(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後処理装置による用紙の折り位置は、ユーザの指定した位置からずれる場合がある。そこで、事前に折り位置のずれを抑制するための調整作業が行われる。調整作業は、例えば、次のように行われる。まず、ユーザ或いはサービスマンが、後処理装置から排出された折られた用紙について、定規等によって折り位置のずれ量を測定する。そして、ずれ量、或いは、ずれ量に対応した調整量を後処理装置を含む画像処理装置に設定する。
【0005】
しかし、このように折り位置のずれ量を手動で測定する場合には、測定するための多くの手間が必要である。
【0006】
本発明の目的は、後処理装置の折り位置調整において、折り位置のずれ量を手動で測定して折り位置調整を行う場合に比べて、より簡易に折り位置調整を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、調整パターンが形成された調整シートに対して、予め設定された基準折り位置に基づいて当該調整パターンを跨ぐように折りを実行する折り部と、前記折り部で折られた前記調整シートが広げられた状態で前記調整シートの調整パターンの画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取られた前記調整パターンの画像に現れる折り目に基づいて、折り目の位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段により特定された前記折り目の位置と、前記基準折り位置との差分に基づいて、前記折り部の折り位置を調整する折り位置調整手段と、を含む、ことを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記調整パターンは、前記調整シートが折られる領域の少なくとも一部に形成された一定濃度で塗り潰されたパターンである、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記位置特定手段は、前記調整シートの折りに沿った方向と交差する方向である交差方向において、有意に濃度が低下する位置または領域の所定位置を、前記折り目の位置として特定する、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記位置特定手段は、前記交差方向において、前記有意に濃度が低下する領域の中央の位置を、前記折り目の位置として特定する、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の画像処理装置において、前記調整シートの少なくとも1つの角の領域には、前記調整シートの前記交差方向における基準となる端を示す基準端マークが付されており、前記画像読取部は、前記調整シートが載置されるプラテンを含み、前記調整シートは、前記基準端マークが付されている位置に従って前記プラテン上に載置される、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の画像処理装置において、前記調整シートは、前記画像読取部の前記プラテンの端から離されて載置され、それにより、前記画像読取部は、前記調整シートの外郭が現れる前記調整パターンの画像を取得し、前記位置特定手段は、前記調整パターンの画像に現れる前記調整シートの外郭および折り目に基づいて、前記折り目の位置を特定する、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置において、電子写真方式により前記調整シートを含む印刷媒体に画像を形成する画像形成部をさらに含み、前記画像形成部は、前記印刷媒体に転写されたトナーを定着させる定着部を含み、前記画像形成部は、前記調整シートに前記調整パターンの画像を形成する場合に、前記調整シート以外の印刷媒体に画像を形成する場合に比べて、前記調整シートが前記定着部を通過する速度を遅くする、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の画像処理装置において、前記画像形成部は、前記調整シートに前記調整パターンの画像を形成する場合に、前記調整シート以外の印刷媒体に画像を形成する場合に比べて、前記定着部の定着温度を高くする、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