特許第6954476号(P6954476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954476
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】熱間圧延ラインの温度制御装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 45/02 20060101AFI20211018BHJP
   B21B 37/76 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   B21B45/02 320S
   B21B37/76 A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-534629(P2020-534629)
(86)(22)【出願日】2019年6月26日
(86)【国際出願番号】JP2019025458
(87)【国際公開番号】WO2020261444
(87)【国際公開日】20201230
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−148809(JP,A)
【文献】 特開2001−240915(JP,A)
【文献】 特開平06−218414(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/006681(WO,A1)
【文献】 特開2015−054322(JP,A)
【文献】 特開平09−216011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 45/02
B21B 37/00−37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延ラインの温度制御装置であって、
前記熱間圧延ラインは、
下流工程において、圧延材に注水する複数の注水バルブを前記熱間圧延ラインの長さ方向に備えるROT冷却装置と、
前記下流工程において、前記ROT冷却装置の上流側に設けられ、前記ROT冷却装置とは異なる条件で前記圧延材に注水する複数の注水バルブを前記熱間圧延ラインの長さ方向に備える加速冷却装置と、
前記加速冷却装置の入側に設けられ前記圧延材の温度を計測する仕上圧延機出側温度計と、
前記加速冷却装置と前記ROT冷却装置との間に設けられ前記圧延材の温度を計測する中間温度計と、
を備え、
前記温度制御装置は、
前記ROT冷却装置に対し、水冷冷却における単位面積あたりの抜熱量を表すROT側水冷熱伝達係数を含む温度モデルを用いて当該圧延材の温度の予測値を計算するROT側計算部と、
前記加速冷却装置に対し、水冷冷却における単位面積あたりの抜熱量を表す加速側水冷熱伝達係数として前記ROT側計算部により設定されたROT側水冷熱伝達係数とは別に設定された値を含む温度モデルを用いて当該圧延材の温度の予測値を計算する加速側計算部と、
を備え、
前記加速側計算部は、
前記加速冷却装置を単体で使用する同定実験により得られた、実験用圧延材に関する前記加速冷却装置の入側温度実績値と前記ROT冷却装置の出側温度実績値との差である温度降下実績値と前記加速冷却装置の複数の注水バルブのうち開いた注水バルブの本数とに基づいて計算された1バルブあたりの冷却効率を記憶し、
前記1バルブあたりの冷却効率と前記仕上圧延機出側温度計により計測された前記圧延材の温度であるFDT実績値の現在値とに基づいて、前記中間温度計の位置における前記圧延材の温度を推定してMT実績値とし、
推定された前記MT実績値を前記加速冷却装置の出側における前記圧延材の温度目標値として、前記温度目標値に到達するように、前記FDT実績値の現在値と、前記加速側水冷熱伝達係数を含む温度モデルとを用いて、前記加速冷却装置の入側から出側までの当該圧延材の温度の予測値を計算し、
前記ROT側計算部は、
前記ROT冷却装置を単体で使用する同定実験により得られた、前記温度降下実績値と前記ROT冷却装置の複数の注水バルブのうち開いた注水バルブの本数とに基づいて計算された1バルブあたりの冷却効率を記憶し、
前記ROT冷却装置の出側における前記圧延材の温度目標値であるCT目標値に到達するように、前記MT実績値と、前記ROT側水冷熱伝達係数を含む温度モデルとを用いて、前記ROT冷却装置の入側から出側までの当該圧延材の温度の予測値を計算し、
前記温度制御装置は、さらに、
前記加速側計算部により計算された前記圧延材の温度の予測値に基づいて前記加速冷却装置の前記複数の注水バルブの開閉を制御し、前記ROT側計算部により計算された前記圧延材の温度の予測値に基づいて前記ROT冷却装置の前記複数の注水バルブの開閉を制御する制御部を備えること、
