(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボイルオフガス(BOGガス)を由来とし、前記BOGガスを精製して純メタンガスの純度を体積率で99.9%以上とし、露点を−72℃(水分2ppm)以下、メタン以外の炭化水素成分の不純物合計濃度をl0ppm以下、一酸化炭素濃度をlppm以下、二酸化炭素濃度をlppm以下、酸素濃度が10ppm以下とした純メタンガスを用いて、600〜900℃の範囲内の加熱環境において触媒を使用した直接分解反応によりナノカーボンを製造するナノカーボンの製造方法。
前記ナノカーボンは、純炭素結晶を含有し、前記純炭素結晶が、グラフェン、グラファイト、単層または多層のカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンの1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のナノカーボンの製造方法。
BOGが発生する貯液槽または、少なくともBOGが収納された容器が移動可能に構成されていることを特徴とする請求項7または8に記載のナノカーボン製造システム。
BOGが発生する貯液槽がLNG貯液槽または液メタン貯液槽であり、前記貯液槽が、貯留物を燃料エネルギーに使用されるものであり、前記反応炉から取り出される水素ガスと未反応メタンの一部または全部が前記燃料エネルギーに使用されるものである請求項4〜9のいずれか1項に記載の記載のナノカーボン製造システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにナノカーボンの原料ガスとしてメタンを用いることが記載されたものが知られている。しかし、一口にメタンガスと言っても、文献にあるのは、バイオメタン、天然ガス(産地や採掘方法、LNGへの液化方法により成分が異なる)、都市ガス、反応合成(メタネーション)メタン、ハイドレードメタン、炭化水素ガスの一種等の記載であり、その純度は80%ぐらいからと様々である。
特許文献1では、炭化水素の使用について具体的な記載はない。また、特許文献2の実施例では、メタンとその他の混合ガスを用いたもののみが示されている。しかし、これらの方法では、ナノカーボンの生産効率や、得られるナノカーボンの特性が十分なものとはいえない。
特許文献3〜7では、メタン以外のガスを使用するため、これを達成するために構成が複雑になり、また、十分な反応効率が得られていない。
また、特許文献8や特許文献9では、特性の一部において優れた特性を有するナノカーボンの製造を可能にしているものの、生産性に対する配慮がなく、また、複数の特性のバランスが考慮されていないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、メタンを含む都市ガスなどよりも純度が高い純メタンを用いることで、ナノカーボンの生産性を高め、さらに、製造されたナノカーボンの特性を十分に向上させることができるナノカーボンの製造方法およびナノカーボン製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明のナノカーボン製造方法のうち、第1の形態は、ボイルオフガス(BOGガス)を由来と
し、前記BOGガスを精製して純メタンガスの純度を体積率で99.9%以上とし、露点を−72℃(水分2ppm)以下、メタン以外の炭化水素成分の不純物合計濃度をl0ppm以下、一酸化炭素濃度をlppm以下、二酸化炭素濃度をlppm以下、酸素濃度が10ppm以下とした純メタンガスを用いて、
600〜900℃の範囲内の加熱環境において触媒を使用した直接分解反応によりナノカーボンを製造する。
【0013】
第
2の形態のナノカーボン製造方法の発明は、前記形態の発明において、前記触媒が、無担持であって、鉄系、ニッケル系、アルミナ系、コバルト系のいずれか1種または複数の組合せである。
【0021】
第
3の形態のナノカーボン製造方法の発明は、前記形態の発明において、前記ナノカーボンは、純炭素結晶を含有し、前記純炭素結晶が、グラフェン、グラファイト、単層または多層のカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンの1種または2種以上を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明のナノカーボン製造システムのうち、第1の形態は、BOGガスを移送するBOGガス移送路と、
