特許第6953860号(P6953860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6953860電子時計、日時情報取得方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953860
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】電子時計、日時情報取得方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G04R 20/02 20130101AFI20211018BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20211018BHJP
   G04C 9/00 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   G04R20/02
   G04G5/00 J
   G04C9/00 301A
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-144095(P2017-144095)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-27812(P2019-27812A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関塚 達也
(72)【発明者】
【氏名】松江 剛志
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−9475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/00 − 60/14
G04G 3/00 − 99/00
G04C 1/00 − 99/00
G01S 5/00 − 5/14
G01S 19/00 − 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星からの電波を受信する受信部と、
現在の日時を計数する計時部と、
制御部と、
を備え、
前記受信部は、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波と、当該第1の測位衛星からの信号とは異なる様式で情報が送信される第2の測位衛星からの信号を含む送信電波と、を受信可能であり、
前記第1の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第1の周期は、前記第2の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第2の周期よりも短く、
前記制御部は、前記計時部が計数する日時の最大見積もりずれ量が前記第1の周期に対応した基準幅から外れている場合には、前記第1の測位衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及び前記第2の測位衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記制御部は、
前記計時部が計数する日時の最大見積もりずれ量に対応した符号長の前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列を生成し、
前記受信部による受信符号列に対して前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列の相対位置関係を前記最大見積もりずれ量の範囲内でそれぞれ変更しながら照合して、前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングを特定する
ことを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項3】
前記第1の測位衛星からの信号と前記第2の測位衛星からの信号とでは、日時情報の送信周期が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の電子時計。
【請求項4】
前記最大見積もりずれ量は、前回日時情報が取得されてからの経過時間に基づいて求められることを特徴とする請求項2記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の測位衛星からの受信符号列と前記第1の想定符号列とを各相対位置関係で照合して各々得られた第1の合致符号数、及び第2の測位衛星からの受信符号列と前記第2の想定符号列とを各相対位置関係で照合して各々得られた第2の合致符号数を前記相対位置関係ごとに合算し、当該相対位置関係ごとの合計の照合符号数と、前記合算して得られた合計合致符号数とに基づいて、前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列が受信されたタイミングを検出することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電子時計。
【請求項6】
前記制御部は、前記受信部により受信されて同定された符号に基づいて、前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のうち一部を生成することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電子時計。
【請求項7】
測位衛星からの電波を受信する受信部と、現在の日時を計数する計時部と、を備え、前記受信部は、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波と、当該第1の測位衛星からの信号とは異なる様式で情報が送信される第2の測位衛星からの信号を含む送信電波と、を受信可能な電子時計の日時情報取得方法であって、
前記計時部が計数する日時の最大見積もりずれ量が第1の周期に対応した基準幅から外れている場合には、前記第1の測位衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及び前記第2の測位衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定ステップ
を含み、
前記第1の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る前記第1の周期は、前記第2の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第2の周期よりも短い、
ことを特徴とする日時情報取得方法。
【請求項8】
測位衛星からの電波を受信する受信部と、現在の日時を計数する計時部と、を備え、前記受信部は、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波と、当該第1の測位衛星からの信号とは異なる様式で情報が送信される第2の測位衛星からの信号を含む送信電波と、を受信可能な電子時計のコンピュータを、
前記計時部が計数する日時の最大見積もりずれ量が第1の周期に対応した基準幅から外れている場合には、前記第1の測位衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及び前記第2の測位衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定手段
として機能させ、