を特徴とする熱間圧延ラインの温度制御装置。
【請求項2】
前記ROT側計算部は、温度モデルによって予測した前記ROT冷却装置の出側における当該圧延材の温度の予測値と実際の温度の実測値との差に基づいて、前記温度モデルよる当該圧延材の温度の予測値を補正するための前記ROT側水冷熱伝達係数の学習値を計算し、
前記加速側計算部は、温度モデルによって予測した前記加速冷却装置の出側における当該圧延材の温度の予測値と実際の温度の実績値との差に基づいて、当該温度モデルによる当該圧延材の温度の予測値を補正するための前記加速側水冷熱伝達係数の学習値を計算する請求項1に記載の熱間圧延ラインの温度制御装置。
【請求項3】
前記ROT側計算部と前記加速側計算部とは、前記中間温度計による当該圧延材の温度の実績値に基づいて、当該圧延材の温度の予測値を補正するための前記ROT側水冷熱伝達係数の学習値および前記加速側水冷熱伝達係数の学習値を計算する請求項2に記載の熱間圧延ラインの温度制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記加速冷却装置の前記複数の注水バルブのうち上流側のバルブを開き、前記中間温度計に近い側から少なくとも1つのバルブを閉じる、請求項3に記載の熱間圧延ラインの温度制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記中間温度計による当該圧延材の温度の実績値と温度モデルによる当該圧延材の前記中間温度計の位置における温度の予測値との間に誤差があった場合に、当該誤差を補償するように前記ROT冷却装置のバルブを制御する請求項4に記載の熱間圧延ラインの温度制御装置。
【請求項6】
前記ROT側計算部は、前記中間温度計による当該圧延材の温度の実績値と温度モデルによる当該圧延材の前記中間温度計の位置における温度の予測値との間に誤差があった場合に、前記中間温度計による当該圧延材の温度の実績値を初期値として前記ROT冷却装置の内部における当該圧延材の温度変化の予測値を再計算する請求項4に記載の熱間圧延ラインの温度制御装置。
【請求項7】
熱間圧延ラインの温度制御装置であって、
前記熱間圧延ラインは、
下流工程において、圧延材に注水する複数の注水バルブを前記熱間圧延ラインの長さ方向に備えるROT冷却装置と、
前記下流工程において、前記ROT冷却装置の上流側に設けられ、前記ROT冷却装置とは異なる条件で前記圧延材に注水する複数の注水バルブを前記熱間圧延ラインの長さ方向に備える加速冷却装置と、
前記加速冷却装置の入側に設けられ前記圧延材の温度を計測する仕上圧延機出側温度計と、
前記加速冷却装置と前記ROT冷却装置との間に設けられ前記圧延材の温度を計測する中間温度計と、
を備え、
前記温度制御装置は、
前記ROT冷却装置に対し、水冷冷却における単位面積あたりの抜熱量を表すROT側水冷熱伝達係数を含む温度モデルを用いて当該圧延材の温度の予測値を計算するROT側計算部と、
前記加速冷却装置に対し、水冷冷却における単位面積あたりの抜熱量を表す加速側水冷熱伝達係数として前記ROT側計算部により設定されたROT側水冷熱伝達係数とは別に設定された値を含む温度モデルを用いて当該圧延材の温度の予測値を計算する加速側計算部と、
を備え、
前記加速側計算部は、
前記加速冷却装置を単体で使用する同定実験により得られた、実験用圧延材に関する前記加速冷却装置の入側温度実績値と前記ROT冷却装置の出側温度実績値との差である温度降下実績値と前記加速冷却装置の複数の注水バルブのうち開いた注水バルブのスプレー流量の実績とに基づいて計算された1バルブあたりの冷却効率を記憶し、
前記1バルブあたりの冷却効率と前記仕上圧延機出側温度計により計測された前記圧延材の温度であるFDT実績値の現在値とに基づいて、前記中間温度計の位置における前記圧延材の温度を推定してMT実績値とし、
推定された前記MT実績値を前記加速冷却装置の出側における前記圧延材の温度目標値として、前記温度目標値に到達するように、前記FDT実績値の現在値と、前記加速側水冷熱伝達係数を含む温度モデルとを用いて、前記加速冷却装置の入側から出側までの当該圧延材の温度の予測値を計算し、
前記ROT側計算部は、
前記ROT冷却装置を単体で使用する同定実験により得られた、前記温度降下実績値と前記ROT冷却装置の複数の注水バルブのうち開いた注水バルブのスプレー流量の実績とに基づいて計算された1バルブあたりの冷却効率を記憶し、
前記ROT冷却装置の出側における前記圧延材の温度目標値であるCT目標値に到達するように、前記MT実績値と、前記ROT側水冷熱伝達係数を含む温度モデルとを用いて、前記ROT冷却装置の入側から出側までの当該圧延材の温度の予測値を計算し、
前記温度制御装置は、さらに、
