(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ネットワーク関連情報は、少なくとも、前記第一の通信に関する第一のネットワーク関連情報、および、前記第一の通信が使用する通信経路を使用する第二の通信の第二のネットワーク関連情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通信監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施の形態について説明する。
【0015】
図1に本実施形態の通信監視装置10の構成例を示す。本実施形態の通信監視装置10は、第一の通信情報収集部11、ネットワーク情報収集部12および出力部13により構成される。
【0016】
第一の通信情報収集部11は、第一の通信に関する第一の通信関連情報を収集する部分である。ネットワーク情報収集部12は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する部分である。出力部13は、第一の通信関連情報およびネットワーク関連情報を出力する部分である。
【0017】
このように通信監視装置10を構成することによって、通信監視装置10は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する。ネットワーク関連情報には、第一の通信に関するネットワーク関連情報だけでなく、他の通信に関するネットワーク関連情報も含まれる。そのため、特定の通信に関する情報とともに他の通信に関するネットワーク情報を収集して特定の通信の品質向上に利用することが可能になる。
【0018】
次に、
図2に本実施形態の通信監視装置10の動作の例を示す。
【0019】
第一の通信情報収集部11は、第一の通信に関する第一の通信関連情報を収集する(ステップS101)。また、ネットワーク情報収集部12は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する(ステップS102)。そして、出力部13は、第一の通信関連情報およびネットワーク関連情報を出力する(ステップS103)。
【0020】
このように動作することによって、通信監視装置10は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する。ネットワーク関連情報には、第一の通信に関するネットワーク関連情報だけでなく、他の通信に関するネットワーク関連情報も含まれる。そのため、特定の通信に関する情報とともに他の通信に関するネットワーク情報を収集して特定の通信の品質向上に利用することが可能になる。
【0021】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、通信監視装置10は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する。ネットワーク関連情報には、第一の通信に関するネットワーク関連情報だけでなく、他の通信に関するネットワーク関連情報も含まれる。そのため、特定の通信に関する情報とともに他の通信に関するネットワーク情報を収集して特定の通信の品質向上に利用することが可能になる。
【0022】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施の形態について説明する。本実施形態では、第一の通信が音声通信である場合の具体例について説明する。
【0023】
まず、
図3に本実施形態の通信システムの構成例を示す。
【0024】
本実施形態の通信システムは、通信監視装置20、音声通信機器60およびネットワーク機器70により構成される。音声通信機器60およびネットワーク機器70の数は、一台以上で任意である。
【0025】
ネットワーク機器70は、通信ネットワーク上に存在し、通信データを転送するネットワーク機器(たとえばルータ)である。
【0026】
音声通信機器60は、VoIP端末やSIP(Session Initiation Protocol)サーバなど、音声通信を行う機器である。音声通信機器60はネットワーク機器70経由で音声通信データを送受信する。
【0027】
通信監視装置20は、音声通信機器60およびネットワーク機器70を監視する装置である。
【0028】
次に、
図4に本実施形態の通信監視装置20の構成例を示す。通信監視装置20は、第一の通信情報収集部11、ネットワーク情報収集部12、出力部13、第一の通信情報記憶部24、分析部25およびネットワーク制御部26により構成される。
【0029】
第一の通信情報収集部11は、第一の通信に関する第一の通信関連情報を収集する部分である。本実施形態の第一の通信情報収集部11は、第一の通信関連情報として、音声通信機器60から第一の通信のセッション情報(音声セッション情報)および音声品質情報を収集する。また、第一の通信情報収集部11は、ネットワーク情報収集部12から第一の通信に関する第一のネットワーク関連情報を収集する。なお、第一のネットワーク関連情報は、本実施形態では音声通信に関するトラフィック情報(音声トラフィック情報)であるものとする。また、第一の通信情報収集部11は、収集した第一の通信関連情報を第一の通信情報記憶部24へ記憶させる。
