(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1.ウエブ搬送装置を備えるウエブ乾燥装置の概略構成)
本発明のウエブ搬送装置の実施の形態を備えるウエブ乾燥装置の概略構成を
図1及び
図2を参照して説明する。このウエブ乾燥装置1は、例えば、リチウムイオンキャパシタの電極を製造するシステムに組み込まれ、ウエブWとして金属箔を搬送しつつウエブWの一面Waに塗工される塗工材としてスラリー状の電極材を乾燥する。
【0012】
ここで、例えば、リチウムイオンキャパシタの正極の金属箔としては、アルミニウム箔等が用いられ、負極の金属箔としては、銅箔等が用いられる。そして、リチウムイオンキャパシタの正極の電極材としては、活性炭等が用いられ、負極の電極材としては、黒鉛等が用いられる。
【0013】
ウエブ乾燥装置1は、ウエブ搬送装置10と、熱風発生装置5と、乾燥室6等とを備える。そして、ウエブ搬送装置10は、箔支持部材2と、通箔部材3と、移動機構4等とを備える。箔支持部材2は、ウエブWを曲折させて搬送するウエブ搬送経路K(
図1に示す一点鎖線の矢印)を形成するために、ウエブWの搬送方向に間隔をあけて複数配置され、搬送されるウエブWの面を支持する。
【0014】
通箔部材3は、ウエブWの先端をウエブWの搬送方向下流側に引っ張ることにより、複数の箔支持部材2で形成されるウエブ搬送経路Kの始点側(
図1に示す乾燥室6の上方左側に設けられる搬送入口61)から終点側(
図1に示す乾燥室6の下方右側に設けられる搬送出口62)にウエブWを通す。
【0015】
移動機構4は、通箔部材3を乾燥室6の搬送入口61から搬送出口62に移動させる。熱風発生装置5は、ウエブWの一面Waに塗工された塗工材を乾燥するために、ウエブWの一面Waに向けて熱風を噴出する。乾燥室6は、中空箱状に形成され、箔支持部材2、通箔部材3、移動機構4及び熱風発生装置5を内包する。
【0016】
さらに詳細に説明すると、箔支持部材2は、外周面でウエブWの面を支持する複数(本例では、8つ)の円筒状の第一乃至第八ローラ211−218と、各ローラ211−218の中心孔に挿入されるローラ軸22と、乾燥室6の内壁に設けられる図略の軸受を内蔵したブラケット23とを備える。
【0017】
第一乃至第五、第七、第八ローラ211−215,217,218は、ローラ軸22に対し自由回転可能に支持される。そして、各ローラ211−215,217,218に挿入されるローラ軸22は、ローラ軸22の両端がブラケット23に対し軸受を介して自由回転可能に支持される。
【0018】
第六ローラ216は、ローラ軸22に対し自由回転可能に支持される。そして、第六ローラ216に挿入されるローラ軸22は、ローラ軸22の一端がブラケット23に対し軸受を介して自由回転可能に支持され、ローラ軸22の他端が駆動モータ24のモータ軸に連結される。
【0019】
第一乃至第八ローラ211−218は、
図1に示す搬送するウエブWの面に平行であってウエブWの搬送方向と直角な方向から見たときに、ウエブ搬送経路Kが逆S字状になるように配置される。すなわち、第一ローラ211は、乾燥室6の搬送入口61の近傍に配置される。第二ローラ212は、搬送入口61に近い乾燥室6の手前側(図示左側)の位置であって第一ローラ211に対し水平に配置される。第三ローラ213は、乾燥室6の奥側(図示右側)の位置であって第二ローラ212に対し水平に配置される。
【0020】
第四ローラ214は、乾燥室6の手前側(図示左側)の位置であって第三ローラ213に対し一段下がった位置、すなわち第三ローラ213の下側周面で反転されるウエブWを第四ローラ214の上側周面で受けることが可能となるように配置される。第五ローラ215は、第四ローラ214に対し直下の位置に配置される。
