特許第6953833号(P6953833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000002
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000003
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000004
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000005
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000006
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000007
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000008
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000009
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000010
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000011
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000012
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000013
  • 特許6953833-現像装置および画像形成装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953833
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20211018BHJP
【FI】
   G03G15/08 226
   G03G15/08 366
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-124720(P2017-124720)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-8188(P2019-8188A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(72)【発明者】
【氏名】河田 真典
(72)【発明者】
【氏名】梅本 浩章
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽平
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 太
(72)【発明者】
【氏名】野口 英俊
【審査官】 小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0279945(US,A1)
【文献】 特開2017−078758(JP,A)
【文献】 特開2010−230760(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0298848(US,A1)
【文献】 特開2012−145777(JP,A)
【文献】 特開2009−086555(JP,A)
【文献】 特開2017−219574(JP,A)
【文献】 特開2000−227721(JP,A)
【文献】 特開2009−251317(JP,A)
【文献】 特開2015−191133(JP,A)
【文献】 特開2007−316130(JP,A)
【文献】 特開2007−292931(JP,A)
【文献】 特開2011−017857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、
現像剤を収容するハウジングと、
前記ハウジングを第1の収容室と第2の収容室とに仕切る仕切り壁であって、3つ以上の開口部を含む仕切り壁と、
前記第1および前記第2の収容室の内部において、前記3つ以上の開口部によって形成された複数の搬送経路に沿って現像剤を循環して搬送する搬送手段と、
回転軸周りに回転する現像剤保持部材であって、前記第2の収容室の内部から現像剤を取得し、取得した現像剤を外周面に保持しながら前記像担持体と対向する現像領域に導く現像剤保持部材と、
前記現像剤保持部材によって前記現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第1の規制部材と、
前記第1の規制部材よりも前記現像剤保持部材の回転方向の上流側において、前記現像剤保持部材によって前記現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第2の規制部材とを備え
前記3つ以上の開口部は、前記第2の収容室の内部における現像剤の搬送方向に沿って配列しており、
前記3つ以上の開口部は、
前記仕切り壁における前記回転軸方向の一方の端部側に設けられ、前記第1の収容室から前記第2の収容室への現像剤の流入口である端部流入口と、
前記仕切り壁における前記回転軸方向の他方の端部側に設けられ、前記第2の収容室から前記第1の収容室への現像剤の流出口である端部流出口と、
前記仕切り壁における前記端部流入口と前記端部流出口との間に設けられた途中循環口とを含み、
前記途中循環口は、
配列した前記3つ以上の開口部の中で、前記端部流入口に対して前記第2の収容室の内部における現像剤の搬送方向の上流側で隣接する開口部である第1の途中循環口と、
配列した前記3つ以上の開口部の中で、前記第1の途中循環口に対して前記第2の収容室の内部における現像剤の搬送方向の上流側で隣接する開口部である第2の途中循環口とを含み、
前記端部流入口と前記第1の途中循環口とに挟まれた前記仕切り壁の部分に対応する位置で前記第2の規制部材が規制する現像剤の量は、前記第1の途中循環口と前記第2の途中循環口とに挟まれた前記仕切り壁の部分に対応する位置で前記第2の規制部材が規制する現像剤の量よりも多い、現像装置。
【請求項2】
像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、
現像剤を収容するハウジングと、
前記ハウジングを第1の収容室と第2の収容室とに仕切る仕切り壁であって、3つ以上の開口部を含む仕切り壁と、
前記第1および前記第2の収容室の内部において、前記3つ以上の開口部によって形成された複数の搬送経路に沿って現像剤を循環して搬送する搬送手段と、
回転軸周りに回転する現像剤保持部材であって、前記第2の収容室の内部から現像剤を取得し、取得した現像剤を外周面に保持しながら前記像担持体と対向する現像領域に導く現像剤保持部材と、
前記現像剤保持部材によって前記現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第1の規制部材と、
前記第1の規制部材よりも前記現像剤保持部材の回転方向の上流側において、前記現像剤保持部材によって前記現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第2の規制部材とを備え、
前記3つ以上の開口部は、
前記仕切り壁における前記回転軸方向の一方の端部側に設けられ、前記第1の収容室から前記第2の収容室への現像剤の流入口である端部流入口と、
前記仕切り壁における前記回転軸方向の他方の端部側に設けられ、前記第2の収容室から前記第1の収容室への現像剤の流出口である端部流出口と、
前記仕切り壁における前記端部流入口と前記端部流出口との間に設けられた途中循環口とを含み、
前記第2の規制部材の前記回転軸方向の形状は、前記途中循環口に対応する位置で変化し、
前記第2の収容室内の前記回転軸方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第1の差分以上高くなる位置で前記第2の規制部材が規制する現像剤の量は、前記第2の収容室内の前記回転軸方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第2の差分以上低くなる位置で前記第2の規制部材が規制する現像剤の量よりも多い、現像装置。
【請求項3】
前記第2の規制部材は、前記回転軸方向で互いに間隔を空けて設けられた複数の規制部を含み、
前記複数の規制部の各々は、前記第2の収容室内の前記回転軸方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも前記第1の差分以上高くなる位置に設けられる、請求項に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第2の規制部材は、前記回転軸方向で連続して延在しており、