【0030】
ネットワーク情報収集部12は、監視対象のネットワーク機器70から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する部分である。ネットワーク関連情報は、たとえば、ネットワークトポロジ情報、トラフィック情報、ルーティング情報などである。また、ネットワーク関連情報は、第一の通信に関する第一のネットワーク関連情報(音声トラフィック情報)および第一の通信が使用する通信経路を使用する他の通信(第二の通信)の第二のネットワーク関連情報を含む。ネットワーク関連情報は、さらに、第一の通信が使用する通信経路上のネットワーク機器70のネットワーク関連情報だけでなく、システム全体のネットワーク関連情報を含んでいても良い。
【0031】
図5に、第一の通信情報記憶部24が記憶する第一の通信関連情報の例を示す。この例では、第一の通信情報記憶部24は、音声セッションテーブル(
図5(a))、音声通信テーブル(
図5(b))および音声経路テーブル(
図5(c))を記憶する。
【0032】
音声セッションテーブルは、音声通信のセッションID(Identification)(SID)と、そのセッションIDに対応する音声セッション情報および音声品質情報を記憶するテーブルである。音声セッション情報は、たとえば、音声通信の送信元IPアドレスと宛先IPアドレスの組み合わせ、送信元ポート番号と宛先ポート番号の組み合わせなどである。音声品質情報は、たとえば、MOS(Mean Opinion Score)値やR値(Rating factor)などである。
【0033】
なお、MOS値の収集方法としては、たとえば、音声通信機器60に音声品質を評価するボタンを実装して、実際に品質をユーザに評価してもらう方法が考えられる。あるいは、PESQ(Perceptual Evaluation of Speech Quality)等の客観評価に基づいてMOS値を推定する方法を使用しても良い。
【0034】
音声通信テーブルは、終了した音声セッションのセッションIDと、そのセッションIDに対応する経路情報と音声トラフィック情報を記憶するテーブルである。経路情報は、たとえば、当該音声セッションが経由したネットワーク機器70の識別情報あるいはIPアドレスのリスト、その経路の利用を開始した時刻と終了時刻の組み合わせなどである。音声トラフィック情報は、たとえば、経路上のネットワーク機器70の当該音声セッションに関するスループットやパケット量、パケットドロップ数などの統計情報などである。音声セッション確立中に経路変更があった場合には、音声通信テーブルは変更前と変更後の経路情報を記憶する。
【0035】
音声経路テーブルは、現在確立中の音声セッションで利用されている通信経路の経路情報を記憶するテーブルである。音声経路テーブルは、セッションIDと、そのセッションIDに対応する経路情報と利用開始時刻を記憶する。経路情報は、たとえば、当該音声セッションが経由しているネットワーク機器70の識別情報やIPアドレスのリストである。また、利用開始時刻は、その経路の利用を開始した時刻である。セッション確立中に経路変更が発生した場合は、音声経路テーブルは、同じセッションIDに対して、変更前と変更後の経路情報を記憶する。
【0036】
ある音声セッションが開始したとき、第一の通信情報収集部11は、音声セッション情報および音声品質情報を音声通信機器60から取得し、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブル(
図5(a))に記憶させる。
【0037】
また、第一の通信情報収集部11は、音声セッションで利用される経路情報をネットワーク情報収集部12から取得し、第一の通信情報記憶部24の音声経路テーブルに記憶させる(
図5(c))。
【0038】
ネットワーク情報収集部12は、たとえば、各ネットワーク機器70のルーティングテーブルを参照し、音声セッションの送信元IPアドレスから宛先IPアドレスまでの経路をたどることで経路情報を取得することができる。すなわち、ネットワーク情報収集部12は、送信元IPアドレスのネットワーク機器70を開始地点とし、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いてネットワーク機器70のルーティングテーブルを取得する。そして、ルーティングテーブルから、宛先IPアドレスに向かうための次のホップのネットワーク機器70のIPアドレスを取得する。ネットワーク情報収集部12は、宛先IPアドレスに到着するまでこの操作を繰り返すことで、経路情報を取得することができる。
【0039】
また、ネットワーク情報収集部12は、たとえば、所定時間おきに経路上のルータのルーティングテーブルを参照することで、音声セッションの経路変更を検出し、上述の方法で再度経路情報を取得し直すことができる。
【0040】
