(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような液体噴射装置においては、吐出液体の噴射の精度を高めるために、圧力室の圧力をより高い精度で制御されることが望ましい。そのため、圧力室に接続されている吐出液体の流路における流路抵抗の制御についても、より広範囲に調整できることが望ましい。また、応答遅れが抑制されるように、より高速に変更できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
[1]本発明の一形態によれば、液体噴射装置が提供される。この形態の液体噴射装置は;ノズルに連通し、前記ノズルから吐出される吐出液体を収容しており、前記ノズルから前記吐出液体を吐出させるための圧力を生じさせる圧力室と;前記圧力室に接続され、前記吐出液体が流通する流路と;前記流路の壁面の一部を構成し、前記流路の一部の断面積を変更するように変位して、前記流路における流路抵抗を変更する流路壁部と;前記流路壁部を変位させるアクチュエーターと;を備える。前記アクチュエーターと前記流路壁部との間には、前記流路壁部の変位量を、前記アクチュエーターの変位量よりも増大させる拡大変位機構が設けられており;前記流路壁部は、前記流路の断面積を縮小する第1方向に変位するときに、前記第1方向とは反対の第2方向に働く弾性力が生じる状態で変位する。
この形態の液体噴射装置によれば、拡大変位機構によって、アクチュエーターの駆動に対する流路壁部の移動量を増大させることができるため、流路の流路抵抗をより広範囲で調整することや、より短時間で変更することができる。よって、圧力室の圧力をより高い精度で制御することができる。また、流路壁部を第1方向に変位させたときに生じる第2方向に働く弾性力によって、流路壁部を第2方向へと戻す変位が促進される。よって、流路壁部を第1方向に変位させた後に第2方向に戻すときの流路壁部の応答性が高められ、流路における流路抵抗の制御の精度を高めることができる。
【0007】
[2]上記形態の液体噴射装置において、前記拡大変位機構は;液体が封入されている液体室と;前記液体室の壁面の一部を構成し、前記アクチュエーターの変位に応じて変位して、前記液体に圧力を付与する加圧壁部と;を備え;前記流路壁部は、前記液体室と前記流路との間を仕切り、前記液体に面している面積が、前記液体に面している前記加圧壁部の面積よりも小さく、前記加圧壁部が変位して前記液体に圧力を付与したときに、前記液体の圧力によって、前記第2方向に変位してよい。
この形態の液体噴射装置によれば、液体室の液体を介して圧力を伝達させることによって、流路壁部の変位量が加圧壁部よりも増大される。よって、流路壁部の変位量を拡大させる拡大変位機構を簡易に実現できる。また、流路壁部が、流路の壁部を構成するとともに、拡大変位機構の液体室の壁部も構成するため、液体噴射装置の構成をコンパクトにすることができる。
【0008】
[3]上記形態の液体噴射装置において、前記流路壁部は、前記液体の圧力によって前記第1方向に変位したときに、前記第2方向に働く前記弾性力が生じるように撓み変形するダイヤフラムによって構成されてよい。
この形態の液体噴射装置によれば、流路壁部がダイヤフラムによって構成されているため、流路壁部自身の変位によって弾性力を生じさせることができる。よって、拡大変位機構の構成が簡素化される。
【0009】
[4]上記形態の液体噴射装置において、前記流路は、前記圧力室に供給される前記吐出液体を圧送する供給流路と、前記供給流路と前記圧力室とを連通し、前記供給流路において開口する開口端部を有する連通流路と、を含み;前記流路壁部は、前記供給流路において前記連通流路の前記開口端部に面する位置に設けられており、前記開口端部を閉塞するように、前記第1方向に変位して、前記圧力室への前記吐出液体の流入を抑制してよい。
この形態の液体噴射装置によれば、供給流路から連通流路への吐出液体の流入を、流路壁部によって精度よく制御することができる。また、開口端部を閉塞するように流路壁部を変位させることによって、ノズルから吐出液体を吐出させるために発生させた圧力が、圧力室から抜けてしまうことを、より効果的に抑制することができる。
【0010】
[5]上記形態の液体吐出装置において、前記開口端部の内周壁面は、前記流路壁部に向かう方向に開口径が拡大するように傾斜しており;前記流路壁部は、前記第1方向に変位したときに、前記開口端部の内周壁面と接触して前記連通流路を封止してよい。
この形態の液体噴射装置によれば、流路壁部による圧力室の封止性を高めることができる。また、流路壁部の変位が、開口端部の内周壁面によってガイドされるため、流路壁部の変位動作がより円滑化される。
【0011】
[6]上記形態の液体噴射装置において、前記流路は、前記連通流路より下流側において前記供給流路に接続されている循環流路を含み;前記液体噴射装置は、さらに、前記循環流路に前記吐出液体が流入するように前記循環流路に負圧を発生させるとともに、前記循環流路に流入した前記吐出液体を前記供給流路へと循環させる循環部を備えてよい。
この形態の液体噴射装置によれば、吐出液体を循環させることによって、圧力室に吐出液体が滞留してしまうことが抑制される。よって、そうした吐出液体の滞留に起因する吐出液体の劣化や吐出不良の発生が抑制される。また、流路壁部によって、連通流路への吐出液体の流入を制御することができるとともに、循環流路への吐出液体の流入を制御することができる。
【0012】
[7]上記形態の液体噴射装置において、前記流路は;前記圧力室に供給される前記吐出液体を圧送する供給流路と;前記供給流路と前記圧力室とを連通する連通流路と;前記連通流路より下流側において前記供給流路に接続され、前記供給流路から前記吐出液体が流入する第1循環流路と;前記圧力室に接続され、前記圧力室の前記吐出液体が流入する第2循環流路と;前記第1循環流路と前記第2循環流路とに接続されている合流循環流路と;を含み、前記液体噴射装置は、さらに、前記第1循環流路と前記第2循環流路とから前記合流循環流路に前記吐出液体が流入するように、前記合流循環流路に負圧を発生させるとともに、前記合流循環流路に流入した前記吐出液体を前記供給流路へと循環させる循環部を備え;前記第1循環流路は、前記合流循環流路において開口する接続開口を有し;前記流路壁部は、前記合流循環流路において、前記接続開口に面するように設けられており、前記接続開口を閉塞するように、前記第1方向に変位してよい。
この形態の液体噴射装置によれば、ノズルから吐出液体を吐出するときに、流路壁部を第1方向へ変位させることよって、連通流路から圧力室への吐出液体の流量を増大させつつ、圧力室から第2循環流路を通じて圧力が抜けてしまうことを抑制することができる。よって、圧力室における吐出液体の圧力制御を効率的に実行することができる。
【0013】
[8]上記形態の液体噴射装置において、前記流路壁部は、弾性部材によって支持されており;前記弾性部材は、前記拡大変位機構の前記加圧壁部が変位して前記液体に圧力を付与したときに、前記第2方向に働く弾性力が生じるように変形して、前記流路壁部の位置を前記第1方向に移動させてよい。
この形態の液体噴射装置によれば、流路壁部を第1方向に変位させたときに生じる第2方向の弾性力を、弾性部材によって簡易に生じさせることができる。
【0014】