前記第2の規制部材と前記現像剤保持部材との間隔は、前記第2の収容室内の前記回転軸方向における現像剤の搬送時の液面の高さの変化に応じて変化する、請求項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記途中循環口は、前記第1の収容室から前記第2の収容室への現像剤の流入口である途中流入口を含み、
前記第2の規制部材と前記現像剤保持部材との間隔は、前記回転軸方向の前記途中流入口に対応する位置において現像剤の搬送方向に沿って減少する、請求項2〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記途中循環口は、前記第2の収容室から前記第1の収容室への現像剤の流出口である途中流出口を含み、
前記第2の規制部材と前記現像剤保持部材との間隔は、前記回転軸方向の前記途中流出口に対応する位置において現像剤の搬送方向に沿って増加する、請求項2〜5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記搬送手段は、
前記回転軸方向に延在し、回転するシャフトと、
前記シャフトの外周面にらせん状に設けられた羽根部材とを含み、
前記シャフトの直径および前記第2の収容室の前記回転軸に直交する断面の断面積の大きさのうち少なくともいずれか一方は、前記回転軸方向の前記途中循環口に対応する位置で変化する、請求項2〜6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、前記第2の収容室内の前記シャフトの外周面における前記回転軸方向の前記途中循環口に対応する位置に設けられたパドルをさらに含む、請求項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記第2の収容室内の前記羽根部材の条数は、前記回転軸方向の前記途中循環口に対応する位置と、前記回転軸方向の前記途中循環口に対応しない位置とで互いに異なる、請求項7または8に記載の現像装置。
【請求項10】
前記回転軸方向の前記仕切り壁に対応する位置における前記第2の規制部材と前記現像剤保持部材との間隔の最大値を値C、前記回転軸方向の前記途中循環口に対応する位置における前記第2の規制部材と前記現像剤保持部材との間隔の最小値を値Dとした場合に、前記値Cおよび前記値Dの間には、1.5×C≧D>Cの関係が成り立つ、請求項2〜のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
前記第1の規制部材と前記現像剤保持部材との間隔の最大値を値A、前記第2の規制部材と前記現像剤保持部材との間隔の最大値を値Bとした場合に、前記値Aおよび前記値Bの間には、2×A≧B>Aの関係が成り立つ、請求項1〜10のいずれかに記載の現像装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の現像装置と、
前記現像装置によって現像された静電潜像を用紙に転写する転写手段とを備えた、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。より特定的には、本発明は、現像剤保持部材に保持される現像剤の量の均一化を図ることのできる現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置には、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンターなどがある。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置は一般に、像担持体上に形成した静電潜像を、現像装置を用いて現像してトナー像を形成し、このトナー像を用紙へ転写した後、定着器によってトナー像を用紙に定着させることにより、用紙に画像を形成する。また、画像形成装置の中には、感光体の表面の静電潜像を、現像装置を用いて現像してトナー像を形成し、一次転写ローラーを用いてトナー像を中間転写ベルトに転写し、二次転写ローラーを用いて中間転写ベルト上のトナー像を用紙へ二次転写するものも存在する。この場合、感光体および中間転写ベルトが像担持体となる。
【0004】
現像装置は、現像槽、トナー補給部、トナーおよびキャリアからなる現像剤、撹拌搬送部材、現像剤保持部材(マグローラー)、および規制部材などから構成されている。トナー補給部によって現像槽に補給されたトナーは、撹拌搬送部材によって現像槽内の現像剤とともに撹拌されて搬送される。現像剤は、所定の帯電量になった後に回転する現像剤保持部材を介して像担持体上へ供給され、現像が行われる。
【0005】
現像剤保持部材に保持された現像剤は、ブレード状の規制部材と現像剤保持部材との隙間を通過する際に、規制部材によって余分な量がすりきられる。これにより、現像剤保持部材による現像剤の搬送量が均一になる。
【0006】
現像槽は、仕切り壁によって供給槽と撹拌槽とに区切られている。仕切り壁は現像剤保持部材の回転軸に沿って延在しており、現像剤保持部材の回転軸に沿った両端部には、供給槽と撹拌槽との間での現像剤の授受を行うための開口部が設けられている。供給槽および撹拌槽の各々にはスクリューなどの回転する撹拌搬送部材が配置されている。これにより、現像剤は供給槽および撹拌槽の内部の搬送経路に沿って循環して搬送される。
【0007】
近年、現像装置において現像槽内に収容される現像剤の量を低減することで、製造コストが低減されている。しかし、現像槽内に収容される現像剤の量を低減すると、現像槽内を循環する現像剤の循環量が低下する。その場合、現像装置が搭載される画像形成装置のトナーの消費量が多い場合には、現像剤保持部材に保持される現像剤中のトナー濃度に回転軸方向(長手方向)で変動(傾斜、ムラ)が生じやすくなり、現像装置を用いて形成される画像に濃度ムラが発生する原因となる。
【0008】
濃度ムラの発生を防ぐ方法としては、スクリューの回転速度を速くすることで現像剤の循環速度を増加する方法が一般的に用いられている。しかしこの方法には、スクリューの回転速度が速くなることで現像装置のトルクが上昇するという問題や、スクリューの回転により生じる熱によりトナーが溶融し現像装置が破損しやすくなるという問題がある。
【0009】
そこで、下記特許文献1などにおいて、現像剤保持部材に保持される現像剤中のトナー濃度の回転軸方向での変動を抑止する技術が提案されている。下記特許文献1には、現像槽を区切るための仕切り壁に設ける開口部の数を増やして現像剤の循環経路を分岐させることで、現像剤の循環経路の途中からも現像剤を供給槽へ供給することを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−236964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のような循環経路を分岐させる構成では、仕切り壁の両端部以外の部分にも開口部が設けられるため、供給槽の現像剤の液面の高低差が大きくなり、現像剤保持部材に保持される現像剤の量に回転軸方向でムラが生じる。
【0012】
図12は、現像剤保持部材に保持される現像剤の量の現像剤保持部材の回転軸方向の変動を模式的に示す図である。図12中線L21は、現像槽内の現像剤の量が十分に多い場合に、規制部材を通過する前に現像剤保持部材に保持されている現像剤の量の変動を示すものである。図12中線L22は、現像槽内の現像剤の量が少ない場合に、規制部材を通過する前に現像剤保持部材に保持されている現像剤の量の変動を示すものである。図12中線L23は、現像槽内の現像剤の量が十分に多い場合に、規制部材を通過した後で現像剤保持部材に保持されている現像剤の量の変動(言い換えれば、真に必要な現像剤の量)を示すものである。
【0013】
図12を参照して、現像槽内に収容される現像剤の量が十分に多い構成では、現像剤保持部材に保持される現像剤は規制部材を通過する際に均一化され、真に必要な量にされるため、上記の現像剤の量のムラは解消される(図12中線L21→線L23)。しかし、現像槽内に収容される現像剤の量が低減された構成では、上記の現像剤の量のムラは解消されない(図12中線L22)。
【0014】
図13は、現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の最小値に対する現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の比率の現像剤保持部材の回転軸方向の変動を模式的に示す図である。図13中線L41は、現像槽内の現像剤の量が十分に多い場合の比率を示すものである。図13中線L42は、現像槽内の現像剤の量が少ない場合の比率を示すものである。
【0015】
