(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の就寝者支援装置では、気流が、就寝者の所定部位に確実に当てられるので、状況によっては、就寝している人を心地よく目覚めさせることができなかった。
【0007】
本開示の目的は、就寝スペースにいる対象者を心地よく目覚めさせることが可能な、目覚まし装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、気流を就寝スペース(S)上の位置に向かって局所的かつ間欠的に吹き出すことが可能な気流吹出し装置(20)と、前記就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の位置を検出する位置検出部(27)と、制御装置(70)と、を備えた目覚まし装置(10)を対象とする。前記制御装置(70)は、前記位置検出部(27)による位置の検出結果に応じて、前記就寝スペース(S)上の目標位置を決定し、前記気流吹出し装置(20)から前記目標位置に向かって、気流を吹き出させる。前記制御装置(70)は、気流が就寝者(T)に間接的に作用する位置に前記目標位置を設定して気流を吹き出す第1動作を含む第1モードを実行するように、前記気流吹出し装置(20)を制御する。
【0009】
第1の態様では、第1モードにおいて、気流が就寝者(T)に間接的に作用することで、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)を心地よく目覚めさせることができる。
【0010】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、前記就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の睡眠の深さを推定する推定部(22)をさらに備える。前記制御装置(70)は、前記推定部(22)の推定結果に応じて、前記気流吹出し装置(20)を動作させる。
【0011】
第2の態様では、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の睡眠の深さに応じて、就寝者(T)を急激に目覚めさせたり、緩慢に目覚めさせたりすることができる。
【0012】
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、前記制御装置(70)は、前記第1モードにおいて、前記推定部(22)により就寝者(T)の睡眠の深さが所定レベルよりも低いことを示す条件が成立すると、少なくとも前記第1動作を実行するように前記気流吹出し装置(20)を制御する。
【0013】
第3の態様では、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の睡眠の深さが浅い場合に、気流を就寝者(T)に間接的に作用させることにより、就寝者(T)を心地よく目覚めさせることができる。
【0014】
本開示の第4の態様は、上記第1の態様から第3の態様までのいずれか1つにおいて、前記制御装置(70)は、前記第1モードにおいて、前記第1動作と、気流が就寝者(T)に直接的に作用する位置に前記目標位置を設定して気流を吹き出す第2動作と、を含む複数の動作が、所定の順序又はランダムな順序で実行されるように、前記気流吹出し装置(20)を制御する。
【0015】
第4の態様では、気流が就寝者(T)に与える刺激が、変化に富んだものとなり、就寝者(T)の目を覚まさせ易くなる。
【0016】
本開示の第5の態様は、上記第1の態様から第4の態様までのいずれか1つにおいて、前記就寝スペース(S)上に複数の就寝者がいる場合に、当該複数の就寝者を、対象者(T)と非対象者とに区別して特定する特定部(81)を備える。前記位置検出部(27)は、前記就寝スペース(S)にいる対象者(T)および非対象者の位置を検出する。前記制御装置(70)は、前記位置検出部(27)による位置の検出結果、及び、前記特定部(81)による特定結果に応じて、前記就寝スペース(S)上の前記目標位置を決定し、前記気流吹出し装置(20)から前記目標位置に向かって、気流を吹き出させる。前記制御装置(70)は、前記第1モードにおいて、気流が対象者(T)に間接的に作用し、かつ、気流が非対象者には作用しない位置に、前記目標位置を設定した前記第1動作を含む動作を実行するように、前記気流吹出し装置(20)を制御する。
【0017】
第5の態様では、就寝スペース(S)上の非対象者の目を覚まさせてしまうことなく、就寝スペース(S)上の対象者を目覚めさせることができる。
【0018】
本開示の第6の態様は、上記第1の態様から第5の態様までのいずれか1つにおいて、前記気流吹出し装置(20)による気流の吹出し方向を変更する方向変更部(71)を備える。前記制御装置(70)は、前記位置検出部(27)による位置の検出結果に応じて、前記目標位置を決定し、前記目標位置に応じて前記方向変更部(71)を駆動させる。
【0019】
第6の態様では、気流を目標位置に精度よく到達させることができる。その結果、気流を就寝者(T)に効果的に作用させることができ、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の目を覚まさせることができる。
【0020】
本開示の第7の態様は、上記第1の態様から第6の態様までのいずれか1つにおいて、前記気流吹出し装置(20)は、気流の吹出し速度を変更可能である。前記制御装置(70)は、前記気流吹出し装置(20)からの気流の吹出し速度を制御する。
【0021】
第7の態様では、就寝スペース(S)に対して、気流を、時には大きな衝撃力で、時には小さな衝撃力で、作用させることができる。よって、状況に応じて、就寝者(T)を急激に目を覚まさせたり、緩慢に目を覚まさせたりすることができる。
【0022】
本開示の第8の態様は、上記第1の態様から第7の態様までのいずれか1つにおいて、前記位置検出部(27)が前記就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の位置を検出できない場合、前記制御装置(70)は、前記就寝スペース(S)上の複数の目標位置を決定し、気流を前記複数の目標位置に向かってランダムに吹き出させる第2モードを実行するように、前記気流吹出し装置(20)を制御する。
【0023】