記画像読取部は、前記調整シートを含む印刷媒体に照射する光源を含み、前記画像読取部は、前記調整シートの前記調整パターンを読み取る場合に、前記調整シート以外の印刷媒体に形成された画像を読み取る場合に比べて、前記光源の光量を高くする、ことを特徴とするものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1から6および請求項9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記画像読取部は、前記調整シートを含む印刷媒体に照射した光の反射光を受光する受光部を含み、前記画像読取部は、前記調整シートの前記調整パターンを読み取る場合に、前記調整シート以外の印刷媒体に形成された画像を読み取る場合に比べて、前記受光部のゲインを高くする、ことを特徴とするものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、
請求項1から6および請求項9、10のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記調整シートに前記調整パターンを形成する画像形成部をさらに含む、ことを特徴とするものである。なお、画像処理装置は、画像形成装置と言うこともできる。
【0018】
請求項12に係る発明は、
請求項1から11のいずれか一項に記載の画像処理装置において、用紙の種類毎の調整シートに対して、前記折り部、前記画像読取部、前記位置特定手段および前記折り位置調整手段による各処理を行うことで、用紙の種類毎に前記折り部の折り位置の調整を行う、ことを特徴とするものである。
【0019】
請求項13に係る発明は、
請求項1から12のいずれか一項に記載の画像処理装置において、折り方の種類毎に、前記折り部、前記画像読取部、前記位置特定手段および前記折り位置調整手段による各処理を行うことで、折り方の種類毎に前記折り部の折り位置の調整を行う、ことを特徴とするものである。
【0020】
請求項14に係る発明は、
調整パターンが形成された調整シートに対して、予め設定された基準折り位置に基づいて当該調整パターンを跨ぐように折り部により折りを実行し、折られた前記調整シートが広げられた状態で前記調整シートの前記調整パターンの画像を読み取り、読み取られた前記調整パターンの画像に現れる折り目に基づいて、当該折り目の位置を特定し、特定された前記折り目の位置と前記基準折り位置との差分に基づいて、前記折り部の折り位置の調整を行う、ことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1及び
14に係る発明によれば、折り位置のずれ量を手動で測定して折り位置調整を行う場合に比べて、より簡易に折り位置調整を行うことができる。
【0022】
請求項2及び3に係る発明によれば、調整パターンの折り目におけるトナー剥がれ等により、読み取られた調整パターンの画像に折り目が顕著に現れる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、読み取られた調整パターンの画像に折り目が幅をもって現れたとしても、折り目の位置を正確に特定することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、調整シートの折り目の位置を特定する際の調整シートの基準となる端を明確にできる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、調整シートの折り目の位置を特定する際の調整シートの外郭の位置が明確となる。
【0026】
請求項7及び8に係る発明によれば、調整シートの調整パターンの光沢度が高くなり、調整パターンにおける折り目とそれ以外の部分とのコントラストが高くなる。
【0027】
請求項9及び10に係る発明によれば、画像読取部により調整パターンにおける折り目とそれ以外の部分とのコントラストが高い画像が読み取られる。
【0028】
請求項11に係る発明によれば、
調整パターンが形成された調整シートを作成することができる。
【0029】
請求項12に係る発明によれば、
用紙の種類毎に折り部の折り位置の調整量を設定できる。
【0030】
請求項
13に係る発明によれば、