図12および図13を参照して、現像剤保持部材に保持される現像剤の量(現像槽内の現像剤の量が十分に多い場合:図12中線L21、現像槽内の現像剤の量が少ない場合:図12中線L22)から真に必要な現像剤量(図12中線L23)を減ずることにより、現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の回転軸方向の変動を求める(現像槽内の現像剤の量が十分に多い場合:図12中矢印L31aおよびL31bで示す量、現像槽内の現像剤の量が少ない場合:図12中線L32aおよび32bで示す量)。
【0016】
次に、現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の最小値(現像槽内の現像剤の量が十分に多い場合:図12中矢印L31aで示す量、現像槽内の現像剤の量が少ない場合:図12中線L32aで示す量)に対する現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の比率の回転軸方向の変動を求める(現像槽内の現像剤の量が十分に多い場合:図13中線L41、現像槽内の現像剤の量が少ない場合:図13中線L42)。その結果、現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の最小値に対する現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の比率の回転軸方向の変動量は、現像槽内の現像剤の量が少ない場合の方が大きくなる。
【0017】
ここで、規制部材付近の現像剤の挙動を詳しく観察することにより、規制部材と現像剤保持部材との間隔は一定であっても、通過する現像剤の密度が異なると、規制部材を通過する現像剤の量が異なることが分かっている。そして、現像剤の密度は、現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量に比例して大きくなることが分かっている。
【0018】
すなわち、現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量が多いと、規制部材を通過する現像剤が過剰に供給された現像剤から圧縮される方向に力を受けるため、規制部材を通過する現像剤の密度が大きくなり、規制部材を通過する現像剤の量が増加する。したがって、現像槽内の現像剤の量が十分に多い従来の構成では、現像剤保持部材に保持される現像剤の量の回転軸方向のムラが解消される。一方で、現像槽内の現像剤の量が少ない構成では、現像剤保持部材に保持される現像剤の量が少ない箇所において、規制部材を通過する現像剤が過剰に供給された現像剤から受ける力が小さくなり、規制部材を通過する現像剤の密度が大きくならない。その結果、規制部材を通過する現像剤の量が増加せず、現像剤保持部材に保持される現像剤の量の現像剤保持部材の回転軸方向のムラが解消されなかった。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、現像剤保持部材に保持される現像剤の量の均一化を図ることのできる現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一の局面に従う現像装置は、像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、現像剤を収容するハウジングと、ハウジングを第1の収容室と第2の収容室とに仕切る仕切り壁であって、3つ以上の開口部を含む仕切り壁と、第1および第2の収容室の内部において、3つ以上の開口部によって形成された複数の搬送経路に沿って現像剤を循環して搬送する搬送手段と、回転軸周りに回転する現像剤保持部材であって、第2の収容室の内部から現像剤を取得し、取得した現像剤を外周面に保持しながら像担持体と対向する現像領域に導く現像剤保持部材と、現像剤保持部材によって現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第1の規制部材と、第1の規制部材よりも現像剤保持部材の回転方向の上流側において、現像剤保持部材によって現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第2の規制部材とを備え、3つ以上の開口部は、第2の収容室の内部における現像剤の搬送方向に沿って配列しており、3つ以上の開口部は、仕切り壁における回転軸方向の一方の端部側に設けられ、第1の収容室から第2の収容室への現像剤の流入口である端部流入口と、仕切り壁における回転軸方向の他方の端部側に設けられ、第2の収容室から第1の収容室への現像剤の流出口である端部流出口と、仕切り壁における端部流入口と端部流出口との間に設けられた途中循環口とを含み、途中循環口は、配列した3つ以上の開口部の中で、端部流入口に対して第2の収容室の内部における現像剤の搬送方向の上流側で隣接する開口部である第1の途中循環口と、配列した3つ以上の開口部の中で、第1の途中循環口に対して第2の収容室の内部における現像剤の搬送方向の上流側で隣接する開口部である第2の途中循環口とを含み、端部流入口と第1の途中循環口とに挟まれた仕切り壁の部分に対応する位置で第2の規制部材が規制する現像剤の量は、第1の途中循環口と第2の途中循環口とに挟まれた仕切り壁の部分に対応する位置で第2の規制部材が規制する現像剤の量よりも多い。
【0022】
本発明の他の局面に従う現像装置は、像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、現像剤を収容するハウジングと、ハウジングを第1の収容室と第2の収容室とに仕切る仕切り壁であって、3つ以上の開口部を含む仕切り壁と、第1および第2の収容室の内部において、3つ以上の開口部によって形成された複数の搬送経路に沿って現像剤を循環して搬送する搬送手段と、回転軸周りに回転する現像剤保持部材であって、第2の収容室の内部から現像剤を取得し、取得した現像剤を外周面に保持しながら像担持体と対向する現像領域に導く現像剤保持部材と、現像剤保持部材によって現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第1の規制部材と、第1の規制部材よりも現像剤保持部材の回転方向の上流側において、現像剤保持部材によって現像領域に導かれる現像剤の量を規制する第2の規制部材とを備え、3つ以上の開口部は、仕切り壁における回転軸方向の一方の端部側に設けられ、第1の収容室から第2の収容室への現像剤の流入口である端部流入口と、仕切り壁における回転軸方向の他方の端部側に設けられ、第2の収容室から第1の収容室への現像剤の流出口である端部流出口と、仕切り壁における端部流入口と端部流出口との間に設けられた途中循環口とを含み、第2の規制部材の回転軸方向の形状は、途中循環口に対応する位置で変化し、第2の収容室内の回転軸方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第1の差分以上高くなる位置で第2の規制部材が規制する現像剤の量は、第2の収容室内の回転軸方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第2の差分以上低くなる位置で第2の規制部材が規制する現像剤の量よりも多い。
【0023】
上記現像装置において好ましくは、第2の規制部材は、回転軸方向で互いに間隔を空けて設けられた複数の規制部を含み、複数の規制部の各々は、第2の収容室内の回転軸方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第1の差分以上高くなる位置に設けられる。
【0024】
上記現像装置において好ましくは、第2の規制部材は、回転軸方向で連続して延在しており、第2の規制部材と現像剤保持部材との間隔は、第2の収容室内の回転軸方向における現像剤の搬送時の液面の高さの変化に応じて変化する。
【0025】
上記現像装置において好ましくは、途中循環口は、第1の収容室から第2の収容室への現像剤の流入口である途中流入口を含み、第2の規制部材と現像剤保持部材との間隔は、回転軸方向の途中流入口に対応する位置において現像剤の搬送方向に沿って減少する。
【0026】
上記現像装置において好ましくは、途中循環口は、第2の収容室から第1の収容室への現像剤の流出口である途中流出口を含み、第2の規制部材と現像剤保持部材との間隔は、回転軸方向の途中流出口に対応する位置において現像剤の搬送方向に沿って増加する。
【0027】
上記現像装置において好ましくは、搬送手段は、回転軸方向に延在し、回転するシャフトと、シャフトの外周面にらせん状に設けられた羽根部材とを含み、シャフトの直径および第2の収容室の回転軸に直交する断面の断面積の大きさのうち少なくともいずれか一方は、回転軸方向の途中循環口に対応する位置で変化する。
【0028】
上記現像装置において好ましくは、搬送手段は、第2の収容室内のシャフトの外周面における回転軸方向の途中循環口に対応する位置に設けられたパドルをさらに含む。