[9]上記形態の液体噴射装置において、前記液体室には、前記液体とともに、前記液体に圧力が付与されたときの前記液体の体積の変化を抑制するフィラーが封入されてよい。
この形態の液体噴射装置によれば、フィラーによって液体室の液体の圧縮を抑制することができるため、アクチュエーターの駆動力が液体の圧縮によって吸収されてしまうことを抑制することができる。よって、拡大変位機構において、加圧壁部から流路壁部への圧力の伝達効率を高めることができ、流路抵抗変の制御精度を高めることができる。
【0015】
[10]上記形態の液体噴射装置は、さらに、前記加圧壁部を前記液体室に向かう方向に押圧して、前記アクチュエーターを駆動させる前の前記流路壁部の初期の位置を調整する調整部を備えてよい。
この形態の液体噴射装置によれば、調整部によって、拡大変位機構の変位特性を調整することができるため、流路における流路抵抗の制御精度を高めることができる。
【0016】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0017】
本発明は、液体噴射装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体を吐出するヘッド部や、流路の流路抵抗を制御する制御装置、ヘッド部における圧力室の圧力を制御する方法、流路の流路抵抗を制御する方法等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における液体噴射装置100Aの全体構成を示す概略ブロック図である。液体噴射装置100Aは、ヘッド部10Aと、制御部101と、供給部110と、を備える。
【0020】
ヘッド部10Aは、媒体に向かって吐出液体DLを吐出する。吐出液体DLは、例えば、所定の粘度を有するインクである。ヘッド部10Aの動作は、制御部101により制御される。ヘッド部10Aの構成については後述する。
【0021】
制御部101は、CPUやメモリーを備えたコンピューターとして構成されており、メモリーに記憶された制御プログラムや命令をCPUが読み出して実行することにより、液体噴射装置100Aを制御するための種々の機能を実現する。制御プログラムは、一時的でない有形な種々の記録媒体に記録されていてもよい。制御部101は、回路によって構成されていてもよい。
【0022】
供給部110は、ヘッド部10Aに吐出液体DLを供給する。供給部110は、タンク111と、圧力調整部115と、供給路116と、によって構成される。タンク111には、吐出液体DLが収容されている。タンク111内の吐出液体DLは、ヘッド部10Aに接続されている供給路116を通じてヘッド部10Aに供給される。
【0023】
圧力調整部115は、供給路116に設けられており、供給路116を通じてヘッド部10Aに供給される吐出液体DLの圧力を予め決められた圧力に調整する。圧力調整部115は、タンク111から吐出液体DLを吸引するポンプや、ヘッド部10A側の圧力が所定の圧力になるように開閉するバルブなどによって構成される(図示は省略)。
【0024】
図2は、第1実施形態のヘッド部10Aの構成を模式的に示す概略断面図である。
図2には、ノズル12の中心軸と流路15と圧力室13とを通る切断面を図示してある。なお、第1実施形態の後に説明するその他の各実施形態において参照される断面図においても特に断らない限り、同様な切断面を図示している。
【0025】
第1実施形態のヘッド部10Aは、金属製の筐体11を備え、筐体11の内部には、ノズル12と、圧力室13と、流路15と、が設けられている。ノズル12は、圧力室13に連通し、筐体11の外部に向かって開口する貫通孔として設けられている。第1実施形態では、ヘッド部10Aは重力方向に吐出液体DLを吐出するため、ノズル12は重力方向に開口している。なお、ノズル12は重力方向以外の方向に開口するように設けられていてもよい。
【0026】
圧力室13は、ノズル12から吐出される吐出液体DLを収容する。圧力室13には、吐出液体DLが流通する流路15が接続されている。第1実施形態では、流路15は、供給流路15aと、連通流路15bと、を含む。供給流路15aは、供給部110の供給路116に接続されている。供給流路15aは、筐体11に設けられた供給路116の接続部から圧力室13に向かって延びている。連通流路15bは、供給流路15aと圧力室13とを連通している。流路15には、供給流路15aにおいて開口する連通流路15bの開口端部15beが含まれる。第1実施形態では、供給流路15aは、圧力室13の上方において延びており、連通流路15bは、供給流路15aから下方に延びて圧力室13に接続されている。
【0027】
圧力室13には、供給流路15aと連通流路15bとを通じて、吐出液体DLが圧送される。圧力室13の圧力は、供給部110の圧力調整部115(
図1)によって、ノズル12のメニスカス耐圧以下の圧力に調整される。
【0028】
ヘッド部10Aには、さらに、圧力発生部20が設けられている。圧力発生部20は、制御部101(
図1)の制御下において、圧力室13に、ノズル12から吐出液体DLを吐出させるための圧力である吐出圧力を生じさせる。第1実施形態では、圧力発生部20は、圧力室13に対して水平方向に隣り合う位置に設けられている。
図2では、圧力発生部20は、便宜上、破線で図示してある。
【0029】
第1実施形態では、圧力発生部20は、ダイヤフラム21と、ダイヤフラム21に接続されている吐出アクチュエーター22と、を備える。ダイヤフラム21は、圧力室13の壁面の一部を構成している。第1実施形態では、ダイヤフラム21は、水平方向に向く側壁面を構成している。ダイヤフラム21は、撓み変形して変位することによって、圧力室13の容積を変更し、圧力室13内に吐出圧力を生じさせる。吐出アクチュエーター22は、制御部101(
図1)の制御下において、ダイヤフラム21を撓み変形させるための変位を発生する。吐出アクチュエーター22は、例えば、印加される電圧に応じて伸縮する圧電素子(ピエゾ素子)によって構成される。
【0030】
ヘッド部10Aは、さらに、流路抵抗変更部30を備える。流路抵抗変更部30は、制御部101(
図1)の制御下において、流路15における流路抵抗を変更することによって、圧力室13と流路15との間の圧力の伝達を制御する。流路抵抗変更部30は、流路壁部31と、アクチュエーター35と、拡大変位機構40と、を備える。
【0031】
流路壁部31は、流路15の壁面の一部を構成し、流路15の一部の断面積を変更するように変位して、流路15における流路抵抗を変更する。流路壁部31は、流路15内における流路壁部31が面する領域の断面積を変更するように変位する。本明細書において流路の「断面積」は、流路における液体の流れ方向に垂直な断面における開口領域の面積を意味する。
【0032】
第1実施形態では、流路壁部31は、供給流路15aの壁面の一部を構成しており、連通流路15bの開口端部15beに面する位置に設けられている。これによって、流路壁部31によって、供給流路15aから連通流路15bへの吐出液体DLの流入を精度よく制御することができる。
【0033】
第1実施形態では、流路壁部31は、ダイヤフラムとして構成されており、外周端部が筐体11に固定された膜状の部材によって構成されている。流路壁部31は、厚み方向に付与される圧力の変化に応じて、一点鎖線で図示されているように撓み変形して厚み方向に変位する。第1実施形態では、流路壁部31は、連通流路15bの開口端部15beを閉塞するように変位する。