前記加速側計算部により計算された前記圧延材の温度の予測値に基づいて前記加速冷却装置の前記複数の注水バルブの開閉を制御し、前記ROT側計算部により計算された前記圧延材の温度の予測値に基づいて前記ROT冷却装置の前記複数の注水バルブの開閉を制御する制御部を備えること、
を特徴とする熱間圧延ラインの温度制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱間圧延ラインの温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、熱間圧延ラインの温度制御装置を開示する。当該温度制御装置によれば、熱間圧延ラインのROT冷却装置における温度モデルの精度を高め得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特許第5835483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の温度制御装置は、ROT冷却装置と加速冷却装置とを併設した熱間圧延ラインを制御対象としない。このため、ROT冷却装置と加速冷却装置とを併設した熱間圧延ラインを当該温度制御装置に単純に適用すると、温度モデルの精度を高めることができない。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、ROT冷却装置と加速冷却装置とを併設した熱間圧延ライン温度において、温度モデルの精度を高めることができる熱間圧延ラインの温度制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る熱間圧延ラインの温度制御装置は、熱間圧延ラインの下流工程において、圧延材に注水するROT冷却装置に対し、当該圧延材の温度を予測する温度モデルにおいて、水冷冷却における単位面積あたりの抜熱量を表すROT側水冷熱伝達係数を用いて当該圧延材の温度の予測値を計算するROT側計算部と、前記熱間圧延ラインの下流工程において、前記ROT冷却装置の上流側または下流側に設けられ、前記ROT冷却装置とは異なる条件で当該圧延材に注水する加速冷却装置に対し、当該圧延材の温度を予測する温度モデルにおいて、水冷冷却における単位面積あたりの抜熱量を表す加速側水冷熱伝達係数として前記ROT側計算部により設定されたROT側水冷熱伝達係数とは別に設定された値を用いて当該圧延材の温度の予測値を計算する加速側計算部と、を備え、前記ROT側計算部は、前記ROT冷却装置を単体で使用する同定実験により得られた冷却効率と前記ROT冷却装置と前記加速冷却装置との上流側から下流側への当該圧延材の温度降下の実績値と前記ROT冷却装置において使用されたスプレーの本数から1バルブあたりの冷却効率を計算し、前記加速側計算部は、前記加速冷却装置を単体で使用する同定実験により得られた冷却効率と前記ROT冷却装置と前記加速冷却装置との上流側から下流側への当該圧延材の温度降下の実績値と前記加速冷却装置において使用されたスプレーの本数から1バルブあたりの冷却効率を計算する
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、温度制御装置は、ROT側水冷熱伝達係数と加速側水冷熱伝達係数とを別々に設定する。このため、ROT冷却装置と加速冷却装置とを併設した熱間圧延ラインにおいて、温度モデルの精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される熱間圧延ラインの要部の構成図である。
図2】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される切板の斜視図である。
図3】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
図4】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
図5】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置での温度モデルの誤差学習の流れを示す図である。
図6】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置での温度モデルの誤差学習の流れを示す図である。
図7】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置のハードウェア構成図である。
図8】実施の形態2における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
図9】実施の形態3における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