折り方の種類毎に折り部の折り位置の調整量を設定できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0033】
図1は、本実施形態の画像処理装置の概略構成図である。画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部12と、原稿の画像を読み取るイメージスキャナである画像読取部14と、記録用紙に折り処理等を施すフィニッシャーである後処理部16とを備えている。
【0034】
本実施形態の画像処理装置10は、例えば、画像読取部14で読み取った原稿の画像を、画像形成部12で記録用紙に形成する複写機能を有する複写機である。また、本実施形態の画像処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下PCという)等とネットワークを通じて接続され、PC等から印刷ジョブとして入力される画像データに基づいて画像形成部12が印刷を実行するものである。画像処理装置10は、装置本体に設けられたユーザインターフェイス(以下UIという)やPC等から記録用紙に対する折り処理の指示を受け付け、後処理部16の折り部18が記録用紙に折り処理を行うものである。以下で説明するように画像処理装置10は、折り部18による記録用紙の折りの位置の調整を行う。なお、本明細書では、「記録用紙」とは画像が形成される用紙(媒体)に限られず、画像が形成されない用紙も含む。
【0035】
画像形成部12は、記録用紙を搬送する搬送路20と、記録用紙上にトナー像を形成するトナー像形成部22と、記録用紙上のトナー像を定着させる定着部24とを備えている。また、画像処理装置10は、記録用紙が収容された複数の用紙トレイ26を備えている。
図1では、2つの用紙トレイ26が図示されているが、実際には、さらに多くの用紙トレイ26が設けられている。用紙トレイ26の各々には、例えば、記録用紙の種別(種類)に応じて記録用紙が収容されている。
【0036】
用紙トレイ26に収容された複数の記録用紙のうち一番上の記録用紙が送り出しローラ28により搬送路20に送り出されるようになっている。搬送路20は、その一端が各用紙トレイ26に接続されており、トナー像形成部22を通って、その他端が後処理部16の搬送路(不図示)に接続されている。それにより、用紙トレイ26から搬送路20に送り出された記録用紙は、トナー像形成部22に向けて搬送され、その後、定着部24を通って後処理部16に搬送されるようになっている。
【0037】
図1に示すように、画像処理装置10は手差しトレイ30を備えている。手差しトレイ30の上に置かれた記録用紙も搬送路20に送り出されるようになっており、トナー像形成部22に向けて搬送され、その後、定着部24を通って後処理部16に搬送されるようになっている。
【0038】
トナー像形成部22は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の現像ユニット32Y、32M、32C、32Kと、中間保持体として無端の転写ベルト34とを備えている。転写ベルト34は、搬送路側の転写ローラ36を含む複数のローラに巻き掛けられており、回転駆動されるようになっている。また、転写ベルト34は、現像ユニット32Y、32M、32C、32Kに設けられている感光体ドラム38Y、38M、38C、38Kに接している。
【0039】
トナー像形成部22には、画像データに基づいて生成されたY、M、C、Kの各色の画像信号(ラスタデータ)が入力されるようになっている。トナー像形成部22では、この画像信号に基づいて、現像ユニット32Y、32M、32C、32Kのそれぞれで、感光体ドラム38Y、38M、38C、38Kに、Y、M、C、Kの各色のトナー像を形成し、それぞれのトナー像を転写ベルト34に重畳させて転写する。
【0040】
トナー像形成部22には、転写ローラ36に対向してローラ38(バイアストランスファーローラ)が設けられており、記録用紙は、転写ローラ36とローラ38との間に送り込まれ、転写ベルト34と共に転写ローラ36及びローラ38に挟持される。これにより、記録用紙は、転写ベルト34のトナー像が転写されながら送り出される。
【0041】
定着部24は、一対の定着ローラ40を備えており、トナー像が転写された記録用紙は、この定着ローラ40の間に送り込まれる。定着部24は、定着ローラ40の間へ送り込まれる記録用紙を定着ローラ40によって挟持して加圧しながら加熱し、記録用紙にトナー像を定着させて送り出す。これにより、記録用紙に画像データに応じた画像が形成される。