前記第1の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る前記第1の周期は、前記第2の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第2の周期よりも短い、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子時計、日時情報取得方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子時計において測位衛星からの電波を受信して日時情報を取得する技術がある。測位衛星からの電波は、地球上の場所を問わず、測位衛星が視認可能であれば受信することが可能である。このような電波としては、米国のGPS(Global Positioning System)に係る測位衛星(GPS衛星)から送信されているものが広く用いられている。
【0003】
一方で、測位衛星からの電波受信及び日時の解読に係る消費電力は、通常の日時の計数や表示に係る動作よりも著しく大きく、電子時計のバッテリに対して負荷が大きいという問題がある。これに対し、従来、電子時計で計数されている日時の情報と組み合わせて、短時間の受信で正確な日時の取得に必要な情報のみを受信する技術がある。また、電子時計における計数日時に基づいて受信が想定される符号列を生成し、当該想定された符号列と実際に受信された符号列の一致状況に応じて日時を取得する技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−9333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単純に一の測位衛星からの電波により送信されている信号(航法メッセージ)のみを用いると、電波受信強度が低い場合や類似の符号列間の判別が必要な場合に十分な精度での区別が困難になり、正確な日時を効率良く確実に取得できなくなるという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、より効率良く確実に正確な日時を取得することのできる電子時計、日時情報取得方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
測位衛星からの電波を受信する受信部と、
現在の日時を計数する計時部と、
制御部と、
を備え、
前記受信部は、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波と、当該第1の測位衛星からの信号とは異なる様式で情報が送信される第2の測位衛星からの信号を含む送信電波と、を受信可能であり、
前記第1の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第1の周期は、前記第2の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第2の周期よりも短く、
前記制御部は、前記計時部が計数する日時の最大見積もりずれ量が前記第1の周期に対応した基準幅から外れている場合には、前記第1の測位衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及び前記第2の測位衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する
ことを特徴とする電子時計である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うと、電子時計において、より効率良く確実に正確な日時を取得することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の電子時計の機能構成を示すブロック図である。
図2】GPS衛星から電波送信されている信号(航法メッセージ)のフォーマットについて説明する図である。
図3】GLONASS衛星から電波送信されている信号(航法メッセージ)のフォーマットを示す図である。
図4】本実施形態の電子時計で実行される日時修正制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図5】衛星電波受信処理部で実行される衛星電波受信制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6】衛星電波受信制御処理で呼び出される符号照合処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】符号照合処理の制御手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
【0011】
電子時計1は、マイコン40と、衛星電波受信処理部50及びアンテナA1と、操作受付部61と、表示部62と、計測部63と、ROM64(Read Only Memory)と、電力供給部70などを備える。
【0012】
マイコン40は、電子時計1の全体動作を統括制御する。マイコン40は、CPU41(Central Processing Unit)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路46と、分周回路47と、計時回路48(計時部)などを備える。
【0013】
CPU41は、各種演算処理を行って制御動作を行う。制御動作としては、通常の日時表示動作、現在日時情報の取得及び計時回路48が計数する日時の修正に係る各種制御動作に加え、電子時計1が有する各種機能に応じた動作、例えば、アラーム報知機能、タイマ機能、あるいはストップウォッチ機能などが含まれ得る。
【0014】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM43には、現在位置などの設定された世界の地域における現在日時(地方時)を表示、利用する際のタイムゾーン設定や夏時間設定を含む地方時設定432、すなわち、UTC日時からの時差情報やその位置(都市)に係る情報が記憶されている。地方時設定432には、当該位置(都市)において受信可能な標準電波の有無や種別に係る情報が含まれる。
CPU41及びRAM43によりホスト制御部401が構成される。
【0015】
また、RAM43には、日時情報取得履歴情報431が記憶、保持される。日時情報取得履歴情報431は、過去に外部から取得された現在日時情報の取得先及びその取得日時の情報を含む。日時情報取得履歴情報431に記憶される取得先及び取得日時の情報は、少なくとも直近の一回記憶されるが、複数回記憶されてもよい。また、日時情報取得履歴情報431には、取得を試みて失敗した場合の情報が含まれてもよい。
【0016】
発振回路46は、所定周波数、ここでは、例えば、32.768kHzの信号(クロック信号)を生成して出力する。クロック信号の生成には、例えば、水晶発振子などが用いられる。この水晶発振子は、マイコン40に対して外付けされてよい。この発振回路46から出力されるクロック信号の周波数は、外部環境、主に温度によって変化する。
【0017】
分周回路47は、発振回路46から入力されたクロック信号を設定された分周比で分周した分周信号を出力する。分周比の設定は、CPU41により変更されてよい。
計時回路48は、分周回路47から入力された所定の周波数の信号(クロック信号と同一周波数であってもよい)を計数することで現在の日時(時刻及び日付)を計数、保持する。計時回路48による日時の計数精度は、上述の発振回路46からのクロック信号の精度に依存し、すなわち、計時回路48が計数する日時は、計時時間(すなわち、入力された信号の計数回数)に応じて正確な日時からのずれが変化し得る。CPU41は、衛星電波受信処理部50が取得した現在日時に基づいて、計数されている日時を修正することが可能である。計時回路48による計数日時のずれ量は、一定条件(主に温度)ではほぼ一定となるので、最大値として見込まれる大きさ(最大見積もりずれ量)は、ここでは、前回正確な日時が取得されてからの経過時間に比例するとして、例えば、0.5秒×経過日数のような形で定められる。実際のずれ量は、計時回路48の温度推移などに応じてこの最大見積もりずれ量の範囲内(ここでは、±最大見積もりずれ量の範囲内)のいずれかとなる。
【0018】
