特許第6954595号(P6954595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6954595オスネジ部材設置構造およびオスネジ部材設置方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954595
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】オスネジ部材設置構造およびオスネジ部材設置方法。
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/48 20060101AFI20211018BHJP
【FI】
   E04B1/48 E
   E04B1/48 K
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-101337(P2017-101337)
(22)【出願日】2017年5月23日
(65)【公開番号】特開2018-197421(P2018-197421A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】507397766
【氏名又は名称】株式会社スクリムテックジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】河野 泰之
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−271424(JP,A)
【文献】 実開昭55−086108(JP,U)
【文献】 特開平07−173880(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0199589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38−1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オスネジと、
前記オスネジが螺合しているオスネジ螺合材と、
オスネジ用孔が設けられており、前記オスネジが前記オスネジ用孔内に所定の姿勢で設置されるように、前記オスネジが螺合しているオスネジ螺合材が設置されている部材と、
前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間に充填されている充填材と、
を有し、
前記オスネジには、この中心軸に沿って延びている貫通孔が設けられており、
前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいる貫通孔が設けられており、この貫通孔は、前記オスネジ用孔の開口部と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部をつなぐようにして、前記部材、前記オスネジ螺合材の少なくともいずれかに設けられており、
前記オスネジの貫通孔は、前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいることを特徴とするオスネジ部材設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載のオスネジ部材設置構造において、
前記オスネジ螺合材は、接合材によって前記部材に直接接合されており、
前記オスネジ螺合材の、前記部材に直接接合されている面とは反対側の平面と、前記部材の所定の1つの平面とは、1つの平面内に位置しており、この1つの平面から前記オスネジが所定の長さ突出していることを特徴とするオスネジ部材設置構造。
【請求項3】
オスネジ螺合材のメスネジにオスネジを螺合させるネジ螺合工程と、
オスネジ用孔が設けられている部材に、前記ネジ螺合工程によってオスネジが螺合しているオスネジ螺合材を、前記オスネジが前記オスネジ用孔内で前記オスネジ用孔に対して所定の姿勢になるように設置するオスネジ螺合材設置工程と、
前記オスネジ螺合材設置工程によって形成された前記オスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間に充填材を充填する充填材設置工程と、
を有し、前記オスネジには、この中心軸に沿って延びている貫通孔が設けられており、
前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいる貫通孔が設けられており、この貫通孔は、前記オスネジ用孔の開口部と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部をつなぐようにして、前記部材、前記オスネジ螺合材の少なくともいずれかに設けられており、
前記オスネジの貫通孔は、前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいることを特徴とするオスネジ部材設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オスネジ部材設置構造およびオスネジ部材設置方法に係り、特に、充填材を用いてオスネジを部材に設置するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に示すように、部材(たとえば合板等の木材)301に孔303を設け、孔303にオスネジ305を挿入し、孔303とオスネジ305と間に形成された空間(隙間)307に接着剤309を充填したオスネジ部材設置構造311が知られている。
【0003】
オスネジ部材設置構造311を採用することで、オスネジ305を部材301に強固に設置することができる。オスネジ305が突出している部材301は、たとえば、建屋の構造物として使用される。
【0004】
