(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の検査装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された検査装置では、ペットボトル等の透明体の偏肉検査を行うことができるものの、ペットボトル等の樹脂成形品の外面に形成される成形用の金型の型割り線が検査用に撮影された画像上にはっきりと映し出される条件については何ら考慮されていない。
【0005】
本発明の課題は、成形用の金型によって外面に形成される成形品の型割り線の不良検査を効果的に行うことが可能な検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る検査装置は、光透過性を有する材料によって成形された成形品の外面上に形成される成形用の金型の型割り線の不良を検査する検査装置であって、照明装置と、撮像装置と、検査部と、を備えている。照明装置は、成形品に向けて照明光を照射する。撮像装置は、成形品を中心として照明装置に対向する位置であって、成形品と照明装置とを結ぶ延長線上から所定角度ずれた位置に配置されており、照明光が照射された成形品の外面を撮像する。検査部は、撮像装置によって撮像された検査画像に基づいて、型割り線の不良の有無を検出する。
【0007】
ここでは、例えば、光透過性を有する成形品の外面に形成される成形用の金型の型割り線の部分の不良の有無を検査する検査装置において、照明装置とともに成形品を挟み込むように配置された撮像装置が、照明装置と成形品とを結ぶ延長直線上から所定角度ずれた位置に配置されている。
【0008】
光透過性を有する材料とは、例えば、樹脂、ガラス等が含まれる。
成形品の外面に形成される型割り線とは、例えば、鋳造、射出成形、ブロー成形等で使用される金型の合わせ面に沿って成形品の外面に形成される線である。そして、本検査装置は、成形品を撮影した検査画像を用いて、この型割り線の太さ、厚さ、成形不良等の検査を行う。
ここで、例えば、光透過性を有する樹脂やガラス等の成形品の外面に形成される成形用の金型の型割り線の部分の不良の有無を検査する際には、撮像装置によって撮影される検査画像上に型割り線が明確に映し出されているか否かが重要である。
【0009】
本発明の検査装置では、上記のように、照明装置とともに成形品を挟み込むように配置された撮像装置が、照明装置と成形品とを結ぶ延長直線上から所定角度ずれた位置に配置されている。
これにより、撮像装置が照明装置と成形品とを結ぶ延長直線上に配置された構成と比較して、検査画像上に明白に型割り線が映し出された状態で検査を行うことができる。
この結果、成形用の金型によって外面に形成される成形品の型割り線の不良検査を効果的に行うことができる。
【0010】
第2の発明に係る検査装置は、第1の発明に係る検査装置であって、撮像装置は、成形品の外面に形成された型割り線が撮像装置の正面からずれた位置に配置された状態で、型割り線を含む検査画像を撮像する。
これにより、撮像装置の正面からやや左右にずれた位置であって、例えば、照明装置の光が当たりやすい位置に配置された型割り線を含む検査画像を用いて、型割り線の部分の不良の有無を検出することができる。
【0011】
第3の発明に係る検査装置は、第1または第2の発明に係る検査装置であって、所定角度は、照明装置から照射される照明光の色または波長に応じて設定されている。
これにより、照明光の色(波長)に応じて、型割り線が検査画像上で見えやすい最適な角度になるように撮像装置が配置されることで、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0012】
第4の発明に係る検査装置は、第3の発明に係る検査装置であって、照明光が青色光である場合には、所定角度は15〜35度に設定される。
これにより、照明光が青色光(例えば、波長435〜480nm)の場合には、最適な所定角度として15〜35度が設定されることで、型割り線が見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0013】
第5の発明に係る検査装置は、第3の発明に係る検査装置であって、照明光が赤色光である場合には、所定角度は15〜35度に設定される。
これにより、照明光が赤色光(例えば、波長610〜750nm)の場合には、最適な所定角度として15〜35度が設定されることで、型割り線が見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0014】
第6の発明に係る検査装置は、第3の発明に係る検査装置であって、照明光が白色光である場合には、所定角度は0度より大きく、90度以下に設定される。
これにより、照明光が白色光の場合には、最適な所定角度として0より大きく、90度以下に設定されることで、型割り線が見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0015】
第7の発明に係る検査装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る検査装置であって、所定角度は、20度に設定される。
これにより、撮像装置が照明装置および成形品に対して最適な角度に配置されることで、型割り線が最も見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0016】
第8の発明に係る検査装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る検査装置であって、照明装置から照射された照明光を拡散させる拡散板を、さらに備えている。
これにより、例えば、照明装置の出射面付近に取り付けられた拡散板を用いて、成形品に対する照明光を拡散させることで、成形品の中に光透過性を有する液体が入った状態で検査を実施する場合でも、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0017】