【0021】
第六ローラ216は、乾燥室6の搬送出口62の近傍であって第五ローラ215に対し一段下がった位置、すなわち第五ローラ215の下側周面で反転されるウエブWを第六ローラ216の上側周面で受けることが可能となるように配置される。
【0022】
第七ローラ217は、乾燥室6の手前側(図示左側)の位置であって第六ローラ216に対し水平且つ第二ローラ212に対し下方に配置される。そして、第七ローラ217と第一ローラ211の間には、後述する第一通箔用ベルト43及び第二通箔用ベルト44にテンションを掛ける第八ローラ218が配置される。
【0023】
移動機構4は、複数(本例では、8つ)の第一通箔用プーリ41及び複数(本例では、8つ)の第二通箔用プーリ42と、無限軌道の第一通箔用ベルト43及び無限軌道の第二通箔用ベルト44を備える。第一通箔用プーリ41は、第一乃至第八ローラ211−218の一端面側に配置され、ローラ軸22に一体的に嵌入される。
【0024】
第二通箔用プーリ42は、第一乃至第八ローラ211−218の他端面側に配置され、ローラ軸22に一体的に嵌入される。そして、第一ローラ211の一端面側においてローラ軸22に支持される第一通箔用プーリ41には、第一通箔用プーリ41を手動で回転可能なように、図略のハンドルが設けられる。
【0025】
図3に示すように、第一通箔用プーリ41には、両端面側の周縁にフランジ41a,41bがそれぞれ設けられる。第二通箔用プーリ42にも、両端面側の周縁にフランジ42a,42bがそれぞれ設けられる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、第一通箔用ベルト43は、第一乃至第八ローラ211−218の一端面側にそれぞれ配置される第一通箔用プーリ41間に架け渡され、第一通箔用プーリ41の両端面側の周縁に形成されるフランジ41a,41b間の溝41c(
図3参照)にそれぞれ嵌め込まれる。
【0027】
第二通箔用ベルト44は、第一乃至第八ローラ211−218の他端面側にそれぞれ配置される第二通箔用プーリ42間に架け渡され、第二通箔用プーリ42の両端面側の周縁に形成されるフランジ42a,42b間の溝42c(
図3参照)にそれぞれ嵌め込まれる。第一通箔用ベルト43及び第二通箔用ベルト44は、電極に悪影響を及ぼす金属異物が出ないように且つ乾燥熱に耐えられる樹脂で形成される。
【0028】
通箔部材3は、短冊状(長方形板状)に形成される。
図3に示すように、通箔部材3の長さL1は、例えば第一ローラ211(他のローラの場合も同様)の一端面側に配置される第一通箔用プーリ41の外側に位置するフランジ41aの外縁と、第一ローラ211の他端面側に配置される第二通箔用プーリ42の外側に位置するフランジ42bの外縁との間の長さL2(以下、単に「外側フランジ41a,42bの外縁間の長さL2」という)より長くなるように形成される。この理由については後述する。
【0029】
このような通箔部材3は、第一通箔用ベルト43及び第二通箔用ベルト44の間に搬送方向と略直角な方向に架け渡される。そして、通箔部材3の両端部が、第一ローラ211の一端面側に配置される第一通箔用プーリ41の外側に位置するフランジ41aと、第一ローラ211の他端面側に配置される第二通箔用プーリ42の外側に位置するフランジ42bとに対向するように配置され、第一通箔用ベルト43及び第二通箔用ベルト44にそれぞれ固定される。そして、通箔部材3には、ウエブWの先端が貼着される。通箔部材3は、電極に悪影響を及ぼす金属異物が出ないように且つ乾燥熱に耐えられる樹脂で形成される。
【0030】
