特許第6954093号(P6954093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954093
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】電子時計および電子時計の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/00 20060101AFI20211018BHJP
   G04C 9/00 20060101ALI20211018BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20211018BHJP
【FI】
   G04C3/00 B
   G04C9/00 301A
   G04G21/00 301B
   G04G21/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2017-245502(P2017-245502)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-151372(P2018-151372A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年7月22日
(31)【優先権主張番号】特願2017-48891(P2017-48891)
(32)【優先日】2017年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 教充
【審査官】 岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−156779(JP,A)
【文献】 特開2016−170055(JP,A)
【文献】 特開2017−049228(JP,A)
【文献】 特開2013−072672(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0060098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00−99/00
G04G 3/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示部と、
時刻情報を表示する時刻表示部と、
前記時刻情報を修正する時刻修正部と、
数の地域情報と、夏時間を実施する地域である前記地域情報に対応し且つ前記夏時間の実施期間を示す実施期間情報と前記地域情報に対応し且つ標準時との時間差を示す夏時間設定情報とを含む夏時間実施ルールと、を記憶する記憶部と、
衛星信号を受信し、受信信号に基づいて現在地の位置情報を計算して取得する衛星信号受信部と、
前記位置情報に基づいて前記記憶部に記憶された前記複数の地域情報から現在地が属する地域情報を選択する選択部と、
前記選択部が選択した地域情報に対応する前記夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域か否かを判定する判定部と、
前記位置情報に基づいて選択された地域情報によって前記夏時間を実施する地域であると判定された場合、前記夏時間実施ルールに基づいて自動的に前記夏時間を表示する夏時間切替処理が実行される夏時間自動表示モードに設定し、前記位置情報に基づいて選択された地域情報によって前記夏時間を実施する地域ではないと判定された場合、前記夏時間切替処理が実行されないモードに設定するモード設定部と、
前記モード設定部によって設定されたモードを前記情報表示部に表示する表示制御部と、
前記実施期間情報に基づいて夏時間を実施中か否かを判定する実施判定部と、を備え、
前記時刻修正部は、
前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中であると判定された場合、前記夏時間設定情報に基づいて、前記時刻情報を修正して夏時間を表示させ、
前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中ではないと判定された場合、標準時を表示させる
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子時計において、
手動操作部を備え、
前記選択部は、前記手動操作部の操作に応じて、前記複数の地域情報のうちのいずれかを選択する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の電子時計において、
記表示制御部は、
夏時間を実施中であると判定された場合、夏時間を実施中であることを前記情報表示部に表示させる
ことを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電子時計において、
前記情報表示部は、指針および文字板で構成されている
ことを特徴とする電子時計。
【請求項5】
情報表示部と、
時刻情報を表示する時刻表示部と、
複数の地域情報と、夏時間を実施する地域である前記地域情報に対応し且つ前記夏時間の実施期間を示す実施期間情報と前記地域情報に対応し且つ標準時との時間差を示す夏時間設定情報とを含む夏時間実施ルールとを記憶する記憶部と
を備える電子時計の制御方法であって、
衛星信号を受信し、受信信号に基づいて現在地の位置情報を計算して取得するステップと、
前記位置情報に基づいて前記記憶部に記憶された前記複数の地域情報のうち前記複数の地域情報から現在地が属する地域情報を選択するステップと、
前記選択した地域情報に対応する前記夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域か否かを判定するステップと、
前記位置情報に基づいて選択された地域情報によって前記夏時間を実施する地域であると判定した場合、前記夏時間実施ルールに基づいて自動的に前記夏時間を表示する夏時間切替処理が実行される夏時間自動表示モードに設定し、前記位置情報に基づいて選択された地域情報によって前記夏時間を実施する地域ではないと判定された場合、前記夏時間切替処理が実行されないモードに設定するステップと、
前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中であると判定された場合、前記夏時間設定情報に基づいて、前記時刻情報を修正して夏時間を表示させ、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中ではないと判定された場合、標準時を表示させるステップと、を備える
ことを特徴とする電子時計の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計および電子時計の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地域に対応付けて夏時間の実施情報を記憶し、例えばりゅうずが操作されることで地域が選択された場合に、選択された地域が夏時間の実施中であれば、夏時間を表示する電子時計が存在する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のアナログ電子時計では、選択されている地域に対応する夏時間実施情報にしたがって自動的に夏時間の表示を行わせる表示設定DST(AUTO)、当該夏時間実施情報にかかわらず夏時間の表示を行わせない表示設定STD、および当該夏時間実施情報にかかわらず設定されたシフト時間だけ時刻をずらして表示させる表示設定DSTのいずれかのモードを選択できる。そして、選択されたモードの種類がモード針によって指示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−133337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、夏時間の実施状況は変更されることがある。すなわち、夏時間を実施していなかった地域において、夏時間を実施するようになったり、夏時間を実施していた地域に対して、夏時間を実施しないようになったりすることがある。
このため、例えば、電子時計が記憶する夏時間の実施ルールが最新版ではない場合、夏時間を実施する地域なのに夏時間を表示しなかったり、夏時間を実施しない地域なのに夏時間を表示したりする場合がある。このため、ユーザーは、電子時計が記憶している夏時間の実施ルールにおいて、選択されている地域が夏時間を実施する地域として記憶されているか否かを確認したいと考える場合がある。
しかしながら、特許文献1のアナログ電子時計では、表示設定DST(AUTO)が選択されている場合、選択されている地域に対して、夏時間実施情報が記憶されている場合も記憶されていない場合も、モード針がDST(AUTO)を表示するため、ユーザーは、選択されている地域が夏時間を実施する地域として記憶されているか否かを把握できない。
【0005】
本発明の目的は、選択されている地域が夏時間を実施する地域として記憶されているか否かを把握できる電子時計および電子時計の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子時計は、情報表示部と、複数の地域情報と、前記地域情報に対応する夏時間実施ルールと、を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記複数の地域情報のうちのいずれかを選択する選択部と、前記選択部が選択した地域情報に対応する前記夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域か否かを判定する判定部と、前記夏時間を実施する地域であると判定された場合、前記夏時間を実施する地域であることを前記情報表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ユーザーは、電子時計が、選択されている地域において、夏時間を実施する地域であることを示す夏時間実施ルールを記憶しているか否かを把握できる。
このため、ユーザーは、夏時間が実施される地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが表示されない場合、または、夏時間が実施されない地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが表示された場合、選択された地域に対して記憶部に記憶されている夏時間実施ルールが正確ではないことが分かる。したがって、ユーザーは、夏時間が実施される地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが表示されない場合は、例えば、夏時間の実施期間に、手動で時刻を修正するなどの対応をとることができる。また、夏時間が実施されない地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが表示された場合は、例えば、電子時計を操作して夏時間を表示しないように設定するなどの対応をとることができる。
【0008】
本発明の電子時計において、衛星信号を受信し、受信信号に基づいて現在地の位置情報を計算して取得する衛星信号受信部を備え、前記選択部は、前記位置情報に基づいて、前記複数の地域情報から現在地が属する地域情報を選択することが好ましい。
【0009】
本発明によれば、ユーザーは、例えば、電子時計のボタンを押して衛星信号を受信させることで現在地の地域情報を選択できるため、電子時計のボタンやりゅうずを現在地の地域情報が選択されるまで操作して選択する場合と比べて、現在地の地域情報を容易に選択できる。
【0010】
本発明の電子時計において、手動操作部を備え、前記選択部は、前記手動操作部の操作に応じて、前記複数の地域情報のうちのいずれかを選択することが好ましい。
【0011】
本発明によれば、ユーザーは、手動操作部を操作することで、現在地とは異なる地域の地域情報も選択できる。このため、例えば、日本から海外の地域に移動する際、当該地域が夏時間を実施する地域であることを示す夏時間実施ルールを電子時計が記憶しているか否かを事前に把握できる。
【0012】
本発明の電子時計において、夏時間を実施中か否かを示す実施状態情報を含む電波を受信する電波受信部と、前記実施状態情報に基づいて、夏時間を実施中か否かを判定する実施判定部と、を備え、前記表示制御部は、夏時間を実施中であると判定された場合、夏時間を実施中であることを前記情報表示部に表示させることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、ユーザーは、夏時間を実施中か否かを把握できる。