衛星電波受信処理部50は、米国のGPS(Global Positioning System)及びロシアのGLONASS(Global Navigation Satellite System)といった衛星測位システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)に係る測位衛星からの送信電波を受信可能であり、受信したこれらの電波を処理する受信動作を行って現在日時や現在位置の情報を取得し、CPU41から要求された情報を所定のフォーマットでCPU41に出力する。衛星電波受信処理部50は、受信部51と、モジュール制御部52と、記憶部53などを備える。
【0019】
受信部51は、受信対象の測位衛星からの送信電波を受信、検出してその測位衛星の識別及び送信信号の位相を同定する捕捉処理を行い、捕捉された測位衛星の識別情報及び位相に基づいて当該測位衛星からの送信電波を追尾して継続的に送信信号(航法メッセージ)を復調、取得する。
【0020】
モジュール制御部52は、CPUなどを備え、衛星電波受信処理部50の動作に係る各種制御を行う。モジュール制御部52は、マイコン40からの指示に従って適切なタイミングで測位衛星からの電波受信を受信部51により行わせ、現在日時の取得に係る処理を行って必要な情報を取得し、現在日時の同定や現在位置の算出(すなわち、測位)を行う。モジュール制御部52は、後述の予測受信取得を行う場合に、想定符号列と受信符号列の照合及び照合結果に係る演算を行う構成として専用のハードウェア回路を有していてもよい。
【0021】
記憶部53には、各種設定データや受信情報などの受信制御情報531と、衛星電波受信処理部50においてモジュール制御部52が実行する制御に係るプログラムなどが記憶される。設定データとしては、例えば、各測位衛星の航法メッセージのフォーマットデータや受信レベルを判別するための基準データなどが含まれる。また、受信情報としては、例えば、取得されている各測位衛星の予測軌道情報(アルマナック)などが含まれる。また、設定データには、GPSに係る測位衛星(GPS衛星と記す;第1の測位衛星)から送信される日時とUTC日時(協定世界時)との間でうるう秒に係るずれを補正するための値やWNの周期番号、GLONASSに係る測位衛星(GLONASS衛星と記す;第2の測位衛星)のうるう年周期番号などが含まれる。なお、ここでいうGPS衛星には、GPSと同一の送信周波数で略同一のフォーマットにより航法メッセージを送信しているみちびきなどの補完衛星を含む。また、GLONASS衛星と略同一のフォーマットにより航法メッセージを送信する補完衛星が利用可能となった場合には、これらの補完衛星はGLONASS衛星に含まれる。
【0022】
操作受付部61は、ユーザ操作などの外部からの入力操作を受け付ける。操作受付部61は、押しボタンスイッチやりゅうずなどを備え、押しボタンスイッチの押下動作や、りゅうずの引き出し、回転及び押し戻しの各動作に応じた操作信号をCPU41に出力する。あるいは、操作受付部61は、タッチセンサなどを有していても良い。
【0023】
表示部62は、CPU41(マイコン40)の制御に基づいて各種情報の表示を行う。表示部62は、表示ドライバ622と、表示画面621などを備える。表示画面621は、例えば、セグメント方式若しくはドットマトリクス方式又はこれらの組み合わせによる液晶表示画面(LCD)などによりデジタル表示を行う。あるいは、表示部62として、表示画面621によるデジタル表示に代えて、指針及びこれを回転動作させるステッピングモータなどによる表示が可能な構成を有していても良い。表示ドライバ622は、CPU41からの制御信号に基づいて、表示画面621に表示を行わせるための駆動信号を表示画面621に出力する。
【0024】
計測部63は、計測対象の物理量を計測して当該物理量や物理量と基準値との比較結果などをCPU41に出力する。計測部63は、光量センサ631を備える。
【0025】
光量センサ631は、例えば、表示部62の表示画面に並列配置されて設けられ、外部から照射される光量を計測する。この光量センサ631としては、例えば、フォトダイオードが用いられる。光量センサ631は、入射光量に応じた電気信号(電圧信号や電流信号)を出力し、この電気信号は、図示略のADC(アナログ/デジタル変換器)でデジタルサンプリングされてCPU41に入力される。
【0026】
ROM64は、CPU41が制御動作を実行するためのプログラム641や初期設定データなどを格納する。ROM64としては、マスクROMに加えて又は代えてデータの書き換え更新が可能なフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを有していてもよい。プログラム641には、現在日時の取得に係る制御プログラムが含まれる。
【0027】
上記のうち、ホスト制御部401(CPU41、RAM43)及びモジュール制御部52により本実施形態の電子時計1における制御部(コンピュータ)が構成される。
【0028】
次に、衛星電波受信処理部50の動作により現在日時を取得する場合について、より詳しく説明する。
【0029】
図2は、GPS衛星から電波送信されている信号(航法メッセージ)のフォーマットについて説明する図である。
GPSでは、各GPS衛星からそれぞれ30秒単位のフレームデータが合計25ページ送信されることで、12.5分周期で全てのデータが出力されている。GPSでは、GPS衛星ごとに固有のC/Aコードが用いられており、このC/Aコードは、1.023MHzで1023個の符号(チップ)が配列されて1msec周期で繰り返されている。このチップの先頭は、GPS衛星の内部時計と同期しているので、GPS衛星ごとにこの位相のずれを検出することで、伝搬時間、すなわち、GPS衛星から現在位置までの距離に応じた位相ずれ(疑似距離)が検出される。
【0030】
各フレームデータは、5つのサブフレーム(各6秒;第1の周期)で構成されている。更に、各サブフレームは10個のワード(符号ブロック、各0.6秒、順番にWORD1〜WORD10)によって構成されている。各ワードは、それぞれ30ビット長(すなわち、30個の二値符号からなる)である。
WORD1とWORD2のデータフォーマットは、全てのサブフレームで同一である。すなわち、WORD1、WORD2の内容は、全てのサブフレームで6秒ごとに取得され得る。WORD1では、テレメトリワード(TLM Word)が送信されている。テレメトリワードでは、8ビットの固定符号列であるプリアンブル(Preamble)に続き、14ビットのテレメトリメッセージ(TLM Message)が含まれ、その後ろに1ビットのIntegrity Status Flagと1ビットの予備ビットを挟んで、6ビットのパリティ符号列(パリティチェック符号)が配される。WORD2では、ハンドオーバワード(Handover Word;HOW)が送信されている。HOWでは、週内経過時間を示す17ビットのTOW−Count(Zカウントともいう)に続き、Alert FlagとAnti-Spoof Flagがそれぞれ1ビットずつで示されている。それから、サブフレームの番号(周期番号)を示すサブフレームID(Subframe-ID)が3ビットで示され、パリティ符号列の整合用2ビットを挟んで6ビットのパリティ符号列が配列される。
【0031】
WORD3以降のデータは、サブフレームによって異なる。サブフレーム1のWORD3には、先頭に10ビットのWN(週番号)が含まれる。サブフレーム2、3には、主に、エフェメリス(精密軌道情報)が含まれ、サブフレーム4の一部及びサブフレーム5では、アルマナック(予測軌道情報)が送信されている。すなわち、これらの情報は、フレーム内で1回30秒ごとに取得され得る。上述のうるう秒補正値は、18ページ目のフレーム4でのみ12.5分に一回送信されている。
【0032】
通常、航法メッセージを解読するには、各サブフレームの先頭に含まれる固定符号列(プリアンブル)を同定する必要がある。また、これらのうち、各サブフレームにおいてTOW−Countにより示される日時は、次のサブフレームの先頭のタイミングにおける日時である。
