特許第6954513号(P6954513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6954513
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】シールドフラットケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/08 20060101AFI20211018BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   H01B7/08
   H01B7/18 D
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2021-544934(P2021-544934)
(86)(22)【出願日】2021年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2021012645
【審査請求日】2021年8月2日
(31)【優先権主張番号】特願2020-114586(P2020-114586)
(32)【優先日】2020年7月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小島 千明
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−84514(JP,U)
【文献】 国際公開第2019/208737(WO,A1)
【文献】 国際公開第2019/208247(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/08
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に配置された複数のグランド線と、
前記複数のグランド線の間に設けられるとともに、前記第1面に配置された第1信号線対及び第2信号線対と、
前記複数のグランド線、前記第1信号線対及び前記第2信号線対を覆う絶縁層と、
前記絶縁層を覆うシールド層と、
を有し、
長手方向に垂直な断面において、
前記第1信号線対は、
第1信号線と、
前記第1信号線と隣り合う第2信号線と、
を含み、
前記第2信号線対は、
第3信号線と、
前記第3信号線と隣り合う第4信号線と、
を含み、
前記複数のグランド線は、前記第2信号線と前記第3信号線とに挟まれる第1グランド線を含み、
前記第1信号線と前記第2信号線との間の最短距離は、前記第2信号線と前記第1グランド線との間の最短距離よりも小さく、
前記第3信号線と前記第4信号線との間の最短距離は、前記第3信号線と前記第1グランド線との間の最短距離よりも小さいシールドフラットケーブル。
【請求項2】
前記断面において、
前記第1信号線と前記第2信号線との間の中心間距離は、前記第2信号線と前記第1グランド線との間の中心間距離よりも小さく、
前記第3信号線と前記第4信号線との間の中心間距離は、前記第3信号線と前記第1グランド線との間の中心間距離よりも小さい請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項3】
前記断面において、
前記第1信号線と前記第2信号線との間の中心間距離は、前記第2信号線と前記第1グランド線との間の中心間距離と等しく、
前記第3信号線と前記第4信号線との間の中心間距離は、前記第3信号線と前記第1グランド線との間の中心間距離と等しい請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項4】
前記絶縁層は内面において、前記第1信号線、前記第2信号線、前記第3信号線、前記第4信号線及び前記第1グランド線のそれぞれの全面と接するように設けられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項5】
前記第1信号線、前記第2信号線、前記第3信号線及び前記第4信号線は丸型導体であり、
前記複数のグランド線は平角導体である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項6】
前記断面において、
前記第1グランド線の前記第1面に沿う方向の最大寸法が、前記第2信号線の前記第1面に沿う方向の最大寸法よりも小さく、
前記第1グランド線の前記第1面に沿う方向の最大寸法が、前記第3信号線の前記第1面に沿う方向の最大寸法よりも小さい請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項7】
前記断面において、
前記第1グランド線の断面積が前記第2信号線の断面積よりも小さく、
前記第1グランド線の断面積が前記第3信号線の断面積よりも小さい請求項1から請求項のいずれか1項に記載のシールドフラットケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドフラットケーブルに関する。
【0002】
本出願は、2020年7月2日出願の日本出願第2020−114586号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0003】