また、本発明によれば、実施状態情報に基づいて夏時間を実施中か否かを判定できるため、例えば、現在時刻が夏時間の実施期間に該当するか否かを判定する必要がない。このため、夏時間を実施中か否かの判定を容易にできる。
【0014】
本発明の電子時計において、前記夏時間実施ルールは、夏時間の実施期間を示す実施期間情報を含み、前記選択部が選択した地域情報に対応する前記実施期間情報に基づいて、夏時間を実施中であるか否かを判定する実施判定部を備え、前記表示制御部は、夏時間を実施中であると判定された場合、夏時間を実施中であることを前記情報表示部に表示させることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、ユーザーは、夏時間を実施中か否かを把握できる。
また、本発明によれば、実施期間情報に基づいて夏時間を実施中か否かを判定できるため、例えば、夏時間の実施中か否かを示す情報を含む電波を受信する電波受信部が必要ない。
【0016】
本発明の電子時計において、前記表示制御部によって制御され、時刻情報を表示する時刻表示部と、前記時刻情報を修正する時刻修正部と、夏時間を実施中であるか否かを判定する実施判定部と、を備え、前記夏時間実施ルールは、前記地域情報に対応して、標準時と夏時間との時間差に関する夏時間設定情報を含み、前記時刻修正部は、夏時間を実施中であると判定された場合、前記夏時間設定情報に基づいて、前記時刻情報を修正することが好ましい。
【0017】
本発明によれば、選択された地域において、夏時間の実施期間が始まった場合は、ユーザーが夏時間を表示させるための操作を行うことなく、夏時間を表示させることができる。また、夏時間の実施期間が終了した場合は、ユーザーが標準時を表示させるための操作を行うことなく、標準時を表示させることができる。
【0018】
本発明の電子時計において、手動操作部と、前記手動操作部の操作に応じて、夏時間自動表示モード、夏時間非表示モードのいずれかを設定するモード設定部と、を備え、前記時刻修正部は、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ前記実施判定部により夏時間を実施中であると判定された場合、前記夏時間設定情報に基づいて前記時刻情報を修正して夏時間を表示させ、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ前記実施判定部により夏時間を実施中ではないと判定された場合、または、前記夏時間非表示モードが設定された場合、夏時間を表示させないことが好ましい。
【0019】
本発明によれば、ユーザーは、夏時間が実施されない地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが表示された場合は、手動操作部を操作して、夏時間非表示モードを設定させることで、夏時間を表示させないようにできる。
【0020】
本発明の電子時計は、情報表示部と、時刻情報を表示する時刻表示部と、前記時刻情報を修正する時刻修正部と、表示制御部と、手動操作部と、複数の地域情報と、前記地域情報に対応し且つ夏時間の実施期間を示す実施期間情報と前記地域情報に対応し且つ標準時との時間差を示す夏時間設定情報とを含む夏時間実施ルールと、を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記複数の地域情報のうちのいずれかを選択する選択部と、前記選択部が選択した地域情報に対応する前記夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域か否かを判定する判定部と、前記実施期間情報に基づいて夏時間を実施中か否かを判定する実施判定部と、前記手動操作部の操作に応じて、夏時間自動表示モード、夏時間表示モード、夏時間非表示モードのいずれかを設定するモード設定部と、を備え、前記表示制御部は、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ前記判定部により前記夏時間を実施する地域であると判定された場合、前記夏時間を実施する地域であることを前記情報表示部に表示させ、前記時刻修正部は、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中であると判定された場合、または、前記夏時間表示モードが設定された場合、前記夏時間設定情報に基づいて、前記時刻情報を修正して夏時間を表示させ、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中ではないと判定された場合、または、前記夏時間非表示モードが設定された場合、夏時間を表示させないことを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、ユーザーは、夏時間自動表示モードが設定されている場合、電子時計が、選択されている地域において、夏時間を実施する地域であることを示す夏時間実施ルールを記憶しているか否かを把握できる。
そして、例えば、ユーザーは、夏時間が実施される地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが表示されない場合、夏時間の実施期間に、手動操作部を操作して、夏時間表示モードを設定させることで、夏時間を表示させることができる。
また、ユーザーは、夏時間が実施されない地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが表示された場合は、手動操作部を操作して、夏時間非表示モードを設定させることで、夏時間を表示させないようにできる。
また、夏時間自動表示モードが設定されている場合、選択された地域において、夏時間の実施期間が始まった場合は、ユーザーが夏時間を表示させるための操作を行うことなく、夏時間を表示させることができる。また、夏時間の実施期間が終了した場合は、ユーザーが標準時を表示させるための操作を行うことなく、標準時を表示させることができる。
【0022】
本発明の電子時計において、前記表示制御部は、前記夏時間表示モードが設定された場合、前記夏時間表示モードが設定されていることを前記情報表示部に表示させ、前記夏時間非表示モードが設定された場合、前記夏時間非表示モードが設定されていることを前記情報表示部に表示させることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、ユーザーは、夏時間表示モードおよび夏時間非表示モードが設定されていることを把握できるため、表示モードの選択を容易に行うことができる。
【0024】
本発明の電子時計は、情報表示部と、時刻情報を表示する時刻表示部と、前記時刻情報を修正する時刻修正部と、表示制御部と、手動操作部と、複数の地域情報と、前記地域情報に対応し且つ夏時間の実施期間を示す実施期間情報と前記地域情報に対応し且つ標準時との時間差を示す夏時間設定情報とを含む夏時間実施ルールと、を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記複数の地域情報のうちのいずれかを選択する選択部と、前記選択部が選択した地域情報に対応する前記夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域か否かを判定する判定部と、前記実施期間情報に基づいて夏時間を実施中か否かを判定する実施判定部と、前記手動操作部の操作に応じて、夏時間表示モード、夏時間非表示モードのいずれかを設定するモード設定部と、を備え、前記表示制御部は、前記夏時間表示モードが設定された場合、前記夏時間表示モードが設定されていることを前記情報表示部に表示させ、前記夏時間非表示モードが設定された場合、前記夏時間非表示モードが設定されていることを前記情報表示部に表示させ、前記時刻修正部は、前記夏時間表示モードが設定された場合、前記選択部で選択された地域情報に対応する夏時間設定情報に基づいて、前記時刻情報を修正して夏時間を表示させ、前記夏時間非表示モードが設定された場合、標準時を表示させることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、ユーザーは、手動操作部を操作して、夏時間表示モードあるいは夏時間非表示モードを設定できるので、夏時間の表示、非表示をユーザーが容易に設定できる。このため、夏時間表示ルールが変更された地域においても、手動操作によって変更後のルールに合わせた時刻(その地域の標準時または夏時間)を表示することができ、利便性を向上できる。
【0026】
本発明の電子時計において、衛星信号を受信し、受信信号に基づいて現在地の位置情報を計算して取得する衛星信号受信部を備え、前記選択部は、前記位置情報に基づいて、前記複数の地域情報から現在地が属する地域情報を選択し、前記モード設定部は、前記位置情報に基づいて選択された地域情報によって夏時間を実施する地域であると前記判定部が判定した場合、夏時間自動表示モードを設定し、前記位置情報に基づいて選択された地域情報によって夏時間を実施しない地域であると前記判定部が判定した場合、前記夏時間非表示モードを設定し、前記表示制御部は、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ前記判定部により前記夏時間を実施する地域であると判定された場合、前記夏時間を実施する地域であることを前記情報表示部に表示させ、前記時刻修正部は、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中であると判定された場合、前記夏時間設定情報に基づいて、前記時刻情報を修正して夏時間を表示させ、前記夏時間自動表示モードが設定され且つ夏時間の実施中ではないと判定された場合、標準時を表示させることが好ましい。
【0027】
本発明によれば、手動操作部の操作による夏時間表示モードあるいは夏時間非表示モードの選択に加えて、現在地の位置情報を取得する測位受信処理を実行することで、夏時間自動表示モードあるいは夏時間非表示モードを自動的に設定できる。このため、ユーザーは、旅行先等で測位受信処理を行うことで、その地域の夏時間実施ルールに応じた時刻を自動的に表示できる。また、夏時間実施ルールが変更された直後などで、自動的に表示された時刻が、現在地の時刻と異なる場合は、手動操作部の操作で夏時間表示モードあるいは夏時間非表示モードを選択することで表示時刻を標準時または夏時間に容易に変更でき、利便性を向上できる。
【0028】
本発明の電子時計において、前記情報表示部は、指針および文字板で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、アナログ電子時計においても、夏時間を実施する地域であるか否かを表示させることができる。
【0029】
本発明は、情報表示部と、複数の地域情報と、前記地域情報に対応する夏時間実施ルールとを記憶する記憶部とを備える電子時計の制御方法であって、前記記憶部に記憶された前記複数の地域情報のうちのいずれかを選択するステップと、前記選択した地域情報に対応する前記夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域か否かを判定するステップと、前記夏時間を実施する地域であると判定した場合、前記夏時間を実施する地域であることを前記情報表示部に表示させるステップと、を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、ユーザーは、選択されている地域が夏時間を実施する地域であることを示す夏時間実施ルールを電子時計が記憶しているか否かを把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る第1実施形態の電子時計の正面図。
図2】第1実施形態の電子時計の概略を示す断面図。
図3】第1実施形態の電子時計の回路構成を示す図。
図4】第1実施形態のRAMのデータ構成を示す図。
図5】第1実施形態のローカルタイム設定データの一例を示す図。
図6】第1実施形態の夏時間参照データの一例を示す図。
図7】第1実施形態の制御回路の構成を示す図。
図8】第1実施形態のローカルタイム設定処理を示すフローチャート。
図9】第1実施形態のローカルタイム設定処理を示すフローチャート。
図10】第1実施形態の夏時間切替処理を示すフローチャート。
図11】本発明に係る第2実施形態の電子時計の正面図。
図12】第2実施形態の電子時計の概略を示す断面図。
図13】第2実施形態の電子時計の回路構成を示す図。
図14】第2実施形態の記憶装置のデータ構成を示す図。
図15】第2実施形態のローカルタイム受信設定データを示す図。
図16】ローカルタイム受信設定データを説明するための図。
図17】第2実施形態の制御回路の構成を示す図。
図18】第2実施形態のローカルタイム受信設定処理を示すフローチャート。
