(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における液体収容体20Aが収容される液体噴射装置11の概略斜視図である。
図1には、互いに直交する三方向を示すX軸、Y軸、Z軸が図示されている。X軸およびY軸は水平面に平行な方向を示している。X軸は、水平面に配置されている通常の使用姿勢にあるときの液体噴射装置11の幅方向に平行であり、液体噴射装置11の前面(後述)に正対したときに右から左に向かう方向を示している。Y軸は、通常の使用姿勢にあるときの液体噴射装置11の前後方向に平行であり、液体噴射装置11の前面から後面に向かう方向を示している。本明細書では、Y軸方向を「奥行方向」と呼ぶ場合もある。Z軸は、液体噴射装置11の高さ方向に平行であり、重力方向を示している。X軸、Y軸、Z軸は、後に参照する
図2〜
図4においても、
図1と対応するように図示されている。
【0023】
第1実施形態では、液体噴射装置11は、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって記録(印刷)を行うインクジェットプリンターである。液体噴射装置11は、略直方体状の外装体12を備える。液体噴射装置11では、外装体12において、高さと幅を有し、液体噴射装置11を操作する際にユーザーが正対することが想定されている側面のことを「前面」と呼ぶ。
【0024】
外装体12の前面部分には、底部側から上に向かって順に、容器13が着脱可能に装着される装着部14を覆う回動可能な前蓋15と、媒体(図示略)を収容可能なカセット16が装着される装着口17と、が設けられている。
図1では、装着部14の位置を一点鎖線で模式的に図示してある。装着部14の構成については後述する。装着口17の上側には、排出される媒体を受け止める排出トレイ18と、ユーザーが液体噴射装置11の操作を行うための操作パネル19と、が設けられている。
【0025】
本実施形態の装着部14の内部には、容器13(破線で図示)が装着される。容器13は、装着部14に対して、前面側から挿入されて、液体噴射装置11に着脱可能に装着される。容器13が装着部14に装着されるときの移動方向(以下、「装着方向」とも呼ぶ。)は、Y軸方向である。
【0026】
容器13には、液体噴射装置11に供給するための液体を収容する液体収容体20A(破線で図示)が取り外し可能に載せられる。以下では、液体収容体20Aが配置されている容器13を「装着体50」とも呼ぶ。また、容器13に載置された液体収容体20Aが液体噴射装置11に装着された液体収容体20Aの姿勢のことを「装着姿勢」と呼ぶ。容器13および液体収容体20Aの構成については後述する。なお、容器13は、液体収容体20Aが載置されていない単体の状態でも装着部14に着脱可能に装着可能であり、液体噴射装置11に備えられる構成要素である。
【0027】
外装体12内には、ノズルから液体を噴射する液体噴射部21と、液体噴射装置11の幅方向(X軸方向)と一致する走査方向に沿って往復移動するキャリッジ22とが設けられている。液体噴射部21は、キャリッジ22とともに移動する。液体噴射部21は、容器13に載置された液体収容体20Aから供給される液体を、キャリッジ22の移動経路の下方においてY軸方向に沿った副走査方向に搬送されていく媒体に向かって噴射する。なお、他の実施形態では、液体噴射部21は往復移動することなく位置が固定されたラインヘッドでもよい。
【0028】
図2は、装着部14の構成を示す概略斜視図である。装着部14は、液体噴射装置11の内部において、1つの容器13を収容可能な収容空間として形成されている。前蓋15(
図1参照)の背後にある装着部14の入口には、枠体24が取り付けられている。枠体24は、前蓋15側となる手前側から収容空間に連通する挿入口25を有する。枠体24は、挿入口25の内周面側に、容器13の着脱時の移動を案内するための奥行方向に延びる1または2以上の凸形状または凹形状からなる線状の案内レール26を複数組有することが好ましい。
【0029】
容器13は、挿入口25を通じて装着部14に挿入される。容器13は、装着部14内の底面に設けられている奧に向かって延びるY軸方向に沿った移動経路に沿って移動することにより、装着部14に装着される。装着部14の奥側には、容器13に載置されている液体収容体20Aに接続される接続機構29が設けられている。接続機構29は、液体収容体20Aに挿入され、液体収容体20Aの液体を接続機構29に導入するための導入針32を有する。接続機構29の構成については後述する。
【0030】
液体噴射装置11は、液体収容体20Aが接続されている接続機構29から液体噴射部21に向けて液体を供給する供給流路30と、液体収容体20Aに収容された液体を供給流路30に送る駆動力を発生させる供給機構31と、を備えている。供給流路30は、可撓性を有する供給チューブ33を含む。供給チューブ33の上流端は、接続機構29に接続されており、下流端は液体噴射部21(
図1に図示)に接続されている。接続機構29の内部には、導入針32の下流端と供給チューブ33の上流端とに連通しているポンプ室(図示は省略)が設けられている。ポンプ室は、図示しない変圧室と可撓膜(図示は省略)を介して区画されている。
【0031】
供給機構31は、変圧機構34及び変圧機構34の駆動源35と、変圧機構34と上記の変圧室とを繋ぐ変圧流路36と、を備える。駆動源35(例えばモーター)の駆動により変圧機構34が変圧流路36を通じて、接続機構29内に設けられた変圧室を減圧すると、ポンプ室と変圧室の間の可撓膜が変圧室側に撓み変位し、ポンプ室の圧力が下がる。このポンプ室の圧力低下に伴って、液体収容体20Aに収容された液体が導入針32を通じてポンプ室に吸引される。これを吸引駆動という。
【0032】
その後、変圧機構34が変圧流路36を通じて変圧室の減圧を解除すると、可撓膜がポンプ室側に撓み変位することにより、ポンプ室の圧力が上がる。すると、ポンプ室の圧力上昇に伴って、ポンプ室内の液体が加圧された状態で供給チューブ33に流出する。これを吐出駆動という。そして、供給機構31は、吸引駆動と吐出駆動とを交互に繰り返すことにより、液体収容体20Aから液体噴射部21に液体が供給される。
【0033】
図3は、接続機構29の概略斜視図である。接続機構29は、幅方向(X軸方向)において導入針32を挟む位置にそれぞれ、第1接続機構29Fと、第2接続機構29Sと、を有する。第1接続機構29Fは、アーム38を備える。アーム38は、導入針32よりも鉛直下方側に配置され、装着体50を装着部14から取り出すときの方向である取出方向(Y軸方向とは反対の方向)に突出している。アーム38は基端側を中心に先端側が回動可能に構成されている。アーム38の先端には係止部39が設けられる。係止部39は、例えばアーム38から鉛直上方に突出しており、装着部14(
図2参照)に装着されるときの容器13の移動経路上に配置される。係止部39は、容器13が装着部14に装着されたときに、容器13の裏面に設けられた係合溝78(後に参照する
図4において図示)に嵌まり、容器13が装着部14から容易に外れることを規制する。
【0034】
第1接続機構29Fは、導入針32の鉛直上方に配置されて取出方向に突出する端子部40を備える。端子部40は、フラットケーブル等の電気回線41を介して、液体噴射装置11における液体の供給を制御する制御装置42と接続されている。端子部40は、上端が下端よりも取出方向に突出して、斜め下を向くように配置されていることが好ましい。端子部40の幅方向における両側には、幅方向に突出するとともに装着方向に沿って延びる一対の案内凸部40aが設けられていることが好ましい。
【0035】
第2接続機構29Sは、導入針32よりも鉛直上方に配置されている。第2接続機構29Sは、取出方向に突出する誤挿入防止用のブロック44を備える。ブロック44は下方に向いて配置される凹凸形状を有する。
【0036】
接続機構29は、一対の位置決め突部45,46と、導入針32を囲むように配置される押出機構47と、導入針32の下方で取出方向に突出する液受部48と、を備える。一対の位置決め突部45,46は、それぞれ第1接続機構29Fと第2接続機構29Sとに含まれるように導入針32を挟んで幅方向に並ぶ。位置決め突部45,46は、例えば、互いに平行をなして取出方向に突出する棒状の突部とすることができる。位置決め突部45,46の取出方向への突出長さは導入針32の取出方向への突出長さより長くすることが好ましい。
【0037】
押出機構47は、導入針32の基端部分を囲む枠部材47aと、枠部材47aから取出方向に突出する押圧部47bと、押圧部47bを介して容器13を取出方向に付勢する付勢部47cと、を備える。付勢部47cは、例えば、枠部材47aと押圧部47bの間に介装されたコイルばねによって構成される。押出機構47は、装着部14(
図2参照)に装着された装着体50に対して取出方向に付勢力を付与する。なお、装着体50(この後に参照する
図4において図示)は、装着部14に装着された状態では、係止部39に係止されているため、取出方向への移動が規制される。
【0038】
図4は、装着部14に装着される装着体50の構成を示す概略斜視図である。
図4には、互いに直交する3つの方向であるD方向、T方向、及びW方向を示す矢印が示されている。D方向、T方向、及びW方向は、装着体50が通常の使用姿勢にある液体噴射装置11に装着されている装着姿勢において、
図1で説明したX軸、Y軸、Z軸と以下のように対応する。
【0039】
D方向は、Y軸に沿った方向であり、D方向を示す矢印はY軸方向とは逆の方向を示している。T方向は、Z軸に沿った方向であり、T方向を示す矢印はZ軸方向とは逆の方向を示している。W方向は、X軸に沿った方向であり、W方向を示す矢印は、X軸方向と同じ方向を示している。以下の説明では、D方向、T方向、W方向のうち、D方向、T方向、W方向の矢印が示す正の方向をそれぞれ、+D方向、+T方向、+W方向とも呼ぶ。また、D方向、T方向、W方向の逆の方向(負の方向)をそれぞれ−D方向、−T方向、−W方向とも呼ぶ。D方向、T方向、及びW方向を示す矢印は、後に参照する各図においても、
図4と対応するように適宜、図示されている。ただし、
図4以外では、−D方向、−T方向、−W方向を示す矢印の図示は省略する。以下の説明において、D方向、T方向、W方向は、特に断らない限り、液体収容体20Aが装着姿勢にあるときの方向を意味している。
【0040】
装着体50は、容器13の上に液体収容体20Aが載置されることによって構成されている。装着体50を構成する容器13および液体収容体20Aでは、D方向、T方向、及び、W方向の3つの方向のうち、T方向が外形の寸法が最も小さい方向である。また、本実施形態では、容器13および液体収容体20Aは、D方向における外形の寸法よりもW方向における外形の寸法の方が大きい。なお、他の実施形態では、D方向における外形の寸法よりもW方向における外形の寸法の方が小さくてもよい。