【0033】
衛星電波受信処理部50が現在日時を得るのに必要な情報は、計時回路48が計数する日時に含まれ得るずれの大きさによって異なる。計時回路48が計数する日時に日付や週が異なるほどの大きなずれがなければ、いずれかのサブフレームからTOW−Countのみを取得して(所要時間は2〜6秒程度)計時回路48が計数している日時と組み合わせることで、正確な日時が得られる(部分受信取得)。なお、部分受信取得の場合でも、ここでは、一つのサブフレームのWORD3まで受信することで、受信タイミングによっては、サブフレーム1のWORD3に含まれるWNも併せて受信される場合がある。計時回路48が計数する日時に大きなずれがあり得る場合には、サブフレーム1のWNを併せて受信する、すなわち、航法メッセージから日時に係るデータを全て取得することで(3〜30秒程度)、計時回路48の計数日時を考慮せずにGPS衛星から取得された情報により日時を取得する(フル受信取得)。なお、ここでいう「日時に係るデータ全て」には、うるう秒の補正値に係る補正情報を含まない。
【0034】
また、計時回路48が計数する日時のずれが十分小さければ(正確な日時に対して±3秒以下;基準幅)、受信される航法メッセージの内容、すなわち、各サブフレームの先頭における8ビット固定符号列(プリアンブル)や、HOWのうち17ビットのTOW−Countや3ビットのサブフレームID)を予め想定できる。また、テレメトリワードやHOWに含まれる予備ビット、Integrity Status Flag、Alert FlagやAnti-Spoof Flagなど、通常の送信状態ではセット状態にならない各1ビットの符号については、リセット状態であると想定しても良い。また、測位衛星のエフェメリスやアルマナックが取得保持されている場合には、その有効期間内では同一の軌道情報が受信されると想定される。
【0035】
したがって、計数日時及びその見積もりずれ量に基づいて予め想定された符号により生成される想定符号列(第1の想定符号列)が示す日時と、当該想定符号列と一致する符号列(受信符号列)が受信されたタイミング(日時情報の一部分;一致検出タイミング)とを組み合わせて現在日時を同定、取得する予測受信取得を行うことができる。この予測受信では、受信時には改めて符号列を解読(復号)する必要がなく、想定符号列との一致不一致のみを判定してゆけばよい。なお、GPS衛星から送信される航法メッセージは、ワード(30ビット)ごとに符号反転される場合があるので、反転された符号列を合わせて生成して一致不一致を判断しても良いし、想定符号列と完全一致する符号列と、想定符号列と完全不一致となる符号列とを同等に扱って想定符号列の検出を行ってもよい。例えば、比較照合された符号数(照合数)のうち、一致する数と不一致の数のうち大きい方を合致数(≧照合数/2)として、当該合致数が所定の確率条件を満たす合致タイミングを一致タイミングと判定することができる。所定の確率条件としては、例えば、合致数が最も多い符号列の同定確率が、合致数が2番目に多い符号列の同定確率に比して所定の比率より小さいことなどとすることができる。
【0036】
図3は、GLONASS衛星から電波送信されている信号(航法メッセージ)のフォーマットを示す図である。
GLONASSでは、各GLONASS衛星からそれぞれ30秒(第2の周期)単位で送信されるフレームデータが合計5つで、2.5分周期の全てのデータを含むスーパーフレームが構成されている。GLONASS衛星からの電波は、500kbpsで送信される擬似ランダムレンジングコードにより1msec周期で変調されて送信されている。
【0037】
各フレームデータは、15個のストリング(各2秒)で構成されている。各ストリングは、50bpsで送信される85個の二値符号の配列(1.7sec)と、100Hzで送信されるタイムマーク(0.3sec)とからなる。
【0038】
15個のストリングのうち、最初の4ストリングは、エフェメリスデータ(Immediate Information)を含み、残りの11ストリングは、アルマナックデータ(Non-immediate Information)を含む。15ストリングの先頭では、固定符号「0」が送信され、続いて、ストリング番号m(string No.)が4ビットで送信される。それから、72ビットの情報が送信された後、8ビットのハミングコードが送信され、最後に30ビットのタイムマークが送信される。
【0039】
GLONASS衛星からの電波を受信する場合、計時回路48のずれがフレーム長(30秒)に比して短い(±15秒以下)と想定される場合には、受信されるフレームの航法メッセージの内容が一部想定され得る。上述の固定符号「0」及びストリング番号mに加え、図3(b)の表に示すように、現在日時に係る情報、フォーマット上送信内容が定められている情報や、受信された航法メッセージの送信元のGLONASS衛星に応じて定まる情報などが想定符号列(第2の想定符号列)として用いられ得る。
【0040】
現在日時に係る情報としては、時刻tk、うるう年の1月1日からの日番号NT、アルマナックデータに係る日番号NAや、1996年からの4年周期の周期番号N4などがある。フォーマット上送信内容が定められている情報としては、各フレームで送信されるアルマナックの衛星数P3(1−4フレームでは5衛星、5フレームでは4衛星)や、アルマナックで送信される軌道情報の衛星番号nA(2ストリングごとに順番に設定されている)などがある。受信されたGLONASS衛星に応じて定まる情報としては、GLONASS衛星のスロット番号n(衛星軌道上の配置位置に応じて定められる番号)などがある。
【0041】
また、タイムマークを想定符号列に含めてもよい。タイムマークを同定する場合、この符号列は上述のように100Hzでの送信あって他の符号の倍の周波数であるので、GLONASS衛星からの航法メッセージに係る符号を同定する際には、例えば、初めから全ての符号を100Hz(10msec単位)で同定し、50Hzの部分については同一符号が2つずつ続くような形で想定してもよい。
【0042】
GPS衛星のパリティ符号列やGLONASS衛星のハミングコードについては、実際の受信データ(受信符号列)を用い、当該受信符号列の航法メッセージ内における位置を仮定することにより、各ビットを受信、同定するごとに算出して想定符号列に加えることができる。ただし、受信符号列自体の同定が不正確な場合には、パリティ符号列やハミングコードの値も当然に不正確となるので、各パリティ値やハミングコードの符号を算出して想定符号列に加えるのは、受信符号の誤同定の確率が十分に低くなる受信強度(C/N比)の場合に限られる。
【0043】
このように、想定可能な符号部分は断続的に存在するので、想定符号列の生成データとしては、各ビット位置について、想定可否を示す符号(想定可否判別フラグ)及び想定可能な部分についての想定された二値符号の2ビットが用いられる。そして、想定可能な部分についてのみ受信符号列の対応する位置と照合がなされる。
【0044】
受信した符号を同定するごとに、受信符号列を想定符号列に対して各相対位置関係(位相)で比較照合して相関をとると、両符号列が合致する相対位置で相関値(上述の同定確率など)が極大値を示す。また、GPS衛星から取得した航法メッセージについては、サブフレーム長に応じた6秒周期でTOW−Countの値が一つだけずれることで、当該6秒周期で相関値のピークが生じる。すなわち、サブフレーム長以上の幅の相対位置関係について取得された最大の相関値と2番目に大きい相関値とを比較すると、十分な精度でいずれが正しい一致タイミングであるかを判別することができなくなりやすい。
【0045】
一方、GLONASS衛星から取得した航法メッセージについては、フレーム長に応じた30秒周期で同様に時刻tkの値が一つずれて、30秒周期で相関値のピークが生じる。したがって、同様に、フレーム長以上の幅の相対位置関係について取得された最大の相関値と2番目に大きい相関値とを十分な精度で判別することができない。