図19】第2実施形態のローカルタイム受信設定処理を示すフローチャート。
図20】夏時間の実施状況の変更履歴を示す図。
図21】本発明に係る第3実施形態の制御回路の構成を示す図。
図22】第3実施形態の表示モード切替処理を示すフローチャート。
図23】本発明に係る第4実施形態の夏時間参照データの一例を示す図。
図24】第4実施形態の電子時計の表示機構を示す図。
図25】第4実施形態の表示モード切替処理を示すフローチャート。
図26】本発明に係る第5実施形態の電子時計の正面図。
図27】第5実施形態の電子時計の回路構成を示す図。
図28】第5実施形態の標準電波受信処理を示すフローチャート。
図29】本発明に係る第6実施形態の電子時計の正面図。
図30】第6実施形態の制御回路の構成を示す図。
図31】第6実施形態の受信処理を示すフローチャート。
図32】第6実施形態の受信処理を示すフローチャート。
図33】第6実施形態の表示モード切替処理を示すフローチャート。
図34】本発明に係る他の実施形態の電子時計の表示機構を示す図。
図35】他の実施形態の夏時間切替処理を示すフローチャート。
図36】他の実施形態の電子時計の表示機構を示す図。
図37】他の実施形態の電子時計の表示機構を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
図1は、電子時計1の正面図であり、図2は、電子時計1の概略を示す断面図である。
電子時計1は、図1図2に示すように、外装ケース30と、カバーガラス33と、裏蓋34とを備えている。
外装ケース30は、円筒状であり、金属で形成されている。図2に示すように、外装ケース30の二つの開口のうち、表面側の開口は、カバーガラス33で塞がれており、裏面側の開口は金属で形成された裏蓋34で塞がれている。
外装ケース30の側面には、Aボタン41と、Bボタン42と、りゅうず43とが設けられている。
【0033】
外装ケース30の内側には、ダイヤルリング35と、文字板11と、指針21,22,23,24と、カレンダー車25と、各指針およびカレンダー車25を駆動する駆動機構140などが備えられている。
【0034】
ダイヤルリング35は、リング状に形成されている。
文字板11は、外装ケース30の内側で時刻を表示する円形の板材であり、カバーガラス33との間に各指針21〜24を備え、ダイヤルリング35の内側に配置されている。
文字板11には、指針21,22,23の指針軸29と、指針24の図示しない指針軸とが貫通する穴が形成されている。また、文字板11には、カレンダー小窓15の開口部が形成されている。
【0035】
駆動機構140は、地板125に取り付けられ、回路基板120で裏蓋側から覆われている。駆動機構140は、ステップモーターと歯車などの輪列とを有し、当該ステップモーターが当該輪列を介して指針軸を回転させることにより各指針21〜24およびカレンダー車25を駆動する。
駆動機構140は、具体的には、第1〜第4駆動機構を備える。第1駆動機構は指針22および指針23を駆動し、第2駆動機構は指針21を駆動し、第3駆動機構は指針24を駆動し、第4駆動機構はカレンダー車25を駆動する。
【0036】
回路基板120は、表面側に制御装置100を備えている。回路基板120の裏蓋側には、回路基板120を覆うための回路押さえ122が設けられている。また、電池130が、地板125と裏蓋34との間に設けられている。
【0037】
[電子時計の表示機構]
指針21,22,23は、文字板11の平面中心に、文字板11の表裏方向に沿って設けられた指針軸29に取り付けられている。なお、指針軸29は、各指針21,22,23が取り付けられる3つの指針軸で構成されている。
文字板11の外周部を囲むダイヤルリング35の内周側には、図1に示すように、内周を60分割にする目盛が表記されている。この目盛を用いて、指針21は時刻の「秒」を表示し、指針22は時刻の「分」を表示し、指針23は時刻の「時」を表示する。すなわち、指針21は秒針であり、指針22は分針であり、指針23は時針であり、指針21〜23および文字板11は、時刻情報を表示する時刻表示部を構成する。なお、指針21〜23が表示する時刻は、りゅうず43を2段引いた状態で回転させることで変更できる。
【0038】
指針24は、文字板11の平面中心から6時方向の位置に設けられている指針軸に取り付けられている。
指針24の回転領域の外周には、「DB」の英字と「OFF」の英字とが表記されている。DBおよびOFFは、夏時間(サマータイム)に関する情報であり、DBおよびOFFの英字の内側には、夏時間を意味する「DST」(daylight saving time)の英字が表記されている。
指針24は、詳しくは後述するが、DBを指示することで、選択された地域情報に対応付けられた夏時間実施ルールにおいて、当該地域が夏時間を実施する地域として記憶装置54に記憶されていることを表示する。また、OFFを指示することで、当該夏時間実施ルールにおいて当該地域が夏時間を実施する地域として記憶装置54に記憶されていないこと(または、当該地域が夏時間を実施しない地域として記憶装置54に記憶されていること)を表示する。
【0039】
また、指針24の回転領域の外周には、七曜を示す英単語の頭文字である「S(Sunday)」、「M(Monday)」、「T(Tuesday)」、「W(Wednesday)」、「T(Thursday)」、「F(Friday)」、「S(Saturday)」の文字が表記される。指針24は、これらの文字のいずれかを指示することで曜日を表示する。
また、指針24の回転領域の外周には、円周に沿って三日月鎌状の記号12が表記されている。この記号12は電池130のパワーインジケーターであり、電池容量に応じた位置を指針24が指示することで電池容量が表示される。
すなわち、指針24は、各種情報を表示するモード針であり、指針24および文字板11は、情報表示部を構成する。
【0040】
なお、りゅうず43が0段位置にある通常状態において、指針24は、夏時間に関する情報(DBまたはOFF)、曜日、電池容量のいずれかを表示する。指針24が表示する情報は、Bボタン42を押すことで切り替えることができる。
【0041】
カレンダー小窓15は、文字板11を矩形状に開口した開口部に設けられており、開口部からカレンダー車25に印刷された数字が視認可能となっている。カレンダー車25は、開口部から数字を視認させることで、年月日の「日」を表示する。なお、カレンダー車25が表示する日は、りゅうず43を2段引いた状態で回転させることで変更できる。日を変更するか、指針21〜23が表示する時刻を変更するかは、Aボタン41を押すことで選択できる。
【0042】
ダイヤルリング35には、内周側の目盛に沿って、協定世界時(UTC)との時差を表す数字や数字以外の記号37が表記されている。
また、ダイヤルリング35の周囲に設けられている外装ケース30には、ダイヤルリング35に表記されている数字や数字以外の記号37に対応した標準時を使用している代表都市名を表す都市情報36が、記号37に併記されている。
指針21は、記号37や都市情報36を指示することで、現在設定されている時差や選択中の時差を表示する。
【0043】
[電子時計の回路構成]
図3は、電子時計1の回路構成を示す図である。
電子時計1は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)で構成される制御装置100と、制御装置100に接続された電池130と、手動操作部40と、駆動機構140とを備えている。
【0044】
手動操作部40は、Aボタン41、Bボタン42、りゅうず43と、図示しないスイッチ回路とを備えて構成され、各ボタン41,42の押し離しや、りゅうず43の引き出し、押し込み、回転に応じた操作信号を制御装置100の後述する制御回路60に出力する。
【0045】
制御装置100は、電池電圧検出回路51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、書き換え可能な記憶装置54と、制御回路60とを備える。
また、制御装置100は、回路基板120の裏蓋側に設けられた2つの入力端子101,102と接続されている。入力端子101,102には、電子時計1の裏蓋34を開けた状態で、外部装置の出力端子を接触させることができ、この出力端子から入力端子101,102にデータを供給することで、記憶装置54のデータを書き換えることができる。
【0046】
電池電圧検出回路51は、電池130の電池電圧を、例えば5〜10秒間隔で検出し、検出値を制御回路60に出力する。
ROM52には、制御回路60で実行されるプログラムや、プログラムの実行時に用いられるデータが記憶されている。
【0047】
RAM53には、図4に示すように、内部時刻データ531と、表示用時刻データ532と、時差データ533と、夏時間オフセットデータ534とが記憶される。
内部時刻データ531には、UTCを示す内部時刻が記憶される。この内部時刻は、制御回路60の後述する計時部61によって更新される。
表示用時刻データ532には、内部時刻データ531の内部時刻に、時差データ533の時差と、夏時間オフセットデータ534の夏時間設定情報とを加算した表示用時刻が記憶される。ここで、表示用時刻は、指針21,22,23によって表示される時刻情報である。
なお、時差データ533および夏時間オフセットデータ534の設定手順については後述する。
【0048】
図3に戻り、記憶部としての記憶装置54は、書き換え可能な不揮発性メモリーによって構成されている。このような不揮発性メモリーとしては、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリーなどを例示できる。なお、記憶装置54は、制御装置100に外付けされていてもよい。
記憶装置54には、ローカルタイム設定データ541および夏時間参照データ542が記憶されている。
【0049】
図5は、ローカルタイム設定データ541の一例を示す図である。
ローカルタイム設定データ541には、インデックスが付けられた時差(タイムゾーン)と、代表都市名を表す表示文字と、代表都市名と、針位置と、DST番号とが対応付けられて記憶されている。
インデックスは、通し番号であり、0以上の整数で示される。
時差は、UTCとの時差を示す。例えば、「0」は、UTCとの時差が0時間であることを示し、「+1」は、UTCとの時差が+1時間であることを示し、「−1」は、UTCとの時差が−1時間であることを示す。図5に示すローカルタイム設定データ541では、−12時間から+14時間まで、40個の時差が記憶されている。本実施形態では、時差が、地域情報に相当する。
代表都市名は、対応する時差の地域における代表都市の名前である。
針位置は、秒針である指針21の指示位置(秒位置)を示す。例えば、「0」は、0秒位置を示し、「2」は、2秒位置を示す。
DST番号は、夏時間参照データ542に記憶された後述する「0」〜「10」のDST番号のうち、対応する番号を示す。
【0050】
図6は、夏時間参照データ542の一例を示す図である。
夏時間参照データ542には、DST番号と、夏時間の実施期間を示す実施期間情報と、夏時間設定情報(DSTオフセット)とが含まれる。
夏時間設定情報は、標準時との時間差の情報であり、標準時に対して進める時間である。
夏時間参照データ542には、夏時間を実施する地域であることを示す情報として、1以上の整数であるDST番号と、夏時間の実施期間情報、夏時間設定情報とが記憶されている。
また、夏時間参照データ542には、夏時間を実施しない地域であることを示す情報として、DST番号「0」が記憶され、DST番号「0」の場合、実施期間情報と夏時間設定情報とは記憶されない。または、DST番号「0」の場合、実施期間情報に「夏時間を実施しない」ことを記憶する。
本実施形態において、ローカルタイム設定データ541に含まれるDST番号と夏時間参照データ542とが夏時間実施ルールの一例である。
【0051】
図7に示すように、制御回路60は、ROM52に格納された各種プログラムを実行することで、計時部61、時刻修正部62、表示制御部63、選択部64、判定部65、実施判定部66として機能する。
計時部61は、電子時計1が備える図示しない水晶振動子の発振信号に基づく基準信号を用いて、RAM53に記憶された内部時刻データ531を更新することで、内部時刻を計時する。
時刻修正部62は、表示用時刻データ532の表示用時刻の修正を行う。
表示制御部63は、駆動機構140を制御することで指針21〜23の移動を制御して表示用時刻を表示させ、指針24の移動を制御して各種情報を表示させる。
選択部64は、手動操作部40の操作に応じて、地域情報としての時差を選択する。
