(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バリア層が、フッ素系樹脂、塩素系樹脂、二トリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれるいずれか1種類以上を含有する、請求項8記載のn型半導体素子。
請求項1〜11いずれか記載のn型半導体素子の製造方法であって、前記一般式(1)で表される構造を少なくとも側鎖の一部に有するポリマーおよび溶剤を含有する組成物を塗布し、および乾燥して前記第2絶縁層を形成する工程を含む、n型半導体素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るn型半導体素子、n型半導体素子の製造方法、無線通信装置および商品タグの好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
【0020】
<n型半導体素子>
本発明の実施の形態に係るn型半導体素子は、基材と、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、前記ソース電極およびドレイン電極と接する半導体層と、前記半導体層を前記ゲート電極と絶縁するゲート絶縁層と、前記半導体層に対して前記ゲート絶縁層とは反対側で前記半導体層と接する第2絶縁層と、を備えたn型半導体素子であって、前記半導体層がナノカーボンを含有し、前記第2絶縁層が、一般式(1)で表される構造を少なくとも側鎖の一部に有するポリマーを含有する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第一の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第2絶縁層8と、を有する。半導体層4は、ナノカーボン7を含む。
【0022】
この構造は、ゲート電極が半導体層の下側に配置され、半導体層の下面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるボトムゲート・ボトムコンタクト構造である。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第二の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられる半導体層4と、その上に形成されるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの上に設けられる第2絶縁層8を有する。半導体層4は、ナノカーボン7を含む。
【0024】
この構造は、ゲート電極が半導体層の下側に配置され、半導体層の上面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるボトムゲート・トップコンタクト構造である。
【0025】
本発明の実施の形態に係る半導体素子の構造はこれらに限定されるものではない。また、以下の説明は、特に断りのない限り、半導体素子の構造によらず共通する。
【0026】
(基材)
基材は、少なくとも電極系が配置される面が絶縁性を備える基材であれば、いかなる材質のものでもよい。基材としては、例えば、シリコンウエハ、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料からなる基材、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料からなる基材が好ましい。
【0027】
また、基材としては、例えば、シリコンウエハ上にPVP膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上にポリシロキサン膜を形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
【0028】
基材は、水蒸気透過度の低いものであることが好ましい。基材の水蒸気透過度は、20g/(m
2・24h)以下であることが好ましい。より好ましくは、10g/(m
2・24h)以下であり、さらに好ましくは、1g/(m
2・24h)以下である。
【0029】
本発明において、基材や後述のバリア層の水蒸気透過度は、JIS K 7129 2008(プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度の求め方)に基づいて測定する。
【0030】
(電極)
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に用いられる材料は、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との錯体など;ヨウ素などのドーピングにより導電率を向上させた導電性ポリマーなど;炭素材料など;および有機成分と導電体とを含有する材料など、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
これらの電極材料は、単独で用いられてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いられてもよい。
【0032】
中でも、電極の柔軟性が増し、屈曲時にも基材およびゲート絶縁層との密着性が良く、配線および半導体層との電気的接続が良好となる点から、電極は、有機成分と導電体を含有することが好ましい。
【0033】
有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマー、ポリマー、光重合開始剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料などが挙げられる。電極の折り曲げ耐性向上の観点からは、有機成分としては、オリゴマーもしくはポリマーが好ましい。
【0034】
オリゴマーもしくはポリマーとしては、特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを用いることができる。これらの中でも、電極を屈曲した時の耐クラック性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。これは、アクリル樹脂のガラス転移温度が100℃以下であり、導電膜の熱硬化時に軟化し、導電体粒子間の結着が高まるためと推定される。
【0035】
アクリル樹脂とは、繰返し単位に少なくともアクリル系モノマーに由来する構造を含む樹脂である。アクリル系モノマーの具体例としては、炭素−炭素二重結合を有するすべての化合物が挙げられるが、好ましくは、
メチルアクリレート、アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、i−プロパンアクリレート、グリシジルアクリレート、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレートなどのアクリル系モノマーおよびこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたもの;
スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどのスチレン類;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン;
などが挙げられる。
【0036】
これらのアクリル系モノマーは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0037】
導電体としては、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよいが、導電材料で全部または一部が構成され、粒子自体は導電性を有している導電性粒子であることが好ましい。導電体として導電性粒子を用いることにより、それを含む電極の表面に凹凸が形成される。その凹凸にゲート絶縁膜が入り込むことで、アンカー効果が生じ、電極とゲート絶縁膜との密着性がより向上する。電極とゲート絶縁膜との密着性が向上することで、電極の折り曲げ耐性が向上する効果や、半導体素子に電圧を繰り返し印加した時の電気特性の変動が抑制される効果がある。これらの効果により、半導体素子の信頼性がより改善する。
【0038】
導電性粒子に適した導電材料としては、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウム、タングステン、モリブデンまたは炭素などが挙げられる。より好ましい導電性粒子は、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウムおよび炭素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する導電性粒子である。これらの導電性粒子は、単独で用いられてもよいし、合金として用いられてもよいし、混合粒子として用いられてもよい。
【0039】
これらの中でも、導電性の観点から、金、銀、銅または白金の粒子が好ましい。中でも、コストおよび安定性の観点から、銀の粒子であることがより好ましい。
【0040】
電極中の導電性粒子の平均粒子径は、0.01μm以上、5μm以下が好ましく、0.01μm以上、2μm以下がより好ましい。導電性粒子の平均粒子径が0.01μm以上であると、導電性粒子同士の接触確率が向上し、作製される電極の比抵抗値を小さくすることができ、かつ、断線確率を低くすることができる。また、導電性粒子の平均粒子径が5μm以下であれば、折り曲げ耐性の高い電極となる。また、導電性粒子の平均粒子径が2μm以下であれば、電極の表面平滑度、パターン精度、寸法精度がさらに向上する。
【0041】
なお、本発明において、電極中の導電性粒子の平均粒子径は、以下の方法で測定される値である。電極の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて10000倍の倍率で観察する。得られた像から無作為に選択した粒子100個の粒子について、各粒子径を測長し、その算術平均の値を平均粒子径とする。粒子径とは、粒子の形状が球形の場合は、その直径が粒子径である。粒子の形状が球形以外の場合は、ある1個の粒子について、電子顕微鏡で観察される幅のうち、最大の幅と最小の幅との平均値を、その粒子の粒子径として算定する。
【0042】
電極中の導電体の量は、電極の70重量%以上、95重量%以下であることが好ましく、下限としては80質量%以上が、上限としては90重量%以下が、それぞれより好ましい。この範囲にあることで、電極の比抵抗値を小さくすることができ、かつ、断線確率を低くすることができる。
【0043】
また、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極のそれぞれの幅および厚み、ならびに、ソース電極とドレイン電極との間隔は、任意の値に設計することが可能である。例えば、電極幅は10μm〜10mm、電極の厚みは0.01μm〜100μm、ソース電極とドレイン電極との間隔は1μm〜1mmが、それぞれ好ましいが、これらに限らない。
