(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、
図2〜
図11において、X,Y,Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をそれぞれX方向,Y方向,及びZ方向として説明する。Z方向は、板、層、及び膜の厚み方向あるいは積層方向を表す。X方向及びY方向は、板、層、及び膜の面内方向を表す。
【0021】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態に係る圧電素子応用デバイスの一例である記録ヘッドを備えた液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置である。図示するように、インクジェット式記録装置Iにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッドを有するインクジェット式記録ヘッドユニット(ヘッドユニット)IIが、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられている。ヘッドユニットIIを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられており、例えば各々ブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとされている。
【0022】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車及びタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニットIIを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。記録シートSを搬送する搬送手段は搬送ローラーに限られず、ベルトやドラム等であってもよい。
【0023】
このようなインクジェット式記録装置Iによれば、インクジェット式記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」とも称する)を具備するため、安価に製造できる。また、その圧電アクチュエーターを構成する圧電素子の変位特性の向上も期待されるため、噴射特性の向上を図ることができる。
【0024】
以上説明したインクジェット式記録装置Iに搭載される記録ヘッド1の一例について
図2〜
図4を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッドの分解斜視図である。
図3は、流路形成基板の圧電素子側の平面図、
図4は、
図3のA−A′線に準ずる断面図である。
【0025】
流路形成基板10(以下、「基板10」と称する)は例えばシリコン単結晶基板からなり、圧力発生室12が形成されている。そして、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が、同じ色のインクを吐出する複数のノズル開口21がX方向に沿って並設されている。
【0026】
基板10のうち、圧力発生室12のY方向の一端部側には、インク供給路13と連通路14とが形成されている。インク供給路13は、圧力発生室12の片側をX方向から絞ることで、その開口面積が小さくなるように構成されている。また、連通路14は、X方向において圧力発生室12と略同じ幅を有している。連通路14の外側(+Y方向側)には、連通部15が形成されている。連通部15は、マニホールド100の一部を構成する。マニホールド100は、各圧力発生室12の共通のインク室となる。このように、基板10には、圧力発生室12、インク供給路13、連通路14及び連通部15からなる液体流路が形成されている。
【0027】
基板10の一方の面(−Z方向側の面)上には、例えばSUS製のノズルプレート20が接合されている。ノズルプレート20には、X方向に沿ってノズル開口21が並設されている。ノズル開口21は、各圧力発生室12に連通している。ノズルプレート20は、接着剤や熱溶着フィルム等によって基板10に接合することができる。
【0028】
基板10の他方の面(+Z方向側の面)上には、振動板50が形成されている。振動板50は、例えば、基板10上に形成された弾性膜51と、弾性膜51上に形成された絶縁体膜52と、により構成されている。弾性膜51は、例えば二酸化シリコン(SiO
2)からなり、絶縁体膜52は、例えば酸化ジルコニウム(ZrO
2)からなる。弾性膜51は、基板10とは別部材でなくてもよい。基板10の一部を薄く加工し、これを弾性膜として使用してもよい。
【0029】
絶縁体膜52上には、密着層56を介して、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80と、を含む圧電素子300が形成されている。密着層56は、第1電極60と下地との密着性を向上させるためのものであり、密着層56としては、例えば、酸化チタン(TiO