図10】実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
図11】実施の形態4における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
図12】実施の形態4における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される熱間圧延ラインの要部の構成図である。
【0011】
図1の熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延機1は、図示されない粗圧延機の下流側に設けられる。加速冷却装置2は、仕上圧延機1の下流側に設けられる。ROT冷却装置3は、加速冷却装置2の下流側に設けられる。巻取コイラー4は、ROT冷却装置3の下流側に設けられる。
【0012】
加速冷却装置2は、冷却水の供給系統で複数のバンク2aに区分される、複数のバンク2aは、熱間圧延ラインの長さ方向に並ぶ。複数のバンク2aの各々は、複数の注水バルブ2bを備える。複数の注水バルブ2bは、圧延熱間圧延ラインの長さ方向に並ぶ。複数の注水バルブ2bに対し、複数のノズル2cが設けられる。複数のノズル2cは、熱間圧延ラインの幅方向に並ぶ。
【0013】
ROT冷却装置3は、注水装置と搬送テーブルから構成される。ROT冷却装置3において、注水装置は、加速冷却装置2よりも高い位置に設けられる。ROT冷却装置3において、注水装置は、冷却水の供給系統で複数のバンク3aに区分される。複数のバンク3aは、熱間圧延ラインの長さ方向に並ぶ。複数のバンク3aの各々は、複数の注水バルブ3bを備える。複数の注水バルブ3bは、熱間圧延ラインの長さ方向に並ぶ。複数の注水バルブ3bに対し、複数のノズル3cが設けられる。複数のノズル3cは、熱間圧延ラインの幅方向に並ぶ。
【0014】
仕上圧延機出側温度計5は、仕上圧延機1と加速冷却装置2との間に設けられる。中間温度計6は、加速冷却装置2とROT冷却装置3との間に設けられる。巻取温度計7は、ROT冷却装置3と巻取コイラー4との間に設けられる。
【0015】
仕上圧延機1は、圧延材8を仕上圧延する。その後、仕上圧延機出側温度計5は、冷却前に当該圧延材8の全長の初期温度をFDT実績値として計測する。その後、加速冷却装置2は、図示されないインバータで図示されないポンプを駆動して高圧で注水することで当該圧延材8を加速冷却する。加速冷却において、圧延材8の冷却速度は、通常の水冷よりも速くなる。その結果、圧延材8の結晶組織が調整されることで、圧延材8の機械的性質が変化する。
【0016】
その後、中間温度計6は、当該圧延材8の全長の初期温度をMT実績値として計測する。その後、ROT冷却装置3は、一定の圧力で注水することで当該圧延材8を冷却する。その後、巻取温度計7は、当該圧延材8の全長の初期温度をCT実績値として計測する。その後、巻取コイラー4は、当該圧延材8を巻き取る。
【0017】
温度制御装置9は、加速側計算部9aとROT側計算部9bと制御部9cとを備える。
【0018】
加速側計算部9aは、温度モデルを用いて加速冷却装置2の各バンク2aの出入側における圧延材8の温度を事前に予測する。ROT側計算部9bは、温度モデルを用いてROT冷却装置3の各バンク3aの出入側における圧延材8の温度を事前に予測する。制御部9cは、加速側計算部9aによる予測結果に基づいて加速冷却装置2の各注水バルブ2bの開閉を制御する。制御部9cは、ROT側計算部9bによる予測結果に基づいてROT冷却装置3の各注水バルブ3bの開閉を制御する。
【0019】
圧延材8が巻取コイラー4に巻き取られた後、加速側計算部9aは、仕上圧延機出側温度計5からのFDT実績値と中間温度計6からのMT実績値とに基づいて加速冷却装置2における温度モデルを学習する。ROT側計算部9bは、中間温度計6からのMT実績値と巻取温度計7からのCT実績値とに基づいてROT冷却装置3における温度モデルを学習する。
【0020】
具体的には、温度制御装置9は、各切板のFDT実績値を開始点として、最終的なCT予測値がCT目標値に到達するように、各切板の加速冷却装置2の各バンク2aとROT冷却装置3の各バンク3aの入出側の温度予測計算を行う。温度制御装置9は、加速冷却装置2の各バンク2aへの冷却水量の基準値(Vacc、Cacc、・・・Cacc)とROT冷却装置3の各バンク3aへの冷却水量の基準値(Vrot、Crot、・・・Crot)とを決定する。
【0021】
各バンク2aにおいては、当該基準値に基づいて開く注水バルブ2bの数を決定する。各バンク3aにおいては、当該基準値に基づいて開く注水バルブ3bの数を決定する。
【0022】