【0041】
装着体50が、装着部14(
図2参照)に装着されるときに先に進む−D方向側の端を先端とし、先端の反対側の+D方向側の端を基端とする。装着体50は、先端部分に接続構造51を備える。接続構造51は、幅方向(W方向)の中央に、液体導出部52を備える。液体導出部52は、接続機構29の導入針32(
図3参照)が+D方向に挿入され、液体噴射装置11に供給される液体を導出するための供給口である。
図4では、液体導出部52の位置を破線で図示してある。接続構造51は、幅方向において液体導出部52を挟む両側にそれぞれ、第1接続構造51Fと、第2接続構造51Sと、を有する。
【0042】
第1接続構造51Fは、接続機構29の端子部40(
図3参照)に電気的に接続される接続端子53を備える。接続端子53は、例えば回路基板の表面に設けられる。回路基板は、液体収容体20Aに関する各種の情報(例えば、液体収容体20Aの種類や液体の収容量等)を記憶する記憶部を含む。
【0043】
接続端子53は、液体導出部52よりも上方の位置に設けられていることが好ましい。また、接続端子53は、上方及び装着方向に開口する凹部53a内に、斜め上を向くように配置されていることが好ましい。接続端子53の幅方向における両側には、装着方向に延び、一対の案内凸部40a(
図3参照)が挿入される案内凹部53gが設けられていることが好ましい。
【0044】
第2接続構造51Sは、液体導出部52よりも鉛直上方に配置された誤挿入防止用の識別部54を備える。識別部54は、対応する接続機構29のブロック44(
図3参照)に嵌まり合う形状の凹凸パターンを有する。
【0045】
接続構造51は、一対の位置決め穴55,56と、付勢受部57と、を備える。一対の位置決め穴55,56は、装着体50が装着部14に装着されるときの位置決め部として機能する。一対の位置決め穴55,56は、液体導出部52を挟んで幅方向に並んでいる。第1位置決め穴55は、第1接続構造51Fに含まれ、第2位置決め穴56は、第2接続構造51Sに含まれる。第1位置決め穴55と第2位置決め穴56とは互いに異なる開口形状を有することが好ましい。本実施形態では、第1位置決め穴55は円形の穴として構成され、第2位置決め穴56は幅方向に長い略楕円形状の長穴として構成される。
【0046】
付勢受部57は、装着姿勢において、接続機構29の押出機構47(
図3参照)に当接し、付勢部47cから付勢力を受ける。
【0047】
図3と
図4を参照して、装着体50が備える接続構造51の接続機構29に対する接続について説明する。装着体50が装着部14に挿入されて先端が接続機構29に近づくと、まず、取出方向への突出長さが長い位置決め突部45,46の先端が、装着体50の位置決め穴55,56に挿入されて、装着体50の幅方向への移動を規制する。本実施形態では、上述したように、第2位置決め穴56は幅方向に延びる楕円形状の長穴であり、第2位置決め突部46の幅方向への移動がわずかに許容される遊びが設けられている。一方、第1位置決め突部45は、円形状の第1位置決め穴55に対して、ほぼ隙間がない状態で挿入される。そのため、実質的には、第1位置決め突部45と第1位置決め穴55とが位置決めの基準になる。
【0048】
本実施形態では、位置決め突部45,46による装着体50の位置決めがされた後に、導入針32の液体収容体20Aへの接続が完了するように構成されている。位置決め突部45,46が位置決め穴55,56に係合した後、さらに装着体50が奧に進むと、付勢受部57が押圧部47bと接触して付勢部47cの付勢力を受ける。そして、液体導出部52に導入針32が挿入されて、導入針32と、装着体50の液体収容体20Aとが接続される。
【0049】
装着体50が装着方向に進むと、端子部40が装着体50の凹部53a内に入り、案内凹部53gが案内凸部40aに案内される。これによって、端子部40に対する接続端子53の位置が調整され、端子部40が接続端子53に接触する。これによって、接続端子53と端子部40とが電気的に接続され、回路基板と制御装置42の間での情報の通信が可能になる。上述したように、第1位置決め穴55は、接続機構29に対する装着体50の位置決めの基準となる。そのため、接続端子53と端子部40との接続状態を良好にするためには、接続端子53を含む第1接続構造51Fの方に第1位置決め穴55が設けられていることが好ましい。
【0050】
装着体50が正しい位置に挿入された場合、識別部54が接続機構29のブロック44と適切に嵌合する。「嵌合」とは、対象物同士の相対的な移動が規制されるように対象物同士が嵌まり合う状態を意味する。これに対して、装着体50を間違った位置に装着しようとした場合、識別部54がブロック44と嵌合しないので、装着体50はそれ以上奧に進むことができず、誤装着が防止される。以上のように、液体収容体20Aの液体導出部52に対して、導入針32が接続され、接続端子53が端子部40に電気的に接続されたときに、接続構造51の接続機構29に対する接続が完了する。
【0051】
図5は、装着体50の概略分解斜視図であり、容器13から液体収容体20Aを上方に取り外した状態を示している。容器13は、高さ方向よりも幅方向および奥行き方向の寸法が大きい平板な略直方体状の外形を有している箱体として構成されている。容器13は、底面を構成する底壁67と、底壁67の周りに設けられた一対の側壁68と、前面壁69と、先端壁70と、を備えている。一対の側壁68は、底壁67の幅方向の両端から鉛直上方に向かって立つように設けられている。前面壁69は、底壁67の基端から鉛直上方に向かって立つように設けられている。先端壁70は、底壁67の先端から鉛直上方に向かって立つように設けられている。
【0052】
底壁67、一対の側壁68、前面壁69及び先端壁70によって囲まれた容器13内部の空間が、液体収容体20Aを収納する収納空間を構成する。液体収容体20Aは、一対の側壁68、前面壁69及び先端壁70によって囲まれた開口13aから容器13の収納空間に出し入れされる。先端壁70は、液体収容体20Aが容器13に装着されたときに、液体収容体20Aのアダプター61(後述)の一部が露出するように、その幅方向における中央部分が切り欠かれたような形状を有している。
【0053】
容器13の先端部分には、液体収容体20Aのアダプター61が嵌合して、液体収容体20Aの配置位置を固定する固定部65が設けられている。固定部65は、一対の側壁ブロック65bkと、先端壁70においてアダプター61とD方向に面する部位と、底壁67の先端部に設けられた切り欠き65aと、一対の案内部73と、で構成される。
【0054】
一対の側壁ブロック65bkは、先端壁70と底壁67との間の角部に設けられた矩形状の部位である。一対の側壁ブロック65bkは、アダプター61を幅方向に挟み、アダプター61の幅方向への移動を規制する。
【0055】
先端壁70においてアダプター61とD方向に面する部位は、上述した付勢受部57を含む。また、当該部位には、第1穴55a及び第2穴56aが設けられている。第1穴55a及び第2穴56aは、上述した位置決め穴55,56の入口を構成する貫通孔である。切り欠き65aは、底壁67の先端面を+D方向に窪ませた形状を有している。切り欠き65aは、液体収容体20Aの液体導出部52の下方に設けられた挿入部58が挿入されて係合する。
【0056】
一対の案内部73はそれぞれ、底壁67から+T方向に突出する柱状部位である。本実施形態では、一対の案内部73は、液体収容体20Aが容器13に装着されたときに、液体導出部52を挟むように、幅方向に並んで形成されている。各案内部73は、液体収容体20Aのアダプター61に設けられた被案内部72に挿入される。各案内部73は、アダプター61のT方向への移動を案内する。案内部73が突出している方向を「案内方向」とも呼ぶ。なお、本実施形態では、案内部73は、略半円柱状であり、案内方向に沿う側面の先端側に、−D方向に向く平面状の規制部73aを有する。
【0057】
図5および
図6を参照図として、液体収容体20Aの構成を説明する。
図6は、液体収容体20Aの概略斜視図である。液体収容体20Aは、液体噴射装置11に供給される沈降成分を有する液体を収容する。「沈降成分」とは、液体が長時間(例えば数時間以上)静置されたときに、重力によって液体の下方に沈降する成分を意味する。本実施形態では、沈降成分は、溶媒中に分散された顔料である。液体収容体20Aは、液体を収容する袋60と、液体噴射装置11に対する接続構造が設けられているアダプター61と、を備える。
【0058】
袋60の内部には、液体を収容する内部空間である液体収容部60cが設けられている。袋60は、T方向に見たときに、W方向を長手方向とする長方形形状を有している。袋60は可撓性を有している。袋60の形状は、ピロータイプでもよいし、ガゼットタイプでもよい。本実施形態では、袋60は、長方形状のフィルムを2枚重ねて、その周縁部を互いに接合することによって、液体収容部60cの周りにマチ部GRが形成されたピロータイプの袋である。
【0059】
袋60を構成するフィルムは、可撓性とガスバリア性を有する素材で形成されている。例えば、フィルムの素材としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリエチレンなどが挙げられる。また、これらの素材で構成されたフィルムを複数積層した積層構造を用いてフィルムが形成されてもよい。このような積層構造では、例えば、外層を耐衝撃性に優れたPET又はナイロンによって形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンによって形成してもよい。さらに、アルミニウムなどを蒸着した層を有するフィルムを積層構造の1つの構成部材としてもよい。
【0060】
ここで、D方向において、袋60の−D方向側の端部を「一端部60a」と呼び、+D方向側の端部を「他端部60b」と呼ぶ。D方向のうち、一端部60a側から他端部60b側に向かう方向が+D方向であり、+D方向とは逆の方向が−D方向である。アダプター61は、袋60の一端部60aに取り付けられている。本実施形態では、アダプター61は、W方向において一端部60aの中央部に取り付けられている。
【0061】
アダプター61は、先端側に、装着体50の接続構造51を構成する部位を有している。アダプター61は、内部に、W方向の中央に液体導出部52を有する(
図5参照)。液体導出部52の−W方向側には、接続端子53と、接続端子53を収容する凹部53aと、案内凹部53gと、が設けられている(
図5および
図6参照)。液体導出部52の−W方向側には、識別部54が設けられている。
【0062】
さらに、アダプター61の先端には、第1穴55bと、第2穴56bと、が形成されている(
図5参照)。液体収容体20Aが容器13に載置されると、第1穴55bは、容器13の先端壁70に設けられた第1穴55aとD方向に並び、第2穴56bは、容器13の先端壁70に設けられた第2穴56bとD方向に並ぶ。第1穴55a,55bにより、接続構造51の第1位置決め穴55が構成され、第2穴56a,56bにより接続構造51の第2位置決め穴56が構成される(
