(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953936
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】接地開閉器・避雷器ユニットおよびガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
H02B 13/035 20060101AFI20211018BHJP
H02B 13/075 20060101ALI20211018BHJP
H02B 1/16 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
H02B13/035 A
H02B13/035 301K
H02B13/075
H02B1/16 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-177226(P2017-177226)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-54638(P2019-54638A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 康之
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−028776(JP,A)
【文献】
特開2003−047113(JP,A)
【文献】
特開2000−032620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 13/035
H02B 13/075
H02B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地開閉器と、避雷器と、前記接地開閉器と前記避雷器が並設される取付板と、前記接地開閉器と前記避雷器との間に設けられる絶縁性の支持部材と、を備え、
前記接地開閉器のフレームの下端部に金具を備え、
前記支持部材の一端部は前記金具に固定され、前記支持部材の他端部は前記避雷器の電極に固定され、
前記支持部材を介して、前記避雷器が前記接地開閉器に支持された、ことを特徴とする接地開閉器・避雷器ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の接地開閉器・避雷器ユニットが、絶縁ガスが充填された機器タンクに備えられた、ことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置に関する。特に、ガス絶縁開閉装置に備えられる接地開閉器と避雷器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キュービクル形ガス絶縁開閉装置18(C−GIS:Cubicle Gas Insulated Switchgear、以下、ガス絶縁開閉装置と称する)は、
図4に示すように、真空遮断器27、断路器26、接地開閉器28などの機器が、接地され、かつ低圧絶縁ガスが封入されたタンク(例えば、機器タンク10)内に一括収納されたものである。
【0003】
図5に示すように、ガス絶縁開閉装置18に配置される接地開閉器28(ES)と避雷器29(LA)は、一つの取付板30に配置されて、ユニット化されている。避雷器29をガス絶縁開閉装置18に組み込む際、この接地開閉器28と避雷器29がユニット化された取付板30を機器タンク10に取り付け、接地開閉器28と避雷器29が機器タンク10に設けられる。機器タンク10の底部には、碍子31が設けられる。この碍子31により、機器タンク10に備えられた避雷器29が支持される。避雷器29を機器タンク10に組み込む際、避雷器29は、碍子31の上端部と締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−032620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
避雷器をタンク底部に設けられた碍子で支持する場合、ガス絶縁開閉装置を組み立てる際にこの碍子と避雷器とをタンクの内部で締結する必要がある。その結果、避雷器をガス絶縁開閉装置に組み込む際の組立工程や組立時間が増加することとなる。また、避雷器を、碍子を介してタンク底部に支持すると、避雷器とタンク底面までの距離が長くなり、ガス絶縁開閉装置が大型化となるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、ガス絶縁開閉装置を小型化し、ガス絶縁開閉装置に避雷器を組み込む際の組立工程を低減する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の接地開閉器・避雷器ユニットの一態様は、
接地開閉器と、避雷器と、前記接地開閉器と前記避雷器が並設される取付板と、前記接地開閉器と前記避雷器との間に設けられる絶縁性の支持部材と、を備え、
前記支持部材を介して、前記避雷器が前記接地開閉器に支持された、ことを特徴としている。
【0008】
また、上記目的を達成する本発明の接地開閉器・避雷器ユニットの他の態様は、上記接地開閉器・避雷器ユニットにおいて、
前記接地開閉器のフレームの下端部に金具を備え、
前記支持部材の一端部は前記金具に固定され、前記支持部材の他端部は前記避雷器の電極に固定された、ことを特徴としている。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明のガス絶縁開閉装置の一態様は、
上記接地開閉器・避雷器ユニットが、絶縁ガスが充填された機器タンクに備えられた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上の発明によれば、ガス絶縁開閉装置を小型化し、ガス絶縁開閉装置に避雷器を組み込む際の組立工程を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るガス絶縁開閉装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るガス絶縁開閉装置の要部拡大図である。
【
図3】接地開閉器・避雷器ユニットの上面図である。
【
図4】従来技術に係るガス絶縁開閉装置の受電ユニットの断面図である。
【
