(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953916
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】温度調整装置及びステアリング
(51)【国際特許分類】
F25B 21/02 20060101AFI20211018BHJP
B62D 1/08 20060101ALI20211018BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
F25B21/02 T
B62D1/08
H01L35/30
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-168642(P2017-168642)
(22)【出願日】2017年9月1日
(65)【公開番号】特開2019-45071(P2019-45071A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】南部 勇一
(72)【発明者】
【氏名】長田 健志
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−077810(JP,A)
【文献】
特開平05−162347(JP,A)
【文献】
特開2008−102807(JP,A)
【文献】
特開2015−003698(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/126444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 21/02−21/04
B62D 1/04−1/11
H01L 35/28−35/32
G05D 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電されることにより一端側が加熱側となり他端側が冷却側となる熱電変換素子と、
該熱電変換素子の加熱側に直接に又は伝熱部材を介して接続された主放熱ブロックと、
該主放熱ブロックが熱膨張したときに該主放熱ブロックと面接触する副放熱ブロックと
を備え、
前記主放熱ブロックは、前記熱電変換素子又は伝熱部材が接する受熱面と、該受熱面と交差方向の複数の放熱面とを有しており、
各放熱面に対面してそれぞれ前記副放熱ブロックが配置されていることを特徴とする温度調整装置。
【請求項2】
請求項1の温度調整装置において、前記主放熱ブロックは、前面、背面及び第1〜第4の側面を有した直方体又は立方体形状であり、第1〜第4の側面はこの順に主放熱ブロックを周回しており、
該前面に前記熱電変換素子又は伝熱部材が接しており、
第1〜第4の側面にそれぞれ第1〜第4の副放熱ブロックが対面しており、
主放熱ブロックが熱膨張を開始するとまず第1及び第3の側面と第1及び第3の副放熱ブロックが面接触し、その後第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックとが面接触することを特徴とする温度調整装置。
【請求項3】
請求項2の温度調整装置において、前記主放熱ブロックの第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックの主放熱ブロック対峙面との一方に凸部が設けられ、他方に該凸部が入り込み得る凹部が設けられており、
前記第2及び第4の副放熱ブロックは、それぞれ前記第2及び第4の面に対し斜め方向に離反方向移動可能であると共に、付勢部材によって接近方向に付勢されており、
前記主放熱ブロックが所定温度まで昇温するまでは前記凸部と凹部とは非係合状態となっており、
前記主放熱ブロックが所定温度以上に昇温すると前記凸部が凹部に入り込み、前記第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックとが面接触することを特徴とする温度調整装置。
【請求項4】
請求項2の温度調整装置において、
前記主放熱ブロックの第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックの主放熱ブロック対峙面との一方に凸部が設けられ、他方に該凸部が入り込み得る凹部が設けられており、
前記第1及び第3の副放熱ブロックは、それぞれ前記第1及び第3の面に対し離反方向移動可能であり、
前記主放熱ブロックが所定温度にまで昇温するまでは、第1及び第3の副放熱ブロックと主放熱ブロックとは離反しており、
前記第2及び第4の副放熱ブロックは、それぞれ前記第2及び第4の面に対し離反方向移動可能であると共に、付勢部材によって接近方向に付勢されており、
前記主放熱ブロックが所定温度にまで昇温するまでは、前記第2及び第4の副放熱ブロックは、前記第1及び第3の副放熱ブロックに跨っており、