【0029】
上記現像装置において好ましくは、第2の収容室内の羽根部材の条数は、回転軸方向の途中循環口の位置に対応する位置と、回転軸方向の途中循環口以外に対応しない位置とで互いに異なる。
【0030】
上記現像装置において好ましくは、回転軸方向の仕切り壁に対応する位置における第2の規制部材と現像剤保持部材との間隔の最大値を値C、回転軸方向の途中循環口に対応する位置における第2の規制部材と現像剤保持部材との間隔の最小値を値Dとした場合に、値Cおよび値Dの間には、1.5×C≧D>Cの関係が成り立つ。
【0031】
上記現像装置において好ましくは、第1の規制部材と現像剤保持部材との間隔の最大値を値A、第2の規制部材と現像剤保持部材との間隔の最大値を値Bとした場合に、値Aおよび値Bの間には、2×A≧B>Aの関係が成り立つ。
【0032】
本発明のさらに他の局面に従う画像形成装置は、上述の現像装置と、現像装置によって現像された静電潜像を用紙に転写する転写手段とを備える。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、現像剤保持部材に保持される現像剤の量の均一化を図ることのできる現像装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置100の構成を示す断面図である。
図2図1における現像装置31付近の拡大図である。
図3図2のIII−III線に沿った断面図である。
図4】比較例の現像装置の構成を示す断面図である。
図5】比較例におけるマグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向の分布を示す図である。
図6】本発明の第1の実施の形態の現像装置31のマグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向の分布を示す図である。
図7】本発明の第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の構成を示す図である。
図8】本発明の第3の実施の形態におけるプレ規制部材56の構成を示す図である。
図9】本発明の第4の実施の形態におけるプレ規制部材56の構成を示す図である。
図10】本発明の第5の実施の形態における現像装置31の構成を示す断面図である。
図11】本発明の第6の実施の形態における現像装置31の構成を示す断面図である。
図12】現像剤保持部材に保持される現像剤の量の現像剤保持部材の回転軸方向の変動を模式的に示す図である。
図13】現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の最小値に対する現像剤保持部材に過剰に供給された現像剤の量の比率の現像剤保持部材の回転軸方向の変動を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0036】
以下の実施の形態では、画像形成装置がMFPである場合について説明する。画像形成装置は、MFPの他、ファクシミリ装置、複写機、プリンターなどであってもよい。
【0037】
[第1の実施の形態]
【0038】
始めに、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
【0039】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置100の構成を示す断面図である。
【0040】
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置100は、MFPであり、用紙搬送部10と、トナー像形成部30と、定着装置40とを主に備えている。
【0041】
用紙搬送部10は、給紙トレイ11と、給紙ローラー13aと、搬送ローラー13bと、排紙ローラー13cと、排紙トレイ14とを含んでいる。給紙トレイ11は、画像形成装置本体100aの下部に設けられており、画像を形成するための用紙Pを収容する。給紙トレイ11は複数であってもよい。給紙ローラー13aは、給紙トレイ11と、搬送経路TRとの間に設けられている。搬送ローラー13bは搬送経路TRに設けられている。排紙ローラー13cは、搬送経路TRの最も下流の部分に設けられている。排紙トレイ14は画像形成装置本体100aの外部に設けられている。
【0042】
トナー像形成部30は、いわゆるタンデム方式でY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の4色の画像を合成し、用紙にトナー像を転写する。トナー像形成部30は、YMCK各色の現像装置31a、31b、31c、および31d(現像器の一例)と、YMCK各色の感光体ユニット32a、32b、32c、および32dと、露光装置33と、中間転写ベルト34と、一次転写ローラー35a、35b、35c、および35dと、二次転写ローラー36(転写手段の一例)と、クリーニング装置37と、回転ローラー39などを含んでいる。
【0043】
本明細書において、現像装置31a、31b、31c、および31dをまとめて現像装置31と記し、感光体ユニット32a、32b、32c、および32dをまとめて感光体ユニット32と記すことがある。
【0044】
各色の現像装置31および感光体ユニット32は、中間転写ベルト34の直下に並置されている。感光体ユニット32は、感光体ドラム81(像担持体の一例)と、帯電装置82と、クリーニング装置83とを含んでいる。
【0045】
感光体ドラム81は、光導電性を有しており、円筒状である。感光体ドラム81は、図1中矢印AR1で示す方向に回転駆動される。感光体ドラム81の周囲には、帯電装置82、現像装置31、およびクリーニング装置83が配置されている。帯電装置82は感光体ドラム81を帯電させるためのものであり、帯電装置82によって感光体ドラム81の表面電位は所定の帯電電位とされる。4つの現像装置31の各々は、YMCL各色のトナーを収容しており、感光体ドラム81に形成された静電潜像を現像する。クリーニング装置83は、感光体ドラム81上の廃トナーを除去する。
【0046】
露光装置33は、各色の現像装置31および感光体ユニット32の下部に設けられている。中間転写ベルト34は、無端状であり、回転ローラー39に架け渡されている。中間転写ベルト34は、図1中矢印AR2で示す方向に回転駆動される。一次転写ローラー35a、35b、35c、および35dの各々は、中間転写ベルト34を挟んで各色の感光体ユニット32における感光体ドラム81の各々と対向している。二次転写ローラー36は、搬送経路TRにおいて中間転写ベルト34と接触している。二次転写ローラー36と中間転写ベルト34との間隔は、図示しない圧接離間機構により調整可能である。クリーニング装置37は、中間転写ベルト34の付近に設けられている。
【0047】
定着装置40は、加熱ローラー41と、加圧ローラー42とを含んでいる。定着装置40は、加熱ローラー41と加圧ローラー42とのニップ部により、トナー像を担持した用紙を把持しながら搬送経路TRに沿って搬送することで、用紙にトナー像を定着させる。
【0048】
画像形成装置100がプリント要求を受け付けると、用紙搬送部10は、給紙トレイ11に収容された用紙(記録シート)Pを、給紙ローラー13aにより搬送経路TRに給紙する。用紙搬送部10は、搬送ローラー13b(タイミングローラー)により用紙を搬送経路TRに沿って搬送し、所定のタイミングで用紙を中間転写ベルト34と二次転写ローラー36との間に導く。
【0049】
帯電装置82は、回転する感光体ドラム81の表面を所定の帯電電位に帯電する。露光装置33は、所定の帯電電位に帯電された感光体ドラム81の表面に対して、プリント要求のあった画像情報に基づいた露光用ビームを照射する。これにより、感光体ドラム81の表面には静電潜像が形成される。現像装置31は、感光体ドラム81の表面に対してトナーを供給し、感光体ドラム81の表面に形成された静電潜像を現像する。現像された静電潜像はトナー像となる。一次転写ローラー35a、35b、35c、および35dの各々は、各色の感光体ユニット32の感光体ドラム81に形成されたトナー像を、中間転写ベルト34の表面に順次転写する(一次転写)。中間転写ベルト34の表面には、各色のトナー像が合成されたトナー像が形成される。クリーニング装置83は、中間転写ベルト34に転写されずに感光体ドラム81に残留したトナーを除去する。
【0050】
回転ローラー39は中間転写ベルト34を回転駆動する。これにより、中間転写ベルト34の表面に形成されたトナー像は、二次転写ローラー36と対向する位置まで搬送される。二次転写ローラー36は、中間転写ベルト34の表面に形成されたトナー像を、中間転写ベルト34と二次転写ローラー36との間に搬送されてきた用紙に転写する。クリーニング装置37は、用紙に転写されずに中間転写ベルト34の表面に残留したトナーを除去し、回収する。