【0044】
電極の形成方法としては、特に制限はなく、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、化学気相成長法(CVD)、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷などの、公知技術を用いた方法が挙げられる。また、電極の形成方法の別の例として、有機成分および導電体を含むペーストを、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの、公知の技術で、絶縁基板上に塗布し、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いて乾燥を行い、形成する方法などが挙げられる。
【0045】
また、電極パターンの形成方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を、公知のフォトリソグラフィー法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは、電極物質の蒸着やスパッタリング時に、所望の形状のマスクを介することで、パターンを形成してもよい。
【0046】
(ゲート絶縁層)
ゲート絶縁層に用いられる材料は、特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料;あるいは無機材料粉末と有機材料の混合物を挙げることができる。
中でもケイ素と炭素の結合を含む有機化合物を含むものが好ましい。
【0047】
有機化合物としては、一般式(9)で表されるシラン化合物、一般式(10)で表されるエポキシ基含有シラン化合物、これらの縮合物またはこれらを共重合成分とするポリシロキサン等が挙げられる。これらの中でも、絶縁性が高く、低温硬化が可能である観点から、ポリシロキサンがより好ましい。
【0048】
R
14mSi(OR
15)
4−m (9)
ここで、R
14は、水素原子、アルキル基、複素環基、アリール基またはアルケニル基を示す。R
14が複数存在する場合、それぞれのR
14は同じでも異なっていてもよい。R
15は、水素原子、アルキル基、アシル基またはアリール基を示す。R
15が複数存在する場合、それぞれのR
15は同じでも異なっていてもよい。mは1〜3の整数を示す。
【0049】
R
16nR
17lSi(OR
18)
4−n−l (10)
ここで、R
16は、1つ以上のエポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基を示す。R
16が複数存在する場合、それぞれのR
16は同じでも異なっていてもよい。R
17は、水素原子、アルキル基、複素環基、アリール基またはアルケニル基を示す。R
17が複数存在する場合、それぞれのR
17は同じでも異なっていてもよい。R
18は、水素原子、アルキル基、アシル基またはアリール基を示す。R
18が複数存在する場合、それぞれのR
18は同じでも異なっていてもよい。lは0〜2の整数、nは1または2を示す。ただし、l+n≦3である。
【0050】
R
14〜R
18におけるアルキル基、アシル基およびアリール基の説明は、後述のR
19〜R
24での説明と同様である。
【0051】
R
14およびR
17における複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの、炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0052】
R
14およびR
17におけるアルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの、二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0053】
R
16に含まれる、エポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基とは、隣り合う2つの炭素原子が1つの酸素原子と結合して形成される3員環エーテル構造を鎖の一部に有するアルキル基を示す。このようなアルキル基としては、以下の2つのようなアルキル基が挙げられる。1つは、アルキル基において、炭素原子が最も長く連続する部分である主鎖に含まれる、隣り合う2つの炭素原子が利用される場合である。もう1つは、アルキル基において、主鎖以外の部分、いわゆる側鎖に含まれる、隣り合う2つの炭素原子が利用される場合である。
【0054】
ポリシロキサンの共重合成分として、一般式(9)で表されるシラン化合物を導入することにより、可視光領域において高い透明性を保ちつつ、絶縁性および耐薬品性が高く、かつ絶縁膜内のトラップが少ない絶縁膜を形成できる。
【0055】
また、一般式(9)におけるm個のR
14のうち、少なくとも1つがアリール基であると、絶縁膜の柔軟性が向上し、クラック発生が防止できるため、好ましい。
【0056】
一般式(9)で表されるシラン化合物としては、具体的に、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α−ナフチルトリメトキシシラン、β−ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、p−トリフルオロフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0057】
また、一般式(9)で表されるシラン化合物を2種以上組み合わせることがより好ましい。中でも、アルキル基を有するシラン化合物と、アリール基を有するシラン化合物とを組み合わせることにより、高い絶縁性とクラック防止のための柔軟性を両立できるため、特に好ましい。
【0058】
また、一般式(10)で表されるエポキシ基含有シラン化合物としては、具体的に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0059】
ゲート絶縁層は、さらに、金属原子と酸素原子との結合を含む金属化合物を含有することが好ましい。そのような金属化合物は、特に制限はなく、例えば、金属酸化物、金属水酸化物等が例示される。金属化合物に含まれる金属原子は、金属キレートを形成するものであれば特に限定されない。金属原子としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ルテニウム、パラジウム、インジウム、ハフニウム、白金などが挙げられる。中でも、入手容易性、コスト、金属キレートの安定性の点から、アルミニウムが好ましい。
【0060】
ゲート絶縁層の膜厚は0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
【0061】
ゲート絶縁層の作製方法は、特に制限はないが、例えば、絶縁層を形成する材料を含む組成物を基板に塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を、必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。塗布方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。コーティング膜の熱処理の温度としては、100〜300℃の範囲にあることが好ましい。
【0062】
ゲート絶縁層は、単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して複数の絶縁層を形成しても構わない。
【0063】
(ナノカーボン)
ナノカーボンとは、ナノメートルサイズの構造を有する、炭素からなる物質であり、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、カーボンナノホーン、グラフェンナノリボン、内包CNT、内包フラーレンなどが挙げられる。半導体特性の観点から、ナノカーボンとしては、フラーレン、CNT、グラフェンが好ましく、CNTがより好ましい。
【0064】
(CNT)
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのいずれを用いてもよい。高い半導体特性を得るためには、単層CNTを用いるのが好ましい。CNTは、アーク放電法、CVD、レーザー・アブレーション法等により得ることができる。
【0065】
また、CNTは、CNTの全量を100重量%として、半導体型CNTを80重量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは、半導体型CNTを90重量%以上含むことであり、特に好ましくは、半導体型CNTを95重量%以上含むことである。CNT中に半導体型CNTを80重量%以上含ませる方法としては、既知の方法を用いることができる。例えば、密度勾配剤の共存下で超遠心する方法、特定の化合物を選択的に半導体型もしくは金属型CNTの表面に付着させ、溶解性の差を利用して分離する方法、電気的性質の差を利用し電気泳動等により分離する方法などが挙げられる。CNT中の半導体型CNTの含有率を測定する方法としては、可視−近赤外吸収スペクトルの吸収面積比から算出する方法や、ラマンスペクトルの強度比から算出する方法等が挙げられる。
【0066】
本発明において、CNTを半導体素子の半導体層に用いる場合、CNTの長さは、ソース電極とドレイン電極との間の距離(以下、「電極間距離」)よりも短いことが好ましい。CNTの平均長さは、電極間距離にもよるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。CNTの長さを短く方法としては、酸処理、凍結粉砕処理などが挙げられる。
【0067】
CNTの平均長さは、ランダムにピックアップした20本のCNTの長さの平均値として求められる。CNT平均長さの測定方法としては、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等で得た画像の中から、20本のCNTをランダムにピックアップし、それらの長さの平均値を得る方法が挙げられる。
【0068】
一般に市販されているCNTは長さに分布があり、電極間距離よりも長いCNTが含まれることがある。そのため、CNTを電極間距離よりも短くする工程を加えることが好ましい。例えば、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などにより、CNTを短繊維状にカットする方法が有効である。また、フィルターによる分離を併用することは、CNTの純度を向上させる点でさらに好ましい。
【0069】
また、CNTの直径は特に限定されないが、1nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。
【0070】