前記主放熱ブロックが所定温度以上に昇温すると、主放熱ブロックが第1及び第3の副放熱ブロックに面接触するとともに第1及び第3の副放熱ブロックを押して退動させ、第1及び第3の副放熱ブロック間の間隔が第2及び第4の副放熱ブロックの幅よりも大きくなり、前記付勢部材に付勢された第2及び第4の副放熱ブロックが前記主放熱ブロックに接近移動し、その後、主放熱ブロックが冷却されて収縮すると、前記凸部が凹部に入り込み、前記第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックとが面接触することを特徴とする温度調整装置。
【請求項5】
請求項3又は4の温度調整装置において、前記凸部は前記前面と背面とを結ぶ方向に延在するナイフエッジであり、前記凹部は溝であることを特徴とする温度調整装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の温度調整装置を備えたステアリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のステアリングに設置するのに好適な温度調整装置に関するものであり、特に熱電変換素子を用いた温度調整装置に関する。また、本発明は、この温度調整装置を備えたステアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールの温度調整装置としては、例えば特許文献1,2に記載されたものが知られている。特許文献1の装置は、発熱・吸熱する熱電変換素子としてのペルチェ素子をステアリングホイールに内蔵しており、該ステアリングホイールの現在の温度(実温度)を温度センサ(サーミスタ)により検出して、所定の温度にするように、加熱・冷却を選択すべくペルチェ素子への印加電圧の極性を切り替えるとともに、該印加電圧のオン・オフ(断続)制御によりステアリングホイールの温度を調節する。
【0003】
特許文献2には、ペルチェ素子の熱を熱伝導部材によってステアリングハンドルに伝達させるステアリングの加熱冷却装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−88679号公報
【特許文献2】特開2015−3698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱電変換素子によって効率よくステアリングを冷却することができる温度調整装置と、この温度調整装置を備えたステアリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の温度調整装置は、通電されることにより一端側が加熱側となり他端側が冷却側となる熱電変換素子と、該熱電変換素子の加熱側に直接に又は伝熱部材を介して接続された主放熱ブロックと、該主放熱ブロックが熱膨張したときに該主放熱ブロック面接触する副放熱ブロックとを有する。
【0007】
本発明の一態様では、前記主放熱ブロックは、前記熱電変換素子又は伝熱部材が接する受熱面と、該受熱面と交差方向の複数の放熱面とを有しており、各放熱面に対面してそれぞれ前記副放熱ブロックが配置されている。
【0008】
本発明の一態様では、前記主放熱ブロックは、前面、背面及び第1〜第4の側面を有した直方体又は立方体形状であり、第1〜第4の側面はこの順に主放熱ブロックを周回しており、該前面に前記熱電変換素子又は伝熱部材が接しており、第1〜第4の側面にそれぞれ第1〜第4の副放熱ブロックが対面しており、主放熱ブロックが熱膨張を開始するとまず第1及び第3の側面と第1及び第3の副放熱ブロックが面接触し、その後第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックとが面接触する。
【0009】
本発明の一態様では、前記主放熱ブロックの第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックの主放熱ブロック対峙面との一方に凸部が設けられ、他方に該凸が入り込み得る凹部が設けられており、前記第2及び第4の副放熱ブロックは、それぞれ前記第2及び第4の面に対し斜め方向に離反方向移動可能であると共に、付勢部材によって接近方向に付勢されており、前記主放熱ブロックが所定温度まで昇温するまでは前記凸部と凹部とは非係合状態となっており、前記主放熱ブロックが所定温度以上に昇温すると前記凸部が凹部に入り込み、前記第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックとが面接触する。
【0010】
