(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、箸の開動作を効果的に補助することができる箸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の箸は、
第1箸部材および第2箸部材と、
前記第2箸部材を前記第1箸部材に対して相対移動可能となるようにして且つ取り外し可能に前記第1箸部材および前記第2箸部材を保持する本体部と、前記第2箸部材の箸先が前記第1箸部材の箸先から離間するように前記第2箸部材を付勢する付勢手段と、使用者の第1の指を挿入可能な第1穴を形成され前記本体部に固定された第1リング部と、を有する第1補助具と、
第2箸部材が取り外し可能に挿入される孔が形成された取付部と、前記使用者の第2の指を挿入可能な第2穴を形成され前記取付部に固定された第2リング部と、前記使用者の第3の指を挿入可能な第3穴を形成され前記取付部に固定された第3リング部と、を有する第2補助具と、を備える。
【0008】
本発明による第2の箸は、
第1箸部材および第2箸部材と、
前記第2箸部材を前記第1箸部材に対して相対移動可能となるようにして且つ取り外し可能に前記第1箸部材および前記第2箸部材を保持する本体部と、前記第2箸部材の箸先が前記第1箸部材の箸先から離間するように前記第2箸部材を付勢する付勢手段と、使用者の第1の指を挿入可能な第1穴を形成され前記本体部に固定された第1リング部と、を有する第1補助具と、を備える。
【0009】
本発明による第3の箸は、
第1箸部材および第2箸部材と、
前記第2箸部材が取り外し可能に挿入される孔が形成された取付部と、使用者の第2の指を挿入可能な第2穴を形成され前記取付部に固定された第2リング部と、前記使用者の第3の指を挿入可能な第3穴を形成され前記取付部に固定された第3リング部と、を有する第2補助具と、を備える。
【0010】
本発明による第1〜第3の箸において、前記第1箸部材は、前記本体部に保持された状態において、前記本体部に対する相対動作を規制されるようにしてもよい。
【0011】
本発明による第1〜第3の箸において、
前記本体部には、前記第1箸部材が取り外し可能に挿入される第1孔を設けられ、
前記第1リング部は、前記本体部のうちの前記第1孔を形成する壁部の外面上に設けられていてもよい。
【0012】
本発明による第1〜第3の箸において、前記本体部は、前記第1孔を形成する壁部の外面上に設けられて前記使用者の前記第1の指を案内する案内凸部を有するようにしてもよい。
【0013】
本発明による第1〜第3の箸において、前記付勢手段は、第1箸部材から離間しており、前記第2箸部材のみを付勢するようにしてもよい。
【0014】
本発明による第1〜第3の箸において、前記本体部は、前記第1箸部材が取り外し可能に挿入される第1孔と、前記第2箸部材が取り外し可能に挿入される第2孔と、を設けられ、前記第1孔および前記第2孔を区分けする中間壁部を有するようにしてもよい。
【0015】
本発明による第1〜第3の箸において、
前記第1補助具は、前記本体部の中空内部に設けられた中間部材を有し、
前記中間部材は、前記本体部に固定されて前記中間壁部とともに前記第1孔および前記第2孔を区分けする基部と、前記基部から延び出して前記付勢手段を形成する付勢部と、を有し、
前記付勢部は、前記中間壁部と前記第2箸部材との間に位置し前記第2箸部材を付勢するようにしてもよい。
【0016】
本発明による第1〜第3の箸において、前記付勢部は、両端において前記基部に接続した前記ベルト状の部位を有するようにしてもよい。
【0017】
本発明による第1〜第3の箸において、前記付勢部は、一方向に延びる突条を有するようにしてもよい。
【0018】
本発明による第1〜第3の箸において、前記孔の軸線方向は、前記第2穴の軸線方向と非平行且つ前記第3穴の軸線方向と非平行であるようにしてもよい。
【0019】
本発明による第1〜第3の箸において、
前記第2補助具は、前記第1箸部材に向けて前記取付部から突出した規制凸部を有し、
前記規制凸部は、前記第1箸部材に接触して、前記第1箸部材および前記第2箸部材の接近し過ぎを規制するようにしてもよい。
【0020】
本発明による第1〜第3の箸において、前記第2補助具は、前記第2箸部材に対する取り付け方を表す表示が設けられた表示部を有するようにしてもよい。
【0021】
本発明による箸部材は、
中心軸線を有する箸部材であって、