前記BOGガス移送路の中途に設けられ、前記BOGガス移送路で移送されるBOGガスを精製してメタン濃度を体積率で99.9%以上に高め、露点を−72℃(水分2ppm)以下、メタン以外の炭化水素成分の不純物合計濃度をl0ppm以下、一酸化炭素濃度をlppm以下、二酸化炭素濃度をlppm以下、酸素濃度が10ppm以下とする精製部と、
触媒が収容され、前記BOGガス移送路が接続されて前記BOGガス移送路を通じて導入される
純メタンガスが前記触媒によって直接分解反応する反応炉と、
前記反応炉内を加熱する加熱部と、
前記反応炉から取り出されたナノカーボンを受け入れるナノカーボン受け入れ部と、を備える。
第2の形態のナノカーボン製造システムの発明は、BOGガスを移送するBOGガス移送路と、
触媒が収容され、前記BOGガス移送路が接続されて前記BOGガス移送路を通じて導入されるBOGガスが前記触媒によって直接分解反応する反応炉と、
前記反応炉内を加熱する加熱部と、
前記反応炉から取り出されたナノカーボンを受け入れるナノカーボン受け入れ部と、を備え、
前記反応炉から排出される残メタンおよび水素を移送するガス排出路を有し、
比較的低温のBOGガスが移送される前記BOGガス移送路と、比較的高温の残メタンおよび水素が移送される前記ガス排出路との間で熱交換を行う熱交換器を有し、
前記ガス排出路は、前記熱交換器より下流側において、エネルギ
ー供給側に接続されることを特徴とす
る
【0024】
第3の形態のナノカーボン製造システムの発明は、前記形態の発明において、前記反応炉に、スクリューフィーダー型の移動床を備え、前記移動床に触媒を投入する触媒投入口を有する。
【0026】
第
4の形態のナノカーボン製造システムの発明は、前記形態の発明において、BOGが
発生する貯液槽または、少なくともBOGが収納された容器を備える。
【0027】
第5の形態のナノカーボン製造システムの発明は、前記形態の発明において、BOGが発生する貯液槽がLNG貯液槽または液メタン貯液槽であり、前記貯液
槽が地上設置タンク、地下タンク、サテライト設備のコールドエバポレータ(CE)、リキッドガスコンテナ;可搬式超低温容器(LGC)のいずれかである。
【0028】
第
6の形態のナノカーボン製造システムの発明は、前記形態の発明において、BOGが発生する貯液槽または、少なくともBOGが収納された容器が移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0029】
第
7の形態のナノカーボン製造システムの発明は、前記形態の発明において、
BOGが発生する貯液槽がLNG貯液槽または液メタン貯液槽であり、前記貯液槽が、貯留物を燃料エネルギーに使用されるものであり、前記反応炉から取り出される水素ガスと未反応メタンの一部または全部が前記燃料エネルギーに使用されるものである。
【発明の効果】
【0030】
すなわち、本発明によれば、純メタンを用いた直接分解反応により、ナノカーボンを高い生産性で生産することができ、得られるナノカーボンの特性もバランス良いという製造の特徴を有している。例えば、LNG貯液槽または液化メタン貯液槽から入熱等により自然気化するBOGガスを原料にナノカーボンを製造することから、従来の原料供給方法に言及していないナノカーボン製造方法に比べて生産性と経済性が飛躍的に向上する。またBOG由来の純度の良いメタンガスを原料にすることでナノカーボンの特性は向上する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のナノカーボン製造システムの概要例を示すものである。
ナノカーボン製造システム1は、純メタン移送路10Cを通じて純メタンが導入されて直接分解反応によってナノカーボンが製造される製造装置5を有しており、製造装置5から取り出されるナノカーボンNCは、ナノカーボン受け入れ部6に取り出される。製造装置5内には、図示しない触媒が配置されている。触媒には、鉄系、ニッケル系、アルミナ系、コバルト系のいずれか1種又は複数の組合せを用いることができる。製造装置5は、本発明の反応炉に相当する。
【0033】
純メタン搬送路10Cの上流側は、供給部4が設けられており、圧力および流量、入ガス温度の調整装置やポンプなどを設けて構成することができる。