差動信号の高速伝送に用いられるケーブルとしてシールドフラットケーブルが知られている。シールドフラットケーブルでは、例えば、2本のグランド線の間に、作動信号が伝送される2本の信号線が配置されることがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2019−207835号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示のシールドフラットケーブルは、第1面に配置された複数のグランド線と、前記複数のグランド線の間に設けられるとともに、前記第1面に配置された一対の信号線と、前記複数のグランド線及び前記一対の信号線を覆う絶縁層と、前記絶縁層を覆うシールド層と、を有し、長手方向に垂直な断面において、前記複数のグランド線は、前記一対の信号線のうちの一方の信号線と隣り合うグランド線を含み、前記一対の信号線の間の最短距離が、前記隣り合うグランド線と前記一方の信号線との間の最短距離よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図3図3は、第2実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図4図4は、第3実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図5図5は、第4実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載のシールドフラットケーブルによれば所期の目的は達成できるものの、信号の更なる高周波化に伴ってクロストークが生じるおそれがある。
【0008】
本開示は、クロストークをより低減できるシールドフラットケーブルを提供することを目的とする。
【0009】
[本開示の効果]
本開示によれば、クロストークをより低減できる。
【0010】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0012】
〔1〕 本開示の一態様に係るシールドフラットケーブルは、第1面に配置された複数のグランド線と、前記複数のグランド線の間に設けられるとともに、前記第1面に配置された一対の信号線と、前記複数のグランド線及び前記一対の信号線を覆う絶縁層と、前記絶縁層を覆うシールド層と、を有し、長手方向に垂直な断面において、前記複数のグランド線は、前記一対の信号線のうちの一方の信号線と隣り合うグランド線を含み、前記一対の信号線の間の最短距離が、前記隣り合うグランド線と前記一方の信号線との間の最短距離よりも小さい。
【0013】
長手方向に垂直な断面において、一対の信号線の間の最短距離が、一対の信号線のうちの一方の信号線と隣り合うグランド線と当該一方の信号線との間の最短距離よりも小さい。このため、隣り合うグランド線と当該一方の信号線との間の容量を低減し、容量性ノイズに起因するクロストークを低減できる。
【0014】
〔2〕 〔1〕において、前記断面において、前記隣り合うグランド線の前記第1面に平行な方向の最大寸法が、前記一方の信号線の前記第1面に平行な方向の最大寸法よりも小さくてもよい。この場合、クロストークをより低減しやすい。
【0015】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記断面において、前記一対の信号線の中心間距離が、前記隣り合うグランド線と前記一方の信号線との中心間距離よりも小さくてもよい。この場合、クロストークをより低減しやすい。
【0016】
〔4〕 〔1〕〜〔3〕において、前記断面において、前記隣り合うグランド線の断面積が前記一方の信号線の断面積よりも小さくてもよい。この場合、クロストークをより低減しやすい。
【0017】
〔5〕 本開示の他の一態様に係るシールドフラットケーブルは、第1面に配置された第1グランド線、第2グランド線及び第3グランド線と、前記第1グランド線と前記第2グランド線との間に設けられるとともに、前記第1面に配置された一対の第1信号線及び第2信号線と、前記第2グランド線と前記第3グランド線との間に設けられるとともに、前記第1面に配置された一対の第3信号線及び第4信号線と、前記第1グランド線、前記第2グランド線、前記第3グランド線、前記第1信号線、前記第2信号線、前記第3信号線及び前記第4信号線を覆う絶縁層と、前記絶縁層を覆うシールド層と、を有し、前記第2信号線は、前記第1信号線よりも前記第2グランド線に近く配置され、前記第4信号線は、前記第3信号線よりも前記第3グランド線に近く配置され、長手方向に垂直な断面において、前記第1信号線と前記第2信号線との間の最短距離が、前記第1グランド線と前記第1信号線との間の最短距離及び前記第2グランド線と前記第2信号線との間の最短距離よりも小さく、前記第3信号線と前記第4信号線との間の最短距離が、前記第2グランド線と前記第3信号線との間の最短距離及び前記第3グランド線と前記第4信号線との間の最短距離よりも小さく、前記第1グランド線、前記第2グランド線及び前記第3グランド線の各々の前記第1面に平行な方向の最大寸法が、前記第1信号線、前記第2信号線、前記第3信号線及び前記第4信号線の各々の前記第1面に平行な方向の最大寸法よりも小さく、前記第1信号線と前記第2信号線との中心間距離が、前記第1グランド線と前記第1信号線との中心間距離及び前記第2グランド線と前記第2信号線との中心間距離よりも小さく、前記第3信号線と前記第4信号線との中心間距離が、前記第2グランド線と前記第3信号線との中心間距離及び前記第3グランド線と前記第4信号線との中心間距離よりも小さい。