X)、チタン(Ti)、又は、窒化シリコン(SiN)等を用いることができる。なお、密着層56は省略可能である。また、密着層56の上に、又は密着層56を省略した構成において、圧電体層70の配向を制御するための配向制御層(シード層ともいう)を設けてもよい。
【0030】
本実施形態では、電気機械変換特性を有する圧電体層70の変位によって、振動板50及び第1電極60が変位する。すなわち、本実施形態では、振動板50及び第1電極60が、実質的に振動板としての機能を有している。弾性膜51及び絶縁体膜52を省略して、第1電極60のみが振動板として機能するようにしてもよい。基板10上に第1電極60を直接設ける場合には、第1電極60にインクが接触しないように、第1電極60を絶縁性の保護膜等で保護することが好ましい。
【0031】
圧電体層70は、第1電極60と第2電極80との間に設けられている。圧電体層70は、X方向において、第1電極60よりも広い幅で形成されている。また、圧電体層70は、Y方向において、圧力発生室12のY方向の長さよりも広い幅で形成されている。第Y方向において、圧電体層70のインク供給路13側の端部(+Y方向の端部)は、第1電極60の端部よりも外側まで形成されている。つまり、第1電極60の他方の端部(+Y方向側の端部)は、圧電体層70によって覆われている。一方、圧電体層70の一方の端部(−Y方向側の端部)は、第1電極60の一方の端部(−Y方向側の端部)よりも内側にある。つまり、第1電極60の一方の端部(−Y方向側の端部)は、圧電体層70によって覆われていない。
【0032】
第2電極80は、X方向に亘って、圧電体層70、第1電極60及び振動板50上に連続して設けられている。つまり、第2電極80は、複数の圧電体層70に共通する共通電極として構成されている。第2電極80ではなく、第1電極60を共通電極としても良い。
【0033】
圧電素子300が形成された基板10上には、保護基板30が接着剤35により接合されている。保護基板30は、マニホールド部32を有している。マニホールド部32により、マニホールド100の少なくとも一部が構成されている。本実施形態に係るマニホールド部32は、保護基板30を厚さ方向(Z方向)に貫通しており、更に圧力発生室12の幅方向(X方向)に亘って形成されている。そして、マニホールド部32は、上記のように、基板10の連通部15と連通している。これらの構成により、各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100が構成されている。
【0034】
保護基板30には、圧電素子300を含む領域に、圧電素子保持部31が形成されている。圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有している。この空間は、密封されていても密封されていなくてもよい。保護基板30には、保護基板30を厚さ方向(Z方向)に貫通する貫通孔33が設けられている。貫通孔33内には、リード電極90の端部が露出している。
【0035】
保護基板30上には、信号処理部として機能する駆動回路120が固定されている。駆動回路120は、例えば回路基板や半導体集積回路(IC)を用いることができる。駆動回路120及びリード電極90は、接続配線121を介して電気的に接続されている。駆動回路120は、プリンターコントローラー200に電気的に接続可能である。このような駆動回路120が、本実施形態に係る制御手段として機能する。
【0036】
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42からなるコンプライアンス基板40が接合されている。固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向(Z方向)に完全に除去された開口部43となっている。マニホールド100の一方の面(+Z方向側の面)は、可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0037】
次に、圧電素子300の詳細について説明する。圧電素子300は、第1電極60と、第2電極80と、第1電極60と第2電極80との間に設けられた圧電体層70と、を含む。第1電極60の厚さは約50nmである。圧電体層70は、厚さが50nm以上2000nm以下の、いわゆる薄膜の圧電体である。第2電極80の厚さは約50nmである。ここに挙げた各要素の厚さはいずれも一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲内で変更可能である。
【0038】
第1電極60及び第2電極80の材料は、白金(Pt)やイリジウム(Ir)等の貴金属やこれらの酸化物が好適である。第1電極60の材料や第2電極80の材料は、導電性を有する材料であればよい。第1電極60の材料と第2電極80との材料は、同一であっても良く、異なっていてもよい。
【0039】
圧電体層70は、上述したとおり薄膜からなるものであり、MOD法やゾル−ゲル法等の溶液法(液相法や湿式法ともいう)や、スパッタリング法などの気相法により形成される。本実施形態では、溶液法によって形成され、カリウム(K)と、ナトリウム(Na)と、ニオブ(Nb)とを含む一般式ABO