【0051】
トナー像が転写された用紙は定着装置40に導かれる。定着装置40は、トナー像を用紙に定着する。その後用紙搬送部10は、トナー像が定着された用紙を、排紙ローラー13cにより排紙トレイ14に排紙する。
【0052】
なお、画像形成装置100は上述の構成のものに限定されず、複数の現像装置を保持させた回転式現像装置を回転させて、各現像装置を順々に感光体ドラムに導くようにしてフルカラーの画像形成を行うようにしたフルカラーの画像形成装置や、白黒の画像形成を行う画像形成装置であってもよい。
【0053】
図2は、図1における現像装置31付近の拡大図である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。なお図面においては現像剤の図示が省略されている。
【0054】
図2および図3を参照して、現像装置31は、ハウジング51と、マグローラー52(現像剤保持部材の一例)と、仕切り壁60と、撹拌スクリュー53と、供給スクリュー54と、規制部材55(第1の規制部材の一例)と、プレ規制部材56(第2の規制部材の一例)とを含んでいる。
【0055】
ハウジング51は、現像剤を収容している。ハウジング51の図3中右端部付近には、ハウジング51内部から現像剤を排出するための排出口51aが設けられている。
【0056】
マグローラー52は、円筒形状を有しており、感光体ドラム81と所要間隔を介して対向して配置されている。マグローラー52は、ハウジング51によって支持されている。マグローラー52は、回転スリーブ52aと、回転スリーブ52aの内周側に設けられたマグネット部材52bとを含んでいる。回転スリーブ52aは円筒形状を有しており、回転軸R周りに矢印AR3で示す方向に回転する。マグネット部材52bは円筒形状を有しており、その外周面は周方向に沿ってN極とS極とに交互に着磁されている。マグローラー52は、供給槽SP2の内部から現像剤を取得し、取得した現像剤を、マグネット部材52bの磁力によりスリーブ52aの外周面に保持しながら感光体ドラム81と対向する現像領域RGに導く。
【0057】
仕切り壁60は、ハウジング51の内部に設けられており、回転軸Rに沿って延在している。仕切り壁60は、ハウジング51の内部を撹拌槽SP1(第1の収容室の一例)と、供給槽SP2(第2の収容室の一例)とに仕切っている。撹拌槽SP1および供給槽SP2はいずれも回転軸Rに沿って延在している。仕切り壁60は、3つ以上の開口部61a、61b、61c、61d、61e、および61fを含んでいる。開口部61a、61b、61c、61d、61e、および61fの各々によって、仕切り壁60は5つに分離されている。開口部61aは仕切り壁60の回転軸R方向の一方の端部に設けられた端部流入口であり、開口部61fは仕切り壁60の回転軸R方向の他方の端部に設けられた端部流出口である。開口部61b、61c、61d、および61eの各々は、開口部61aと開口部61fとの間に設けられた途中循環口であり、開口部61aに近い側からこの順序で設けられている。
【0058】
撹拌スクリュー53および供給スクリュー54(搬送手段の一例)の各々は、撹拌槽SP1および供給槽SP2の各々に設けられており、それぞれ矢印AR4およびAR5で示す方向に回転することにより現像剤を混合撹拌しながら搬送する。撹拌スクリュー53および供給スクリュー54の各々は、撹拌スクリュー53の回転軸方向の長さが供給スクリュー54の回転軸方向の長さよりも長い以外は略同一の形状を有しており、シャフト71と、羽根部材72と、パドル73とを含んでいる。シャフト71は、回転軸R方向に延在しており、回転する。シャフト71は、ハウジング51に対して回転可能に支持されている。羽根部材72は、シャフト71の外周面においてらせん状に設けられている。パドル73は、板状であり、シャフト71の外周面における所定の位置に設けられている。
【0059】
撹拌スクリュー53および供給スクリュー54の各々のサイズの一例として、撹拌スクリュー53および供給スクリュー54の各々の外径は12mmであり、軸径は6mmである。
【0060】
規制部材55は、板状であり、回転軸Rに対して平行に連続的に延在している。規制部材55は、ハウジングに固定されている。規制部材55のマグローラー52に近い側の端部(回転軸Rに対して垂直な方向の端部)は、マグネット部材52bのS極と対向しており、マグローラー52の外周面と所用間隔Tを介して対向している。規制部材55は、マグローラー52によって現像領域RGに導かれる現像剤の量を規制する。
【0061】
プレ規制部材56は、板状であり、回転軸Rに対して平行に連続的に延在している。プレ規制部材56は、ハウジング51に固定されている。プレ規制部材56は、規制部材55よりもマグローラー52の回転方向の上流側の位置において、マグローラー52によって現像領域RGに導かれる現像剤の量を規制する。
【0062】
ハウジング51における図3中右下部には図示しないトナー補給部が設けられており、図示しないサブホッパからトナー補給部を通じて撹拌槽SP1内にトナーが供給される。
【0063】
撹拌スクリュー53および供給スクリュー54は、ハウジング51の内部において、開口部61a、61b、61c、61d、61e、および61fによって形成された複数の搬送経路に沿って現像剤を循環して搬送する。
【0064】
具体的には、撹拌スクリュー53は矢印D1で示すように撹拌槽SP1内において図3中右側から左側へ向かって現像剤を搬送し、供給スクリュー54は矢印D2で示すように供給槽SP2内において図3中左側から右側へ向かって現像剤を搬送する。現像剤は、矢印D3で示すように開口部61aを通じて撹拌槽SP1から供給槽SP2に流入し、矢印D4で示すように開口部61fを通じて供給槽SP2から供給槽SP1に流出する。これにより、長い環状の搬送経路(図3中実線の矢印で示す搬送経路)が構成される。
【0065】
一方、途中循環口である開口部61b、61c、61d、および61eは、長い環状の搬送経路(図3中実線の矢印で示す搬送経路)に対して分岐または合流した搬送経路(図3中点線の矢印で示す搬送経路)を構成する。途中循環口は、撹拌槽SP1から供給槽SP2への現像剤の流入口である途中流入口を構成する開口部61cおよび61eと、供給槽SP2から撹拌槽SP1への現像剤の流出口である途中流出口を構成する開口部61bおよび61dとに区分される。
【0066】
具体的には、撹拌スクリュー53によって搬送される現像剤の一部は、矢印D5で示すように、開口部61aに到達する前に途中流入口である開口部61cおよび61eの各々を通じて撹拌槽SP1から供給槽SP2に流入する。言い換えれば、上記の長い環状の搬送経路は、開口部61cおよび61eの各々の位置で撹拌槽SP1内の流路から分岐して供給槽SP2内の流路に合流している。
【0067】
同様に、供給スクリュー54によって搬送される現像剤の一部は、矢印D6で示すように、開口部61fに到達する前に途中流出口である開口部61bおよび61dの各々を通じて供給槽SP2から撹拌槽SP1に流出する。言い換えれば、上記の長い環状の搬送経路は、開口部61bおよび61dの各々の位置で供給槽SP2から分岐して撹拌槽SP1に合流している。
【0068】
このように上述の長い環状の搬送経路の途中において新しい現像剤を供給することで、回転軸R方向に沿った現像剤の量の変動を抑えることができる。
【0069】
複数の開口部61a、61b、61c、61d、61e、および61fの各々の図2中縦方向の長さはたとえば20mmである。開口部同士の間に存在する仕切り壁60の回転軸Rに沿った長さはたとえば20mmである。複数の開口部61a、61b、61c、61d、61e、および61fの各々は、撹拌スクリュー53および供給スクリュー54のシャフト71の下面と略同じ高さからハウジング51の上面と略同じ高さまで仕切り壁60に設けられている。
【0070】
矢印D3およびD4で示す方向に搬送される現像剤の量は、後述する矢印D5およびD6で示す方向に搬送される現像剤の量に比べて多い。このため、矢印D3およびD4は二重の矢印で示されている。
【0071】
なお、ハウジング51の内部の現像剤の量が過剰になった場合は、排出口51aから余分な現像剤が排出される。なお、排出口51aは設けられていなくてもよい。
【0072】
ところで、開口部を設けるだけでも現像剤を撹拌槽SP1と供給槽SP2との間で移動させることは可能であるが、回転軸R方向における開口部に対応する位置の送り側のスクリューにパドルを設けることで、現像剤の送り量を増やすことができ、決まった方向の現像剤の流れを作ることができる。この場合、送り側(分岐側)にはパドルを設置し、受け側(合流側)にはパドルを設置しないほうがよい。
【0073】