本発明の一態様では、前記主放熱ブロックの第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックの主放熱ブロック対峙面との一方に凸部が設けられ、他方に該凸部が入り込み得る凹部が設けられており、前記第1及び第3の副放熱ブロックは、それぞれ前記第1及び第3の面に対し離反方向移動可能であり、前記主放熱ブロックが所定温度にまで昇温するまでは、第1及び第3の副放熱ブロックと主放熱ブロックとは離反しており、前記第2及び第4の副放熱ブロックは、それぞれ前記第2及び第4の面に対し離反方向移動可能であると共に、付勢部材によって接近方向に付勢されており、前記主放熱ブロックが所定温度にまで昇温するまでは、前記第2及び第4の副放熱ブロックは、前記第1及び第3の副放熱ブロックに跨っており、前記主放熱ブロックが所定温度以上に昇温すると、主放熱ブロックが第1及び第3の副放熱ブロックに面接触するとともに第1及び第3の副放熱ブロックを押して退動させ、第1及び第3の副放熱ブロック間の間隔が第2及び第4の副放熱ブロックの幅よりも大きくなり、前記付勢部材に付勢された第2及び第4の副放熱ブロックが前記主放熱ブロックに接近移動し、その後、主放熱ブロックが冷却されて収縮すると、前記凸部が凹部に入り込み、前記第2及び第4の側面と第2及び第4の副放熱ブロックとが面接触する。
【0011】
本発明の一態様では、前記凸部は前記前面と背面とを結ぶ方向に延在するナイフエッジであり、前記凹部は溝である。
【0012】
本発明のステアリングは、かかる本発明の温度調整装置を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温度調整装置では、熱電変換素子からの熱により主放熱ブロックが所定温度にまで昇温して熱膨張すると、主放熱ブロックが副放熱ブロックに面接触し、主放熱ブロックの熱が副放熱ブロックに伝熱し、主放熱ブロックの温度が低下する。これにより、熱電変換素子の加熱側が降温する。
【0014】
本発明の一態様では、熱電変換素子からの熱により主放熱ブロックが第1の所定温度にまで昇温すると、主放熱ブロックと第1及び第3の副放熱ブロックとが面接触し、主放熱ブロックが降温する。その後、さらに主放熱ブロックが昇温し、第2の所定温度にまで達すると、主放熱ブロックと第2及び第4の副放熱ブロックとが面接触し、主放熱ブロックが降温する。
【0015】
本発明の温度調整装置によると、温度が高くなったステアリングを迅速に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る温度調整装置の断面図である。
【
図2】実施の形態に係る温度調整装置の主放熱ブロック及び副放熱ブロックを示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る温度調整装置の昇温時の断面図である。
【
図4】実施の形態に係る温度調整装置の昇温時の断面図である。
【
図5】実施の形態に係るステアリングの斜視図である。
【
図6】別の実施の形態に係る温度調整装置の断面図である。
【
図7】
図6の実施の形態に係る温度調整装置の昇温時の断面図である。
【
図8】
図6の実施の形態に係る温度調整装置の昇温時の断面図である。
【
図9】さらに別の実施の形態に係る温度調整装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜4を参照して第1の実施の形態に係る温度調整装置1について説明する。
【0018】
この温度調整装置1は、熱電変換素子2の加熱側が接続された主放熱ブロック10と、該主放熱ブロック10が熱膨張したときに面接触する第1〜第4の副放熱ブロック21〜24とを有する。なお、この実施の形態では、熱電変換素子2が主放熱ブロック10に直接的に接しているが、熱電変換素子が伝熱部材を介して主放熱ブロック10に伝熱可能に接続された構成とされてもよい。
【0019】
主放熱ブロック10は、直方体又は立方体であり、前面(受熱面)15、背面(符号略)及び第1〜第4の側面11〜14を有している。前面15に熱電変換素子2が設置されている。第2及び第4の側面12,14には前面15と背面とを結ぶ方向に延在する2条のナイフエッジ16が設けられている。第2,第4の側面は、ナイフエッジ16を除き、平面よりなる。第1及び第3の側面11,13は平面よりなる。
【0020】
主放熱ブロック10及び副放熱ブロック21〜24は、金属等よりなる。第1及び第3の副放熱ブロック21,23は直方体又は立方体よりなり、それぞれ1つの側面が第1の側面11,13と対面している。常温にあっては、第1及び第3の副放熱ブロック21,23と第1及び第3の側面11,13との間には若干の間隙があいている。
【0021】
第2及び第4の副放熱ブロック22,24は、六面体よりなるが、前面から見たときの形状が平行四辺形である斜方柱形状となっている。第2及び第4の副放熱ブロック22,24は、1つの側面(副放熱ブロック22の下面と副放熱ブロック24の上面)が第2及び第4の側面12,14に対面している。副放熱ブロック22の下面及び副放熱ブロック24の上面には、前面と背面とを結ぶ方向に延在する2条の溝26が設けられている。
【0022】
主放熱ブロック10及び副放熱ブロック21〜24はケーシング30内に設置されている。該ケーシング30は、放射4方向に延出する第1〜第4のチャンバ31〜34を備えており、チャンバ31〜34内に副放熱ブロック21〜24が配置されている。ケーシング30の中央部に主放熱ブロック10が配置されている。第2及び第4のチャンバ32,34は正面視が平行四辺形となっている。