第9の発明に係る検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係る検査装置であって、撮像装置によって撮像された検査画像に対して画像処理を行う画像処理部を、さらに備えている。検査部は、画像処理部において処理された検査画像を用いて、型割り線の不良の有無を検出する。
これにより、検査部は、例えば、画像処理部において型割り線が見えやすくなる処理等が施された検査画像を用いて、好適に型割り線の検査を実施することができる。
【0018】
第10の発明に係る検査装置は、第1から第9の発明のいずれか1つに係る検査装置であって、検査画像を表示する表示部を、さらに備えている。
これにより、例えば、検査部における検査結果を検査画像とともに表示部に表示させることで、使用者は、表示部に表示された検査画像等を参照して、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0019】
第11の発明に係る検査装置は、第1から第10の発明のいずれか1つに係る検査装置であって、照明装置は、細長のバー状に形成されており、照明装置は、その長手方向が型割り線に沿って配置されている。
これにより、照明装置として細長いバー状の光源を用いるとともに、その長手方向と型割り線の方向とを合わせて配置することで、型割り線が見えやすい検査画像を得て、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0020】
第12の発明に係る検査装置は、第1から第11の発明のいずれか1つに係る検査装置であって、成形品は、樹脂またはガラスによって成形されている。
これにより、樹脂製やガラス製の成形品の外面に形成される型割り線が見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る検査装置によれば、成形用の金型によって外面に形成される成形品の型割り線の不良検査を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るペットボトルの型割り線の検査装置の構成を示す概略図。
【
図3】(a)は、
図1の検査装置の検査対象となるペットボトルの正常な型割り線を示す概略図。(b)は、異常な型割り線を示す概略図。
【
図4】
図1の検査対象となる飲料入りのペットボトルを示す概略図。
【
図5】
図1の検査装置に含まれるカメラによって撮像された検査画像(OK)の一例を示す図。
【
図6】
図1の検査装置に含まれるカメラによって撮像された検査画像(NG)の一例を示す図。
【
図7】青色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(15度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図8】青色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図9】青色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(35度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図10】青色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラによって、拡散板なしの状態で撮像された検査画像を示す図。
【
図11】赤色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(15度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図12】赤色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図13】赤色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(35度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図14】赤色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラによって、拡散板なしの状態で撮像された検査画像を示す図。
【
図15】白色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(0度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図16】白色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図17】白色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(90度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図18】白色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラによって、拡散板なしの状態で撮像された検査画像を示す図。
【
図19】比較例として、青色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(10度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図20】比較例として、青色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(40度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図21】比較例として、赤色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(10度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図22】比較例として、赤色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(40度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【