具体的には、撹拌スクリュー53のパドル73は、回転軸R方向における開口部61cおよび61eの各々に対応する位置に設けられており、現像剤を撹拌槽SP1から供給槽SP2に搬送する役割を果たす。供給スクリュー54のパドル73は、回転軸R方向における開口部61bおよび61dの各々に対応する位置に設けられており、現像剤を供給槽SP2から撹拌槽SP1に搬送する役割を果たす。
【0074】
パドル73は、シャフト71に平行な平板であり、開口部61a、61b、61c、61d、61e、および61fの各々の回転軸R方向の幅(図3中横方向の長さ)と同程度の幅を有している。パドル73は、撹拌スクリュー53および供給スクリュー54の各々の外径とほぼ同じ高さ(図3中縦方向の長さ)を有している。なお、パドル73は、ここでは周方向に1枚のみが設けられているが、周方向に複数枚が設けられていてもよい。
【0075】
供給スクリュー54は、供給槽SP2内の現像剤を搬送しながらマグローラー52の外周面(回転スリーブ52aの外周面)に供給する。マグローラー52は、矢印AR3で示す方向に回転することで、供給された現像剤を感光体ドラム81と対向する現像領域RGに搬送する。
【0076】
規制部材55およびプレ規制部材56の各々は、マグローラー52の外周面に保持されて現像領域RGに搬送される現像剤の量を規制する。
【0077】
規制部材55とマグローラー52との間隔(間隔が一定でない場合には間隔の最大値)を値A、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔(間隔が一定でない場合には間隔の最小値)の最大値を値Bとした場合に、値Aおよび値Bの間には、2×A≧B>Aの関係が成り立つことが好ましい。値Bを値Aよりも大きくすることにより、プレ規制部材56によって過大な量の現像剤が規制される事態を回避することができ、規制部材55による均し効果を十分に得ることができる。また値Bを値Aの2倍以下にすることにより、プレ規制部材56が現像剤を規制する機能を十分に得ることができる。
【0078】
また、規制部材55とプレ規制部材56とは所定の間隔をおいて設けられている。この場合には、プレ規制部材56を通過した現像剤は一旦規制されていない状態を経てから規制部材55を通過する。規制部材55とプレ規制部材56とは間隔をおかず、互いに接触していてもよい。この場合には、プレ規制部材56を通過した現像剤はすぐに規制部材55を通過する。
【0079】
マグローラー52は、現像領域RGにおいて、現像剤中におけるトナーを感光体ドラム81の表面に形成された静電潜像に供給して、静電潜像を現像する。
【0080】
本実施の形態によれば、規制部材55よりもマグローラー52の回転方向の上流側において、プレ規制部材56によって現像領域RGに導かれる現像剤の量を規制することができる。これにより、仕切り壁60が3つ以上の開口部61a、61b、61c、61d、61e、および61fを含む構成(ハウジング51内に分岐または合流する搬送経路が形成されている構成)に起因する、マグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向のムラを抑え、均一化することができる。
【0081】
本願発明者らはこの効果を確認すべく、本実施の形態の現像装置31と比較例の現像装置との各々において現像剤を循環させ、マグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向の分布を調べた。
【0082】
図4は、比較例の現像装置の構成を示す断面図である。
【0083】
図4を参照して、比較例として、マグローラー52の外周面に保持されて現像領域RGに搬送される現像剤の量を規制する部材として、プレ規制部材を含んでおらず、規制部材55のみを含んだ現像装置を想定した。これ以外の現像装置の構成は、図2に示す本実施の形態の現像装置31の構成と同じにした。規制部材55とマグローラー52との間隔を0.4mmに設定した。
【0084】
図5は、比較例におけるマグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向の分布を示す図である。図5中線L11は、規制部材55を通過する前の現像剤の量の分布を示すものであり、図5中線L12は、規制部材55を通過後の現像剤の量の分布を示すものである。
【0085】
図5を参照して、比較例においては、規制部材55を通過した後においても現像剤の量の回転軸R方向のムラは残ったままであった。このように、複数の搬送経路に沿って現像剤を循環して搬送する構成では、供給槽内の現像剤の液面の高低差が大きくなり、規制部材55のみではマグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向のムラを均一にすることはできない。
【0086】
図6は、本発明の第1の実施の形態の現像装置31のマグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向の分布を示す図である。図6中線L1は、規制部材55およびプレ規制部材56を通過する前の現像剤の量の分布を示すものであり、図6中線L2は、規制部材55およびプレ規制部材56を通過後の現像剤の量の分布を示すものである。
【0087】
図6を参照して、本実施の形態の現像装置31は、マグローラー52の外周面に保持されて現像領域RGに搬送される現像剤の量を規制する部材として、規制部材55およびプレ規制部材56を含んでいる。規制部材55とマグローラー52との間隔を0.4mmに設定した。プレ規制部材56とマグローラー52との間隔を0.7mmに設定した。
【0088】
本実施の形態の現像装置31においては、比較例の場合と比較して、規制部材55を通過した後の現像剤の量の回転軸R方向で均一に均すことができた。
【0089】
[第2の実施の形態]
【0090】
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の構成を示す図である。図7(a)は、現像剤の搬送時の供給槽SP2内の回転軸R方向に沿った現像剤の液面の高さを示す図である。図7(b)は、図2のIII−III線に沿った断面図である。図7(c)は、本発明の第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の第1の構成を示す図である。図7(d)は、本発明の第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の第2の構成を示す図である。
【0091】
図7(a)および(b)を参照して、供給槽SP2内の現像剤の液面について詳しく観察すると、供給槽SP2における供給スクリュー54の回転軸R方向に沿った現像剤の液面は、途中流入口である開口部61cおよび61eの各々に対応する位置で増加し、途中流出口である開口部61bおよび61dの各々に対応する位置で低下し、開口部が存在していない仕切り壁60の位置では高いままあるいは低いままで略一定となる。
【0092】
このように、複数の搬送経路を有する構成では、長い環状の搬送経路(図7(b)中実線の矢印で示す搬送経路)に沿って搬送される現像剤に対して、開口部61b、61c、61d、および61eの各々において現像剤が分岐または合流するため(図7(b)中点線の矢印で示す搬送経路)、開口部61b、61c、61d、および61eの各々に対応する位置おいて現像剤の液面の高さが変動する。
【0093】
そこで、本実施の形態のプレ規制部材56の回転軸R方向の形状は、開口部61b、61c、61d、および61eの各々の位置に応じて変化している。具体的には、供給槽SP2内の回転軸R方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第1の差分以上高くなる位置でプレ規制部材56が規制する現像剤の量は、供給槽SP2内の回転軸R方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第2の差分以上低くなる位置でプレ規制部材56が規制する現像剤の量よりも多くなっている。
【0094】
図7(a)、図7(b)、および図7(c)を参照して、第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の第1の構成では、プレ規制部材56は、回転軸Rに沿って互いに間隔を空けて(断続的に)設けられた複数の規制部56a、56b、および56cを含んでいる。複数の規制部56a、56b、および56cの各々は、供給槽SP2内の回転軸R方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第1の差分以上高くなる位置PO1(以降、現像剤の液面が高い位置PO1と記すことがある)に設けられている。複数の規制部56a、56b、および56cの各々は、供給槽SP2内の回転軸R方向において、現像剤の搬送時の液面の高さが現像剤の非搬送時の液面の高さよりも第2の差分以上低くなる位置PO2(以降、現像剤の液面が低い位置PO2と記すことがある)には設けられていない。