【0042】
以上説明した画像形成部12は、電子写真方式を用いた一般的構成を適用でき、詳細な説明は省略する。
【0043】
画像処理装置10は、自動原稿搬送部44を備えている。自動原稿搬送部44は、画像読取部14(イメージスキャナ)上面の原稿台であるプラテンガラスPG上に支持されている。自動原稿搬送部44は、画像を読み取ろうとする複数の原稿が重ねて積載される原稿給紙トレイ46を有している。原稿給紙トレイ46に積載された複数の各原稿は順次プラテンガラスPG上の複写位置、すなわち、原稿搬送部材のプラテンロール48の圧接位置を通過して原稿排紙トレイ49に排出されるように構成されている。自動原稿搬送部44は、その後端部に設けた左右方向(
図1のX軸方向)に延びる図示しない回動軸によりプラテンガラスPG上面に対して回動可能であり、原稿をユーザ等が手でプラテンガラスPG上に置く場合に上方に回動される。
【0044】
画像読取部14は、プラテンガラスPGの下方に配置され、原稿画像を読み取る露光光学系50を備えている。露光光学系50は、光源52と、複数のミラーとを備えている。自動原稿搬送部44でプラテンガラスPG上面に搬送されて複写位置を通過する原稿または手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿には光源から光が照射され、原稿からの反射光は、露光光学系50を介して、固体撮像素子CCD56で電気信号に変換される。なお、手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿の画像を読み取る場合には、露光光学系50が
図1のX軸方向に移動して原稿を走査する。
【0045】
以上説明した画像読取部14は、例えば、CCD方式のイメージスキャナの一般的構成を適用でき、詳細な説明は省略する。
【0046】
後処理部16であるフィニッシャーは、画像形成部12から搬送されてきた記録用紙に折り処理を行う折り部18と、排出トレイ58とを備えている。折り部18は、記録用紙を二つ折り、内三つ折り、Z折り等の設定された折り方に折り、排出トレイ58へ排出する。なお、後処理部16は、複数枚の記録用紙を重ねて中綴じした後に二つ折りするなどして小冊子状とする小冊子作成部(不図示)や、複数枚の記録用紙を重ね、重ねた記録用紙の周縁部の所定位置をステープル止めするステープル部(不図示)などを備えていてもよい。これらの折り部18、小冊子作成部およびステープル部は、従来公知の構成を適用できる。
【0047】
図2は、折り部18の折り機構の一例の概略図である。
【0048】
図2(A)に示すように、記録用紙Pは、一対の搬送ローラ60が矢印A方向に回転することによって搬送され、ゲート62に突き当てられる。記録用紙Pは、ゲート62に突き当てられると搬送が停止する。記録用紙Pの搬送が停止すると、
図2(B)に示すように、ナイフ状の折り部材64が一対の折りローラ66に向かって矢印B方向に移動し、記録用紙Pを一対の折りローラ66に押し込む。この結果、記録用紙Pは、一対の折りローラ66によって折り込まれる。
【0049】
記録用紙Pの折り位置は、例えば、一対の搬送ローラ60から押し出される記録用紙のたわみ量に依存する。記録用紙Pは、記録用紙Pの用紙特性(記録用紙Pのこしの強さ、厚み等)によってたわむことがあり、かつ、そのたわみ量も異なる。そこで、記録用紙Pの用紙特性によって折り位置を調整する必要が生じる。なお、以上説明した「たわみ量」以外の要因によっても、記録用紙Pの折り位置の変動が生じる可能性がある。
【0050】
図3は、本実施形態の画像処理装置10の折り位置の調整処理における制御構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、制御部68と、記憶部70と、UI(ユーザインターフェイス)72とを備えている。制御部68は、CPU等のプロセッサを含み、記憶部70に格納されているプログラムに従って処理を実行する。それにより、制御部68は、後述する位置特定手段74、折り位置調整手段76等として機能する。記憶部70は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等であり、制御部68が実行するプログラム、折り位置の調整処理によって決定された調整値、一時的なデータ等を記憶する。UI72は、折り位置の調整処理における設定画面等を表示すると共に、ユーザやサービスマン等(以下、ユーザ等という)からの操作を受け付ける。制御部68は、画像形成部12、画像読取部14、および折り部18と接続され、各々を制御可能となっている。