音声セッションが開始した後は、第一の通信情報収集部11は、所定時間おきなどの所定のタイミングで音声品質情報を収集し、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブルに記憶させる。
【0041】
音声セッションが終了したとき、第一の通信情報収集部11は、音声セッションに関する音声トラフィック情報をネットワーク情報収集部12から取得し、第一の通信情報記憶部24に記憶させる。具体的には、第一の通信情報収集部11は、第一の通信情報記憶部24の音声経路テーブル(
図5の(c))から音声セッションの経路情報を、音声セッションテーブル(
図5の(a))から音声セッション情報を取得する。そして、これらの情報に基づいてネットワーク情報収集部12から経路上の音声トラフィック情報を取得し、第一の通信情報記憶部24の音声通信テーブル(
図5の(b))に記憶させる。
【0042】
出力部13は、第一の通信情報(音声セッション情報、音声品質情報、音声トラフィック情報)およびネットワーク関連情報を出力する部分である。出力部13は、たとえば、第一の通信情報およびネットワーク関連情報を表示デバイスへ出力して表示させる。
【0043】
また、出力部13は、分析部25からの要求に応じて第一の通信情報およびネットワーク関連情報を分析部25へ出力する。本実施形態では、出力部13は、分析部25から要求された情報を、第一の通信情報収集部11、ネットワーク情報収集部12、あるいは、第一の通信情報記憶部24経由で入手し、得られた情報を分析部25へ出力する。
【0044】
本実施形態の場合、分析部25から要求される情報の種類は、(1)音声関連情報(音声セッション情報、音声品質情報)、(2)音声トラフィック情報、(3)音声通信に限らないネットワーク関連情報の3種類である。同時に複数の種類の情報が要求されることもある。
【0045】
分析部25からの要求には、音声セッションを特定する識別情報が含まれている。また、ネットワーク関連情報の要求の場合には、どの通信トラフィックに関する情報を要求するかを特定する情報が含まれている。トラフィックの特定方法には、たとえば、送信元/宛先IPアドレス、送信元/宛先ポート番号などを使用することが考えられる。
【0046】
分析部25から(1)音声関連情報を要求された場合、出力部13は、第一の通信情報記憶部24を確認し、情報を要求された音声セッションが確立中であれば、第一の通信情報収集部11へ音声関連情報を要求する。要求を受けた第一の通信情報収集部11は、音声通信機器60から音声関連情報を取得するたびに、その情報を出力部13へ出力する。情報を要求された音声セッションが終了している場合は、出力部13は、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブル(
図5の(a))から音声関連情報を取得する。そして、出力部13は音声関連情報を分析部25へ出力する。
【0047】
分析部25から(2)音声トラフィック情報を要求された場合、出力部13は、情報を要求された音声セッションが終了している場合は、第一の通信情報記憶部24の音声通信テーブル(
図5の(b))から音声トラフィック情報を取得する。
【0048】
情報を要求された音声セッションが確立中であれば、出力部13は、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブル(
図5の(a))から音声セッション情報を、音声経路テーブル(
図5の(c))から経路情報を取得する。そして、それらの情報に基づいて、出力部13はネットワーク情報収集部12から当該音声セッションの音声トラフィック情報を所定時間おきに取得する。そして、出力部13は取得した音声トラフィック情報を分析部25へ出力する。
【0049】
なお、出力部13は、音声トラフィック情報だけでなく、音声通信で使用している通信経路の周辺経路のトラフィック情報も合わせて取得して出力しても良い。たとえば、出力部13がネットワーク情報収集部12から音声トラフィック情報を取得する際に、音声トラフィック情報とともに、周辺のトラフィック情報も合わせて取得する。あるいは、監視開始時などに、出力部13が、周辺のトラフィック情報も合わせて取得する旨の情報を第一の通信情報収集部11へ通知する。そして、第一の通信情報収集部11は、音声トラフィック情報とともに周辺のトラフィック情報も第一の通信情報記憶部24へ記憶させる。周辺のトラフィック情報も取得する旨の情報は、たとえば、音声通信で使用している経路から何ホップ以内のネットワーク機器のトラフィック情報を取得するかを表す数値などである。音声品質の悪化時に経路切り替えなどを行って音声品質の向上を行う可能性があるため、通信監視装置20は、利用している経路のトラフィック情報だけでなく、その周辺経路のトラフィック情報も取得することが望ましい。
【0050】
分析部25から(3)ネットワーク関連情報を要求された場合、出力部13は、ネットワーク情報収集部12からネットワーク関連情報を取得し、取得したネットワーク関連情報を分析部25へ出力する。
【0051】
