特許第6953939号(P6953939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6953939
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20211018BHJP
【FI】
   G03G15/16
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-178071(P2017-178071)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-53222(P2019-53222A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
【審査官】 小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−052583(JP,A)
【文献】 特開2010−256477(JP,A)
【文献】 特開2014−178660(JP,A)
【文献】 特開2011−133653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも周面が循環移動し、その周面に画像を保持する像保持体と、
少なくとも周面が循環移動し、前記像保持体との間の転写領域に記録材を挟んで通過させることで該記録材に該像保持体上の画像を転写させる転写部材と、
前記転写部材と前記像保持体との相対距離を、前記転写領域に対する前記記録材の先端の通過前後に亘って連続的に縮小させる移動機構と、
を備え
前記転写部材と前記像保持体とは前記記録材の先端の通過前に互いに表面が接触していることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記移動機構が、前記転写部材の位置を前記像保持体に対して移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記移動機構が、前記転写領域に対する前記記録材の後端の通過前後に亘って連続的に前記相対距離を拡大させるものであることを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項4】
前記転写領域に向かう前記記録材の端部を、該転写領域への突入前に検知する検知器を備え、
前記移動機構が、前記検知器による前記端部の検知を契機に、前記転写部材と前記像保持体との相対距離変化を開始させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項5】
前記移動機構が、前記転写部材と前記像保持体との相対距離を、前記記録材の厚さに応じて、厚いほど緩やかに変化させるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項6】
前記転写部材が転写ベルトであり、
前記転写ベルトが掛け回された転写ローラと圧接ローラとを備え、
前記転写ベルトが、前記転写ローラから前記圧接ローラに至る区間で前記像保持体と接触することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項7】
少なくとも周面が循環移動し、その周面に画像を保持する像保持体と、
前記像保持体の周面に画像を形成する形成器と、
少なくとも周面が循環移動し、前記像保持体との間の転写領域に記録材を挟んで通過させることで該記録材に該像保持体上の画像を転写させる転写部材と、
前記転写部材と前記像保持体との相対距離を、前記転写領域に対する前記記録材の先端の通過前後に亘って連続的に縮小させる移動機構と、
を備え
前記転写部材と前記像保持体とは前記記録材の先端の通過前に互いに表面が接触していることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙などに代表される記録材上に転写元の画像を転写させるに当たり、転写元の部材と転写部材との間の転写領域に記録材を挟み込む(ニップする)画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、所定以上の厚さの記録媒体の先端が転写ローラを押しやるときは、転写ローラの支持が支持解除手段により解除されることで、転写元である無端移動体(ベルト)のバタツキが抑制されるという技術が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、用紙の先端が転写ニップを通過した後、用紙の搬送位置に基づいて、ニップ荷重を初期荷重よりも大きい最大荷重に制御することで、転写ニップへの用紙の進入に起因する衝撃を緩和する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−10840号公報