第8の態様では、就寝スペース(S)上における就寝者(T)の位置を検出できない場合には、第2モードにより、気流を就寝スペース(S)上の任意の目標位置に向かってランダムに吹き出すことで、気流が就寝者(T)に作用する確率を上げることができる。その結果、就寝者(T)の目を覚まさせ易くなる。
【0024】
本開示の第9の態様は、上記第1の態様から第7の態様までのいずれか1つにおいて、前記位置検出部(27)が前記就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の位置を検出できない場合、前記制御装置(70)は、前記就寝スペース(S)上の複数の目標位置を決定し、気流を前記複数の目標位置に向かって所定の順序で吹き出させるように、前記気流吹出し装置(20)を制御する。
【0025】
第9の態様では、就寝スペース(S)上における就寝者(T)の位置を検出できない場合には、気流を就寝スペース(S)上の任意の目標位置に向かって所定の順序で吹き出すことで、気流が就寝者(T)に作用する確率を上げることができる。その結果、就寝者(T)の目を覚まさせ易くなる。
【0026】
本開示の第10の態様では上記第1の態様から第9の態様までのいずれか1つにおいて、前記目標位置を記憶する記憶部(75)を備える。前記位置検出部(27)が前記就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の位置を検出できない場合、前記制御装置(70)は、前記記憶部(75)に過去に記憶された前記目標位置に基づいて、気流を吹き出させる第3モードを実行するように、前記気流吹出し装置(20)を制御する。
【0027】
第10の態様では、第3モードにより、過去に検出された就寝者(T)の位置に基づいて、現在における就寝スペース(S)上での就寝者(T)の位置を類推し、その類推結果を考慮に入れて、気流を吹き出させることができる。その結果、気流が就寝者(T)に作用する確率を上げることができる。
【0028】
第11の態様は、第1の態様から第10の態様までのいずれか1つにおいて、前記位置検出部(27)が前記就寝スペース(S)にいる就寝者の位置を検出できない場合、音を発生する音発生部(80)を備えている。
【0029】
第11の態様では、就寝スペース(S)上における就寝者(T)の位置を検出できない場合に、音発生部(80)が音を発する。これにより、音によって就寝者(T)を確実に起こすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0032】
<1.第1実施形態>
第1実施形態に係る目覚まし装置(10)は、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)に対して、気流を作用させることにより、就寝者(T)の目を覚まさせる装置である。
図1及び
図2に示すように、就寝スペース(S)は、例えばベッドの上面に沿うスペース、或いは敷き布団の上面に沿うスペースとすることができる。ただし、就寝スペース(S)には、それ以外のスペースが含まれていてもよい。例えば、就寝スペース(S)には、ベッドの周囲の床などが含まれていてもよい。
【0033】
図1に示すように、目覚まし装置(10)は、気流吹出し装置(20)と、位置検出部としてのサーモセンサ(27)と、推定部としてのドップラーセンサ(22)と、ユーザインターフェイスとしての無線通信端末(5)と、特定部(81)と、記憶部(75)と、制御装置(70)とを備える。
【0034】
気流吹出し装置(20)は、気流を就寝スペース(S)上の位置に向かって局所的かつ間欠的に吹き出す装置である。ここで、「局所的」とは、就寝スペース(S)上の一部の位置に向かってのみ、気流が吹き出されることを指す。本実施形態の気流吹出し装置(20)は、渦輪状の空気を気流として生成する。気流吹出し装置(20)は、
図1に示すように、就寝スペース(S)の上方に配置される照明装置(50)に搭載される。
図2に示すように、気流吹出し装置(20)は、下側が開放される円筒状のケーシング本体(31)と、当該ケーシング本体(31)の下側の開放面を塞ぐ下蓋(32)とを備える。ケーシング本体(31)の内部には、空気通路(33)が形成される。下蓋(32)には、空気通路(33)と連通する放出口(34)が形成される。放出口(34)は、就寝スペース(S)に対向するように開口している。
【0035】
放出口(34)には、可動ノズル(35)が接続される。可動ノズル(35)は、回転軸を介して、
図4に示すノズル可動モータ(71)と連結される。可動ノズル(35)の先端部(下端部)には、渦輪吹出し口(36)が形成される。ノズル可動モータ(71)によって回転軸が回転駆動されると、可動ノズル(35)の向きが調整され、ひいては渦輪吹出し口(36)の向きが変化する。つまり、本例のノズル可動モータ(71)は、渦輪状の空気の吹出し方向を調整する方向変更部を構成している。
【0036】
ケーシング本体(31)の内部には、複数の押出機構(40)が設けられる。本例の気流吹出し装置(20)には、8つの押出機構(40)が設けられる。ただし、押出機構(40)の数量は単なる例示であり、1つ〜7つであっても、9つ以上であってもよい。各押出機構(40)は、駆動部であるリニアアクチュエータ(41)と、当該リニアアクチュエータ(41)によって駆動される振動板(42)とを有する。リニアアクチュエータ(41)は、振動板(42)をケーシング本体(31)の径方向に変位させる。本例では、複数の押出機構(40)がケーシング本体(31)の内周壁に沿うように配置されている。複数の押出機構(40)は周方向に等間隔に配列される。
【0037】
気流吹出し装置(20)は、押出機構(40)を制御するための駆動制御部(73)を備えている。駆動制御部(73)は、リニアアクチュエータ(41)に接続する回路基板を含んでいる。駆動制御部(73)は、例えばケーシング本体(31)の外部に配置されるが、これをケーシング本体(31)の内部に配置してもよい。駆動制御部(73)は、振動板(42)の振動の振幅、当該振動の周期などを調整するように構成される。
【0038】