ここで、従来の技術に関連する文献として、たとえば、特許文献1を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−101902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のオスネジ部材設置構造311では、図7で示すように、オスネジ305が孔303にまっすぐに刺さらず、部材301の端面301Aに対して斜めに傾いてしまうという問題がある。
【0007】
そして、図8で示すように、オスネジ305が突出している部材301を、オスネジ305を用いて他の構造物313に設置しようしても、他の構造物313の孔315とオスネジ305とが合わず、この修正のために、部材301の他の構造物313への設置に多くの工数がかかってしまう。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、部材の孔にオスネジを挿入し、孔とオスネジと間に形成された空間(隙間)に接着剤を充填したオスネジ部材設置構造において、部材に対するオスネジの姿勢を正確なものにすることができるオスネジ部材設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、オスネジと、前記オスネジが螺合しているオスネジ螺合材と、オスネジ用孔が設けられており、前記オスネジが前記オスネジ用孔内に所定の姿勢で設置されるように、前記オスネジが螺合しているオスネジ螺合材が設置されている部材と、前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間に充填されている充填材とを有し、前記オスネジには、この中心軸に沿って延びている貫通孔が設けられており、前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいる貫通孔が設けられており、この貫通孔は、前記オスネジ用孔の開口部と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部をつなぐようにして、前記部材、前記オスネジ螺合材の少なくともいずれかに設けられており、前記オスネジの貫通孔は、前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいるオスネジ部材設置構造である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のオスネジ部材設置構造において、前記オスネジ螺合材は、接合材によって前記部材に直接接合されており、前記オスネジ螺合材の、前記部材に直接接合されている面とは反対側の平面と、前記部材の所定の1つの平面とは、1つの平面内に位置しており、この1つの平面から前記オスネジが所定の長さ突出しているオスネジ部材設置構造である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、オスネジ螺合材のメスネジにオスネジを螺合させるネジ螺合工程と、オスネジ用孔が設けられている部材に、前記ネジ螺合工程によってオスネジが螺合しているオスネジ螺合材を、前記オスネジが前記オスネジ用孔内で前記オスネジ用孔に対して所定の姿勢になるように設置するオスネジ螺合材設置工程と、前記オスネジ螺合材設置工程によって形成された前記オスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間に充填材を充填する充填材設置工程とを有し、前記オスネジには、この中心軸に沿って延びている貫通孔が設けられており、前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいる貫通孔が設けられており、この貫通孔は、前記オスネジ用孔の開口部と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部をつなぐようにして、前記部材、前記オスネジ螺合材の少なくともいずれかに設けられており、前記オスネジの貫通孔は、前記部材のオスネジ用孔と前記オスネジとの間の空間と、前記部材および前記オスネジ螺合材との外部とをつないでいるオスネジ部材設置方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、部材の孔にオスネジを挿入し、孔とオスネジと間に形成された空間(隙間)に接着剤を充填したオスネジ部材設置構造において、部材に対するオスネジの姿勢を正確なものにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るオスネジ部材設置構造を示す断面図である。
図2】変形例に係るオスネジ部材設置構造を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るオスネジ部材設置構造であって複数のオスネジと複数のオスネジ螺合材とが設けられているものを示す断面図である。
図4】(a)はオスネジ螺合材の断面図であり、(b)は(a)におけるIVB矢視図である。
図5図3に示すオスネジ部材設置構造を用いて、部材を他の構造物に設置した状態を示す断面図である。
図6】他の変形例に係るオスネジ部材設置構造を示す断面図である。
図7】従来のオスネジ部材設置構造を示す図である。
図8】従来のオスネジ部材設置構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係るオスネジ部材設置構造1は、たとえば、建屋等の構造物に用いられるものであり、図1等で示すように、オスネジ3とオスネジ螺合材5と部材7と充填材9とを備えて構成されている。
【0017】
オスネジ(GIR;グルードインロッド)3は、たとえば、転造によって形成された鋼等の金属製の全ネジボルトで構成されている。なお、オスネジ3が、端部にオスネジを形成した異形鉄筋で構成されていてもよい。
【0018】
オスネジ螺合材5も、鋼等の金属で構成されており、オスネジ螺合材5には、オスネジ3が螺合している。なお、オスネジ3やオスネジ螺合材5のメスネジ11は、たとえば三角ネジで構成されており、さらにはメートルネジで構成されている。なお、オスネジ螺合材5が、木材や合成樹脂等の材料で構成されていてもよい。