図4参照)。
【0063】
アダプター61は、液体収容体20Aが容器13に載置されたときに、容器13の固定部65に固定される(
図5参照)。アダプター61の下面には、液体導出部52の下方には、容器13の底壁67の先端に設けられた切り欠き65aに挿入される凸構造である挿入部58が設けられている。
【0064】
アダプター61には、固定部65の案内部73が挿入される被案内部72がW方向に並ぶように、液体導出部52の両側に設けられている(
図5および
図6参照)。被案内部72は、T方向にアダプター61を貫通する貫通孔として設けられている。被案内部72の内周壁面には、案内部73の規制部73aに面する平面状の規制部72aが設けられている。被案内部72に案内部73が挿入されたときに、それぞれの規制部72a,73aが互いに面することによって、液体収容体20Aの容器13上での水平方向に沿った回転が規制される。
【0065】
アダプター61の上面には、アダプター61とは別部材で構成された取っ手部62が取り付けられている(
図5および
図6参照)。取っ手部62は、ユーザーに把持される把持部62aと、把持部62aから延びている先の基端部に設けられている軸部62bと、を有する。取っ手部62は、アダプター61の上面から−T方向に窪んだ凹部内において、W方向に開口している軸受部63に、軸部62bが挿入されることによって、アダプター61に対して、把持部62aがD方向に回動するように回動可能に取り付けられる。取っ手部62の回動軸は、軸部62bおよび軸受部63によって構成される。
【0066】
取っ手部62は、把持部62aが袋60の上に位置し、取っ手部62の回動軸と同じ高さ、もしくは、それよりも低い位置に位置する第1姿勢と、把持部62aが袋60から離れ、取っ手部62の回動軸よりも高い位置に位置する第2姿勢と、をとる。
図5,
図6では、取っ手部62が第1姿勢にあるときの状態が図示されている。装着体50が装着部14に装着されるときには、取っ手部62は第1姿勢にされる。容器13から取り外された状態の液体収容体20Aを持ち運ぶときは、ユーザーは、第2姿勢にある取っ手部62の把持部62aに手を掛けることができる。
【0067】
袋60には、流路形成部100が設けられている(
図5および
図6参照)。流路形成部100は、袋60内の液体が消費されて袋60が収縮した状態において、液体収容部60c内に、液体導出部52まで液体を流通させるための流路を形成する。本実施形態では、流路形成部100は、可塑性を有する袋60において、局所的に+T方向側に膨らんだ形状に成形された部位によって構成されている。流路形成部100は、装着姿勢において、上方に隆起し、水平面に沿って畝状に隆起して延びている部位として形成されている。本実施形態では、流路形成部100は、袋60の液体収容部60cを構成している他の部位よりも可撓性が低く、形状維持性が高い部位として構成されていると解釈することもできる。
【0068】
流路形成部100は、例えば、袋60を構成する可撓性を有するシート状の部材に対して、流路を象った型を押し当てるプレス成形によって形成することができる。プレス成形は、プレス対象を加熱するホットプレスによっておこなわれてもよい。本実施形態では、流路形成部100は、液体収容部60c内に、袋60内に配置されている立体物であるスペーサー部材90(後に参照する
図7において図示)の+D方向側から、スペーサー部材90に向かって延びる3本の流路101を形成するように構成されている(詳細は後述)。
【0069】
図7〜
図9を参照して、液体収容体20Aの内部構造を説明する。
図7は、
図6に示されている7−7切断における液体収容体20Aの概略断面図である。
図7には、液体収容部60cが規定量の液体LQが封入されている状態が例示されている。
図7では、便宜上、液体導出管80の配置位置を破線で図示してある。
図8は、液体収容体20Aのアダプター61の概略分解斜視図である。
図8では、便宜上、取っ手部62の図示は省略してある。
図9は、液体収容体20Aの袋60内から内部構造体ISを取り出した状態を示す概略分解斜視図である。
【0070】
液体収容体20Aは、液体導出部52を一体的に備える液体導出部材66を有する(
図7参照)。液体導出部材66は、アダプター61の内部に設けられている。
図7には、液体導出部52の中心軸CXが示されている。液体導出部材66は、袋60の一端部60aに取り付けられている。液体収容体20Aは、袋60に設けられた液体収容部60c内に、内部構造体ISを備える。内部構造体ISは、液体導出管80と、連結部材85と、スペーサー部材90と、を含む。
【0071】
液体導出管80は、液体収容部60c内において、液体が流通する流通路を構成する。液体導出管80は、例えば、エラストマーによって形成された弾性を有するチューブによって構成される。本実施形態では、液体導出管80は、第1導管部81と、第2導管部82と、を含み、2本のチューブによって構成されている(詳細は後述)。他の実施形態では、液体収容体20Aは、液体導出管80を3本以上備えてもよいし、1本のみ備えていてもよい。
【0072】
液体導出管80は、液体収容部60c内において液体導出部材66に接続された基端部80aを有する。基端部80aは、第1導管部81の第1基端部81aと、第2導管部82の第2基端部82aと、を含む。液体導出部材66の内部には、液体導出管80と液体導出部52とを連通させる流路が形成されている(図示は省略)。
【0073】
液体導出管80は、液体収容部60c内において、液体導出部材66から他端部60b側に向かって延びている。本実施形態では、液体導出管80は、装着姿勢において水平方向に延びるように液体収容部60c内に配置される。液体導出管80は、液体導出部材66から、液体収容部60cの内部に配置されているスペーサー部材90に向かって延びている。
【0074】
本実施形態では、液体導出管80の先端部80bは、スペーサー部材90に接続されている。先端部80bは、第1導管部81の第1先端部81bと、第2導管部82の第2先端部82bと、を含む。液体導出管80には、スペーサー部材90をD方向に貫通している貫通孔として設けられた第1導入口92および第2導入口93を通じて、液体LQが導入される。液体導出管80と第1導入口92および第2導入口93との接続については後述する。
【0075】
スペーサー部材90は、袋60内の液体収容部60cに一定の容積の領域を区画するための構造物である。スペーサー部材90は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂によって形成されている。スペーサー部材90は、液体導出管80よりも+D方向側に位置する部分を有している。本実施形態では、スペーサー部材90は、液体収容部60cにおいて、液体導出部52の中心軸CXを通るTD面と交わる位置に配置されている。「TD面」とは、T方向とD方向とを含む仮想平面であり、T方向とD方向とに平行な仮想平面である。
【0076】
内部構造体ISが液体収容部60cに収容されている状態において、スペーサー部材90のT方向における高さは、内部構造体ISの中で最も大きい。液体収容体20Aが液体噴射装置11に装着された装着姿勢においては、スペーサー部材90の最下部と最上部のうち、少なくとも一方は、袋60の内面と接触する。本実施形態では、液体収容体20Aに規定量の液体LQが封入されていれば、
図7に示されているように、スペーサー部材90の最下部と最上部の両方が、袋60の内面と接触する。また、本実施形態では、装着姿勢において、スペーサー部材90の最下部の高さとスペーサー部材90の最上部の高さとの中心と、液体導出部52の中心軸CXの高さとが同じである。
【0077】
このように、液体収容体20Aでは、スペーサー部材90が配置されている部位において、スペーサー部材90によって、袋60のT方向に対向する面同士が直接的に接触することが抑制される。そのため、たとえ、袋60に収容されている液体が消費され、袋60が収縮したとしても。スペーサー部材90の周りには液体が入り込める空間が形成される。本実施形態におけるスペーサー部材90の具体的な形状については後述する。
【0078】
本実施形態では、スペーサー部材90は、棒状の連結部材85によって液体導出部材66に固定されている。連結部材85は、液体導出部52の中心軸CXに沿ってD方向に延びるように配置されており、−D方向側の端部に設けられた係止部86において、液体導出部材66に連結され、+D方向側の端部がスペーサー部材90に連結されている。液体導出部材66およびスペーサー部材90に対する連結部材85の連結構造については後述する。スペーサー部材90は、連結部材85は、スペーサー部材90と同様な合成樹脂によって構成されていてもよいし、他の異なる材料によって構成されていてもよい。
【0079】
スペーサー部材90が、液体導出部材66に固定されていることによって、スペーサー部材90と液体導出部材66との位置関係が安定化する。よって、液体収容体20Aの個体ごとに、液体収容部60cにおけるスペーサー部材90の配置位置が変化してしまうことが抑制され、液体噴射装置11に対する液体の供給性能が、液体収容体20Aの個体ごとに変動してしまうことが抑制される。
【0080】
本実施形態の液体収容体20Aは、装着姿勢において、スペーサー部材90の高さ方向(T方向)における中心と、液体導出部52の中心軸CXの高さとが同じになるように構成されている(
図7参照)。そのため、容器13に対する液体導出部52の上下方向の位置を安定させることができ、液体噴射装置11に対する接続が容易化されている。
【0081】
本実施形態では、スペーサー部材90より+D方向側に上述した流路形成部100が設けられている(
図7参照)。上述したように、本実施形態では、流路形成部100は、袋60を局所的に+T方向側に膨らむように成形した部位として構成されている。本実施形態の袋60では、流路形成部100は、装着姿勢において上を向く面側に設けられている。
【0082】
液体収容部60c内の液体LQが消費されて袋60が徐々に収縮していっても、流路形成部100が形成されている部位では、他の部位より、T方向に対向する袋60の内面同士が接触するのが遅れる。そのため、袋60が収縮して、流路形成部100の周りにおいて袋60の内部空間が潰れたときに、流路形成部100の内部空間は閉塞されずに残り、液体を誘導する誘導流路101として機能する。その誘導流路101は、液体収容部60cの端部側からスペーサー部材90に近づく方向へと延びているため、誘導流路101を通じて、液体収容部60cの端部側に残留している液体LQを、スペーサー部材90の方にある液体導出管80へと誘導できる状態が維持される。
【0083】
内部構造体ISは、液体導出部材66に連結された状態で、袋60の一端部60a側に予め設けられ開口部60dを通じて、液体収容部60cに挿入される(
