特許第6953882号(P6953882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6953882情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953882
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20211018BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20211018BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20211018BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20211018BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20211018BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20211018BHJP
【FI】
   H02J3/14 160
   H02J13/00 301A
   H02J13/00 301J
   H02J3/32
   H02J3/00 170
   H02J3/38 130
   H02J3/38 110
   H02J13/00 311U
   G06Q50/06
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-154377(P2017-154377)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-33625(P2019-33625A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松村 隆史
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−106218(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038201(WO,A1)
【文献】 特開2011−258020(JP,A)
【文献】 特開2016−192184(JP,A)
【文献】 再公表特許第2013/005426(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 13/00
H02J 3/32
H02J 3/00
H02J 3/38
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得する取得部と、
電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶する記憶部と、
前記取得部にて取得した情報及び前記記憶部が記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択する選択部と、
該選択部にて選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する情報提供部と
を備え、
前記取引条件情報は、
節電目標を定めた取引条件を含み、
前記選択部は、
前記節電目標を達成することができる取引条件を選択し、
前記電力消費機器の運転態様又は運転時間帯を変更することによって、前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する情報提供装置。
【請求項2】
前記情報提供部は、
前記節電目標の達成を可能にする変更後の運転態様又は運転時間帯を示す情報を提供する
請求項に記載の情報提供装置。
【請求項3】
電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得する取得部と、
電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶する記憶部と、
前記取得部にて取得した情報及び前記記憶部が記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択する選択部と、
該選択部にて選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する情報提供部と
を備え、
前記取引条件情報は、
時間帯毎に異なる電気料金を定めた取引条件を含み、
前記選択部は、
総電気料金が最小になる取引条件を選択し、
前記建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、前記時間帯を変更する前に比べてより低額の総電気料金となる取引条件を選択する情報提供装置。
【請求項4】
前記情報提供部は、
総電気料金が低額となる変更後の充放電の時間帯を示す情報を提供する
請求項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記電力消費機器を動作させる時間帯又は運転態様を変更することによって、前記時間帯を変更する前に比べてより低額の総電気料金となる取引条件を選択する
請求項3または請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記情報提供部は、
総電気料金が低額になる変更後の運転態様又は運転時間帯を示す情報を提供する
請求項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記取引条件情報は、
節電目標を定めた取引条件を含み、
前記選択部は、
前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する
請求項3〜6までのいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する
請求項1または請求項7に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記情報提供部は、
前記節電目標の達成を可能にする変更後の充放電の時間帯を示す情報を提供する