3で示されるペロブスカイト型酸化物である。
【0040】
圧電体層70は、カリウム(K)と、ナトリウム(Na)と、ニオブ(Nb)と、を含む一般式ABO
3で示されるペロブスカイト型構造の複合酸化物からなる。すなわち、圧電体層70は、下記式(1)で表されるKNN系の複合酸化物からなる圧電材料を含む。
【0041】
(K
X,Na
1−X)NbO
3 ・・・ (1)
(0.1≦X≦0.9)
【0042】
上記式(1)で表される複合酸化物は、いわゆるKNN系の複合酸化物である。KNN系の複合酸化物は、鉛(Pb)等の含有量を抑えた非鉛系圧電材料であるため、生体適合性に優れ、また環境負荷も少ない。しかも、KNN系の複合酸化物は、非鉛系圧電材料の中でも圧電特性に優れているため、各種の特性向上に有利である。その上、KNN系の複合酸化物は、他の非鉛系圧電材料(例えば、BNT−BKT−BT;[(Bi,Na)TiO
3]−[(Bi,K)TiO
3]−[BaTiO
3])に比べてキュリー温度が比較的高く、また温度上昇による脱分極も生じ難いため、高温での使用が可能である。
【0043】
上記式(1)において、Kの含有量は、Aサイトを構成する金属元素の総量に対して30モル%以上70モル%以下である(言い換えると、Naの含有量が、Aサイトを構成する金属元素の総量に対して30モル%以上70モル%以下である)ことが好ましい。すなわち、上記式(1)において、0.3≦x≦0.7であることが好ましい。これによれば、圧電特性に有利な組成を有する複合酸化物となる。また、Kの含有量は、Aサイトを構成する金属元素の総量に対して40モル%以上60モル%以下である(言い換えると、Naの含有量が、Aサイトを構成する金属元素の総量に対して40モル%以上60モル%以下である)ことが、より好ましい。すなわち、上記式(1)において、0.4≦x≦0.6であることが、より好ましい。これによれば、より圧電特性に有利な組成を有する複合酸化物となる。
【0044】
圧電体層70を構成する圧電材料は、KNN系の複合酸化物であればよく、上記式(1)で表される組成に限定されない。たとえば、ニオブ酸カリウムナトリウムのAサイトやBサイトに、他の金属元素(添加物)が含まれていてもよい。このような添加物の例としては、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)及び銅(Cu)等が挙げられる。
【0045】
この種の添加物は、1つ以上含んでいてもよい。一般的に、添加物の量は、主成分となる元素の総量に対して20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。添加物を利用することにより、各種特性を向上させて構成や機能の多様化を図りやすくなるが、KNNが80%より多く存在するのがKNNに由来する特性を発揮する観点から好ましい。なお、これら他の元素を含む複合酸化物である場合も、ABO
3型ペロブスカイト構造を有するように構成されることが好ましい。
【0046】
Aサイトのアルカリ金属は化学量論の組成に対して過剰に加えられてもよい。また、Aサイトのアルカリ金属は、化学量論の組成に対して不足していても良い。従って、本実施形態の複合酸化物は、下記式(2)でも表すことができる。下記式(2)において、Aは、過剰に加えられてもよいK及びNaの量、又は不足していてもよいK及びNaの量を表している。K及びNaの量が過剰である場合は1.0<Aである。K及びNaの量が不足している場合は、A<1.0である。例えば、A=1.1であれば、化学量論の組成におけるK及びNaの量を100モル%としたときに、110モル%のK及びNaが含まれていることを表す。A=0.9であれば、化学量論の組成におけるK及びNaの量を100モル%としたときに、90モル%のK及びNaが含まれていることを表す。尚、Aサイトのアルカリ金属が化学量論の組成に対して過剰でなく不足もしていない場合は、A=1である。特性向上の観点から、0.85≦A≦1.20、好ましくは0.90≦A≦1.15、より好ましくは0.95≦A≦1.10である。
【0047】
(K
AX,Na
A(1−X))NbO
3 ・・・ (2)
(0.1≦x≦0.9,好ましくは0.3≦x≦0.7,より好ましくは0.4≦x≦0.6)
【0048】
圧電材料には、元素の一部欠損した組成を有する材料、元素の一部が過剰である組成を有する材料、及び元素の一部が他の元素に置換された組成を有する材料も含まれる。圧電体層70の基本的な特性が変わらない限り、欠損・過剰により化学量論の組成からずれた材料や、元素の一部が他の元素に置換された材料も、本実施形態に係る圧電材料に含まれる。
【0049】
また、本明細書において「K、Na及びNbを含むABO
3型ペロブスカイト構造の複合酸化物」とは、K、Na及びNbを含むABO
3型ペロブスカイト構造の複合酸化物のみに限定されない。すなわち、本明細書において「K、Na及びNbを含むABO
3型ペロブスカイト構造の複合酸化物」は、K、Na及びNbを含むABO