【0018】
第1グランド線と第1信号線との間の容量、第2グランド線と第2信号線との間の容量、第2グランド線と第3信号線との間の容量、及び第3グランド線と第4信号線との間の容量を低減し、容量性ノイズに起因するクロストークを低減できる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。各図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定されている。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す平面図である。図2は、第1実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。図2は、図1中のII−II線に沿った断面図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るシールドフラットケーブル100は、XY平面に平行な第1面101に沿って配置された複数のグランド線110を有する。シールドフラットケーブル100は、更に、第1面101においてグランド線110の間にグランド線110に沿って配置された複数の信号線120を有する。グランド線110及び信号線120は、例えばX軸方向に延びる。シールドフラットケーブル100は、例えば、3本のグランド線110と、4本の信号線120とを含む。グランド線110及び信号線120は、例えば、銅箔、錫メッキ軟銅箔等の金属からなる。
【0022】
3本のグランド線110は、第1グランド線111と、第2グランド線112と、第3グランド線113とを含む。第2グランド線112が第1グランド線111の+Y側に配置され、第3グランド線113が第2グランド線112の+Y側に配置されている。すなわち、Y軸方向において、第2グランド線112が第1グランド線111と第3グランド線113との間に配置されている。
【0023】
4本の信号線120は、第1信号線121と、第2信号線122と、第3信号線123と、第4信号線124とを含む。第1信号線121及び第2信号線122は、Y軸方向において、第1グランド線111と第2グランド線112との間に配置されている。第2信号線122は第1信号線121の+Y側に配置されている。従って、第1信号線121と第1グランド線111とが隣り合い、第2信号線122と第2グランド線112とが隣り合う。第3信号線123及び第4信号線124は、Y軸方向において、第2グランド線112と第3グランド線113との間に配置されている。第4信号線124は第3信号線123の+Y側に配置されている。従って、第3信号線123と第2グランド線112とが隣り合い、第4信号線124と第3グランド線113とが隣り合う。第1信号線121及び第2信号線122の第1信号線対126が第1差動信号の伝送に用いられ、第3信号線123及び第4信号線124の第2信号線対127が第2差動信号の伝送に用いられる。
【0024】
シールドフラットケーブル100は、第1面101を挟み、グランド線110及び信号線120を覆う絶縁層130を有する。例えば、絶縁層130は、第1面101の−Z側の第1絶縁層131と、第1面101の+Z側の第2絶縁層132とを有する。第1絶縁層131は、第1面101とは反対側に第2面131Aを備える。第2絶縁層132は、第1面101とは反対側に第2面132Aを備える。第2面131A及び132Aは外面の一例である。
【0025】
シールドフラットケーブル100は、絶縁層130を覆うシールド層140を有する。シールド層140は、第1絶縁層131の第2面131Aを覆う第1シールド層141と、第2絶縁層132の第2面132Aを覆う第2シールド層142とを有する。第1シールド層141又は第2シールド層142の一方が設けられていれば、シールドフラットケーブル100の柔軟性を向上させるために、他方が設けられていなくてもよい。第1シールド層141及び第2シールド層142が、絶縁層130のZX平面に平行な側面を更に覆っていてもよい。
【0026】
例えば、グランド線110及び信号線120は平角導体であり、シールドフラットケーブル100の長手方向に垂直な断面(図2に示す断面)におけるグランド線110及び信号線120の形状は、長方形である。図2に示す断面において、例えば、グランド線110及び信号線120の厚さ(Z軸方向の寸法)は、0.01mm以上0.10mm以下である。
【0027】
第1グランド線111は、−Y側の側面111Aと+Y側の側面111Bとを備える。第2グランド線112は、−Y側の側面112Aと+Y側の側面112Bとを備える。第3グランド線113は、−Y側の側面113Aと+Y側の側面113Bとを備える。第1信号線121は、−Y側の側面121Aと+Y側の側面121Bとを備える。第2信号線122は、−Y側の側面122Aと+Y側の側面122Bとを備える。第3信号線123は、−Y側の側面123Aと+Y側の側面123Bとを備える。第4信号線124は、−Y側の側面124Aと+Y側の側面124Bとを備える。
【0028】