【0095】
図7(a)、図7(b)、および図7(d)を参照して、第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の第2の構成では、プレ規制部材56は、回転軸Rに沿って連続して延在しており、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔は、供給槽SP2内の回転軸R方向における現像剤の搬送時の液面の高さの変化に応じて変化している。回転軸R方向の現像剤の液面が高い位置PO1に対応する位置におけるプレ規制部材56とマグローラー52との間隔は、回転軸R方向の現像剤の液面が低い位置PO2に対応する位置におけるプレ規制部材56とマグローラー52との間隔よりも狭くなっている。
【0096】
なお、上述以外の画像形成装置の構成は、第1の実施の形態における画像形成装置の構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0097】
本実施の形態によれば、プレ規制部材56の回転軸R方向の形状が途中循環口である開口部61b、61c、61d、および61eの位置に応じて変化しており、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔が供給槽SP2内の回転軸R方向の現像剤の搬送時の液面の高さの変化に応じて変化しているので、マグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向のムラを効果的に抑えることができる。
【0098】
[第3の実施の形態]
【0099】
図8は、本発明の第3の実施の形態におけるプレ規制部材56の構成を示す図である。図8(a)は、現像剤の搬送時の供給槽SP2内の回転軸R方向に沿った現像剤の液面の高さを示す図である。図8(b)は、図2のIII−III線に沿った断面図である。図8(c)は、本発明の第3の実施の形態におけるプレ規制部材56の第1の構成を示す図である。図8(d)は、本発明の第3の実施の形態におけるプレ規制部材56の第2の構成を示す図である。
【0100】
図8(a)および図8(b)を参照して、供給槽SP2内の現像剤の液面についてさらに詳しく観察すると、供給槽SP2における供給スクリュー54の回転軸R方向に沿った現像剤の液面は、途中流入口である開口部61cおよび61eの各々に対応する位置では、矢印D2で示す供給槽SP2内での現像剤の搬送方向の上流側から下流側に向かって徐々に増加しており、途中流出口である開口部である開口部61bおよび61dの各々では、矢印D2で示す供給槽SP2内での現像剤の搬送方向の上流側から下流側に向かって徐々に低下している。
【0101】
そこで、本実施の形態のプレ規制部材56の回転軸R方向の形状は、途中循環口である開口部61b、61c、61d、および61eの各々の位置での現像剤の液面の変動に合わせて、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔が徐々に変化している。
【0102】
図8(a)、図8(b)、および図8(c)を参照して、第3の実施の形態におけるプレ規制部材56の第1の構成では、プレ規制部材56は、第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の第1の構成(図7(c))と同様に、回転軸Rに沿って互いに間隔を空けて(断続的に)設けられた複数の規制部56a、56b、および56cを含んでいる。複数の規制部56bおよび56cの各々は、回転軸R方向の途中流入口である開口部61cおよび61eに対応する位置(現像剤の液面の高さが徐々に増加する位置PO3)において、矢印D2で示す供給槽SP2内での現像剤の搬送方向の上流側から下流側に向かってプレ規制部材56とマグローラー52との間隔が徐々に減少している。複数の規制部56aおよび56bの各々は、回転軸R方向の途中流出口である開口部61bおよび61dの各々に対応する位置(現像剤の液面の高さが徐々に低下する位置PO4)において、矢印D2で示す供給槽SP2内での現像剤の搬送方向の上流側から下流側に向かってプレ規制部材56とマグローラー52との間隔が徐々に増加している。
【0103】
図8(a)、図8(b)、および図8(d)を参照して、第3の実施の形態におけるプレ規制部材56の第2の構成では、プレ規制部材56は、第2の実施の形態におけるプレ規制部材56の第2の構成(図7(d))と同様に、回転軸Rに沿って連続して延在している。途中流入口である開口部61cおよび61eの各々の位置(現像剤の液面の高さが徐々に増加する位置PO3)に対応する位置において、矢印D2で示す供給槽SP2内での現像剤の搬送方向の上流側から下流側に向かってプレ規制部材56とマグローラー52との間隔が徐々に(たとえば0.9mmから0.7mmに)減少している。複数の規制部56aおよび56bの各々は、途中流出口である開口部61bおよび61dの各々の位置(現像剤の液面の高さが徐々に低下する位置PO4)に対応する位置において、矢印D2で示す供給槽SP2内での現像剤の搬送方向の上流側から下流側に向かってプレ規制部材56とマグローラー52との間隔が徐々に(たとえば0.7mmから0.9mmに)増加している。
【0104】
開口部61b、61c、61d、および61eの各々に対応する位置での現像剤の液面の高さは、仕切り壁60に対応する位置での現像剤の液面の高さよりも低くなっている。現像剤の液面の高さに応じてプレ規制部材56の規制力を調整するため、開口部61b、61c、61d、および61eの各々に対応する位置でのプレ規制部材56とマグローラー52との間隔は、仕切り壁60に対応する位置でのプレ規制部材56とマグローラー52との間隔よりも大きいことが好ましい。
【0105】
特に、回転軸R方向の仕切り壁60に対応する位置におけるプレ規制部材56とマグローラー52との間隔(間隔が一定でない場合には間隔の最大値)を値C、回転軸R方向の開口部61b、61c、61d、および61eに対応する位置におけるプレ規制部材56とマグローラー52との間隔(間隔が一定でない場合には間隔の最小値)を値Dとした場合に、値Cおよび値Dの間には、1.5×C≧D>Cの関係が成り立つことが好ましい。これにより、マグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向でのムラを効果的に抑制することができる。
【0106】
なお、上述以外の画像形成装置の構成は、第1および第2の実施の形態における画像形成装置の構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0107】
本実施の形態によれば、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔は、途中流入口である開口部61cおよび61eの各々に対応する位置において現像剤の搬送方向に沿って減少しており、途中流出口である開口部61bおよび61dの各々に対応する位置において現像剤の搬送方向に沿って増加している。これにより、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔が、途中流入口および途中流出口の各々に対応する位置の現像剤の液面の高さに応じたものとなり、マグローラー52に保持される現像剤の量の回転軸R方向のムラを一層抑えることができる。
【0108】
[第4の実施の形態]
【0109】
図9は、本発明の第4の実施の形態におけるプレ規制部材56の構成を示す図である。図9(a)は、供給槽SP2内の回転軸R方向の現像剤の液面の高さを示す図である。図9(b)は、本発明の第4の実施の形態におけるプレ規制部材56の第1の構成を示す図である。図9(c)は、本発明の第4の実施の形態におけるプレ規制部材56の第2の構成を示す図である。
【0110】
図9を参照して、現像装置31の構成上、マグローラー52の回転軸R方向の両端部の開口部61aおよび61fのうち一方の側に現像剤が偏りやすくなっているなど、供給槽SP2内の現像剤の液面が回転軸R方向で傾斜しているものが存在する。一例として、現像装置31の回転軸R方向の幅を小さくするために、撹拌スクリュー53よりも供給スクリュー54が上部に設けられた構成では、回転軸R方向の一方の端部側(ここでは開口部61a側)に、撹拌槽SP1から供給槽SP2に現像剤を汲み上げる汲み上げ部が設けられ、回転軸R方向の他方の端部側(ここでは開口部61f側)に、供給槽SP2から撹拌槽SP1に現像剤を汲み下げる汲み下げ部が設けられる。汲み上げ部付近の供給槽SP2では現像剤がたまりやすくなり、現像剤の液面が高くなる。汲み下げ部付近の供給槽SP2では現像剤が欠乏しやすくなり、現像剤の液面が低くなる。その結果、線Eで示すように、供給槽SP2内の現像剤の液面の高さは、大まかに見て、供給槽SP2内の現像剤の液面が開口部61a側から開口部61f側に向かって減少する。また他の例として、現像装置31(回転軸R)を水平面に対して傾斜して配置した場合にも同様の現象が発生する。