具体的には、駆動制御部(73)により振動板(42)の振動の振幅(変位量)が調整されると、渦輪吹出し口(36)から放出される渦輪状の空気の流速、すなわち吹出し速度が調整される。駆動制御部(73)により振動板(42)の振動の周期が調整されると、放出口から放出される渦輪状の空気の周期が調整される。換言すると、駆動制御部(73)により振動板(42)の振動の周期が調整されると、例えば1分間あたりに渦輪吹出し口(36)から渦輪状の空気が放出される回数[cpm](count per minute)が調整される。なお、渦輪状の空気が吹き出される回数[cpm]は、40以上90以下の範囲に設定するのが好ましい。このように、本実施形態では、押出機構(40)の制御により、渦輪状の空気が吹き出される回数や吹出し速度が変化する。駆動制御部(73)は、渦輪状の空気の吹出し速度を変更する吹出し速度変更部を構成している。
【0039】
位置検出部としてのサーモセンサ(27)は、就寝スペース(S)上の温度分布を検出するセンサである。本例では、サーモセンサ(27)は、天井の照明装置(50)に搭載される。本例のサーモセンサ(27)は、就寝スペース(S)全体を平面的に見たときの温度分布を撮像し、温度分布画像を取得する。温度分布画像は、すなわち熱画像である。
【0040】
推定部としてのドップラーセンサ(22)は、対象者の睡眠の深さを推定するセンサである。本例では、ドップラーセンサ(22)は、天井の照明装置(50)に搭載される。ドップラーセンサ(22)は、マイクロ波を発射して就寝者(T)から反射する振動を検出する。ドップラーセンサ(22)は、対象者(T)の生体情報(心拍、呼吸、大きな粗体動など)の基となる信号を検出する。ドップラーセンサ(22)で検出された信号が、後述の制御装置(70)に入力されることにより、制御装置(70)は、就寝者(T)の生体情報の基となる信号に基づいて、対象者(T)の睡眠の深さを推定する。
【0041】
ユーザインターフェイスとしての無線通信端末(5)は、就寝前に就寝者(T)が各種情報を入力するための端末である。本例では、無線通信端末(5)は、スマートフォンである。本例では、少なくとも、渦輪状の空気を就寝者(T)に作用させ始める開始時刻と、渦輪状の空気の就寝者(T)への作用を終了させる終了時刻と、就寝スペース(S)に居る予定の就寝の数である人数の設定とを、無線通信端末(5)に入力することが可能となっている。就寝者(T)が無線通信端末(5)に上記情報を入力すると、入力内容に応じた信号が制御装置(70)に供給される。
【0042】
特定部(81)は、就寝スペース(S)に居る就寝者の数が2人以上である場合に、目覚まし装置(10)により目覚めさせる対象の人である対象者(T)を、他の人(非対象者)とは区別して特定するための部位である。本例では、特定部(81)は、対象者(T)により使用される枕である。当該枕は、配置場所がサーモセンサ(27)によって検出できるように、温度が部分的又は全体的に特徴のある変化をする機能を有している。
【0043】
記憶部(75)は、後に詳述する過去に決定された目標位置や、サーモセンサ(27)で得られた温度分布画像を記憶するメモリである。本例では、記憶部(75)は、過去に決定された目標位置と、過去数回にわたって撮像された複数の温度分布画像と、予め定められた複数の目標位置とを、記憶する。本例の記憶部(75)は、少なくとも直近で決定された目標位置を記憶している。
【0044】
制御装置(70)は、CPU、ROM、RAMなどを含み、これらがバスを介して互いに接続されて構成され、または集積回路により構成される。制御装置(70)は、概念的には、目標位置決定部(76)と、吹出しパターン決定部(77)と、吹出し指示部(79)と、を有する。制御装置(70)のこれらの各部の機能は、ROM、RAMなどに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとが協働して実現されてもよいし、或いは集積回路により実現されてもよい。
【0045】
気流吹出し装置(20)の駆動制御部(73)及びノズル可動モータ(71)、サーモセンサ(27)、ドップラーセンサ(22)、無線通信端末(5)、特定部(81)、並びに記憶部(75)は、制御装置(70)と有線又は無線により電気的に接続される。
【0046】
制御装置(70)は、サーモセンサ(27)、ドップラーセンサ(22)、無線通信端末(5)、特定部(81)、及び記憶部(75)から入力された信号に基づき、駆動制御部(73)及びノズル可動モータ(71)に制御信号を出力し、渦輪状の空気の吹出しの状態を制御する。
【0047】
制御装置(70)は、気流吹出し装置(20)に設けられてもよいし、気流吹出し装置(20)とは別体で設けられてもよい。例えば制御装置(70)は、無線通信端末(5)に設けられてもよい。
【0048】
目標位置決定部(76)は、サーモセンサ(27)、ドップラーセンサ(22)、無線通信端末(5)、特定部(81)、及び記憶部(75)から入力された信号に基づいて、就寝スペース(S)上において渦輪状の空気を到達させる目標の位置である目標位置を決定する。
【0049】
目標位置決定部(76)は、サーモセンサ(27)で直近に得られた温度分布画像を、マトリックス状に分割する。そして、温度分布画像のうち就寝者(T)の特定部位が位置するマトリックスを特定する。目標位置決定部(76)は、特定されたマトリックスに基づいて、渦輪状の空気を到達させるべきマトリックスを特定し、それにより目標位置を決定する。目標位置決定部(76)が行う具体的な処理については、後に詳述する。
【0050】
吹出しパターン決定部(77)は、目標位置決定部(76)で決定された目標位置に対して、いずれの順序で渦輪状の空気を作用させるかの、順序(吹出しパターン)を決定する。吹出しパターン決定部(77)は、目標位置決定部(76)で決定した全ての目標位置に対して渦輪状の空気を吹き出す動作を含んでいてもよく、或いは、一部の目標位置に対してだけ渦輪状の空気を吹き出す動作を含んでいてもよい。
【0051】
吹出し指示部(79)は、吹出しパターン決定部(77)で決定した順序で、渦輪状の空気を吹き出す動作を気流吹出し装置(20)に行わせるために、駆動制御部(73)及びノズル可動モータ(71)に制御信号を供給する。これにより、所定の目標位置に向かって渦輪状の空気を吹き出させる動作が実現される。44を用いて、画像に写っている人型が人であることを認識するものである。サーモセンサ44は、空調対象空間Rの温度分布を撮影し、温度分布画像を取得するものである。温度分布画像は、即ち熱画像である。第2変形例は、サーモセンサ44を用いて、画像に写っている人型が人であることを認識するものである。サーモセンサ44は、空調対象空間Rの温度分布を撮影し、温度分布画像を取得するものである。温度分布画像は、即ち熱画像である。