本発明では、CNTを溶媒中に均一分散させ、分散液をフィルターによってろ過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、電極間距離よりも短いCNTを効率よく得られる。この場合、フィルターとしてはメンブレンフィルターが好ましく用いられる。ろ過に用いるフィルターの孔径は、電極間距離よりも小さければよく、0.5〜10μmが好ましい。
【0071】
(カーボンナノチューブ複合体)
本発明に用いられるCNTにおいては、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着せしめて用いること(以下、共役系重合体が付着したCNTを「CNT複合体」と称する)が好ましい。ここで、共役系重合体とは、繰り返し単位が共役構造をとり、重合度が2以上である化合物を指す。
【0072】
CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させることにより、CNTの保有する高い電気的特性を損なうことなく、CNTを溶液中に均一に分散することが可能になる。CNTが均一に分散した溶液を用いれば、塗布法により、均一に分散したCNTを含んだ膜を形成することが可能になる。これにより、高い半導体特性を実現できる。
【0073】
CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した状態とは、CNTの表面の一部、あるいは全部を、共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、両者の共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって、相互作用が生じるためと推測される。
【0074】
CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、その反射色から判断できる。被覆されたCNTの反射色は、被覆されていないCNTの反射色とは異なり、共役系重合体の反射色に近い。定量的には、X線光電子分光(XPS)などの元素分析によって、CNTへの付着物の存在を確認することや、CNTと付着物との重量比を測定することができる。
【0075】
また、CNTへの付着のしやすさから、共役系重合体の重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。
【0076】
CNTに共役系重合体を付着させる方法としては、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTを溶媒中に超音波等で予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法、などが挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
【0077】
共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられるが、特に限定されない。上記重合体としては、単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したもの、およびグラフト重合したものも好ましく用いられる。
【0078】
上記重合体の中でも、本発明においては、CNTへの付着が容易であり、CNT複合体を形成しやすい観点から、ポリチオフェン系重合体が好ましく使用される。ポリチオフェン系重合体の中でも、環中に含窒素二重結合を有する縮合へテロアリールユニットと、チオフェンユニットとを、繰り返し単位中に含むものがより好ましい。
【0079】
環中に含窒素二重結合を有する縮合へテロアリールユニットとしては、チエノピロール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、キノキサリン、ベンゾトリアジン、チエノオキサゾール、チエノピリジン、チエノチアジン、チエノピラジンなどのユニットが挙げられる。これらの中でも特にベンゾチアジアゾールユニットまたはキノキサリンユニットが好ましい。これらのユニットを有することで、CNTと共役系重合体の密着性が増し、CNTを半導体層中により良好に分散することができる。
【0080】
さらに、上記共役系重合体として、以下の一般式(11)で表される構造を有するものが特に好ましい。
【0082】
ここで、R
19〜R
24は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、カルバモイル基、アミノ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基またはシリル基を示す。また、R
19〜R
24は、隣接する基同士で環構造を形成してもかまわない。Aは、単結合、アリーレン基、チエニレン基を除くヘテロアリーレン基、エテニレン基、エチニレン基の中から選ばれる。lおよびmは、それぞれ0〜10の整数を示し、l+m≧1である。nは2〜1000の範囲を示す。l、mおよびnが2以上の場合、それぞれの繰り返し単位において、R
19〜R
24およびAは、同じでも異なっていてもよい。
【0083】
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基が置換基を有する場合、置換基には特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができる。置換基が、さらに置換基を有していてもよい。これら置換基に関する説明は、特にことわらない限り、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、1以上20以下が好ましく、より好ましくは1以上8以下である。
【0084】
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示す。シクロアルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
【0085】
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの、炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示す。複素環基は、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0086】
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリール基、ブタジエニル基などの、二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルケニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0087】
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの、二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示す。シクロアルケニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルケニル基の炭素数は特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
【0088】
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの、三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0089】
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、エーテル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示す。アルコキシ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
【0090】
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
【0091】
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基など、エーテル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示す。アリールエーテル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
【0092】
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
【0093】
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
【0094】
ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、2以上30以下の範囲が好ましい。
【0095】
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
【0096】
アルキルカルボニル基とは、例えば、アセチル基、ヘキサノイル基など、カルボニル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示す。アルキルカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0097】
アリールカルボニル基とは、例えば、ベンゾイル基など、カルボニル結合の一方を芳香族炭化水素基で置換した官能基を示す。アリールカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、7以上40以下の範囲が好ましい。
【0098】
アルコキシカルボニル基とは、例えば、メトキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアルコキシ基で置換した官能基を示す。アルコキシカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0099】
アリールオキシカルボニル基とは、例えば、フェノキシカルボニル基など、カルボニル結合の一方をアリールオキシ基で置換した官能基を示す。アリールオキシカルボニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールオキシカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、7以上40以下の範囲が好ましい。
【0100】
アルキルカルボニルオキシ基とは、例えば、アセトキシ基など、エーテル結合の一方をアルキルカルボニル基で置換した官能基を示す。アルキルカルボニルオキシ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0101】