【0046】
このように、各測位衛星単独では、確率的な条件が満たされずに正常な日時が決定されない場合がある。また、6秒周期以外でも、例えば、受信符号列に誤同定された符号が含まれ得る場合(受信強度がやや低い場合)、類似の符号列がサブフレーム内の異なる箇所に存在して十分な精度で判別できない場合や、計時回路48が計数する日時が想定を超えてずれていて、想定したサブフレーム周期を誤っている場合なども同様に、正しい一致タイミングが決定されにくい。本実施形態の電子時計1では、このような場合に、想定符号列の周期及び航法メッセージのフォーマット(様式)が異なるGPS衛星の航法メッセージに係る想定受信とGLONASS衛星の航法メッセージに係る想定受信とを組み合わせることで、一方でのみ相関値がやや高い合致タイミング(すなわち、正確な一致タイミングではない場合)の全体での相関値を大きく低下させて、正確な一致タイミングを同定する。
【0047】
GPS衛星からの受信符号列と想定符号列との合致タイミングの検出と、GLONASS衛星からの受信符号列と想定符号列との合致タイミングの検出との結果を統合する方法としては、ここでは、合致符号数を加算して全体の照合符号数に対する合致符号数の割合に基づいて、GPS衛星及びGLONASS衛星の両方について共通の一致タイミングであるか否かをまとめて判定する方法が用いられる。
【0048】
図4は、本実施形態の電子時計1で実行される日時修正制御処理のホスト制御部401(CPU41)による制御手順を示すフローチャートである。
この日時修正制御処理は、一日に一回以上の間隔で所定の条件(例えば、光量センサ631が所定の強度以上の入射光を検出した場合など)により定期的に起動され、又はユーザによる操作受付部61への所定の入力操作の検出に基づいて起動される。
【0049】
日時修正制御処理が開始されると、ホスト制御部401(CPU41)は、日時情報取得履歴情報431を参照して直近の修正日時を取得する(ステップS401)。ホスト制御部401は、直近の修正日時から計時回路48が計数する現在日時までの経過時間に基づいて、当該計時回路48が計数する日時の最大のずれ量を見積もる(ステップS402)。
【0050】
ホスト制御部401は、見積もられたずれ量が±15秒以内であるか(ずれの方向が特定できる場合には、当該ずれ方向に30秒以内。以下同様)否かを判別する(ステップS403)。±15秒以内であると判別された場合には(ステップS403で“YES”)、ホスト制御部401は、衛星電波受信処理部50に対し、予測受信取得の実行命令を出力する(ステップS404)。それから、ホスト制御部401の処理は、ステップS406に移行する。
【0051】
見積もられたずれ量が±15秒以内ではないと判別された場合には(ステップS403で“NO”)、ホスト制御部401は、衛星電波受信処理部50に部分受信取得の実行命令を出力する(ステップS405)。それから、ホスト制御部401の処理は、ステップS406に移行する。
なお、初回起動時やバッテリ切れ後の再起動時など日時情報取得履歴情報431に履歴データがない場合や、直近でユーザの手動動作により日時の修正が行われた場合などには、ホスト制御部401によりステップS405の処理で部分受信取得の代わりにフル受信取得が選択されて衛星電波受信処理部50に実行命令が出力される。
【0052】
ステップS406の処理に移行すると、ホスト制御部401は、衛星電波受信処理部50からの結果入力を待ち受け、日時取得に成功したか否かを判別する(ステップS406)。成功したと判別された場合には(ステップS406で“YES”)、ホスト制御部401は、計時回路48の計数する日時を修正する(ステップS407)。それから、ホスト制御部401の処理は、ステップS408に移行する。日時取得に成功しなかったと判別された場合には(ステップS406で“NO”)、ホスト制御部401の処理は、ステップS408に移行する。
【0053】
ステップS408の処理に移行すると、ホスト制御部401は、日時情報取得履歴情報431を更新する(ステップS408)。そして、ホスト制御部401は、日時修正制御処理を終了する。
【0054】
図5は、本実施形態の電子時計1の衛星電波受信処理部50で実行される衛星電波受信制御処理のモジュール制御部52による制御手順を示すフローチャートである。
【0055】
本発明の日時情報取得方法の日時同定ステップ(日時同定手段)の実施形態であるこの衛星電波受信制御処理は、上述の日時修正制御処理でホスト制御部401から予測受信取得を行う命令が入力された場合に起動される。ホスト制御部401は、この命令とともに、計時回路48が計数する日時をモジュール制御部52に送信する。
【0056】
衛星電波受信制御処理が開始されると、モジュール制御部52は、ホスト制御部401から計時回路48の計数日時のずれ量を取得する(ステップS101)。あるいは、モジュール制御部52は、ホスト制御部401から取得された、又は自身で保持する日時情報の取得履歴情報、すなわち、前回の日時取得時からの経過時間に基づいて計数日時のずれ量の推定値を算出する。
【0057】
モジュール制御部52は、ずれ量が±3秒以内であるか否かを判別する(ステップS102)。3秒以内であると判別された場合には(ステップS102で“YES”)、モジュール制御部52は、GPS衛星から受信されると想定される想定符号列を±3秒のずれを考慮した長さで生成する(ステップS113)。モジュール制御部52は、受信部51による受信動作を開始させ、GPS衛星からの電波の捕捉動作を行う(ステップS114)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS105に移行する。
【0058】
ずれ量が±3秒以内ではないと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、モジュール制御部52は、GPS衛星及びGLONASS衛星からそれぞれ受信されると想定される想定符号列を±15秒のずれを考慮した長さで生成する(ステップS103)。モジュール制御部52は、受信部51による受信動作を開始させ、GPS衛星及びGLONASS衛星からの電波の捕捉動作を行う(ステップS104)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS105に移行する。
【0059】
ステップS105の処理に移行すると、モジュール制御部52は、捕捉した測位衛星の電波信号を追尾し、復調された航法メッセージの受信符号を同定する(ステップS105)。モジュール制御部52は、1ビット符号が同定されるごとに、同定された受信符号を測位衛星ごとに予め定められた最大符号長までFIFO(First-In First-Out)で順に記憶させ、当該測位衛星について生成されている想定符号列と照合させる符号照合処理を行う(ステップS106)。
【0060】
モジュール制御部52は、基準精度以上で想定符号列と合致する受信符号列のタイミングが同定されたか否かを判別する(ステップS107)。同定されていないと判別された場合には(ステップS107で“NO”)、モジュール制御部52は、電波受信の開始からタイムアウト時間が経過したか否かを判別する(ステップS108)。経過していないと判別された場合には(ステップS108で“NO”)、モジュール制御部52は、想定符号列を更新し(ステップS109)、それから、処理をステップS105に戻す。なお、パリティ符号列やハミングコードを想定符号列に加えないなどで、1ビット単位で想定符号列を更新する必要がない場合には、必要な場合にのみ想定符号列を更新すればよい。
【0061】
タイムアウト時間が経過したと判別された場合には(ステップS108で“YES”)、モジュール制御部52の処理は、ステップS122に移行する。
【0062】