【特許文献2】特開2013−72908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録材の前端や後端の転写領域通過に伴って生じる像保持体の振動は、記録材の端部の通過後にニップ荷重を変更しても抑制が不十分となる虞がある。このような像保持体の振動は、像保持体から記録材への画像転写や、像保持体に対する画像形成に際して画像不良を生じる。
【0007】
そこで、本発明は、記録材端部の転写領域通過後にニップ荷重を変更する場合に較べ、記録材の転写領域突入に伴う像保持体の振動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る転写装置は、
少なくとも周面が循環移動し、その周面に画像を保持する像保持体と、
少なくとも周面が循環移動し、上記像保持体との間の転写領域に記録材を挟んで通過させることでその記録材にその像保持体上の画像を転写させる転写部材と、
上記転写部材と上記像保持体との相対距離を、上記転写領域に対する上記記録材の先端の通過前後に亘って連続的に縮小させる移動機構と、
を備え
上記転写部材と上記像保持体とは上記記録材の先端の通過前に互いに表面が接触している
【0009】
請求項2に係る転写装置は、請求項1の転写装置において、
上記移動機構が、前記転写部材の位置を前記像保持体に対して移動させるものである。
【0010】
請求項3に係る転写装置は、請求項1の転写装置において、
上記移動機構が、上記転写領域に対する上記記録材の後端の通過前後に亘って連続的に上記相対距離を拡大させるものである。
【0012】
請求項に係る転写装置は、請求項1からの転写装置において、
上記転写領域に向かう上記記録材の端部を、その転写領域への突入前に検知する検知器を備え、
上記移動機構が、上記検知器による上記端部の検知を契機に、上記転写部材と上記像保持体との相対距離変化を開始させるものである。
【0013】
請求項に係る転写装置は、請求項1からの転写装置において、
上記移動機構が、上記転写部材と上記像保持体との相対距離を、上記記録材の厚さに応じて、厚いほど緩やかに変化させるものである。
請求項6に係る転写装置は、請求項1から5の転写装置において、
上記転写部材が転写ベルトであり、
上記転写ベルトが掛け回された転写ローラと圧接ローラとを備え、
上記転写ベルトが、上記転写ローラから上記圧接ローラに至る区間で上記像保持体と接触する。
【0014】
請求項7に係る画像形成装置は、
少なくとも周面が循環移動し、その周面に画像を保持する像保持体と、
上記像保持体の周面に画像を形成する形成器と、
少なくとも周面が循環移動し、上記像保持体との間の転写領域に記録材を挟んで通過させることでその記録材にその像保持体上の画像を転写させる転写部材と、
上記転写部材と上記像保持体との相対距離を、上記転写領域に対する上記記録材の先端の通過前後に亘って連続的に縮小させる移動機構と、
を備え
上記転写部材と上記像保持体とは上記記録材の先端の通過前に互いに表面が接触している
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る転写装置および請求項7に係る画像形成装置によれば、記録材端部の転写領域通過後にニップ荷重を変更する場合に較べ、記録材の転写領域突入に伴う像保持体の振動を抑制することができる。
【0016】
請求項2に係る転写装置によれば、先端通過時の振動を抑制することができる。
【0017】
請求項3に係る転写装置によれば、後端通過時の振動を抑制することができる。
【0018】
請求項4に係る転写装置によれば、先端通過時の振動と後端通過時の振動との双方を抑制することができる。
【0019】
請求項5に係る転写装置によれば、検知器を備えない場合に較べ、移動開始の制御が容易。
【0020】
請求項6に係る転写装置によれば、厚さに関わらない緩急で移動させる場合に較べて振動抑制効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に相当する画像形成装置の概略構成図である。
図2】用紙の端部が転写領域を通過した衝撃に伴う振動を概念的に示す図である。
図3】衝撃による振動を抑制するための制御を概念的に示すグラフである。
図4】厚い用紙における距離制御を概念的に示すグラフである。
図5】ニップ荷重の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、以下図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に相当する画像形成装置の概略構成図である。
【0024】
この画像形成装置1は、いわゆる直接転写方式のモノクロプリンタである。
【0025】