図9参照)。以下では、液体導出部材66と内部構造体ISとが連結されて一体化された部品を「液体導出ユニットLU」とも呼ぶ。本実施形態では、開口部60dは、袋60のW方向におけるほぼ中央に設けられている。液体導出ユニットLUは、液体導出部材66の液体導出部52が開口部60dから突出する予め決められた位置まで挿入される(
図8参照)。
【0084】
液体導出部材66は、袋60の開口部60dの内周面が、液体導出部材66の外周面に溶着されることによって袋60に固定される。液体導出部材66に対する開口部60dの溶着によって、液体収容部60cは、液体導出部材66の内部の流路以外の外部に通じる開口が封止される。以下では、スペーサー部材90および液体導出管80が内部に挿入され、開口部60dが液体導出部材66に溶着された袋60のことを、「袋ユニット60u」とも呼ぶ。なお、液体導出部材66に対する内部構造体ISの連結構造や、袋60に対する液体導出部材66の溶着部位については、別の参照図を用いて、後に詳細を説明する。
【0085】
アダプター61は、T方向に分割可能な蓋部材61aと底部材61bとによって構成されている(
図8参照)。蓋部材61aと底部材61bとが、−D方向に突出している液体導出部材66の液体導出部52を含む袋ユニット60uの−D方向側の一端部60aを、+T方向側と−T方向側とから挟み込むことにより、袋ユニット60uに、アダプター61が固定される。
【0086】
アダプター61の識別部54は、蓋部材61a側に設けられている。接続端子53と、それが配置される凹部53aと、挿入部58とは、底部材61b側に設けられている。また、底部材61bには、挿入部58の上に、導入針32(
図3に図示)を内部の液体導出部52へと導くための開口部61oが設けられている。
【0087】
本実施形態では、底部材61bには、第1突起61cと第2突起61dとが、+T方向に突起するように設けられている。第1突起61cと第2突起61dとは、W方向に並ぶように設けられている。液体導出部材66の袋60から−D方向に露出した部分には、固定部66sが設けられている。固定部66sには、W方向において液体導出部52を挟む位置に、第1貫通孔66cと第2貫通孔66dとが設けられている。
【0088】
袋ユニット60uにアダプター61が固定される際には、液体導出部材66の第1貫通孔66cには、底部材61bの第1突起61cが挿入される。また、液体導出部材66の第2貫通孔66dには、底部材61bの第2突起61dが挿入される。そして、底部材61bの第1突起61cと第2突起61dとの間に液体導出部52が配置される。蓋部材61aと底部材61bとの間には、液体導出部材66の固定部66sとともに、袋60の−D方向側の端部の一部が挟み込まれる。
【0089】
図10を参照図として加えて、液体収容体20Aにおいて流路形成部100が形成する誘導流路101を説明する。
図10は、袋ユニット60uを−T方向に見たときの概略平面図である。
図10では、便宜上、液体導出ユニットLUの全体が袋60を透過して見えるように図示してある。
【0090】
流路形成部100は、DW面に沿って、液体収容部60cの外周端部側からスペーサー部材90に近づく方向に延び、液体LQをスペーサー部材90の方へと誘導する少なくとも1つの誘導流路101を、液体収容部60c内に形成する。ここで、「DW面」とは、D方向とW方向とを含む仮想平面であり、D方向とW方向とに平行な仮想平面である。本実施形態では、流路形成部100は、スペーサー部材90の+D方向側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている3つの誘導流路101を形成するように構成されている。
【0091】
本実施形態の3つの誘導流路101は、第1斜流路101aと、第2斜流路101bと、中央流路101cと、を含む。第1斜流路101aおよび第2斜流路101bはそれぞれ、スペーサー部材90の+D方向側、かつ、W方向に沿った方向のうちの一方の方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。第1斜流路101aおよび第2斜流路101bはそれぞれ、D方向に対して斜めに延びている。
【0092】
第1斜流路101aは、スペーサー部材90の+D方向側、かつ、+W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。第2斜流路101bは、スペーサー部材90の+D方向側、かつ、−W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。本実施形態では、第1斜流路101aおよび第2斜流路101bはそれぞれ、液体収容部60cのW方向における端部からW方向における中央に配置されているスペーサー部材90まで延びている。
【0093】
中央流路101cは、W方向において、第1斜流路101aと第2斜流路101bとの間に位置し、スペーサー部材90の+D方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。本実施形態では、中央流路101cは、液体収容部60cのW方向における中央においてD方向に沿って延びている。
【0094】
各流路101a,101b,101cのスペーサー部材90側の端部は、スペーサー部材90から一定の範囲の近傍領域内に位置していることが望ましい。各流路101a,101b,101cのスペーサー部材90側の端部は、液体収容部60c内の液体量が液体噴射装置11において予め設定されている下限量になったときに、スペーサー部材90の周りに空間が残る領域内に位置していることが望ましい。各流路101a,101b,101cのもう一方の端部は、DW面に沿った方向における液体収容部60cの端部により近い位置に位置していることが望ましい。
【0095】
液体収容体20Aによれば、袋60に設けられた液体収容部60c内に液体導出管80が設けられているので、液体導出管80の周囲の空間によって液体の流路が確保され、袋60内の流路が塞がれにくくなる。また、液体導出管80は、液体導出部材66からスペーサー部材90に向かって延びており、スペーサー部材90は、液体導出管80の+D方向側の端部よりも奥側(+D方向側)に位置している。そのため、液体導出管80の+D方向側の端部や、さらにその奥側の流路も塞がれにくくなる。よって、袋60内での液体の流れが阻害されることを抑制することができる。また、液体収容体20Aに液体や沈降成分が残留してしまうことを抑制することができる。
【0096】
また、液体収容体20Aは、流路形成部100によって形成された誘導流路101を有する。誘導流路101は、液体収容部60cの端部側からスペーサー部材90に近づくように延びている。スペーサー部材90から離れた位置に存在している液体は、誘導流路101によって、液体収容部60cの端部側からスペーサー部材90の方に誘導される。そのため、スペーサー部材90から離れた位置に存在している液体の流通が、誘導流路101によって維持され、スペーサー部材90から離れた位置においても、袋60内での流路の閉塞が抑制される。また、スペーサー部材90から離れた領域においても、液体や沈降成分の残留が抑制される。
【0097】
本実施形態の液体収容体20Aでは、第1斜流路101aと第2斜流路101bとによって、スペーサー部材90より+D方向側の領域のうちの+W方向側の領域と−W方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に液体や沈降成分が残留してしまうことが抑制される。特に、本実施形態では、第1斜流路101aと第2斜流路101bとは、+D方向側の液体収容部60cの角部から延びている。そのため、そうした角部に液体や沈降成分が残留してしまうことが抑制される。
【0098】
本実施形態の液体収容体20Aでは、中央流路101cによって、W方向において第1斜流路101aと第2斜流路101bとに挟まれている領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に液体が残留してしまうことが抑制される。特に、中央流路101cは、液体収容部60cの+D方向側の端部からスペーサー部材90手前まで延びているため、液体収容部60cの+D方向側の端部に液体や沈降成分が残留してしまうことが抑制される。このように、本実施形態の液体収容体20Aでは、3つの流路101a〜101cによって、スペーサー部材90より+D方向側における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に液体や沈降成分が残留してしまうことが抑制される。
【0099】
図11〜
図14を参照して、液体導出ユニットLUにおける各部位の詳細な構成を説明する。
図11は、液体導出ユニットLUの概略斜視図である。
図12は、液体導出ユニットLUの概略分解斜視図である。
図13は、スペーサー部材90の正面側(+D方向側)を示す概略正面図である。
図14は、連結部材85が連結されているスペーサー部材90の背面側(−D方向側)を示す概略斜視図である。
【0100】
スペーサー部材90は、+D方向側から−D方向側に向かうにつれ、スペーサー部材90のT方向に沿った寸法が大きくなるように傾斜する面である傾斜面91を正面側(+D方向側)に有する(
図11,
図12,
図14および
図7参照)。本実施形態において、「面」とは、連続している平面だけで構成された面だけではなく、その表面に溝や凹部、穴、スリットなどが形成された面や、その表面に突起や凸部が形成された面、枠に囲われた仮想的な面、も含む。つまり、全体として捉えたときに「面」として把握できれば、その面が占める一定領域に、凹凸や貫通穴があっても構わない。
【0101】
本実施形態では、スペーサー部材90は、液体導出部52の中心軸CXよりも+T方向側と−T方向側とにそれぞれ傾斜面91を有する(
図7参照)。そのため、スペーサー部材90は、W方向から見た場合に、+D方向側に向けて尖った形状を有している(
図14参照)。
【0102】
このように、スペーサー部材90が傾斜面91を有していることによって、液体の消費に伴って袋60が収縮するときに、袋60が、傾斜面91に沿って、+D方向側から−D方向側へと徐々に潰れやすくなる。よって、スペーサー部材90の奥側(+D方向側)において、袋60が潰れて、液体の流通が妨げられる部位が生じてしまうことを、より効果的に抑制することができる。また、袋60がスペーサー部材90に接触するように収縮したときに、袋60が傾斜面91に沿って収縮するため、スペーサー部材90の周囲において、袋60が屈曲して折れ曲がってしまうことが抑制される。よって、スペーサー部材90の周囲において袋60に応力集中が生じるような変形の発生が抑制され、袋60の劣化が抑制される。加えて、袋60がスペーサー部材90の傾斜面91を覆うように接触するまで収縮したときに、液体収容部60cにおけるスペーサー部材90の+D側に残留する空間が低減される。よって、そうした空間に液体が残留してしまうことが抑制される。