アリールカルボニルオキシ基とは、例えば、ベンゾイルオキシ基など、エーテル結合の一方をアリールカルボニル基で置換した官能基を示す。アリールカルボニルオキシ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールカルボニルオキシ基の炭素数は特に限定されないが、7以上40以下の範囲が好ましい。
【0102】
カルバモイル基、アミノ基およびシリル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
【0103】
隣接する基同士で互いに結合して環構造を形成する場合とは、上記一般式(11)で説明すると、例えば、R
19とR
20とが互いに結合して、共役または非共役の環構造を形成する場合である。環構造の構成元素として、炭素原子以外に、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素の各原子を含んでいてもよい。また、環構造が、さらに別の環と縮合した構造であってもよい。
【0104】
次に、一般式(11)のAについて説明する。アリーレン基とは、2価(結合部位が2箇所)の芳香族炭化水素基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。置換される場合の置換基の例としては、上記アルキル基、ヘテロアリール基、ハロゲンが挙げられる。アリーレン基の好ましい具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フェナントリレン基、アントリレン基、ターフェニレン基、ピレニレン基、フルオレニレン基、ペリレニレン基などが挙げられる。
【0105】
ヘテロアリーレン基とは、2価の複素芳香環基を示し、無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリーレン基の好ましい具体例しては、ピリジレン基、ピラジレン基、キノリニレン基、イソキノリレン基、キノキサリレン基、アクリジニレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基などに加え、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾジチオフェン、ベンゾシロールおよびジベンゾシロールなどの、複素芳香環から導かれる2価の基などが挙げられる。
【0106】
一般式(11)のlおよびmは0〜10の整数を示し、l+m≧1である。一般式(11)の構造中にチオフェンユニットを含有することで、共役系重合体とCNTとの密着性が向上し、CNTの分散性が向上する。好ましくは、lおよびmはそれぞれ1以上、さらに好ましくはl+m≧4である。また、モノマーの合成、およびその後の重合の容易さの観点から、l+m≦12が好ましい。
【0107】
nは、共役系重合体の重合度を表しており、2〜1000の範囲である。CNTへの付着のしやすさを考慮して、nは3〜500の範囲が好ましい。本発明において、重合度nは、重量平均分子量から求めた値である。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定し、ポリスチレンの標準試料を用いて換算して求める。
【0108】
また、CNT複合体の形成のしやすさから、共役系重合体は溶媒に可溶であることが好ましい。一般式(11)においては、R
19〜R
24の少なくとも一つがアルキル基であることが好ましい。
【0109】
共役系重合体としては、下記のような構造を有するものが挙げられる。
【0123】
共役系重合体は、公知の方法により合成することができる。例えば、チオフェン同士を連結する方法としては、ハロゲン化チオフェンとチオフェンボロン酸またはチオフェンボロン酸エステルとを、パラジウム触媒下でカップリングする方法、ハロゲン化チオフェンとチオフェングリニヤール試薬とを、ニッケルまたはパラジウム触媒下でカップリングする方法が挙げられる。また、他のユニットとチオフェンユニットを連結する場合も、ハロゲン化した他のユニットとチオフェンユニットとを、同様の方法でカップリングすることができる。また、そのようにして得られたモノマーの末端に重合性官能基を導入し、パラジウム触媒やニッケル触媒下で重合を進行させることで、共役系重合体を得ることができる。
【0124】
共役系重合体は、合成過程で使用した原料や副生成物などの不純物を除去したものを用いることが好ましい。不純物を除去する方法としては、例えば、シリカゲルカラムグラフィー法、ソクスレー抽出法、ろ過法、イオン交換法、キレート法などを用いることができる。これらの方法を2種以上組み合わせてもよい。
【0125】
(半導体層)
半導体層は、ナノカーボンを含有する。このとき、ナノカーボンはフラーレン、CNT、グラフェンが好ましく、CNTがより好ましい。さらにCNTは、共役系重合体を付着せしめてCNT複合体として用いることが好ましい。半導体層は電気特性を阻害しない範囲であれば、さらに有機半導体や絶縁材料を含んでもよい。
【0126】
半導体層の膜厚は、1nm以上100nm以下が好ましい。この範囲内にあることで、均一な薄膜形成が容易になる。半導体層の膜厚は、より好ましくは1nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上20nm以下である。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
【0127】
半導体層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど、乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から、塗布法を用いることが好ましい。具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などを好ましく用いることができる。これらの中から、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択することが好ましい。また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、アニーリング処理を行ってもよい。
【0128】
(第2絶縁層)
第2絶縁層は、半導体層に対してゲート絶縁層が形成された側の反対側に形成される。半導体層に対してゲート絶縁層が形成された側の反対側とは、例えば、半導体層の下側にゲート絶縁層を有する場合は、半導体層の上側を指す。第2絶縁層を形成することにより、半導体層を保護することができる。
【0129】
第2絶縁層は、一般式(1)で表される構造を少なくとも側鎖の一部に有するポリマーを含有する。該ポリマー中のアミノ基により、通常はp型半導体特性を示すCNT−FETを、n型半導体特性を示す半導体素子へ転換できる。さらに、アミノ基がポリマーの側鎖として固定されていることにより、n型TFT特性の安定性が向上すると推定される。
【0131】
一般式(1)で表される構造を少なくとも側鎖の一部に有するポリマーの主鎖骨格としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンおよびシロキサンなどが挙げられる。
【0132】
一般式(1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子および硫黄原子から選ばれる一種類以上の原子により構成される基を示す。R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素原子または下記一般式(2)で表される基を示す。
【0134】
一般式(2)中、R
5〜R
7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子および硫黄原子から選ばれる一種類以上の原子により構成される基を示す。
【0135】
R
1〜R
7としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはこれらの組み合わせからなる構造またはこれらとアミド基、エステル基、エーテル基、ウレア基、イミド基からなる群より選ばれる1種以上との組み合わせからなる構造などが挙げられるが、これに限られない。
【0136】
アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基については、上記(カーボンナノチューブ複合体)の項で説明したとおりである。
【0137】
一般式(1)中のアミノ基とは、窒素原子に結合する原子が水素原子または炭素原子である基である。ただし、その炭素原子にさらに結合する原子は、いずれも単結合により当該炭素原子と結合する。このようなアミノ基の具体例としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などが挙げられるが、これに限られない。また、アミノ基は、R
1〜R
7にさらに含まれていても含まれていなくてもよい。
【0138】
一般式(1)で表される構造を少なくとも側鎖の一部に有するポリマーは、ポリマー中のアミノ基を構成する窒素原子の数とポリマーの総原子数との比(ポリマー中のアミノ基を構成する窒素原子の数/のポリマーの総原子数)が1/10000〜1/10であることが好ましい。この範囲にあることで、アミノ基が有効に働き、n型半導体素子への転換を効果的に実現できると推定される。また、アミノ基が主鎖骨格やR
1〜R
7にさらに含まれる場合、その窒素原子もアミノ基を構成する窒素原子の数に含める。
【0139】
ポリマー中のアミノ基を構成する窒素原子の数とポリマーの総原子数との比は、XPSなどの元素分析により組成式およびアミノ基に該当する窒素原子量を決定することで算出できる。
【0140】
入手容易性およびコストの観点から、一般式(1)で表される構造を少なくとも側鎖の一部に有するポリマーは、一般式(3)で表される単位構造を有するポリマーであることが好ましい。
【0142】
一般式(3)中、R
1〜R
4は上記の通りである。R
8は、単結合、または、炭素原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子および硫黄原子から選ばれる一種類以上の原子により構成される二価の基を示す。R
9は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子および硫黄原子から選ばれる一種類以上の原子により構成される基を示す。
【0143】
R
8としては、例えば、アルキレン基、オキシアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、もしくはこれらの組み合わせからなる構造またはこれらとアミド基、エステル基、エーテル基、ウレア基、イミド基からなる群より選ばれる1種以上との組み合わせからなる構造などが挙げられるが、これに限られない。
【0144】
R
9としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはこれらの組み合わせからなる構造またはこれらとアミド基、エステル基、エーテル基、ウレア基、イミド基からなる群より選ばれる1種以上との組み合わせからなる構造などが挙げられるが、これに限られない。
【0145】
これらの基のうち、アルキレン基とは、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基などの2価の飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキレン基は、さらに置換基を有していても有していなくてもよい。また、アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、1以上20以下が好ましく、より好ましくは1以上8以下である。
【0146】
オキシアルキレン基とは、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した2価の官能基を示し、この脂肪族炭化水素基はさらに置換基を有していても有していなくてもよい。オキシアルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
【0147】
シクロアルキレン基とは、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基などの2価の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルキレン基の炭素数は特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0148】
一般式(3)で表される単位構造としては、例えば、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジイソプロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)イソプロピルアクリレートなどのアクリル系モノマーおよびこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたものなどをモノマーとしたアクリル樹脂の繰返し単位構造などが挙げられる。上記繰返し単位構造は、単独あるいは2種以上でもよい。
【0149】
一般式(3)で表される単位構造を有するポリマーとしては、例えば、ポリアリルアミン、ポリ(ジメチルアリルアミン)などが挙げられる。
【0150】
上記一般式(1)で表される構造を少なくとも側鎖の一部に有するポリマーは、さらに一般式(4)で表される単位構造を有することがより好ましい。Yのような極性基の存在により、アミノ基が有効に働き、n型半導体素子への転換を効果的に実現できると推定される。
【0152】
一般式(4)中、Yは、アミド基、エステル基、ウレア基、カルボニル基、イミド基、ウレイド基、チオアミド基、チオエステル基、チオウレア基、チオカルボニル基、チオイミド基およびチオウレイド基からなる群から選ばれる基を示す。R
10は、水素原子、炭素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子および硫黄原子から選ばれる一種類以上の原子により構成される基を示す。R
11は、単結合、または、水素原子、炭素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子および硫黄原子から選ばれる一種類以上の原子により構成される二価の基を示す。R
12は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子および硫黄原子から選ばれる一種類以上の原子により構成される基を示す。
【0153】
R
10としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはこれらの組み合わせからなる構造またはこれらとエステル基およびエーテル基からなる群より選ばれる1種以上との組み合わせからなる構造などが挙げられるが、これに限られない。
【0154】
R
11としては、例えば、アルキレン基、オキシアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、もしくはこれらの組み合わせからなる構造またはこれらとエステル基およびエーテル基からなる群より選ばれる1種以上との組み合わせからなる構造などが挙げられるが、これに限られない。
【0155】
R
12としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはこれらの組み合わせからなる構造またはこれらとエステル基およびエーテル基からなる群より選ばれる1種以上との組み合わせからなる構造などが挙げられるが、これに限られない。
【0156】
一般式(4)で表される単位構造としては、例えば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、i−プロパンアクリレート、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、などのアクリル系モノマーおよびこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたものなどをモノマーとしたアクリル樹脂の繰返し単位構造;ポリビニルピロリドンの繰返し単位構造;上記エステル基をウレア基、カルボニル基、イミド基、ウレイド基、チオアミド基、チオエステル基、チオウレア基、チオカルボニル基、チオイミド基、チオウレイド基に置換した繰返し単位構造、などが挙げられる。上記繰返し単位構造は、単独あるいは2種以上でもよい。また、上記繰返し単位構造中に、Yは1つでもよいし複数含まれていてもよい。
【0157】
一般式(3)および(4)で表される単位構造を有するポリマーは、一般式(4)で表される単位構造と一般式(3)で表される単位構造との比率[一般式(4)で表される単位構造のモル数/一般式(3)で表される単位構造のモル数]が90/10〜10/90であることが好ましい。この範囲にあることで、アミノ基が有効に働き、n型半導体素子への転換を効果的に実現できると推定される。係る比率はより好ましくは、90/10〜30/70、さらに好ましくは、90/10〜40/60である。一般式(4)で表される単位構造と一般式(3)で表される単位構造との比率は、XPSによりアミノ基やYの比率を評価することで算出できる。
【0158】
第2絶縁層の膜厚は、500nm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、3.0μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、より高いn型半導体特性を示す半導体素子へと転換でき、また、n型TFT特性の安定性が向上する。また、上限としては、特に限定されるものではないが、500μm以下であることが好ましい。
【0159】
第2絶縁層の膜厚は、第2絶縁層の断面を走査型電子顕微鏡により測定し、得られた像のうち、半導体層上に位置する第2絶縁層部分の中から無作為に選択した10箇所の膜厚を算出し、その算術平均の値とする。
【0160】
また、第2絶縁層は、窒素原子およびリン原子から選ばれる1種以上の原子を有する電子供与性化合物をさらに含有することが好ましい。電子供与性とは、ある化合物が別の化合物へ電子を供与する能力のことである。電子供与性化合物は、電子供与する能力を有する化合物である。第2絶縁層にそのような電子供与性化合物が含まれることにより、より高いn型半導体特性を有する半導体素子へ転換できる。
【0161】
電子供与性化合物としては、例えば、アミン系化合物、イミン系化合物、アニリン系化合物、ニトリル系化合物、アルキルホスフィン系化合物などを挙げることができる。
【0162】
アミン系化合物としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、シクロデシルアミン、シクロドデシルアミン、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)、テトラメチルエチレンジアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニルアラニン、N,N−ジメチルー4−アミノピリジンなどが挙げられる。
【0163】
イミン系化合物としては、エチレンイミン、N−メチルヘキサン−1−イミン、N−メチル−1−ブチル−1−ヘキサンイミン、プロパン−2−イミン、メタンジイミン、N−メチルエタンイミン、エタン−1,2−ジイミンなどが挙げられる。
【0164】
アニリン系化合物としては、アニリン、トルイジンなどが挙げられる。
【0165】
ニトリル系化合物としては、アセトニトリル、アクリロニトリルなどが挙げられる。その他の化合物としてはアラントイン、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジシアンジアミジン、シトルリン、ピペリジン、イミダゾール、ピリミジン、ジュロリジンなどが挙げられる。
【0166】
アルキルホスフィン系化合物としては、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
【0167】
これらの中でも、より高いn型半導体特性の発現の観点から、電子供与性化合物は窒素原子を有する化合物であることが好ましく、特には窒素原子を含む環構造を含有する化合物であることがより好ましい。窒素原子を含む環構造を含有する化合物としては、ポリビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタム、ε−カプロラクタム、ポリイミド、フタルイミド、マレイミド、アロキサン、スクシンイミド、ウラシル、チミン、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、キヌクリジン、DBU、DBN、TBD、MTBD、ピペリジン、イミダゾール、ピリミジン、ジュロリジンなどが挙げられる。
【0168】
また、電子供与性化合物は、アミジン化合物およびグアニジン化合物から選ばれるいずれか1種類以上の化合物であることが、特に好ましい。アミジン化合物としては、DBU、DBNなどが挙げられる。グアニジン化合物としては、TBD、MTBDなどが挙げられる。これらの化合物は、電子供与性が特に高く、そのため、CNTを用いたFETのn型半導体素子としての性能がさらに向上するため、好ましい。
【0169】
第2絶縁層は単層でも複数層でもよく、また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して形成しても構わない。
【0170】
第2絶縁層の形成方法としては、特に限定されず、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法では、第2絶縁層が含有するポリマーおよび溶剤を含有する組成物を塗布および乾燥する工程を少なくとも含む。