請求項に記載の情報提供装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項までのいずれか一項に記載の情報提供装置と、
電力需要家の建物における消費電力を管理し、消費電力情報と、運転態様情報、発電情報又は蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを送信する電力管理装置と
を備え、
前記情報提供装置は、
前記電力管理装置から消費電力情報と、前記情報と、前記時間情報とを取得する
情報提供システム。
【請求項11】
電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、
電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、
取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、
選択された取引条件情報を電力需要家へ提供し、
前記取引条件情報は、
節電目標を定めた取引条件を含み、
前記節電目標を達成することができる取引条件を選択し、
前記電力消費機器の運転態様又は運転時間帯を変更することによって、前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する情報提供方法。
【請求項12】
電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、
電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、
取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、
選択された取引条件情報を電力需要家へ提供し、
前記取引条件情報は、
時間帯毎に異なる電気料金を定めた取引条件を含み、
総電気料金が最小になる取引条件を選択し、
前記建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、前記時間帯を変更する前に比べてより低額の総電気料金となる取引条件を選択する情報提供方法。
【請求項13】
電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、
電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、
取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、
選択された取引条件情報を電力需要家へ提供し、
前記取引条件情報は、
節電目標を定めた取引条件を含み、
前記節電目標を達成することができる取引条件を選択し、
前記電力消費機器の運転態様又は運転時間帯を変更することによって、前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項14】
電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、
電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、
取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、
選択された取引条件情報を電力需要家へ提供し、
前記取引条件情報は、
時間帯毎に異なる電気料金を定めた取引条件を含み、
総電気料金が最小になる取引条件を選択し、
前記建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、前記時間帯を変更する前に比べてより低額の総電気料金となる取引条件を選択する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力自由化の進展に伴い、住宅、オフィスビル等の電力需要家側でエネルギー管理を行うHEMS(Home Energy Management System)及びBEMS(Building Energy Management System)の利用が進みつつある。また電力需給状況に応じて、HEMS及びBEMSを協調動作させ、電力系統全体の電力需給バランスを維持する分散型エネルギー管理システムの実現が検討されている。
【0003】
電力需給バランスを維持するための仕組みの一つとして、デマンドレスポンス(DR:Demand Response)が注目されている。デマンドレスポンスは、電力需給逼迫時に電力供給者が節電を電力需要家に要請し、要請に応じた電力需要家が消費電力を調整することにより、電力需給バランスを維持するものである。デマンドレスポンスに係る取り決め(DRプログラム)には種々の形態がある。例えば、要請を承諾した電力需要家は、消費電力の削減目標達成により、所定の対価を得ることができる。削減目標の達成に失敗した場合、ペナルティーが発生し、電力需要家は違約金を支払わなければならない。特許文献1には、節電要請に応じることによって得られる金銭的効果、環境的な効果等を電力需要家に提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/071956号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電力管理装置においては、電力需要家の電力消費傾向に基づいて、DRサービス、電気料金プランのような電力需給に係る取引条件を電力需要家に提供することができないという技術的な問題があった。
【0006】
そこで、電力需要家の電力消費傾向、電力消費機器の運転態様、発電又は蓄電量に適合した電力需給に係る取引条件情報を電力需要家に提供することができる情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本態様に係る情報提供装置は、電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得する取得部と、電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶する記憶部と、前記取得部にて取得した情報及び前記記憶部が記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択する選択部と、該選択部にて選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する情報提供部とを備える。