判定部65は、選択部64が選択した時差(地域情報)に対応する夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域であることを示す情報が記憶されているか否かを判定する。
実施判定部66は、実施期間情報に基づいて、夏時間を実施中であるか否かを判定する。
なお、制御回路60の各機能部の詳細については、次のローカルタイム設定処理の説明で述べる。
【0052】
[ローカルタイム設定処理]
図8図9は、電子時計1が実行するローカルタイム設定処理を示すフローチャートである。
制御回路60は、りゅうず43が1段引かれているか否かを判定する(S11)。S11でNOと判定された場合、制御回路60は、S11の処理を繰り返し実行する。
【0053】
S11でYESと判定された場合、制御回路60は、変数Iに、現在設定されている時差のインデックス番号を設定する。そして、表示制御部63は、ローカルタイム設定データ541においてインデックスIに対応付けられた針位置を、秒針である指針21に指示させる(S12)。
また、表示制御部63は、インデックスIに対応付けられた夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていると判定された場合、モード針である指針24に「DB」を指示させる。また、夏時間実施ルールに基づいて、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていないと判定された場合、指針24に「OFF」を指示させる。なお、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されているかの否かの判定は、後述するS23と同様の方法で行う。
【0054】
そして、制御回路60は、手動操作部40から出力される操作信号の入力を許可する(S13)。
選択部64は、手動操作部40から出力される操作信号に基づいて、りゅうず43が回転され、時差選択操作が行われたことを検出すると、りゅうず43の回転方向が、時計回りか、反時計回りかを判定する(S14)。
【0055】
りゅうず43の回転方向が時計回りの場合、選択部64は、インデックス番号が1つ大きい時差を選択するアップ操作が行われたと判定し、Iの値に1を加算する(S15)。
次に、選択部64は、Iの値が、最大値「39」に1を加算した値である「40」であるか否かを判定する(S16)。S16でNOと判定された場合、選択部64は、処理をS21に進める。
S16でYESと判定された場合、選択部64は、Iの値を0に変更し(S17)、処理をS21に進める。
すなわち、選択部64は、インデックスが最大値の時差を選択している場合に、アップ操作を検出すると、インデックスが最小値の時差を選択する。
【0056】
一方、りゅうず43の回転方向が反時計回りの場合、選択部64は、インデックス番号が1つ小さい時差を選択するダウン操作が行われたと判定し、Iの値から1を減算する(S18)。
次に、選択部64は、Iの値が−1か否かを判定する(S19)。S19でNOと判定された場合、選択部64は、処理をS21に進める。
S19でYESと判定された場合、選択部64は、Iの値を最大値である「39」に変更し(S20)、処理をS21に進める。
すなわち、選択部64は、インデックスが最小値の時差を選択している場合に、ダウン操作を検出すると、インデックスが最大値の時差を選択する。
【0057】
S21では、表示制御部63は、ローカルタイム設定データ541においてインデックスIに対応付けられた針位置を、指針21に指示させる。
そして、時刻修正部62は、ローカルタイム設定データ541から、インデックスIに対応付けられた時差(タイムゾーン)を取得する(S22)。
【0058】
次に、判定部65は、ローカルタイム設定データ541において、インデックスIに対応付けられたDST番号が0か否かを判定する(S23)。すなわち、インデックスIに対応した地域において夏時間を実施しない地域であることが記憶装置54に記憶されているか否かを判定する。
S23でYESと判定された場合、すなわち、インデックスIに対応した地域において夏時間を実施しない地域であることが記憶装置54に記憶されている場合、すなわちDST番号が0である場合、表示制御部63は、指針24に「OFF」を指示させ、夏時間を実施しない地域であると記憶装置54に記憶されていることを表示させる(S24)。
そして、時刻修正部62は、S22で取得された時差を時差データ533に設定し、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)することで、表示用時刻データ532の表示用時刻を修正する(S25)。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。これにより、選択された時差が反映された時刻の時分が表示される。
【0059】
一方、S23でNOと判定された場合、すなわち、インデックスIに対応したDST番号が1以上の整数であって、当該地域において夏時間を実施することを示す夏時間実施ルールが記憶装置54に記憶されている場合、表示制御部63は、指針24に「DB」を指示させ、当該地域において夏時間を実施することを示す夏時間実施ルールが記憶装置54に記憶されていることを表示させる(S26)。
そして、実施判定部66は、インデックスIに対応した実施期間情報に基づいて、夏時間の実施中か否かを判定する(S27)。
そして、S25で、時刻修正部62は、上記S27で夏時間の実施中ではないと判定された場合は、S22で取得された時差を時差データ533に設定し、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)することで、表示用時刻データ532の表示用時刻を修正する。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。これにより、選択された時差が反映された時刻の時分が表示される。
また、時刻修正部62は、上記S27で夏時間の実施中であると判定された場合は、S22で取得された時差を時差データ533に設定し、かつ、夏時間参照データ542からインデックスIに対応した夏時間設定情報を取得して、夏時間オフセットデータ534に設定することで、表示用時刻データ532の表示用時刻を修正する。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。これにより、選択された時差および当該時差に対応付けられた夏時間設定情報が反映された時刻の時分が表示される。
【0060】
S25の処理の後、選択部64は、りゅうず43が1段引かれた状態で維持されているか否かを判定する(S28)。S28でYESと判定された場合、選択部64は、処理をS14に戻し、S14〜S28の処理を再度実行する。
S28でNOと判定された場合、すなわち、りゅうず43が1段引かれた状態から移動した場合、表示制御部63は、指針21に表示用時刻の秒を表示させる(S29)。また、指針24に電池容量を表示させる。そして、制御回路60は、ローカルタイム設定処理を終了する。
【0061】
以上のローカルタイム設定処理によれば、例えば、インデックスの15番(東京)が選択された場合、時差データ533に+9時間が設定される。また、DST番号が0であり、夏時間を実施しない地域であることが記憶されているため、指針24がOFFを指示し、夏時間オフセットデータ534に0時間が設定される。これにより、UTCに9時間加算した時刻が表示される。
また、インデックスの33番(ニューヨーク)が選択された場合、時差データ533に−5時間が設定される。また、DST番号が8番であり、夏時間を実施する地域であることが記憶されているため、指針24がDBを指示する。
ここで、DST番号が8番の実施期間情報が示す実施期間は、3月の第2日曜日午前2:00〜11月の第1日曜日午前2:00である。このため、現時刻が例えば1月の場合は、夏時間の実施中ではないため、夏時間オフセットデータ534に0時間が設定される。これにより、UTCから5時間減算した時刻が表示される。また、現時刻が例えば4月の場合は、夏時間の実施中であるため、夏時間オフセットデータ534に+1時間が設定される。これにより、UTCから4時間減算した時刻が表示される。
【0062】
なお、本実施形態では、時差選択操作であるアップ操作およびダウン操作は、りゅうず43を回転させることで行われているが、これに限定されない。例えば、Aボタン41が押されることでアップ操作が行われ、Bボタン42が押されることでダウン操作が行われるようにしてもよい。
また、本実施形態では、時差選択操作を行うたびに表示制御部63が指針22,23の移動を制御して、表示用時刻の時分を表示させているが、これに限定されない。例えば、S29で、指針21と同じタイミングで指針22,23を移動させてもよい。
【0063】
[夏時間切替処理]
図10は、電子時計1が実行する夏時間切替処理を示すフローチャートである。なお、夏時間切替処理は、選択部64で選択された地域情報(本実施形態では時差)に対応した夏時間実施ルールにおいて、夏時間が実施される地域であることが記憶装置54に記憶されている場合に実行される。
時刻修正部62は、計時部61によって内部時刻の分が更新されたか否かを判定する(S31)。
S31でYESと判定された場合、時刻修正部62は、選択部64で選択された地域情報に対応した夏時間実施ルールの実施期間情報を参照し、夏時間の開始時刻か否かを判定する(S32)。
S32でYESと判定された場合、時刻修正部62は、選択された地域情報に対応した夏時間設定情報を夏時間オフセットデータ534に設定する。これにより、表示用時刻が夏時間設定情報だけ進められ、夏時間が表示される(S33)。そして、時刻修正部62は、1分後、再度、S31の処理を行う。
【0064】
一方、S32でNOと判定された場合、時刻修正部62は、選択部64で選択された地域情報に対応した夏時間実施ルールの実施期間情報を参照し、夏時間の終了時刻か否かを判定する(S34)。
夏時間の実施期間が始まる前、または、夏時間の実施期間中は、S34でNOと判定され、時刻修正部62は、1分後、再度、S31の処理を行う。
また、S33で夏時間が表示された後、夏時間の実施期間が終了すると、S34でYESと判定され、時刻修正部62は、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定する。これにより、表示用時間が夏時間設定情報だけ戻され、標準時が表示される(S35)。そして、時刻修正部62は、1分後、再度、S31の処理を行う。
【0065】
[第1実施形態の作用効果]
電子時計1によれば、ローカルタイム設定処理において、選択された地域情報に対応した夏時間実施ルールにおいて、夏時間が実施される地域であることが記憶されている場合、夏時間が実施される地域であることを表示(指針24が「DB」を指示)し、選択された地域情報に対応した夏時間実施ルールにおいて夏時間が実施される地域であることが記憶されていない場合、夏時間が実施される地域ではないことを表示(指針24が「OFF」を指示)する。
これにより、ユーザーは、電子時計1が、選択されている地域において、夏時間が実施される地域であることを示す夏時間実施ルールを記憶しているか否かを把握できる。
このため、ユーザーは、夏時間が実施される地域が選択されているにもかかわらず夏時間が実施される地域ではないと表示された場合(指針24が「OFF」を指示した場合)、または、夏時間が実施されない地域が選択されているにもかかわらず夏時間が実施される地域であると表示された場合(指針24が「DB」を指示した場合)、選択された地域に対して記憶装置54の情報が対応していないことが分かる。したがって、ユーザーは、夏時間が実施される地域が選択されているにもかかわらず夏時間が実施される地域ではないと表示された場合は、例えば、夏時間の実施期間に、手動で時刻を修正するなどの対応をとることができる。また、夏時間が実施されない地域が選択されているにもかかわらず夏時間が実施される地域であると表示された場合は、例えば、電子時計1を操作して夏時間を表示しないように設定するなどの対応をとることができる。
【0066】
ユーザーは、手動操作部40を操作することで、現在地とは異なる地域の地域情報も選択できる。このため、例えば、日本から海外の地域に移動する際、電子時計1が当該地域を夏時間を実施する地域として記憶しているか否かを事前に把握できる。
【0067】
電子時計1が夏時間切替処理を実行することで、選択された地域において、夏時間の実施期間が始まった場合は、ユーザーが夏時間を表示させるための操作を行うことなく、夏時間を表示させることができる。また、夏時間の実施期間が終了した場合は、ユーザーが標準時を表示させるための操作を行うことなく、標準時を表示させることができる。