熱風発生装置5には、ファン及びヒータ(ともに図略)が内蔵されており、発生した熱風を噴出するノズル口51が設けられる。複数台の熱風発生装置5は、搬送されるウエブWの一面Waに対し上方向もしくは下方向から熱風を噴き付け、ウエブWの一面Waに塗工される塗工材を乾燥可能なように、乾燥室6内においてウエブ搬送経路Kに沿って配列される。そして、各熱風発生装置5は、乾燥室6の内壁に片持ちで支持される。
【0031】
以上のように、ウエブ搬送装置10では、通箔部材3でウエブWをウエブWの搬送方向下流側に搬送し、曲折しているウエブ搬送経路KにウエブWを通す。つまり、通箔部材3は、ウエブWの先端をウエブWの搬送方向下流側に引っ張りつつ、曲折しているウエブ搬送経路KにウエブWを通す。これにより、重畳するウエブ搬送経路Kの間隔が狭くても、人手でウエブWを挿通させる必要はなく、乾燥室6の搬送入口61から搬送出口62までウエブWを容易に挿通できる。
【0032】
また、通箔部材3は、第一通箔用ベルト43及び第二通箔用ベルト44にそれぞれ固定されて移動するので、通箔部材3に貼着されるウエブWを乾燥室6の搬送入口61から搬送出口62まで確実に挿通できる。よって、ウエブWの生産時間を大幅に短縮できる。
【0033】
(2.ウエブの搬送状態)
本実施形態のウエブ搬送装置10は、ウエブ搬送経路Kが逆S字状であって当該逆S字によって重畳するウエブ搬送経路Kの間隔が狭小の構成であるが、人手でウエブWをウエブ搬送経路Kに挿通させる必要がない。
【0034】
すなわち、作業者は、通箔部材3にウエブWの先端を貼着し、第一ローラ211の第一通箔用プーリ41に設けられているハンドルを手動で回転させることにより、乾燥室6の搬送入口61から搬送出口62までウエブWを曲折させて挿通させることができる。
【0035】
上述のように、この通箔部材3は、通箔部材3の長さL1が、外側フランジ41a,42bの外縁間の長さL2より長くなるように形成される(
図3参照)。この理由は、
図9に示すように、通箔部材3Aの長さL1Aが、外側フランジ41a,42bの外縁間の長さL2より短くなるように通箔部材3Aを形成すると、以下の問題が発生するからである。
【0036】
すなわち、
図9に示すように、通箔部材3Aが、例えば第三ローラ213の第一、第二通箔用プーリ41,42の外周面を通過する場合、第一、第二通箔用ベルト43,44は、第一、第二通箔用プーリ41,42の溝41c,42c内に嵌り込んでいる。このため、通箔部材3Aは、第一、第二通箔用ベルト43,44の外周に固定された状態にあるので、第一、第二通箔用プーリ41,42の外周に沿ってスムーズに移動する。
【0037】
ところが、
図10に示すように、通箔部材3Aが、例えば第四ローラ214の第一、第二通箔用プーリ41,42の外周面を通過する場合、通箔部材3Aと第一、第二通箔用ベルト43,44の位置が反転する。このため、第一、第二通箔用ベルト43,44は、第一、第二通箔用プーリ41,42の溝41c,42c内から外れた状態になり、通箔部材3Aの両端部は、第一、第二通箔用プーリ41,42の溝41c,42cに対し浮いた状態になる。
【0038】
この状態では、第一、第二通箔用ベルト43,44には、回転方向の引張力が掛かるので、通箔部材3Aの両端部には、第一、第二通箔用プーリ41,42の中心に向かう力が働く。そして、通箔部材3Aの両端部は、片持ち梁の状態にあるので、第一、第二通箔用プーリ41,42の中心に向かって溝41c,42c内で撓む。
【0039】
そして、通箔部材3Aの両端部に掛かる力が不均衡になった場合は、
図11に示すように、通箔部材3Aに第一、第二通箔用プーリ41,42の回転軸線方向の力が掛かり、第一、第二通箔用ベルト43,44が第一、第二通箔用プーリ41,42から脱落するおそれがある。