【0008】
本態様に係る情報提供システムは、前記情報提供装置と、電力需要家の建物における消費電力を管理し、消費電力情報と、運転態様情報、発電情報又は蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを送信する電力管理装置とを備え、前記情報提供装置は、前記電力管理装置から消費電力情報と、前記情報と、前記時間情報とを取得する。
【0009】
本態様に係る情報提供方法は、電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する。
【0010】
本態様に係るコンピュータプログラムは、電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記によれば、電力需要家の電力消費傾向、電力消費機器の運転態様、発電又は蓄電量に適合した電力需給に係る取引条件情報を電力需要家に提供することができる情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びコンピュータプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る電力管理システムの一構成例を示す模式図である。
図2】本実施形態に係る電力需給管理装置の一構成例を示すブロック図である。
図3】需要家DB及び履歴DBに格納された情報の概念図である
図4】電力需要家の消費電力情報等の取得及び推奨取引条件の情報提供に係る処理手順を示すフローチャートである。
図5】推奨DRサービスの提示に係る処理手順を示すフローチャートである。
図6】推奨電気料金プランの提示に係る処理手順を示すフローチャートである。
図7】節電が可能な推奨製品の提示に係る処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせても良い。
【0014】
(1)本態様に係る情報提供装置は、電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得する取得部と、電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶する記憶部と、前記取得部にて取得した情報及び前記記憶部が記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択する選択部と、該選択部にて選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する情報提供部とを備える。
【0015】
本態様によれば、取得部は、消費電力情報と、運転態様情報、発電情報又は蓄電量情報とを取得する。当該情報によれば、当該電力需要家の建物における電力消費傾向が分かる。
記憶部は、複数の取引条件情報を記憶する。取引条件情報は、例えば、節電目標を定めたDRサービス、時間帯毎に異なる電気料金等を定めた電気料金プラン等に関する情報である。
選択部は、電力需要家の消費傾向、電力消費機器の運転態様、発電量又は蓄電量に適合した取引条件情報を選択し、選択された情報は情報提供部によって電力需要家に提供される。
【0016】
(2)前記取引条件情報は、節電目標を定めた取引条件を含み、前記選択部は、前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する構成が好ましい。
【0017】
本態様によれば、要求される節電目標を達成することが可能なDRサービス等の取引条件が選択され、選択された取引条件の情報が電力需要家に提供される。
【0018】
(3)前記建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する構成が好ましい。
【0019】
本態様によれば、建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、要求される節電目標を達成することが可能な取引条件が選択され、選択された取引条件の情報が電力需要家に提供される。
【0020】
(4)前記情報提供部は、前記節電目標の達成を可能にする変更後の充放電の時間帯を示す情報を提供する構成が好ましい。
【0021】
本態様によれば、態様(3)の構成により選択された取引条件と共に、当該節電目標の達成を可能にする充放電時間帯の変更方法に関する情報が電力需要家に提供される。
【0022】
(5)前記電力消費機器の運転態様又は運転時間帯を変更することによって、前記節電目標を達成することができる取引条件を選択する構成が好ましい。
【0023】
本態様によれば、建物に設けられた電力消費機器の運転態様又は運転時間帯を変更することによって、要求される節電目標を達成することが可能な取引条件が選択され、選択された取引条件の情報が電力需要家に提供される。
【0024】
(6)前記情報提供部は、前記節電目標の達成を可能にする変更後の運転態様又は運転時間帯を示す情報を提供する構成が好ましい。
【0025】
本態様によれば、態様(5)の構成により選択された取引条件と共に、当該節電目標の達成を可能にする電力消費機器の運転態様又は運転時間帯に関する情報が電力需要家に提供される。
【0026】
(7)前記取引条件情報は、時間帯毎に異なる電気料金を定めた取引条件を含み、前記選択部は、総電気料金が最小になる取引条件を選択する構成が好ましい。
【0027】
本態様によれば、総電気料金が最小になる取引条件が選択され、選択された電気料金の情報が電力需要家に提供される。
【0028】
(8)前記建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、前記時間帯を変更する前に比べてより低額の総電気料金となる取引条件を選択する構成が好ましい。
【0029】
本態様によれば、建物に設けられた蓄電池の充放電を行う時間帯を変更することによって、総電気料金を最小にする取引条件が選択され、選択された電気料金に係る取引条件の情報が電力需要家に提供される。
【0030】
(9)前記情報提供部は、総電気料金が低額となる変更後の充放電の時間帯を示す情報を提供する構成が好ましい。
【0031】