3型ペロブスカイト構造の複合酸化物(例えば、上記に例示したKNN系の複合酸化物)と、ABO
3型ペロブスカイト構造を有する他の複合酸化物と、を含む混晶として表される圧電材料を含む。
【0050】
他の複合酸化物は、本発明の範囲で限定されないが、鉛(Pb)を含有しない非鉛系圧電材料であることが好ましい。また、他の複合酸化物は、鉛(Pb)及びビスマス(Bi)を含有しない非鉛系圧電材料であることがより好ましい。これらによれば、生体適合性に優れ、また環境負荷も少ない圧電素子300となる。
【0051】
以上のような複合酸化物からなる圧電体層70は、本実施形態では、{100}方位に結晶配向している、すなわち、(100)の結晶面に対して優先配向している。本実施形態では、(100)面に優先配向したものとなっており、(100)面に優先配向したものの方が、圧電特性上好ましい。なお、本明細書において、優先配向とは、50%以上、好ましくは80%以上の結晶が、所定の結晶面に配向していることを示すものとする。例えば「(100)面に優先配向している」とは、圧電体層70の全ての結晶が(100)面に配向している場合と、半分以上の結晶(50%以上、好ましくは80%以上)が(100)面に配向している場合を含む。
【0052】
また、圧電体層70の第1電極60との間には、第1ペロブスカイト層171が設けられ、圧電体層70と第2電極80との間には、第2ペロブスカイト層172が設けられている。
【0053】
ここで、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172は、ビスマス及び鉄からなる群から選択される少なくとも一方を含むペロブスカイト型酸化物からなるものであり、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172は、同一材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0054】
ビスマス及び鉄からなる群から選択される少なくとも一方を含むペロブスカイト型酸化物は、Aサイト元素としてビスマスを含み、Bサイト元素として、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛、チタンなどから選択される少なくとも一種を含むペロブスカイト型酸化物、又はAサイト元素として、ビスマス、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウムなどから選択される少なくとも一種と、Bサイト元素として鉄を含むペロブスカイト型酸化物から選択される。特に、Aサイト元素としてビスマスを含み、Bサイト元素として鉄を含むペロブスカイト型酸化物、すなわち、BFO系ペロブスカイト型酸化物が好ましい。
【0055】
第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172は、上述した組成を有することにより、詳細は後述するように、圧電体層70のリーク特性の改善を図ることができる。リーク特性の改善だけを考慮すると、BFO系ペロブスカイト型酸化物が好ましい。第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172は、必ずしも圧電特性を有している必要はないが、圧電特性を備えたペロブスカイト型酸化物が好ましい。
【0056】
このような第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172は、リーク特性の改善を図る目的から、厚さが5nm以上、好ましくは、10nm以上、さらに好ましくは20nm以上であることが好ましい。一方、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172は、特に誘電率が低いものである場合には、圧電素子300の圧電特性の実質的な低下に寄与することから、できるだけ薄いことが好ましく、それぞれが少なくとも圧電体層70より薄いことが好ましく、差合計が圧電体層70より薄いことがされに好ましい。具体的には、厚さを100nm以下、好ましくは、70nm以下、さらに好ましくは50nm以下とするのが好ましい。
【0057】
また、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172、特に、圧電体層70の下地層となる第1ペロブスカイト層171は、(100)面に優先配向するものが好ましい。これは圧電体層70を(100)面に優先配向するために好ましいからである。
【0058】
第1ペロブスカイト層171が(100)面に自己配向し難い場合には、第1ペロブスカイト層171の下地に配向制御層を設けて、配向制御層による配向制御により第1ペロブスカイト層171を(100)面に優先配向するようにしてもよい。
【0059】
このような配向制御層としては、例えば、ペロブスカイト型構造を有し、Aサイトがビスマス(Bi)を含みBサイトが鉄(Fe)及びチタン(Ti)を含み、(100)面に自己配向している複合酸化物を挙げることができる。
【0060】