【0034】
第1実施形態では、流路壁部31は、開口端部15beの内周端部に接触して、供給流路15aと圧力室13との接続が遮断された状態になるまで変位できるように構成されている。なお、本明細書においては、流路が閉塞され、液体の流れが遮断されている状態は、流路の流路抵抗が最大になっている状態であると解釈される。
【0035】
流路壁部31は、撓み変形させたときに、復元力として弾性力が生じる部材によって構成されている。第1実施形態では、流路壁部31は、ゴム製の膜状部材によって構成されている。なお、流路壁部31は、ゴム製の部材によって構成されていなくてもよく、他の樹脂部材によって構成されてもよいし、金属によって構成されてもよい。
【0036】
アクチュエーター35は、制御部101(
図1)の制御下において駆動して、流路壁部31を変位させる。アクチュエーター35は、筐体11の内部に設けられた空間である駆動室36に収容されている。第1実施形態では、アクチュエーター35は、印加電圧に応じて伸縮変形するピエゾ素子によって構成される。アクチュエーター35の伸縮方向における第1端部35aは、調整部60を介して筐体11に固定されている。調整部60については後述する。
【0037】
アクチュエーター35が伸縮すると、第1端部35aとは反対側の第2端部35bの位置が移動する。アクチュエーター35の変位量は、アクチュエーター35の伸縮による第2端部35bの移動距離である。アクチュエーター35の第2端部35bは、連結部37を介して、拡大変位機構40に接続されている。
【0038】
アクチュエーター35が発生させる変位は、拡大変位機構40を介して流路壁部31に伝達される。拡大変位機構40は、アクチュエーター35と流路壁部31との間に設けられており、流路壁部31の変位量を、アクチュエーター35の変位量よりも増大させる。拡大変位機構40は、液体室41と、加圧壁部43と、を備える。
【0039】
液体室41は、筐体11の内部に設けられた中空部位として構成され、加圧壁部43と、流路壁部31と、によって気密に封止されている。筐体11内部において、液体室41と駆動室36とは加圧壁部43によって仕切られており、液体室41と流路15とは、流路壁部31によって仕切られている。
【0040】
液体室41には、液体42が封入されている。液体42の種類は特に限定されない。液体42は、液状の流動性を有するものであればよい。液体42は、例えば、水や、油、液体金属、フッ素系不活性液体、液状樹脂であってもよいし、スライムなどのゲル状の流動体であってもよい。なお、液体42は、後述する圧力の伝達効率を高めるために、与圧された状態で液体室41に充填されていることが望ましい。また、液体42は、圧力が変化したときのキャビテーションによる気泡の発生が抑制されるように、予め脱泡処理が施されていることが望ましい。
【0041】
なお、拡大変位機構40には、例えば、液体室41の圧力状態をヘッド部10Aの外部から視認できるようにするインジケーター部が設けられていてもよい。当該インジケーター部は、例えば、液体室41の一部の壁部を、液体42の圧力に応じて撓み変形する部材によって構成し、液体室41の圧力状態を、当該部材の撓みの状態によって視認できるように構成されてもよい。
【0042】
加圧壁部43の第1壁面43aは、液体室41の液体42に面しており、液体室41の壁面の一部を構成している。第1壁面43aの反対側の第2壁面43bは、連結部37を介してアクチュエーター35の第2端部35bに連結されている。加圧壁部43の外周端は、筐体11に固定されている。加圧壁部43は、二点鎖線で図示されているように、アクチュエーター35の変位に応じて厚み方向に撓み変形するダイヤフラムとして動作する。
【0043】
第1実施形態では、加圧壁部43は、ゴム製の膜状の部材によって構成されている。なお、加圧壁部43は、ゴム製の部材によって構成されていなくてもよい。加圧壁部43は、他の樹脂部材によって構成されてもよいし、金属板によって構成されてもよい。
【0044】
流路壁部31は、液体室41の液体42に面している第1壁面31aと、流路15の吐出液体DLに面している第2壁面31bと、を有する。流路壁部31は、加圧壁部43がアクチュエーター35の駆動によって変位して、液体室41の液体42の圧力が高められたときに、液体室41から離れる方向である第1方向D1に、第1方向D1とは反対の第2方向D2に働く弾性力が生じる状態で変位する。第1方向D1は、流路壁部31の厚み方向に沿った方向であり、液体室41から流路壁部31に向かう方向である。第1実施形態では、流路壁部31の変位によって生じる第2方向D2に働く弾性力は、流路壁部31の撓み変形に対する復元力として生じる。
【0045】
拡大変位機構40では、流路壁部31の第1壁面31aが液体室41の液体42に面している面積S2が、加圧壁部43の第1壁面43aが液体室41の液体42に面している面積S1よりも小さい。加圧壁部43の面積S1は、加圧壁部43の変位方向に直交する仮想平面に、第1壁面43aの液体42に面している領域を、当該変位方向に投影した領域の面積である。同様に、流路壁部31の面積S2は、流路壁部31の変位方向に直交する仮想平面に、第1壁面31aが液体42に面している領域を、当該変位方向に投影した領域の面積である。
【0046】
拡大変位機構40では、上記のように、加圧壁部43の面積S1と流路壁部31の面積S2と間に差が設けられている。そのため、パスカルの原理に従って、流路壁部31の変位量Dp2は、面積S1,S2の差に応じて加圧壁部43の変位量Dp1よりも拡大される。
【0047】
流路壁部31の変位量が拡大されていることによって、供給流路15aにおける流路抵抗を広範囲に調整することができる。また、アクチュエーター35の伸縮速度に対して、流路壁部31の変位速度が高められている。そのため、流路壁部31の応答遅れが生じることが抑制され、供給流路15aの流路抵抗を、より適切なタイミングで変化させることができる。その他に、伸縮量の小さいアクチュエーター35を採用しても、液体室41の変位範囲の減少を抑制できるため、アクチュエーター35における消費電力の低下や、アクチュエーター35の小型化が可能である。
【0048】
拡大変位機構40によれば、上述したように、アクチュエーター35が伸長したときに、流路壁部31は、第2方向D2への弾性力が生じている状態で変位する。そのため、アクチュエーター35が収縮し、液体室41の圧力が減少するときの流路壁部31の第2方向D2への変位が、その弾性力に補助される。よって、流路壁部31の変位を高速に繰り返させるような場合でも、アクチュエーター35の駆動タイミングに対して、流路壁部31の変位のタイミングが遅れてしまうことが抑制される。また、アクチュエーター35を高速に収縮させた場合であっても、加圧壁部43の応答遅れに起因して液体室41内の圧力が急激に低下して、液体42中に気泡が生じてしまうことが抑制される。よって、液体42中の気泡の発生により、拡大変位機構40による変位の伝達特性が変化してしまうことが抑制される。
【0049】
ヘッド部10Aでは、流路壁部31が、流路15の壁部を構成するとともに、拡大変位機構40の液体室41の壁部も構成しており、ヘッド部10Aがコンパクトに構成されている。
【0050】