本態様によれば、態様(3)の構成により選択された取引条件と共に、電気料金を削減するための充放電時間帯の変更方法に関する情報が電力需要家に提供される。
【0032】
(10)前記電力消費機器を動作させる時間帯又は運転態様を変更することによって、前記時間帯を変更する前に比べてより低額の総電気料金となる取引条件を選択する構成が好ましい。
【0033】
本態様によれば、建物に設けられた電力消費機器の運転態様又は運転時間帯を変更することによって、電気料金を最小にする取引条件が選択され、選択された電気料金に係る取引条件の情報が電力需要家に提供される。
【0034】
(11)前記情報提供部は、総電気料金が低額になる変更後の運転態様又は運転時間帯を示す情報を提供する。
【0035】
本態様によれば、態様(10)の構成により選択された取引条件と共に、電気料金を削減するための電力消費機器の運転態様又は運転時間帯に関する情報が電力需要家に提供される。
【0036】
(12)本態様に係る情報提供システムは、態様(1)〜態様(11)までのいずれか一項に記載の情報提供装置と、電力需要家の建物における消費電力を管理し、消費電力情報と、運転態様情報、発電情報又は蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを送信する電力管理装置とを備え、前記情報提供装置は、前記電力管理装置から消費電力情報と、前記情報と、前記時間情報とを取得する。
【0037】
(13)本態様に係る情報提供方法は、電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する。
【0038】
(14)本態様に係るコンピュータプログラムは、電力需給に係る取引条件を示した異なる複数の取引条件情報を記憶し、電力需要家の建物に設けられた電力消費機器の消費電力を示す消費電力情報と、該電力消費機器の運転態様を示す運転態様情報、前記建物における発電出力を示す発電情報又は蓄電量を示す蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、前記消費電力、運転態様、発電出力又は蓄電量の少なくとも一つが検出された時間帯を示す時間情報とを取得し、取得した情報及び記憶する取引条件情報に基づいて、前記複数の取引条件情報の中から少なくとも一の取引条件情報を選択し、選択された取引条件情報を電力需要家へ提供する処理をコンピュータに実行させる。
【0039】
本態様(12)〜(14)によれば、態様(1)同様、電力需要家の消費傾向に適合した取引条件情報が選択され、選択された情報が電力需要家に提供される。
【0040】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る電力管理システム(情報提供システム)の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものでは無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0041】
<電力管理システムの構成>
図1は、本実施形態に係る電力管理システムの一構成例を示す模式図である。本実施形態に係る電力管理システムは、電力需要家10の住宅、オフィスビル等の建物に設けられる電力管理装置1と、通信網を介して電力管理装置1に接続される電力需給管理装置(情報提供装置)2と、電力需要家10の通信端末3とを備える。なお、図1には一棟の建物に設けられた一つの電力管理装置1が図示されているが、実際には図示しない多数の建物それぞれに設けられた複数の電力管理装置1が通信網を介して電力需給管理装置2に接続されている。
【0042】
電力管理システムは、各建物の電力管理装置1を協調動作させることによって、電力需給バランスを調整する分散型エネルギー管理システムである。電力管理システムの概要は以下の通りである。
電力管理装置1は、住宅又はオフィスビルのエネルギー管理を行うHEMS又はBEMSであり、建物に設けられた電力量計4、電力消費機器5、発電機6及び蓄電池7が接続されている。電力需給管理装置2は、電力需給逼迫時に電力供給事業者の電力系統監視装置Aから送信される消費電力削減要請を受け、節電に係るDR(Demand Response)要請を各電力需要家10の電力管理装置1へ送信する。DR要請は、DR要請を識別するDR識別子、消費電力を抑制すべき要節電時間帯、抑制すべき消費電力を示す節電目標、DR要請に対する応答期限等の情報を含む。なお、節電目標は、建物における消費電力の上限値で表現しても良いし、消費電力の削減量、削減割合等で表現しても良い。各電力管理装置1は、通信端末3を介して、DR要請の承諾又は拒否の選択を受け付け、DR要請を承諾又は拒否する旨の応答情報を電力需給管理装置2へ送信する。DR要請を承諾した電力需要家10の電力管理装置1は、節電目標が達成されるように、建物における消費電力を抑制する制御を行う。
電力需給管理装置2は、このように各住宅及びオフィスビルの電力管理装置1を協調動作させることによって、電力系統全体の電力需給バランス調整を行う。
【0043】
電力管理装置1は、有線又は無線の建物内通信網を介して電力量計4、電力消費機器5、発電機6及び蓄電池7に接続されており、所定の通信プロトコルに従って各種情報を送受信する。例えば、電力管理装置1は、Wi−Fi規格に準拠した無線通信にて、電力消費機器5、発電機6及び蓄電池7と無線通信を行う。また、電力管理装置1は、Wi−SUN規格に準拠した無線通信にて、電力量計4と無線通信を行う。もちろん、電力管理装置1は、宅内LANに接続された無線LANルータ、ゲートウェイ等を介して各種機器と無線通信を行っても良い。
【0044】
電力量計4は、建物で消費されている電力を検出するセンサであり、基準時点から現時点までに消費された総電力量を演算している。電力量計4は、例えばスマートメータである。電力量計4は、電力管理装置1に有線又は無線で接続されており、電力管理装置1との間で通信を行うことができる。電力量計4は、建物で消費されている電力又は総電力量を示す電力量情報を定期的に又は電力管理装置1からの求めに応じて電力管理装置1へ送信する。電力管理装置1は、電力量計4から送信された電力量情報を受信することによって、現在、建物で消費されている電力又は総電力量を把握することができる。
【0045】