【0019】
部材7として、たとえば、合板で構成されている建築部材を掲げることができるが、部材7として木材等の他の材料(未硬化の接着剤がある程度浸み込む材料が好ましい)が採用されていてもよい。建築部材7には、オスネジ用孔13が設けられている。そして、オスネジ3が螺合しているオスネジ螺合材5が、建築部材7に所定の位置および姿勢で一体的に設置されている。これにより、オスネジ3が、オスネジ用13孔内に所定の位置および所定の姿勢で設置されるようになっている。
【0020】
充填材9は、たとえば硬化した接着剤で構成されており、建築部材7のオスネジ用孔13とオスネジ3との間の空間15に充填されている。
【0021】
建築部材7がたとえば矩形な平板状に形成されていることで、建築部材7には、平面状部位17が形成されている。オスネジ用孔13は、平面状部位17の所定の位置に設けられている。また、オスネジ用孔13は、平面状部位17の平面からこの平面に直交する方向に延びて所定の深さになっている。
【0022】
オスネジ螺合材5は、図4等で示すように、たとえば建築部材7よりも小さい矩形な平板状に形成されている。これにより、オスネジ螺合材5にも、平面状部位19が形成されている。オスネジ5が螺合しているメスネジ11は、平面状部位19の所定の位置に設けられている。また、オスネジ螺合材5の、オスネジ3が螺合しているメスネジ11は、平面状部位19の平面からこの平面に直交する方向に延びてオスネジ螺合材5を貫通している。
【0023】
オスネジ螺合材5に螺合しているオスネジ3は、この長手方向の両端部のそれぞれが、オスネジ螺合材5から所定の長さ突出している。
【0024】
オスネジ3が螺合しているオスネジ螺合材5が建築部材7に設置されている状態では、建築部材7の平面状部位17とオスネジ螺合材5の平面状部位19の平面とがお互いに面接触しており、オスネジ螺合材5の平面状部位19から一方の側に突出しているオスネジ3の部位が、オスネジ用孔13の中心軸とオスネジ3の中心軸とがお互いに一致するようにして、オスネジ用孔13内に入り込んでいる。
【0025】
この状態では、オスネジ3の外径がオスネジ用孔13の内径よりも僅かに小さいことで、オスネジ用孔13の内壁とオスネジ3との間には、円筒状の第1の空間21が形成されている。また、建築部材7のオスネジ用孔13の深さの値が、オスネジ螺合材5の平面状部位19から突出しているオスネジ3の部位の長さの値よりも僅かに大きくなっていることで、オスネジ3の先端とオスネジ用孔13の底面23との間にも、第1の空間21とつながっている第2の空間25が形成されている。
【0026】
オスネジ3が螺合しているオスネジ螺合材5が建築用部材7に設置されていることで、第1の空間21と第2の空間25とで有底円筒状の空間(閉じた空間;ただし後述する貫通孔27、29やオスネジ3とメスネジ11との間の僅かな隙間を除く)15が形成されており、充填材9は、有底円筒状の空間15に隙間なく充填されている。
【0027】
また、オスネジ部材設置構造1には、建築部材7のオスネジ用孔13とオスネジ3との間の空間15と、建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部とをつないでいる2つの貫通孔27、29が設けられている。
【0028】
2つの貫通孔のうちの一方の貫通孔27は、建築部材7に設けられており、オスネジ用孔13の底部(底面)23と、建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部とをつないでいる。2つの貫通孔のうちの他方の貫通孔29は、たとえば、建築部材7に設けられている切り欠きの一部をオスネジ螺合材5で塞ぐことで形成されており、オスネジ用孔13の開口部(入口部;出口部)と建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部とをつないでいる。
【0029】
なお、貫通孔29が、建築部材7、オスネジ螺合材5の少なくともいずれかに設けられている切り欠きで形成されていてもよいし、または、建築部材7に設けられた貫通孔もしくはオスネジ螺合材5に設けられた貫通孔で形成されていてもよい。
【0030】
2つの貫通孔のうちの一方の貫通孔27は、建築部材7のオスネジ用孔13とオスネジ3との間の空間15に充填材(未硬化の接着剤)9を注入するための孔であり、2つの貫通孔のうちの他方の貫通孔29は、空気抜き用の孔である。なお、他方の貫通孔29を用いて、空間15内に充填材9が十分に充填されたことを確認することもできる。
【0031】
すなわち、空間15の総てに充填材9が充填されると、他方の貫通孔29に充填材9が出てくるので、この出てきた充填材9を目視することで、空間15に充填材9が十分に充填されたことを確認することができる。これにより、2つの貫通孔27、29の少なくとも一部には、充填材9が入り込んでいる。
【0032】
オスネジ螺合材5は、木ネジ31等の接合材(接着剤でもよい)によって建築部材7に直接接合(直接設置)されている。
【0033】
オスネジ部材設置構造1では、充填材9が設けられていることで、建築部材7とオスネジ螺合材5とオスネジ3とが一体化しているが、仮に充填材9が存在してないとしても、木ネジ31を用いた接合によって、建築部材7とオスネジ螺合材5とが一体化しており、さらに、オスネジ3がオスネジ螺合材5に螺合していることで、建築部材7とオスネジ螺合材5とオスネジ3とが一体化している。ただし、これらの一体化の結合度は、充填材9を設けた場合に比べて当然に弱くなっている。
【0034】
次に、オスネジ部材設置構造1を生成するオスネジ部材設置方法について説明する。
【0035】
まず、オスネジ螺合材5のメスネジ11にオスネジ3を螺合させる(ネジ螺合工程)。
【0036】