供給部4の上流側には、純メタン搬送路10Bが接続されており、純メタン搬送路10Bの上流側には、精製部3が設けられている。精製部3は、上流側から搬送される純メタンの純度を上げるものであり、蒸留、吸着、透過膜などの既知のものにより構成することができる。
精製部3の上流側には、純メタン搬送路10Aが接続されている。純メタン搬送路10Aの上流側は、LNG貯液槽または液メタン貯液槽からなる貯液槽2の上部空間21に接続されている。
【0034】
上部空間21では、貯液槽2に貯液されたLNGや液メタンから蒸発したBOG(ボイルオフガス)が存在している。BOGガスは、純メタンとして高いメタン濃度を有している。なお、図では示していないが、貯液槽2の上部空間にリリーフ弁を設けたものとすることができる。リリーフ弁は貯槽内の圧力を一定に保つ目的で設ける機構であるが、これによって、貯液槽2内に含まれ、メタンと異なる沸点を有する窒素、酸素などの不純物ガスを上部空間21から排除することができる。
貯液槽2の種別は特に限定されるものではなく、LNG地下タンク、LNGサテライトコールドエバポレータ(CE)、液メタンサテライトエバポレータ(CE)、LGC(リキッドガスコンテナ;可搬式超低温容器)などを用いることができる。
【0035】
なお、この実施形態では、BOGガスは、貯液槽2から精製部3に供給するものとして説明したが、貯液槽2の上部空間21から、純メタン搬送路11Aを通じて供給部に直接移送するものとしてもよい。精製部3を介することで純メタンの濃度は、例えば、体積%で99.9%以上、さらには99.9999%以上(6N)とすることができる。純度は、所望の純度にすることができる。
【0036】
また、BOGガスおよび精製部3を介した純メタンは、一旦ボンベ7あるいは再液化してLGCに収納し、ボンベ7に接続された純メタン移送路11Bを介して精製部3に移送したり、純メタン移送路11Cを介して供給部4に移送したりするものとしてもよい。BOGガスは、他所から移動したものでもよく、また、貯液槽から発生したBOGを貯めるものとしてもよい。
【0037】
なお、貯液槽2の貯液部20にあるLNGや液メタンは、燃料エネルギーとして工場などで使用することができ、また、製造装置5でナノカーボンの生成に伴って発生する水素や、反応に関与しなかった未反応のメタンは、同じく、工場などの燃料エネルギーとして使用することができる。
【0038】
図2は、サテライトに設置したナノカーボン製造システム1Aを示すものであり、以下に説明する。
ナノカーボン製造システム1Aは、LNGまたは液メタンを貯留する貯液槽2Aを有しており、貯液槽2Aには、ローリーからの供給路22が設けられており、適宜時期にLNGまたは液メタンを補充することができる。貯液槽2Aでは、例えば、LNGまたは液メタンを、中の圧力によるが、−150℃〜−160℃で貯液する。
貯液槽2Aとしては、サテライト設備のタンク、コールドエバポレータ、リキッドガスコンテナなどを用いることができる。
貯液槽2Aでは、上部空間21Aに連通するリリーフ弁28が設けられており、上部空間内の圧力を逃がすことができ、さらに、純メタンよりも沸点が低い不純物ガスを上部空間21Aから排除することができる。
【0039】
貯液槽2Aの貯液部20Aには送液路23が設けられている。送液路23には、蒸発器24、加温器25が順次介設されている。貯液槽2Aの貯液部20Aに収容されているLNGや液メタンは送液路23に送り出されて蒸発器24で蒸発され、加温器25で加温されて工場などの事業所や住宅などにおいてエネルギー供給に用いることができる。
【0040】
なお、LNGを収容した貯液槽2Aから取り出されるBOGガスは、メタン純度が99%以上で、露点が−72℃(水分2ppm)以下で、メタン以外の炭化水素成分の不純物合計がl0ppm以下であるのが望ましい。
上記BOGガスは、これを精製することで、メタン純度が体積率で、99.9%以上、メタン以外の炭化水素成分の不純物合計がl0ppm以下、一酸化炭素、二酸化炭素が各々体積率でlppm以下、酸素が体積率で10ppm以下、露点が−72℃(水分2ppm)以下であるものとすることができる。
さらに、BOGガスを液化した液メタンを貯留して発生したBOGガスでは、さらに高い純度を有することができ、例えば4N5以上の純度を得ることが可能になる。
また、上記BOGガス由来の純メタンを高度蒸留精製した超高純度メタンは(6N以上)の純度を有することができる。