中心軸線に沿って互いから離間して設けられ且つ各々が前記中心軸線の周りを周回する複数の凸部を備え、
前記中心軸線に沿って隣り合う二つの凸部の間に凹部が形成され、
前記凹部の前記中心軸線に沿った長さは、2.5mm以上3.5mm以下であり、
前記凹部の深さは、0.1mm以上0.3mm以下であり、
前記凸部および前記凹部の表面には、微細な凹凸が形成されている。
【0022】
本発明による第4の箸は、
一対の箸部材を備え、
各箸部材は、上述の本発明による箸部材のいずれかである。
【0023】
本発明による第1の補助具は、
第1箸部材および第2箸部材を含む箸に用いられる補助具であって、
前記第2箸部材を前記第1箸部材に対して相対移動可能となるようにして且つ取り外し可能に前記第1箸部材および前記第2箸部材を保持する本体部と、前記第2箸部材の箸先が前記第1箸部材の箸先から離間するように前記第2箸部材を付勢する付勢部材と、使用者の第1の指を挿入可能な第1穴を形成され前記本体部に固定された第1リング部と、を備える。
【0024】
本発明による第2の補助具は、
第1箸部材および第2箸部材を含む箸に用いられる補助具であって、
前記第2箸部材が取り外し可能に挿入される孔が形成された取付部と、前記使用者の第2の指を挿入可能な第2穴を形成され前記取付部に固定された第2リング部と、前記使用者の第3の指を挿入可能な第3穴を形成され前記取付部に固定された第3リング部と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、箸の開動作を効果的に補助することができる箸を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0028】
図1〜
図11は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。本実施の形態に係る箸10は、第1箸部材11及び第2箸部材12と、箸部材11,12に装着可能な第1補助具30及び第2補助具50と、を有している。箸10には、箸の取り扱いが不慣れ人を補助するための工夫がなされており、とりわけ箸の開動作を効果的に補助することができる。しかも、第1補助具30及び第2補助具50は箸部材11,12から取り外し可能となっており、第1補助具30及び第2補助具50を適宜選択して使用することで、使用者の箸の使用に関する習熟レベルに応じて、使用者を適切に補助することができる。このような箸10は、単に箸の使用を補助する装置として、箸の取り扱いに不慣れな人に対して好適であるだけでなく、箸の使い方を習得させる装置として、乳幼児等の箸の使用を開始する人に対しても好適である。
【0029】
以下においては、乳幼児に対して箸の使い方を習得させるために用いられる練習用の箸の例にて、本発明による一実施の形態における箸を説明する。
図1及び
図2は、箸部材11,12に対して第1補助具30及び第2補助具50を取り付けた状態にて、箸10を示している。
図1及び
図2に示された箸10は、箸の使用を開始した、言い換えると箸の使用の練習を開始したばかりの使用者(乳幼児)に対して適している。
図3は、箸部材11,12に対して第1補助具30のみを取り付けた状態にて、箸10を示している。
図3に示された箸10は、箸への指の置き方を習得した使用者に対して適している。
図4は、第1補助具30及び第2補助具50を取り外し、通常の箸として機能する一対の箸部材11,12を示している。
【0030】
なお、
図12は、理想的とされる箸の使用方法を示しており、図示された使用方法は、以下に説明する練習用の箸10を用いて習得すべき方法となっている。
図12に示すように、理想的とされる箸の使用方法において、下箸とも呼ばれる第1の箸部材cs1は、薬指f4の先端部分、親指f1の基端部分および人指し指f2の付け根部分によって、支持される。一方、上箸とも呼ばれる第2の箸部材cs2は、親指f1の先端部分、人指し指f2の先端部分および中指f3の先端部分によって、支持される。箸csの開閉は、第2箸部材cs2のうちの人指し指f2および中指f3の間に挟んだ部分に力を加えることで、実現される。箸csの開閉時に、第1箸部材cs1は静止した状態に維持される。一方、第2箸部材cs2は、親指f1の先端部分で支持され、この支持された部分を中心として揺動する。第2箸部材cs2の揺動により、一対の箸部材11,12の箸先20が接近する閉動作および一対の箸部材11,12の箸先20が離間する開動作が行われる。
【0031】