この画像形成装置1は、感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、ドラム支持フレーム10Aに回転自在に支持されていて、感光体モータ16によって駆動されて矢印Aの向きに回転する。この感光体ドラム10の周りには、帯電器11、露光器12、および現像器13が備えられている。そして、帯電器11による帯電と、露光器12による露光と、現像器13による現像との各プロセスを経て感光体ドラム10の表面にトナー像が形成され、そのトナー像が感光体ドラム10上に保持される。
【0026】
ここで、露光器12は、画像形成装置1の外部から送られてくる画像データに従って感光体ドラム10を露光し、画像データが表す画像がトナー像として感光体ドラム10上に形成される。このような露光の精度確保のため、感光体ドラム10は感光体モータ16によって安定した回転速度で駆動されている。このような安定した回転速度の実現のため、感光体モータ16は定電流制御で電力の供給を受けている。感光体モータ16が定電流制御で電力の供給を受けて感光体ドラム10を駆動しているため、感光体ドラム10に対する外力が変化した場合であっても感光体ドラム10の駆動は安定している。この感光体ドラム10が、本発明にいう像保持体の一例に相当し、帯電器11、露光器12、および現像器13を併せたものが、本発明にいう形成器の一例に相当する。
【0027】
一方、不図示の用紙搬送器によって記録材の一種である用紙P(いわゆるカット紙)が矢印Xの向きに搬送され、感光体ドラム10と後述する転写装置20とに挟まれた転写領域Tを通過する。そして、この転写領域Tを通過する間に感光体ドラム10上のトナー像が用紙P上に転写される。本実施形態の画像形成装置1は複数種類の用紙Pに対応可能な装置であり、画像形成装置1に供給される用紙Pのサイズや厚さを示す情報が予め不図示の入力操作手段によって入力されているものとする。
【0028】
転写領域Tへと搬送される用紙Pの端部は、用紙端検知センサ42によって検知される。用紙端検知センサ42は、例えば光センサや接触センサであって、用紙の前端および後端それぞれの通過を検知する。この用紙端検知センサ42は、本発明にいう検知器の一例に相当する。
【0029】
転写領域Tにおいてトナー像が転写された後の残りの、感光体ドラム10上の残存トナーは、クリーナ14により、感光体ドラム10上から除去される。
【0030】
転写領域Tでトナー像の転写を受けた用紙Pはさらに矢印Yの向きに搬送され、定着装置30に送り込まれる。この定着装置30は、矢印Dの向きに回転する加熱ローラ31と、矢印Eの向きに回転する加圧ローラ32とを備えている。それらの加熱ローラ31と加圧ローラ32は、互いに接触して定着領域Sを形成している。矢印Y方向に走行してきた用紙Pはその定着領域Sに突入し、その定着領域Sを通過する間に加熱および加圧を受けて用紙P上のトナー像がその用紙P上に定着される。この定着の結果、用紙P上に定着トナー像からなる画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、不図示の用紙送出器によってこの画像形成装置1の外部へと送り出される。
【0031】
転写装置20は、本発明の転写装置の一実施形態に相当し、転写ローラ21と、圧接ローラ22と、剥離ローラ23と、それらのローラに架け回された無端状の転写ベルト24を備えている。転写ローラ21、圧接ローラ22、および剥離ローラ23は、転写器支持フレーム20Aに回転自在に支持されている。
【0032】
転写ローラ21は、転写モータ213によって駆動されて矢印Bの向きに回転し、転写ベルト24を駆動する。転写モータ213による駆動も、定電圧制御の下で行われる。転写ベルト24は、伸縮性の小さい樹脂ベルトであり、転写ローラ21による駆動力を受けて矢印Cの向きに循環移動する。転写ベルト24が、本発明にいう転写部材の一例に相当する。
【0033】
転写ローラ21は、感光体ドラム10の回転中心軸よりも用紙走行方向上流側に位置していて、転写ベルト24の内側から転写ベルト24を感光体ドラム10に押し当てている。そして、この転写ローラ21により、感光体ドラム10と転写ベルト24とが互いに接触した転写領域Tの上流側の縁が定められている。
【0034】
また、圧接ローラ22は、感光体ドラム10の回転中心軸よりも用紙走行方向下流側に位置していて、転写ベルト24の内側から転写ベルト24を感光体ドラム10側に押し上げている。そして、この圧接ローラ22により、転写領域Tの下流側の縁が定められている。
【0035】
また、剥離ローラ23は、転写ローラ21と比べ径の小さなローラであり、この剥離ローラ23で転写ベルト24の走行方向を急激に曲げることで、その転写ベルト24の上に載った状態にある用紙Pの先端を転写ベルト24から剥離させる。転写ベルト24から剥離した用紙Pは、ガイド部材41に案内されて矢印Y方向に進み、上述の通り、定着装置30へと送られる。