電力消費機器5は、例えば、空気調和機52、テレビ53、照明機器51、その他、図示しない冷蔵庫、ヒートポンプ給湯器等、電力事業者から供給される電力を消費する機器である。電力消費機器5は、例えば消費電力の抑制を行わない通常運転モードと、消費電力を抑制して動作する節電運転モードとを有する。電力消費機器5は電力管理装置1に有線又は無線で接続されており、電力管理装置1との間で通信を行うことができる。電力管理装置1は、各電力消費機器5へ各別に運転モードの切り替え、電源のオンオフ等を指示する機器制御情報を送信することができ、電力消費機器5は、電力管理装置1から送信された機器制御情報を受信した場合、当該機器制御情報に従って、運転モードの切り替え、電源のオンオフ等を制御する。
また、電力消費機器5は、自装置の運転モード、オンオフ状態等を示す運転情報を電力管理装置1へ送信することができ、電力管理装置1は各電力消費機器5から送信された運転情報を受信することによって、各電力消費機器5の運転モード、オンオフ状態等を認識することができる。このように、電力管理装置1は、各電力消費機器5の運転モードを認識し、運転モードの切り替えを制御することによって、建物における消費電力を管理する。
【0046】
発電機6は、例えば太陽光エネルギーにて発電する太陽光発電装置、ガスの燃焼廃熱を利用して発電する給湯器、ガスタービンエンジンを用いて発電する非常用電源等である。以下、本実施形態においては、発電機6を太陽光発電装置であるものとして説明する。発電機6は、電力管理装置1に有線又は無線で接続されており、電力管理装置1との間で通信を行うことができる。発電機6は、発電量を示す発電量情報を電力管理装置1へ送信することができ、電力管理装置1は発電機6から送信された発電量情報を受信することによって、発電機6で発電され、建物に供給されている電力量を認識することができる。
【0047】
蓄電池7は、建物における余剰電力又は安価な夜間電力を蓄えるリチウムイオン蓄電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等である。蓄電池7は建物に設けられるものであっても良いし、電気自動車に搭載されているものであっても良い。蓄電池7は、電力管理装置1に有線又は無線で接続されており、電力管理装置1との間で通信を行うことができる。蓄電池7は、蓄電量を示す蓄電量情報を電力管理装置1へ送信することができ、電力管理装置1は蓄電池7から送信された蓄電量情報を受信することによって、蓄電池7における蓄電量を認識することができる。
【0048】
図2は、本実施形態に係る電力需給管理装置2の一構成例を示すブロック図である。電力需給管理装置2は、各構成部の動作を制御する制御部21を備えたコンピュータであり、制御部21には記憶部22、時計部23、通信部24が接続されている。
【0049】
制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する。制御部21は、記憶部22が記憶するコンピュータプログラム22aを実行し、各部の動作を制御することによって、電力需給管理装置2として動作する。なお、CPUは制御部21の一構成であり、DSP(Digital Signal Processor)で制御部21を構成しても良い。また、CPU及びDSPの組み合わせで制御部21を構成しても良い。
【0050】
記憶部22は、ハードディスク、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性記憶装置である。記憶部22は、電力需要家10に推奨されるDRサービス、電気料金プラン、各種製品情報を、当該電力需要家10に提供する処理を制御部21に実行させるためのコンピュータプログラム22aを記憶している。また、記憶部22は、需要家DB22b、履歴DB22c、DRサービスDB22d、電気料金DB22e及び製品情報DB22f等を記憶する。
【0051】
図3は、需要家DB22b及び履歴DB22cに格納された情報の概念図である。
図3Aは、需要家DB22bに格納されるレコードの項目を示している。需要家DB22bには、電力需要家10を識別するための電力需要家IDと、当該電力需要家10のメールアドレス、建物に設けられた電力管理装置1を識別するための電力管理装置IDと、当該電力需要家10が契約しているDRサービスと、電気料金プランと、建物に設けられている電力消費機器5の情報とが対応付けて格納されている。
図3Bは、履歴DB22cに格納されるレコードの項目を示している。履歴DB22cには、電力需要家IDと、年月日及び時間帯と、消費電力情報と、運転情報と、発電情報と、蓄電情報とが対応付けられて格納されている。
【0052】
DRサービスDB22dは、節電目標及び対価を示した複数の異なるDRサービスに関する情報を格納している。
電気料金DB22eは、時間帯毎に異なる電気料金を定めた複数の異なる電気料金プランを格納している。
製品情報DB22fは、消費電力が異なる複数の電力消費機器5の名称、品番、消費電力、価格帯等の情報を格納している。なお、電力消費機器5の中には、同種商品であっても消費電力、価格帯等が異なるものがあり、製品情報DB22fは、同種商品で消費電力が異なる複数の電力消費機器5に係る情報が格納されている。また、製品情報DB22fには、各電力消費機器5の運転態様と、消費電力との関係を示す情報が格納されている。例えば、通常運転モードの消費電力、及び節電モードの消費電力を記憶している。
【0053】
時計部23は、現在の年月日及び曜日、時刻を計時しており、各種処理に必要な時間情報を制御部21へ出力する。
【0054】
通信部24は、通信網を介して電力管理装置1及び通信端末3に接続されており、電力需給管理装置2は各装置との間で通信を行うことができる。
【0055】
電力需給管理装置2は、消費電力の削減に協力する意志がある複数の電力需要家10の電力管理装置1、削減可能な消費電力、電力需要家10の情報等を管理している。電力需給管理装置2は、電力供給事業者の電力系統監視装置Aに接続されており、電力系統監視装置Aから送信された消費電力削減要請を受信した場合、節電に係るDR要請を電力管理装置1へ送信する。
【0056】