【0051】
図4は、画像処理装置10の折り位置の調整処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、記録用紙の種類毎および記録用紙の折り方毎に、
図4のフローを実行して折り位置の調整処理を行う。
【0052】
まず、S100で、制御部68は、UI72を介して調整シートの作成指示を受け付ける。
図5は、UI72に表示される折り位置の調整処理の設定画面および調整シートの作成指示受付画面の一例を示す図である。まず、
図5(A)に示す調整項目の選択画面が表示され、ユーザ等により「フィニッシャー調整」が選択される。次に、
図5(B)に示す調整する折り方の選択画面が表示され、ユーザ等により調整する折り方が選択される。次に、
図5(C)に示す調整する記録用紙(用紙)の選択画面が表示され、ユーザ等により調整する記録用紙が選択される。そして、
図5(C)に示す「調整シートの作成スタート」のボタンがタッチされることで、調整シートの作成指示が受け付けられる。調整シートの作成指示が受け付けられると、制御部68は画像形成部12を制御して、
図5(C)で選択された記録用紙(用紙)が収納された用紙トレイ26から記録用紙を給紙して、搬送路20に送り出す。なお、
図5(C)で選択した記録用紙をユーザ等が手差しトレイ30に載置して、「調整シートの作成スタート」のボタンをタッチすることで、手差しトレイ30から記録用紙を給紙して、搬送路20に送り出すことも可能である。給紙された記録用紙が、調整シートとなる。なお、調整シートは、単に「シート」と言うこともできる。
【0053】
次に、
図4のS102で、制御部68は画像形成部12を制御して、用紙トレイ26または手差しトレイ30から給紙された記録用紙(調整シート)に、予め定められた調整パターンを印刷する。
図6(A)は、調整パターン78が印刷された調整シート80の一例を示す図である。本実施形態の調整パターン78は、一定濃度で塗り潰されたパターン(パッチ)であり、後処理部16の折り部18で調整シート80が折られる領域の少なくとも一部に印刷(形成)されるものである。なお、
図6(A)の調整シート80の角の領域に印刷されたマークは、
図6(A)の左右方向における基準となる端を示すもの(基準端マーク)である。
【0054】
図6(A)では、調整パターン78は調整シート80の中央付近に印刷されているが、上側付近、または、下側付近に印刷されたものでもよく、上側から下側に亘って印刷されたものでもよい。また、調整パターン78の幅(
図6(A)における左右方向の幅)は、
図6(A)に示されているものに限定されず、より幅が狭いもの、または、より幅が広いもの(例えば、調整シート80の左右方向の全体に亘って印刷されたもの)であってもよい。
【0055】
調整パターン78は、例えば、K色のトナーのみで印刷される。あるいは、調整パターン78は、例えば、C色、M色、Y色の各トナーを混色することで黒色に印刷される。あるいは、調整パターン78は、例えば、所定濃度のグレー色や、所定濃度の黒色以外の色であってもよい。調整パターン78の色、調整パターン78の調整シート80上の位置は、例えば、予め記憶部70に記憶しておく。なお、調整パターンである一定濃度で塗り潰されたパターンの「一定濃度」とは、厳密な意味で濃度が一定というわけではなく、例えば、設計上あるいは動作上起こり得る変動した濃度も含むものである。
【0056】
図4のS102で、調整シートに調整パターンが印刷された後は、調整シートは後処理部16に送り出される。そして、S104で、制御部68は折り部18を制御して、調整シートに折り処理を施す。この折り処理は、
図5(B)で選択した折り方で行われる。
図6(B)は、
図5(B)において「二つ折り」が選択され、その折り処理が施された調整シート80の一例が示す図である。
図6(B)において、折られた位置が斜線で示されている。調整シート80を折る位置は、基準折り位置として、例えば、予め記憶部70に記憶されている。すなわち、基準折り位置は予め設定された折り位置である。折り部18は、基準折り位置に従って調整シート80に折り処理を行うが、実際に折られる位置は基準折り位置からずれた位置となり得る。ここで、折り部18は、調整パターン78を跨ぐように折り処理を行う。なお、