また、第1ペロブスカイト層171と圧電体層70との間に配向制御層を設けて配向制御層による配向制御により圧電体層70を(100)面に優先配向するようにしてもよい。
【0061】
このような配向制御層としては、配向制御層73は、カリウム(K)とナトリウム(Na)とカルシウム(Ca)とニオブ(Nb)とを含み、(100)面に優先配向するペロブスカイト構造を有する複合酸化物(ペロブスカイト型複合酸化物)の結晶を含むものを挙げることができる。このペロブスカイト型複合酸化物は、AサイトがKとNaとCaとを含み、BサイトがNbを含んでいる複合酸化物(「KNCN」と称する)からなり、下地層の状態(結晶状態等)に依存せず、(100)面に優先配向し、また、この上に形成されるペロブスカイト構造の圧電体層70を(100)面に優先配向させる配向制御層として機能する。
【0062】
さらに、第1電極60の下地層に配向制御層又は配向制御層及び密着層を設けて、第1電極60を(100)面に優先配向させ、これにより、第1ペロブスカイト層171を(100)面に優先配向させるようにしてもよい。
【0063】
このような 配向制御層としては、一例として、ビスマス、マンガン、鉄及びチタンから選ばれる少なくとも一種以上を含む複合酸化物からなり、好ましくはビスマス及びマンガン、又はビスマス、マンガン及び鉄、又はビスマス、鉄及びチタンを含む複合酸化物からなるものを挙げることができる。かかる配向制御層を設けることで、その上に形成される第1電極60を(100)面に優先配向させることができる。また、好ましくは、配向制御層と第1電極60との間に密着層を設け、配向制御層により密着層を(100)面に優先配向させ、密着層を介して第1電極60を(100)面に優先配向するようにしてもよい。
【0064】
このような密着層は、配向制御層により配向制御され、ビスマス、マンガン、鉄及びチタンから選ばれる少なくとも一種以上の複合酸化物からなるものを挙げることができる。密着層をペロブスカイト構造とすることにより、その上に形成される金属(第1電極60)と格子定数のマッチング性は良好になり、振動板と第1電極60との密着性は向上する。
【0065】
以上説明した各種の配向制御層の厚さは、その上に形成されるその上に形成される層を(100)面に優先配向させることができる厚さであればよく、5nm〜40nm、好ましくは5nm〜15nmである。このような厚さを有する配向制御層は、例えば、島状に設けられていてもよい。「島状」とは、複数の結晶粒が互いに離間して形成されている状態をいう。
【0066】
次に、
図5〜
図11を参照して、圧電素子300の製造方法の一例について、インクジェット式記録ヘッド1の製造方法とあわせて説明する。まず、シリコン基板(以下「ウェハー」ともいう)110を準備する。次に、シリコン基板110を熱酸化することによって、その表面に、二酸化シリコンからなる弾性膜51を形成する。さらに、弾性膜51上にスパッタリング法でジルコニウム膜を形成し、これを熱酸化することによって絶縁体膜52を形成する。このようにして、弾性膜51と絶縁体膜52とからなる振動板50を得る。次いで、絶縁体膜52上に、酸化チタンからなる密着層56を、スパッタリング法やチタン膜の熱酸化等により形成する。そして、
図5に示すように、密着層56上に、第1電極60をスパッタリング法や蒸着法等により形成する。
【0067】
次いで、
図6に示すように、第1電極60上に所定形状のレジスト(図示なし)をマスクとして形成し、密着層56及び第1電極60を同時にパターニングする。次に、
図7に示すように、密着層56、第1電極60及び振動板50に重なるように、第1ペロブスカイト層171及び圧電体膜74を複数層形成する。また、第2ペロブスカイト層172を形成する。圧電体層70は、これら複数層の圧電体膜74によって構成される。また、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172もそれぞれ複数層から構成される。圧電体層70、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172は、例えばMOD法やゾル−ゲル法等の溶液法(化学溶液法)により形成することができる。このように溶液法によって圧電体層70、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172を形成することで、圧電体層70の生産性を高めることができる。このように溶液法によって形成された圧電体層70は、前駆体溶液を塗布する工程(塗布工程)から前駆体膜を焼成する工程(焼成工程)までの一連の工程を複数回繰り返すことによって形成される。
【0068】
圧電体層70、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172を溶液法で形成する場合の具体的な手順は、例えば次のとおりである。まず、所定の金属錯体を含む前駆体溶液を調整する。圧電体層70の前駆体溶液は、焼成によりK、Na及びNbを含む複合酸化物を形成しうる金属錯体を、有機溶媒に溶解又は分散させたものである。このとき、Mn等の添加物を含む金属錯体を更に混合してもよい。