通信端末3は、電力需要家10が保有するスマートフォン、無線通信機能を有するタブレット端末等であり、通信網を介して電力管理装置1に無線接続されている。通信端末3は、少なくとも電力管理装置1と通信を行う通信回路と、通信する情報を出力する表示部、スピーカ等の出力装置と、タッチパネル、操作ボタン等の入力装置とを備える。通信端末3は、通信網を介して電力管理装置1との間で通信を行うことができる。
電力管理装置1は、DR要請があった場合、必要に応じて当該DR要請に関する要請通知情報を通信端末3へ送信するように構成されており、通信端末3は、要請通知情報を受信し、DR要請に関する情報を出力する。
また、通信端末3は、DR要請の承諾又は拒否を受け付け、受け付けた選択内容を示す選択情報を電力管理装置1へ送信する。
更に、通信端末3は、電力需給管理装置2から送信された推奨DRサービス、推奨電気料金プラン及び製品情報を受信し、図1に示すように、推奨された各種サービス及び製品の情報が表示部に表示される。
【0057】
なお、図1では、通信端末3が建物外にある状態を示しているが、通信端末3の配置は特に限定されるものでは無く、屋内であっても良いし、屋外であっても良い。また、スマートフォン等の携帯型無線通信装置は、通信端末3の一例であり、インタフェースとして機能する通信端末3であれば足りる。例えば、建物に備え付けられたモニタ画面を有するコントローラであっても良い。更に、電力管理装置1は、電力需給管理装置2を介して通信端末3と通信を行うように構成すると良い。電力需給管理装置2は、電力管理装置1及び通信端末3の認証を行いセキュアな通信を行うことが可能であり、電力管理装置1及び通信端末3間の通信を中継することができる。
【0058】
<消費電力等の履歴情報蓄積処理及び推奨取引条件の情報提供処理>
図4は、電力需要家10の消費電力情報等の取得及び推奨取引条件の情報提供に係る処理手順を示すフローチャートである。電力管理装置1は、所定のタイミングで定期的に建物における消費電力、発電量等の情報を収集し、収集して得た情報を電力需給管理装置2へ送信する。電力需給管理装置2は、電力管理装置1から送信された情報を取得し、取得した情報を履歴情報として記憶部22に蓄積する。詳細は以下の通りである。
【0059】
電力管理装置1は、電力量計4との間で通信を行い、電力量計4から建物で消費される電力又は総電力量等を示す消費電力情報を取得する(ステップS11)。また、電力管理装置1は、各電力消費機器5との間で通信を行い、当該電力消費機器5の運転態様を示す運転情報を取得する(ステップS12)。更に、電力管理装置1は、発電機6との間で通信を行い、発電機6が発電した発電出力を示す発電情報を取得する(ステップS13)。なお、発電出力は、所定時間、例えば30分の発電量の平均を算出し、当該平均値に基づいて算出すれば良い。更にまた、電力管理装置1は、蓄電池7との間で通信を行い、現在の蓄電量を示す蓄電量情報を取得する(ステップS14)。そして、電力管理装置1は、ステップS11〜ステップS14で取得した消費電力情報、運転情報、発電情報及び蓄電量情報を、現在の年月日及び時間帯を示す時間情報、電力管理装置ID等と共に、電力需給管理装置2へ送信し、電力需給管理装置2は、電力管理装置1から送信された当該情報を、消費電力等の履歴情報として取得する(ステップS15)。そして、電力需給管理装置2の制御部21は、受信した履歴情報を記憶部22に記憶させる(ステップS16)。具体的には、制御部21は、電力管理装置IDに紐付く電力需要家IDに、時間情報が示す年月日及び時間帯と、消費電力情報と、運転情報と、発電情報、蓄電量情報等を対応付けて記憶部22に記憶させる。
【0060】
次いで、制御部21は、履歴情報と、DRサービスDB22d、電気料金DB22e及び製品情報DB22fの情報とに基づいて、当該電力需要家10に推奨されるDRサービス、電気料金プラン、製品情報を選択し(ステップS17)、選択された各種情報を電力需要家10に提供する(ステップS18)。具体的には、制御部21は、電力需要家IDに対応付けて記憶するメールアドレスを用いて、電力需要家10の通信端末3へ上記情報を送信する。
なお、上記処理手順は一例であり、処理の流れ、プログラム構造が図4のシーケンス図の処理に限定されるもので無い。
【0061】
以下、電力需要家10に推奨されるDRサービス、電気料金プラン、製品情報の選択及び情報提供に係る処理の詳細を説明する。
【0062】
<推奨されるDRサービス情報の提供>
図5は、推奨DRサービスの提示に係る処理手順を示すフローチャートである。電力需給管理装置2の制御部21は、記憶部22が記憶する履歴情報に基づいて、DRサービスDB22dに格納された複数のDRサービスの中から、節電目標を達成することが可能なDRサービスを選択する(ステップS31)。
【0063】
節電目標は、例えば特定の要節電時間帯における消費電力の上限値を示している。制御部21は、建物における各時間帯の消費電力の平均値を算出し、当該平均値と、各時間帯における節電目標の消費電力を比較することによって、節電目標を達成することが可能か否かを、DRサービス毎に判定すれば良い。消費電力は、例えば、下記式で表される。
Ctotal(t)=C(t,m)−E(t)+dS(t)/dt…(t)
但し、
Ctotal:建物に供給する必要がある電力
C(t,m):電力消費機器5の運転態様mにおける消費電力
E(t):発電出力(電力)
S(t):蓄電量,Smin≦S(t)≦Smax
t:時間帯
m:電力消費機器5の運転態様
Smin:蓄電池7の最小蓄電量
Smax:蓄電池7の最大蓄電量
【0064】
節電目標の消費電力をCtとした場合、制御部21は、要節電時間帯においてCt−Ctotal≧0を満たすとき、節電目標を達成することができると判定する。
【0065】
ステップS31の処理を終えた制御部21は、節電目標を達成することが可能なDRサービスが有るか否かを判定する(ステップS32)。DRサービスが有ると判定した場合(ステップS32:YES)、制御部21は、ステップS31で選択されたDRサービスの情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS33)。
【0066】