図6(B)に示すように、基準端マーク82は、調整シート80の折りに沿った方向Cと交差する方向(交差方向)Dにおける基準となる端を示す。
【0057】
次に、
図4のS106で、制御部68は、折り部18で折られた調整シートを排出トレイ58に排出する。そして、ユーザ等は、排出トレイ58に排出された調整シート(折られた調整シート)を広げて、画像読取部14の上部にあるプラテンガラスPG(単にプラテンPGとも言う)上に載置する。
図7は、UI72に表示される調整シートをプラテンガラスPG上に載置する際の案内画面の一例である。
図7に示すように、UI72には、調整シートをプラテンガラスPG(プラテンPG)の端から離して載置するように案内が表示される。また、調整シートの角の領域に印刷された基準端マーク(■マーク)が左上角に来るように、かつ、基準端マーク(および調整パターン)が印刷された側がプラテンガラスPG面に向くように案内が表示される。ユーザ等は、それらに従って、プラテンガラスPG上に調整シートを広げて載置する。
【0058】
次に、
図4のS108で、制御部68は、UI72を介して調整シートの読取指示を受け付ける。具体的には、
図7に示す「調整シートのスキャンスタート」のボタンがタッチされることで、調整シートの読取指示が受け付けられる。そして、制御部68は、画像読取部14を制御して、調整シートの画像を読み取る。具体的には、画像読取部14の露光光学系50が移動して調整シートを走査することで、調整シートの画像(調整パターンの画像)を読み取る。このように、画像読取部14は、折り部18で折られた調整シートが広げられた状態で調整シートの調整パターンの画像を読み取る。
【0059】
図8は、読み取られた調整パターンの画像84の一例を示す図である。読み取られた調整パターンの画像がカラー画像である場合には、従来公知の方法で、カラー画像からモノクロ画像に変換されてもよい。
図8では、その変換後の画像が示されている。
図8に示すように、調整シートをプラテンガラスPGの端から離して載置した為、調整パターンの画像84には調整シート200の外側領域201を含んでいる。換言すれば、調整パターンの画像84には、調整シートの外郭(端部)が現れている。
【0060】
また、調整パターンの画像84において、調整パターンの領域202では折り目が入った領域204が白色、或いは、濃度が低い色となって現れる。この要因として、例えば、次の2つの要因が考えられる。1つ目の要因は、調整シートが折られることで、折り目のトナーが剥がれたことである。すなわち、一定濃度で塗り潰された調整パターンの折り目部分のトナーが剥がれることで、調整パターンの画像において折り目が顕著に現れる。2つ目の要因は、プラテンガラスPG上に調整シートを載置した時に折り目の部分がプラテンガラスPGから浮くことで、折り目の部分において反射光の角度が変わり、画像読取部14が本来受光しないはずの正反射光を受光したことである。制御部68は、この調整パターンの画像84に現れる白色、或いは、濃度が低い色の位置を特定することで、調整シートにおける折り目の位置を特定する。
【0061】
図4に戻り、S110で、制御部68は位置特定手段74として機能して、調整パターンの画像に現れる折り目に基づいて、折り目の位置を特定する。
図8に示すように、左右方向(x軸方向)において、調整パターン206の黒色(或いは濃度が高い色)から、折り目の領域である白色(或いは濃度が低い色)に変化する変化部208L,208Rが存在する。変化部208Lと変化部208Rとの間が折り目が入った領域204である。すなわち、調整シートの折りに沿った方向(
図8の上下方向(y軸方向)、或いは、それに近い方向)と交差する交差方向(
図8のx軸方向、或いは、それに近い方向)において、有意に濃度が低下する領域が、折り目が入った領域204である。制御部68の位置特定手段74は、交差方向における有意に濃度が低下する領域の所定位置を、折り目の位置として特定する。
【0062】
なお、以上の説明では、折り目が入った領域204が存在する、すなわち、折り目が幅をもって存在するとしたが、折り目が幅をもって現れない場合も考えられる。その場合には、制御部68の位置特定手段74は、有意に濃度が低下する「位置」を、折り目の位置として特定する。