【0069】
Kを含む金属錯体としては、2−エチルヘキサン酸カリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。Naを含む金属錯体としては、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。Nbを含む金属錯体としては、2−エチルヘキサン酸ニオブ、ペンタエトキシニオブ等が挙げられる。添加物としてMnを加える場合、Mnを含む金属錯体としては、2−エチルヘキサン酸マンガン等が挙げられる。このとき、2種以上の金属錯体を併用してもよい。例えば、Kを含む金属錯体として、2−エチルへキサン酸カリウムと酢酸カリウムとを併用してもよい。溶媒としては、2−nブトキシエタノール若しくはn−オクタン又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。前駆体溶液は、K、Na、Nbを含む金属錯体の分散を安定化する添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0070】
また、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172の前駆体溶液は、焼成によりBi、Feを含む複合酸化物層173、174を形成しうる金属錯体を混合し、該混合物を有機溶媒に溶解または分散させたものである。Bi、Feをそれぞれ含む金属錯体としては、例えば、アルコキシド、有機酸塩、βジケトン錯体などを用いることができる。Biを含む金属錯体としては、例えば2−エチルヘキサン酸ビスマス、酢酸ビスマスなどが挙げられる。Feを含む金属錯体としては、例えば2−エチルヘキサン酸鉄、酢酸鉄、トリス(アセチルアセトナート)鉄などが挙げられる。また、前駆体溶液の溶媒としては、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、オクタン、デカン、シクロヘキサン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸、オクチル酸などが挙げられる。
【0071】
そして、振動板50、密着層56、及び第1電極60が形成されたウェハー110上に、上記の前駆体溶液を塗布して、前駆体膜を形成する(塗布工程)。次いで、この前駆体膜を所定温度、例えば130℃〜250℃程度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥させた前駆体膜を所定温度、例えば300℃〜450℃に加熱し、この温度で一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。最後に、脱脂した前駆体膜をより高い温度、例えば600℃〜800℃程度に加熱し、この温度で一定時間保持することによって結晶化させると、複合酸化物層173、圧電体膜74及び複合酸化物層174が完成する(焼成工程)。また、乾燥工程での昇温レートは、30℃〜350℃/secとするのが好適である。溶液法を用いてこのような昇温レートで圧電体膜74を焼成することで、擬立方晶でない圧電体層70が実現できる。なお、ここでいう「昇温レート」とは、350℃から目的とする焼成温度に達するまでの温度の時間変化率を規定する。
【0072】
乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。上記の工程を複数回繰り返して、複数層の複合酸化物層173、圧電体膜74及び複合酸化物層174からなる第1ペロブスカイト層171、圧電体層70及び第2ペロブスカイト層172を形成する。尚、塗布工程から焼成工程までの一連の工程において、塗布工程から脱脂工程までを複数回繰り返した後に、焼成工程を実施してもよい。
【0073】
また、第1ペロブスカイト層171、圧電体層70及び第2ペロブスカイト層172上に第2電極80を形成する前後で、必要に応じて600℃〜800℃の温度域で再加熱処理(ポストアニール)を行ってもよい。このようにポストアニールを行うことで、第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172と第1電極や第2電極80との良好な界面を形成することができ、且つ第1ペロブスカイト層171、圧電体層70及び第2ペロブスカイト層172の結晶性を改善することができる。
【0074】
本実施形態では、圧電材料にアルカリ金属(KやNa)が含まれる。アルカリ金属は、上記の焼成工程で第1電極60中や密着層56中に拡散しやすい。仮に、アルカリ金属が第1電極60及び密着層56を通り越してウェハー110に達すると、そのウェハー110と反応を起こしてしまう。しかし、本実施形態では、上記の酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52が、KやNaのストッパー機能を果たしている。従って、アルカリ金属がシリコン基板であるウェハー110に到達することを抑制できる。
【0075】