なお、本件明細書において、箸部材11,12の先端10aとは、箸部材11,12の長手方向における食べ物をつまむ側の端であり、箸部材11,12の基端とは、箸部材11,12の長手方向における先端10aとは反対側の端であり、すなわち使用者が持つ側の端である。また、箸先20とは、箸部材11,12の先端側に位置する食べ物をつまむ際に食べ物と接触し得る領域のことである。
【0032】
以下、箸10の各構成要素について説明する。
【0033】
まず、一対の箸部材11,12は、第1補助具30及び第2補助具50を取り外された
図4の状態において、通常の箸として使用される。したがって、箸部材11,12は、通常の箸に用いられる箸部材と、概ね同様に構成される。
図4に示すように、各箸部材11,12は、細長い部材であり、その外輪郭によって中心軸線CLを画成する。
【0034】
図4に示すように、各箸部材11,12は、第1補助具30及び第2補助具50を装着する際に利用される溝18を有している。より具体的には、溝18として、第1補助具30の取り付けに利用される第1溝18aと、第2補助具50の取り付けに利用される第2溝18bが、設けられている。第1溝18a及び第2溝18bは、箸部材11,12の中心軸線CLに離間して設けられている。後述するように、第2補助具50は、第2箸部材12に取り付けられるものであって、第1箸部材11には取り付けられない。図示された例では、一対の箸部材11,12が、互いに同一に構成され、各箸部材が、区別されることなく第1箸部材11及び第2箸部材12のいずれとしても機能し得る。溝18は、箸部材11,12の中心軸線CLの周りを周回して延びる環状の溝として形成されている。
【0035】
また、各箸部材11,12には、食べ物を保持し易くするための工夫がなされている。具体的には、
図7に示すように、箸部材11,12は、その箸先20において、棒状の本体20Aから突出した複数の凸部20Bを有している。複数の凸部20Bは、中心軸線CLに沿って互いに離間して配置されている。各凸部20Bは、箸部材11,12の中心軸線CLの周りを周回する環状の突出部分として、本体20Aから突出している。結果として、中心軸線CLに沿って隣り合う二つの凸部20Bの間には、凹部20Cが形成されている。この凹部20Cの底面は、本体20Aによって形成されている。さらに、箸部材11,12の表面には、凸部20Bや凹部20Cと比較して十分に小さい微細凹凸が形成されている。
【0036】
ここで、凸部20Bおよび凹部20Cの寸法は、食べ物を保持し易くする観点から以下の寸法となっていることが好ましい。まずは、中心軸線CLに沿った凹部20Cの長さl1は、2.5mm以上3.5mm以下となっていることが好ましい。また、中心軸線CLに直交する方向に沿った凹部の深さdは、0.1mm以上0.3mm以下となっていることが好ましい。さらに、中心軸線CLに沿った凸部20Bの長さl2は、1.5mm以上2.0mm以下となっていることが好ましい。このような寸法が実現されている場合、食べ物を保持し易くする上で有効であるだけでなく、食べ物のカスが箸先20につまりにくくすることができる。
【0037】
例えば、箸部材11,12は、樹脂等の種々の材料を用いて構成され得る。樹脂からなる箸部材11,12は、賦型加工やシボ加工等の加工によって、上述した凸部20Bおよび凹部20Cの寸法を獲得することができる。
【0038】
一方、衛生面の観点や、保護者の見た目における安心感を引き出す観点において、箸部材11,12を木、例えば檜を用いて作製することが有効である。
図7に示された例において、箸部材11,12は、木製の棒状体21と、棒状体21の中心軸線CLに沿って互いから離間して設けられた複数の環状凸部22と、棒状体21及び複数の環状凸部22を被覆する被覆層23と、を含んでいる。環状凸部22は、棒状体21の中心軸線CLの周りを周回する環状となっている。この環状凸部22に起因して、凸部20Bが形成される。なお、棒状体21の中心軸線CLは、箸部材11,12の中心軸線と一致する。被覆層23は、上述した微細凹凸を実現するために設けられている。被覆層23は、ベース層23aと、ベース層23aに保持された多数の粒子23bと、を有している。粒子23bに起因して、微細凹凸が形成される。
【0039】
さらに、図示された例において、箸部材11,12は、棒状体21および被覆層23を被覆する表面層24を有している。表面層24は、箸部材11,12の表面を形成する。表面層24は、木製の棒状体21が水分を吸収することを防止するための層である。したがって、例えば、アクリルウレタン樹脂を用いて表面層24を形成することができる。この表面層24の厚みを0.1mm以上0.3mm以下とすることができる。