【0040】
一方、
図6に示すように、本実施形態の通箔部材3が、例えば第三ローラ213の第一、第二通箔用プーリ41,42の外周面を通過する場合、第一、第二通箔用ベルト43,44は、第一、第二通箔用プーリ41,42の溝41c,42c内に嵌り込み、通箔部材3の両端部は、第一、第二通箔用ベルト43,44の外周にそれぞれ固定され且つ第一、第二通箔用プーリ41,42のフランジ41a,41b、42a,42bにそれぞれ支持された状態にある。よって、通箔部材3は、第一、第二通箔用プーリ41,42の外周に沿ってスムーズに移動する。
【0041】
そして、
図7及び
図8に示すように、通箔部材3が、例えば第四ローラ214の第一、第二通箔用プーリ41,42の外周面を通過する場合、通箔部材3と第一、第二通箔用ベルト43,44の位置が反転し、第一、第二通箔用ベルト43,44は、第一、第二通箔用プーリ41,42の溝41c,42c内から外れた状態になる。
【0042】
しかし、
図7に示すように、通箔部材3の両端部は、第一、第二通箔用プーリ41,42のフランジ41a,41b、42a,42bにそれぞれ支持された状態にあるので、第一、第二通箔用ベルト43,44に回転方向の引張力が掛かっても、通箔部材3の両端部の撓みは上述の通箔部材3Aと比較して小さい。
【0043】
さらに、
図8に示すように、第一、第二通箔用ベルト43,44における通箔部材3の固定部分からずれた部分は、第一、第二通箔用プーリ41,42の溝41c,42c内に嵌り込んでいる。よって、通箔部材3の両端部に掛かる力が不均衡になっても、第一、第二通箔用ベルト43,44が第一、第二通箔用プーリ41,42から脱落するおそれはない。よって、通箔部材3は、第一、第二通箔用プーリ41,42の外周に沿ってスムーズに移動する。
【0044】
なお、通箔部材3は、通箔部材3の両端部に力が掛かって撓んだときに、通箔部材3の両端部が第一、第二通箔用プーリ41,42の溝41c,42c内に落ち込まないように形成する必要がある。そのため、通箔部材3は、上記落ち込みが発生しない撓みに抑えられる剛性を有する樹脂材料で形成する。また、通箔部材3の剛性が十分に取れない場合は、上記撓みとの兼ね合いで、通箔部材3の長さL1が、外側フランジ41a,42bの外縁間の長さL2より十分長くなるように形成する。
【0045】
また、上述の第一、第二通箔用プーリ41,42は、両端面側の周縁にフランジ41a,41b,42a,42bがそれぞれ設けられる構成としたが、
図12に示すように、一端面側の周縁にのみフランジ45a,46bがそれぞれ設けられる第一、第二通箔用プーリ45,46としてもよい。この場合、通箔部材3は、第一、第二通箔用プーリ45,46からの第一、第二通箔用ベルト43,44の脱落を防止するため、第一、第二通箔用プーリ45,46は、フランジ45a,46bが外側を向いてローラ軸22に支持されるように配置する。
【0046】
(3.ウエブ乾燥装置の動作)
ウエブ乾燥装置1は、作業者によるウエブWの搬送準備作業が行われた後、ウエブWの乾燥処理を行う。そこで、先ず、作業者によるウエブWの搬送準備作業について
図4のフローチャートを参照して説明し、次に、ウエブ乾燥装置1の乾燥動作について
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
なお、ウエブ乾燥装置1は、熱風発生装置5のファン及びヒータをオンにして熱風を噴出し、乾燥室6内の温度を所定温度に維持しているものとする。また、ウエブWの一面Waには、図略の塗工装置で塗工材が塗工されているものとする。
【0048】
作業者は、第一ローラ211の第一通箔用プーリ41に設けられているハンドルを回転させ(