本発明としては、BOGガスの純度が上記に限定されるものではない。
【0041】
純メタンにおける上記数値について以下に説明する。
・露点が−72℃(水分2ppm)以下
水分は、採掘した天然ガスを低温液化してLNGにする段階で除去される。BOGガスは、このLNG(約−160℃)の気相であるから原理的に水分をほとんど含まない。このBOGガス由来の純メタンを用いることで、純メタン中の水分量を極力低減することができる。水分の低減した純メタンを用いて直接分解を行うことで、効率的な反応を行うことができ、特性においても優位な効果を得ることができる。
バイオメタンや国産天然ガス等、他由来のメタンガスでは(例えば、千葉県や新潟県で算出する国産メタンガス)は、メタン純度で言えば2N程度が見込まれるが、地下水から分離するメタンであることから露点(水分)は相当に悪いものとなる。
【0042】
・メタン以外の炭化水素成分の不純物合計がl0ppm以下
メタン以外の炭化水素量を抑えることで、良好な反応を行うことができる。メタン以外の炭化水素を多く含むと、反応温度に影響が生じ、反応効率を低下させる。またメタンガスの直接反応条件に合わせた触媒温度では、メタンとは異なる炭化水素成分が存在すると炭素結晶の出来具合に影響すると考えられる。
【0043】
・一酸化炭素がlppm以下
一酸化炭素は、還元性の性質をもつガスであり触媒の活性に影響を及ぼすと考えられる。また炭素(C)が存在するガスであることから、やはり炭素結晶の出来具合に影響すると考えられる。
【0044】
・二酸化炭素がlppm以下
二酸化炭素は、常温では不活性であるが、触媒がある高温下では、酸化剤として作用すると考えられる。そのため、メタンガス中の不純物として存在する場合、やはり炭素結晶の出来具合に影響すると考えられる。また、触媒を酸化させたり、温度によりメタンガスや炭素結晶を酸化する可能性がある。
【0045】
・酸素が10ppm以下
酸素成分は、触媒を酸化し、高温下でメタンガスや炭素結晶を酸化する可能性がある。
【0046】
貯液槽2Aの上部空間21Aに蒸発したBOGガスは、貯液槽2Aの上部空間21Aに接続された純メタン移送路13に送り出される。純メタン移送路13の下流端は、ナノカーボン製造装置5に接続されている。純メタン移送路13の途中には加温器26が設けられており、低温BOG(配管口で約−100℃)の純メタンを常温(例えば10℃以上)まで加温して純メタン移送路13などの配管の結露等を防止する。なお、加温器26を介することなく純メタンを下流側に移送するものとしてもよい。
【0047】
この実施形態では、BOGガスをそのままナノカーボン製造装置5に送るものとしているが、前記したように純メタン移送路の途中に精製部を設けてメタン純度を上げるものとしてもよい。例えば、2N程度の純メタンを3N以上の純度に高純度化したり、4N5程度の純メタンを高純度化するものとしてもよい。さらには、高度蒸留精製などによって、6N以上の純度に超高純度化するものとしてもよい。
【0048】
なお、貯液槽2A内に液メタンが収容されている場合、液メタンを取り出し、液メタンを蒸発させて純メタン移送路13に送り出すものとしてもよい。液メタンから蒸発した純メタンは、単独で用いてもよく、また、BOGガスと混合してナノカーボン製造装置5に供給するようにしてもよい。
【0049】
ナノカーボン製造装置5では、スクリューフィーダー50を有しており、モータ52で回転駆動するスクリュー51を備えている。スクリューフィーダー50の搬入側に純メタン搬送路13が接続されて純メタンが搬入側に供給可能になっており、さらに、搬入側に触媒投入部54が設けられている。
スクリューフィーダー50では、搬入側に導入される純メタンと、触媒投入部54から送られる触媒とがスクリュー51で送られながら接触し、スクリュー51で撹拌されつつ送られて純メタンの直接分解反応が生じ、ナノカーボンと水素とが生成される。触媒はスクリュー51で撹拌されつつ搬送されるため、無担持とすることができ、さらに撹拌されつつ搬送されるため反応の際に触媒活性の低下が抑えられるほか、炉内温度の均一化や触媒に接触しないガスの流れを防ぎガスと触媒の接触確率が高まる等の効果で反応効率を高く保つことができる。なお、触媒に助触媒を加えて反応を行うものとしてもよい。
【0050】
なお、触媒投入部54から投入される触媒としては、鉄系、ニッケル系、アルミナ系などを例示することができ、さらに、具体的にはコバルト系を示すことができる。本発明としては触媒の種別が特に限定されるものではないが、鉄系、ニッケル系、アルミナ系、コバルト系などを好適に使用することができる。