分析部25は、音声品質悪化の原因箇所の特定や要因の究明などの分析を行い、音声品質を改善するための改善案を決定し、改善案に応じてネットワーク制御要求を行う部分である。分析部25は、音声関連情報、音声トラフィック情報およびネットワーク関連情報の中から分析に使用する情報を出力部13へ要求する。そして、分析部25は、出力部13から出力された情報に基づいて、音声品質の悪化の有無、悪化している箇所、その原因の分析を行う。分析部25は、さらに分析の結果に応じて音声品質悪化を改善するための改善案を決定し、ネットワーク制御部26へネットワーク制御要求を行う。
【0052】
分析部25は、問題箇所とその原因を、たとえば、どのネットワーク機器70のどのパラメータの統計情報の値が悪化しているかに基づいて判断することができる。また、分析部25は、性能が悪化しているネットワーク機器70を迂回するように音声通信の経路を変更する、各ネットワーク機器70に設定されている優先度設定を変更する、等の改善策を決定することができる。
【0053】
ネットワーク制御部26は、分析部25からのネットワーク制御要求に従ってネットワーク機器70を制御する部分である。分析部25からネットワーク制御部26に対して、改善案に応じたネットワーク制御要求を行うことによって、ネットワーク制御部26はネットワーク機器70を改善案に従って制御することができる。
【0054】
このように通信監視装置20を構成することによって、通信監視装置20は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する。ネットワーク関連情報には、第一の通信に関するネットワーク関連情報だけでなく、他の通信に関するネットワーク関連情報も含まれる。そのため、特定の通信に関する情報とともに他の通信に関するネットワーク情報を収集して特定の通信の品質向上に利用することが可能になる。
【0055】
次に、
図6から
図9を用いて本実施形態の通信監視装置20の動作例について説明する。
図6は、本実施形態の通信監視装置20のネットワーク情報収集部12の動作例を示す図である。
図7は、本実施形態の通信監視装置20の第一の通信情報収集部11の動作例を示す図である。
図8および
図9は、本実施形態の通信監視装置20の出力部13の動作例を示す図である。
【0056】
まず、
図6を用いてネットワーク情報収集部12の動作例について説明する。ネットワーク情報収集部12は、ネットワーク機器70から所定時間おきにネットワーク関連情報を収集している(ステップS201)。また、音声セッションに関する経路変更を検知した場合には(ステップS202でYES)、経路変更を第一の通信情報収集部11へ通知する(ステップS203)。また、第一の通信情報収集部11あるいは出力部13からネットワーク関連情報や音声トラフィック情報の要求を受信したときは(ステップS204でYES)、要求された情報を要求元へ応答する(ステップS205)。
【0057】
次に、
図7を用いて、第一の通信情報収集部11の音声関連情報および音声トラフィック情報の収集動作の例について説明する。
【0058】
ある音声セッションが開始したとき(ステップS301でYES)、第一の通信情報収集部11は、音声セッション情報を音声通信機器60から取得し、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブル(
図5(a))に記憶させる。また、第一の通信情報収集部11は、音声セッションで利用される経路情報をネットワーク情報収集部12から取得し、第一の通信情報記憶部24の音声経路テーブルに記憶させる(
図5(c))(ステップS302)。
【0059】
音声セッションが開始した後は、第一の通信情報収集部11は、所定時間おきなどの所定のタイミングで音声品質情報を収集し、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブルに記憶させる(ステップS303)。
【0060】
また、経路変更が発生した場合には(ステップS304でYES)、第一の通信情報収集部11は、ネットワーク情報収集部12から経路情報を取得し、第一の通信情報記憶部24の音声経路テーブルに記憶させる(ステップS305)。また、第一の通信情報収集部11は、ネットワーク情報収集部12から経路変更前の音声トラフィック情報を取得し、第一の通信情報記憶部24の音声通信テーブルに記憶させる(ステップS306)。
【0061】
音声セッションが終了した場合(ステップS307でYES)、第一の通信情報収集部11はネットワーク情報収集部12から当該音声セッションの音声トラフィック情報を取得し、第一の通信情報記憶部24の音声通信テーブルに記憶させる(ステップS308)。
【0062】
次に、
図8を用いて、分析部25から音声関連情報の要求を受けたときの出力部13の動作例について説明する。
【0063】
出力部13は、分析部25から音声関連情報の要求を受信する(ステップS401でYES)。次に、情報を要求された音声セッションが確立中であれば(ステップS402でNO)、出力部13は第一の通信情報収集部11へ音声関連情報を要求する(ステップS403)。出力部13から音声関連情報の要求を受信した場合、第一の通信情報収集部11は、