ステップS107の判別処理で想定符号列と合致する受信符号列のタイミングが同定されたと判別された場合には(ステップS107で“YES”)、モジュール制御部52は、想定符号列と合致タイミングとに基いて現在日時を確定する(ステップS121)。それから、モジュール制御部52の処理は、ステップS122に移行する。
【0063】
ステップS122の処理に移行すると、モジュール制御部52は、受信部51による受信動作を終了させる(ステップS122)。モジュール制御部52は、適切なタイミングでホスト制御部401に結果(現在日時の情報又は現在日時の取得が不成功であった通知)を出力する(ステップS123)。そして、モジュール制御部52は、衛星電波受信制御処理を終了する。
【0064】
図6は、衛星電波受信制御処理で呼び出される符号照合処理のモジュール制御部52による制御手順を示すフローチャートである。
【0065】
符号照合処理が呼び出されると、モジュール制御部52は、GPS衛星について同定された同定符号数N、GLONASS衛星について同定された同定符号数Mの各符号をそれぞれ想定符号列と想定誤差範囲内で相対位置rをずらしながら(相対位置関係を変更しながら)照合させる動作を行う(ステップS601)。なお、GPS衛星とGLONASS衛星とで捕捉タイミングが異なる場合などでは、同定符号数Mと同定符号数Nが異なっていてもよい。
【0066】
モジュール制御部52は、想定誤差範囲内の全ての相対位置rについて、GPS衛星の受信符号列と想定符号列との照合がなされた照合数Ncpと、GLONASS衛星の受信符号列と想定符号列とで照合がなされた照合数Mcpとを合算した合計照合数(Ncp+Mcp)が所定の下限数NM0以上であるか否かを判別する(ステップS602)。すなわち、モジュール制御部52は、照合対象とされる同定符号数N、Mに対し、飛び飛びに存在する想定可能符号と実際に照合された符号数の数が下限数NM0以上となったか否かを判別する。
【0067】
下限数NM0以上ではないと判別された場合には(ステップS602で“NO”)、モジュール制御部52は、符号照合処理を終了して処理を衛星電波受信制御処理に戻す。下限数NM0以上であると判別された場合には(ステップS602で“YES”)、モジュール制御部52は、照合された各相対位置について、合算された合致数F(合計合致符号数)のうち最も大きい最大合致数F1と、二番目に大きい次点合致数F2と、最大合致数F1が取得された相対位置r1を特定する(ステップS603)。
【0068】
モジュール制御部52は、最大合致数F1及び次点合致数F2が検出され得る確率を出現確率P1、P2として各々取得(ここでは、算出)する(ステップS604)。出現確率P1、P2の算出において、想定符号列と合致する確率と合致しない確率(誤同定確率)をいずれも1/2としてもよいし、受信電波強度やC/N比などに基づく誤同定確率を定めてもよい。
【0069】
モジュール制御部52は、出現確率の比P1/P2が基準比Pth未満であるか否かを判別する(ステップS605)。基準比Pth未満ではないと判別された場合には(ステップS605で“NO”)、モジュール制御部52は、符号照合処理を終了して処理を衛星電波受信制御処理に戻す。基準比Pth未満であると判別された場合には(ステップS605で“YES”)、モジュール制御部52は、最大合致数F1の相対位置r1を一致タイミングであるとして同定し(ステップS606)、処理を衛星電波受信制御処理に戻す。
【0070】
図7は、符号照合処理のモジュール制御部52による制御手順の他の例を示すフローチャートである。
上記実施形態の符号照合処理では、GPS衛星から取得された符号の合致数、出現確率及び合致した相対位置と、GLONASS衛星から取得された符号の合致数、出現確率及び合致した相対位置を加算して処理することとしたが、この他の例の符号照合処理では、各々別個に取り扱う。
【0071】
ステップS601の処理において同定符号数N、Mの符号がそれぞれ想定符号列の符号と各相対位置rで照合されると、モジュール制御部52は、GPS衛星からの受信符号列のうちの各相対位置rにおける照合数Ncpがいずれも下限数N0以上であり、かつGLONASS衛星からの受信符号列のうち各相対位置rにおける照合数Mcpがいずれも下限数M0以上であるか否かを判別する(ステップS602a)。下限数N0、M0は、それぞれ上述の下限数NM0と等しく定めることができる。
【0072】
照合数Ncp、Mcpのうちいずれかが下限数以上ではないと判別された場合には(ステップS602aで“NO”)、モジュール制御部52は、符号照合処理を終了して処理を衛星電波受信制御処理に戻す。全て下限数以上であると判別された場合には(ステップS602aで“YES”)、モジュール制御部52は、GPS衛星からの受信符号列に係る各相対位置rでの照合による合致数のうち最大合致数F1N(第1の合致符号数)、その出現相対位置r1N及び次点合致数F2N、並びにGLONASS衛星からの受信符号列に係る各相対位置rでの照合による合致数のうち最大合致数F1M(第2の合致符号数)、その出現相対位置r1M及び次点合致数F2Mをそれぞれ特定する(ステップS603a)。
【0073】
モジュール制御部52は、相対位置r1Nと相対位置r1Mとが等しい、すなわち、同一タイミングの受信であるか否かを判別する(ステップS611)。なお、現在位置と測位衛星との相対距離の違いによっては、受信タイミングに符号一つ分(50msec)程度のずれが生じる場合があるので、±1符号のずれまでは許容することとしてもよい。同一タイミングではないと判別された場合には(ステップS611で“NO”)、モジュール制御部52は、符号照合処理を終了して処理を衛星電波受信制御処理に戻す。
【0074】
同一タイミングであると判別された場合には(ステップS611で“YES”)、モジュール制御部52は、各最大合致数F1N、F1M及び次点合致数F2N、F2Mの出現確率P1N、P1M、P2N、P2Mを各々取得(算出)する(ステップS604a)。モジュール制御部52は、GPS衛星の受信符号列についての出現確率の比P1N/P2Nが基準比Pth未満であり、かつGLONASS衛星の受信符号列についての出現確率の比P1M/P2Mが基準比Pth未満であるか否かを判別する(ステップS605a)。
【0075】
少なくともいずれかの出現確率の比が基準比Pth未満ではないと判別された場合には(ステップS605aで“NO”)、モジュール制御部52は、符号照合処理を終了して処理を衛星電波受信制御処理に戻す。いずれの出現確率の比も基準比Pth未満であると判別された場合には(ステップS605aで“YES”)、モジュール制御部52は、最大合致数F1N、F1Mの出現相対位置r1N(r1M)を一致タイミングとして同定する(ステップS606a)。なお、上述のように相対位置r1Nと相対位置r1Mに±1符号などのずれを許容した場合、いずれか一方、例えば、GPS衛星からの受信符号列に係る相対位置r1Nや、照合数Ncp、Mcpのうち多いほうに係る相対位置など、いずれを優先するかの判断基準を予め定めておけばよい。そして、モジュール制御部52は、符号照合処理を終了して処理を衛星電波受信制御処理に戻す。
【0076】
以上のように、本実施形態の電子時計1は、測位衛星からの電波を受信する受信部51と、現在の日時を計数する計時回路48と、ホスト制御部401及びモジュール制御部52(まとめて制御部)と、を備える。受信部51は、GPS衛星(第1の測位衛星)からの信号を含む送信電波と、GPS衛星からの信号とは異なる様式(フォーマット)で情報が送信されるGLONASS衛星(第2の測位衛星)からの信号を含む送信電波と、を受信可能であり、制御部は、計時回路48が計数する日時に基づいて、GPS衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及びGLONASS衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する。