【0036】
また、この転写装置20はクリーナ25を備えている。転写ベルト24に付着したトナーやその他の汚れは、このクリーナ25により、転写ベルト24上から除去される。
【0037】
転写ローラ21は不図示の電源に接続されていて、その電源から転写バイアスが転写ローラ21に印加される。その転写バイアスの作用により、用紙Pが転写領域Tを通過する間に、感光体ドラム10上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0038】
転写ローラ21は、回転軸211を有し、その回転軸211は軸支持フレーム212に回転自在に支持されている。この軸支持フレーム212は、転写装置20の全体を支持する転写器支持フレーム20Aに、上下動自在に支持されている。
【0039】
軸支持フレーム212とドラム支持フレーム10Aとの間には、軸支持フレーム212をドラム支持フレーム10Aから離れる方向へと付勢する押しバネ214が備えられている。また、転写装置20には、転写器支持フレーム20Aによって回転軸が回転自在に支持された偏芯カム215も備えられている。この偏芯カム215は、軸支持フレーム212を押しバネ214の付勢力に逆らって押し止めており、この偏芯カム215の回転によって軸支持フレーム212の位置が変更される。図1には、軸支持フレーム212が偏芯カム215によって押されたことで転写ローラ21が転写ベルト24を感光体ドラム10に押し付けた押付状態が示されている。図1に示す状態から偏芯カム215が回転軸回りに半回転すると、軸支持フレーム212が押しバネ214の付勢力で図1の下方向へと押され、転写ローラ21と転写ベルト24が感光体ドラム10から離間した離間状態となる。つまり、偏芯カム215の回転によって転写ローラ21と転写ベルト24が感光体ドラム10に対する相対的な距離を変化させることになる。このような相対的な距離の変化により、転写領域Tで用紙Pが感光体ドラム10と転写ベルト24とに挟み込まれる(ニップされる)荷重であるニップ荷重が変化する。
【0040】
なお、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の相対距離は、感光体ドラム10の移動によっても実現されるが、周辺構造の複雑さの相違から、転写ローラ21および転写ベルト24を感光体ドラム10に対して移動させる方が現実的である。
【0041】
転写装置20には、演算素子としてのCPUや記憶素子としてのRAMやROMを備えた情報処理装置の一種である制御部29が備えられており、この制御部29によって偏芯カム215の回転や転写モータ213の駆動などが制御されている。この制御部29と軸支持フレーム212と押しバネ214と偏芯カム215とを併せた機構が、本発明にいう移動機構の一例に相当する。
【0042】
上述したように画像形成時には用紙Pが転写領域Tへと突入するが、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の相対距離が一定である場合には、用紙Pの突入に際して用紙Pによって感光体ドラム10と転写ローラ21および転写ベルト24とを押し開くような衝撃力が生じ、そのような衝撃力により、感光体ドラム10に対して図の上下方向の振動を生じさせる虞がある。その振動は、感光体ドラム10上への画像形成や感光体ドラム10から用紙P上への画像転送に際して画像欠陥の原因となる場合がある。また、このような振動は、転写領域Tへ用紙Pが突入する場合だけでなく、転写領域Tから用紙Pが抜け出す(通過する)場合にも生じ得る。つまり、用紙Pの端部(前端および後端のそれぞれ)が転写領域Tを通過する際に上記衝撃による振動が生じ得る。
【0043】
図2は、用紙Pの端部が転写領域Tを通過した衝撃に伴う振動を概念的に示す図である。
【0044】
図2の横軸は経過時間を表し、図2には、ニップ荷重の設定値を示すグラフG1と、転写領域Tで実際に生じている負荷(ニップ負荷)の変動を示すグラフG2が示されている。
【0045】
図2に示された「転写ニップ突入」の線は、用紙Pが転写領域Tに突入した(即ち用紙Pの先端が転写領域Tを通過した)時点を表しており、図2に示された「転写ニップ通過」の線は、用紙Pが転写領域Tを通過して抜け出た(即ち用紙Pの後端が転写領域Tを通過した)時点を表している。
【0046】
図2に示すニップ荷重のグラフG1は、ニップ荷重の設定値が用紙Pの転写領域Tへの突入前後で一定であることを示している。ニップ荷重の設定値とは、実際には感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の相対距離であり、延いては偏芯カム215の回転角度である。つまり、図2に示す場合には、偏芯カム215(図1参照)の回転角度が、用紙Pの転写領域Tへの突入から通過まで一定となっている。