【0171】
塗布方法としては、具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、ドロップキャスト法などを好ましく用いることができる。これらの中から、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択することが好ましい。
【0172】
塗布法を用いて第2絶縁層を形成するに際して、第2絶縁層が含有するポリマーを溶解させる溶媒としては、特に制限されないが、有機溶媒が好ましい。溶媒の具体例としては、例えば、エチレングリゴールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、デカヒドロナフタレン等の炭化水素類が挙げられる。
【0173】
溶媒として、これらを2種以上用いてもよい。中でも、1気圧における沸点が110〜200℃の溶媒を含有することが好ましい。溶媒の沸点が110℃以上であれば、溶液塗布時に溶剤の揮発が抑制されて、塗布性が良好となる。溶媒の沸点が200℃以下であれば、絶縁膜中に残存する溶剤が少なくなり、より良好な耐熱性や耐薬品性を有する第2絶縁層が得られる。
【0174】
また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下でアニーリング処理や熱風乾燥を行ってもよい。具体的には例えば、アニーリングの条件としては、50〜150℃、3〜30分、窒素雰囲気下が挙げられる。このような乾燥工程により、塗膜の乾燥が不十分である場合に、しっかり乾燥させることができる。
【0175】
(バリア層)
本発明の実施の形態に係るn型半導体素子は、第2絶縁層上に、水蒸気透過度が20g/(m
2・24h)以下である層(バリア層)を有することが好ましい。バリア層の水蒸気透過度は、より好ましくは10g/(m
2・24h)以下であり、さらに好ましくは1g/(m
2・24h)以下である。この範囲にあることで、大気中の水分の影響を受けにくく、安定したn型半導体特性を実現できる。
【0176】
図3は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第三の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第2絶縁層8と、第2絶縁層を覆うバリア層9と、を有する。半導体層4は、ナノカーボン7を含む。
【0177】
図4は、本発明の実施の形態に係る半導体素子の第四の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられる半導体層4と、その上に形成されるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの上に設けられる第2絶縁層8と、第2絶縁層を覆うバリア層9と、を有する。半導体層4は、ナノカーボン7を含む。
【0178】
n型半導体素子の性能安定性の観点から、バリア層は、フッ素系樹脂、塩素系樹脂、二トリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィンから選ばれるいずれか1種類以上を含有することが好ましい。これらのポリマーは水蒸気透過性が低いことに加え、塗布法によりバリア層を形成するプロセスにおいて、穏和なアニーリング条件での乾燥による製膜が可能であり、アニーリングによるn型半導体素子の特性劣化を抑制できるためである。
【0179】
フッ素系樹脂とは、フッ素原子を含有するポリマーであり、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンー三フッ化エチレンの共重合体などが挙げられる。
【0180】
塩素系樹脂とは、塩素原子を含有するポリマーであり、例えば、ポリビニルクロリド、ポリ塩化ビニリデン、ビニルクロリド―ビニル酢酸共重合体などが挙げられる。
【0181】
二トリル樹脂は、ニトリル基を含有するポリマーであり、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアリルシアニドなどが挙げられる。
【0182】
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0183】
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。
【0184】
水蒸気透過の観点から、フッ素系樹脂、塩素系樹脂、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、中でも、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィンポリマーが好ましい。
【0185】
バリア層の膜厚は、1.0μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、バリア層による水蒸気遮蔽性を高めることができる。また、上限としては、特に限定されるものではないが、500μm以下であることが好ましい。
【0186】
バリア層の膜厚は、バリア層の断面を走査型電子顕微鏡により測定し、得られた像のうち、半導体層上に位置する第2絶縁層部分の中から無作為に選択した10箇所の膜厚を算出し、その算術平均の値とする。
【0187】
バリア層の形成方法としては、特に限定されず、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、ラミネート、スパッタリング、CVDなどの方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法では、バリア層が含有するポリマーおよび溶剤を含有する組成物を塗布および乾燥する工程を少なくとも含む。また、バリア層は、後述の無線通信装置および商品タグに抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、ラミネート、スパッタリング、CVD、塗布法などで形成し、半導体素子として形成してもよい。
【0188】
塗布方法としては、具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、ドロップキャスト法などを好ましく用いることができる。これらの中から、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択することが好ましい。
【0189】
本発明の実施の形態に係る半導体素子では、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流(ソース・ドレイン間電流)を、ゲート電圧を変化させることによって制御することができる。そして、半導体素子の移動度μ(cm
2/V・s)は、下記の(a)式を用いて算出することができる。
【0190】
μ=(δId/δVg)L・D/(W・εr・ε・Vsd) (a)
ただしIdはソース・ドレイン間電流(A)、Vsdはソース・ドレイン間電圧(V)、Vgはゲート電圧(V)、Dはゲート絶縁層の厚み(m)、Lはチャネル長(m)、Wはチャネル幅(m)、εrはゲート絶縁層の比誘電率(F/m)、εは真空の誘電率(8.85×10
−12F/m)、δは該当の物理量の変化量を示す。
【0191】
また、しきい値電圧は、Id−Vgグラフにおける線形部分の延長線とVg軸との交点から求めることができる。
【0192】
n型半導体素子は、ゲート電極にしきい値電圧以上の正の電圧が印加されることで、ソース−ドレイン間が導通して動作するものである。しきい値電圧の絶対値が小さく、移動度が高いものが、高機能な、特性の良いn型半導体素子である。
【0193】
(半導体素子の製造方法)
本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法は、特に制限はないが、上記ポリマーおよび溶剤を含有する組成物を塗布および乾燥して前記第2絶縁層を形成する工程を含むことが好ましい。また、半導体層を塗布法により形成する工程を含むことが好ましい。半導体層を塗布法により形成するには、少なくとも、半導体層を形成するための材料を溶解させた溶液を塗布する工程と、その塗膜を乾燥する工程とを含む。
【0194】
以下、
図3に示す構造の半導体素子を製造する場合を例に挙げて、本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を具体的に説明する。
【0195】
まず、
図5(a)に示すように、絶縁性基材1の上にゲート電極2を前述の方法で形成する。
【0196】
次に、
図5(b)に示すように、ケイ素原子と炭素原子との結合を含む有機化合物を含む溶液を、塗布および乾燥して、ゲート絶縁層3を形成する。
【0197】
次に、
図5(c)に示すように、ゲート絶縁層3の上部に、ソース電極5およびドレイン電極6を、同一の材料を用いて、前述の方法で同時に形成する。
【0198】
次に、
図5(d)に示すように、ソース電極5とドレイン電極6との間に、半導体層4を前述の方法で形成する。
【0199】
次に、
図5(e)に示すように、半導体層4を覆うように、第2絶縁層を前述の方法で形成し、次いで、
図5(f)に示すように、第2絶縁層を覆うように、バリア層を前述の方法で形成する。こうして第2絶縁層およびバリア層を形成することで、バリア層を有したn型半導体素子を作製できる。
【0200】
<無線通信装置>
次に、上記n型半導体素子を有する、本発明の実施の形態に係る無線通信装置について説明する。この無線通信装置は、例えば、RFIDタグのような、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される搬送波を受信し、また、信号を送信することで、電気通信を行う装置である。
【0201】
具体的な動作は、例えば、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信された無線信号を、RFIDタグのアンテナが受信する。そして、その信号に応じて生じた交流電流が、整流回路により直流電流に変換され、RFIDタグが起電する。次に、起電されたRFIDタグは、無線信号からコマンドを受信し、コマンドに応じた動作を行う。その後、コマンドに応じた結果の回答を、RFIDタグのアンテナからリーダ/ライタのアンテナへ、無線信号として送信する。なお、コマンドに応じた動作は、少なくとも、公知の復調回路、動作制御ロジック回路、変調回路で行われる。
【0202】
本発明の実施の形態に係る無線通信装置は、上述の半導体素子、または相補型半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有するものである。本発明の実施の形態に係る無線通信装置の、より具体的な構成としては、例えば、