このように、異なる様式で日時が送信される2衛星からの航法メッセージについて、各々想定符号列を生成して受信符号列と照合することで、一方の符号列について受信強度が不足したり類似符号列が存在したりして十分な精度が得られない場合や、最大見積もりずれ量よりも実際のずれ量が大きく一方の符号列を誤同定する可能性がある場合などに、十分な精度で正確に両方の測位衛星について符号列の合致位置が得られたか否かを同定可能となる。したがって、この電子時計1では、より効率良く確実に正確な日時を取得することができる。特に、同一の測位システムに係る複数の測位衛星からの受信符号列を想定符号列と比較する場合と比較して、効率良く精度の向上や誤同定の判別を行うことができる。
【0077】
また、制御部は、計時回路48が計数する日時の最大見積もりずれ量に応じた符号長の第1の想定符号列及び第2の想定符号列を生成し、受信部51による受信符号列に対して第1の想定符号列及び第2の想定符号列の相対位置関係を最大見積もりずれ量の範囲内でそれぞれ変更しながら照合して、第1の想定符号列及び第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングを特定する。
このように、通常想定されるずれ量の見積もり幅の範囲でそれぞれ想定符号列を生成することで、必要以上にメモリ量や照合処理の量を増やすことなく、一方で、複数種類の符号列について各々照合を行うことで、誤同定の可能性を十分に低減することができる。すなわち、効率良く日時の同定精度を向上させることができる。
【0078】
また、受信対象とされるGPS衛星からの信号とGLONASS衛星からの信号とでは、日時情報の送信周期が異なる。
このように、異なる周期で日時情報が送信されている測位衛星から取得された受信符号列を組み合わせて照合を行うことで、周期ずれによる誤同定の可能性を低減させ、正確な周期内の正確なタイミングをより確実に同定することが可能となる。これにより、想定符号列の生成や照合に係る処理の効率化と日時情報の精度向上を両立させることができる。
【0079】
また、GPS衛星からの信号における日時情報の送信に係る第1の周期(サブフレーム周期6秒)は、GLONASS衛星からの信号における日時情報の送信に係る第2の周期(フレーム周期15秒)よりも短く、制御部は、計時回路48が計数する日時の最大見積もりずれ量が第1の周期に応じた基準幅から外れている場合には、第1の想定符号列及び第2の想定符号列を生成し、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波及び第2の測位衛星からの信号を含む送信電波を受信して、現在日時を同定する。
このように、GPS衛星から受信される航法メッセージのサブフレーム周期と比較して十分に計時回路48の計数する日時の精度が高いと想定される場合には、GLONASS衛星からの電波の受信及び想定符号列との照合を省略してメモリ使用量や照合に係る負荷を低減させることができる。一方で、計時回路48の計数する日時の精度が十分ではない場合に、上述のようにGPS衛星とGLONASS衛星の両方からの電波を受信して受信符号列を同定し、各々想定符号列と比較することで、合致タイミングが検出されずに時間を浪費するといった可能性を十分に低減させ、十分な精度で効率良く日時の同定を行うことができる。
【0080】
また、最大見積もりずれ量は、前回日時情報が取得されてからの経過時間に基づいて求められる。電子時計1で多く用いられる水晶発振子のずれ量は、この経過時間に依存する割合が大きいので、このように経過時間に比例して定めることで最大のずれ量を容易かつほぼ確実に見積もることができる。これにより、想定符号列と受信符号列が一致せずに現在日時が同定できない可能性を容易に十分低減させることができる。
【0081】
また、制御部は、GPS衛星からの受信符号列と第1の想定符号列とを各相対位置関係で照合して各々得られた第1の合致符号数、及びGLONASS衛星からの受信符号列と第2の想定符号列とを各相対位置関係で照合して各々得られた第2の合致符号数を相対位置関係ごとに合算し、当該相対位置関係ごとの合計の照合符号数と、合算して得られた合計合致符号数とに基づいて、第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列が受信されたタイミングを検出する。
このように、異なるフォーマットの符号列についての合致結果を単純加算して最適な符号列を同定することで、容易かつ確実に誤同定を避け、正確な現在日時を同定することができる。
【0082】
また、制御部は、受信部51により受信されて同定された符号に基づいて、第1の想定符号列及び第2の想定符号列のうち一部を生成する。すなわち、パリティ値やハミングコードなど、日時情報の送信周期と比較して更に短時間周期で送信された符号列から算出され、出力される符号列や、測位衛星の軌道情報など、一度受信していればその有効期間の間同一の符号列が引き続き繰り返し送信される符号列については、パリティ値の算出に必要な符号列の受信後や、有効期間内の符号列の受信後に、それぞれ想定符号列として利用することができる。このように、想定符号列の符号数を増やすことで、より効率良く短時間で合致タイミングを同定し、正確な現在日時を取得することが可能になる。
【0083】
また、本実施形態の日時情報取得方法は、計時回路48が計数する日時に基づいて、GPS衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及びGLONASS衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、第1の想定符号列及び第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定ステップを含む。
このような日時情報取得方法では、十分な精度で正確に両方の測位衛星について符号列の合致位置が得られたか否かを同定することで、一方の測位衛星からの電波受信強度や受信された符号列などにより生じ得る誤同定や同定困難などの状況の発生を十分に低減させ、効率良く確実に正確な日時を取得することができる。特に、同一の測位システムに係る複数の測位衛星からの受信符号列を想定符号列と比較する場合と比較して、効率良く精度の向上や誤同定の判別を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態のプログラム641(衛星電波受信制御処理)では、コンピュータ(制御部)を、計時回路48が計数する日時に基づいて、GPS衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及びGLONASS衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、第1の想定符号列及び第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定手段として機能させる。
このようなプログラムをインストールしてCPUに実行させることで、容易かつ確実に誤同定や同定困難な状況の発生を低減させ、効率良く正確な現在日時の取得を行うことができる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、計数日時に見積もられる最大ずれ量が±3秒以上か否かによってGLONASS衛星の電波を受信して想定符号列との照合を行うか否かを定めたが、±3秒以上か否かにかかわらずGLONASS衛星の電波を受信して想定符号列との照合を行うこととしてもよい。
【0086】
また、生成される想定符号列の長さは、±3秒又は±15秒のずれ量に応じた長さに限られず、見積もられた最大ずれ量の大きさや、想定符号列の先頭位置から確率演算に必要な照合可能符号数が確実に含まれる長さなどに応じて可変に定められ得る。
【0087】