【0047】
このようにニップ荷重の設定値が一定である状態で用紙Pが転写領域Tに突入すると、負荷変動のグラフG2が示すように、突入直後に大きな負荷変動ΔF1が生じる。また、用紙Pが転写領域Tから抜けた直後にも、大きな負荷変動ΔF2が生じる。
【0048】
これらの大きな負荷変動ΔF1,ΔF2が、上述した衝撃力による感光体ドラム10の振動を表している。
【0049】
このような大きな負荷変動ΔF1,ΔF2を抑制するため、図1に示す画像形成装置1では、転写領域Tに対して用紙Pの端部(前端および後端のそれぞれ)が突入する際に、以下説明するように、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の相対距離が制御される。
【0050】
図3は、衝撃による振動を抑制するための制御を概念的に示すグラフである。
【0051】
図3の横軸は経過時間を表し、図3には、用紙端検知センサ42(図1参照)の検知信号を表すグラフG3と、ニップ荷重の設定値を示すグラフG4と、ニップ負荷の変動を示すグラフG5が示されている。
【0052】
図3に示す場合には、検知信号のグラフG3における立ち上がりが示すように用紙Pの先端が検知されると、ニップ荷重のグラフG4が示すようにニップ荷重の設定値の増加が開始される。即ち、用紙Pの先端検知を契機として偏芯カム215が回転を開始し、感光体ドラム10に対して転写ローラ21および転写ベルト24が近づき始める。このような先端の検知は、用紙Pの先端が転写領域Tを通過する「転写ニップ突入」の時点よりも前の時点で行われる。
【0053】
そして、用紙Pの先端が転写領域Tに突入する前から突入後まで偏芯カム215は回転し続け、転写ローラ21および転写ベルト24は感光体ドラム10に対して接近し続ける。この結果、用紙Pの先端が転写領域Tを通過する前後に亘って転写ローラ21および転写ベルト24は連続的に感光体ドラム10に対して接近することになる。その後、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離が予め決められた距離に達する(即ち偏芯カム215が予め決められた角度に達する)と、偏芯カム215の回転が停止して転写ローラ21および転写ベルト24の移動も停止する。
【0054】
このように、用紙Pの先端が転写領域Tを通過する前後に亘って連続的に感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離が狭くなることにより、負荷変動のグラフG5が示すように、用紙Pの先端突入で生じる負荷変動が抑制される。つまり、転写領域Tに突入する用紙P先端が、相互の距離を近づける感光体ドラム10と転写ベルト24によって挟まれるように転写領域Tへと呼び込まれることで、先端突入の衝撃が弱められる。更に、先端突入後も連続的に感光体ドラム10と転写ベルト24とが相互の距離を近づけることで、弱まった衝撃によって誘発される振動も押さえ込まれ、上述した負荷変動が大幅に抑制されることになる。
【0055】
一方、検知信号のグラフG3における立ち下がりが示すように用紙Pの後端が検知されると、ニップ荷重のグラフG4が示すようにニップ荷重の設定値の減少が開始される。即ち、用紙Pの後端検知を契機として偏芯カム215が回転を開始し、感光体ドラム10に対して転写ローラ21および転写ベルト24が離れ始める。このような後端の検知は、用紙Pの後端が転写領域Tを通過する「転写ニップ通過」の時点よりも前の時点で行われる。
【0056】
そして、用紙Pの後端が転写領域Tに突入する前から突入後まで偏芯カム215は回転し続け、転写ローラ21および転写ベルト24は感光体ドラム10から乖離し続ける。この結果、用紙Pの後端が転写領域Tを通過する前後に亘って転写ローラ21および転写ベルト24は連続的に感光体ドラム10から乖離することになる。その後、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離が予め決められた距離に達する(即ち偏芯カム215が予め決められた角度に達する)と、偏芯カム215の回転が停止して転写ローラ21および転写ベルト24の移動も停止する。
【0057】
このように、用紙Pの後端が転写領域Tを通過する前後に亘って連続的に感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離が広くなることにより、負荷変動のグラフG5が示すように、用紙Pの後端通過で生じる負荷変動が抑制される。つまり、転写領域Tから抜け出る用紙Pが、相互の距離を広げる感光体ドラム10と転写ベルト24によって転写領域T外へと導かれることで、後端通過による衝撃が弱められる。更に、後端通過後も連続的に感光体ドラム10と転写ベルト24とが相互の距離を離すことで、弱まった衝撃が更に逃がされて振動が抑制され、上述した負荷変動が大幅に抑制されることになる。