【0052】
以下では、渦輪吹出し口(36)から渦輪状の空気を吹き出させるために、制御装置(70)が行う処理の流れについて、
図5から
図10を参照して説明する。
【0053】
初めに、制御装置(70)は、就寝スペース(S)に居る人の数が2人以上であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、制御装置(70)は、無線通信端末(5)から、就寝スペース(S)に居る人の数が2人以上であるとの情報が、供給されたか否かの判定をする。
【0054】
就寝スペース(S)に居る人の数が一人であった場合(ステップS101,No)、続いて制御装置(70)は、サーモセンサ(27)により対象者としての就寝者(T)の位置が検出されたか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、制御装置(70)は、サーモセンサ(27)により検出された最高温度が閾値以上かつ閾値以下であるかを、判定する。閾値は、通常の人の体温が範囲内に包含されるように、適宜設定される。具体的には、閾値は、例えば35度以上40度以下とすることができる。
【0055】
サーモセンサ(27)により就寝者(T)の位置が検出された場合(ステップS102,Yes)、制御装置(70)は、就寝者(T)の頭部の位置を検出する。具体的には、制御装置(70)の目標位置決定部(76)は、サーモセンサ(27)で得られた温度分布画像を、
図6に示すようにマトリックス状に分割する。そして、温度分布画像のうち、温度が高い傾向の領域が存するマトリックスを特定する。温度が高い傾向の領域を特定することで、就寝者(T)の頭部が位置するマトリックスを特定することができる。
【0056】
就寝者(T)の頭部の位置を検出した後、制御装置(70)は、生体情報を取得する(ステップS104)。具体的には、ドップラーセンサ(22)からの、生体情報(心拍、呼吸、大きな粗体動など)の基となる信号を受け付ける。
【0057】
ドップラーセンサ(22)からの生体情報を受け付けた後、制御装置(70)は、当該生体情報に基づいて、就寝者(T)の睡眠の深さが所定レベル未満であることを示す条件が成立したか否かを判定する(ステップS105)。
【0058】
ステップS105の判定の結果、就寝者(T)の睡眠の深さが所定レベル未満であることを示す条件が成立した場合(ステップS105,Yes)、制御装置(70)の目標位置決定部(76)は、就寝スペース(S)上における渦輪状の空気を到達させる目標の位置である目標位置として、第1目標位置及び第3目標位置を、決定する(ステップS106)。
【0059】
具体的には、ステップS106において目標位置決定部(76)は、温度分布画像のうち、温度が高い傾向の領域が存するマトリックスに隣接する、4つのマトリックスを特定する(
図6を参照)。そして、目標位置決定部(76)は、この4つのマトリックスの中で、温度が最も高い領域が存するマトリックスを除いた、残り3つのマトリックスを特定する。これにより、就寝者(T)の頭部付近であり、かつ、就寝者(T)の身体の一部が位置していないと考えられる、3つのマトリックスが特定される。なお、目標位置決定部(76)が4つのマトリックスの中から除外した1つのマトリックスは、就寝者(T)の首部及び胴部が位置すると考えられる領域である。目標位置決定部(76)は、就寝スペース(S)上の上記3つのマトリックスのいずれかに対応する位置を、第1目標位置として決定する。
【0060】
さらに、ステップS106において目標位置決定部(76)は、温度分布画像のうち、上記3つのマトリックスに隣接するマトリックスであって、上記3つのマットリックスのうちの1つを間に挟んで頭部に対応するマトリックスとは反対側に位置するマトリックスを、特定する。これにより、就寝者(T)の頭部付近であり、就寝者(T)の身体の一部が位置していない領域であり、かつ、上記3つのマトリックスよりも就寝者(T)から離れて位置する複数のマトリックスを、特定することができる。目標位置決定部(76)は、就寝スペース(S)上の上記複数のマトリックスのいずれかに対応する位置を、第3目標位置として決定する。
【0061】
ステップS106の後、制御装置(70)の吹出しパターン決定部(77)は、目標位置決定部(76)により決定した第1目標位置及び第3目標位置に対して、いずれの順序で渦輪状の空気を作用させるかの、順序(吹出しパターン)を決定する(ステップS107)。本例では、第3目標位置に向かって渦輪状の空気を吹き出す動作をした後、「第1目標位置に向かって渦輪状の空気を吹き出す動作」(第1動作)がされるように、吹出しパターンが決定される。なお、本明細書では、第1動作を含むように渦輪状の空気が吹き出されるモードを、「第1モード」と称する場合がある。
【0062】
ステップS107の後、制御装置(70)の吹出し指示部(79)は、無線通信端末(5)で設定された開始時刻から終了時刻にかけて、ステップS107で決定された吹出しパターンに従って、渦輪状の空気が渦輪吹出し口(36)から吹き出されるように、ノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)を制御する(ステップS108)。なお、このときのノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)の運転状態を、「第1運転」と称する場合がある。第1運転が行われるとき、就寝スペース(S)に対して渦輪状の空気が到達する位置は、最初は就寝者(T)の頭部から遠い位置であるが、次第に就寝者(T)の頭部に近い位置へと変化する。ただし、渦輪状の空気は、対象者(T)に間接的にしか作用しない。言い換えれば、渦輪状の空気は、就寝者(T)を直撃しない。これによれば、就寝者(T)に対する渦輪状の空気の作用を、徐々に強くすることができ、かつ、就寝者(T)に対する渦輪状の空気の作用を、間接的なものとすることができる。その結果、就寝者(T)を心地よく目覚めさせることができる。
【0063】
一方、ステップS105の判定の結果、就寝者(T)の睡眠の深さが所定レベル以上であることを示す条件が成立した場合(ステップS105,No)、制御装置(70)の目標位置決定部(76)は、就寝スペース(S)上における目標位置として、第1目標位置及び第2目標位置を、決定する(ステップS109)。