また、上記実施の形態では、日時取得可能な構成を衛星電波受信処理部50のみであるとして説明したが、他の構成、例えば、長波長帯で日時情報を含む電波(タイムコード)を送信する標準電波や、近接無線通信、例えば、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの受信による正確な日時の取得を併用してもよい。この場合、日時の最大ずれ量の見積もり値は、直近でこれらいずれかの方法により正確な日時が取得されて計時回路48の計数する日時が修正されてからの経過時間に基づいて求められればよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、GPS衛星からの電波受信とGLONASS衛星からの電波受信とを組み合わせる場合を例に挙げて説明したが、異なる様式(フォーマット)の航法メッセージの組み合わせであればこれに限られない。2種類の測位衛星からの信号は、日時情報の送信周期が等しいものであってもよい。
【0089】
また、以上の説明では、現在日時情報の取得時における本発明の衛星電波受信制御に係るプログラム641を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性メモリやマスクROMなどからなるROM64を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROMやDVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した構成、制御手順や表示例などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0091】
[付記]
<請求項1>
測位衛星からの電波を受信する受信部と、
現在の日時を計数する計時部と、
制御部と、
を備え、
前記受信部は、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波と、当該第1の測位衛星からの信号とは異なる様式で情報が送信される第2の測位衛星からの信号を含む送信電波と、を受信可能であり、
前記制御部は、前記計時部が計数する日時に基づいて、前記第1の測位衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及び前記第2の測位衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する
ことを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記制御部は、
前記計時部が計数する日時の最大見積もりずれ量に応じた符号長の前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列を生成し、
前記受信部による受信符号列に対して前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列の相対位置関係を前記最大見積もりずれ量の範囲内でそれぞれ変更しながら照合して、前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングを特定する
ことを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項3>
前記第1の測位衛星からの信号と前記第2の測位衛星からの信号とでは、日時情報の送信周期が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の電子時計。
<請求項4>
前記第1の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第1の周期は、前記第2の測位衛星からの信号における日時情報の送信に係る第2の周期よりも短く、
前記制御部は、前記計時部が計数する日時の最大見積もりずれ量が前記第1の周期に応じた基準幅から外れている場合には、前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列を生成し、前記第1の測位衛星からの信号を含む送信電波及び前記第2の測位衛星からの信号を含む送信電波を受信して、前記現在日時を同定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項5>
前記最大見積もりずれ量は、前回日時情報が取得されてからの経過時間に基づいて求められることを特徴とする請求項2又は4記載の電子時計。
<請求項6>
前記制御部は、前記第1の測位衛星からの受信符号列と前記第1の想定符号列とを各相対位置関係で照合して各々得られた第1の合致符号数、及び第2の測位衛星からの受信符号列と前記第2の想定符号列とを各相対位置関係で照合して各々得られた第2の合致符号数を前記相対位置関係ごとに合算し、当該相対位置関係ごとの合計の照合符号数と、前記合算して得られた合計合致符号数とに基づいて、前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列が受信されたタイミングを検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項7>
前記制御部は、前記受信部により受信されて同定された符号に基づいて、前記第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のうち一部を生成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項8>
測位衛星からの電波を受信する受信部と、現在の日時を計数する計時部と、を備え、前記受信部は、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波と、当該第1の測位衛星からの信号とは異なる様式で情報が送信される第2の測位衛星からの信号を含む送信電波と、を受信可能な電子時計の日時情報取得方法であって、
前記計時部が計数する日時に基づいて、前記第1の測位衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及び前記第2の測位衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定ステップ
を含むことを特徴とする日時情報取得方法。
<請求項9>
測位衛星からの電波を受信する受信部と、現在の日時を計数する計時部と、を備え、前記受信部は、第1の測位衛星からの信号を含む送信電波と、当該第1の測位衛星からの信号とは異なる様式で情報が送信される第2の測位衛星からの信号を含む送信電波と、を受信可能な電子時計のコンピュータを、
前記計時部が計数する日時に基づいて、前記第1の測位衛星からの受信が想定される第1の想定符号列及び前記第2の測位衛星からの受信が想定される第2の想定符号列を生成し、当該第1の想定符号列及び前記第2の想定符号列のそれぞれ少なくとも一部が受信されたタイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0092】
1 電子時計
40 マイコン
401 ホスト制御部
41 CPU
43 RAM
431 日時情報取得履歴情報
432 地方時設定
46 発振回路
47 分周回路
48 計時回路
50 衛星電波受信処理部
51 受信部
52 モジュール制御部
53 記憶部
531 受信制御情報
61 操作受付部
62 表示部
621 表示画面
622 表示ドライバ
63 計測部
631 光量センサ
64 ROM
641 プログラム
70 電力供給部
A1 アンテナ
F 合致数
F1、F1M、F1N 最大合致数
F2、F2M、F2N 次点合致数
M、N 同定符号数
M0、N0、NM0 下限数
Mcp、Ncp 照合数
P1、P1M、P1N 出現確率
Pth 基準比
r、r1、r1M、r1N 相対位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7