【0103】
本実施形態では、装着姿勢において、スペーサー部材90の最下部と最上部のうち、少なくとも一方が、袋60の内面と接触する(
図7参照)。そのため、袋60が、スペーサー部材90との接触部分からスペーサー部材90の傾斜面91の形状に沿って収縮しやすくなり、液体収容部60c内の流路の閉塞をより効果的に抑制することができる。
【0104】
なお、傾斜面91は、スペーサー部材90の+T方向側と−T方向側にそれぞれに設けられていなくてもよく、+T方向側と−T方向側のうちのいずれか一方にのみ形成されていてもよい。ただし、本実施形態のように、スペーサー部材90の+T方向側と−T方向側の両方に傾斜面91が設けられていれば、片方のみに設けられている場合よりも、より円滑に、60を+D方向側から−D方向側へと徐々に潰れやすくすることができる。
【0105】
スペーサー部材90には、液体を導入するための第1導入口92および第2導入口93がスペーサー部材90をD方向に貫通するように設けられている(
図7および
図13参照)。本実施形態では、第1導入口92および第2導入口93は、スペーサー部材90の内部において、液体導出部52の中心軸CXに沿って互いに並列に延びている(
図7参照)。第1導入口92および第2導入口93は、スペーサー部材90の正面側においてD方向に開口している(
図13参照)。
【0106】
第1導入口92および第2導入口93は、T方向に並んでいる(
図7および
図14参照)。装着姿勢では、第1導入口92と第2導入口93とは鉛直方向に並んでおり、第1導入口92は、第2導入口93よりも上側に位置する。第1導入口92および第2導入口93は、液体導出部52の中心軸CXを挟んで配列されている(
図7参照)。液体収容部60c内の中心軸CXより上側の液体LQは、第1導入口92を通じて第1導管部81内に導入される。液体収容部60c内の中心軸CXより下側の液体LQは、第2導入口93を通じて第2導管部82内に導入される。
【0107】
本実施形態では、第1導入口92の内径は、第2導入口93の内径よりも小さい(
図7,
図13参照)。つまり、第2導入口93の内径は、第1導入口92の内径よりも大きい。そのため、第1導入口92よりも下方に位置する第2導入口93の方が、流路抵抗が小さく、沈降成分を多く含む濃度の高い液体を吸い込みやすい。よって、沈降成分の沈降によって濃度が高くなっている下層の液体を効率よく液体導出管80へと導くことができる。第1導入口92および第2導入口93の内径の差は、第1導管部81および第2導管部82のそれぞれに流入する液体の流量の比率が定められた値になるように決められていることが望ましい。
【0108】
スペーサー部材90は、D方向において傾斜面91の反対側に、鉛直方向に沿って配置される背面部94を有する(
図14参照)。本実施形態では、背面部94は、+D方向に見たときに略六角形状を有している。背面部94の上辺と底辺とは、わずかに湾曲しつつ水平方向に延びている。これによって、装着姿勢におけるスペーサー部材90の配置姿勢が安定する。
【0109】
背面部94には、第1導入口92が中心を通る円筒状の第1接続管92aと、第2導入口93が中心を通る円筒状の第2接続管93aと、が設けられている(
図14参照)。第1接続管92aと第2接続管93aとは、背面部94において−D方向に突出している。第1接続管92aと第2接続管93aとは、T方向に並んでいる。第1接続管92aと第2接続管93aとは、装着姿勢では鉛直方向に並び、第1接続管92aは、第2接続管93aより上側に位置する。
【0110】
液体導出管80のうちの第1導管部81は、第1導管部81の第1先端部81bに第1接続管92aが挿入されることによって、第1導入口92と接続される(
図11および
図12参照)。液体導出管80のうちの第2導管部82は、第2導管部82の第2先端部82bに第2接続管93aが挿入されることによって、第2導入口93(
図14)と接続される。液体収容体20Aでは、第1先端部81bと第2先端部82bとが鉛直方向に並んだ状態で固定されており、W方向への移動が抑制されている。そのため、安定した位置で液体を吸い込むことができる。また、液体収容部60cにおける液体導出管80の配置領域のW方向における幅が、スペーサー部材90との接続部位において大きくなってしまうことが抑制される。
【0111】
本実施形態では、第1導管部81の第1先端部81bと、第2導管部82の第2先端部82bとがそれぞれ、スペーサー部材90に固定されている。これによって、液体収容部60cの液体を液体導出管80に取り入れる入口となる第1先端部81bと第2先端部82bの液体収容部60c内で予め規定されている配置位置からの位置ずれが抑制される。また、液体収容体20Aの運搬時の落下などによって液体収容体20Aに衝撃が加わったとしても、液体導出管80とスペーサー部材90とが離間してしまうことが抑制される。そのため、液体の入口である第1先端部81bや第2先端部82bが、袋60が潰れて液体が流通しにくくなっている部位に配置されて、液体導出管80への液体の流入が阻害されてしまうことが抑制される。
【0112】
なお、他の実施形態では、第1導管部81の第1先端部81bおよび第2導管部82の第2先端部82bの少なくとも一方が、スペーサー部材90とは接続されずに、分離されていてもよい。液体導出管80には、スペーサー部材90から離れた位置で開放されて配置されている開口端部から、直接的に液体が導入されてもよい。
【0113】
スペーサー部材90は、溝状の第1溝流路95と第2溝流路96とを備えている(
図12,
図13参照)。第1溝流路95は、液体を、+D方向から、−D方向に位置する第1導入口92および第2導入口93に誘導するための流路である。第1溝流路95は、傾斜面91においてD方向に延びている溝として形成されている(
図12参照)。第1溝流路95は、+T方向側の傾斜面91と−T方向側の傾斜面91の両方に設けられている。第1導入口92および第2導入口93は、第1溝流路95の奥まった位置において開口している(
図7および
図13参照)。
【0114】
第2溝流路96は、液体をD方向と交わる方向に流通させる流路である(
図11参照)。本実施形態では、複数の第2溝流路96が形成されている。第2溝流路96は、スペーサー部材90の傾斜面91においてW方向に沿って延びる溝として構成されている(
図7,
図13参照)。第2溝流路96は、第1溝流路95に対してW方向の両側に設けられており、第1溝流路95に合流している。
【0115】
第1溝流路95や第2溝流路96を有していることによって、袋60が収縮して、スペーサー部材90の表面が袋60の内面によって覆われたとしても、第1導入口92や第2導入口93に通じる液体の経路が閉塞されてしまうことが抑制される。なお、第1溝流路95は、D方向に対して斜めに延びるように形成されていてもよい。また、第2溝流路96は、W方向およびD方向の両方に交わる方向に液体を流通させるように形成されていてもよい。他の実施形態では、第1溝流路95および第2溝流路96の少なくとも一方を省略することも可能である。
【0116】
本実施形態では、スペーサー部材90は、装着姿勢において水平面(DW面)に沿って配置される板状の仕切り部97を備えている(
図11参照)。仕切り部97は、第1導入口92および第2導入口93の間に設けられている(
図14参照)。仕切り部97は、液体導出部52の中心軸CXを通るように配置される(
図7参照)。仕切り部97は、液体収容部60cの中心に水平に配置される。
【0117】
仕切り部97は、背面部94から−D方向に延び出るように取り付けられた第1部位97aと、上下の傾斜面91の間において第1溝流路95内の空間を上下に二分するように延びている第2部位97bと、を有する(
図7および
図12参照)。本実施形態では、仕切り部97の第1部位97aは、連結部材85の+D方向側の端部として設けられており、背面部94から分離可能に構成されている(
図12参照)。第2部位97bは、背面部94と傾斜面91とを有し、スペーサー部材90の正面側を構成する正面部材98に含まれている。
【0118】
仕切り部97によって、液体収容部60c内の上側に存在する濃度の低い液体と、下側に存在する濃度の高い液体とが、スペーサー部材90の近辺にて混ざり合うことが抑制される。そのため、濃度の低い液体が、第1導管部81と第2導管部82の両方に吸い込まれてしまい、濃度の高い液体が吸い込まれにくくなることを抑制することができる。この結果、液体噴射装置11に供給される液体の濃度をより安定化させることができる。なお、他の実施形態では、仕切り部97は省略されてもよい。
【0119】
第1導管部81は、第1基端部81aにおいて液体導出部材66に接続され、第2導管部82は、第2基端部82aにおいて、液体導出部材66に接続される(
図11参照)。液体導出部材66の+D方向側の端部には、円筒状の第3接続管92bと、円筒状の第4接続管93bとが、+D方向に突出するように設けられている(
図12参照)。第3接続管92bと第4接続管93bとは、連結部材85を液体導出部材66に連結させるための接続部59を挟むようにW方向に並んで配置されている。第3接続管92bと第4接続管93bとは、液体導出部材66の内部の合流部(図示は省略)を介して液体導出部52に連通している。第3接続管92bが第1導管部81の基端部81aに挿入され、第4接続管93bが第2導管部82の基端部82aに挿入されることにより、液体導出管80は、液体導出部材66に固定される。
【0120】
本実施形態では、装着姿勢において、第1導管部81の第1基端部81aと、第2導管部82の第2基端部82aと、は水平方向に並ぶように配置される(
図7および
図11参照)。これに対して、第1導管部81の第1先端部81bと第2導管部82の第2先端部82bは、装着姿勢において、上述したように、鉛直方向に並ぶ。
【0121】
そのため、第1導管部81および第2導管部82から吸い込まれた液体は、鉛直方向に並んで流れる状態から水平方向に並んで流れる状態に転換された後に、液体導出部材66内で混ざり合い、液体導出部52から液体噴射装置11に導出される。このように、液体導出部材66内において濃度の異なる液体同士を同じ高さ位置で混ざり合わせることによって、液体噴射装置11に供給される液体の濃度が不均一なまま、液体噴射装置11へと供給されてしまうことが効果的に抑制される。よって、液体噴射装置11に安定した濃度の液体を供給することが可能になる。
【0122】
なお、他の実施形態においては、第1基端部81aと第2基端部82aが垂直方向に並び、第1先端部81bと第2先端部82bとが水平方向に並ぶ形態を採用することが可能である。あるいは、第1基端部81aと第2基端部82aが垂直方向に並び、第1先端部81bと第2先端部82bも垂直方向に並ぶ形態が採用されてもよい。また、第1基端部81aと第2基端部82aが水平方向に並び、第1先端部81bと第2先端部82bも水平方向に並ぶ形態が採用されてもよい。