拡大変位機構40では、液体室41の液体42中に、フィラー45が分散されている。フィラー45は、液体42より圧縮率が小さい材料を粒子状にした部材によって構成される。フィラー45は、例えば、金属や樹脂、セラミックス、ガラスなどによって構成されてもよい。フィラー45によって、アクチュエーター35から付与される圧力が液体42の体積の圧縮によって吸収されてしまうことが抑制される。そのため、液体室41を介した加圧壁部43から流路壁部31への圧力の伝達効率が高められ、アクチュエーター35の変位に対する拡大変位機構40の応答性が高められる。なお、フィラー45は省略されてもよい。
【0051】
拡大変位機構40は、さらに、調整部60を備える。調整部60は、アクチュエーター35の第1端部35a側に設けられている。調整部60は、調整ネジ61と、筐体11に設けられたネジ穴62と、押圧板63と、によって構成される。調整ネジ61は、アクチュエーター35の第1端部35aに向かって筐体11を貫通しているネジ穴62に挿通されている。調整ネジ61は、その先端部が、押圧板63を介してアクチュエーター35の第1端部35aを押圧するように、ネジ穴62に取り付けられている。
【0052】
拡大変位機構40では、調整部60の調整ネジ61を回転させて、アクチュエーター35に向かって駆動室36に突出している調整ネジ61の長さを増減させることによって、液体室41に対するアクチュエーター35の設置位置を変更することができる。調整ネジ61によってアクチュエーター35の位置を変化させれば、アクチュエーター35を駆動させていないときの初期状態における加圧壁部43の液体室41に向かう方向への変位位置が変化する。また、初期状態における流路壁部31の第1方向D1への変位位置や、液体室41での液体42の圧力状態が変化する。このように、調整部60によって、流路壁部31の初期の位置を調整して、拡大変位機構40の変位特性を調整することができる。なお、調整部60は省略されてもよい。
【0053】
液体噴射装置100Aでは、制御部101(
図1)は、流路抵抗変更部30を、例えば、以下のように制御する。制御部101は、ノズル12から吐出液体DLを吐出するときには、まず、流路抵抗変更部30によって、流路壁部31を連通流路15bの開口端部15beから最も離れた位置に変位させ、供給流路15aの流路抵抗を最小の状態にする。これによって、供給流路15aを通じた圧力室13への吐出液体DLの充填を迅速におこなえる。なお、このとき、制御部101は、圧力調整部115を制御して、圧力室13内の圧力をノズル12のメニスカス耐圧以下の圧力に調整していることが望ましい。
【0054】
次に、制御部101は、吐出アクチュエーター22を駆動して、圧力室13の容積を瞬発的に低減させて、圧力室13内に、ノズル12のメニスカス耐圧より大きい吐出圧力を生じさせる。このとき、制御部101は、吐出圧力の発生タイミングに合わせて、流路壁部31を第1方向D1に変位させて、供給流路15aの流路抵抗を増大させる。制御部101は、流路壁部31によって、開口端部15beを閉塞して、供給流路15aと圧力室13との接続を遮断するものとしてもよい。これによって、圧力室13内に発生させた吐出圧力が供給流路15aに抜けてしまうことが抑制されるため、ヘッド部10Aによる吐出液体DLの吐出効率を高めることができる。
【0055】
特に、第1実施形態では、流路壁部31が開口端部15beに面する位置に設けられているため、流路壁部31を第1方向D1に変位させることによって、連通流路15bへと吐出液体DLを押し込むことができる。よって、吐出圧力の発生タイミングに合わせて流路壁部31を第1方向D1に変位させることによって、圧力室13内の圧力の上昇を補助することができ、ヘッド部10Aによる吐出液体DLの吐出効率が、さらに高められる。
【0056】
制御部101は、ノズル12からの吐出液体DLの吐出を開始させた後、吐出アクチュエーター22を収縮させて、ダイヤフラム21を変位させ、圧力室13の容積を増大させる。これによって、圧力室13に、ノズル12の吐出液体DLを圧力室13の方に引き戻す負圧が発生するため、吐出液体DLの液滴がノズル12から分離して飛翔することを促進させることができる。
【0057】
制御部101は、この負圧の発生タイミングに合わせて、供給流路15aの流路抵抗が低減される方向に流路壁部31を第2方向D2に変位させる。流路壁部31の変位によって供給流路15aの容積が拡大された領域へ、連通流路15bを通じて、圧力室13の吐出液体DLが流入することによって、圧力室13の圧力をさらに短時間で低減させることができる。これよって、吐出液体DLの液滴を、ノズル12からより確実に分離させることができ、液滴の飛翔状態を良好にすることができる。
【0058】
特に、第1実施形態では、流路壁部31が開口端部15beに面する位置に設けられているため、流路壁部31を第2方向D2に変位させることによって、連通流路15bに負圧を発生させやすい。よって、吐出圧力の発生タイミングに合わせて流路壁部31を第2方向D2に変位させることによって、圧力室13内の負圧の発生効率がさらに高められており、ノズル12からも液滴の分離をさらに良好におこなうことができる。
【0059】
その他に、制御部101は、例えば、ヘッド部10Aが、予め決められた期間、吐出液体DLの吐出が実行されない待機状態に入るときには、流路壁部31を第1方向D1に変位させて、供給流路15aの流路抵抗を高めてもよい。制御部101は、流路壁部31によって、連通流路15bの開口端部15beを閉塞するものとしてもよい。これによって、ヘッド部10Aの待機中にノズル12から吐出液体DLが漏洩してしまうことを抑制することができる。
【0060】
図3および
図4を参照して、本発明の発明者の実験によって検証された拡大変位機構40の動作特性を説明する。
図3には、アクチュエーター35に印加される駆動電圧に対する加圧壁部43と流路壁部31の変位量の変化を示すグラフDs,Dfが図示されている。一点鎖線のグラフDfは、加圧壁部43の変位量を示しており、実線のグラフDsは、流路壁部31の変位量を示している。拡大変位機構40によって、駆動電圧の増加に対して、各壁部43,31の変位量は線形的に増加することが確認された。また、流路壁部31の変位量は、同じ駆動電圧に対して、面積S1,S2(
図2)の差に応じて、加圧壁部43の変位量よりも拡大されることが確認された。
【0061】
図4には、アクチュエーター35に印加される駆動電圧に対する加圧壁部43と流路壁部31の変位速度の変化を示すグラフが図示されている。
図4のグラフでは、流路壁部31が第1方向D1(
図2)に変位するときの変位速度が正(+)であり、第2方向D2(
図2)に変位するときの変位速度が負(−)である。一点鎖線のグラフVfaおよび二点鎖線のグラフVfbは、加圧壁部43の変位速度を示しており、実線のグラフVsaおよび破線のグラフVsbは、流路壁部31の変位速度を示している。拡大変位機構40では、第1方向D1へ変位するときの流路壁部31の変位速度は、変位量と同様に、面積S1,S2(
図2)の差に応じて、加圧壁部43の変位速度よりも増大されることが確認された。また、第2方向D2へ変位するときの流路壁部31の変位速度も、第1方向D1に変位するときとほぼ同様な比率で、加圧壁部43の変位速度よりも増大されることが確認された。
【0062】