図5】従来技術に係るガス絶縁開閉装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る接地開閉器・避雷器ユニットおよびガス絶縁開閉装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るガス絶縁開閉装置1は、受電ユニット2と、変圧器3に接続するための変圧器一次ユニット4と、計器用変圧変流器(VCT)を収容したVCTユニット5を備える。
【0014】
図2に示すように、受電ユニット2は、接地開閉器6(ES)と、避雷器7(LA)を備える。接地開閉器6と避雷器7は上下方向に並んで取付板8に配置されて、一体化された接地開閉器・避雷器ユニット9となっている。この接地開閉器・避雷器ユニット9を構成する取付板8を、ボルト等により着脱自在に機器タンク10に取り付けて、ガス絶縁開閉装置1(具体的には、受電ユニット2)に接地開閉器6と避雷器7が組み込まれる。
【0015】
接地開閉器6は、主回路導体11に設けられたESコンタクト12に離接可能に設けられる主軸6a(
図2では、図示せず)を備える。接地開閉器6の主軸6aは、機器タンク10の外部に備えられた操作機構13によりESコンタクト12に接続(または、離隔)される。接地開閉器6は、フレーム6bを備え、このフレーム6により主軸6a等が支持される。フレーム6bは、取付板8に固定される。
【0016】
避雷器7は、例えば、接地端子7aと電極7bとの間に酸化亜鉛(ZnO)素子7cを備えて構成される。接地端子7aは、機器タンク10の外部に設けられる。電極7bは、機器タンク10内であって主回路導体11と向かい合うように配置され、接続導体7dを介して主回路導体11に接続される。接続導体7dの一端には、接続導体7dを軸方向に移動させる絶縁操作ロッド7eが設けられており、接続導体7dの他端は、主回路導体11に設けられたコンタクト接続部14に離接可能となっている。
【0017】
接地開閉器6のフレーム6bの下端部には、断面コ形の金具15が取り付けられる。
図3に示すように、金具15は、フレーム6b間に架け渡して設けられる。金具15は、フレーム6b間の架け渡し方向と垂直方向(図中矢印A方向)の断面がコ形となっている。金具15は、断面コ形の開口部が上を向くようにフレーム6b間に設けられる。金具15は、フレーム6bに固定される一対のフレーム固定部15aと、支持碍子16が設けられる碍子固定部15bを備える。フレーム固定部15aは、フレーム6b間の架け渡し方向の端部にそれぞれ設けられ、ボルト等によりフレーム6bに固定される。
図2に示すように、碍子固定部15bに支持碍子16の上端部が固定され、支持碍子16の下端部に金具17を介して避雷器7の電極7bが固定される。このようにして、避雷器7の電極7bが接地開閉器6のフレーム6bに固定(支持)される。
【0018】
なお、図示省略しているが、受電ユニット2は、
図4に示した従来技術に係るガス絶縁開閉装置18の受電ユニットと同様に、接地され、低圧絶縁ガスが封入された機器タンク10と母線タンク19が筐体20に収容されて構成される。そして、母線タンク19には、三相分の母線21が備えられる。母線21は、断路器22(DS)および主回路導体23を介して機器タンク10内に導かれる。また、機器タンク10には、機器タンク10に隣接して設けられたケーブル収納部24に設けられたケーブル25が接続される主回路導体11や真空遮断器27が、備えられる。
【0019】
以上のような、本発明の実施形態に係る接地開閉器・避雷器ユニット9およびガス絶縁開閉装置1によれば、取付板8に接地開閉器6と避雷器7を備え、機器タンク10内側に張り出した避雷器7を、支持碍子16を介して接地開閉器6に支持することにより、接地開閉器6と避雷器7とを一体化したユニットを構成することができる。その結果、従来避雷器と機器タンク底面との間に設けられていた碍子が不要となり、この碍子と避雷器との接続を機器タンク内で行う作業が不要となる。
【0020】
つまり、接地開閉器6と避雷器7を一体化したユニットとすることで、ガス絶縁開閉装置1に接地開閉器6と避雷器7を組み込む際、機器タンク10内で、接地開閉器・避雷器ユニット9とガス絶縁開閉装置1本体とを締結するための作業(例えば、
図5に示すような従来のガス絶縁開閉装置18における機器タンク10内の底部に設けられた碍子31と避雷器29の接続等)が不要となる。したがって、ガス絶縁開閉装置1に避雷器7を組み込む際の組立工程が削減され、ガス絶縁開閉装置1の組立時間が短縮される。
【0021】
また、従来、避雷器と機器タンク底面との間に設けられていた碍子が不要となることで、碍子分の高さ分ガス絶縁開閉装置1(C−GIS)の高さを縮小化でき、機器全体の縮小化が可能となる。つまり、主回路導体11と機器タンク10の底面との間の耐電圧を保つために必要な距離まで、避雷器7と機器タンク10の底面との距離を短くすることができるので、ガス絶縁開閉装置1の高さを縮小化できる。
【0022】
また、接地開閉器6と避雷器7をユニット化することで、接地開閉器・避雷器ユニット9を、前もってガス絶縁開閉装置1の外部で組み立てることが可能となり、ガス絶縁開閉装置1の組立効率が向上する。
【0023】
また、接地開閉器6のフレーム6bに固定される金具15の形状を断面コ形とすることで、比較的薄い板で構成されるフレーム6bの強度が向上し、フレーム6bのゆがみ(例えば、フレーム6bの金具15の架け渡し方向(
図3における矢印B方向)等のゆがみを抑制することができる。
【0024】
以上、具体的な実施形態を示して本発明の接地開閉器・避雷器ユニットおよびガス絶縁開閉装置について説明したが、本発明の接地開閉器・避雷器ユニットおよびガス絶縁開閉装置は、実施形態に限定されるものではなく、その特徴を損なわない範囲で適宜設計変更が可能であり、設計変更されたものも、本発明の技術的範囲に属する。
【0025】
例えば、避雷器は、
図4に示すような、接地開閉器付断路器(EDS)の接地開閉器部分に支持する態様とすることもできる。
【0026】
また、接地開閉器に避雷器を支持する支持部材は、碍子に限定されるものではなく、避雷器を支持可能な強度を有する絶縁性の支持部材を適宜用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
1…ガス絶縁開閉装置
2…受電ユニット
3…変圧器
4…変圧器一次ユニット
5…VCTユニット
6…接地開閉器
6a…主軸、6b…フレーム
7…避雷器
8…取付板
9…接地開閉器・避雷器ユニット
10…機器タンク
11…主回路導体
12…ESコンタクト
14…コンタクト接続部
15…金具
15a…フレーム固定部、15b…碍子固定部
16…支持碍子(支持部材)
17…金具