【0063】
次に、折り目の位置の特定方法の一例を示す。
図8の左右方向(x軸方向)において、調整シート200の外側領域201の黒色(或いは濃度が高い色)から、調整シート200の内側領域210の白色(或いは濃度が低い色)に変化する変化部212L,212Rが存在する。制御部68は、例えば、従来公知のパターンマッチング等により、変化部212L,212Rの位置を特定することができる。また、前述した折り目の領域204の変化部208L,208Rの位置も同様に特定することができる。なお、ここで言う位置とは、
図8の左右方向(x軸方向)における画素位置である。
【0064】
なお、ここで説明する例では、調整シート200の左右方向(x軸方向)における、基準端マーク214が存在しない側(左側)の変化部212Lの画素位置は特定しない。すなわち、調整シートの左右方向(x軸方向)において、基準端マーク214が存在する側(右側)の変化部212Rの画素位置を特定し、それに基づいて折り目の位置を特定する。本実施形態では、基準端マーク214があることで、調整シートのx軸方向における基準となる端(基準端)が明確となっている。
【0065】
パターンマッチングによる変化部212R,208L,208Rの画素位置の特定は、例えば、
図9(A),(B)に示すような2×1画素のパターンを、調整パターンの画像に走査して2×1画素のパターンの条件が満たされる位置を変化部212R,208L、208Rとして特定するものである。例えば、調整パターンの画像84の各画素値が、0(黒)〜255(白)の値をとる場合において、
図9(A)に示すパターンを
図8のx軸方向に走査することで、変化部212R,208Rの画素位置が特定される。また、
図9(B)に示すパターンを
図8のx軸方向に走査することで、変化部208Lの画素位置が特定される。なお、これらの走査を、
図8の上下方向(y軸方向)の複数の位置で行ってもよく、それによって得られる複数の画素位置(1つの変化部に対する複数のx軸方向の画素位置)の平均値を、変化部の画素位置としてもよい。あるいは、複数の画素位置から最小二乗法で近似した近似線(y軸方向に伸びた近似線)を求め、その近似線に基づいて変化部の画素位置を求めてもよい。なお、
図8に示すように、画素位置は、調整パターンの画像84の右端の位置を0画素目として求められる。これは、基準端マーク214がある側である右側を基準とするためである。
図8には、変化部212Rの画素位置としてSER、変化部208Rの画素位置としてAFR、変化部208Lの画素位置としてAFLが示されている。
【0066】
次に、
図8に示すように、変化部208Rの画素位置AFRと、変化部208Lの画素位置AFLとの中間(中央)の画素位置AFMを求める。この画素位置AFMも、調整パターンの画像84の右端の位置を0画素目とした場合の画素位置である。次に、変化部212Rを基準端とした場合、すなわち、変化部212Rの画素位置SERを0画素目とした場合における画素位置AFMの位置を算出する。これは、画素位置AFMから画素位置SERを差し引くことで算出することができる。
図10ではこの位置(画素位置)がAFとして示されている。このAFが特定された折り目の位置となる。なお、以下、変化部212Rを基準端212Rとも言う。基準端212Rは、調整シートの右端であり、基準端マーク214がある側の端である。
【0067】
図4に戻り、調整処理のフローの説明を続ける。S110の次はS112で、制御部68は、折り目の位置と基準折り位置との差分を取得する。記憶部70には、基準端212Rに対する基準折り位置の画素位置RFが記憶されている。
図10には、基準折り位置の画素位置RFの一例が示されている。制御部68は、折り目の位置の画素位置AFと、基準折り位置の画素位置RFとの差分画素数αを算出する。この差分画素数αに、1画素あたりの距離D(何mm)を掛けたものが、折り位置のずれ量に相当する。
【0068】
次に、
図4のS114で、制御部68は折り位置調整手段76として機能し、折り目の位置の画素位置AFと、基準折り位置の画素位置RFとの差分画素数αに基づいて、折り目の位置の調整量を設定する。記憶部70には、1画素あたりの距離D(何mm)が予め記憶されている。