以上のように、第1実施形態の液体噴射装置100Aによれば、流路抵抗変更部30において、アクチュエーター35の変位量の範囲に対して流路壁部31の変位量が、拡大変位機構40によって拡大されている。よって、流路15における流路抵抗を、広範囲に調整することができる。また、アクチュエーター35の伸縮速度に対して、流路壁部31の変位速度を高めることができるため、流路壁部31の応答遅れの発生が抑制され、流路15の流路抵抗を、より適切なタイミングで変化させることができる。よって、流路抵抗変更部30による流路15の流路抵抗、および、流路15が接続されている圧力室13の圧力を高い精度で制御することができ、吐出液体DLの噴射の精度を高めることができる。また、伸縮量の小さいアクチュエーター35を採用することによって、ヘッド部10Aにおける消費電力の低減や、ヘッド部10Aの小型化が可能である。
【0063】
第1実施形態の液体噴射装置100Aによれば、上記のように、流路壁部31が第2方向D2に弾性力が生じる状態で第1方向D1に変位することによって、流路壁部31の応答性が高められている。また、液体室41の液体42に気泡が生じることが抑制される。こうした効果は、アクチュエーター35を高速で繰り返し伸縮させる場合に、特に顕著に得ることができる。
【0064】
第1実施形態の液体噴射装置100Aによれば、パスカルの原理を応用した簡素な構成によって、拡大変位機構40によるアクチュエーター35の変位量の拡大が簡易に実現されている。また、拡大変位機構40によれば、アクチュエーター35が発生させる変位が液体室41の液体42を介して伝達される。そのため、アクチュエーター35の変位を、剛体を用いて伝達させる機構に比較して、アクチュエーター35の変位の繰り返しによる機械摩耗の発生が抑制される。その他に、第1実施形態の液体噴射装置100Aによれば、本第1実施形態中で説明した種々の効果を奏することができる。
【0065】
2.第2実施形態:
図5は、第2実施形態における液体噴射装置100Bが備えるヘッド部10Bの構成を模式的に示す概略断面図である。第2実施形態の液体噴射装置100Bの構成は、第1実施形態のヘッド部10Aの代わりに、第2実施形態のヘッド部10Bを備えている点以外は、第1実施形態の液体噴射装置100A(
図1)の構成とほぼ同じである。第2実施形態のヘッド部10Bの構成は、連通流路15bが傾斜壁面70を有している点以外は、第1実施形態のヘッド部10A(
図2)の構成とほぼ同じである。
【0066】
ヘッド部10Bでは、連通流路15bの内周壁面は、少なくとも、開口端部15beにおいて、流路壁部31に向かう方向に開口径が拡大するようにテーパー状に傾斜する傾斜壁面70を構成している。ヘッド部10Bでは、図示されているように、連通流路15bの内周壁面の全体が傾斜壁面70を構成していてもよい。ヘッド部10Bでは、流路壁部31は、第1方向D1に変位したときに傾斜壁面70と接触して連通流路15bを封止することができる。
【0067】
第2実施形態の液体噴射装置100Bによれば、流路壁部31による圧力室13の封止性を高めることができる。また、傾斜壁面70によって、流路壁部31の第2方向D2への変位がガイドされるため、流路壁部31を、規定通りに撓み変形させることができ、流路壁部31の変位動作がより円滑化される。その他に、第2実施形態の液体噴射装置100Bによれば、第2実施形態中で説明した効果に加えて、第1実施形態において説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0068】
3.第3実施形態:
図6は、第3実施形態における液体噴射装置100C全体構成を示す概略ブロック図である。第3実施形態の液体噴射装置100Cは、以下に説明する点以外は、第1実施形態の液体噴射装置100A(
図1)の構成ほぼ同じである。液体噴射装置100Cの供給部110は、圧力調整部115の代わりに、加圧ポンプ117を備えており、第1実施形態のヘッド部10Aの代わりに第3実施形態のヘッド部10Cを備えている。液体噴射装置100Cは、さらに、循環部120を備えている。循環部120は、排出路121と、液体貯留部122と、負圧発生源123と、循環路124と、を備えている。
【0069】
加圧ポンプ117は、タンク111内の吐出液体DLを、供給路116を通じてヘッド部10Cに圧送する。ヘッド部10Cの構成については後述する。排出路121は、ヘッド部10Cと液体貯留部122とを接続している。ヘッド部10Cによって吐出に用いられなかった吐出液体DLは、排出路121を通じて液体貯留部122に排出される。液体貯留部122には、負圧発生源123が接続されている。負圧発生源123は、液体貯留部122内を負圧にすることにより、排出路121を通じてヘッド部10Cから吐出液体DLを吸引する。負圧発生源123は、各種のポンプによって構成される。
【0070】
液体噴射装置100Cでは、加圧ポンプ117による加圧と負圧発生源123による減圧とによって、ヘッド部10Dの圧力室13(後に参照する
図7において図示)の圧力が調整される。液体噴射装置100Cでは、加圧ポンプ117および負圧発生源123のいずれか一方を省略してもよい。加圧ポンプ117が省略される場合には、負圧発生源123がタンク111からヘッド部10Cへと吐出液体DLを圧送するための圧力を発生させる供給部110の一構成要素として機能していると解釈できる。
【0071】
循環路124は、排出路121を通じてヘッド部10Cから排出された吐出液体DLを、ヘッド部10Cの圧力室13に循環させるための流路である。循環路124は、液体貯留部122とタンク111とを接続している。排出路121を通じて液体貯留部122に貯留された吐出液体DLは、循環路124を通じてタンク111に戻され、再び、供給路116を通じて、ヘッド部10Cの圧力室13に供給される。なお、循環路124には、液体貯留部122から液体を吸引するためのポンプが設けられていてもよい。
【0072】
液体噴射装置100Cでは、循環部120を備えていることによって、ヘッド部10Cから流出した吐出液体DLを再利用することができる。よって、吐出液体DLが無駄に消費されてしまうことを抑制することができ、吐出液体DLの利用効率を高めることができる。なお、液体貯留部122やタンク111には、再利用される吐出液体DLの濃度や粘度、温度など、種々の状態を調整する調整部が設けられていてもよい。また、排出路121や循環路124には、吐出液体DLに含まれる気泡や異物を除去するためのフィルター部が設けられていてもよい。
【0073】
図7は、第3実施形態のヘッド部10Cの構成を模式的に示す概略断面図である。第3実施形態のヘッド部10Cの構成は、流路15に、循環流路15cが追加されている点以外は、第1実施形態のヘッド部10A(
図2)の構成とほぼ同じである。
【0074】
循環流路15cは、連通流路15bより下流側において、供給流路15aに接続されている。循環流路15cは、循環部120の排出路121に接続されている。循環流路15cには、循環部120(
図6)によって、循環流路15cへと吐出液体DLを流入させる負圧が発生する。これによって、連通流路15bを通じて圧力室13に流入しなかった吐出液体DLや、連通流路15bを通じて圧力室13から流出した吐出液体DLは、循環流路15cを通じて、排出路121に流出する。
【0075】