図23】比較例として、白色の照明光を照明装置とペットボトルを結ぶ延長線から所定角度(95度)ずらした位置に配置されたカメラによって撮像された検査画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る検査装置10について、
図1〜
図18を用いて説明すれば以下の通りである。
検査装置10は、
図1に示すように、ペットボトル(成形品)W1の外面に形成される型割り線PLの不良検査を実施する。
ペットボトルW1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって成形された容器状の成形品であって、例えば、ブロー成形によって成形される。
【0024】
型割り線PLとは、例えば、ブロー成形等で使用される成形用の金型の合わせ面に沿って成形品の外面に形成される線である。本実施形態では、成形品としてのペットボトルW1には、長手方向に沿って2つの型割り線PLが対向する位置に形成されている。
本実施形態の検査装置10は、ペットボトルW1を撮影した検査画像を用いて、この型割り線の太さ、厚さ、成形不良等の検査を行う。
【0025】
検査装置10は、
図1に示すように、カメラ(撮像装置)11と、照明装置12と、拡散板13と、画像処理部14と、検査部15と、表示部16とを備えている。
カメラ(撮像装置)11は、照明装置12から照明光L1が照射されたペットボトルW1の外面に形成される型割り線PLの部分を含む検査画像を撮像する。また、カメラ11は、
図2に示すように、照明装置12とペットボトルW1とを結ぶ延長線上から所定角度θだけずれた位置に配置されている。換言すれば、カメラ11は、照明装置12の正面から所定角度θだけずれた位置に配置されている。
【0026】
照明装置12は、例えば、細長のバー状に形成されており、その長手方向が型割り線PLに沿って配置されている。
これにより、照明装置12として細長いバー状の光源を用いるとともに、その長手方向と型割り線PLの方向とを合わせて配置することで、型割り線PLが見えやすい検査画像を得て、型割り線PLの不良検査を効果的に実施することができる。
【0027】
照明装置12は、カメラ11によって検査画像を撮像する際に、検査対象となる成形品(ペットボトルW1)に対して、所定の色(波長)の照明光を照射する。
拡散板13は、照明装置12の照明光の照射面側に着脱可能な状態で取り付けられており、照明装置12から照射される照明光を拡散させる。なお、拡散板13は、型割り線PLの不良検査に好適な検査画像を得るために、例えば、光透過性を有する飲料等の液体が入った状態のペットボトルW1の検査を実施する際に使用される。
【0028】
画像処理部14は、カメラ11によって撮像された検査画像に対して所望の画像処理を実施して、画像処理された検査画像を検査部15へ送信する。なお、画像処理部14によって実施される画像処理は、画像検査において通常実施される処理であればよい。
検査部15は、画像処理部14において画像処理された検査画像を用いて、ペットボトルW1の外面に形成される型割り線PLの不良検査を実施する。
【0029】
ここで、ペットボトルW1の外面に形成される型割り線PLの不良検査では、
図3(a)に示す正常な型割り線PL、
図3(b)に示す不良の型割り線PLのどちらかであるかを判定する。すなわち、型割り線PLは、ブロー成形時に金型の合わせ面に沿って形成され、その幅が所望の幅よりも大きい場合、割れや欠け等が生じている場合には、不良と判定される。
【0030】
より具体的には、型割り線PLの不良検査は、検査部15が、例えば、型割り線PLが形成された部分の面積を算出し、算出された面積が所定の閾値よりも大きい場合には不良と判定する。
また、本実施形態では、ブロー成形後の空のペットボトルW1の型割り線PLの検査を実施してもよいし、
図4に示す飲料等の液体V1が入れられたペットボトルW1の型割り線PLの検査を実施してもよい。
【0031】
図4に示す飲料等の液体V1が入れられたペットボトルW1の型割り線PLの検査を実施する際には、上述した拡散板13が照明装置12の照射面等に取り付けられていることが好ましい。
これにより、ペットボトルW1内の液体V1によって照明光L1が拡散する場合でも、拡散板13によって照明光L1を拡散させてペットボトルW1に対して照射することで、型割り線PLが見やすい検査画像を撮像することができる。
【0032】
表示部16は、例えば、液晶表示パネル等であって、カメラ11によって撮像され画像処理部14によって画像処理された検査画像、検査部15における型割り線PLの検査結果を表示する。
【0033】
<カメラ11と照明装置12との位置関係>
ここで、本検査装置10に含まれるカメラ11と照明装置12との位置関係について、以下で説明する。
カメラ11は、上述したように、
図2に示すように、ペットボトルW1に対して照明光L1を照射する照明装置12とペットボトルW1とを結ぶ延長線上に対して、所定角度θだけずれた位置に配置されている。
所定角度θは、例えば、照明装置12から照射される光の色、波長等に応じて、最適な検査画像が撮像される角度になるように設定される。
【0034】
具体的には、照明光L1が青色光(例えば、波長435〜480nm)である場合には、所定角度θは15〜35度に設定される。
これにより、照明光L1が青色光の場合には、最適な所定角度として15〜35度が設定されることで、型割り線PLが見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0035】
照明光L1が赤色光(例えば、波長610〜750nm)である場合には、所定角度は15〜35度に設定される。
これにより、照明光L1が赤色光の場合には、最適な所定角度として15〜35度が設定されることで、型割り線PLが見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0036】
照明光L1が白色光である場合には、所定角度は0度より大きく、90度以下に設定される。