図10に示すように、特定された折り目の位置AFが、折り目の位置として期待される基準折り位置RFよりも左側にある場合(差分画素数αがプラス値の場合)は、折り目の位置が、より右側に移動し(基準端212Rに近づき)、基準折り位置RFに一致するように調整量を設定する。一方、特定された折り目の位置AFが、折り目の位置として期待される基準折り位置RFよりも右側にある場合(差分画素数αがマイナス値の場合)は、折り目の位置が、より左側に移動し(基準端212Rから遠ざかり)、基準折り位置RFに一致するように調整量を設定する。調整量の絶対値は、差分画素数αに1画素あたりの距離Dを掛けたものである。求められた調整量は、用紙の種類および折り方(
図5(B),(C)で設定されたもの)に関連付けられて記憶部70に記憶される。この調整量は、ユーザ等が通常時にUI72やPC等から記録用紙に対する折り処理の指示を行った場合に使用される。
【0069】
以上説明した
図4のフローを、用紙の種類毎および折り方毎に行うことで、それらに対応した調整量が記憶部70に記憶される。ユーザ等が、UI72やPC等から記録用紙に対する折り処理の指示を行った場合には、その際に設定した用紙の種類および折り方に対応した調整量が記憶部70から読み出され、その調整量によって折り部18の折り位置が調整されることになる。このように、制御部68(折り位置調整手段76)は、特定された調整シートの折り目の位置と、基準折り位置との差分に基づいて、折り部18の折り位置を調整する。なお、折り位置の調整は、例えば、
図2に示した折り機構のゲート62を調整することで行われる。
【0070】
以上説明した本実施形態の画像処理装置10によれば、折り位置のずれ量を手動で測定して折り位置調整を行う場合に比べて、より簡易に折り位置調整を行うことができる。また、折り位置のずれ量を手動で測定して折り位置調整を行う場合に比べて、より正確に折り位置調整を行うことができる。
【0071】
以上説明した実施形態の画像処理装置10では、記録用紙に折りが1ヵ所入る二つ折りを例に挙げて説明した。しかし、記録用紙に折りが2ヵ所以上入る、内三つ折りやZ折り等であっても当然によい。その場合には、1つの調整シートの複数の折られる位置の各々に調整パターンが印刷される。そして、1つの調整シートの複数の折り目の位置毎に、基準折り位置との差分(ずれ量)が求められ、折り位置の調整量が取得される。すなわち、記録用紙に折りが2ヵ所以上入る折り方の場合には、1つの調整シートで複数の折り位置の調整量が取得される。
【0072】
以上説明した実施形態の画像処理装置10では、調整シートに一定濃度で塗りつぶされた調整パターンを印刷(形成)した。そして、この調整パターンを跨ぐように折り部18が折り処理を実行し、折られた調整シートを広げて画像読取部14で読み取ることで、折り目の位置が現れる調整パターンの画像を取得した。この調整パターンの画像において、より折り目の位置が顕著に現れるように、次に示す制御を行ってもよい。
【0073】
画像形成部12が、調整シートに調整パターンの画像を形成する場合に、調整シート以外の記録用紙(印刷媒体)に画像を形成する場合に比べて、調整シートが定着部24を通過する速度を遅くする。または、画像形成部12が、調整シートに調整パターンの画像を形成する場合に、調整シート以外の記録用紙(印刷媒体)に画像を形成する場合に比べて、定着部24の定着温度を高くする。これらは両方とも、或いは片方だけ行ってもよい。これらにより、調整シートの調整パターンのグロス(光沢度)が高くなる。それにより、調整パターンの画像において、折り目とそれ以外の部分とのコントラストが高くなり、より折り目が顕著に現れる。
【0074】
また、画像読取部14が、調整シートの調整パターンを読み取る場合に、調整シート以外の記録用紙(印刷媒体)に形成された画像を読み取る場合に比べて、光源52の光量を高くする。または、画像読取部14が、調整シートの調整パターンを読み取る場合に、調整シート以外の記録用紙(印刷媒体)に形成された画像を読み取る場合に比べて、受光部(CCD56)のアンプのゲインを高くする。これらは両方とも、或いは片方だけ行ってもよい。これらにより、調整パターンの画像において、折り目とそれ以外の部分とのコントラストが高くなり、より折り目が顕著に現れる。
【0075】
なお、上記した画像処理装置10は、画像形成装置と言うこともできる。また、上記した「調整シート」は、用紙に折りを実行する折り部18の折り目の位置を特定するためのシートと言うこともできる。