その後、複数の複合酸化物層173、圧電体膜74及び複合酸化物層174からなる第1ペロブスカイト層171、圧電体層70及び第2ペロブスカイト層172をパターニングして、
図8に示すような形状にする。パターニングは、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングや、エッチング液を用いたウェットエッチングによって行うことができる。その後、第1ペロブスカイト層171、圧電体層70及び第2ペロブスカイト層172上に第2電極80を形成する。第2電極80は、第1電極60と同様の方法により形成できる。以上の工程により、第1電極60と第1ペロブスカイト層171、圧電体層70及び第2ペロブスカイト層172と第2電極80とを備えた圧電素子300が完成する。言い換えると、第1電極60と第1ペロブスカイト層171、圧電体層70及び第2ペロブスカイト層172と第2電極80とが重なり合う部分が圧電素子300となる。
【0076】
溶液法によって形成された層や膜は、界面を有する。溶液法によって形成された層や膜には、塗布又は焼成の形跡が残り、このような形跡は、その断面を観察したり、層内(又は膜内)における元素の濃度分布を解析したりすることによって確認可能な「界面」となる。「界面」とは、厳密には層間又は膜間の境界を意味するが、ここでは、層又は膜の境界付近を意味するものとする。溶液法によって形成された層や膜の断面を電子顕微鏡等により観察した場合、このような界面は、隣の層や膜との境界付近に、他よりも色が濃い部分、又は他よりも色が薄い部分として確認される。また、元素の濃度分布を解析した場合、このような界面は、隣の層や膜との境界付近に、他よりも元素の濃度が高い部分、又は他よりも元素の濃度が低い部分として確認される。圧電体層70は、塗布工程から焼成工程までの一連の工程を複数繰り返して、或いは、塗布工程から脱脂工程までを複数回繰り返した後に焼成工程を実施して形成される(複数の圧電体膜によって構成される)ため、各圧電体膜に対応して、複数の界面を有することとなる。
【0077】
次に、
図9に示すように、ウェハー110の圧電素子300側の面に、接着剤35(
図4参照)を介して保護基板用ウェハー130を接合する。その後、保護基板用ウェハー130の表面を削って薄くする。また、保護基板用ウェハー130に、マニホールド部32や貫通孔33(
図4参照)を形成する。次いで、
図10に示すように、ウェハー110の圧電素子300とは反対側の面に、マスク膜53を形成し、これを所定形状にパターニングする。そして、
図11に示すように、マスク膜53を介して、ウェハー110に対してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)を実施する。これにより、個々の圧電素子300に対応する圧力発生室12の他、インク供給路13、連通路14、及び連通部15(
図4参照)を形成する。
【0078】
次に、ウェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分をダイシング等により切断・除去する。更に、ウェハー110の圧電素子300とは反対側の面に、ノズルプレート20を接合する(
図4参照)。また、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合する(
図4参照)。ここまでの工程によって、インクジェット式記録ヘッド1のチップの集合体が完成する。この集合体を個々のチップに分割することにより、インクジェット式記録ヘッド1が得られる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
流路形成基板10となる6インチのシリコン基板の表面を熱酸化することで、シリコン基板上に二酸化シリコンからなる弾性膜51を形成した。次に、弾性膜51上にジルコニウム膜をスパッタリング法によって成膜し、ジルコニウム膜を熱酸化することで酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52を形成した。次に、絶縁体膜52上にチタンをスパッタリング法によって成膜し、熱酸化することにより酸化チタンからなる密着層56を形成した。そして、密着層56上に白金をスパッタリング法によって成膜した後、所定形状にパターニングすることで厚さ50nmの第1電極60を形成した。
【0080】
次いで、以下の手順で第1ペロブスカイト層171を形成した。まず、2−エチルヘキサン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉄からなる前駆体溶液を用いてBiFeO
3となるように調合し、スピンコート法により前記層上に塗布した(塗布工程)。その後、180℃で乾燥(乾燥工程)及び380℃で脱脂(脱脂工程)を行い、RTA(Rapid Thermal Annealing)を使用して550℃で加熱処理を行った(焼成工程)。これにより、膜厚約30nmのBFO系の第1ペロブスカイト層171を作製した。
【0081】