これにより、照明光が白色光の場合には、最適な所定角度として0度より大きく、90度以下に設定されることで、型割り線が見えやすい検査画像を用いて、型割り線の不良検査を効果的に実施することができる。
【0037】
<検査装置10による型割り線PLの検査>
本実施形態の検査装置10では、上述したように、照明装置12と、カメラ11と、検査部15とを備えている。照明装置12は、ペットボトルW1に向けて照明光L1を照射する。カメラ11は、ペットボトルW1を中心として照明装置12に対向する位置であって、ペットボトルW1と照明装置12とを結ぶ延長線上から所定角度ずれた位置に配置されており、照明光L1が照射されたペットボトルW1の外面を撮像する。検査部15は、カメラ11によって撮像された検査画像に基づいて、型割り線PLの不良の有無を検出する。
【0038】
ここで、カメラ11が撮像した検査画像では、型割り線PLがある部分が白く映される。このため、検査部15は、例えば、検査画像に含まれる白い線(白い画素)を検出してその所定箇所の面積を算出することで、不良の有無を判定する。
このため、検査部15による検査工程では、処理項目として「ラベリング」が選択され、検査領域内の白い画素の面積が所定の閾値を超えるか否かに応じて不良判定が行われる。
【0039】
例えば、
図5は、
図1の検査装置10に含まれるカメラ11によって撮像された検査画像(OK)の一例を示している。
図5に示す検査画像では、四角形の検査領域内に型割り線PLがあるものの、白く映っていない状態であることから、所定の幅以下であって、白い画素の面積(0)と算出される。よって、検査部15は、
図5に示す検査画像について、型割り線PLの不良判定については「OK」と判定される。
【0040】
一方、
図6は、
図1の検査装置10に含まれるカメラ11によって撮像された検査画像(NG)の一例を示している。
図6に示す検査画像では、四角形の検査領域内に型割り線PLがあり、白く映っている部分の幅が比較的大きい。よって、検査部15は、検査画像における所定の検査領域に含まれる白い画素の面積(2719)を算出し、その値が閾値より大きいか否かを判定することで、型割り線PLの不良判定は「NG」と判定される。
【0041】
<好適な所定角度の範囲>
本実施形態の検査装置10では、上述したように、カメラ11は、ペットボトルW1を中心として照明装置12に対向する位置であって、ペットボトルW1と照明装置12とを結ぶ延長線上から所定角度ずれた位置に配置されている。
ここで、所定角度の好適な範囲は、照明装置12から照射される照明光L1の色(波長)ごとに設定されている。
【0042】
具体的には、上述したように、照明光L1が青色光(例えば、波長435〜480nm)である場合には、所定角度θは15〜35度に設定される。
照明光L1が赤色光(例えば、波長610〜750nm)である場合には、所定角度は15〜35度に設定される。
照明光L1が白色光である場合には、所定角度は0度より大きく、90度以下に設定される。なお、白色光は、例えば、R(赤)・G(緑)・B(青)の光の3原色の光を混合させることで形成される。
【0043】
以下、照明装置12から照射される照明光L1の色を青色、赤色、白色とし、所定角度を変化させた場合に実際に得られた検査画像を参照しながら、最適な条件について検証する。
(青色光の場合)
例えば、
図7は、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(15度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
【0044】
図7に示す検査画像は、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
図8は、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
【0045】
図8に示す検査画像についても同様に、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
図9は、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(35度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
【0046】
図9に示す検査画像は、ペットボトルW1の左面に照明光L1が反射した部分があるものの型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
図10は、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13なしの状態で撮像された検査画像を示す。
【0047】
図10に示す検査画像は、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
以上のことから、照明装置12から照射される照明光が青色光(例えば、波長435〜480nm)である場合には、所定角度θ=15〜35度の範囲であれば、型割り線PLがはっきりと見える好適な検査画像を得ることができた。
【0048】
また、拡散板13の有無については、青色の照明光L1、所定角度20度の結果で比較した場合、ほぼ同程度の見え方で型割り線PLを確認することができた。
次に、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度ずらした状態で照射する場合において、所定角度の好ましい範囲を確認するための比較例について、
図19および
図20を用いて説明すれば以下の通りである。
【0049】
図19は、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(10度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図19に示す検査画像は、型割り線PLがほとんど見えておらず、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用不可であった。