【0058】
以上説明した、用紙P端部の転写領域T通過の前後に亘る、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離制御は、用紙Pの剛性に応じた制御が望ましい。用紙P端部の転写領域T通過に伴う感光体ドラム10の振動は、用紙Pの剛性が高い程強く生じるからである。但し、用紙Pの材質に大幅な差異がない場合には、用紙Pの厚さが厚いほど用紙Pの剛性が高いので、本実施形態では、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離制御は、用紙Pの厚さに応じた制御となっている。
【0059】
図4は、厚い用紙Pにおける距離制御を概念的に示すグラフである。
【0060】
図4の横軸は経過時間を表し、図4には、用紙端検知センサ42(図1参照)の検知信号を表すグラフG3と、ニップ荷重の設定値を示すグラフG6と、ニップ負荷の変動を示すグラフG7が示されている。図4に示された検知信号のグラフG3は、図3に示された検知信号のグラフG3と同等のグラフである。
【0061】
図4に示す場合にも、検知信号のグラフG3における立ち上がりが示すように用紙Pの先端が検知されると、ニップ荷重のグラフG6が示すようにニップ荷重の設定値の増加が開始され、設定値の増加は、用紙Pの先端が転写領域Tを通過する前後に亘って連続的に続けられる。また、検知信号のグラフG3における立ち下がりが示すように用紙Pの後端が検知されると、ニップ荷重のグラフG6が示すようにニップ荷重の設定値の減少が開始され、設定値の減少は、用紙Pの後端が転写領域Tを通過する前後に亘って連続的に続けられる。
【0062】
但し、図4に示す場合には、設定値の増減の速さが図3に示す場合よりも緩やかである。つまり、本実施形態では、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離変動が、用紙Pの剛性の高い程(即ち厚さの厚い程)緩やかに行われる。この結果、負荷変動のグラフG7が示すように感光体ドラム10の振動が抑制され、感光体ドラム10の振動に対する抑制作用は、用紙Pの厚さに関わらず一定の緩急で感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離が変動する場合に較べて高い。
【0063】
図5は、感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離制御(即ちニップ荷重の制御)の手順を示すフローチャートである。
【0064】
図5に示すフローチャートでは、一例として2種類の厚さの用紙Pが用いられるものとする。また、図5に示すフローチャートでは、ニップ荷重の変化は感光体ドラム10に対する転写ローラ21および転写ベルト24の距離変化と同義であるものとする。
【0065】
図5のフローチャートが示す制御は、用紙Pが転写領域Tに向けて搬送される度に実行されるものであり、この制御が開始されると、今回搬送される用紙Pの厚さが判定される(ステップS101)。
【0066】
今回の用紙Pが、上述した2種類の用紙のうち厚さが厚い方の用紙であると判定された場合(ステップS101:Y)には、ステップS102に進み、ニップ荷重が、予め決められた第1の待機荷重に設定される。そして、ステップS103で、用紙Pの先端が用紙端検知センサ42によって検知されるまで待機状態となる。
【0067】
その後、用紙Pの先端が用紙端検知センサ42によって検知されると(ステップS103:Y)、ニップ荷重が増加される(ステップS104)。但し、この場合のニップ荷重増加は、用紙Pの厚さが薄い場合に較べて緩やかな増加となっている。そして、ニップ荷重が、予め決められた画像転写用の荷重に到達するまで、ニップ荷重の増加が継続される(ステップS104,S105)。このようにニップ荷重の増加が継続されている間に、用紙Pの先端は転写領域T(図1参照)を通過する。
【0068】
ニップ荷重の増加が継続された結果、ニップ荷重が画像転写用の荷重に到達すると(ステップS105:Y)、ニップ荷重はその画像転写用の荷重に固定される(ステップS106)。
【0069】
その後、ステップS107で、用紙Pの後端が用紙端検知センサ42によって検知されるまで待機状態となる。
【0070】
用紙Pの後端が用紙端検知センサ42によって検知されると(ステップS107:Y)、ニップ荷重が減少される(ステップS108)。このニップ荷重減少も、用紙Pの厚さが薄い場合に較べて緩やかな増加となっている。そして、ニップ荷重が、上述した第1の待機荷重に到達するまで、ニップ荷重の減少が継続される(ステップS108,S109)。このようにニップ荷重の減少が継続されている間に、用紙Pの後端は転写領域T(図1参照)を通過する。