図4のステップS1)、通箔部材3を搬送入口61にある第一ローラ211の上外周面の位置まで移動させ(
図4のステップS2)、ウエブWの先端を通箔部材3に貼着する(
図4のステップS3)。
【0049】
そして、ハンドルを回転させて第一、第二通箔用ベルト43,44を回転させ(
図4のステップS4)、ウエブWを第二ローラ212から第三、第四、第五ローラ213,214,215を経由して搬送出口62にある第六ローラ216に向けて搬送する(
図4のステップS5)。
【0050】
このとき、第四、第五ローラ214,215においては、第一、第二通箔用ベルト43,44は第一、第二通箔用プーリ41,42から外れることはなく、ウエブWをスムーズに搬送できる。そして、通箔部材3が搬送出口62にある第六ローラ216の上外周面の位置まで移動したか否かを判断し(
図4のステップS6)、通箔部材3が第六ローラ216の上外周面の位置まで移動していないときは、ステップS4に戻って上述の処理を繰り返す。一方、通箔部材3が第六ローラ216の上外周面の位置まで移動したきは、ウエブWの先端を通箔部材3から剥離し(
図4のステップS7)、搬送準備作業を終了する。
【0051】
次に、ウエブ乾燥装置1は、駆動モータ24をオンにして第六ローラ216の第一、第二通箔用プーリ41,42を回転させ(
図5のステップS11)、第一、第二通箔用ベルト43,44を回転させてウエブWを搬送する(
図5のステップS12)。そして、現ウエブWの乾燥が完了したか否かを判断し(
図5のステップS13)、現ウエブWの乾燥が完了したときは、駆動モータ24をオフにして第六ローラ216の第一、第二通箔用プーリ41,42の回転を停止させ(
図5のステップS14)、全ての処理を終了する。
【0052】
(4.ウエブ搬送装置の変形例)
ウエブ搬送装置の変形例について、
図2及び
図3と対応させて示す
図13及び
図14を参照して説明する。なお、変形例のウエブ搬送装置7を備えるウエブ乾燥装置1を、ウエブWの面に平行であってウエブWの搬送方向と直角な方向から見た構成は、
図1と同様であるため省略する。そして、
図13及び
図14において、
図2及び
図3と同一構成部材は同一番号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
【0053】
図13に示すように、変形例のウエブ搬送装置7は、通箔部材3と、移動機構8等とを備える。すなわち、変形例のウエブ搬送装置7は、
図2に示す第一乃至第八ローラ211−218を有する箔支持部材2を備えていない。そして、移動機構8は、複数(本例では、8つ)の第一箔支持用プーリ81及び複数(本例では、8つ)の第二箔支持用プーリ82と、無限軌道の第一箔支持用ベルト83及び無限軌道の第二箔支持用ベルト84を備える。
【0054】
第一、第二箔支持用プーリ81,82は、
図2に示す第一、第二通箔用プーリ41,42と同一位置に配置されている。すなわち、第一箔支持用プーリ81及び第二箔支持用プーリ82は、同軸上に配置され、第一、第二箔支持用プーリ81,82に嵌入されるプーリ軸85の片端が、ブラケット23に対し図略の軸受を介して自由回転可能に支持される。
【0055】
図14に示すように、第一箔支持用プーリ81には、両端面側の周縁にフランジ81a,81bがそれぞれ設けられる。第二箔支持用プーリ82にも、両端面側の周縁にフランジ82a,82bがそれぞれ設けられる。
【0056】
図13及び
図14に示すように、第一箔支持用ベルト83は、第一箔支持用プーリ81間に架け渡され、第一箔支持用プーリ81の両端面側の周縁に形成されるフランジ81a,81b間の溝81cにそれぞれ嵌め込まれる。第二箔支持用ベルト84は、第二箔支持用プーリ82間に架け渡され、第二箔支持用プーリ82の両端面側の周縁に形成されるフランジ82a,82b間の溝82cにそれぞれ嵌め込まれる。