【0064】
具体的には、ステップS109において目標位置決定部(76)は、ステップS106と同様の処理により、第1目標位置を決定する(
図6を参照)。
【0065】
さらに、ステップS109において目標位置決定部(76)は、ステップS103で特定した、就寝者(T)の頭部が位置するマトリックスに相当する、就寝スペース(S)上の位置を、第2目標位置として決定する(
図6を参照)。
【0066】
ステップS109の後、制御装置(70)の吹出しパターン決定部(77)は、目標位置決定部(76)により決定した第1目標位置及び第2目標位置に対して、いずれの順序で渦輪状の空気を作用させるかの、順序(吹出しパターン)を決定する(ステップS110)。第1目標位置及び第2目標位置に対して、渦輪状の空気を作用させる順序は、一定の順序であっても、ランダムな順序であってもよい。本例では、いずれかの第1目標位置に向かって渦輪状の空気を吹き出す動作(第1動作)と、第2目標位置に向かって渦輪状の空気を吹き出す動作とが、交互に現れるように、吹出しパターンが決定される。
【0067】
ステップS110の後、制御装置(70)の吹出し指示部(79)は、無線通信端末(5)で設定された開始時刻から終了時刻にかけて、ステップS110で決定された吹出しパターンに従って、渦輪状の空気が渦輪吹出し口(36)から吹き出されるように、ノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)を制御する(ステップS111)。なお、このときのノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)の運転状態を、「第2運転」と称する場合がある。第2運転が行われると、就寝スペース(S)に対して渦輪状の空気が到達する位置は、就寝者(T)に直接的に作用する位置と、就寝者(T)に間接的に作用する位置とが、交互に繰り返されるように変化する。言い換えれば、渦輪状の空気は、就寝者(T)を直撃する状態と、就寝者(T)を直撃しない状態とを、順次繰り返す。その結果、就寝者(T)にリズムよく渦輪状の空気による刺激を与え、就寝者(T)を確実に目覚めさせることができる。
【0068】
なお、本明細書において、「渦輪状の空気が対象者に間接的に作用する」とは、就寝者(T)が渦輪状の空気を耳で感じ取れる場合や、渦輪状の空気が就寝スペース(S)上に衝突した後の空気を顔や耳で感じ取れる場合を指す。一方、「渦輪状の空気が対象者に直接的に作用する」とは、就寝者(T)の顔面に渦輪状の空気が、ベッド上面等を介することなく衝突する場合を指す。
【0069】
ステップS101において、就寝スペース(S)に居る人の数が2人以上であると判定された場合(ステップS110,Yes)、続いて制御装置(70)は、サーモセンサ(27)により就寝スペース(S)上に居る人の位置が2つ以上検出されたか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、制御装置(70)は、サーモセンサ(27)により検出された2つ以上の高温領域がそれぞれ、閾値以上かつ閾値以下の温度であるかを、判定する。閾値は、通常の人の体温が範囲内に包含されるように、適宜設定される。具体的には、閾値は、例えば35度以上40度以下とすることができる。
【0070】
サーモセンサ(27)により2つ以上の就寝者(T)の位置が検出された場合(ステップS201,Yes)制御装置(70)は、就寝者(T)の頭部の位置を検出する。具体的には、制御装置(70)は、
図8に示すように、サーモセンサ(27)で得られた温度分布画像を、マトリックス状に分割する。そして、温度分布画像のうち、高温の傾向を示す領域が存する、互いに離れた2つ以上のマトリックスを特定する。高温の傾向を示す領域を特定することで、就寝スペース(S)に居る人の頭部が位置するマトリックスを特定することができる。
【0071】
就寝スペース(S)に居る2人以上の人の頭部を検出した後、制御装置(70)は、目覚めさせる対象である対象者(T)を特定することを試みる(ステップS203)。前述のように、本例では、対象者(T)が使用する枕が、特定部(81)となっている。制御装置(70)は、記憶部(75)から直近の複数回の温度分布画像を読み出し、温度が特徴的に変化している部分を、枕の位置として取得する。制御装置(70)は、枕の位置の最も近くに位置している頭部を対象者(T)の頭部であると判定する。制御装置(70)は、対象者(T)の頭部を特定できるまで、ステップS203の処理を繰り返す。
【0072】
ステップS203において対象者(T)の頭部の位置を特定できた場合(ステップS203,Yes)、続いて制御装置(70)の目標位置決定部(76)は、温度分布画像のうち、対象者(T)の頭部が存するマトリックスに隣接する、4つのマトリックスを特定する。そして、目標位置決定部(76)は、この4つのマトリックスの中で、温度が最も高い領域が存するマトリックスを除いた、残り3つのマトリックスを特定する。目標位置決定部(76)は、これら3つのマトリックスのうち、他方(非対象者)の高温領域(頭部)から最も離れた1つのマトリックスを特定する。目標位置決定部(76)は、就寝スペース(S)上の、この1つに絞られたマトリックスに対応する位置を、第4目標位置として決定する(ステップS204)。
【0073】
ステップS204の後、制御装置(70)の吹出しパターン決定部(77)は、目標位置決定部(76)により決定した第4目標位置に対して渦輪状の空気を作用させるための、吹出しパターンを決定する(ステップS205)。この吹出しパターンは、渦輪状の空気が対象者(T)に間接的に作用し、かつ、渦輪状の空気が非対象者には作用しない目標位置である第4目標位置に向かって、渦輪状の空気を吹き出す動作を含んでいる。なお、この動作は、第1動作に含まれる。吹出しパターン決定部(77)により決定される吹出しパターンは、渦輪状の空気が定期的に第4目標位置に向かって吹き出されるパターンであってもよく、あるいは、渦輪状の空気が不定期に、すなわちランダムなタイミングで、第4目標位置に向かって吹き出されるパターンであってもよい、