【0050】
図20は、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(40度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図20に示す検査画像は、型割り線PLがほとんど見えておらず、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用不可であった。
【0051】
以上の比較例を含む検査画像の結果から、所定角度θ=10度、40度では検査に使用可能な検査画像を得ることができず、所定角度θ=15〜35度の範囲であれば、型割り線PLがはっきりと見える好適な検査画像を得ることができた。
よって、青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度ずらした状態で照射する場合において、所定角度の好ましい範囲としては、15〜35度であることが分かった。
【0052】
(赤色光の場合)
例えば、
図11は、赤色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(15度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図11に示す検査画像は、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0053】
図12は、赤青色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図12に示す検査画像についても同様に、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0054】
図13は、赤色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(35度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図13に示す検査画像についても同様に、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0055】
図14は、赤色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13なしの状態で撮像された検査画像を示す。
図14に示す検査画像は、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0056】
以上のことから、照明装置12から照射される照明光が赤色光(例えば、波長610〜750nm)である場合には、所定角度θ=15〜35度の範囲であれば、型割り線PLがはっきりと見える好適な検査画像を得ることができた。
また、拡散板13の有無については、赤色の照明光L1、所定角度20度の結果で比較した場合、拡散板13有りの
図12の検査画像の方が、拡散板13なしの
図14の検査画像よりもはっきりと型割り線PLを確認することができた。
【0057】
よって、赤色の照明光L1を照射する場合には、飲料等の液体V1が入れられたペットボトルW1の型割り線PLの検査においては、拡散板13がある方がより好ましい検査画像を得ることができることが分かった。
次に、赤色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度ずらした状態で照射する場合において、所定角度の好ましい範囲を確認するための比較例について、
図21および
図22を用いて説明すれば以下の通りである。
【0058】
図21は、赤色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(10度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図21に示す検査画像は、型割り線PLがほとんど見えておらず、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用不可であった。
【0059】
図22は、赤色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(40度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図22に示す検査画像は、型割り線PLがほとんど見えておらず、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用不可であった。
【0060】
以上の比較例を含む検査画像の結果から、所定角度θ=10度、40度では検査に使用可能な検査画像を得ることができず、所定角度θ=15〜35度の範囲であれば、型割り線PLがはっきりと見える好適な検査画像を得ることができた。
よって、赤色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度ずらした状態で照射する場合において、所定角度の好ましい範囲としては、青色の照明光L1と同様に、15〜35度であることが分かった。
【0061】
(白色光の場合)
例えば、
図15は、白色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(0度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図15に示す検査画像は、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0062】
図16は、白色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図16に示す検査画像についても同様に、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0063】