【0068】
[第2実施形態]
第2実施形態の電子時計1Aは、位置情報衛星から衛星信号を受信し、受信した衛星信号に基づいて内部時刻や時差を修正する。また、受信した衛星信号に基づいて、地域情報を選択する。なお、以降の説明では、電子時計1と同じ構成については同じ符号を付与し、説明は省略する。
【0069】
[電子時計の構成]
電子時計1Aは、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS(Global Positioning System)衛星のうち、少なくとも1つのGPS衛星からの衛星信号を受信して時刻情報を取得し、少なくとも3つのGPS衛星からの衛星信号を受信して位置情報を算出して取得するように構成されている。
【0070】
[電子時計の概略構成]
図11は、電子時計1Aの正面図であり、図12は、電子時計1Aの概略を示す断面図である。ここでは、第1実施形態の電子時計1と異なる構成のみ説明し、その他の構成については説明を省略する。
電子時計1Aでは、外装ケース30Aは、金属で形成された円筒状のケース31の表面側に、セラミックで形成されたベゼル32が嵌合されて構成されている。
ダイヤルリング35Aは、プラスチックで形成され、平面視においてはリング形状となっており、断面視においてはすり鉢形状となっている。ダイヤルリング35Aと、ベゼル32の内周面とによりドーナツ形状の収納空間が形成されており、この収納空間内には、リング状のアンテナ体110が収納されている。
【0071】
文字板11Aは、プラスチックなどの光透過性の材料で形成されている。
文字板11Aと、地板125との間には、光発電を行う太陽電池135が備えられている。
回路基板120は、裏蓋側に制御装置100AおよびGPS受信装置58を備えている。回路基板120とアンテナ体110とは、アンテナ接続ピン115を用いて接続されている。
また、本実施形態では、電池に、リチウムイオン電池などの二次電池130Aが用いられている。二次電池130Aは、太陽電池135が発電した電力で充電される。
【0072】
図11に示すように、ダイヤルリング35Aには、12分位置にアルファベットの「Y」と、18分位置にアルファベットの「N」の英字が表記されている。Aボタン41が押されると、指針21は、「Y」および「N」のいずれか一方を指示し、前回の衛星信号の受信結果を表示する。すなわち、成功の場合は、「Y」を指示し、失敗の場合は、「N」を指示する。
指針24の回転領域の外周には、「1」の数字と「4+」の記号が表記されている。これらの数字と記号は、衛星信号の受信モードを表す。「1」は時刻情報を受信し内部時刻が修正されること(測時モード)を、「4+」は時刻情報と軌道情報とを受信し、現在位置である位置情報を算出し、内部時刻と時差とが修正されること(測位モード)を意味する。
【0073】
[電子時計の回路構成]
図13は、電子時計1Aの回路構成を示す図である。
電子時計1Aは、図13に示すように、衛星信号受信部として、制御装置100Aに接続されたGPS受信装置58を備えている。また、制御装置100Aは、ダイオード71、充電制御用スイッチ72、電圧検出回路73を備えている。
【0074】
ダイオード71は、太陽電池135と二次電池130Aとを電気的に接続する経路に設けられ、太陽電池135から二次電池130Aへの電流(順方向電流)を遮断せずに、二次電池130Aから太陽電池135への電流(逆方向電流)を遮断する。なお、順方向電流が流れるのは、二次電池130Aの電圧よりも太陽電池135の電圧が高い場合、すなわち充電時に限られる。ダイオード71は、太陽電池135の電圧が二次電池130Aよりも低くなった場合は、二次電池130Aから太陽電池135に電流が流れることを防止する。
充電制御用スイッチ72は、太陽電池135から二次電池130Aへの電流の経路を接続および切断するものであり、太陽電池135と二次電池130Aとを電気的に接続する経路に設けられたスイッチング素子を備えている。スイッチング素子がオフ状態からオン状態に遷移すると接続し、スイッチング素子がオン状態からオフ状態へ遷移すると切断する。
【0075】
電圧検出回路73は、電圧の検出タイミングを指定する制御信号に基づいて作動し、充電制御用スイッチ72がオフ状態とされた期間において太陽電池135の端子電圧PVIN、すなわち太陽電池135の出力電圧を検出する。そして、検出結果を制御回路60Aに出力する。
【0076】
GPS受信装置58は、アンテナ体110に接続され、アンテナ体110を介して受信した衛星信号を処理して時刻情報や位置情報を取得する。アンテナ体110は、GPS衛星から送信され、カバーガラス33とダイヤルリング35Aとを通過した衛星信号の電波を受信する。
そして、GPS受信装置58は、図示を略すが、通常のGPS装置と同様に、GPS衛星から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を実行して航法メッセージを復調するBB部(ベースバンド部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)を処理して時刻情報や位置情報を取得して出力する情報取得部とを備えている。
【0077】
図14は、電子時計1Aの記憶装置54に記憶されるデータの構成を示す図である。
記憶装置54には、ローカルタイム設定データ541および夏時間参照データ542に加え、電子時計1Aを駆動させるためのシステム設定データ544や受信設定データ545の他、後述するローカルタイム受信設定データ546や、各データのバージョン(版)を示すバージョンデータ543が、所定のアドレスにそれぞれ記憶されている。
記憶装置54は書き換え可能であるため、ローカルタイム設定データ541、システム設定データ544、受信設定データ545、ローカルタイム受信設定データ546、バージョンデータ543は、更新可能とされている。
【0078】
システム設定データ544には、例えば、歩度情報やステップモーターの駆動設定情報等のパラメーターなどが記憶される。
受信設定データ545には、GPS受信装置58の受信処理における、衛星信号の自動受信間隔や、衛星信号を捕捉できない場合などに受信処理を終了するまでのタイムアウト時間などのパラメーターが記憶される。
【0079】
図15は、ローカルタイム受信設定データ546の一例を示す図である。
ローカルタイム受信設定データ546には、領域情報と、時差(タイムゾーン)と、DST番号と、夏時間設定情報(DSTオフセット)と、時差変更情報(タイムゾーン変更情報)と、夏時間変更情報(DST変更情報)とが対応付けられて記憶されている。本実施形態では、夏時間実施ルールに、ローカルタイム受信設定データ546におけるDST番号も含まれる。
【0080】
領域情報は、図16に示すように、地理情報を複数の領域に分割した際の各領域を示す情報である。各領域は、例えば、東西および南北方向の各長さが1000〜2000km程度の矩形形状の領域である。領域情報としては、各領域を特定するための座標データが記憶されている。すなわち、矩形形状の領域であれば、例えば、領域の左上の座標(経度、緯度)と、領域の右下の座標(経度、緯度)とで領域を特定できるため、これらの2点の座標が記憶されている。
このため、制御回路60Aは、測位モードで位置情報を取得した場合、その位置情報(緯度、経度)に基づいて領域情報を選択できるようにされている。本実施形態では、領域情報も、地域情報に相当する。
【0081】
図15に戻り、時差変更情報は、将来予定されている時差の変更情報である。夏時間変更情報は、将来予定されている夏時間の変更情報である。制御回路60Aは、時差変更情報にしたがって、時差の変更時期になると、ローカルタイム受信設定データ546の時差を変更し、夏時間変更情報にしたがって、夏時間の変更時期になると、ローカルタイム受信設定データ546の夏時間設定情報を変更する。
【0082】
制御回路60Aは、図17に示すように、計時部61、時刻修正部62、表示制御部63、選択部64、判定部65、実施判定部66、測時部67、測位部68として機能する。
【0083】
測時部67は、所定間隔で設定された自動受信タイミングに該当した場合や、電子時計1Aに照射される光量が所定光量以上となり、屋外において電子時計1Aに日光が照射していると判断できる場合に、自動受信条件に該当したと判断し、GPS受信装置58を作動して測時モードでの受信処理を実行させる。また、測時部67は、Aボタン41が3秒以上6秒未満押され、測時モードの強制受信操作が行われると、GPS受信装置58を作動して測時モードでの受信処理を実行させる。測時モードでの受信処理が実行されると、GPS受信装置58は、少なくとも1つのGPS衛星を捕捉し、そのGPS衛星から送信される衛星信号を受信して時刻情報を取得する。
【0084】
測位部68は、Aボタン41が6秒以上押され、測位モードの強制受信操作が行われると、GPS受信装置58を作動して測位モードでの受信処理を実行させる。測位モードでの受信処理が実行されると、GPS受信装置58は、少なくとも3個、好ましくは4個以上のGPS衛星を捕捉し、各GPS衛星から送信される衛星信号を受信して位置情報を算出して取得する。また、GPS受信装置58は、衛星信号を受信した際に時刻情報も同時に取得できる。
なお、本実施形態では、上記自動受信条件に該当した場合、測時モードでの受信処理が行われるが、測位モードでの受信処理が行われるように選択できるようにしてもよい。
【0085】
なお、本実施形態では、選択部64は、手動操作部40の操作に応じて地域情報としての時差を選択するだけではなく、測位モードの受信処理によって取得された位置情報に基づいて地域情報としての領域情報を選択する。
また、判定部65は、選択部64が選択した時差または領域情報に対応する夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域であることを示す情報が記憶されているか否かを判定する。
【0086】
電子時計1Aでは、測時モードの受信処理が実行されると、時刻修正部62は、取得された時刻情報で内部時刻データ531を更新して内部時刻を修正する。
なお、測位モードの受信処理については、次のローカルタイム受信設定処理の説明で述べる。
【0087】
[ローカルタイム受信設定処理]
電子時計1Aは、第1実施形態で説明したローカルタイム設定処理に加えて、以下のローカルタイム受信設定処理を実行する。
図18図19は、電子時計1Aが実行するローカルタイム受信設定処理を示すフローチャートである。
測位部68は、Aボタン41が6秒間押されたか否かを判定する(S41)。S41でNOと判定された場合、測位部68は、S41の処理を繰り返し実行する。
【0088】
S41でYESと判定された場合、測位部68はGPS受信装置58を作動して測位モードでの受信処理を開始させる(S42)。
そして、表示制御部63は、捕捉されているGPS衛星の数(捕捉衛星数)を指針21に表示させる(S43)。具体的に、表示制御部63は、指針21に、0から11までの時の値を示す位置のうち、捕捉衛星数の値と対応する時の値を示す位置を指示させることで、捕捉衛星数を表示させる。例えば、捕捉衛星数が5個の場合、5時位置(25秒位置)を指示させる。
さらに、S43で、表示制御部63は、指針24に「4+」を指示させ、受信モードが測位モードであることを表示させる。
【0089】
次に、測位部68は、測位受信に成功したか否か、すなわち、位置情報の取得に成功したか否かを判定する(S44)。
S44でNOと判定された場合、表示制御部63は、指針21に表示用時刻の秒を表示させ、指針24に電池容量を表示させる(S45)。そして、制御回路60Aは、ローカルタイム受信設定処理を終了する。
【0090】
一方、S44でYESと判定された場合、選択部64は、ローカルタイム受信設定データ546の領域情報から、取得された位置情報(緯度、経度)が属する領域情報を選択する(S46)。
次に、表示制御部63は、ローカルタイム受信設定データ546において選択された領域情報に対応付けられた時差を、指針21に指示させる(S47)。
そして、時刻修正部62は、ローカルタイム受信設定データ546から、選択された領域情報に対応付けられた時差(タイムゾーン)を取得する(S48)。
【0091】
次に、判定部65は、ローカルタイム受信設定データ546において、選択された領域情報に対応付けられたDST番号が0か否かを判定する(S49)。すなわち、選択された領域情報に対応した夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域ではないことが記憶装置54に記憶されているか否かを判定する。