液体噴射装置100Cのヘッド部10Cでは、圧力室13から循環流路15cへと向かう吐出液体DLの流れを生じさせることができる。よって、ヘッド部10C内での吐出液体DL内の沈降成分の堆積や吐出液体DLの溶媒成分の蒸発に伴う濃度変化など、ヘッド部10Cにおける吐出液体DLの滞留によって生じる吐出液体DLの劣化が抑制される。そのため、そうした圧力室13の吐出液体DLの劣化に起因する吐出不良の発生が抑制される。また、液体噴射装置100Cでは、圧力室13に気泡が生じてしまったとしても、その気泡を、吐出液体DLとともに、循環流路15cから排出させることができる。よって、圧力室13の気泡に起因する吐出不良の発生が抑制される。
【0076】
ヘッド部10Cでは、流路壁部31が、傾斜壁面70に接触するまで撓み変形して連通流路15bを閉塞しても、流路壁部31の周りに供給流路15aと循環流路15cとを連通する空間が残るように構成されている。そのため、流路壁部31によって連通流路15bが閉塞されても、矢印FLによって図示されているように、供給流路15aから循環流路15cへと吐出液体DLが流れ続けることができる。そのため、流路壁部31の第1方向D1への変位によって、供給流路15aの圧力が急激に高まってしまうことや、循環流路15cの圧力が急激に低下してしまうことが抑制される。よって、ヘッド部10Dでの吐出液体DLの流れを円滑に継続させることができる。また、吐出液体DLの圧力によって生じる流路壁部31の変位を妨げる方向に働く力を低減させることができ、流路壁部31の変位動作の円滑化が可能である。
【0077】
液体噴射装置100Cでは、制御部101(
図6)は、第1実施形態で説明したように、圧力発生部20によって、圧力室13に吐出圧力を発生させるタイミングに合わせて、流路壁部31を第1方向D1に変位させる。これによって、吐出圧力が連通流路15bを通じて、供給流路15aや循環流路15cに抜けてしまうことを抑制できる。
【0078】
また、液体噴射装置100Cでは、制御部101は、第1実施形態で説明したように、圧力発生部20に圧力室13に液滴を分離させるための負圧を発生させるタイミングに合わせて、流路壁部31を第2方向D2に変位させる。ヘッド部10Cには、負圧が生じている循環流路15cが設けられているため、流路壁部31を第2方向D2に変位させたときに、より短時間で圧力室13に負圧を発生させることができる。
【0079】
拡大変位機構40を用いた流路抵抗変更部30を備える第3実施形態の液体噴射装置100Cによれば、第3実施形態中で説明した種々の効果に加えて、第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0080】
4.第4実施形態:
図8は、第4実施形態における液体噴射装置100Dが備えるヘッド部10Dの構成を模式的に示す概略断面図である。第4実施形態の液体噴射装置100Dの構成は、第3実施形態のヘッド部10Cの代わりに、第4実施形態のヘッド部10Dを備えている点以外は、第3実施形態の液体噴射装置100Cの構成(
図6)とほぼ同じである。第4実施形態のヘッド部10Dの構成は、循環流路15cが追加されている点以外は、第2実施形態のヘッド部10Bの構成とほぼ同じである。
【0081】
第4実施形態のヘッド部10Dでは、連通流路15bに傾斜壁面70が設けられていることによって、第2実施形態で説明したように、流路壁部31による開口端部15beの封止性が高められている。また、流路壁部31の変位動作が円滑化されている。第4実施形態の液体噴射装置100Dによれば、循環部120を備えているため、第3実施形態で説明したのと同様に、圧力室13における吐出液体DLの滞留に起因する不具合の発生を抑制することができる。
【0082】
その他に、第4実施形態の液体噴射装置100Dによれば、第4実施形態中で説明した種々の効果に加えて、第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0083】
5.第5実施形態:
図9は、第5実施形態における液体噴射装置100Eが備えるヘッド部10Eの構成を模式的に示す概略断面図である。第5実施形態の液体噴射装置100Eの構成は、第3実施形態のヘッド部10Cの代わりに、第5実施形態のヘッド部10Eを備えている点以外は、第3実施形態の液体噴射装置100Cの構成(
図6)とほぼ同じである。第5実施形態のヘッド部10Eの構成は、流路壁部31の代わりに、流路壁部31Eおよび流路壁部31Eを支持する弾性部材72が追加されている点以外は、第3実施形態のヘッド部10Cの構成とほぼ同じである。
【0084】
第5実施形態の流路壁部31Eは、例えば、金属板によって構成される。流路壁部31Eは、アクチュエーター35が伸長したときに液体室41の液体42を介して受ける圧力による厚み方向への撓み変形の発生が抑制される程度の剛性を有していることが望ましい。流路壁部31Eは、金属板に限らず、他の部材によって構成されてもよい。流路壁部31Eは、例えば、樹脂板によって構成されてもよい。流路壁部31Eの壁面31a,31bには、撓み変形を抑制するためのリブが形成されていてもよい。
【0085】
流路壁部31は、第2壁面31bの開口端部15beと対向する位置に、開口端部15beに向かって突起する突起部73を有している。なお、本明細書において、「対向する」と言うときは、対向しあう対象物同士の間に他の物が介在している状態も含むものとする。突起部73は、例えば、半球形状を有するように構成されていてもよい。突起部73は、流路壁部31Eが第1方向D1に変位したときに、開口端部15beを閉塞する蓋部として機能する。突起部73は、流路壁部31と異なる部材によって構成されていてもよいし、同じ部材によって構成されていてもよい。なお、突起部73は、完全に開口端部15beを閉塞するように構成されていなくてもよいし、省略されてもよい。供給流路15aと連通流路15bとの接続部位は、突起部73が開口端部15beを閉塞したときに、矢印FLで示されているように、吐出液体DLが流れることができるように、突起部73の周りに空間が残されるように構成されている。
【0086】
流路壁部31Eは、その外周端部が弾性部材72に支持されることによって、厚み方向に変位可能な状態で筐体11に固定されている。弾性部材72は、流路壁部31Eの中央部を囲む枠状の形状を有している。第5実施形態では、弾性部材72は、流路15内に設けられた段差部に配置され、流路壁部31Eを、第1方向D1および第2方向D2への変位が可能な状態で、流路15側から支持する。弾性部材72は、液体室41と流路15との間の液体の漏洩を防止するシール部としても機能する。なお、弾性部材72は、液体室41内に配置され、液体室41側から流路壁部31Eを支持してもよい。
【0087】
アクチュエーター35が伸長して、加圧壁部43が変位すると、液体室41の液体42から流路壁部31Eは圧力を受ける。すると、弾性部材72が圧縮されて、流路壁部31Eは、第2方向D2に弾性力が生じる状態で、一点鎖線で図示されているように、第1方向D1に変位する。流路壁部31Eの変位量は、拡大変位機構40によって、アクチュエーター35の変位量よりも増大されている。よって、ヘッド部10Eでは、第1実施形態のヘッド部10Aと同様に、流路15の流路抵抗の制御精度が高められている。
【0088】