図7のステップS308で音声品質情報を音声通信機器60から取得するたびに、音声品質情報を出力部13へ出力する。そして、出力部13は、第一の通信情報収集部11から音声関連情報を受信するたびに(ステップS404でYES)、その情報を出力部13へ出力する(ステップS405)。要求が終了したことを示す情報を受信した場合(ステップS406でYES)、出力部13は第一の通信情報収集部11へ要求の終了を通知し、第一の通信情報収集部11は出力部13への音声関連情報の出力を終了する(ステップS407)。
【0064】
情報を要求された音声セッションが終了している場合は、出力部13は、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブル(
図5の(a))から音声関連情報を取得して出力する(ステップS408、ステップS409)。
【0065】
次に、
図9を用いて、分析部25から音声トラフィック情報の要求を受信したときの出力部13の動作例について説明する。
【0066】
出力部13は、ある音声セッションに関する音声関連情報の要求を分析部25から受信する(ステップS501でYES)。次に、音声セッションが終了している場合(ステップS502でYES)、
図7のステップS308で音声トラフィック情報が第一の通信情報記憶部24の音声通信テーブルに記録されている。そのため、出力部13は、音声通信テーブルから情報を取得し、出力する(ステップS503、ステップS504)。
【0067】
音声セッションが終了していない場合(ステップS502でNO)、出力部13は、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブルからセッション情報を、音声経路テーブルから経路情報を取得する(ステップS505)。そして、それらの情報に基づいて、ネットワーク情報収集部12から当該音声セッションに関する音声トラフィック情報を所定時間おきに取得し、出力する(ステップS506、ステップS507)。
【0068】
分析部25から要求終了のメッセージを受信した場合は(ステップS508でYES)、出力部13はステップS506およびステップS507の処理を終了する。要求終了のメッセージは、管理者などにより分析部25経由で意図的に送信されることもあれば、表示デバイス上に表示されているGUIの画面を管理者が閉じるなどによって自動的に送信されることも考えられる。
【0069】
なお、出力部13が音声トラフィック情報を取得する間隔を小さくしても、その間にネットワーク情報収集部12が収集するネットワーク関連情報が更新されていない場合は、出力部13は新しい情報を得ることができない。そのため、この間隔は、ネットワーク情報収集部12がネットワーク関連情報を収集する間隔以上であることが望ましい。
【0070】
次に、分析部25からある音声セッション以外の通信に関するネットワーク関連情報の要求を受けた場合の出力部13の動作例について説明する。この動作例は、出力部13が音声セッション情報を要求された場合の動作例(
図9)と似ている。そのため、ネットワーク関連情報を要求された場合の出力部13の動作例についても
図9を用いて説明する。また、
図9の「音声トラフィック情報」を「ネットワーク関連情報」、また、ステップS503の「第一の通信情報記憶部から」を「ネットワーク情報収集部から」に置き換えて説明する。
【0071】
出力部13は、ネットワーク関連情報の要求を分析部25から受信する(ステップS501でYES)。次に、出力部13は、音声セッションが終了している場合(ステップS502でYES)、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブルから音声セッション情報を、音声通信テーブルから経路情報を取得する。そして、それらの情報に基づいて、ネットワーク情報収集部12から音声セッション以外の通信に関するネットワーク関連情報を取得して(ステップS503)、出力する(ステップS504)。
【0072】
音声セッションが確立中の場合(ステップS502でNO)、出力部13は、第一の通信情報記憶部24の音声セッションテーブルから音声セッション情報を、音声経路テーブルから経路情報を取得する(ステップS505)。そして、分析部25から受信したその他の通信を特定するための情報と、音声セッション情報および経路情報に基づいて、ネットワーク情報収集部12から、特定の通信のネットワーク関連情報を取得して(ステップS506)、出力する(ステップS507)。
【0073】
分析部25からら要求終了のメッセージを受信した場合は(ステップS508でYES)、出力部13は、ステップS506およびステップS507の繰り返しを終了する。
【0074】