S49でYESと判定された場合、表示制御部63は、指針24に「OFF」を指示させ、夏時間を実施する地域ではないことが記憶装置54に記憶されていることを表示させる(S50)。
そして、時刻修正部62は、S48で取得された時差を時差データ533に設定し、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)することで、表示用時刻データ532の表示用時刻を修正する(S51)。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。これにより、選択された領域情報に対応した時差が反映された時刻の時分が表示される。
【0092】
一方、S49でNOと判定された場合、表示制御部63は、指針24に「DB」を指示させ、夏時間を実施する地域ではあることが記憶装置54に記憶されていることを表示させる(S52)。
そして、実施判定部66は、選択された領域情報に対応した夏時間実施ルールの実施期間情報に基づいて、夏時間を実施中か否かを判定する(S53)。
そして、S51で、時刻修正部62は、上記S53で夏時間を実施中ではないと判定された場合は、S48で取得された時差を時差データ533に設定し、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)することで、表示用時刻データ532の表示用時刻を修正する。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。これにより、選択された領域情報に対応した時差が反映された時刻の時分が表示される。
また、時刻修正部62は、上記S53で夏時間を実施中であると判定された場合は、S48で取得された時差を時差データ533に設定する。さらに、夏時間参照データ542から、DST番号を参照して、選択された領域情報に対応した夏時間設定情報を取得し、夏時間オフセットデータ534に設定する。これにより、表示用時刻データ532の表示用時刻を修正する。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。これにより、選択された領域情報に対応した時差および当該領域情報に対応した夏時間設定情報が反映された時刻の時分が表示される。
【0093】
S51の処理の後、S45で、表示制御部63は、指針21に表示用時刻の秒を表示させ、指針24に電池容量を表示させる。そして、制御回路60Aは、ローカルタイム受信設定処理を終了する。
【0094】
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態によれば、第1実施形態と同じ構成により、同じ作用効果を得ることができる。さらに、次の作用効果を得ることができる。
すなわち、ユーザーは、Aボタン41を押して衛星信号を受信させることで現在地の地域情報を選択できるため、各ボタン41,42やりゅうず43を現在地の地域情報が選択されるまで操作して選択する場合と比べて、現在地の地域情報を容易に選択できる。
【0095】
[第3実施形態]
第3実施形態の電子時計は、第1実施形態の電子時計1および第2実施形態の電子時計1Aに対して、上記夏時間切替処理が実行される夏時間自動表示モードと、夏時間が表示されない夏時間非表示モードとを切り替えて設定できる機能を追加したものである。なお、以降の説明では、電子時計1,1Aと同じ構成については同じ符号を付与し、説明は省略する。
【0096】
夏時間の実施状況は、図20に示すように、毎年のように変更されている。
このため、電子時計に記憶されているローカルタイム設定データ541や夏時間参照データ542が最新版ではない場合、電子時計は夏時間が実施される地域なのに夏時間を表示しなかったり、夏時間が実施されない地域なのに夏時間を表示したりする場合がある。
例えば、ハイチでは、2012年から夏時間が実施されているが、2016年に夏時間が廃止されている。このため、電子時計に記憶されているデータが2015年版である場合、ハイチにおいて、夏時間が実施されていないにもかかわらず、夏時間を表示してしまう。
このため、本実施形態の電子時計では、夏時間を表示しない夏時間非表示モードを設定できるように構成されている。
【0097】
本実施形態の電子時計の制御回路60Bは、図21に示すように、計時部61、時刻修正部62、表示制御部63、選択部64、判定部65、実施判定部66、モード設定部69として機能する。なお、制御回路60Bは、測時部67および測位部68としても機能してよい。
モード設定部69は、手動操作部40の操作に応じて、夏時間自動表示モードおよび夏時間非表示モードのいずれかを設定する。
【0098】
[表示モード切替処理]
図22は、本実施形態の電子時計が実行する表示モード切替処理を示すフローチャートである。表示モード切替処理は、図8に示すローカルタイム設定処理において、S13で操作信号の入力が許可された後、りゅうず43の回転操作が行われるまでの間、実行される。
表示モード切替処理が実行されると、モード設定部69は、Aボタン41が押されたか否かを判定する(S71)。S71でNOと判定された場合、モード設定部69は、S71の処理を繰り返し実行する。
【0099】
S71でYESと判定された場合、モード設定部69は、現在設定されている表示モードが、夏時間自動表示モードか否かを判定する(S72)。
S72でYESと判定された場合、モード設定部69は、夏時間非表示モードを設定する(S73)。
そして、表示制御部63は、指針24に「OFF」を指示させ、夏時間非表示モードが設定されていることを表示させる(S74)。
そして、時刻修正部62は、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)して表示用時刻を修正する(S75)。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路60Bは、処理をS71に戻す。
【0100】
一方、S72でNOと判定された場合、モード設定部69は、夏時間自動表示モードを設定する(S76)。これにより、図10に示した夏時間切替処理が実行される。
次に、時刻修正部62は、選択されている地域情報に対応するDST番号が0か否かを判定する(S77)。S77でYESと判定された場合、表示制御部63は、指針24が「OFF」を指示している状態を維持し、夏時間自動表示モードが設定され、かつ、選択されている地域情報に対応した夏時間実施ルールにおいて夏時間を実施する地域であることが、記憶装置54に記憶されていないことを表示させる。つまり、「OFF」の表示は、「夏時間非表示モードが設定されていること」、または、「夏時間自動表示モードが設定され、かつ、選択された地域情報に対応する夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていないこと」を意味する。
S77でNOと判定された場合、表示制御部63は、指針24に「DB」を指示させ、夏時間自動表示モードが設定され、かつ、選択されている地域情報に対応した夏時間実施ルールにおいて夏時間を実施する地域であることが、記憶装置54に記憶されていることを表示させる(S78)。
【0101】
そして、S75で、時刻修正部62は、夏時間の実施中ではない場合は、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)することで表示用時刻を修正する。また、夏時間の実施中である場合は、選択されている地域情報に対応する夏時間参照データ542の夏時間設定情報を、夏時間オフセットデータ534に設定して表示用時刻を修正する。
そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路60Bは、処理をS71に戻す。
【0102】
[第3実施形態の作用効果]
第3実施形態によれば、第1、第2実施形態と同じ構成により、同じ作用効果を得ることができる。さらに、次の作用効果を得ることができる。
すなわち、例えば、ユーザーは、電子時計が記憶しているデータが最新版ではなく、夏時間が実施されない地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施することが記憶されていると表示された場合は、手動操作部40を操作して、夏時間非表示モードを設定させることで、夏時間を表示させないようにできる。
【0103】
また、選択したい地域が、ローカルタイム設定データ541に記憶されていない場合でも、時刻を修正し易くできる。例えば、ユーザーは、オーストラリアのブリスベンの時刻を設定する場合、+10時間の時差を選択する。ブリスベンでは夏時間が実施されないが、ローカルタイム設定データ541では、+10時間の時差には、シドニーの夏時間実施ルールが対応付けられているため、夏時間を実施する地域であることが記憶されていると表示される。このため、ユーザーは、手動操作部40を操作して、夏時間非表示モードを設定し、夏時間を表示させないようにすることで、ブリスベンの時刻を正しく設定できる。
【0104】
また、夏時間自動表示モードおよび夏時間非表示モードのうち、どの表示モードが設定されているかを把握できるため、表示モードの選択を容易に行うことができる。
【0105】
[第4実施形態]
第4実施形態の電子時計は、第3実施形態の電子時計に対して、モード設定部69が、夏時間自動表示モードおよび夏時間非表示モードに加えて、夏時間が常に表示される夏時間表示モードを設定する。この第4実施形態では、第1実施形態の図6に示す夏時間参照データ542に代えて、図23に示す夏時間参照データ542が記憶されている。図23に示す夏時間参照データ542では、DST番号「0」の場合に、DSTオフセットに+1時間が記憶されている。
【0106】
図20に示すように、例えば、トルコでは、2016年に、1年中夏時間となり、すなわち、標準時が夏時間の時刻となり、夏時間が廃止されている。このため、電子時計が記憶しているデータが2015年版である場合、トルコにおいて、2015年まで実施されていた夏時間の実施期間に該当しない期間において、1時間遅れた時刻(夏時間ではない時刻)が表示されてしまう。
このため、本実施形態の電子時計では、夏時間が常に表示される夏時間表示モードを設定できるように構成されている。
【0107】
本実施形態の電子時計は、図24に示すように、指針24の回転領域の外周に、「DB」、「OFF」の英字と並んで、「ON」の英字が表記されている。指針24は、ONを指示することで、夏時間表示モードが設定されていることを表示する。
【0108】
[表示モード切替処理]
図25は、本実施形態の電子時計が実行する表示モード切替処理を示すフローチャートである。
表示モード切替処理が実行されると、モード設定部69は、Aボタン41が押されたか否かを判定する(S91)。
S91でYESと判定された場合、モード設定部69は、現在設定されている表示モードが、夏時間自動表示モードか否かを判定する(S92)。
S92でYESと判定された場合、モード設定部69は、夏時間非表示モードを設定する(S93)。
そして、表示制御部63は、指針24に「OFF」を指示させ、夏時間非表示モードが設定されていることを表示させる(S94)。
そして、時刻修正部62は、夏時間オフセットデータ534を初期化して表示用時刻を修正する(S95)。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路は、処理をS91に戻す。
【0109】
一方、S92でNOと判定された場合、モード設定部69は、現在設定されている表示モードが、夏時間非表示モードか否かを判定する(S96)。
S96でYESと判定された場合、モード設定部69は、夏時間表示モードを設定する(S97)。
そして、表示制御部63は、指針24に「ON」を指示させ、夏時間表示モードが設定されていることを表示させる(S98)。
そして、S95で、時刻修正部62は、選択されている地域情報に対応する夏時間設定情報を、夏時間オフセットデータ534に設定して表示用時刻を修正する。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路は、処理をS91に戻す。
【0110】
S96でNOと判定された場合、モード設定部69は、夏時間自動表示モードを設定する(S99)。これにより、図10に示した夏時間切替処理が実行される。
次に、時刻修正部62は、選択されている地域情報に対応するDST番号が0か否かを判定する(S100)。
【0111】