【0123】
本実施形態では、スペーサー部材90は、棒状の連結部材85によって液体導出部材66に固定されている(
図11参照)。連結部材85の−D方向側の端部には、連結部材85を液体導出部材66に固定するための係止部86が設けられている(
図12参照)。係止部86は、−D方向側および+W方向側が開口した筒状の形状を有しており、内周に、溝状の凹部が形成されている。液体導出部材66の+D方向側の端部付近には、+D方向に突出し、連結部材85の係止部86が固定される柱状の接続部59が設けられている。接続部59の外周には溝状の凹部が形成されている。本実施形態では、連結部材85の係止部86が、液体導出部材66の接続部59に横方向から嵌め込まれて90度回転させられることによって、係止部86と接続部59とが互いに係合する。これによって、連結部材85が液体導出部材66に連結され、スペーサー部材90が液体導出部材66に固定される。
【0124】
連結部材85は、液体が収容された液体収容部60c内においてスペーサー部材90が揺動しない程度の剛性を有していることが好ましい。また、連結部材85は、アダプター61を持って液体収容体20Aを水平に保持した際に、袋60の重みによって塑性変形しない程度の剛性を有していることがより好ましい。このような剛性が確保されていれば、袋60内におけるスペーサー部材90の位置が安定するので、袋60内の流路がより塞がれにくくなるとともに、液体噴射装置11に供給する液体の濃度が不均一になることをより効果的に抑制できる。また、棒状の連結部材85を介してスペーサー部材90を液体導出部材66に固定することで、スペーサー部材90と液体導出部材66との位置関係をより安定させることができる。従って、液体収容体20Aの個体に応じて液体噴射装置11に供給する液体の濃度が変動する可能性をより効果的に低減することができる。
【0125】
なお、他の実施形態では、スペーサー部材90は、連結部材85を介して液体導出部材66に固定されていなくてもよい。スペーサー部材90は、例えば、液体収容部60c内での配置位置のずれが生じないように、袋60の内面に固定されている構成が採用されてもよい。
【0126】
本実施形態では、第1導管部81および第2導管部82の長さはほぼ同じである。また、第1導管部81および第2導管部82の内径は同じであり、これらの外径も同じである。そのため、第1導管部81と第2導管部82の部材を共通化することができる。また、第1導管部81と第2導管部82の部材を共通化できるので、第1導管部81と第2導管部82とを逆に組み付けることを防止できる。なお、他の実施形態では、第1導管部81および第2導管部82の長さや内径、外径は異なっていてもよい。
【0127】
図15は、液体導出ユニットLUの組み立て方法を示す説明図である。第1工程では、液体導出管80を構成する第1導管部81と第2導管部82とを平行に並べ、液体導出管80の両端に液体導出部材66と、スペーサー部材90の正面部材98とを取り付ける。第2工程では、仕切り部97の第1部位97aが一体化された連結部材85を用意し、これを、第1導管部81と第2導管部82の間に挿入する。そして、仕切り部97の第1部位97aを正面部材98の背面部94に設けられたスライド固定機構にスライドさせて固定させるとともに、連結部材85の端部に設けられた係止部86を液体導出部材66の接続部59に嵌め込む。
【0128】
第3工程では、液体導出部材66を第1導管部81および第2導管部82ごと、接続部59を中心に、互いに連結されているスペーサー部材90および連結部材85に対して、90度回転させる。これによって、液体導出部材66の接続部59が連結部材85の係止部86に固定されるとともに、第1導管部81と第2導管部82とが連結部材85を中心として連結部材85に沿って捩れるように配置される。以上の工程により、液体導出ユニットLUが完成する。これらのすべての工程は、ロボットを用いて自動化することが可能である。
【0129】
図9を参照して、袋60に対する液体導出ユニットLUの挿入工程を説明する。液体導出ユニットLUは、スペーサー部材90側から、袋60の一端部60aに設けられた開口部60dを通じて、D方向に沿って、液体収容部60cに挿入される。本実施形態では、スペーサー部材90が+D方向側に向けて尖った形状を有しているため、袋60に対する液体導出ユニットLUの挿入を円滑に行うことができる。また、液体導出ユニットLUでは、スペーサー部材90におけるD方向周りの外周の最大寸法は、液体導出部材66において開口部60dに溶着される部位におけるD方向周りの外周の最大寸法よりも小さく、開口部60dの内周寸法よりも小さい。よって、袋60に対する液体導出ユニットLUの挿入工程において、袋60がスペーサー部材90に過度に接触することによって損傷することが抑制される。
【0130】
図16は、液体導出ユニットLUの溶着部WPを示す概略斜視図である。
図16には、液体導出ユニットLUの液体導出部材66側の端部が図示されている。
図16では、袋60に対して溶着される溶着部WPに斜線ハッチングが付されている。液体導出部材66は、液体導出部52の中心軸CXから+W方向および−W方向に張り出している張出部66eを固定部66sの+D方向側に有している。張出部66eは、液体導出部材66の中でW方向における寸法が最も大きい部位である。
【0131】
液体導出部材66は、張出部66eの+D方向側に、連結部材85の係止部86をW方向に挟むように+D方向に延び出ている一対の延出部66fを有している。各延出部66fは略矩形状の部位であり、それぞれの+D方向側の端面には、第3接続管92bおよび第4接続管93b(
図12)が設けられている。液体導出ユニットLUでは、第1導管部81および第2導管部82はそれぞれ、一対の延出部66fのうちの対応するひとつに対して固定されている。
【0132】
張出部66eおよび延出部66fには、液体導出部材66の軽量化のために、T方向に局所的に窪ませて肉抜きした薄肉部66twが設けられている。また、連結部材85における係止部86の+T方向側の面には、連結部材85の軽量化のために、−T方向に窪み、W方向に延びている溝状の薄肉部86twが形成されている。液体導出ユニットLUでは、薄肉部66tw,86twを設けたことによる強度の低下が、溶着部WPによって補われるように、袋60に溶着される溶着部WPは、それらの薄肉部66tw,86twに隣り合う部位に形成されている。そのため、軽量化に起因する液体導出ユニットLUの破損の発生が抑制されている。
【0133】
特に、本実施形態では、連結部材85の係止部86における薄肉部86twは、延出部66fの溶着部WPによってW方向に挟まれ、係止部86の溶着部WPによってD方向に挟まれる位置に形成されている。このように、係止部86の薄肉部86twが溶着部WPによってW方向およびD方向に囲まれており、薄肉部86twは溶着部WPによってより厳重に保護されている。そのため、連結部材85が係止部86において折れてしまうような破損が効果的に抑制される。
【0134】
図7と
図17とを参照して、アダプター61の底部材61bによる袋ユニット60uの支持構造を説明する。
図17は、液体導出部材66がアダプター61の底部材61bに取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
図17では、便宜上、袋60の図示を省略してある。また、
図17には、液体導出部52の中心軸CXが一点鎖線で図示してある。
【0135】
アダプター61の底部材61bは、内部構造体ISの下方において、液体導出部材66と連結部材85とが連結されている部位および液体導出部材66と液体導出管80とが接続されている部位よりも+D方向側に延び出ている張出支持部61sを有している。張出支持部61sは、第1姿勢にあるときに取っ手部62の把持部62aの+D方向側の端部と、D方向に置いてほぼ同じ位置まで延びている。張出支持部61sは、液体導出ユニットLUのD方向におけるほぼ中心まで延びている。液体収容体20Aでは、張出支持部61sによる下方からの支持によって、液体導出部材66からの連結部材85の脱落や、液体導出部材66からの液体導出管80の脱落、内部構造体ISの破損が抑制される。
【0136】
図17を参照する。液体導出部材66の固定部66sには、前述のように、液体導出部52を挟む位置に、第1突起61cが挿入される第1貫通孔66cと、第2突起61dが挿入される第2貫通孔66dとが設けられている。第1貫通孔66cと第2貫通孔66dとは、液体導出部52の中心軸CXからそれぞれ反対方向に向けて略同じ距離に設けられており、W方向に並んでいる。固定部66sは、中心軸CXからの+W方向への寸法と−W方向への寸法とが異なる。具体的には、中心軸CXから第2突起61d側である−W方向への寸法L2が、第1突起61c側である+W方向への寸法L1よりも短い(L2<L1)。つまり、液体導出部材66は、中心軸CXを中心として、−W方向と+W方向とで非対称に形成されている。そして、底部材61bには、固定部66sの寸法の短い−W方向側の端部に接するように、+T方向に向けて接触壁61wが設けられている。このような構造により、液体収容体20Aの製造時に、液体導出部材66が底部材61bに上下逆さまに装着されることが抑制される。なお、固定部66sに設けられた第1貫通孔66cは、製造誤差によって液体導出部材66が底部材61bに装着できなくなることを防止するため、W方向に長い略楕円形状の長穴とすることが好ましい。
【0137】
以上のように、本実施形態の液体収容体20Aによれば、袋60内での液体の流れが阻害されることを抑制することができる。また、液体収容体20Aに液体や沈降成分が残留してしまうことを抑制できる。従って、液体を液体噴射装置11に十分に供給することができる。そして、液体噴射装置11に供給される液体の濃度の均一性を高めることができる。その他に、本実施形態の液体収容体20Aによれば、本実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0138】
2.第2実施形態:
図18を参照して、第2実施形態における液体収容体20Bの誘導流路101の構成を説明する。
図18は、第2実施形態の液体収容体20Bが備える袋ユニット60uを−T方向に見たときの概略平面図である。
図18では、便宜上、液体導出ユニットLUの全体が袋60を透過して見えるように図示してある。第2実施形態の液体収容体20Bは、流路形成部100によって形成される誘導流路101として、第3斜流路101dと、第4斜流路101eと、が追加されている点以外は、第1実施形態の液体収容体20Aの構成とほぼ同じである。
【0139】