このように動作することによって、通信監視装置20は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する。ネットワーク関連情報には、第一の通信に関するネットワーク関連情報だけでなく、他の通信に関するネットワーク関連情報も含まれる。そのため、特定の通信に関する情報とともに他の通信に関するネットワーク情報を収集して特定の通信の品質向上に利用することが可能になる。
【0075】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、通信監視装置20は、監視対象のネットワーク機器から第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集する。ネットワーク関連情報には、第一の通信に関するネットワーク関連情報だけでなく、他の通信に関するネットワーク関連情報も含まれる。そのため、特定の通信に関する情報とともに他の通信に関するネットワーク情報を収集して特定の通信の品質向上に利用することが可能になる。
【0076】
また、本実施形態の通信監視装置20のネットワーク情報収集部12は、経路上の音声通信やその他の特定の通信のネットワーク情報に限定せずにネットワーク情報を収集する。そして、通信監視装置20の出力部13が、ネットワーク情報収集部12が収集したネットワーク情報の中から必要な情報を必要なタイミングで取得することにより、欲しいデータを柔軟に取得することができる。監視や問題要因の把握に利用するのであれば必要なデータは限定される可能性もあるが、音声品質向上のための制御を行うことを考慮すると、音声通信経路の周辺のトポロジやトラフィック情報を含め様々なデータが必要になる。必要なデータは状況によって変わってくるため、必要なデータをあらかじめ指定して収集することは困難である。したがって、必要なデータを適宜収集できる仕組みは重要である。
【0077】
また、ネットワーク情報収集部12が音声関連情報とは独立にネットワーク関連情報を収集するため、収集したネットワーク関連情報を、音声通信監視サービス以外の他のサービスでも利用することが容易である。たとえば、音声通信に限定しない一般的なネットワーク監視・制御サービスでも利用できる。したがって、利用するサービスごとにネットワーク情報を収集する仕組みを準備する必要が無くなる。
【0078】
一方、本実施形態の通信監視装置20は、音声関連情報とネットワーク関連情報とを独立に収集するため、ある音声セッションに対応する音声トラフィック情報を、大量のネットワーク関連情報の中から抽出して取得する必要がある。本実施形態の通信監視装置20の第一の通信情報収集部11は、各音声セッションで利用される通信経路情報を音声関連情報と合わせて記録・管理する。これにより、第一の通信情報収集部11は、どの期間のどのネットワーク機器のどのトラフィック情報が必要かを明確に指定してネットワーク情報収集部12から情報を取得することができる。そのため、本実施形態の第一の通信情報収集部11は、必要な音声トラフィック情報を効率的(低遅延)に取得することができる。
【0079】
また、本実施形態の通信監視装置20は、音声トラフィック情報は第一の通信情報記憶部24へ記憶させる一方で、利用頻度が低いと思われるその他の通信のネットワーク関連情報は保管せずに適宜取得している。情報取得時の遅延と情報取得にかかる処理コストはトレードオフの関係にあるが、データベースに保管する情報と適宜取得する情報を使い分けることで、情報取得時の遅延と取得にかかる処理コストの最適化を図ることができる。
【0080】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における通信監視装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、通信監視装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、通信監視装置は、専用の装置として実現してもよい。また、通信監視装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現しても良い。
【0081】
図10は、本発明の各実施形態の通信監視装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を備える。
【0082】
通信インタフェース91は、各実施形態の通信監視装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、通信監視装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続しても良い。
【0083】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0084】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置である。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0085】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であっても良い。