圧延材8の切板が中間温度計6の位置に達した際、温度制御装置9は、中間温度計6の位置による誤差が0になるように加速冷却装置2における温度モデルを学習する。圧延材8が巻取温度計7の位置に達した際、温度制御装置9は、巻取温度計7の位置による誤差が0になるようにROT冷却装置3における温度モデルを学習する。この際、各切板の温度予測における初期温度はMT実績値を初期値とする。
【0023】
次に、図2を用いて、温度モデルの考え方を説明する。
図2は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される切板の斜視図である。
【0024】
図2に示されるように、圧延材8がROT冷却装置3の直下においてローラーテーブル10で搬送される際、熱の出入りは、圧延材8を一定長の切板8aに分割した上で計算される。例えば、一定長は、3mから5mの間で設定される。
【0025】
熱の出入りの要素としては、水冷熱伝達、放射、相変態よる発熱等が考えられる。例えば、水冷熱伝達のみが要素とされる場合、水冷による抜熱量(W)は、次の(1)式で表される。
【0026】
【数1】
【0027】
(1)式において、hは水冷熱伝達係数(W/mm/℃)である。hは加速冷却装置2とROT冷却装置3とで異なる。Aは冷却水と接触する切板8aの上下面の面積(mm)である。Aは各バンクにおいて開く注水バルブの数で変化する。Tは冷却水の温度(℃)である。Tsurfは切板8aの表面温度(℃)である。
【0028】
この際、各切板8aの温度変化は、次の(2)式で表される。
【0029】
【数2】
【0030】
(2)式において、Tは切板8aの温度(℃)である。ρは切板8aの密度(kg/mm)である。Cは切板8aの比熱(J/kg/℃)である。lは切板8aの進行方向長さ(mm)である。Bは切板8aの幅(mm)である。Hは切板8aの板厚(mm)である。tは時間(s)である。iは切板8aの番号である。
【0031】
次に、図3図4とを用いて、温度モデルの学習を説明する。
図3は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。図4は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。
【0032】
図3に示されるように、加速冷却装置2における冷却制御に関し、MT実績値に対して温度モデルの予測誤差があった場合、当該予測誤差の値を用いて各バンク2aの入出側における予測値が再計算される。その結果、各バンク2aの入出側における圧延材8の温度の実績値として確からしい値が求められる。
【0033】
図4に示されるように、ROT冷却装置3における冷却制御に関し、CT実績値に対して温度モデルの予測誤差があった場合、当該予測誤差の値を用いて各バンク3aの入出側における予測値が再計算される。その結果、各バンク3aの入出側における圧延材8の温度の実績値として確からしい値が求められる。
【0034】
次に、図5図6とを用いて、圧延材8の巻き取り完了後の学習機能の概要を説明する。
図5は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置での温度モデルの誤差学習の流れを示す図である。図6は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置での温度モデルの誤差学習の流れを示す図である。
【0035】
図5において、次の(3)式に示されるように、加速冷却装置2の水冷熱伝達係数haccの学習値であるZaccとZaccとが自動調整される。
【0036】
【数3】
【0037】
(3)式において、vacc(m/s)は加速冷却装置2の内部での各切板8aの平均速度である。v(m/s)は加速冷却装置2の内部での各切板8aの基準速度である。faccはモデル予測関数である。Zaccは温度モデルの予測値に対する乗算型の学習値である。Zaccは速度比に対するべき乗型の学習値である。
【0038】
圧延材8における冷却現象は、圧延材8が高速で移動するときと圧延材8が静止しているときとで異なる。このため、(3)式に示されるように、速度の影響は、学習項で調整される。
【0039】
具体的には、圧延材8の全長の先端に近い部分であるHead部の特定の切板8aのデータを用いて、当該切板8aのMT予測値の誤差が0になるようにZaccが求められる。この際、Zaccは、0として扱われる。
【0040】
圧延材8の加速中または加速後の部分であるMiddle部の特定の切板8aのデータを用いてMT予測値の誤差が0になるようにZaccが求められる。この際、Zaccは、Head部において求められた値が用いられる。
【0041】
求められたZaccとZaccとが(3)式に代入されることで、全ての切板8aの再予測値が計算される。Head部とMiddle部との予測誤差を0にすることで、圧延材8の全長における精度が改善される。