図17は、白色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(90度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図17に示す検査画像は、ペットボトルW1の左面に照明光L1が反射した部分があるものの型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0064】
図18は、白色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(20度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13なしの状態で撮像された検査画像を示す。
図18に示す検査画像は、型割り線PLが見えており、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用可能であった。
【0065】
以上のことから、照明装置12から照射される照明光が白色光である場合には、上述した青色光および赤色光の場合よりも広い所定角度θ=0〜90度の範囲であれば、型割り線PLがはっきりと見える好適な検査画像を得ることができた。
また、拡散板13の有無については、白色の照明光L1、所定角度20度の結果で比較した場合、拡散板13なしの
図18の検査画像では型割り線PLが途切れており、拡散板13有りの
図16の検査画像の方が、拡散板13なしの
図18の検査画像よりもはっきりと型割り線PLを確認することができた。
【0066】
よって、白色の照明光L1を照射する場合には、飲料等の液体V1が入れられたペットボトルW1の型割り線PLの検査においては、拡散板13がある方がより好ましい検査画像を得ることができることが分かった。
次に、白色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度ずらした状態で照射する場合において、所定角度の好ましい範囲を確認するための比較例について、
図23を用いて説明すれば以下の通りである。
【0067】
図23は、白色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度(95度)ずらした位置に配置されたカメラ11によって、拡散板13有りで撮像された検査画像を示している。
図23に示す検査画像は、型割り線PLがほとんど見えておらず、型割り線PLの不良検査を行う画像として使用不可であった。
【0068】
以上の比較例を含む検査画像の結果から、所定角度θ=95度では検査に使用可能な検査画像を得ることができず、所定角度θ=0〜90度の範囲であれば、型割り線PLがはっきりと見える好適な検査画像を得ることができた。
よって、白色の照明光L1を照明装置12とペットボトルW1を結ぶ延長線から所定角度ずらした状態で照射する場合において、所定角度の好ましい範囲としては、0〜90度であることが分かった。
【0069】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、内部に光透過性を有する飲料(液体)が入れられたペットボトルW1の型割り線PLの不良検査を実施するために、照明装置12の出射面側に拡散板13が設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、成形品の内部に液体等の光を拡散させる物質が入っていないからの状態の成形品を検査する場合には、拡散板がない構成であってもよい。
【0070】
(B)
上記実施形態では、青色光、赤色光、白色光の3色の照明光が照射されたペットボトルW1を撮像した検査画像を用いて、型割り線PLの不良検査を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、成形品に対して照射される照明光は、上記3色に限定されるものではなく、他の色(波長)を持つ光であってもよい。
【0071】
(C)
上記実施形態では、検査装置10の検査対象となる成形品として、ペットボトルW1を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ペットボトル以外の容器状の成形品が検査対象であってもよい。
また、成形品の材質は、PETに限らず、PE、PVC、EVOH(ethylene-vinylalcohol copolymer)等の光透光性を有する他の樹脂であってもよいし、ガラスであってもよい。
【0072】
(D)
上記実施形態では、検査装置10が、ブロー成形されたペットボトルW1の型割り線PLの検査を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、射出成形等のように金型を用いて成形する他の成形方法によって成形された成形品が検査対象であってもよい。
【0073】
(E)
上記実施形態では、細長いバー状の照明装置12を用いて、ペットボトルW1に対して照明光を照射する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、照明装置としては、バー状の照明に限らず、ドーム状の照明等、他の形態の照明装置であってもよい。
【0074】
(F)
上記実施形態では、ペットボトルW1が、例えば、ブロー成形で使用される成形用の金型によって成形され、型割り線PLが、その成形用の金型の合わせ面に沿って成形品の外面に形成される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
例えば、本検査装置は、例えば、鋳造、射出成形等の他の成形方法によって成形された成形品の外面に形成される型割り線の検査を行ってもよい。
【解決手段】検査装置10は、照明装置12と、カメラ11と、検査部15とを備えている。照明装置12は、ペットボトルW1に向けて照明光L1を照射する。カメラ11は、ペットボトルW1を中心として照明装置12に対向する位置であって、ペットボトルW1と照明装置12とを結ぶ延長線上から所定角度ずれた位置に配置されており、照明光L1が照射されたペットボトルW1の外面を撮像する。検査部15は、カメラ11によって撮像された検査画像に基づいて、型割り線PLの不良の有無を検出する。