図2に示す断面において、第1グランド線111の幅と、第2グランド線112の幅と、第3グランド線113の幅とは互いに等しく、幅Wgである。第1グランド線111の幅は側面111Aと側面111Bとの間の距離であり、第2グランド線112の幅は側面112Aと側面112Bとの間の距離であり、第3グランド線113の幅は側面113Aと側面113Bとの間の距離である。図2に示す断面において、第1信号線121の幅と、第2信号線122の幅と、第3信号線123の幅と、第4信号線124の幅とは互いに等しく、幅Wsである。第1信号線121の幅は側面121Aと側面121Bとの間の距離であり、第2信号線122の幅は側面122Aと側面122Bとの間の距離であり、第3信号線123の幅は側面123Aと側面123Bとの間の距離であり、第4信号線124の幅は側面124Aと側面124Bとの間の距離である。例えば、グランド線110の幅Wgは0.10mm以上0.20mm以下であり、信号線120の幅Wsは0.20mm以上0.30mm以下であり、幅Wgが幅Wsよりも小さい。つまり、図2に示す断面において、グランド線110の第1面101に沿う方向(Y軸方向)の最大寸法が、信号線120の第1面101に沿う方向(Y軸方向)の最大寸法よりも小さい。また、図2に示す断面において、グランド線110の断面積が信号線120の断面積よりも小さい。
【0029】
図2に示す断面において、第1信号線121の側面121Bと第2信号線122の側面122Aとの間の距離と、第3信号線123の側面123Bと第4信号線124の側面124Aとの間の距離とは互いに等しく、距離L1ssである。図2に示す断面において、第1グランド線111の側面111Bと第1信号線121の側面121Aとの間の距離と、第2グランド線112の側面112Aと第2信号線122の側面122Bとの間の距離と、第2グランド線112の側面112Bと第3信号線123の側面123Aとの間の距離と、第3グランド線113の側面113Aと第4信号線124の側面124Bとの間の距離とは互いに等しく、距離L1sgである。例えば、距離L1ssは0.25mm以上0.45mm以下であり、距離L1sgは0.35mm以上0.55mm以下であり、距離L1ssが距離L1sgよりも小さい。つまり、図2に示す断面において、隣り合う2本の信号線120の間の最短距離(Y軸方向の距離)が、隣り合うグランド線110と信号線120との間の最短距離(Y軸方向の距離)よりも小さい。
【0030】
図2に示す断面において、第1信号線121の中心と第2信号線122の中心との間の距離と、第3信号線123の中心と第4信号線124の中心との間の距離とは互いに等しく、距離L2ssである。図2に示す断面において、第1グランド線111の中心と第1信号線121の中心との間の距離と、第2グランド線112の中心と第2信号線122の中心との間の距離と、第2グランド線112の中心と第3信号線123の中心との間の距離と、第3グランド線113の中心と第4信号線124の中心との間の距離とは互いに等しく、距離L2sgである。例えば、距離L2ssは0.55mm以上0.65mm以下であり、距離L2sgは0.60mm以上0.70mm以下であり、距離L2ssが距離L2sgよりも小さい。つまり、図2に示す断面において、隣り合う2本の信号線120の間の中心間距離(Y軸方向の距離)が、隣り合うグランド線110と信号線120との間の中心間距離(Y軸方向の距離)よりも小さい。
【0031】
グランド線110及び信号線120が絶縁層130により覆われているため、グランド線110及び信号線120の上記のような配列状態が保持される。
【0032】
絶縁層130の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂等が挙げられる。なお、これらの樹脂のうち、電気的特性、機械的特性、コスト等の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。第1絶縁層131及び第2絶縁層132の厚さは、例えば、9μm以上100μm以下である。
【0033】
第1シールド層141及び第2シールド層142は、それぞれ、絶縁層130側から順に配置された接着層、樹脂層及び金属層を含む。金属層としては、例えば、アルミニウム箔が用いられる。樹脂層の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、低誘電率ポリエチレン等が挙げられる。樹脂層が接着性を備える場合、接着層が含まれなくてもよい。第1シールド層141及び第2シールド層142の厚さは、例えば、30μm以上90μm以下である。
【0034】
第1実施形態に係るシールドフラットケーブル100では、距離L1ssが距離L1sgよりも小さい。このため、隣り合うグランド線110と信号線120との間の容量を低減し、容量性ノイズに起因するクロストークを低減できる。例えば、第1信号線対126を用いて伝送される第1差動信号と、第2信号線対127を用いて伝送される第2差動信号との間のクロストークを低減できる。
【0035】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。図3は、第2実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第2実施形態は、主に信号線120の配置の点で第1実施形態と相違する。
【0036】