【0042】
図6において、次の(4)式に示されるように、ROT冷却装置3の水冷熱伝達係数hrotの学習値であるZrotとZrotとが自動調整される。
【0043】
【数4】
【0044】
(4)式において、vrot(m/s)はROT冷却装置3の内部での各切板8aの平均速度である。v(m/s)はROT冷却装置3の内部での各切板8aの基準速度である。frotはモデル予測関数である。Zrotは温度モデルの予測値に対する乗算型の学習値である。Zrotは速度比に対するべき乗型の学習値である。
【0045】
圧延材8における冷却現象は、圧延材8が高速で移動するときと圧延材8が静止しているときとで異なる。このため、(4)式に示されるように、速度の影響は、学習項で調整される。
【0046】
具体的には、圧延材8の全長の先端に近い部分であるHead部の特定の切板8aのデータを用いて、当該切板8aのCT予測値の誤差が0になるようにZrotが求められる。この際、Zrotは、0として扱われる。
【0047】
圧延材8の加速中または加速後の部分であるMiddle部の特定の切板8aのデータを用いてCT予測値の誤差が0になるようにZrotが求められる。この際、Zrotは、Head部において求められた値が用いられる。
【0048】
求められたZrotとZrotとが(4)式に代入されることで、全ての切板8aの再予測値が計算される。Head部とMiddle部との予測誤差を0にすることで、圧延材8の全長における精度が改善される。
【0049】
以上で説明した実施の形態1によれば、温度制御装置9は、加速冷却装置2とROT冷却装置3とにおいて水冷熱伝達係数とを別々に設定する。このため、温度モデルの精度を高めることができる。
【0050】
また、温度制御装置9は、温度モデルによって予測した当該圧延材8の冷却後の温度の予測値と実際の温度の実測値との差に基づいて、当該圧延材8の温度の予測値を補正するための学習値を計算する。このため、温度モデルの精度をより高めることができる。
【0051】
また、温度制御装置9は、MT実績値に基づいて、当該圧延材8の温度の予測値を補正するための学習値を計算する。このため、温度モデルの精度をより高めることができる。
【0052】
なお、中間温度計6の周辺の注水バルブ2bを開くと、中間温度計6の直下において、冷却水が圧延材8の表面を覆った状態に維持され得る。このため、中間温度計6において、圧延材8の表面温度が正確に計測されない場合もある。この場合、中間温度計6に近いバンク2aの全ての注水バルブ2bを全て閉じることで巻取温度計7の直下において、冷却水が圧延材8の表面を覆うことを抑制できる。その結果、中間温度計6において、圧延材8の表面温度を正確に計測することができる。中間温度計6に近いバンク2aの全てのち注水バルブ2bの全てを閉じることが難しい場合は、中間温度計6により近い注水バルブ2bを優先的に閉じればよい。
【0053】
次に、図7を用いて、温度制御装置9の例を説明する。
図7は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置のハードウェア構成図である。
【0054】
温度制御装置9の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0055】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、温度制御装置9の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、温度制御装置9の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0056】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、温度制御装置9の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、温度制御装置9の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0057】
温度制御装置9の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、制御部9cの機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、制御部9cの機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0058】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで温度制御装置9の各機能を実現する。
【0059】
実施の形態2.