ステップS205の後、制御装置(70)の吹出し指示部(79)は、無線通信端末(5)で設定された開始時刻から終了時刻にかけて、ステップS205で決定された吹出しパターンに従って、渦輪状の空気が渦輪吹出し口(36)から吹き出されるように、ノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)を制御する(ステップS206)。なお、このときのノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)の運転状態を、「第3運転」と称する場合がある。第3運転が行われると、就寝スペース(S)に対して渦輪状の空気が到達する位置は、渦輪状の空気が対象者(T)に対して間接的にしか作用せず、かつ、非対象者には作用しない位置とされる。これによれば、非対象者の目を覚まさせてしまうことなく、対象者(T)を心地よく目を覚まさせることができる。
【0074】
なお、ステップS201で就寝スペース(S)上に居る人の位置が2つ以上検出されなかった場合、制御装置(70)は、ステップS101の処理へと戻る。
【0075】
ステップS102において、サーモセンサ(27)により就寝者(T)の位置が検出されなかった場合(ステップS102,No)、本例では、制御装置(70)は、ステップS301〜ステップS303の処置を実行する。
【0076】
ステップS301において、制御装置(70)の目標位置決定部(76)は、記憶部(75)から、予め決められたランダムな目標位置である第5目標位置を読み出す。第5目標位置は、複数の目標位置であって、就寝スペース(S)上にランダムに配置された目標位置である。
図10に、第5目標位置のイメージを示してある。各目標位置は、好ましくは、互いに離間して分布している。
【0077】
ステップS301の後、制御装置(70)の吹出しパターン決定部(77)は、目標位置決定部(76)により取得された複数の第5目標位置に対して、いずれの順序で渦輪状の空気を作用させるかの、順序(吹出しパターン)を決定する(ステップS302)。なお、本明細書では、渦輪状の空気が複数の第5目標位置に向かってランダムに吹き出されるモードを、第2モードと称する場合がある。
【0078】
ステップS302の後、制御装置(70)の吹出し指示部(79)は、無線通信端末(5)で設定された開始時刻から終了時刻にかけて、ステップS302で決定された吹出しパターンに従って、渦輪状の空気が渦輪吹出し口(36)から吹き出されるように、ノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)を制御する(ステップS303)。なお、このときのノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)の運転状態を、「第4運転」と称する場合がある。第4運転が行われることで、就寝スペース(S)上の就寝者(T)の位置が不明な場合に、就寝スペース(S)上のランダムな位置に向けて渦輪状の空気を吹き出すことにより、渦輪状の空気が就寝者(T)に作用する確率を上げることができる。なお、就寝スペース(S)上の就寝者(T)の位置が不明な場合とは、例えば、就寝スペース(S)上において掛け布団Fが対象者(T)の頭部に被さっていてサーモセンサ(27)により高温領域を検出できないような場合を指す。
【0079】
<2.第1実施形態のまとめ>
以上に示したように、本実施形態の目覚まし装置(10)は、気流を就寝スペース(S)上の位置に向かって局所的かつ間欠的に吹き出すことが可能な気流吹出し装置(20)を備える。目覚まし装置(10)においては、制御装置(70)は、位置検出部(27)による位置の検出結果に応じて、就寝スペース(S)上の目標位置を決定し、気流吹出し装置(20)から前記目標位置に向かって、渦輪状の空気を吹き出させる。制御装置(70)は、渦輪状の空気が就寝者(T)に間接的に作用する位置に前記目標位置を設定して渦輪状の空気を吹き出す第1動作を含む第1モードを実行するように、気流吹出し装置(20)を制御する。これによれば、第1モードにおいて、渦輪状の空気が就寝者(T)に間接的に作用することで、就寝スペース(S)にいる対象者を心地よく目を覚まさせることができる。
【0080】
また、本実施形態の目覚まし装置(10)においては、制御装置(70)は、推定部(22)の推定結果に応じて、気流吹出し装置(20)を動作させる。これによれば、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の睡眠の深さに応じて、就寝者(T)を急激に目覚めさせたり、緩慢に目覚めさせたりすることができる。
【0081】
また、本実施形態の目覚まし装置(10)においては、制御装置(70)は、前記第1モードにおいて、推定部(22)により就寝者(T)の睡眠の深さが所定レベルよりも低いことを示す条件が成立すると、少なくとも前記第1動作を実行するように、気流吹出し装置(20)を制御する。すなわち、気流吹出し装置(20)は第1運転の状態とされる。これによれば、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の睡眠の深さが浅い場合に、渦輪状の空気を就寝者(T)に間接的に作用させることにより、就寝者(T)を心地よく目を覚まさせることができる。
【0082】
また、本実施形態の目覚まし装置(10)においては、制御装置(70)は、前記第1モードにおいて、前記第1動作と、渦輪状の空気が対象者に直接的に作用する位置に前記目標位置を設定して渦輪状の空気を吹き出す第2動作と、を含む複数の動作が、所定の順序又はランダムな順序で実行されるように、気流吹出し装置(20)を制御する。すなわち、気流吹出し装置(20)は第2運転の状態をとることができる。これによれば、渦輪状の空気が就寝者(T)に与える刺激が、変化に富んだものとなり、就寝者(T)の目を覚まさせ易くなる。
【0083】
また、本実施形態の目覚まし装置(10)においては、制御装置(70)は、位置検出部(27)による位置の検出結果、及び、特定部(81)による特定結果に応じて、就寝スペース(S)上の前記目標位置を決定し、気流吹出し装置(20)から前記目標位置に向かって、渦輪状の空気を吹き出させる。制御装置(70)は、前記第1モードにおいて、渦輪状の空気が就寝者としての就寝者(T)に間接的に作用し、かつ、渦輪状の空気が非対象者には作用しない位置に、前記目標位置を設定した前記第1動作を実行するように、気流吹出し装置(20)を制御する。すなわち、気流吹出し装置(20)は、第3運転の状態をとることができる。これによれば、就寝スペース(S)上の非対象者の目を覚まさせてしまうことなく、就寝スペース(S)上の対象者(T)の目を覚まさせることができる。