図3に示すように、第2実施形態に係るシールドフラットケーブル200では、距離L2ssと距離L2sgとが互いに等しい。その一方で、第1実施形態と同様に、距離L1ssは距離L1sgよりも小さく、幅Wgは幅Wsよりも小さく、グランド線110の断面積は信号線120の断面積よりも小さい。例えば、グランド線110の幅Wgは0.10mm以上0.20mm以下であり、信号線120の幅Wsは0.20mm以上0.30mm以下である。例えば、距離L1ssは0.25mm以上0.50mm以下であり、距離L1sgは0.30mm以上0.55mm以下である。例えば、距離L2ss及び距離L2sgは0.55mm以上0.70mm以下である。
【0037】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0038】
第2実施形態に係るシールドフラットケーブル200においても、距離L1ssが距離L1sgよりも小さい。このため、隣り合うグランド線110と信号線120との間の容量を低減し、容量性ノイズに起因するクロストークを低減できる。例えば、第1信号線対126を用いて伝送される第1差動信号と、第2信号線対127を用いて伝送される第2差動信号との間のクロストークを低減できる。
【0039】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。図4は、第3実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第3実施形態は、主にグランド線及び信号線の断面形状の点で第1実施形態と相違する。
【0040】
図4に示すように、第3実施形態に係るシールドフラットケーブル300は、3本のグランド線110及び4本の信号線120に代えて、3本のグランド線310及び4本の信号線320を有する。
【0041】
3本のグランド線310は、第1グランド線311と、第2グランド線312と、第3グランド線313とを含む。第2グランド線312が第1グランド線311の+Y側に配置され、第3グランド線313が第2グランド線312の+Y側に配置されている。すなわち、Y軸方向において、第2グランド線312が第1グランド線311と第3グランド線313との間に配置されている。
【0042】
4本の信号線320は、第1信号線321と、第2信号線322と、第3信号線323と、第4信号線324とを含む。第1信号線321及び第2信号線322は、Y軸方向において、第1グランド線311と第2グランド線312との間に配置されている。第2信号線322は第1信号線321の+Y側に配置されている。従って、第1信号線321と第1グランド線311とが隣り合い、第2信号線322と第2グランド線312とが隣り合う。第3信号線323及び第4信号線324は、Y軸方向において、第2グランド線312と第3グランド線313との間に配置されている。第4信号線324は第3信号線323の+Y側に配置されている。従って、第3信号線323と第2グランド線312とが隣り合い、第4信号線324と第3グランド線313とが隣り合う。第1信号線321及び第2信号線322の第1信号線対326が第1差動信号の伝送に用いられ、第3信号線323及び第4信号線324の第2信号線対327が第2差動信号の伝送に用いられる。
【0043】
例えば、グランド線310及び信号線320は丸型導体であり、シールドフラットケーブル300の長手方向に垂直な断面(図4に示す断面)におけるグランド線310及び信号線320の形状は、円である。図4に示す断面において、例えば、グランド線110の直径Dgは、0.10mm以上0.20mm以下であり、信号線120の直径Dsは、0.20mm以上0.30mm以下である。つまり、図4に示す断面において、グランド線310の第1面101に沿う方向(Y軸方向)の最大寸法が、信号線320の第1面101に沿う方向(Y軸方向)の最大寸法よりも小さい。また、図4に示す断面において、グランド線310の断面積が信号線320の断面積よりも小さい。
【0044】
図4に示す断面において、第1信号線321と第2信号線322との間の最短距離と、第3信号線323と第4信号線324との間の最短距離とは互いに等しく、距離L1ssである。図4に示す断面において、第1グランド線311と第1信号線321との間の最短距離と、第2グランド線312と第2信号線322との間の最短距離と、第2グランド線312と第3信号線323との間の最短距離と、第3グランド線313と第4信号線324との間の最短距離とは互いに等しく、距離L1sgである。例えば、距離L1ssは0.25mm以上0.45mm以下であり、距離L1sgは0.35mm以上0.55mm以下であり、距離L1ssが距離L1sgよりも小さい。つまり、図4に示す断面において、隣り合う2本の信号線320の間の最短距離(Y軸方向の距離)が、隣り合うグランド線310と信号線320との間の最短距離(Y軸方向の距離)よりも小さい。
【0045】
図4に示す断面において、第1信号線321の中心と第2信号線322の中心との間の距離と、第3信号線323の中心と第4信号線324の中心との間の距離とは互いに等しく、距離L2ssである。図4に示す断面において、第1グランド線311の中心と第1信号線321の中心との間の距離と、第2グランド線312の中心と第2信号線322の中心との間の距離と、第2グランド線312の中心と第3信号線323の中心との間の距離と、第3グランド線313の中心と第4信号線324の中心との間の距離とは互いに等しく、距離L2sgである。例えば、距離L2ssは0.55mm以上0.65mm以下であり、距離L2sgは0.60mm以上0.70mm以下であり、距離L2ssが距離L2sgよりも小さい。つまり、図4に示す断面において、隣り合う2本の信号線320の間の中心間距離(Y軸方向の距離)が、隣り合うグランド線310と信号線320との間の中心間距離(Y軸方向の距離)よりも小さい。