図8は実施の形態2における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0060】
図8に示されるように、実施の形態2においては、圧延材8の冷却中に、各切板8aが中間温度計6の直下を通過した際、当該切板8aのMT予測値とMT実績値との間において、温度モデルの予測誤差がある場合、ROT冷却装置3の内部における開始点(MT)をMT実績値に修正した上で、CT目標値に到達するようにROT冷却装置3の内部における圧延材8の温度変化の予測値が再計算される。再計算された予測値が達成されるように、各バンク3aへの冷却水量の基準値(Vrot、Vrot、・・・Vrot)が修正される。
【0061】
以上で説明した実施の形態2によれば、温度制御装置9は、中間温度計6による当該圧延材8の温度の実績値と温度の予測値との間に温度モデルの予測誤差があった場合に、当該誤差を補償するようにROT冷却装置3の注水バルブ3bを制御する。このため、温度モデルの精度をより高めることができる。
【0062】
また、温度制御装置9は、中間温度計6による当該圧延材8の温度実績値と温度予測値との間に温度モデルの誤差があった場合に、中間温度計6による当該圧延材8の温度の実績値を初期値としてROT冷却装置3の内部における当該圧延材8の温度変化の予測値を再計算する。このため、温度モデルの精度をより高めることができる。
【0063】
実施の形態3.
図9は実施の形態3における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。図10は実施の形態1における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0064】
実施の形態3においては、加速冷却装置2とROT冷却装置3とを単体のみで用いる冷却効率の同定実験が事前に行われる。各切板8aのFDT実績値からCT実績値を引いた値である温度降下の実績値(℃)と開いた注水バルブの本数の実績とに基づいて、加速冷却装置2とROT冷却装置3とのバルブ一本当たりの冷却効率(℃/valve)が計算される。この際の圧延材8の速度パターンは、通常の圧延と同様である。
【0065】
ここで、加速冷却装置2の冷却効率をa(k)(℃/valve)とする。ROT冷却装置3の冷却効率をb(k)(℃/valve)とする。加速冷却装置2で使用した注水バルブ2bの数をA(k)(valve)とする。ROT冷却装置3で使用した注水バルブ3bの数をB(k)(valve)とする。kは切板8aの番号である。
【0066】
この場合、加速冷却装置2の温度降下予測値は、a(k)×A(k)(℃)である。ROT冷却装置3の温度降下予測値は、b(k)×B(k)(℃)である。
【0067】
各切板8aに対する加速冷却装置2による温度降下実績は、次の(5)式により計算される。
【0068】
【数5】
【0069】
各切板8aに対するROT冷却装置3による温度降下実績は、次の(6)式により計算される。
【0070】
【数6】
【0071】
加速冷却装置2に関しては、図9に示されるように、FDT実績値から(5)式に示す値を引いた値をMT実績値として各バンク2aの入出側における予測値が再計算される。
【0072】
ROT冷却装置3に関しては、図10に示されるように、MT実績値を初期値として、当該初期値から(6)式に示す値引いた値をCT実績値として各バンク3aの入出側における予測値が再計算される。
【0073】
以上で説明した実施の形態3によれば、温度制御装置9は、加速冷却装置2を単体で使用する同定実験により得られた冷却効率と加速冷却装置2とROT冷却装置3との上流側から下流側への当該圧延材8の温度降下の実績値と加速冷却装置2において使用されたスプレーの本数から1バルブあたりの冷却効率を計算する。温度制御装置9は、ROT冷却装置3を単体で使用する同定実験により得られた冷却効率と加速冷却装置2とROT冷却装置3との上流側から下流側への当該圧延材8の温度降下の実績値とROT冷却装置3において使用されたスプレーの本数から1バルブあたりの冷却効率を計算する。このため、温度モデルの精度をより高めることができる。
【0074】
なお、温度制御装置9は、加速冷却装置2とROT冷却装置3との比を用いて、加速冷却装置2の冷却効率とROT冷却装置3と冷却効率とを計算してもよい。この場合も、温度モデルの精度をより高めることができる。
【0075】
実施の形態4.