【0023】
第2及び第4の副放熱ブロック22,24は第2及び第4のチャンバ32,34内において主放熱ブロック10に対し接近・離反方向移動可能となっており、バネ35によって主放熱ブロック10への接近方向に付勢されている。
【0024】
なお、図示は省略するが、第2及び第4チャンバ32,34の内面には、
図1に示す状態よりも副放熱ブロック22,24が主放熱ブロック10へ接近することを阻止するためのストッパが設けられている。
図1の状態では、副放熱ブロック22,24は該ストッパに当接している。また、
図1の状態では、ナイフエッジ16と溝26とはずれた非対面状態にある。
【0025】
温度調整装置1が常温(室温)又はそれよりも低温である場合、主放熱ブロック10は
図1の通り副放熱ブロック21〜24から離反している。
【0026】
熱電変換素子2からの熱によって主放熱ブロック10が昇温すると、主放熱ブロック10が熱膨張する。主放熱ブロック10が第1の所定温度にまで昇温すると、主放熱ブロック10が熱膨張し、その第1及び第3の側面11,13が
図3の通り第1及び第3の副放熱ブロック21,23に面接触し、主放熱ブロック10の保有熱が第1及び第3の副放熱ブロック21,23に奪熱され、主放熱ブロック10が降温する。これにより、主放熱ブロック10は降温分だけ収縮する。副放熱ブロック21,23が主放熱ブロック10と面接触した後、主放熱ブロック10によって押圧された場合に、副放熱ブロック21,23が退動するように、副放熱ブロック21,23とチャンバ31,33の奥面との間にゴム等の弾性体を介在させてもよい。
【0027】
なお、主放熱ブロック10が常温から昇温すると、主放熱ブロック10が熱膨張し、ナイフエッジ16が第2及び第4の副放熱ブロック22,24に当接し、副放熱ブロック22,24が主放熱ブロック10に押されて後退する。副放熱ブロック22,24とがチャンバ32,34内を斜めに退動することにより、ナイフエッジ16と溝26とが接近する。
【0028】
前述のように副放熱ブロック21,23に奪熱されて降温した主放熱ブロック10が、その後、熱電変換素子2からの熱によって再度昇温すると、主放熱ブロック10が再度熱膨張する。主放熱ブロック10が第1の所定温度を超えて第2の所定温度にまで達すると、
図4の通りナイフエッジ16が溝26に入り込み、主放熱ブロック10と第2及び第4の副放熱ブロック22,24が面接触し、主放熱ブロック10の保有熱が副放熱ブロック22,24に奪熱され、主放熱ブロック10が降温する。
【0029】
このように、主放熱ブロック10が副放熱ブロック21〜24に奪熱されて降温することにより、熱電変換素子2の加熱側が降温するので、熱電変換素子2による冷却が効率よく行われる。その後、主放熱ブロック10が降温すると主放熱ブロック10は収縮し、常温以下にまで降温した場合、
図1の状態に復帰する。
【0030】
図6〜8を参照して第2の実施の形態に係る温度調整装置1Aについて説明する。
【0031】
この温度調整装置1Aも、前面に熱電変換素子2の加熱側が接続された主放熱ブロック10と、該主放熱ブロック10が熱膨張したときに面接触する第1〜第4の副放熱ブロック21〜24とを有する。
【0032】
主放熱ブロック10は、直方体又は立方体であり、第1〜第4の側面11〜14を有している。第2及び第4の側面12,14には前面15と背面とを結ぶ方向に延在する2条のナイフエッジ16が設けられている。第2,第4の側面は、ナイフエッジ16を除き、平面よりなる。第1及び第3の側面11,13は平面よりなる。
【0033】
主放熱ブロック10及び副放熱ブロック21〜24は、金属等よりなる。第1〜第4の副放熱ブロック21〜24は直方体又は立方体よりなり、それぞれ1つの側面が第1〜第4の側面11〜14と対面している。常温にあっては、第1及び第3の副放熱ブロック21,23と第1及び第3の側面11,13との間には若干の間隙があいている。
【0034】
第2及び第4の副放熱ブロック22,24は、1つの側面(副放熱ブロック22の下面と副放熱ブロック24の上面)が第2及び第4の側面12,14に対面する対峙面となっている。副放熱ブロック22の下面及び副放熱ブロック24の上面には、主放熱ブロック10の前面と背面とを結ぶ方向に延在する2条の溝26が設けられている。常温にあっては、副放熱ブロック22,24は、副放熱ブロック21,23間に跨っている。即ち、副放熱ブロック22の下面の両端と副放熱ブロック24の上面の両端が副放熱ブロック21,23の上面と下面に当接している。
【0035】
主放熱ブロック10及び副放熱ブロック21〜24はケーシング(
図6〜8では図示略)内に設置されている。この第2の実施の形態では、第1〜第4の副放熱ブロック21〜24は第1〜第4の側面11〜14と垂直方向に移動可能である。
【0036】