S100でYESと判定された場合、S94で、表示制御部63は、指針24に「OFF」を指示させ、夏時間自動表示モードが設定され、かつ、選択された地域情報に対応する夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていないことを表示させる。つまり、「OFF」の表示は、「夏時間非表示モードが設定されていること」、または、「夏時間自動表示モードが設定され、かつ、選択された地域情報に対応する夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていないこと」を意味する。
そして、S95で、時刻修正部62は、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)して表示用時刻を修正する。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路は、処理をS91に戻す。
【0112】
一方、S100でNOと判定された場合、表示制御部63は、指針24に「DB」を指示させ、夏時間自動表示モードが設定され、かつ、選択された地域情報に対応する夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていることを表示させる(S101)。
【0113】
そして、S95で、時刻修正部62は、夏時間を実施中ではない場合は、夏時間オフセットデータ534に0時間を設定(初期化)することで表示用時刻を修正する。また、夏時間を実施中である場合は、選択されている地域情報に対応する夏時間参照データ542の夏時間設定情報を、夏時間オフセットデータ534に設定して表示用時刻を修正する。
そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路は、処理をS91に戻す。
【0114】
[第4実施形態の作用効果]
第4実施形態によれば、第3実施形態と同じ構成により、同じ作用効果を得ることができる。さらに、次の作用効果を得ることができる。
すなわち、例えば、ユーザーは、夏時間が実施される地域が選択されているにもかかわらず夏時間を実施する地域であることが記憶されていないと表示された場合(指針24が「OFF」を指示)、夏時間の実施期間に、手動操作部40を操作して、夏時間表示モードを設定させることで、夏時間を表示させることができる。
また、夏時間自動表示モード、夏時間表示モード、および夏時間非表示モードのうち、どの表示モードが設定されているかを把握できるため、表示モードの選択を容易に行うことができる。
【0115】
なお、本実施形態において、図23の夏時間参照データ542のDST番号「0」の場合、DSTオフセットに+1時間を記憶するようにしたが、夏時間参照データ542に記憶させるのではなく、別の記憶領域に夏時間設定情報として記憶するようにしてもよい。
【0116】
[第5実施形態]
第5実施形態の電子時計は、第1〜第4実施形態の電子時計に対して、標準電波を受信する電波受信部を追加したものである。なお、以降の説明では、第1実施形態の電子時計1に電波受信部を追加した例について説明し、電子時計1と同じ構成については同じ符号を付与し、説明は省略する。
【0117】
本実施形態の電子時計1Cでは、図26に示すように、指針24の回転領域の外周には、「R」の英字が表記されている。指針24は、Rを指示することで、標準電波の受信中であることを表示する。
【0118】
図27は、電子時計1Cの回路構成を示す図である。
電子時計1Cは、制御装置100Cに接続された二次電池130A、太陽電池135、電波受信装置59を備えている。また、制御装置100Cは、ダイオード71、充電制御用スイッチ72、電圧検出回路73を備えている。
【0119】
電波受信部としての電波受信装置59は、図示を略すが、同調回路、増幅回路、バンドパスフィルター、包絡線検波回路、AGC(Auto Gain Control)回路、二値化回路等を
備える一般的な受信装置である。
電波受信装置59は、複数の標準電波を受信可能に構成されている。本実施形態では、日本の標準電波「JJY」、アメリカ合衆国の標準電波「WWVB」、ドイツの標準電波「DCF77」、イギリスの標準電波「MSF」を受信可能に構成されている。
ここで、各標準電波には、時刻情報に加えて、夏時間の実施中か否かを示す実施状態情報が含まれている。電波受信装置59は、標準電波を受信して、時刻情報および実施状態情報を取得し、制御回路60Cに出力する。
【0120】
なお、本実施形態では、時刻修正部62は、標準電波を受信することで取得された時刻情報で内部時刻データ531を更新して内部時刻を修正する。
また、実施判定部66は、取得された実施状態情報に基づいて、夏時間を実施中か否かを判定する。
【0121】
[標準電波受信処理]
図28は、電子時計1Cが実行する標準電波受信処理を示すフローチャートである。
制御回路60Cは、Aボタン41が6秒間押されたか否かを判定する(S111)。S111でNOと判定された場合、制御回路60Cは、S111の処理を繰り返し実行する。
【0122】
S111でYESと判定された場合、制御回路60Cは電波受信装置59を作動して受信処理を開始させる(S112)。
そして、表示制御部63は、指針24に「R」を指示させ、標準電波を受信中であることを表示させる(S113)。
【0123】
次に、制御回路60Cは、受信に成功したか否か、すなわち、時刻情報および実施状態情報を取得できたか否かを判定する(S114)。
S114でNOと判定された場合、表示制御部63は、指針24に電池容量を表示させる(S115)。そして、制御回路60Cは、標準電波受信処理を終了する。
【0124】
一方、S114でYESと判定された場合、実施判定部66は、取得された実施状態情報に基づいて、夏時間を実施中であるか否かを判定する(S116)。
S116でYESと判定された場合、表示制御部63は、指針24に「DB」を指示させ、夏時間を実施中であることを表示させる(S117)。
一方、S116でNOと判定された場合、表示制御部63は、指針24に「OFF」を指示させ、夏時間を実施中ではないことを表示させる(S118)。
【0125】
S117またはS118の処理の後、時刻修正部62は、取得された時刻情報を基に内部時刻データ531を更新して内部時刻を修正する。具体的には、取得された時刻情報が示す時刻から、設定されている時差を引いてUTCを算出し、算出したUTCで内部時刻データ531を更新する。これにより、表示用時刻を修正する(S119)。そして、表示制御部63は、指針21,22,23に表示用時刻の時分秒を表示させる。
その後、S115で、表示制御部63は、指針24に電池容量を表示させる。そして、制御回路60Cは、標準電波受信処理を終了する。
なお、受信処理は、予め設定された時刻に実行されるようにしてもよい。
【0126】
[第5実施形態の作用効果]
第5実施形態によれば、第1〜第4実施形態と同じ構成により、同じ作用効果を得ることができる。さらに、次の作用効果を得ることができる。
すなわち、標準電波受信処理が実行されることで、ユーザーは、夏時間を実施中であるか否かを把握できる。
また、実施状態情報に基づいて夏時間を実施中であるか否かを判定できるため、例えば、現在時刻が夏時間の実施期間に該当するか否かを判定する必要がない。このため、夏時間の実施中か否かの判定を容易にできる。
【0127】
[第6実施形態]
第6実施形態の電子時計1Eについて、図29図33を参照して説明する。電子時計1Eは、第2実施形態の電子時計1Aと同様の構成を備えており、電子時計1Aに比べて、手動操作で夏時間表示モード、夏時間非表示モードを選択可能な点が相違する。したがって、図29図33において、電子時計1Aと同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。
電子時計1Eは、図29に示すように、指針24で指示可能な情報として、カレンダー(曜日)を示す情報と、電池残量を示す記号12と、受信モードを示す情報に加えて、夏時間(DST)に関する「DB」、「OFF」、「ON」の3つの情報を指示できるように構成されている。
【0128】
「DB」は、第2実施形態と同様に、夏時間自動表示モードが設定された際に指示される情報である。「ON」は、ユーザーが手動操作で夏時間表示モードを選択した場合に、指針24が指示する情報であり、「OFF」は、ユーザーが手動操作で夏時間非表示モードを選択した場合に、指針24が指示する情報である。
【0129】
電子時計1Eは、図30に示すような制御回路60Eを備えている。制御回路60Eは、計時部61、時刻修正部62、表示制御部63、選択部64、判定部65、実施判定部66、測時部67、測位部68、モード設定部69を備える。計時部61から測位部68までは、第2実施形態の制御回路60Aと同じである。モード設定部69は、第3実施形態と同様に、手動操作部40の操作に応じて、夏時間表示モードおよび夏時間非表示モードのいずれかを設定する。また、モード設定部69は、測位受信処理によって現在地の領域の夏時間実施ルール(DST番号)に応じて、夏時間自動表示モードおよび夏時間非表示モードのいずれかを設定する。
【0130】
次に、電子時計1Eの受信処理について、図31図32を参照して説明する。なお、図31、32において、前記第2実施形態の図18図19と同じ処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
電子時計1Eの制御回路60Eは、Aボタン41が6秒間押されたか否かを判定する(S41)。S41でYESと判定された場合、測位部68が作動され、測位部68は、第2実施形態と同じく、S42〜S44を実行し、測位受信に成功した場合(S44でYES)は、S46、S47を実行し、さらに、図32の処理を実行する。測位受信に失敗した場合(S44でNO)は、第2実施形態と同じく、図32のS45を実行する。なお、モード設定部69は、判定部65がS49でYESと判定した場合は、夏時間非表示モード(OFF)を設定し、S49でNOと判定した場合は、夏時間自動表示モード(DB)を設定する。
【0131】
電子時計1Eの制御回路60Eは、S41でNOと判定された場合、Aボタン41が3秒以上、6秒未満押されたかを判定する(S201)。S201でYESと判定された場合、測時部67が作動され、測時部67は、S202〜S204を実行する。すなわち、測時部67は、GPS受信装置58を作動して測時モードでの受信処理を開始させる(S202)。
そして、表示制御部63は、測位モードでのS43と同様に、捕捉されているGPS衛星の数(捕捉衛星数)を指針21に表示させる(S203)。さらに、S203で、表示制御部63は、指針24に「1」を指示させ、受信モードが測時モードであることを表示させる。
【0132】
次に、測時部67は、測位受信に成功したか否か、すなわち、時刻情報(UTC)の取得に成功したか否かを判定する(S204)。
S204でNOと判定された場合、表示制御部63は、指針21に表示用時刻の秒を表示させ、指針24に電池容量を表示させる(S45)。そして、制御回路60Eは、受信処理を終了する。
【0133】
一方、S204でYESと判定された場合、時刻修正部62は、受信した時刻情報(UTC)と、現在、設定されている時差(タイムゾーン)および夏時間の情報とを用いて、表示用時刻データ532の表示用時刻を修正する(S51)。そして、表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。これにより、現在選択されている領域情報に対応した時差が反映された時刻が表示される。
S51の処理の後、S45で、表示制御部63は、捕捉衛星数を指示していた指針21に表示用時刻の秒を表示させ、指針24に電池容量を表示させる。そして、制御回路60Eは、受信処理を終了する。
なお、測時受信時には領域(タイムゾーン)は変更されないため、本実施形態では、指針24で夏時間の情報を指示していないが、測位受信処理時と同様に、S45の電池容量表示を行う前に、一定時間、現在設定されている夏時間情報(DB,ON,OFFのいずれか)を指針24で指示してもよい。
【0134】
[表示モード切替処理]
図33は、本実施形態の電子時計1Eが実行する表示モード切替処理を示すフローチャートである。
制御回路60Eは、りゅうず43が1段引かれた状態でAボタン41が押されたか否かを判定する(S211)。S211でYESと判定された場合、制御回路60Eは、モード設定部69によって表示モード切替処理を実行する。
S211でYESと判定された場合、モード設定部69は、現在設定されている表示モードが、夏時間自動表示モードまたは夏時間表示モードであるか否かを判定する(S212)。
【0135】
S212でYESと判定された場合、モード設定部69は、夏時間非表示モードを設定する(S213)。そして、表示制御部63は、指針24に「OFF」を指示させ、夏時間非表示モードが設定されていることを表示させる(S214)。