なお、ヘッド部10Eには、第1実施形態のヘッド部10Aのように、循環流路15cがない構成が適用されてもよい。また、第2実施形態のヘッド部10Bや第4実施形態のヘッド部10Dのように、連通流路15bにおいて、少なくとも、開口端部15beの内周壁面が傾斜壁面70を構成している構成が適用されてもよい。
【0089】
第5実施形態のヘッド部10Eでは、流路壁部31Eが変位するときの流路壁部31Eの撓み変形が抑制されているため、液体42から伝達される圧力が、流路壁部31Eのそうした撓み変形によって吸収されてしまうことが抑制されている。そのため、第5実施形態のヘッド部10Eによれば、アクチュエーター35が発生させる圧力を効率的に、流路抵抗変更部30による流路抵抗の制御に利用することができる。また、撓み変形の繰り返しによる流路壁部31Eの劣化が抑制される。第5実施形態の液体噴射装置100Eによれば、第5実施形態中で説明した種々の効果に加えて、上記の各実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0090】
6.第6実施形態:
図10は、第6実施形態における液体噴射装置100Fが備えるヘッド部10Fの構成を模式的に示す概略断面図である。第6実施形態の液体噴射装置100Fの構成は、第3実施形態のヘッド部10Cの代わりに、第6実施形態のヘッド部10Fを備えている点以外は、第3実施形態の液体噴射装置100Cの構成(
図6)とほぼ同じである。第6実施形態のヘッド部10Fの構成は、流路15の構成が変更され、流路抵抗変更部30の設けられている位置が変更されている点以外は、第3実施形態のヘッド部10Cの構成とほぼ同じである。
【0091】
第6実施形態のヘッド部10Fには、流路15として、供給流路15aおよび連通流路15bに加えて、第1循環流路15pと、第2循環流路15qと、が追加されている。また、循環流路15cの代わりに、合流循環流路15rが設けられている。
【0092】
第1循環流路15pは、連通流路15bよりも下流側において供給流路15aに接続されている。第1循環流路15pには、主に、供給流路15aから吐出液体DLが流入する。第2循環流路15qは、圧力室13に接続されている。第2循環流路15qには、圧力室13の吐出液体DLが流入する。第2循環流路15qは、連通流路15bよりもノズル12に近い位置において圧力室13に接続されていることが望ましい。
【0093】
合流循環流路15rは、第1循環流路15pと第2循環流路15qとに接続されている。合流循環流路15rは、循環部120の排出路121に接続されている。合流循環流路15rには、循環部120によって、合流循環流路15rへと吐出液体DLを流入させる負圧が発生する。これによって、供給流路15aの吐出液体DLの一部が第1循環流路15pを通じて、合流循環流路15rへと流入し、残りが連通流路15bを通じて圧力室13に流入する。ノズル12からの吐出に用いられなかった圧力室13の吐出液体DLは、第2循環流路15qを通じて合流循環流路15rへと流入する。第1循環流路15pと第2循環流路15qとから合流循環流路15rに流入した吐出液体DLは排出路121へと排出され、供給部110を通じて、再び、ヘッド部10Fに供給される。
【0094】
流路抵抗変更部30は、合流循環流路15rに設けられている。流路抵抗変更部30は、制御部101(
図6)の制御下において、流路壁部31を合流循環流路15rにおいて変位させることによって、合流循環流路15rの一部の開口断面を変更して、流路15の流路抵抗を変更する。
【0095】
第1循環流路15pは、端部に、合流循環流路15rにおいて開口する接続開口15poを有している。流路壁部31は、第1循環流路15pと面する位置に設けられている。流路壁部31は、アクチュエーター35が伸長したときに、一点鎖線で図示してあるように、接続開口15poを閉塞するように撓み変形して、第2方向D2に働く弾性力が生じる状態で、第1方向D1に変位する。なお、流路抵抗変更部30は、拡大変位機構40を備えているため、流路壁部31の変位量は、第1実施形態で説明したように、アクチュエーター35の変位量よりも増大されている。
【0096】
合流循環流路15rは、流路壁部31が第1方向D1に変位して、接続開口15poを閉塞しても、流路壁部31の周りに吐出液体DLが流れる空間が残るように構成されている。これによって、流路壁部31によって接続開口15poが閉塞された状態においても、矢印FLで図示されているように、合流循環流路15rの吐出液体DLの流れが継続される。流路壁部31によって接続開口15poを閉塞することによって、供給流路15aから連通流路15bを通じた圧力室13への吐出液体DLの流入を促進させることができる。よって、圧力室13への吐出液体DLの充填を短時間でおこなうことができる。
【0097】
液体噴射装置100Fでは、制御部101(
図6)は、流路抵抗変更部30を、例えば、以下のように制御する。制御部101は、ノズル12から吐出液体DLを吐出しない待機状態では、接続開口15poを開き、接続開口15poの流路抵抗が低い状態にして、第1循環流路15pおよび第2循環流路15rを通じた吐出液体DLの循環を促進する。これによって、圧力室13における吐出液体DLの滞留が抑制される。なお、このとき、圧力室13の圧力はメニスカス耐圧以下に調整される。
【0098】
制御部101は、ノズル12からの吐出液体DLの吐出を開始する際には、まず、流路壁部31を接続開口15poに向かって変位させて、接続開口15poの流路抵抗を高める。制御部101は、流路壁部31によって接続開口15poを閉塞させるものとしてもよい。これによって、供給流路15aから第1循環流路15pへの吐出液体DLの流れが抑制され、連通流路15bを通じた圧力室13への吐出液体DLの充填が促進される。
【0099】
次に、制御部101は、接続開口15poの流路抵抗を高めた状態のまま、圧力発生部20によって圧力室13内に、吐出圧力を生じさせる。接続開口15poの流路抵抗が高いことによって、第1循環流路15pへの吐出液体DLの流入が抑制されるため、圧力室13内の吐出圧力が、連通流路15bを通じて抜けてしまうことが抑制され、ヘッド部10Fによる吐出液体DLの吐出効率が高められる。
【0100】
制御部101は、ノズル12からの吐出液体DLの吐出を開始させた後、圧力発生部20によって、圧力室13の容積を増大させる。これによって、圧力室13に、ノズル12の吐出液体DLを圧力室13の方に引き戻す負圧を発生させることができ、ノズル12内の吐出液体DLからの吐出液体DLの液滴の分離を促進させることができる。制御部101は、この負圧の発生タイミングに合わせて、流路壁部31を第2方向D2に変位させて、接続開口15poの流路抵抗を低減させる。これによって、連通流路15bを通じた吐出液体DLの圧力室13への流入が抑制されるため、連通流路15bから供給される吐出液体DLによって圧力室13の圧力の低下が妨げられることが抑制される。よって、吐出液体DLの液滴を、ノズル12内の吐出液体DLからより確実に分離させることができる。
【0101】
特に、第6実施形態では、流路壁部31が接続開口15poに面する位置に設けられているため、流路壁部31を第2方向D2に変位させることによって、第1循環流路15pおよび連通流路15bにおいて瞬間的な圧力低下を生じさせることができる。よって、圧力室13内の負圧の発生効率がさらに高められ、ノズル12内の吐出液体DLからの液滴の分離を促進させることができる。