副放熱ブロック22,24は、バネ35によって主放熱ブロック10への接近方向に付勢されており、
図6の状態では、副放熱ブロック22,24は副放熱ブロック21,23に跨ってこれらに押し付けられている。
【0037】
温度調整装置1Aが常温(室温)又はそれよりも低温である場合、主放熱ブロック10は
図6の通り副放熱ブロック21〜24から離反している。また、このとき、各ナイフエッジ16は凹部26よりも中央側(主放熱ブロック10の面11,13を結ぶ方向の中央側)に位置している。
【0038】
熱電変換素子2からの熱によって主放熱ブロック10が昇温すると、主放熱ブロック10が熱膨張する。主放熱ブロック10が所定温度にまで昇温すると、主放熱ブロック10の第1及び第3の側面11,13が
図7の通り第1及び第3の副放熱ブロック21,23に面接触する。そして、副放熱ブロック21,23が主放熱ブロック10によって押圧され、退動する。
【0039】
これにより、副放熱ブロック21,23の間隔が副放熱ブロック22,24の幅よりも大きくなり、副放熱ブロック22,24が副放熱ブロック21,23から外れ、バネ35によって主放熱ブロック10に向って押圧され、ナイフエッジ16に押し付けられる。このとき、熱膨張した主放熱ブロック10の各ナイフエッジ16は、溝26よりも外側に位置している。なお、
図6から
図7の状態に移行する途中で、ナイフエッジ16が溝26の対面位置を通過するときには、副放熱ブロック22,24が副放熱ブロック21,23に跨っているので、ナイフエッジ16は溝26に入り込まない。
【0040】
主放熱ブロック10が副放熱ブロック21,23に面接触している間に、主放熱ブロック10が奪熱されて降温し、収縮する。そうすると、
図8の通り、主放熱ブロック10と副放熱ブロック21,23との間に隙間が生じる。また、主放熱ブロック10が収縮することにより、ナイフエッジ16と溝26とが重なり合った位置関係となり、ナイフエッジ16が溝26に入り込み、主放熱ブロック10と第2及び第4の副放熱ブロック22,24が面接触し、主放熱ブロック10の保有熱が副放熱ブロック22,24に奪熱され、主放熱ブロック10が降温する。この際、主放熱ブロック10と第1及び第3の副放熱ブロック21,23との間に隙間が存在するので、副放熱ブロック22,24は主放熱ブロック10の熱のみを奪熱する。
【0041】
このように、主放熱ブロック10が副放熱ブロック21〜24に奪熱されて降温することにより、熱電変換素子の加熱側が降温するので、熱電変換素子による冷却が効率よく行われる。
【0042】
上記実施の形態では、ナイフエッジと溝とを採用しているが、
図9に示す第3の実施の形態では、凸部として傾転可能な可動片50が用いられている。可動片50は、基端側が軸体51によって主放熱ブロック10に支持されており、外側へ回転可能となっている。主放熱ブロック10には、可動片50が倒れてきたときに入り込む凹所52が設けられている。
【0043】
図9(a)では、可動片50は主放熱ブロック10から直立している。上記
図7〜
図8のように、主放熱ブロック10が左右方向に熱収縮した場合、可動片50は主放熱ブロック10の外側へ傾く。バネ35(
図9では図示略)に付勢された副放熱ブロック22が可動片50を押すことにより、可動片50が押し倒され、
図9(b)の通り、可動片50が凹所52内に倒れ込み、副放熱ブロック22と主放熱ブロック10とが面接触状態となり、主放熱ブロック10の熱が副放熱ブロック22に奪熱される。
【0044】
本発明の温度調整装置はステアリングの冷却に好適である。
図5は温度調整装置1を備えたステアリング40の斜視図である。
【0045】
ステアリング40は、この実施の形態では所謂3本スポークタイプのものであり、その中央のステアリングハブ部41から左右及び下方の三方に向かってそれぞれスポーク部42,43,44が延出し、各スポーク部42〜44の先端側がそれぞれホイール部45に連なっている。
【0046】
ホイール部45及びスポーク部42〜44は、芯金と、芯金を覆う発泡ウレタン等の発泡合成樹脂層(図示略)と、発泡合成樹脂ウレタン層を覆う皮革などの表皮材等を有する。スポーク部42〜44の芯金に接するように、温度調整装置1が設けられている。
【0047】
上記説明は本発明の一例であり、本発明は上記以外の各種形態とされてもよい。例えば、上記実施の形態では、主放熱ブロック10にナイフエッジ16が設けられ、副放熱ブロック22,24に溝26が設けられているが、副放熱ブロック22,24にナイフエッジが設けられ、主放熱ブロック10に溝が設けられてもよい。また、ナイフエッジ以外の形状の凸部例えば円錐形凸部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1A 温度調整装置
2 熱電変換素子
10 主放熱ブロック
11〜14 側面
16 ナイフエッジ
21〜24 副放熱ブロック
26 溝
30 ケーシング
31〜34 チャンバ
35 バネ
40 ステアリング
50 可動片