【0051】
スクリューフィーダー50の外周側には、加熱部としてヒータ53が配置されており、スクリューフィーダー50の内部を加熱する。加熱温度としては、例えば600〜900℃を好適な温度とすることができる。触媒の種類により反応温度が異なり、ニッケル系では650℃前後、鉄系では750℃前後、コバルト系では850℃前後が好適である。
【0052】
ただし、本発明としては加熱温度が上記範囲に限定されるものではない。なお、加熱部の構成はヒータに限定されるものではなく、例えばガス焚きや放射加熱等の適宜の加熱構成を採用することができ、本発明としてはその構成が特に限定されるものではない。
なお、スクリューフィーダー50に供給する純メタン量は、適切な流量で導入するのが望ましく、例えば5〜50L/minの流量が好適例として挙げられる。
流量が少ない場合は反応効率が高くなり水素転化率が高くなり、ナノカーボン直径は太くなる。流量が多い場合は、水素転化率は低下するが直径は細くなる。
ただし、本発明としては当該流量に限定されるものではない。
スクリューフィーダー50では、ナノカーボンが効率よく生産されており、例えば、 12L/min以上でナノカーボンが生産され、高い生産性が得られている。
【0053】
スクリューフィーダー50では、ナノカーボンを排出する排出部55を有し、排出部55の排出先にナノカーボン受け入れ部6を有しており、ナノカーボン受け入れ部6にナノカーボンが収納される。ナノカーボン受け入れ部6の構成は特に限定されるものではなく、そのままナノカーボンを滞留させるものでもよく、また、コンベヤなどで適宜個所に搬送するものでもよく、さらには、ナノカーボンを利用する装置に投入する構成としてもよい。
スクリューフィーダー50の出口では、さらに、生成物としての水素と、反応に寄与しなかった残メタンが排出される。これらの残メタン、反応水素は、工場などの燃料エネルギーなどとして使用することができる。
【0054】
ナノカーボン受け入れ部5に収容されたナノカーボンは、優れた特性を有しており、平均直径、電気抵抗率、比表面積においてバランスのよい特性を有している。具体的には、平均直径で90nm以下、電気抵抗率で0.70Ω・cm以下、比表面積が115m
2/g以上の数値を期待することができる。なお、本発明としては、これら特性を有していることが条件とされるものではない。
【0055】
なお、上記実施形態では、反応炉としてスクリューフィーダーを用いるものとして説明したが、本発明としては反応炉がスクリューフィーダにより構成されたものに限定されるものではない。
【0056】
得られたナノカーボンは、添加助材として、そのままゴム、樹脂、建材、電池、塗料・インクなどの各種の材料特性を向上させる用途に利用することができ、また、分散材、バインダー(結着材)等、他の物質と混合したコンパウンドとして上記した用途などに広く適用することができる。本願発明としては有用に利用できる用途が特に限定されるものではない。
【0057】
なお、スクリューフィーダー50から排出される水素と残メタンは、出口で500℃を超える高温ガスであることから、例えば貯液槽の出口配管で約−100℃の低温BOGと熱交換することによりガス温度を常温としてから燃料エネルギー配管に導入する。また、反応炉に入るBOGも予熱されるので炭素生成への反応効率が良くなる。
この変更例のナノカーボン製造システム1Bを
図3に示す。なお、
図2で示す実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化する。
【0058】
貯留槽2Aの上部空間21Aに接続された純メタン移送路13は、熱交換器26の熱交換用の第1の経路を介してナノカーボン製造装置5のスクリューフィーダー50に接続されている。一方、スクリューフィーダー50の排出側では、排出ガス移送路27が接続されており、排出ガス移送路27では、スクリューフィーダー50内で高温、例えば約500℃となった残メタンと水素とが排出される。排出ガス移送路27は、熱交換器26の熱交換用の第2の経路を介して、図の例では蒸発器24に接続されている。