第2実施形態では、流路形成部100は、液体収容部60cの端部側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている5つの誘導流路101を形成するように構成されている。5つの誘導流路101には、第1実施形態で説明した第1斜流路101aと第2斜流路101bと中央流路101cとに加えて、第3斜流路101dと、第4斜流路101eと、が含まれる。
【0140】
第3斜流路101dと第4斜流路101eとは、スペーサー部材90の−D方向側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている。第3斜流路101dおよび第4斜流路101eはそれぞれ、スペーサー部材90の−D方向側、かつ、W方向に沿った方向のうちの一方の方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。第3斜流路101dおよび第4斜流路101eはそれぞれ、D方向に対して斜めに延びている。
【0141】
第3斜流路101dは、スペーサー部材90の−D方向側、かつ、+W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。第4斜流路101eは、スペーサー部材90の−D方向側、かつ、−W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。第3斜流路101dおよび第4斜流路101eはそれぞれ、液体収容部60cのW方向における端部からW方向における中央に配置されているスペーサー部材90まで延びている。
【0142】
各流路101d,101eのスペーサー部材90側の端部は、流路101a〜101cと同様に、スペーサー部材90から一定の範囲の近傍領域内に位置していることが望ましい。各流路101d,101eのスペーサー部材90側の端部は、液体収容部60c内の液体量が液体噴射装置11において予め設定されている下限量になったときに、スペーサー部材90の周りに空間が残る領域内に位置していることが望ましい。各流路101d,101eのもう一方の端部は、DW面に沿った方向における液体収容部60cの端部により近い位置に位置していることが望ましい。
【0143】
液体収容体20Bによれば、3つの誘導流路101a〜101cによって、スペーサー部材90より+D方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。そして、第3斜流路101dと第4斜流路101eとによって、スペーサー部材90より−D方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。より詳しくは、第3斜流路101dによって、スペーサー部材90より−D方向側の領域、かつ、+W方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に、液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。また、第4斜流路101eによって、スペーサー部材90より−D方向側の領域、かつ、−W方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に、液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。特に、第3斜流路101dと第4斜流路101eとは、−D方向側の液体収容部60cの角部から延びているため、そうした角部に液体や沈降成分が残留してしまうことを抑制できる。
【0144】
以上のように、第2実施形態の液体収容体20Bによれば、スペーサー部材90より+D方向側の領域のみならず、スペーサー部材90より−D方向側の領域においても流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。その他に、第2実施形態の液体収容体20Bによれば、第2実施形態中で説明した種々の作用効果の他に、上記第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0145】
3.第3実施形態:
図19を参照して、第3実施形態における液体収容体20Cの誘導流路101の構成を説明する。
図19は、第3実施形態の液体収容体20Cが備える袋ユニット60uを−T方向に見たときの概略平面図である。
図19では、便宜上、液体導出ユニットLUの全体が袋60を透過して見えるように図示してある。第3実施形態の液体収容体20Cは、流路形成部100によって形成される誘導流路101として、3つの流路101a〜101cに代えて、複数の並列な流路101fが形成される点以外は、第1実施形態の液体収容体20Aの構成とほぼ同じである。
【0146】
第3実施形態では、流路形成部100は、液体収容部60cの端部側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている誘導流路101として、複数の並列な流路101fを形成するように構成されている。
図19では、4本の並列な流路101fが形成されている構成が例示されている。なお、流路101fの数は、4本に限定されることはない。流路101fは、2本以上の任意の数が形成されてよい。
【0147】
各流路101fは、D方向において、液体収容部60cの端部側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている。各流路101fは、スペーサー部材90の+D方向側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている。各流路101fは、D方向に沿って直線状に延びている。以下、流路101fを「縦流路101f」とも呼ぶ。各縦流路101fは、DW面においてW方向に配列されている。縦流路101fは、DW面においてW方向に均一に配列されていることが望ましい。第2実施形態では、縦流路101fには、スペーサー部材90よりも+D方向側、かつ、+W方向側の領域に形成されているものと、スペーサー部材90よりも+D方向側、かつ、−W方向側の領域に形成されているものと、が含まれている。
【0148】
各縦流路101fの−D方向側の端部は、D方向におけるスペーサー部材90の位置に対して一定の範囲内に位置していることが望ましい。各縦流路101fは、D方向におけるスペーサー部材90の位置により近い位置まで延びていることが望ましい。各縦流路101fのもう一方の端部は、DW面に沿った方向における液体収容部60cの+D方向側の端部により近い位置に位置していることが望ましい。
図19では、各縦流路101fは同じ長さを有している。ただし、各縦流路101fの長さは同じでなくてもよい。各縦流路101fの長さは任意に決められてよい。
【0149】
第3実施形態の液体収容体20Cによれば、複数の並列な縦流路101fによって、スペーサー部材90より+D方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。複数の縦流路101fのうち、スペーサー部材90より+W方向側に位置しているものによって、スペーサー部材90より+D方向側の領域、かつ、+W方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に、液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。複数の縦流路101fのうち、スペーサー部材90より−W方向側に位置しているものによって、スペーサー部材90より+D方向側の領域、かつ、−W方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に、液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。その他に、第3実施形態の液体収容体20Cによれば、第3実施形態中で説明した種々の作用効果の他に、上記第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0150】
4.第4実施形態:
図20を参照して、第4実施形態における液体収容体20Dの誘導流路101の構成を説明する。
図20は、第4実施形態の液体収容体20Dが備える袋ユニット60uを−T方向に見たときの概略平面図である。
図20では、便宜上、液体導出ユニットLUの全体が袋60を透過して見えるように図示してある。第4実施形態の液体収容体20Dは、流路形成部100によって形成される誘導流路101として、3つの流路101a〜101cに代えて、流路101gが形成される点以外は、第1実施形態の液体収容体20Aの構成とほぼ同じである。
【0151】
第3実施形態では、流路形成部100は、液体収容部60cの端部側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている誘導流路101として、複数の流路101gを形成するように構成されている。
図20では、6本の流路101gが形成されている構成が例示されている。なお、流路101gの数は、6本に限定されることはない。他の実施形態では、流路101gは、1本以上の任意の数が形成されてよい。
【0152】
各流路101eは、W方向において、W方向における液体収容部60cの端部側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びている。スペーサー部材90の+W方向側または−W方向側からスペーサー部材90に近づく方向に延びている。各流路101gは、W方向に沿って直線状に延びている。以下、流路101gを「横流路101g」とも呼ぶ。
【0153】
横流路101gは、スペーサー部材90より+W方向側において、D方向に配列されているものと、スペーサー部材90より−W方向側において、D方向に配列されているものと、を含む。スペーサー部材90より+W方向側の領域においても、−W方向側の領域においても、横流路101gは、D方向に均一に配列されていることが望ましい。
【0154】
各横流路101gのスペーサー部材90側の端部は、スペーサー部材90の位置に対して一定の範囲内に位置していることが望ましい。各横流路101gは、W方向において、スペーサー部材90の位置により近い位置まで延びていることが望ましい。各流路101fのもう一方の端部は、DW面に沿った方向における液体収容部60cのW方向における端部により近い位置に位置していることが望ましい。
【0155】
第4実施形態では、各横流路101gは同じ長さを有している。また、各横流路101gの数は、スペーサー部材90より+W方向側の領域と、−W方向側の領域とで、数は同じである。また、それら2つの領域の間において、各横流路101gのD方向における配列間隔が等しく、各横流路101gのD方向における配列位置は揃っている。第4実施形態では、横流路101gは、スペーサー部材90より+D方向側の領域に位置するものと、横流路101gは、スペーサー部材90より−D方向側の領域に位置するものと、スペーサー部材90とD方向において並ぶものと、を含む。
【0156】