節電目標を達成することが可能なDRサービスが無いと判定した場合(ステップS32:NO)、制御部21は、履歴情報に基づいて、複数のDRサービスの中から、充放電を行う時間帯を変更することによって、節電目標を達成することが可能なDRサービスを選択する(ステップS34)。制御部21は、例えば、蓄電池7の充電及び放電を行う時間帯をそれぞれ変数とし、節電目標から消費電力を減算した値が最大になるような充電時間帯及び放電時間帯を、蓄電量の下限Smin及び上限Smaxの範囲内で特定すれば良い。また、蓄電池7が電気自動車の電池である場合、外出時間において蓄電量が所要の残量を下回らない等、その他の制限条件を加えて、充放電時間帯を特定しても良い。
【0067】
次いで、制御部21は、ステップS34で選択されたDRサービス、当該DRサービスの節電目標を達成するための蓄電池7の充放電時間帯の変更方法等の情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS35)。
【0068】
次いで、制御部21は、履歴情報に基づいて、複数のDRサービスの中から、運転態様を変更することによって、節電目標を達成することが可能なDRサービスを選択する(ステップS36)。制御部21は、例えば、電力消費機器5の運転態様を変数とし、節電目標から消費電力を減算した値が最大になるような運転態様を特定すれば良い。電力消費機器5の運転態様と、消費電力との関係は、予め記憶部22が記憶している。なお、運転態様と、消費電力との関係は、履歴情報から推定しても良い。また、電力管理装置1が、各電力消費機器5の運転態様及び消費電力を個別に検出している場合、電力需給管理装置2は、電力管理装置1から各電力消費機器5の運転態様と、消費電力との関係を取得するように構成しても良い。
【0069】
次いで、制御部21は、ステップS36で選択されたDRサービス、当該DRサービスの節電目標を達成するための運転態様の変更方法等の情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS37)。
【0070】
次いで、制御部21は、履歴情報に基づいて、複数のDRサービスの中から、電力消費機器5の運転時間帯を変更することによって、節電目標を達成することが可能なDRサービスを選択する(ステップS38)。制御部21は、例えば、電力消費機器5の運転時間帯を変数とし、節電目標から消費電力を減算した値が最大になるような運転時間帯を特定すれば良い。
【0071】
次いで、制御部21は、ステップS38で選択されたDRサービス、当該DRサービスの節電目標を達成するための電力消費機器5の運転時間帯の変更方法等の情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS39)。
【0072】
なお、上記の処理では、蓄電池7の充放電時間帯、電力消費機器5の運転態様、電力消費機器5の運転時間帯を個別に変更して、節電目標を達成する方法を特定する例を説明したが、これらの全てを変更して、節電目標達成可能な方法を特定しても良い。
【0073】
<推奨される電気料金プラン情報の提供>
図6は、推奨電気料金プランの提示に係る処理手順を示すフローチャートである。電力需給管理装置2の制御部21は、記憶部22が記憶する履歴情報に基づいて、電気料金DB22eに格納された複数の電気料金プランの中から、総電気料金を削減することが可能な電気料金プランを選択する(ステップS51)。
【0074】
電気料金プランは、例えば、複数の各時間帯における単位電力量当たりの電気料金を示している。例えば、建物における各時間帯の消費電力の平均値を算出し、当該平均値と、各時間帯における電気料金とを乗算することによって、建物における総電気料金を算出することができる。そして、制御部21は、需要家DB22bに格納されている現在の電気料金プランに基づいて算出される電気料金と、電気料金DB22eに格納されている他の電気料金とを比較することによって、総電気料金を削減できるか否かを判定すれば良い。
【0075】
ステップS51の処理を終えた制御部21は、総電気料金を削減することが可能な電気料金プランが有るか否かを判定する。電気料金プランが有ると判定した場合(ステップS52:YES)、制御部21は、ステップS51で選択された電気料金プランの情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS53)。
【0076】
総電気料金を削減することが可能な電気料金プランが無いと判定した場合(ステップS52:NO)、制御部21は、履歴情報に基づいて、複数の電気料金プランの中から、充放電を行う時間帯を変更することによって、総電気料金を削減することが可能な電気料金プランを選択する(ステップS54)。制御部21は、例えば、蓄電池7の充電及び放電を行う時間帯をそれぞれ変数とし、1日の総電気料金が最小になるような充電時間帯及び放電時間帯を、蓄電量の下限Smin及び上限Smaxの範囲内で特定すれば良い。また、蓄電池7が電気自動車の電池である場合、外出時間において蓄電量が所要の残量を下回らない等、その他の制限条件を加えて、充放電時間帯を特定しても良い。
【0077】
次いで、制御部21は、ステップS54で選択された電気料金プラン、当該電気料金プランで総電気料金を削減するための蓄電池7の充放電時間帯の変更方法等の情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS55)。
【0078】
次いで、制御部21は、履歴情報に基づいて、複数の電気料金プランの中から、運転態様を変更することによって、電気料金を削減することが可能な電気料金プランを選択する(ステップS56)。制御部21は、例えば、電力消費機器5の運転態様を変数とし、建物の電気料金が最小になるような運転態様を特定すれば良い。電力消費機器5の運転態様と、消費電力との関係は、予め記憶部22が記憶している。
【0079】
次いで、制御部21は、ステップS56で選択された電気料金プラン、当該電気料金プランにおいて電気料金を削減するための運転態様の変更方法等の情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS57)。
【0080】
次いで、制御部21は、履歴情報に基づいて、複数の電気料金プランの中から、電力消費機器5の運転時間帯を変更することによって、電気料金を削減することが可能な電気料金プランを選択する(ステップS58)。制御部21は、例えば、電力消費機器5の運転時間帯を変数とし、1日の電気料金が最小になるような運転時間帯を特定すれば良い。