【0086】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0087】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0088】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0089】
本発明の各実施形態は、たとえば、
図10に例示した情報処理装置90により通信監視装置を構成し、この通信監視装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0090】
この場合、通信監視装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、通信監視装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0091】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、通信監視装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して通信監視装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0092】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【0093】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0094】
(付記1)
第一の通信に関する第一の通信関連情報を収集する第一の通信情報収集部と、
監視対象のネットワーク機器から前記第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集するネットワーク情報収集部と、
前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報を出力する出力部と
を備えることを特徴とする通信監視装置。
【0095】
(付記2)
前記ネットワーク関連情報は、少なくとも、前記第一の通信に関する第一のネットワーク関連情報、および、前記第一の通信が使用する通信経路を使用する第二の通信の第二のネットワーク関連情報を含む
ことを特徴とする付記1に記載の通信監視装置。
【0096】
(付記3)
前記第一の通信関連情報は、前記第一の通信が使用する前記通信経路の経路情報および前記第一の通信のセッション情報を含み、
前記出力部は、前記経路情報および前記セッション情報に基づいて、前記ネットワーク情報収集部から前記第一のネットワーク関連情報を取得し、取得した前記第一のネットワーク関連情報を出力する
ことを特徴とする付記2に記載の通信監視装置。
【0097】
(付記4)
前記第一の通信情報収集部は、前記第一の通信が開始したとき、前記ネットワーク情報収集部から前記第一の通信の前記経路情報を取得する
ことを特徴とする付記3に記載の通信監視装置。
【0098】
(付記5)
前記ネットワーク情報収集部は、前記第一の通信の前記経路情報の変更を検知して前記第一の通信情報収集部へ通知し、
前記第一の通信情報収集部は、前記経路情報の変更が通知されたとき、前記経路情報を取得する
ことを特徴とする付記4に記載の通信監視装置。
【0099】
(付記6)
前記第一の通信は、音声通信であり、
前記第一の通信関連情報は、音声品質情報を含む
ことを特徴とする付記1から付記5のいずれかに記載の通信監視装置。
【0100】
(付記7)
前記ネットワーク関連情報は、ネットワークトポロジ情報、トラフィック情報、ルーティング情報のいずれか一つ以上を含む
ことを特徴とする付記1から付記6のいずれかに記載の通信監視装置。
【0101】
(付記8)
前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報に基づいて、前記第一の通信に関する分析を行う分析部
をさらに備え、
前記出力部は、前記分析部からの要求に応じて前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報を前記分析部へ出力する
ことを特徴とする付記1から付記7のいずれかに記載の通信監視装置。
【0102】
(付記9)
制御要求に応じて前記ネットワーク機器を制御するネットワーク制御部
をさらに備え、
前記分析部は、前記分析の結果に応じて、前記ネットワーク機器の前記制御要求を行う
ことを特徴とする付記8に記載の通信監視装置。
【0103】
(付記10)
付記1から付記9のいずれかに記載の通信監視装置と、
前記ネットワーク機器と
を備えることを特徴とする通信監視システム。
【0104】
(付記11)
第一の通信に関する第一の通信関連情報を収集し、
監視対象のネットワーク機器から前記第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集し、
前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報を出力する