図11は実施の形態4における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用される加速冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。図12は実施の形態4における熱間圧延ラインの温度制御装置が適用されるROT冷却装置の内部での各切板の温度変化の予測値と実績値(再予測値)を示す図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0076】
実施の形態4においては、加速冷却装置2とROT冷却装置3とを単体のみで用いる冷却効率の同定実験が事前に行われる。各切板8aのFDT実績値からCT実績値を引いた値を温度降下の実績値(℃)と開いたバルブのスプレー流量(m/h)の実績とに基づいて、加速冷却装置2とROT冷却装置3とのバルブ一本当たりの冷却効率(℃/m/h)が計算される。この際の圧延材8の速度パターンは、通常の圧延と同様である。
【0077】
ここで、加速冷却装置2の冷却効率をα(k)(℃/m/h)とする。ROT冷却装置3の冷却効率をβ(k)(℃/m/h)とする。加速冷却装置2で使用した注水バルブ2bの数をA(k)(valve)とする。ROT冷却装置3で使用した注水バルブ3bの数をB(k)(valve)とする。加速冷却装置2における1注水バルブ2bあたりのスプレー流量をP(m/h/valve)とする。ROT冷却装置3における1注水バルブ3bあたりのスプレー流量をP(m/h/valve)とする。
【0078】
この場合、加速冷却装置2の温度降下予測値は、α(k)×A(k)×P(℃)である。ROT冷却装置3の温度降下予測値は、β(k)×B(k)×P(℃)である。
【0079】
各切板8aに対する加速冷却装置2による温度降下実績は、次の(7)式により計算される。
【0080】
【数7】
【0081】
各切板8aに対するROT冷却装置3による温度降下実績は、次の(8)式により計算される。
【0082】
【数8】
【0083】
加速冷却装置2に関しては、図11に示されるように、FDT実績値から(7)式に示す値を引いた値をMT実績値として各バンク2aの入出側における予測値が再計算される。
【0084】
ROT冷却装置3に関しては、図12に示されるように、MT実績値を初期値として、当該初期値から(8)式に示す値引いた値をCT実績値として各バンク3aの入出側における予測値が再計算される。
【0085】
以上で説明した実施の形態4によれば、温度制御装置9は、加速冷却装置2を単体で使用する同定実験により得られた冷却効率と加速冷却装置2とROT冷却装置3との上流側から下流側への当該圧延材8の温度降下の実績値と加速冷却装置2において使用されたスプレー流量の体積から1バルブあたりの冷却効率を計算する。温度制御装置9は、ROT冷却装置3を単体で使用する同定実験により得られた冷却効率と加速冷却装置2とROT冷却装置3との上流側から下流側への当該圧延材8の温度降下の実績値とROT冷却装置3において使用されたスプレー流量の体積から1バルブあたりの冷却効率を計算する。このため、温度モデルの精度をより高めることができる。
【0086】
なお、ROT冷却装置3の下流側に加速冷却装置2が設けられた熱間圧延ラインに対し、実施の形態1から実施の形態4のいずれかの温度制御装置9を適用してもよい。この場合も、温度モデルの精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、この発明に係る熱間圧延ラインの温度制御装置は、熱間圧延システムに利用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 仕上圧延機、 2 加速冷却装置、 2a バンク、 2b 注水バルブ、 2c ノズル、 3 ROT冷却装置、 3a バンク、 3b 注水バルブ、 3c ノズル、 4 巻取コイラー、 5 仕上圧延機出側温度計、 6 中間温度計、 7 巻取温度計、 8 圧延材、8a 切板、 9 温度制御装置、 9a 加速側計算部、 9b ROT側計算部、 9c 制御部、 10 ローラーテーブル、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12