他の実施形態においては、スペーサー部材90より−W方向側の横流路101gと、スペーサー部材90より+W方向側の横流路101gと、では数が異なっていてもよい。また、横流路101gは、スペーサー部材90より+W方向側の領域と、−W方向側の領域とで、D方向における配列間隔が異なっていてもよいし、D方向における配列位置がずれていてもよい。横流路101gは、スペーサー部材90より−W方向側の横流路101gと、スペーサー部材90より+W方向側の横流路101gのうちのいずれか一方が省略されるものとしてもよい。
【0157】
第4実施形態の液体収容体20Dによれば、横流路101gによって、スペーサー部材90よりW向側に位置する領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に、液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。複数の横流路101gのうち、スペーサー部材90より+W方向側の領域に位置しているものによって、スペーサー部材90より+W方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に、液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。複数の横流路101gのうち、スペーサー部材90より−W方向側の領域に位置しているものによって、スペーサー部材90より−W方向側の領域における流路の閉塞を抑制できる。また、これらの領域に、液体および沈降成分が残留してしまうことが抑制される。その他に、第4実施形態の液体収容体20Dによれば、第4実施形態中で説明した種々の作用効果の他に、上記第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0158】
5.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように変形することが可能である。以下に説明する実施形態はいずれも、上記の各実施形態および上記の各実施形態中において他の実施形態として説明した構成と同じく、発明を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0159】
5−1.他の実施形態1:
流路形成部100によって形成される誘導流路101の構成は、上記実施形態において説明した流路101a〜101gの構成には限定されない。流路形成部100は、次のような誘導流路101を形成するように構成されていてもよい。
【0160】
(1)上記の各実施形態においては、流路形成部100によって複数の誘導流路101が形成されている。これに対して、流路形成部100は、1つの誘導流路101のみを形成するように構成されていてもよい。例えば、第1実施形態において説明した流路101a,101b,101cのうちのいずれか1つのみを形成してもよいし、第2実施形態で説明した流路101d,101eのうちのいずれか1つのみを形成してもよい。また、第3実施形態で説明した縦流路101fや第4実施形態で説明した横流路101gが1つのみ形成されてもよい。
【0161】
(2)上記の各実施形態において、流路101a〜101gのうちの一部が省略されてもよい。例えば、第1実施形態の構成から、中央流路101cが省略されてもよいし、第1斜流路101aと、第2斜流路101bの少なくとも一方が省略されてもよい。第2実施形態の構成から、第1斜流路101aと、第2斜流路101bと、中央流路101cの少なくとも一方が省略されてもよいし、第3斜流路101dと、第4斜流路101eの少なくとも一方が省略されてもよい。
【0162】
(3)上記の第3実施形態において、縦流路101fは、スペーサー部材90より−D側の領域に設けられていてもよい。また、上記の第4実施形態において、横流路101gは、スペーサー部材90より−D側の領域に設けられていてもよい。
【0163】
(4)上記の各実施形態で説明した各流路101a〜101gは、それぞれ適宜、組み合わされても良い。例えば、第1実施形態や第2実施形態の構成に、第4実施形態で説明した縦流路101fや第5実施形態で説明した横流路101gが適用されてもよい。第3実施形態の縦流路101fに、第4実施形態で説明した横流路101gが追加されてもよい。
【0164】
(5)流路形成部100によって、誘導流路101は、以下のうちの少なくとも1つを含む態様で形成されてもよい。なお、上記の各実施形態で説明した流路101a〜101gの構成は、以下の構成〈a〉〜〈e〉のいずれかに含まれると解釈できる。
〈a〉スペーサー部材90の+D方向側からスペーサー部材90に近づく方向に延びる流路。
〈b〉スペーサー部材90の+D方向側、かつ、+W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びる流路。
〈c〉スペーサー部材90の+D方向側、かつ、−W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びる流路。
〈d〉スペーサー部材90の−D方向側、かつ、+W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びる流路。
〈e〉スペーサー部材90の−D方向側、かつ、−W方向側から、スペーサー部材90に近づく方向に延びる流路。
【0165】
5−2.他の実施形態2:
上記の各実施形態において、流路形成部100は、可塑性を有する袋60において、局所的に+T方向側に膨らんだ形状に成形された部位によって構成されている。これに対して、流路形成部100は、他の方法によって、誘導流路101を形成するように構成されていてもよい。例えば、流路形成部100は、袋60の内面に設けられた溝によって誘導流路101を形成する構成であってもよい。この構成によれば、液体が消費されて袋60が潰れても、流路形成部100を構成している溝内の空間が、液体を誘導するための誘導流路101として潰れずに残るため、スペーサー部材90から離れた領域に液体および沈降材料が残留してしまうことが抑制される。流路形成部100は、例えば、袋60内に配置され、誘導流路101を形成するチューブによって構成されてもよい。当該チューブは、液体が消費されて袋60が潰れたときに、袋60とともに潰れない程度の剛性を有していることが望ましい。流路形成部100は、例えば、袋60内において誘導流路101の形成部位に沿って配置される流路形成部材(例えば、樹脂製または金属製の柱状または糸状の部材)によって構成されてもよい。この場合には、液体が消費されて袋60が潰れ、袋60の内面と流路形成部材とが接触したとしても、流路形成部材の周り生じる隙間を誘導流路101として機能させることができる。流路形成部100は、袋60を規定量以上の液体が封入されている状態から液体を消費させて収縮させたときに、袋60の液体収容部60cを構成している他の部位よりもT方向に互いに面する内面同士の接触を抑制する構造によって構成されていると解釈できる。
【0166】
5−3.他の実施形態3:
液体収容部60c内において、スペーサー部材90が配置される部位は特に限定されない。スペーサー部材90は、例えば、液体収容部60c内において、+D方向側の端部よりも−D方向側の端部に近い位置に配置されてもよいし、W方向において+W方向と−W方向のいずれか一方に寄った位置に配置されていてもよい。スペーサー部材90の形状は、上記の各実施形態で説明した形状に限定されない。スペーサー部材90は、上記の各実施形態で説明した傾斜面91を有していなくてもよい。また、第1溝流路95や第2溝流路96、仕切り部97を有していなくてもよい。スペーサー部材90は、例えば、直方体形状であってもよいし、他の多面体形状であってもよい。また、球体状や半球体状の形状、多面体と球体とを組み合わせた形状であってもよい。
【0167】
5−4.他の実施形態4:
上記の各実施形態において、連結部材85は棒状でなくてもよく、例えば、紐状の部材や帯状の部材によって構成されていてもよい。上記の各実施形態において、連結部材85は省略されてもよい。
【0168】
5−5.他の実施形態5:
上記の各実施形態において、液体導出管80の第1基端部81aと第2基端部82aとは水平方向に並んでいなくてもよい。第1基端部81aと第2基端部82aとは、例えば、水平方向に対して斜めに配列されていてもよい。また、液体導出管80の第1先端部81bと第2先端部82bとは鉛直方向に並んでいなくてもよい。第1先端部81bと第2先端部82bとは鉛直方向に対して斜めに配列されていてもよい。液体導出管80の第1先端部81bと第2先端部82bとは水平方向に並んで配置されてもよい。
【0169】
5−6.他の実施形態6:
上記の各実施形態において、液体導出管80の第1先端部81bと第2先端部82bとはそれぞれ、スペーサー部材90に固定されていなくてもよい。液体導出管80が、スペーサー部材90に向かって延びるように配置されているのであれば、液体導出管80の第1先端部81bと第2先端部82bとは、スペーサー部材90から離れた位置に配置されていてもよい。
【0170】
5−7.他の実施形態7:
上記各実施形態では、各液体収容体20A〜20Dの装着姿勢は、DW面が水平になる姿勢である。これに対して、各液体収容体20A〜20Dの装着姿勢は、DW面が水平になる姿勢でなくてもよい。各液体収容体20A〜20Dの装着姿勢は、例えば、−D方向が上側となり、+D方向が下側となるように、D方向が鉛直方向に沿った方向になる姿勢であってもよい。
【0171】
5−8.他の実施形態8:
本発明は、インクジェットプリンター、及び、インクジェットプリンターにインクを供給するための液体収容体に限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の液体噴射装置及びそれらの液体噴射装置に用いられる液体収容体にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体噴射装置およびその液体収容体に適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置
(5)精密ピペットとしての試料噴射装置
(6)潤滑油の噴射装置
(7)樹脂液の噴射装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体消費ヘッドを備える液体噴射装置
【0172】
なお、「液滴」とは、液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体噴射装置が消費できるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0173】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態や変形例の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。