次いで、以下の手順で圧電体層70を形成した。まず、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ニオブ、2−エチルヘキサン酸マンガンから成る溶液を用いて(K
0.4Na
0.6)(Nb
0.995Mn
0.005)O
3となるように調合し、スピンコート法により前記層上に塗布した(塗布工程)。その後、ホットプレート上で180℃で乾燥(乾燥工程)及び380℃で脱脂(脱脂工程)を行い、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を使用して700℃で加熱処理を行った(焼成工程)。そして、塗布工程から焼成工程までを7回繰り返した。これにより、膜厚約550nmのKNN系の圧電体層70を作製した。
【0082】
次いで、第1ペロブスカイト層171と同様な手順で、膜厚約30nmのBFO系の第2ペロブスカイト層172を作製した。
【0083】
この第2ペロブスカイト層172上に200℃に加熱しながら白金をスパッタリング法によって成膜することで厚さが50nmの第2電極80を形成した。
【0084】
その後、白金と第2ペロブスカイト層172との密着性を高めるため、RTA装置にて、650℃で3分間の再加熱(ポストアニール)を行うことで、実施例1の圧電素子を形成した。
【0085】
(実施例2)
第1ペロブスカイト層171の下地層に、Bi(Fe
0.5Ti
0.5)O
3からなる配向制御層を設けた以外は、実施例1と同様とした。
【0086】
(比較例1)
第1ペロブスカイト層171及び第2ペロブスカイト層172を設けない以外は、実施例1と同様にした。
【0087】
上述した各実施例、比較例について、下記の試験を実施した。結果を表1及び
図12から
図15に示す。
【0088】
<ヒステリシス測定>
上記実施例1、比較例1のセラミックス膜のP−Eヒステリシスを、東陽テクニカ社製「FCE−1A」を用い周波数1kHzで測定した。
図12及び
図13に結果を示す。
図12に示す実施例1は絶縁性が高く、優れたヒステリシスを描いているが、
図13に示す比較例1は絶縁性が悪く、リークしていることがわかった。
【0089】
<XRD測定>
Bruker AXS社製「D8 Discover」を用いた。線源にはCu−Kα、検出器は2次元検出器(GADDS)を使用して室温にて測定した。実施例1、2の結果は
図14及び
図15に示す。この結果、
図14に示すように、実施例1の圧電体層は2θが22−23°付近にペロブスカイトの(100)面配向のピークが見られ、(100)面に優先配向したものであることがわかった。比較例1も同様であった。
【0090】
また、
図15に示すように、実施例2の圧電体層も(100)面に優先配向しており、実施例1と比較してペロブスカイトの(100)面配向のピークが強いことが確認された。
【0091】
【表1】
【0092】
(試験結果)
図12から
図15及び表1の結果から、BFO系の第1ペロブスカイト層及び第2ペロブスカイト層で圧電体層を挟んだ構成を有する実施例1、2は、第1ペロブスカイト層及び第2ペロブスカイト層を設けない比較例1と比較して、絶縁性が高く、リーク特性が良好であることがわかった。
【0093】
(他の実施形態)
以上、本発明の圧電材料や圧電素子、この圧電素子が搭載される液体噴射ヘッド及び液体噴射装置の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上記のものに限定されるものではない。例えば、上記の実施形態1では、流路形成基板10としてシリコン基板を例示したが、これに限定されず、例えば、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
【0094】
上記の実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般に適用可能であり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
【0095】
また、本発明は、液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、他の圧電素子応用デバイスに搭載される圧電素子にも適用することができる。圧電素子応用デバイスの一例としては、超音波デバイス、モーター、圧力センサー、焦電素子、強誘電体素子などが挙げられる。また、これらの圧電素子応用デバイスを利用した完成体、たとえば、上記液体等噴射ヘッドを利用した液体等噴射装置、上記超音波デバイスを利用した超音波センサー、上記モーターを駆動源として利用したロボット、上記焦電素子を利用したIRセンサー、強誘電体素子を利用した強誘電体メモリーなども、圧電素子応用デバイスに含まれる。
【0096】
図面において示す構成要素、すなわち層等の厚さ、幅、相対的な位置関係等は、本発明を説明する上で、誇張して示されている場合がある。また、本明細書の「上」という用語は、構成要素の位置関係が「直上」であることを限定するものではない。例えば、「基板上の第1電極」や「第1電極上の圧電体層」という表現は、基板と第1電極との間や、第1電極と圧電体層との間に、他の構成要素を含むものを除外しない。