ことを特徴とする通信監視方法。
【0105】
(付記12)
前記ネットワーク関連情報は、少なくとも、前記第一の通信に関する第一のネットワーク関連情報、および、前記第一の通信が使用する通信経路を使用する第二の通信の第二のネットワーク関連情報を含む
ことを特徴とする付記11に記載の通信監視方法。
【0106】
(付記13)
前記第一の通信関連情報は、前記第一の通信が使用する前記通信経路の経路情報および前記第一の通信のセッション情報を含み、
前記経路情報および前記セッション情報に基づいて、前記第一のネットワーク関連情報を取得し、取得した前記第一のネットワーク関連情報を出力する
ことを特徴とする付記12に記載の通信監視方法。
【0107】
(付記14)
前記第一の通信が開始したとき、前記第一の通信の前記経路情報を取得する
ことを特徴とする付記13に記載の通信監視方法。
【0108】
(付記15)
前記第一の通信の前記経路情報の変更を検知し、
前記経路情報が変更されたとき、前記経路情報を取得する
ことを特徴とする付記14に記載の通信監視方法。
【0109】
(付記16)
前記第一の通信は、音声通信であり、
前記第一の通信関連情報は、音声品質情報を含む
ことを特徴とする付記11から付記15のいずれかに記載の通信監視方法。
【0110】
(付記17)
前記ネットワーク関連情報は、ネットワークトポロジ情報、トラフィック情報、ルーティング情報のいずれか一つ以上を含む
ことを特徴とする付記11から付記16のいずれかに記載の通信監視方法。
【0111】
(付記18)
前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報に基づいて、前記第一の通信に関する分析を行う
ことを特徴とする付記11から付記17のいずれかに記載の通信監視方法。
【0112】
(付記19)
前記分析の結果に応じて、前記ネットワーク機器の制御要求を行い、
前記制御要求に応じて前記ネットワーク機器を制御する
ことを特徴とする付記18に記載の通信監視方法。
【0113】
(付記20)
コンピュータに、
第一の通信に関する第一の通信関連情報を収集する第一の通信情報収集機能と、
監視対象のネットワーク機器から前記第一の通信以外の通信に関する情報を含むネットワーク関連情報を収集するネットワーク情報収集機能と、
前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報を出力する出力機能と
を実現させることを特徴とする通信監視プログラム。
【0114】
(付記21)
前記ネットワーク関連情報は、少なくとも、前記第一の通信に関する第一のネットワーク関連情報、および、前記第一の通信が使用する通信経路を使用する第二の通信の第二のネットワーク関連情報を含む
ことを特徴とする付記20に記載の通信監視プログラム。
【0115】
(付記22)
前記第一の通信関連情報は、前記第一の通信が使用する前記通信経路の経路情報および前記第一の通信のセッション情報を含み、
前記出力機能は、前記経路情報および前記セッション情報に基づいて、前記ネットワーク情報収集機能から前記第一のネットワーク関連情報を取得し、取得した前記第一のネットワーク関連情報を出力する
ことを特徴とする付記21に記載の通信監視プログラム。
【0116】
(付記23)
前記第一の通信情報収集機能は、前記第一の通信が開始したとき、前記ネットワーク情報収集機能から前記第一の通信の前記経路情報を取得する
ことを特徴とする付記22に記載の通信監視プログラム。
【0117】
(付記24)
前記ネットワーク情報収集機能は、前記第一の通信の前記経路情報の変更を検知して前記第一の通信情報収集機能へ通知し、
前記第一の通信情報収集機能は、前記経路情報の変更が通知されたとき、前記経路情報を取得する
ことを特徴とする付記23に記載の通信監視プログラム。
【0118】
(付記25)
前記第一の通信は、音声通信であり、
前記第一の通信関連情報は、音声品質情報を含む
ことを特徴とする付記20から付記24のいずれかに記載の通信監視プログラム。
【0119】
(付記26)
前記ネットワーク関連情報は、ネットワークトポロジ情報、トラフィック情報、ルーティング情報のいずれか一つ以上を含む
ことを特徴とする付記20から付記25のいずれかに記載の通信監視プログラム。
【0120】
(付記27)
前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報に基づいて、前記第一の通信に関する分析を行う分析機能
をさらにコンピュータに実現させ、
前記出力機能は、前記分析機能からの要求に応じて前記第一の通信関連情報および前記ネットワーク関連情報を前記分析機能へ出力する
ことを特徴とする付記20から付記26のいずれかに記載の通信監視プログラム。
【0121】
(付記28)
制御要求に応じて前記ネットワーク機器を制御するネットワーク制御機能
をさらにコンピュータに実現させ、
前記分析機能は、前記分析の結果に応じて、前記ネットワーク機器の前記制御要求を行う
ことを特徴とする付記27に記載の通信監視プログラム。