【0102】
第6実施形態の液体噴射装置100Fによれば、供給流路15aに接続されている第1循環流路15pに加えて、圧力室13に接続されている第2循環流路15qを有しているため、圧力室13における吐出液体DLの滞留を、より効果的に抑制することができる。また、流路抵抗変更部30による流路抵抗の制御によって、吐出液体DLを循環させたままで、圧力室13への吐出液体DLの供給圧力を制御することができるため、効率的である。その他に、第6実施形態の液体噴射装置100Fによれば、第6実施形態中で説明した種々の効果に加えて、上記の各実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0103】
7.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように変形することが可能である。以下に説明する変形例はいずれも、発明を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0104】
7−1.他の実施形態1:
上記の各実施形態において、流路抵抗変更部30は、流路壁部31が、開口端部15beや接続開口15poに面するように配置されていることによって、複数の流路の接続部位において、各流路における流路抵抗をともに変更している。これに対して、流路抵抗変更部30の流路壁部31は、上記各実施形態で説明した位置に設けられていなくてもよい。流路壁部31は、流路15の流路抵抗を変更できるように、流路15の任意の箇所に設けられてもよい。流路壁部31は、例えば、供給流路15aや、連通流路15b、循環流路15c、第2循環流路15qの途中に設けられていてよい。
【0105】
7−2.他の実施形態2:
各実施形態のヘッド部10A〜10Fにおける流路15の構成や流路抵抗変更部30の配置構成は、図示されている構成には限定されない。例えば、供給流路15aや循環流路15cは水平な方向に延びていなくてもよいし、連通流路15bは重力方向に沿って延びていなくてもよい。また、流路抵抗変更部30は、例えば、流路壁部31の変位方向とアクチュエーター35の変位方向とが異なるように構成されていてもよい。また、流路壁部31と加圧壁部43とが互いに対向するように配置されていてもよいし、互いにオフセットされた位置に配置されていてもよい。
【0106】
7−3.他の実施形態3:
上記の各実施形態では、拡大変位機構40は、液体室41の液体42を媒介させた圧力の伝達によって、流路壁部31の変位量をアクチュエーター35の変位量よりも増大させている。これに対して、拡大変位機構40は、液体室41を用いない他の機構によって流路壁部31の変位量をアクチュエーター35の変位量よりも増大させてもよい。例えば、拡大変位機構40は、テコを利用した機構によって、変位量を拡大させてもよい。拡大変位機構は、テコとして機能する連結部材の第1端部をアクチュエーター35に接続し、第2端部を流路壁部31に接続し、当該連結部材を、第2端部よりも第1端部に近い位置に設けた回動軸を中心に回動するように設置した構成としてもよい。
【0107】
7−4.他の実施形態4:
上記第6実施形態において、ダイヤフラムとして構成されている流路壁部31の代わりに、弾性部材72に支持されている第5実施形態の流路壁部31Eの構成が適用されてもよい。
【0108】
7−5.他の実施形態5:
上記の各実施形態において、アクチュエーター35は、ピエゾ素子によって構成されていなくてもよい。アクチュエーター35は、例えば、例えば、エアシリンダーやソレノイド、磁歪素子などの変位を発生可能な種々の素子や装置によって構成されてもよい。
【0109】
7−6.他の実施形態6:
上記の各実施形態において、液体噴射装置100A〜100Fは、ピエゾ素子によって構成された吐出アクチュエーター22によるダイヤフラムの撓み変形によって吐出液体DLを吐出する吐出機構を採用している。液体噴射装置100A〜100Fは、そうした吐出機構に限らず、他の吐出機構によって、ノズル12から吐出液体DLを吐出するように構成されていてもよい。例えば、液体噴射装置100A〜100Fにおいては、圧力室13においてピストンを往復運動させることによってノズル12から吐出液体DLを吐出させる機構が採用されていてもよい。
【0110】
7−7.他の実施形態7:
上記の各実施形態の液体噴射装置100A〜100Fは、インクを吐出する液体噴射装置に限らず、種々の液体を吐出する液体噴射装置として実現されてもよい。例えば、以下のような各種の液体噴射装置として実現されてもよい。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置。
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置。
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材吐出装置。
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を吐出する液体噴射装置。
(5)精密ピペットとしての試料吐出装置。
(6)潤滑油の吐出装置。
(7)樹脂液の吐出装置。
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体噴射装置。
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体噴射装置。
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を吐出する液体噴射装置。
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドを備える液体噴射装置。
【0111】
本明細書において、「液体」とは、液体噴射装置が消費できるような材料であればよい。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であればよく、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。液体の代表的な例としてはインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。また、「液滴」とは、液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。
【0112】
7−8.他の実施形態8:
上記実施形態において、ソフトウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェアによって実現されてもよい。また、ハードウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェアによって実現されてもよい。ハードウェアとしては、例えば、集積回路、ディスクリート回路、または、それらの回路を組み合わせた回路モジュールなど、各種回路を用いることができる。
【0113】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須ではないと説明されているものに限らず、その技術的特徴が本明細書中に必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。