【0057】
第一箔支持用ベルト83及び第二箔支持用ベルト84は、ベルト面でウエブWの面を支持する機能、すなわち
図2に示す第一乃至第八ローラ211−218を有する箔支持部材2の機能を兼ね備えている。第一箔支持用ベルト83及び第二箔支持用ベルト84は、電極に悪影響を及ぼす金属異物が出ないように且つ乾燥熱に耐えられる樹脂で形成される。
【0058】
図14に示すように、ウエブ搬送装置7では、ウエブWの幅B(搬送方向と直角な方向の長さ)が、第一、第二箔支持用プーリ81,82の対向するフランジ81b,82aの周縁同士の間隔L3よりも小さい場合は、ウエブWが搬送中に反転したときに落下するおそれがある。
【0059】
しかし、ウエブWの幅B(搬送方向と直角な方向の長さ)が、第一、第二箔支持用プーリ81,82の対向するフランジ81b,82aの周縁同士の間隔L3よりも大きい場合は、ウエブWの面は、第一乃至第八ローラ211−218が無くても、第一、第二箔支持用プーリ81,82のフランジ81b,82aで支持されるためスムーズに搬送できる。これにより、ローラ211−218分の低コスト化を図ることができる。
【0060】
また、第一、第二箔支持用プーリ81,82は、両端面側の周縁にフランジ81a,81b,82a,82bがそれぞれ設けられる構成としたが、
図15に示すように、一端面側の周縁にのみフランジ86a,87bがそれぞれ設けられる第一、第二箔支持用プーリ86,87としてもよい。
【0061】
この場合、第一、第二箔支持用プーリ86,87からの第一、第二箔支持用ベルト83,84の脱落を防止するため、第一、第二箔支持用プーリ86,87は、フランジ86a,87bが外側を向いてプーリ軸85に支持されるように配置する。この構成で搬送可能なウエブWの幅B(搬送方向と直角な方向の長さ)は、第一、第二箔支持用プーリ86,87のフランジ86a,87bの周縁同士の間隔L4よりも大きい必要がある。
【0062】
また、第一、第二箔支持用プーリ81,82には、第一、第二箔支持用ベルト83,84が架け渡される構成としたが、第一、第二箔支持用ベルト83,84の代わりに、第一、第二箔支持用プーリ86,87のフランジ86a,87bの内側面同士の間に跨る1本の箔支持用ベルトとしてもよい。この箔支持用ベルトでは、ウエブWの面を箔支持用ベルトの面で支持するため、ウエブWをウエブWの幅(搬送方向と直角な方向の長さ)に関わりなくスムーズに搬送できる。
【0063】
(5.その他)
上述の実施形態では、ウエブ搬送装置10,7は、ウエブWを第三、第四、第五ローラ213,214,215で2回反転させているが、1回以上反転させる構成としても良い。反転回数が多いと、ウエブ搬送経路が複雑になるが、通箔部材3と移動機構4,8によってウエブWをスムーズに搬送できる。さらに、反転間隔(
図1の上下方向の間隔)が狭い場合でも、通箔部材3と移動機構4,8によってウエブWをスムーズに搬送できる。反転回数を多くし、反転間隔を狭くすることで、熱風発生装置5を多く配置でき、小型なウエブ搬送装置を構成することができる。そして、ウエブWに連続塗工、間欠塗工等を行いながらウエブWを効率良く乾燥できるので、生産能力を向上することができる。
【0064】
また、上述の実施形態では、ウエブ搬送装置10,7は、ウエブ乾燥装置1に組み込む構成としたが、その他の装置、例えばウエブ塗工装置等に組み込んでもよい。また、ウエブ搬送装置10,7は、リチウムイオンキャパシタの電極を製造するシステムに組み込む装置としたが、リチウムイオン二次電池等の電極を製造するシステムに組み込む装置とすることも可能である。