熱交換器26では、純メタン移送路13で移送される約−100℃のBOGガスと、排出ガス移送路27で送られる約500℃の残メタン+水素が熱交換され、BOGガスは、加熱され、残メタン+水素は、計算上は100〜200℃程度に冷却されてそれぞれ移送される。それぞれのガスは、反応に伴って移送されるため、効率的に熱交換を行うことができる。
【0059】
上記
図2、
図3の説明では、LNGまたは液メタンのサテライト設備で用いる例について説明したが、本発明で適用し得る各種の供給体系について
図4に基づいて説明する。
LNG基地、地上タンク、地下タンクなどの貯液槽200では、各種の利用形態で純メタンが用いられる。
その一つでは、貯液槽200内のLNGを、LNGローリー300で輸送し、工場などでサテライトのコールドエバポレータ600などに収容する。コールドエバポレータ600に収容されたLNGは、工場の燃料などとして用いられる。コールドエバポレータ600で発生したBOGガスは、ナノカーボン製造装置5に供給され、前記で説明したようにナノカーボンが製造される。
【0060】
貯液槽2で発生したBOGガスは、蒸留・再液化塔400において、蒸留塔401で蒸留を行い、再液化塔402で蒸留したガスを再液化する。再液化した純メタンは、貯液槽403に液メタンとして収容される。貯液槽400内の液メタンは、液メタンローリー310で移送して、工場500内の液メタンを貯留するコールドエバポレータ610などに貯留される。コールドエバポレータ610内の液メタンは、蒸発させて純メタンとしてナノカーボン製造装置5に供給してナノカーボンの製造に用いることができる。コールドエバポレータ610で発生したBOGガスは、同じくナノカーボン製造装置5に供給してナノカーボンの製造に用いることができる。
【0061】
貯液槽403では、液メタンは移動可能なタンク320に移し替えて移動し、工場において、液メタンを蒸発させた純メタンを用いてナノカーボン製造装置5でナノカーボンを製造することができる。
貯液槽403で発生したBOGガスは、3N純度の高純度メタンとしてボンベ330に収納し、工場500においてナノカーボン製造装置5でナノカーボンの製造に用いられる。
【0062】
また、貯液槽200で発生したBOGガスは、精製部410に移送されて、例えば超高蒸留塔で精製され、6N純度の純メタンとされて移動可能なボンベ330に収容され、工場500に運ばれてナノカーボン製造装置5でナノカーボンNCの製造に用いられる。
上記で説明したように、ナノカーボンの製造に際しては、純メタンに関し種々の供給形態があり、固定された個所のみでなく、移動を伴ってサテライトでナノカーボンの製造を行う形態も本願発明に含まれる。
【0063】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の技術的範囲は上記実施形態で説明した内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは上記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
【実施例1】
【0064】
次に、本発明の実施例を説明する。
反応ガスとして、都市ガス(13A)と、3N純度の高純度メタン(CH
4)と、6N純度の超高純度メタン(CH
4)を用意した。3N高純度メタン、6N超高純度メタンは、本発明例で使用されるBOG由来の精製した純メタンである。天然ガスを原料にした一般的な都市ガス(13A)のメタン純度は、体積率で約90%前後であり、本発明例に対する比較例として用いられる。
高純度メタンと、超高純度メタンは、BOG由来のメタンを用いており、高純度メタンおよび超高純度メタンは、BOGガスを精製してメタンの高純度化を図ったものである。
なお、使用した、BOGガスから精製した高純度メタンガスおよび超高純度メタンは、メタン以外の炭化水素成分の不純物合計がl0ppm以下であり、一酸化炭素、二酸化炭素が各々lppm以下、酸素が10ppm以下、露点が−72℃(水分2ppm)以下である。
【0065】
上記各ガスを用いる反応炉としては、
図5に示すように、内径26mm径の石英反応管55Aを用いた。石英反応官55Aは横置きにし、内部に触媒56を収納し、管内をメタンで置換した後、750℃に加熱した。触媒には鉄系触媒1gを用いた。石英反応官55A内に、反応ガスを送り、直接分解反応を行った。この分解反応によってナノカーボンの生成炭素と生成ガスとが得られた。反応ガスの流量は、100ml/minとし、反応時間は180分とした。