【0111】
本実施の形態では、上述のような供給槽SP2内の現像剤の液面の傾斜に応じて、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔の大きさが変化している。具体的には、供給槽SP2内の現像剤の液面が高くなるにつれて(図9中左端部に近づくにつれて)プレ規制部材56とマグローラー52との間隔が狭くなっている。図9(b)は、プレ規制部材56が複数の規制部56a、56b、および56cを含む構成であり、図9(c)は、プレ規制部材56が回転軸Rに沿って連続して延在している構成である。
【0112】
なお、上述以外の画像形成装置の構成は、第3の実施の形態における画像形成装置の構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0113】
本実施の形態によれば、供給槽SP2内の現像剤の液面の傾斜に応じて、プレ規制部材56とマグローラー52との間隔が変化しているので、マグローラー52に保持される現像剤の量のマグローラー52の回転軸R方向のムラを一層抑えることができる。
【0114】
[第5の実施の形態]
【0115】
図10は、本発明の第5の実施の形態における現像装置31の構成を示す断面図である。
【0116】
図10を参照して、本実施の形態における現像装置31において、供給スクリュー54のシャフト71の直径は、回転軸R方向の途中循環口に対応する位置で変化している。具体的には、供給スクリュー54のシャフト71の直径は、途中流出口である開口部61bおよび61dの各々に対応する位置(現像剤の液面の高さが徐々に減少する位置PO4)で、元の大きさから所定のサイズまで(たとえば6mmから10mmまで)増加し、開口部61bと開口部61cとの間の仕切り壁60、および開口部61dと開口部61eとの間の仕切り壁60の各々に対応する位置(現像剤の液面が低い位置PO2)で所定のサイズのまま一定となり、途中流入口である開口部61cおよび61eの各々に対応する位置(現像剤の液面の高さが徐々に増加する位置PO3)で、所定のサイズから元の大きさまで(たとえば10mmから6mmまで)低下している。
【0117】
上述のようにシャフト71の直径が回転軸方向の途中循環口に対応する位置で変化している代わりに(またはシャフト71の直径が回転軸方向の途中循環口に対応する位置で変化しているとともに)、供給槽SP2における回転軸Rに直交する断面の断面積の大きさが回転軸方向の途中循環口に対応する位置で変化していてもよい。供給槽SP2の断面積を減少させる場合には、ハウジング51の内部空間を埋めるための部材(隙間埋め部材)をハウジング51内に設けてもよい。
【0118】
なお、上述以外の画像形成装置の構成は、第1の実施の形態における画像形成装置の構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0119】
本実施の形態によれば、供給槽SP2内の現像剤の液面が低い位置において、供給スクリュー54の回転軸R方向と直交する断面の断面積が減少するため、供給槽SP2内の現像剤の液面が低い位置において現像槽の液面を持ち上げることができ、供給槽SP2内の現像剤の液面を均一にすることができる。また、開口部に対応する位置に応じて供給スクリュー54の回転軸R方向と直交する断面の断面積が変化するため、現像剤の液面の変化に伴う供給性の変化を補うことができる。その結果、上述のプレ規制部材56とともに用いることで、マグローラー52に保持される現像剤の量のマグローラー52の回転軸R方向のムラを一層抑えることができる。
【0120】
[第6の実施の形態]
【0121】
図11は、本発明の第6の実施の形態における現像装置31の構成を示す断面図である。
【0122】
図11を参照して、本実施の形態における現像装置31において、供給スクリュー54は、供給パドル74をさらに含んでいる。供給パドル74は、供給スクリュー54のシャフト71の外周面における回転軸R方向の途中循環口に対応する位置に設けられている。具体的には、供給パドル74は、開口部61bから開口部61cまでの位置に対応する位置と、開口部61dから開口部61eまでの位置に対応する位置との各々に設けられている。
【0123】
シャフト71の径方向に沿った供給パドル74の高さは、途中流出口である開口部61bおよび61dの各々に対応する位置(現像剤の液面の高さが徐々に減少する位置PO4)で、ゼロから所定の高さまで(たとえば羽根部材72の外径と同程度の高さまで)増加し、開口部61bと開口部61cとの間の仕切り壁60、および開口部61dと開口部61eとの間の仕切り壁60の各々に対応する位置(現像剤の液面が低い位置PO2)で所定の高さのまま一定となり、途中流入口である開口部61cおよび61eの各々に対応する位置(現像剤の液面の高さが徐々に増加する位置PO3)で、所定の高さからゼロまで低下している。
【0124】
供給パドル74は、供給スクリュー54のシャフト71に沿って延在しており、供給スクリュー54のシャフト71の周方向に沿った厚さはたとえば1mmである。供給パドル74は、供給スクリュー54の周方向に沿って1枚のみが設けられているが、供給パドル74の枚数は複数枚であってもよい。
【0125】
上述のように供給パドル74を供給スクリュー54のシャフト71の外周面における途中循環口に対応する位置に設ける代わりに(または供給パドル74を供給スクリュー54のシャフト71の外周面における途中循環口に対応する位置に設けるとともに)、供給スクリュー54の羽根部材72の条数を、回転軸R方向の途中循環口に対応する位置と、回転軸R方向の途中循環口に対応しない位置とで互いに異なるようにしてもよい。
【0126】
なお、上述以外の画像形成装置の構成は、第1の実施の形態における画像形成装置の構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0127】
本実施の形態によれば、供給スクリュー54を設けることにより、供給槽SP2内の現像剤の液面の高さが低い状態であっても現像剤をかき上げることでマグローラー52への供給力を高めることができる。また、開口部に対応する位置に応じて供給パドル74の高さが変化するので、現像剤の液面の変化に伴う供給性の変化を補うことができる。その結果、上述のプレ規制部材56とともに用いることで、マグローラー52に保持される現像剤の量のマグローラー52の回転軸R方向のムラを一層抑えることができる。
【0128】
[その他]
【0129】
上述の実施の形態は適宜組み合わせることが可能である。たとえば第5の実施の形態の供給スクリュー54のシャフト71の直径が回転軸R方向の途中循環口に対応する位置で変化している構成や、第6の実施の形態の供給パドル74が供給スクリュー54のシャフト71の外周面における回転軸R方向の途中循環口に対応する位置に設けられている構成は、第1〜第4の実施の形態のいずれかの構成に適用することが可能である。
【0130】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
10 用紙搬送部
11 給紙トレイ
13a 給紙ローラー
13b 搬送ローラー
13c 排紙ローラー
14 排紙トレイ
30 トナー像形成部
31,31a,31b,31c,31d 現像装置
32,32a,32b,32c,32d 感光体ユニット
33 露光装置
34 中間転写ベルト
35a,35b,35c,35d 一次転写ローラー
36 二次転写ローラー(転写手段の一例)
37 クリーニング装置
39 回転ローラー
40 定着装置
41 加熱ローラー
42 加圧ローラー
51 ハウジング
51a ハウジングの排出口
52 マグローラー(現像剤保持部材の一例)
52a 回転スリーブ
52b マグネット部材
53 撹拌スクリュー(搬送手段の一例)
54 供給スクリュー(搬送手段の一例)
55 規制部材(第1の規制部材の一例)
56 プレ規制部材(第2の規制部材の一例)
56a,56b,56c 規制部
60 仕切り壁
61a,61b,61b,61c,61d,61e,61f 開口部
71 シャフト
72 羽根部材
73 パドル
74 供給パドル
81 感光体ドラム(像担持体の一例)
82 帯電装置
83 クリーニング装置
100 画像形成装置
100a 画像形成装置本体
P 用紙
R マグローラーの回転軸
RG 現像領域
SP1 撹拌槽(第1の収容室の一例)
SP2 供給槽(第2の収容室の一例)
TR 搬送経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13