続いて、オスネジ用孔13が設けられている建築部材7に、ネジ螺合工程によってオスネジ3が螺合しているオスネジ螺合材5を、オスネジ3がオスネジ用孔13内でオスネジ用孔13に対して所定の位置および所定の姿勢になるように設置する(オスネジ螺合材設置工程)。この工程終了時には、オスネジ螺合材5から一方の側(図1では上側)に突出しているオスネジ3の部位が、オスネジ用孔13内に入っており、オスネジ螺合材5から他方の側(図1では下側)に突出しているオスネジ3の部位が、オスネジ螺合材5や建築部材7やオスネジ用孔13から突出している。
【0037】
続いて、オスネジ螺合材設置工程によって形成されたオスネジ用孔13とオスネジ3との間の空間15に充填材(未硬化の接着剤)9を充填し、この充填した接着剤を硬化させる(充填材設置工程)。
【0038】
オスネジ部材設置構造1によれば、オスネジ3がオスネジ用孔内13に所定の位置および所定の姿勢で設置されるように、オスネジ3が螺合しているオスネジ螺合材5が、建築部材7が設置されており、建築部材7の空間15に硬化した接着剤9が充填されているので、建築部材7にオスネジ3を強固に設置することができるとともに、建築部材7に対するオスネジ3の位置と姿勢とを正確なものにすることができる。
【0039】
すなわち、建築部材7の正確な位置で、建築部材7の端面から直角にオスネジ3を起立させることができる。そして、オスネジ3が突出している建築部材7の他の構造物33(図5参照)への設置を容易に行うことができる。
【0040】
また、オスネジ用孔13の中心軸とオスネジ3の中心軸とがお互いに一致しているので、硬化した接着剤9の厚さ(オスネジ3まわりの厚さ)が一定になっており、オスネジ3にかかる様々な向きのモーメントに対して、均等な強度を発揮する。
【0041】
また、オスネジ部材設置構造1によれば、一方の貫通孔27がオスネジ用孔13の底部23と建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部をつないでおり、他方貫通孔29がオスネジ用孔13の開口部と建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部をつないでいるので、建築部材7の空間15に接着剤を容易にかつ確実に充填することができる。
【0042】
また、オスネジ部材設置構造1によれば、オスネジ螺合材5が木ネジ31によって建築部材7に直接接合されているので、建築部材7のオスネジ用孔13とオスネジ3との間の空間15に接着剤9を充填し硬化させる前の状態でも、建築部材7に対するオスネジ3の位置と姿勢とを正確なものにすることができる。
【0043】
ここで、オスネジ部材設置構造1について図3を参照してさらに説明する、
図3に示すオスネジ部材設置構造1では、オスネジ用孔13やオスネジ3やオスネジ螺合材5が1つの建築部材7に複数設けられている。また、建築部材7の平面状部位17が矩形状の切り欠き35によって形成されている。そして、切り欠き35にオスネジ螺合材5が入り込みことで、オスネジ3が突出している面が1つの平らな面になっている。
【0044】
そして、図5で示すように、複数本のオスネジ3とナット37とを用いて建築部材7を他の構造物33に設置するとき、各オスネジ3それぞれの位置と姿勢とが正確なものになっているので、各オスネジ3のそれぞれが、他の構造物33に設けられている各貫通孔39のそれぞれに対して、こじったりせったりすることなく、容易に挿入される。
【0045】
ところで、図1に示すオスネジ部材設置構造1では、接着剤9の注入等のために、貫通孔27と貫通孔29とが設けられているが、図2で示すように、貫通孔27に代えて、オスネジ3に貫通孔41を設けてもよい。
【0046】
図2に示すオスネジ部材設置構造1では、オスネジ3に貫通孔41が設けられている。貫通孔41は、オスネジ3の中心軸に沿って延びている。そして、オスネジ3の貫通孔41は、建築部材7の空間15と、建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部とをつないでいる。
【0047】
また、図2に示すオスネジ部材設置構造1では、図1に示すオスネジ部材設置構造1と同様にして、1つの貫通孔29が、建築部材7のオスネジ用孔13とオスネジ3との間の空間15と、建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部とをつないでいる。貫通孔29は、オスネジ用孔13の開口部と、建築部材7およびオスネジ螺合材5との外部をつなぐようにして、建築部材7、オスネジ螺合材5の少なくともいずれかに設けられている。
【0048】
なお、オスネジ3の先端(オスネジ用孔13の底面23側の端部)にはスリット43が形成されている。これにより、オスネジ用孔13の底面23とオスネジ3の先端との隙間が小さくても空間15内に接着剤9が吐出されやすくなる。
【0049】
図3に示すオスネジ部材設置構造1によれば、オスネジ3に貫通孔41が設けられているので、建築部材7に別途貫通孔を設けることなく、建築部材7のオスネジ用孔13とオスネジ3との間の空間15に接着剤9を容易にかつ確実に充填することができ、建築部材3の外観を良好なものにすることができる。
【0050】
なお、オスネジ部材設置構造1を図6に示すように構成してもよい。図6に示すものでは、オスネジ螺合材5にメスネジのかわりに貫通孔45を設けてある。そして、貫通孔45にオスネジ3を挿入し、一対のナット47、49をオスネジ3に螺号させて一対のナット47、49でオスネジ螺合材5を挟み込むことで、オスネジ3をオスネジ螺合材(オスネジ支持部材)5に係合させ一体的に設置している。
【0051】
そして、充填材9を設けた後に、外側のナット49を取り外すことで、図1等に示すオスネジ部材設置構造1とほぼ同様な形態になる。
【符号の説明】
【0052】
1 オスネジ部材設置構造
3 オスネジ
5 オスネジ螺合材
7 部材(建築部材)
9 充填材(接着剤)
13 オスネジ用孔
15 空間
23 オスネジ用孔の底部
27 一方の貫通孔
29 他方の貫通孔
31 接合材(木ネジ)
41 オスネジの貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8