水素活性は時間の経過とともに低下した。各反応ガスにおける水素活性に大きな相違はなかった。
【0066】
生成炭素についてX線回折によりXRDパターンを得た。得られたパターンを
図6〜8に示した。各パターンでは、約26度にピークを有しており、約45度に有するピークはα−Feを示している。α−Feは、触媒である酸化鉄が還元雰囲気の高温中で活性種である金属鉄に変化したものである。
各反応ガスでは、炭素に相当する回折角度において高い強度が得られていた。特に、3Nの高純度メタン、6Nの超高純度メタンでは、FeのX線強度に比べて、Cの回折角度において、より高いX線強度が得られており、炭素が結晶化している。
また、3Nの高純度メタンよりも、6Nの超高純度メタンの方が、炭素の強度がより高くなっており、純メタンの純度を上げることで、高い結晶性の炭素が得られる。
X線回折装置には試料水平型多目的X線回折装置 Ultima IV(リガク電機社製)を使用し40Kv,20mA(CuKα)の条件で測定した。
【0067】
次に、生成炭素の細孔径分布をSorptomatic 1990 (ThermoQuest社製)を用いて窒素吸着法により測定し、BETプロットおよびBJH法によって比表面積、細孔容積を算出した。その結果を
図9〜11に示した。
都市ガス(13A)では、比表面積111m
2/g、細孔容積0.75mg/gであり、比表面積が比較的小さく、細孔容積はやや大きくなった。
3Nの高純度メタンでは、比表面積が116m
2/g、細孔容積0.73mg/gであり、都市ガス(13A)よりも比表面積が大きく、細孔容積が小さくなっていた。
さらに、6Nの超高純度メタンでは、比表面積が131m
2/g、細孔容積0.61mg/gであり、3Nの高純度メタンよりも比表面積が大きく、細孔容積が小さくなっていた。純メタンの純度を上げることで、生成炭素の比表面積がより大きくなり、細孔容積がより小さくなっていた。
【0068】
次に、得られた生成炭素を走査型電子顕微鏡で観察し、SEM画像(2万倍)を得た。各SEM画像を
図12〜14に示す。観察では、加速電圧20kV、ワーキングディスタンス11mmの条件で行った。出来たナノカーボンは線状のものである。
各SEM画像において、2枚の画像より各15カ所、計30カ所ランダムに線状ナノカーボンの直径を計測してその平均値より、ナノカーボンの直径を得た。各画面にナノカーボン直径値を記載している。
都市ガス(13A)では、直径は95.2nmであり、3Nの高純度メタンでは、直径は85.0nmであり、6Nの超高純度メタンでは、直径は80.6nmであった。都市ガス(13A)に比べて高純度メタン、超高純度メタンは直径が小さくなっており、高純度メタンに比べて超高純度メタンはより直径が小さくなっていた。すなわち、純メタンの純度を上げることで、線状ナノカーボンの直径がより小さくなっていることが分かる。
【0069】
各使用ガスに基づくナノカーボンの特性を表1にまとめた。なお、生成炭素量は、回収炭素量から触媒重量を減じて算出したものである。生成炭素量は、都市ガスよりも高純度メタン、超高純度メタンの方が多くの生成炭素量が得られている。都市ガスよりも純メタンの純度を高めることで生成炭素の結晶性が上がっている。
【0070】
また、各使用ガスによって得られたナノカーボンの生成炭素(粉)の電気抵抗率を電気抵抗測定装置(井元製作所IMC-0240型)により四端子法より算出した。電気抵抗率は、都市ガス(13A)よりも高純度メタン、超高純度メタンの方が小さく、高純度メタンよりも超高純度メタンの方がより小さくなっている。
すなわち、純メタンの純度を上げることで、生成炭素の電気抵抗率がより小さくなっていることが分かる。つまりメタン純度がより良いガスから製造したナノカーボン生成炭素は導電率が良くなる。
上記したように、本発明の方法により生成されたナノカーボンは、平均直径、電気抵抗率、比表面積においてバランスのよい特性を有している。すなわち、平均直径は90nm以下、電気抵抗率が0.70Ω・cm、比表面積が115m
2/g以上になっている。
【0071】
また、電気抵抗率について市販のものと比較すると、表2に示すように、市販のナノカーボンは、いずれも本発明で生成されたナノカーボンよりも高い電気抵抗率を有しており、本発明のナノカーボンは、例えばリチウムイオン電池の導電助材、燃料電池の電極助材、配線材料などの電気部材として有効に利用することができる。
【0072】
【表1】
【0073】
【表1】