【0081】
次いで、制御部21は、ステップS58で選択された電気料金プラン、当該電気料金プランにおいて電気料金を削減するための電力消費機器5の運転時間帯の変更方法等の情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS59)。
【0082】
なお、上記の処理では、蓄電池7の充放電時間帯、電力消費機器5の運転態様、電力消費機器5の運転時間帯を個別に変更して、電気料金を削減する方法を特定する例を説明したが、これらの全てを変更して、電気料金の削減が可能な方法を特定しても良い。
【0083】
<推奨される製品情報の提供>
図7は、節電が可能な推奨製品の提示に係る処理手順を示すフローチャートである。電力需給管理装置2の制御部21は、記憶部22が記憶する需要家DB22b及び製品情報DB22fの情報に基づいて、消費電力の削減が可能な電力消費機器5を選択する(ステップS71)。具体的には、制御部21は、需要家DB22bから当該電力需要家10の建物に設けられている電力消費機器5を特定する。そして、制御部21は、製品情報DB22fを参照し、電力需要家10の現在の電力消費機器5の消費電力と、同種の他の電力消費機器5の消費電力とを比較することによって、消費電力を削減することが可能な電力消費機器5を特定する。
【0084】
ステップS71の処理を終えた制御部21は、消費電力を削減することが可能な電力消費機器5が有るか否かを判定する(ステップS72)。節電可能な電力消費機器5が無いと判定した場合(ステップS72:NO)、制御部21は処理を終える。節電可能な電力消費機器5が有ると判定した場合(ステップS72:YES)、制御部21は、ステップS71で選択された電力消費機器5の製品情報を、通信端末3へ送信することによって、電力需要家10に提供する(ステップS73)。
【0085】
このように構成された電力管理装置1によれば、電力需要家10の消費傾向、発電出力及び電力量に適合した電力需要に係る取引条件を選択し、選択された取引条件に係る情報を電力需要家10に提供することができる。
【0086】
具体的には、電力需要家10の消費傾向、発電出力及び電力量に適合したDRサービスを選択し、選択されたDRサービスの情報を電力需要家10に提供することができる。
【0087】
また、蓄電池7の充放電時間帯を調整することによって、節電目標を達成することが可能なDRサービスを選択し、当該DRサービスの情報を電力需要家10に提供することができる。
【0088】
更に、上記DRサービスの情報と共に、節電目標の達成を可能にする充放電時間帯の変更方法を電力需要家10に提供することができる。
【0089】
また、電力消費機器5の運転態様又は運転時間帯を調整することによって、節電目標を達成することが可能なDRサービスを選択し、当該DRサービスの情報を電力需要家10に提供することができる。
【0090】
更に、上記DRサービスの情報と共に、節電目標の達成を可能にする、電力消費機器5の運転態様又は運転時間帯を電力需要家10に提供することができる。
【0091】
更にまた、電力需要家10の消費傾向、発電出力及び電力量を加味し、電気料金の削減が可能な電気料金プランを選択し、選択された電気料金プランの情報を電力需要家10に提供することができる。
【0092】
更にまた、蓄電池7の充放電時間帯を調整することによって、電気料金を削減可能な電気料金プランを選択し、当該電気料金プランの情報を電力需要家10に提供することができる。
【0093】
更にまた、上記電気料金プランの情報と共に、電気料金の削減を可能にする充放電時間帯の変更方法を電力需要家10に提供することができる。
【0094】
更にまた、電力消費機器5の運転態様又は運転時間帯を調整することによって、電気料金を削減可能な電気料金プランを選択し、当該電気料金プランの情報を電力需要家10に提供することができる。
【0095】
更にまた、上記電気料金プランの情報と共に、電気料金の削減を可能にする、電力消費機器5の運転態様又は運転時間帯を電力需要家10に提供することができる。
【0096】
なお、上記実施形態では、電力需要家10に推奨されるDRサービス等の情報を電力需給管理装置2が提供する例を説明したが、通信網に設けられた他の任意の情報提供装置に本実施形態に係る処理を実行させても良い。この場合、特定の電力供給業者又はアグリゲータによって提供されるDRサービスのみならず、他の複数のアグリゲータ等が取り扱うDRサービスの中から、電力需要家10に最適なDRサービスを提供するように情報提供装置を構成すると良い。
【0097】
また、上記実施形態では、消費電力情報、運転情報、発電情報及び蓄電量情報を収集し、電力需要家10に適したDRサービス、電気料金プラン等の情報を提供する例を説明したが、運転情報、発電情報又は蓄電量情報の少なくとも一つの情報と、消費電力情報とに基づいて、電力需要家10に適した取引条件に係る情報を提供するように構成しても良い。
【0098】
(変形例)
上記実施形態ではコンピュータプログラム22aが記憶部22に記憶されている態様を説明したが、本実施形態に係るコンピュータプログラム22aは、図示しない記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録された態様でも良い。記憶部22は、図示しない読出装置によって記録媒体から読み出されたコンピュータプログラム22aを記憶する。記録媒体はCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本実施形態に係るコンピュータプログラム22aをダウンロードし、記憶部22に記憶させても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 電力管理装置
2 電力需給管理装置
3 通信端末
4 電力量計
5 電力消費機器
6 発電機
7 蓄電池
10 電力需要家
21 制御部
22 記憶部
22a コンピュータプログラム
22b 需要家DB
22c 履歴DB
22d DRサービスDB
22e 電気料金DB
22f 製品DB
23 時計部
24 通信部
51 照明機器
52 空気調和機
53 テレビ
A 電力系統監視装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7