図6に示すようなものが挙げられる。これは、アンテナ50で受信した外部からの変調波信号の整流を行い各部に電源を供給する電源生成部と、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路と、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路と、復調回路で復調されたデータの記憶回路への書込み、および記憶回路からデータを読み出して変調回路への送信を行う制御回路と、で構成され、各回路部が電気的に接続されている。上記復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路は上述のn型半導体素子、または相補型半導体装置から構成され、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオードを含んでいても良い。なお、上記記憶回路は、さらに、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、FeRAM(Ferroelectric Randam Access Memory)等の、不揮発性の書換え可能な記憶部を有している。上記電源生成部は、コンデンサと、ダイオードとから構成される。
【0203】
アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオード、不揮発性の書き換え可能な記憶部は、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。また、上記の各構成要素を電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。各構成要素の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。各構成要素の接続部の幅や厚みは、任意である。
【0204】
<商品タグ>
次に、本発明の実施の形態に係る無線通信装置を含有する商品タグについて説明する。この商品タグは、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置とを有している。
【0205】
基体は、例えば、平板状に形成された、紙などの非金属材料によって形成されている。例えば、基体は、2枚の平板状の紙を貼り合わせた構造をしており、この2枚の紙の間に、上記無線通信装置が配置されている。上記無線記憶装置の記憶回路に、例えば、商品を個体識別する個体識別情報が予め格納されている。
【0206】
この商品タグと、リーダ/ライタとの間で、無線通信を行う。リーダ/ライタとは、無線により、商品タグに対するデータの読み取りおよび書き込みを行う装置である。リーダ/ライタは、商品の流通過程や決済時に、商品タグとの間でデータのやり取りを行う。リーダ/ライタには、例えば、携帯型のものや、レジに設置される固定型のものがある。本発明の実施の形態に係る商品タグに対しては、リーダ/ライタは公知のものが利用できる。
【0207】
本発明の実施の形態に係る商品タグは、識別情報返信機能を備えている。これは、商品タグが、所定のリーダ/ライタから、個体識別情報の送信を要求するコマンドを受けたときに、自身が記憶している個体識別情報を無線により返信する機能である。リーダ/ライタからの1度のコマンドで、多数の商品タグから、各タグの個体識別情報が送信される。この機能により、例えば、商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となる。それゆえ、バーコードでの識別と比較して、決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
【0208】
また、例えば、商品の会計の際に、リーダ/ライタが、商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信することが可能である。この機能により、POS端末において、その商品情報によって特定される商品の販売登録をすることもできるため、在庫管理の容易化や迅速化を図ることができる。
【実施例】
【0209】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものではない。
【0210】
ポリマーの分子量は、以下のように測定した。サンプルを孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過後、GPC(GEL PERMEATION CHROMATOGRAPHY:ゲル浸透クロマトグラフィー、東ソー(株)製HLC−8220GPC)(展開溶剤:クロロホルムまたはテトラヒドロフラン、展開速度:0.4mL/分)を用いて、ポリスチレン標準サンプルによる換算により求めた。
【0211】
膜厚は、以下のように測定した。サンプルについてSEMを用いて得られた像のうち、半導体層上に位置する第2絶縁層部分またはバリア層の中から無作為に選択した10箇所の膜厚を算出し、その算術平均の値として求めた。
【0212】
水蒸気透過度は、JIS K 7129 2008(プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度の求め方)に基づいて算出した。条件は25℃、90%RHである。なお、測定試料(試験片)はフィルムまたはシート形状を有してサイズ調整で測定可能な試料の場合は適切な大きさに調整して、また、それ以外の場合はポリエチレンテレフタレートフィルム上に成膜して調製した。
【0213】
半導体溶液の作製例1;半導体溶液A
化合物[60]を式1に示す方法で合成した。
【0214】
【化20】
【0215】
化合物(1−a)((株)東京化成工業製)4.3gと臭素((株)和光純薬工業製)10gとを、48%臭化水素酸150mLに加え、120℃で3時間撹拌した。室温に冷却し、析出した固体をグラスフィルターで濾過し、水1000mLとアセトン100mLで洗浄した。得られた固体を60℃で真空乾燥し、化合物(1−b)6.72gを得た。
【0216】
化合物(1−c)10.2gをジメチルホルムアミド100mLに溶解し、N−ブロモスクシンイミド((株)和光純薬工業製)9.24gを加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。得られた溶液に、水200mL、n−ヘキサン200mLおよびジクロロメタン200mLを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(1−d)14.4gを得た。
【0217】
化合物(1−d)14.2gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、−80℃に冷却した。その溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)((株)和光純薬工業製)35mLを加えた後、−50℃まで昇温し、再度−80℃に冷却した。そこへ、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン((株)和光純薬工業製)13.6mLを加え、室温まで昇温し、窒素雰囲気下で4時間撹拌した。得られた溶液に、1N塩化アンモニウム水溶液200mLと酢酸エチル200mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、化合物(1−e)14.83gを得た。
【0218】
化合物(1−e)14.83gと、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン((株)東京化成工業製)6.78gとを、ジメチルホルムアミド200mLに加え、さらに、窒素雰囲気下で、リン酸カリウム((株)和光純薬工業製)26.6gおよび[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(アルドリッチ社製)1.7gを加え、100℃で4時間撹拌した。得られた溶液に、水500mLと酢酸エチル300mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水500mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)で精製し、化合物(1−f)を4.53g得た。
【0219】
化合物(1−f)4.53gをテトラヒドロフラン40mLに溶解し、−80℃に冷却した。その溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)6.1mLを加えた後、−5℃まで昇温し、再度−80℃に冷却した。そこへ、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン2.3mLを加え、室温まで昇温し、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。得られた溶液に、1N塩化アンモニウム水溶液150mLと酢酸エチル200mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、化合物(1−g)2.31gを得た。
【0220】
化合物(1−b)0.498gと、化合物(1−g)2.31gとを、ジメチルホルムアミド17mLに加え、さらに、窒素雰囲気下で、リン酸カリウム2.17gおよび[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(アルドリッチ社製)0.14gを加え、90℃で7時間撹拌した。得られた溶液に、水200mLとクロロホルム100mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、化合物(1−h)を1.29g得た。化合物(1−h)の
1H−NMR分析結果を示す。
1H−NMR(CD
2Cl
2,(d=ppm)):8.00(s,2H),7.84(s,2H),7.20―7.15(m,8H),7.04(d,2H),6.95(d,2H),2.88(t,4H),2.79(t,4H),1.77−1.29(m,48H),0.88(m,12H)。
【0221】
化合物(1−h)0.734gをクロロホルム15mLに溶解し、N−ブロモスクシンイミド0.23g、ジメチルホルムアミド10mLを加え、窒素雰囲気下、室温で9時間撹拌した。得られた溶液に、水100mLとクロロホルム100mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水200mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、化合物(1−i)0.58gを得た。
【0222】
