなくなり、効率化を図ることができる。
【0075】
なお、図4のフローチャートに示した動作例においても、図3のフローチャートに示した動作例と同様に、動作部の動作を停止するのではなく動作音が小さくなるように動作モードを変更しても良い。
【0076】
図6は、MFP1のさらに他の動作例を示すフローチャートである。この例では、受け付けたジョブがセキュリティ印刷の場合を示すものである。なお、セキュリティ印刷とは印刷物の印刷にユーザーの認証情報の入力を必要とする印刷をいう。
【0077】
図6のフローチャートは、図2のフローチャートにおけるステップS01〜S05及びステップS06〜S13と同一であるので、同一のステップ番号を付し、説明は省略する。
【0078】
ステップS05で、ジョブ実行を開始した後、ステップS51で、受け付けたジョブがセキュリティ印刷かどうかを判定する。セキュリティ印刷の場合は(ステップS51でYES)、ステップS52でジョブが完了したかどうかを調べる。ジョブが完了していなければ(ステップS52でNO)、ジョブが完了するまで待つ。ジョブが完了すると(ステップS52でYES)、処理を終了する。ステップS51で、受け付けたジョブがセキュリティ印刷でない場合は(ステップS51でNO)、ステップS06に進む。
【0079】
このようにこの実施形態では、セキュリティ印刷の場合は、印刷中に音量検出を行うことなくジョブを完了させる。これによって、印刷動作を停止等させることによるセキュリティ上の問題が発生するのを防止できる。
【0080】
図7は、MFP1のさらに他の動作例を示すフローチャートである。この例では、受け付けたジョブが頁数の少ない文書の印刷ジョブ等である場合を示すものである。
【0081】
図7のフローチャートは、図2のフローチャートにおけるステップS01〜S05及びステップS06〜S13と同一であるので、同一のステップ番号を付し、説明は省略する。
【0082】
ステップS05で、ジョブ実行を開始した後、ステップS61で、受け付けたジョブの処理対象の頁数は一定値以下かどうかを判定する。一定値以下の場合は(ステップS61でYES)、ステップS62でジョブが完了したかどうかを調べる。ジョブが完了していなければ(ステップS62でNO)、ジョブが完了するまで待つ。ジョブが完了すると(ステップS62でYES)、処理を終了する。ステップS61で、受け付けたジョブの処理頁数は一定値以下でない場合は(ステップS61でNO)、ステップS06に進む。
【0083】
このようにこの実施形態では、動作部による動作が一定値以下の頁数の文書に対する処理動作である場合、動作中に音量検出を行うことなくジョブを完了させる。これによって、処理頁数が少ないのに印刷動作等を停止させることによるジョブの遅延を回避できる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることはない。たとえば、一定時間経過する毎に定期的に動作を停止して音量を検出したが、検出は1回のみでも良く、あるいは一定枚数毎に停止して検出しても良いし、部数の区切りで停止して検出しても良いし、ユーザー毎に定められた時点で停止して検出しても良い。しかし、一定時間毎に停止するのが処理が簡単な点から望ましい。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
100 制御部
101 CPU
102 ROM
104 NV−RAM
120 画像読取装置
140 画像出力装置
170 マイク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7