【0084】
また、本実施形態の目覚まし装置(10)においては、制御装置(70)は、位置検出部(27)による位置の検出結果に応じて、前記目標位置を決定し、前記目標位置に応じて方向変更部(71)を駆動させる。これによれば、渦輪状の空気を目標位置に精度よく到達させることができる。その結果、渦輪状の空気を就寝者(T)に効果的に作用させることができ、就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の目を覚まさせることができる。
【0085】
また、本実施形態の目覚まし装置(10)においては、位置検出部(27)が就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の位置を検出できない場合、制御装置(70)は、就寝スペース(S)上の複数の目標位置を決定し、渦輪状の空気を前記複数の目標位置に向かってランダムに吹き出させる第2モードを実行するように、気流吹出し装置(20)を制御する。すなわち、気流吹出し装置(20)は、第4運転の状態をとることができる。これによれば、就寝スペース(S)上における就寝者(T)の位置を検出できない場合には、第2モードにより、渦輪状の空気を就寝スペース(S)上の任意の目標位置に向かってランダムに吹き出すことで、渦輪状の空気が就寝者(T)に作用する確率を上げることができる。その結果、就寝者(T)の目を覚まさせ易くなる。
【0086】
<3.第2実施形態>
第2実施形態に係る目覚まし装置(10)は、制御装置(70)が、ステップS301〜ステップS303の処理に代えて、ステップS401〜ステップS403の処理を実行する点で、第1実施形態に係る目覚まし装置(10)とは異なる。すなわち、第2実施形態においては、制御装置(70)は、サーモセンサ(27)により就寝者(T)の位置が検出されなかった場合(ステップS102,No)に、ステップS401〜ステップS404の処理を実行する。
【0087】
ステップS401において、制御装置(70)の目標位置決定部(76)は、記憶部(75)から、直近で算出された目標位置(例えば、第1目標位置、第2目標位置、及び第3目標位置)を読み出す。
【0088】
ステップS401の後、制御装置(70)の目標位置決定部(76)は、直近で算出された目標位置を踏まえて、今回の目標位置を決定する(ステップS402)。今回の目標位置は、直近で算出された目標位置と同じとしてもよいし、異なるとしてもよい。例えば、今回の目標位置は、サーモセンサ(27)により就寝者(T)の位置が検出されなくなってからの経過時間が長い程、直近で算出された目標位置から離れた位置を複数含むように設定するとしてもよい。
【0089】
ステップS402の後、制御装置(70)の吹出しパターン決定部(77)は、目標位置決定部(76)により決定された今回の目標位置に対して、いずれの順序で渦輪状の空気を作用させるかの、順序(吹出しパターン)を決定する(ステップS403)。なお、本明細書では、渦輪状の空気が、直近の目標位置を踏まえて決められた今回の目標位置に向かって、吹き出されるモードを、第3モードと称する場合がある。
【0090】
ステップS403の後、制御装置(70)の吹出し指示部(79)は、無線通信端末(5)で設定された開始時刻から終了時刻にかけて、ステップS403で決定された今回の吹出しパターンに従って、渦輪状の空気が渦輪吹出し口(36)から吹き出されるように、ノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)を制御する(ステップS404)。なお、このときのノズル可動モータ(71)及び駆動制御部(73)の運転状態を、「第5運転」と称する場合がある。第5運転が行われることで、就寝スペース(S)上の就寝者(T)の位置が不明な場合に、例えば就寝スペース(S)上の就寝者(T)の位置を類推して決めた今回の目標位置に向けて、渦輪状の空気を吹き出すことにより、渦輪状の空気が就寝者(T)に作用する確率を上げることができる。対象者(T)の位置の類推は、最後に就寝者(T)の位置が検出されたときに決定した第2目標位置に基づいて行われてもよく、或いは、これまでの就寝者(T)の位置の推移から現在の位置を類推することにより行われてもよい。
【0091】
<4.第2実施形態のまとめ>
以上に示したように、第2実施形態に係る目覚まし装置(10)においては、位置検出部(27)が就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の位置を検出できない場合、制御装置(70)は、就寝スペース(S)上の複数の目標位置を決定し、気流を複数の目標位置に向かって所定の順序で吹き出させるように、気流吹出し装置(20)を制御する。
【0092】
その結果、就寝者(T)の位置を検出できない場合においても、複数の目標位置に向かって順番に気流を吹き出すことで、就寝者(T)に気流があたる確率を上げることができる。
【0093】
特に、第2実施形態に係る目覚まし装置(10)においては、位置検出部(27)が就寝スペース(S)にいる就寝者(T)の位置を検出できない場合、制御装置(70)は、記憶部(75)に直近で記憶された前記目標位置に基づいて、渦輪状の空気を吹き出させる第3モードを実行するように、気流吹出し装置(20)を制御する。すなわち、気流吹出し装置(20)は、第5運転の状態をとることができる。ここで「直近で記憶された目標位置」とは、記憶部(75)に記憶された時刻が最も新しい目標位置を指す。これによれば、第3モードにより、過去に検出された就寝者(T)の位置に基づいて、現在における就寝スペース(S)上での就寝者(T)の位置を類推し、その類推結果を考慮に入れて、渦輪状の空気を吹き出させることができる。その結果、渦輪状の空気が就寝者(T)に作用する確率を上げることができる。
【0094】
<5.第1変形例>
上記の実施形態では、ノズル可動モータ(71)を駆動させて渦輪吹出し口(36)の向きを変えることで、全ての目標位置に向けて単一の可動ノズル(35)から渦輪状の空気を吹き出していた。しかしながら、上記に代えて、各マトリックスに対応するノズルが個別に設けられているとしてもよい。その場合、ノズルの向きを調整することなく、どのノズルから気流を吹き出すかを選択することにより、目標位置に向けて渦輪状の空気を吹き出すことができる。また、複数の目標位置に向けて同時に、渦輪状の空気を吹き出すことも可能となる。