時刻修正部62は、夏時間オフセットデータ534を初期化して表示用時刻を修正する(S215)。表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路60Eは、処理をS211に戻す。
【0136】
一方、S212でNOと判定された場合、モード設定部69は、夏時間表示モードを設定する(S216)。そして、表示制御部63は、指針24に「ON」を指示させ、夏時間表示モードが設定されていることを表示させる(S217)。
時刻修正部62は、選択されている地域情報に対応する夏時間設定情報を、夏時間オフセットデータ534に設定して表示用時刻を修正する(S215)。表示制御部63は、指針22,23に表示用時刻の時分を表示させる。そして、制御回路60Eは、処理をS211に戻す。
以上の表示モード切替処理は、りゅうず43を1段位置から0段位置や2段位置に変更することで終了する。
【0137】
したがって、電子時計1Eでは、測位受信処理が行われた場合は、取得した位置情報(領域)からタイムゾーンと、夏時間実施ルールの種類を示すDST番号とを取得し、夏時間実施ルールが設定されている領域、つまりDST番号が「0」以外の場合は、夏時間自動表示モード(DB)を設定し、夏時間実施ルールが設定されていない場合、つまりDST番号が「0」の場合は、夏時間非表示モード(OFF)を設定する。
また、ユーザーが、りゅうず43を1段位置に引き、Aボタン41を押すことで、表示モード切替処理を実行した場合は、モード設定部69は、Aボタン41が押される毎に、夏時間表示モード(ON)と、夏時間非表示モード(OFF)とを交互に選択する。このため、夏時間実施ルールが変更されたが、ローカルタイム受信設定データ546が更新されていない場合等に、手動操作で夏時間表示の有無を設定できる。なお、夏時間表示モード(ON)に設定した場合、時刻修正部62は、夏時間オフセットデータ534に設定するデータは、通常は+1時間とすればよい。ただし、選択されている領域が、ローカルタイム設定データ541において、DSTオフセットが+0.5時間に設定されている領域(図5のインデックスが18の領域)の場合は、夏時間オフセットデータ534に+0.5時間と設定してもよい。すなわち、手動操作で夏時間表示モード(ON)を設定した際は、タイムゾーン毎に予め設定した時間を夏時間オフセットデータ534に設定すればよく、前記予め設定した時間は、基本的に夏時間で多く用いられる+1時間を設定すればよく、地域によっては+0.5時間等を設定してもよい。さらに、夏時間オフセットデータ534をユーザーのりゅうず43の操作などで入力可能に構成してもよい。
【0138】
ユーザーが手動操作で夏時間表示モード(ON)を選択した後に、測時受信処理を実行すると、受信した時刻情報(UTC)と、タイムゾーンの時差と、夏時間オフセットデータ534によって表示時刻が修正される。
また、ユーザーが手動操作で夏時間表示モード(ON)または夏時間非表示モード(OFF)を設定した場合、測位受信処理によって夏時間自動表示モード(DB)または夏時間非表示モード(OFF)が設定されるまでは、手動操作の設定が維持される。
【0139】
[第6実施形態の作用効果]
第6実施形態によれば、第1〜第4実施形態と同様の構成により、同様の作用効果を得ることができる。さらに、次の作用効果を得ることができる。
ユーザーの手動操作によって、夏時間表示モード(ON)あるいは夏時間非表示モード(OFF)を設定できるため、ユーザーの意図で夏時間表示の有無を選択できる。このため、夏時間実施ルールの変更直後であり、ローカルタイム受信設定データ546等が最新データに更新されていない場合でも、変更後のルールに対応した時刻を表示させることができ、利便性を向上できる。また、手動操作で設定できるのは、夏時間表示モード(ON)、夏時間非表示モード(OFF)のいずれかであり、夏時間自動表示モード(DB)は選択できないため、ユーザーの意図どおりに表示時刻を設定でき、ユーザーにとって分かりやすい操作性を提供できる。
【0140】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0141】
前記実施形態では、ローカルタイム設定処理およびローカルタイム受信設定処理において、表示制御部63は、選択された地域情報に対応付けられた夏時間実施ルールにおいて、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されている場合、指針24に「DB」を指示させることで、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていることを表示させるが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示制御部63は、指針24に、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されていることに加えて、夏時間を実施中か否かを表示させてもよい。
この場合、電子時計の文字板には、例えば、図34に示すように、指針24の回転領域の外側において、「DB」の英字と、「DB」の英字の内側に位置する「ON」、「OFF」の英字とが表記されている。指針24は、この「ON」を指示することで、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶され、かつ、夏時間を実施中であることを表示する。また、「OFF」を指示することで、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶され、かつ、夏時間を実施中ではないことを表示する。
なお、この例では、指針24の回転領域の外側において、さらに、「MA」の英字と、「MA」の英字の内側に位置する「ON」、「OFF」の英字とが表記されている。指針24は、この「ON」を指示することで、夏時間表示モードが設定されていることを表示し、「OFF」を指示することで、夏時間非表示モードが設定されていることを表示する。また、「DB」の内側の「ON」または「OFF」を指示することで、夏時間自動表示モードが設定されていることを表示する。
【0142】
また、この変形例の夏時間切替処理では、図35に示すように、S32で、夏時間の開始時刻であると判定(S32でYESと判定)された場合、表示制御部63は、指針24に「DB」の内側の「ON」を指示させ、夏時間を実施中であることを表示させる(S121)。
一方、S34で、夏時間の終了時刻であると判定(S34でYESと判定)された場合、表示制御部63は、指針24に「DB」の内側の「OFF」を表示させ、夏時間を実施中ではないことを表示させる(S122)。
【0143】
前記実施形態では、夏時間を実施する地域であることが記憶装置54に記憶されているか否か、夏時間の実施中か否か、および、表示モードなどは、指針24によって表示されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、指針21によって、これらの情報を表示させるようにしてもよい。
例えば、第4実施形態の電子時計の表示機構は、図36に示すように、ダイヤルリング35に、「DB」、「OFF」、「ON」の英字を表記し、指針21でこれらの英字を指示する構成としてもよい。また、上記変形例の電子時計の表示機構は、図37に示すように、文字板11に「DB」、「MA」の英字を表記し、ダイヤルリング35において、「DB」および「MA」の近傍にそれぞれ、「OFF」、「ON」の英字を表記する。そして、これらの英字を指針21で指示する構成としてもよい。
さらに、前記各実施形態において指針24で指示していた「DB」、「OFF」、「ON」等の夏時間情報は、日車や曜車等のカレンダー車25を用いて表示してもよいし、カレンダー車25とは別の表示車を用意して表示してもよい。例えば、図29に示す第6実施形態は、現在設定されている夏時間情報として、「DB」、「OFF」、「ON」のいずれかを、指針24が指示するように構成していた。そこで、「DB」、「OFF」、「ON」をカレンダー車25に印刷などで表記しておき、図32のステップS50、S52、図33のステップS214、S217の際に、カレンダー車25を移動して「DB」、「OFF」、「ON」のいずれかを表示するように構成してもよい。また、「DB」、「OFF」、「ON」を表示する専用の表示車を用意してもよい。さらに、カレンダー以外の情報を表示する情報表示用の表示車に、「DB」、「OFF」、「ON」等を表記し、情報表示用の表示車を夏時間情報の表示に兼用してもよい。カレンダー以外の情報を表示する表示車は、例えば、タイムゾーンを表す都市情報を表示する表示車や、電子時計等に設けたセンサーによって測定される温度、高度、方位などの情報を表示する表示車である。
【0144】
前記第2実施形態では、制御装置100Aが備える記憶装置54に、ローカルタイム受信設定データ546が記憶されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ローカルタイム受信設定データ546は、GPS受信装置58が備える記憶装置、または、GPS受信装置58に外付けされた記憶装置に記憶されていてもよい。この場合、GPS受信装置58は、取得した位置情報に基づいて領域情報を選択し、選択した領域情報に対応付けられた時差、DST番号、夏時間設定情報を、制御回路60Aに出力する。
【0145】
前記実施形態では、夏時間参照データ542には、地域情報に対応して夏時間設定情報が記憶されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、記憶装置54に、各地域情報に共通する夏時間設定情報(例えば+1時間)が記憶されており、どの地域情報が選択された場合も、当該夏時間設定情報によって表示用時刻を修正する場合は、夏時間参照データ542に、地域情報に対応して夏時間設定情報が記憶されていなくてもよい。
【0146】
前記実施形態では、情報表示部および時刻表示部は、指針および文字板によって構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、液晶表示装置などのデジタル表示装置によって構成されていてもよい。この場合、ローカルタイム設定データ541に針位置を記憶する必要はない。
【0147】
前記第2実施形態では、位置情報衛星の例として、GPS衛星について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、位置情報衛星としては、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、Beidou(中国)などの他の全地球的公航法衛星システム(GNSS)で利用される衛星が適用できる。また、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)などの静止衛星や、準天頂衛星等の特定の地域のみで検索できる地域的衛星測位システム(RNSS)などの衛星も適用できる。
【0148】
前記各実施形態では、夏時間実施ルールとして、ローカルタイム設定データ541のDST番号と、夏時間参照データ542のDST番号、夏時間実施期間、夏時間設定情報とが含まれる構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ローカルタイム設定データ541に、夏時間実施期間と夏時間設定情報とを地域情報に対応付けて記憶させるようにしてもよい。この場合、地域情報に対応して夏時間実施期間、夏時間設定情報が含まれる場合、夏時間を実施する地域であることを示すと判定し、地域情報に対応して夏時間実施期間、夏時間設定情報が含まれない場合、夏時間を実施する地域ではないことを示すと判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1,1A,1C…電子時計、11,11A…文字板、21〜24…指針、40…手動操作部、41…Aボタン、42…Bボタン、43…りゅうず、54…記憶装置、58…GPS受信装置、59…電波受信装置、60,60A,60B,60C…制御回路、61…計時部、62…時刻修正部、63…表示制御部、64…選択部、65…判定部、66…実施判定部、67…測時部、68…測位部、69…モード設定部、100,100A,100C…制御装置、531…内部時刻データ、532…表示用時刻データ、533…時差データ、534…夏時間オフセットデータ、541…ローカルタイム設定データ、542…夏時間参照データ、546…ローカルタイム受信設定データ。
図1
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