【0071】
ニップ荷重の減少が継続された結果、ニップ荷重が第1の待機荷重に到達すると(ステップS109:Y)、ニップ荷重はその第1の待機荷重に固定され(ステップS110)、図5の制御が終了する。
【0072】
一方、上記ステップS101における判定で、今回の用紙Pが、上述した2種類の用紙のうち厚さが薄い方の用紙であると判定された場合(ステップS101:N)には、ステップS111に進み、ニップ荷重が、予め決められた第2の待機荷重に設定される。そして、ステップS112で、用紙Pの先端が用紙端検知センサ42によって検知されるまで待機状態となる。
【0073】
その後、用紙Pの先端が用紙端検知センサ42によって検知されると(ステップS112:Y)、ニップ荷重が増加される(ステップS113)。但し、この場合のニップ荷重増加は、用紙Pの厚さが厚い場合に較べて急な増加となっている。そして、ニップ荷重が、予め決められた画像転写用の荷重に到達するまで、ニップ荷重の増加が継続される(ステップS113,S114)。このようにニップ荷重の増加が継続されている間に、用紙Pの先端は転写領域T(図1参照)を通過する。
【0074】
ニップ荷重の増加が継続された結果、ニップ荷重が画像転写用の荷重に到達すると(ステップS114:Y)、ニップ荷重はその画像転写用の荷重に固定される(ステップS115)。
【0075】
その後、ステップS116で、用紙Pの後端が用紙端検知センサ42によって検知されるまで待機状態となる。
【0076】
用紙Pの後端が用紙端検知センサ42によって検知されると(ステップS116:Y)、ニップ荷重が減少される(ステップS117)。このニップ荷重減少も、用紙Pの厚さが厚い場合に較べて急な増加となっている。そして、ニップ荷重が、上述した第2の待機荷重に到達するまで、ニップ荷重の減少が継続される(ステップS117,S118)。このようにニップ荷重の減少が継続されている間に、用紙Pの後端は転写領域T(図1参照)を通過する。
【0077】
ニップ荷重の減少が継続された結果、ニップ荷重が第2の待機荷重に到達すると(ステップS118:Y)、ニップ荷重はその第2の待機荷重に固定され(ステップS119)、図5の制御が終了する。
【0078】
以上説明したフローチャートが表す制御により、図3および図4に示された制御が実現される。
【0079】
なお、図5のフローチャートでは、用紙Pの厚さに応じた制御が行われているが、サイズが互いに異なる複数種類の用紙Pが用いられる場合、用紙長が短い用紙Pについては、図3および図4に示すようなニップ荷重の変化が、用紙Pの通過に間に合わない虞がある。そこで、用紙長が短い用紙Pについては、用紙長が長い用紙Pよりも早くニップ荷重を変化させて、荷重変化を用紙Pの通過に間に合わせる制御形態が考えられる。本発明の転写装置や画像形成装置では、そのような制御形態が採用されてもよい。
【0080】
また、上記説明では、本発明にいう像保持体の一例としてロール状の感光体ドラムが示されているが、本発明にいう像保持体は、ベルト状の例えば中間転写体などであってもよい。
【0081】
また、上記説明では、本発明にいう転写部材としてベルト状の部材が例示されているが、本発明にいう転写部材はロール状の部材であってもよい。
【0082】
また、上記説明では、本発明の画像形成装置の実施形態としてモノクロプリンタが例示されているが、本発明の画像形成装置は、カラープリンタであってもよいし、複写機やファクシミリや複合機であってもよい。
【0083】
また、上記説明では、本発明の画像形成装置の実施形態として直接転写方式の装置が例示されているが、本発明の画像形成装置は、感光体から中間転写体を経て記録材に像が転写される間接転写方式の装置であってもよい。そのような間接転写方式の装置である場合には、本発明の転写装置は、中間転写体から記録材へ像が2次転写される箇所に適用される。
【0084】
また、本発明にいう転写部材と像保持体とは、記録材が転写領域に突入する前は、互いに接触した状態であってもよいし、相互間に隙間を空けた状態であってもよい。
【0085】
また、本発明は、「発明が解決しようとする課題」欄に記載された課題を解決する目的で発明されたものであるが、本発明の構成は、この課題を解決しない形での他の目的への転用が妨げられるものではなく、そのように本発明の構成が転用された形態も本発明の一実施形態である。
【符号の説明】
【0086】
1……画像形成装置(プリンタ)、10……感光体、11……帯電器、12……露光器、
13……現像器、16……感光体モータ、20……転写装置、21……転写ローラ、
24……転写ベルト、212……軸支持フレーム、213……転写モータ、
214……押しバネ、215……偏芯カム、29……制御部、 30……定着装置、
42……用紙端検知センサ
図1
図2
図3
図4
図5