化合物(1−j)0.5g、ビス(ピナコラト)ジボロン(BASF製)0.85g、および酢酸カリウム((株)和光純薬工業製)0.86gを、1,4−ジオキサン7mLに加え、さらに、窒素雰囲気下で、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム0.21gを加え、80℃で7時間撹拌した。得られた溶液に、水100mLと酢酸エチル100mLとを加え、有機層を分取した。得られた有機層を水100mLで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン)で精製し、化合物(1−k)を57mg得た。
【0223】
化合物(1−i)93mgと、化合物(1−k)19.3mgとを、トルエン6mLに溶解した。ここに、水2mL、炭酸カリウム0.18g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)((株)東京化成工業製)7.7mgおよびAliquat(R)336(アルドリッチ社製)1滴を加え、窒素雰囲気下、100℃にて25時間撹拌した。次いで、フェニルボロン酸40mgを加え、100℃にて7時間撹拌した。得られた溶液にメタノール50mLを加え、生成した固体をろ取し、メタノール、水、メタノール、アセトンを順に用いて洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮乾固し、化合物[60]を30mg得た。化合物[60]の分子量を上記の方法で測定したところ、重量平均分子量は4367、数平均分子量は3475、重合度nは3.1であった。
【0224】
化合物[60]2.0mgのクロロホルム10mL溶液に、CNT1(CNI社製、単層CNT、純度95%)を1.0mg加え、氷冷しながら、超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力20%で4時間超音波撹拌し、CNT分散液A(溶媒に対するCNT複合体濃度0.96g/L)を得た。
【0225】
次に、半導体層を形成するための半導体溶液の作製を行った。メンブレンフィルター(孔径10μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いて、上記CNT分散液Aのろ過を行い、長さ10μm以上のCNT複合体を除去した。得られた濾液に、o−DCB(和光純薬工業(株)製)5mLを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、CNT分散液Bを得た。CNT分散液Bの1mLに、3mLのo−DCBを加え、半導体溶液A(溶媒に対するCNT複合体濃度0.03g/L)とした。
【0226】
組成物の作製例1;ゲート絶縁層溶液A
メチルトリメトキシシラン61.29g(0.45モル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12.31g(0.05モル)、およびフェニルトリメトキシシラン99.15g(0.5モル)を、プロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)203.36gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを、撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出させた。次いで、バス温130℃で2.0時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0重量%のポリシロキサン溶液Aを得た。得られたポリシロキサンの分子量を上記の方法で測定したところ、重量平均分子量は6000であった。
【0227】
得られたポリシロキサン溶液A10gと、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(2,4−ペンタンジオナート)(商品名「アルミキレートD」、川研ファインケミカル(株)製、以下アルミキレートDという)13.0gと、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという)42.0gとを混合して、室温にて2時間撹拌し、ゲート絶縁層溶液Aを得た。本溶液中の上記ポリシロキサンの含有量は、アルミキレートD 100重量部に対して20重量部であった。
【0228】
組成物の作製例2;第2絶縁層作製用の溶液A
DISPERBYK2022(ビックケミー・ジャパン社製、一般式(3)で表される単位構造を有し、さらに一般式(4)で表される単位構造を有するポリマー。一般式(4)で表される単位構造と一般式(3)で表される単位構造との比率=78/22)10.0gをPGMEA10.0gに溶解し、第2絶縁層作製用の溶液Aを得た。
【0229】
組成物の作製例3;第2絶縁層作製用の溶液B
BYK6919(ビックケミー・ジャパン社製、一般式(3)で表される単位構造を有し、さらに一般式(4)で表される単位構造を有するポリマー。一般式(4)で表される単位構造と一般式(3)で表される単位構造との比率=55/45)10.0gをPGMEA10.0gに溶解し、第2絶縁層作製用の溶液Bを得た。
【0230】
組成物の作製例4;第2絶縁層作製用の溶液C
第2絶縁層作製用の溶液B10.0gにジシクロヘキシルメチルアミン(東京化成工業製)0.60gを添加し、第2絶縁層作製用の溶液Cを得た。
【0231】
組成物の作製例5;第2絶縁層作製用の溶液D
第2絶縁層作製用の溶液B10.0gにキヌクリジン(東京化成工業製)0.60gを添加し、第2絶縁層作製用の溶液Dを得た。
【0232】
組成物の作製例6;第2絶縁層作製用の溶液E
第2絶縁層溶液B10.0gにDBU(東京化成工業製)0.60gを添加し、第2絶縁層作製用の溶液Eを得た。
【0233】
組成物の作製例7;第2絶縁層作製用の溶液F
ポリメチルメタクリレート(PMMA,三菱レイヨン社製)3.0gをPGMEA10.0gに溶解し、第2絶縁層作製用の溶液Fを得た。
【0234】
組成物の作製例8:バリア層作製用の溶液A
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製)2.5gをデカヒドロナフタレン(和光純薬工業製)7.5gに溶解し、バリア層作製用の溶液Aを得た。
【0235】
組成物の作製例9:バリア層作製用の溶液B
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製)0.13gをデカヒドロナフタレン(和光純薬工業製)9.8gに溶解し、バリア層作製用の溶液Bを得た。
【0236】
実施例1
図1に示す構成の半導体素子を作製した。ガラス製の基板1(膜厚0.7mm)上に、抵抗加熱法により、マスクを通して、クロムを厚さ5nmおよび金を厚さ50nm真空蒸着し、ゲート電極2を形成した。次に、ゲート絶縁層溶液Aを上記基板上にスピンコート塗布(2000rpm×30秒)し、窒素気流下、200℃で1時間熱処理することによって、膜厚600nmのゲート絶縁層3を形成した。次に、抵抗加熱法により、マスクを通して、金を厚さ50nm真空蒸着し、ソース電極5およびドレイン電極6を形成した。次に、ソース電極5とドレイン電極6との間に、上記半導体溶液Aを1μL滴下し、30℃で10分風乾した後、ホットプレート上で、窒素気流下、150℃で30分の熱処理を行い、半導体層4を形成した。次に、ポリアリルアミン(PAA−05、日東紡製)溶液5μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で15分熱処理して、第2絶縁層を形成した。こうして、半導体素子を得た。この半導体素子のソース・ドレイン電極の幅(チャネル幅)は200μm、ソース・ドレイン電極の間隔(チャネ4長)は20μmとした。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は38μmであった。
【0237】
次に、ゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200−SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、測定チャンバー内を30%RHとし、測定した。Vg=+30〜−30Vに変化させたときのVsd=+5VにおけるIdの値の変化から、線形領域の移動度を求めた。次いで、測定チャンバー内を50%RHとし、30%RHの場合と同様の測定をした。次いで、測定チャンバー内を70%RHとし、30%RHの場合と同様の測定をした。結果を表1に示す。
【0238】
実施例2
ポリアリルアミン溶液の代わりに第2絶縁層作製用の溶液Aを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は42μmであった。
【0239】
実施例3
ポリアリルアミン溶液の代わりに第2絶縁層作製用の溶液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は41μmであった。
【0240】
実施例4
ポリアリルアミン溶液の代わりに第2絶縁層作製用の溶液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は40μmであった。
【0241】
実施例5
ポリアリルアミン溶液の代わりに第2絶縁層作製用の溶液Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は43μmであった。
【0242】
実施例6
ポリアリルアミン溶液の代わりに第2絶縁層作製用の溶液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は42μmであった。
【0243】
実施例7
実施例6と同様にして、第2絶縁層を形成した。次いで、バリア層作製用の溶液A10μLを、第2絶縁層を覆うように滴下し、窒素気流下、90℃で15分熱処理して、バリア層を形成した。こうして、半導体素子を得た。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は45μm、バリア層の膜厚は98μmであった。
【0244】
実施例8
バリア層作製用の溶液Aの代わりにフッ素樹脂溶液(CYTOP809A、旭硝子製)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は41μm、バリア層の膜厚は9μmであった。
【0245】
実施例9
実施例6と同様にして、第2絶縁層を形成した。次いで、バリア層作製用の溶液B10μLを、第2絶縁層を覆うように滴下し、窒素気流下、90℃で15分熱処理して、バリア層を形成した。こうして、半導体素子を得た。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は43μm、バリア層の膜厚は5μmであった。
【0246】
比較例1
ポリアリルアミン溶液の代わりに第2絶縁層作製用の溶液Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体素子を作製し、移動度を評価した。この半導体素子における、第2絶縁層の膜厚は40μmであった。
【0247】
【表1】