【0046】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0047】
第3実施形態に係るシールドフラットケーブル300においても、距離L1ssが距離L1sgよりも小さい。このため、隣り合うグランド線310と信号線320との間の容量を低減し、容量性ノイズに起因するクロストークを低減できる。例えば、第1信号線対326を用いて伝送される第1差動信号と、第2信号線対327を用いて伝送される第2差動信号との間のクロストークを低減できる。
【0048】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。図5は、第4実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第4実施形態は、主に信号線の断面形状の点で第1実施形態と相違する。
【0049】
図5に示すように、第4実施形態に係るシールドフラットケーブル400は、4本の信号線120に代えて、第3の実施形態に係るシールドフラットケーブル300と同様の4本の信号線320を有する。4本の信号線320は、第1信号線321と、第2信号線322と、第3信号線323と、第4信号線324とを含む。第1信号線321、第2信号線322、第3信号線323及び第4信号線324の配置は第3実施形態と同様である。
【0050】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0051】
第4実施形態に係るシールドフラットケーブル400においても、第1、第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
図2図5に示す断面において、グランド線110、310の第1面101に沿う方向の最大寸法(幅Wg、直径Dg)が、信号線120、320の第1面101に沿う方向の最大寸法(幅Ws、直径Ds)よりも小さい場合、距離L1ssを距離L1sgよりも小さくしやすい。このため、クロストークをより低減しやすい。
【0053】
図2図5に示す断面において、隣り合う2本の信号線120の間の中心間距離L2ssが、隣り合うグランド線110と信号線120との間の中心間距離L2sgよりも小さい場合、距離L1ssを距離L1sgよりも小さくしやすい。このため、クロストークをより低減しやすい。
【0054】
図2図5に示す断面において、グランド線110の断面積が信号線120の断面積よりも小さい場合、距離L1ssを距離L1sgよりも小さくしやすい。このため、クロストークをより低減しやすい。
【0055】
本開示において、グランド線及び信号線は、平角導体又は丸型導体に限定されない。例えば、グランド線及び信号線の長手方向に垂直な断面の形状が楕円であってもよく、他の多角形等であってもよい。なお、グランド線、信号線の中心は、シールドフラットケーブルの長手方向に垂直な断面と第1面との交線に沿う方向(図2図5ではY軸方向)で、当該グランド線、信号線内の最も離れた2点の間の中心である。
【0056】
第3、第4実施形態において、第2実施形態のように、距離L2ssと距離L2sgとが互いに等しくてもよい。
【0057】
シールドフラットケーブルに含まれるグランド線及び信号線の数は限定されない。例えば、2つの信号線対の間に2本のグランド線が配置されていてもよい。
【0058】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
100:シールドフラットケーブル
101:第1面
110:グランド線
111:第1グランド線
111A、111B:側面
112:第2グランド線
112A、112B:側面
113:第3グランド線
113A、113B:側面
120:信号線
121:第1信号線
121A、121B:側面
122:第2信号線
122A、122B:側面
123:第3信号線
123A、123B:側面
124:第4信号線
124A、124B:側面
126:第1信号線対
127:第2信号線対
130:絶縁層
131:第1絶縁層
131A:第2面
132:第2絶縁層
132A:第2面
140:シールド層
141:第1シールド層
142:第2シールド層
200:シールドフラットケーブル
300:シールドフラットケーブル
310:グランド線
311:第1グランド線
312:第2グランド線
313:第3グランド線
320:信号線
321:第1信号線
322:第2信号線
323:第3信号線
324:第4信号線
326:第1信号線対
327:第2信号線対
400:シールドフラットケーブル
Dg、Ds:直径
L1sg、L1ss、L2sg、L2ss:距離
Wg、Ws:幅
【要約】
シールドフラットケーブルは、第1面に配置された複数のグランド線と、前記複数のグランド線の間に設けられるとともに、前記第1面に配置された一対の信号線と、前記複数のグランド線及び前記一対の信号線を覆う絶縁層と、前記絶縁層を覆うシールド層と、を有し、長手方向に垂直な断面において、前記複数のグランド線は、前記一対の信号線のうちの一方の信号線と隣り合うグランド線を含み、前記一対の信号線の間の最短距離が、前記隣り合うグランド線と前記一方の信号線との間の最短距離よりも小さい。
図1
図2
図3
図4
図5