【0095】
<6.第2変形例>
吹出しパターン決定部(77)が、各吹出し動作(例えば、第1動作)における渦輪状の空気の吹出し速度も、吹出しの順序と併せて、決定することとしてもよい。目標位置に応じて渦輪状の空気の吹出し速度を様々に変えることで、対象者(T)を早急に目覚めさせたり、あるいは緩慢に目を覚まさせたりすることが、可能となる。その場合、対象者(T)が無線通信端末(5)に、起こし方の態様を好みに応じて入力できるようにしてもよい。
【0096】
以上に示したように、第2変形例に係る目覚まし装置(10)においては、制御装置(70)は、気流吹出し装置(20)からの渦輪状の空気の吹出し速度を制御する。これによれば、就寝スペース(S)に対して、渦輪状の空気を、時には大きな衝撃力で、時には小さな衝撃力で、作用させることができる。よって、状況に応じて、対象者(T)を急激に目覚めさせたり、緩慢に目を覚まさせたりすることができる。
【0097】
<7.第3変型例>
気流吹出し装置(20)が吹き出す気流は、必ずしも渦輪状の空気に限らない。気流吹出し装置(20)が吹き出す気流は、例えば直進的に流れる塊状の空気であってもよい。
【0098】
<8.第4変型例>
就寝スペース(S)は、必ずしもベッドや敷き布団の上面に沿った平面的なスペースでなくてもよい。就寝スペース(S)は、例えば就寝者(T)が仮眠する用の椅子の表面に沿う三次元的なスペースなどであってもよい。
【0099】
<9.第5変型例>
上記の実施形態では、位置検出部(27)は、就寝スペース(S)を二次元的に撮像し、また目標位置決定部(76)は、目標位置を平面上の位置として決定していたが、必ずしもこれに限らない。上記に代えて、サーモセンサ(27)が就寝スペース(S)を三次元的に撮像し、また目標位置決定部(76)が目標位置を三次元空間上の位置として決定することにしてもよい。その場合、制御装置(70)は、振動板(42)の振幅を調整することにより、渦輪状の空気の三次元的な到達位置を変更できる。これにより、渦輪状の空気を就寝者(T)に直接的に当てる第2動作と、間接的に当てる第1動作とを、切り替えることができる。
【0100】
<10.第6変型例>
推定部(22)により就寝者(T)の睡眠の深さが所定レベルよりも低いことを示す条件が成立したときに、制御装置(70)が、第1動作だけではなく第2動作も含む運転モードを実行するように、気流吹出し装置(20)を制御することにしてもよい。
【0101】
<11.第7変型例>
上記の実施形態では、記憶部(75)は、直近で決定された目標位置を記憶するとしたが、これに限らない。例えば、記憶部(75)が、所定時間以上前の複数の時刻に決定された目標位置をそれぞれ記憶しているとし、目標位置決定部(76)がこれら複数の目標位置に基づいて就寝者(T)の寝相の傾向を分析し、それに基づいて今回の目標位置を決定することにしてもよい。
【0102】
<12.第8変形例>
就寝者(T)が特定部(81)である枕に所定の動作をすることにより、渦輪状の空気の吹出しが、無線通信端末に入力された終了時刻に関わらず、停止されるものとしてもよい。所定の動作は、例えば、枕を所定時間内に所定回数以上叩く動作としてもよい。
【0103】
<13.第9変形例>
特定部(81)を、就寝者(T)が使用する枕に代えて、就寝者(T)が保持するリモコンなどとしてもよい。
【0104】
<14.第10変形例>
上記の実施形態では、就寝者(T)の睡眠の深さを推定する推定部(22)は、ドップラーセンサであるとしたが、これに限らない。例えば上記に代えて、推定部(22)を、ベッドや敷き布団などの下に敷かれる振動センサとし、就寝者(T)の体動や脈拍を測定するものとしてもよい。
【0105】
<15.第11変形例>
図12に示すように、目覚まし装置(10)は、上述した各実施形態および各変形例の構成において、音発生部(80)を備えていてもよい。本例の音発生部(80)は、例えばスピーカで構成される。音発生部(80)は、例えば照明装置(50)に設けられる。音発生部(80)は、有線または無線を介して制御装置(70)と通信可能に構成される。音発生部(80)は、照明装置(50)と別部品であってもよい。音発生部(80)は、就寝者(T)の枕などの付近に設けてもよい。音発生部(80)は、就寝者(T)が所有するスマートフォンなどの端末装置であってもよい。
【0106】
変形例11では、無線通信端末(5)で設定された開始時刻から終了時刻(即ち、就寝者(T)の起床時刻)にかけて、位置検出部(27)が就寝者(T)の位置を検出する。ここで、位置検出部(27)が就寝者(T)の位置を検出した場合には、上述した実施形態1のように複数の目標位置に対してランダムに気流を放出したり、上述した実施形態2のように複数の目標位置に対して所定の順序で気流を放出したりできる。
【0107】
位置検出部(27)が就寝者(T)の位置を検出できない場合、就寝者(T)の起床時刻において、音発生部(80)が音を発する。具体的には、位置検出部(27)が就寝者(T)の位置を検出できない場合、制御装置(70)は音発生部(80)を制御し、音発生部(80)から所定の目覚まし音を生成させる。これにより、位置検出部(27)が就寝者(T)の位置を検出できない場合にも、就寝者(T)を確実に起こすことができる。
【0108】
位置検出部(27)が就寝者(T)の位置を検出できる場合には、就寝者(T)を気流によって目覚めさせるため、就寝者(T)を快適に目覚めさせることができる。
【0109】
上述の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。また、目標位置を決定するアルゴリズムは、上述のものとは異なっていてもよい。
【解決手段】制御装置(70)は、前記位置検出部(27)による位置の検出結果に応じて、前記就寝スペース(S)上の目標位置を決定し、前記気流吹出し装置(20)から前記目標位置に向かって、気流を吹き出させる。前記制御装置(70)は、気流が対象者(T)に間接的に作用する位置に前記目標位置を設定して気流を吹き出す第1動作を含む第1モードを実行するように、前記気流吹出し装置(20)を制御する。