【0040】
上述した凸部20B及び凹部20Cの構成を実現するための、環状凸部22や被覆層23を以下のように作製することができる。
【0041】
まず、環状凸部22は、硬化性の樹脂にて作製することができる。例えば、未硬化状態の樹脂組成物中に糸を浸漬し、糸の表面に樹脂組成物を付着させる。次に、棒状体21の中心軸線CLに直交する方向に保持した糸を、棒状体21と接触させる。これにより、棒状体21上の環状となる領域に、樹脂組成物を転写することができる。その後、棒状体21上の樹脂組成物を硬化させることで、環状凸部22を形成することができる。樹脂組成物の硬化手法は、樹脂組成物に応じて適宜選択され、例えば、電離放射線(一例として、紫外線や電子線)の照射や、加熱等を例示することができる。
【0042】
上述した凸部20Bの好ましい寸法を実現する観点から、このような環状凸部22の中心軸線CLに沿った長さl3を1.0mm以上1.5mm以下とすることができ、また、中心軸線CLに直交する方向に沿った環状凸部22の高さhを0.1mm以上0.3mm以下とすることができる。
【0043】
次に、被覆層23は、粒子23bを含有した樹脂組成物を棒状体21および環状凸部22上に塗布し、硬化させることで、形成することができる。樹脂組成物の硬化物が、ベース層23aを形成するようになる。粒子23bの形状は特に限定されない、微細な凹凸を形成し得る種々の形状、例えば、球状、針状、鱗状等の粒子を用いることができる。微細な凹凸を作製する観点から、被覆層23の厚みの平均を、0.1mm以上0.3mm以下とすることができる。
【0044】
次に、第1補助具30について説明する。第1補助具30は、第1箸部材11及び第2箸部材12に取り外し可能に装着され得る。第1補助具30は、使用者が箸10を持つ際における親指(第1の指)f1の置き位置を案内し、且つ、第1箸部材11及び第2箸部材12の開閉動作、とりわけ開動作を補助する。
【0045】
図1に示すように、第1補助具30は、箸部材11,12を保持する本体部31と、本体部31に設けられた第1リング部45と、を有している。また、第1補助具30は、本体部31内に設けられた中間部材40を更に有している。この中間部材40は、第2箸部材12の箸先20が第1箸部材11の箸先20から離間するように第2箸部材12を付勢する付勢手段44を構成する。以下、第1補助具30に含まれる各構成要素について説明する。
【0046】
まず、本体部31は、第2箸部材12を第1箸部材11に対して相対移動可能となるようにして第1箸部材11及び第2箸部材12を保持する。ただし、第1箸部材11及び第2箸部材12は、本体部31から取り外し可能となっている。具体的な構成として、
図1に示すように、本体部31は、第1箸部材11が取り外し可能に挿入される第1孔37aと、第2箸部材12が取り外し可能に挿入さえる第2孔37bと、を設けられている。図示された例において、第1孔37a及び第2孔37bは、本体部31と中間部材40とによって画成されている。そして、
図5に示すように、第1孔37a内には第1係合凸部38aが形成されている。第1係合凸部38aが第1箸部材11の第1溝18aに嵌まり込むことで、第1箸部材11が本体部31に保持される。一方、第2孔37b内には第2係合凸部38bが形成されている。第2係合凸部38bが第2箸部材12の第1溝18aに嵌まり込むことで、第2箸部材12が本体部31に保持される。
図8に示すうように、第1係合凸部38a及び第2係合凸部38bは、線状、とりわけ直線状に延びている。
【0047】
図8によく示されているように、本体部31は、互いに対向して配置された第1主壁部32及び第2主壁部33と、一対の主壁部32,33間を延びる第1側壁部34及び第2側壁部35と、を有している。第1主壁部32及び第2主壁部33は、本体部31によって保持された一対の箸部材11,12が並ぶ方向に長手方向を有している。本体部31は、これらの壁部32,33,34,35により、全体として四角筒状の外輪郭を有する。また、本体部31は、第1孔37a及び第2孔37bを区分けする中間壁部36を、さらに有している。
図8及び
図5に示すように、第1係合凸部38aは、第1側壁部34の内面に設けられ、一対の主壁部32,33間を結ぶ方向に延びている。第2係合凸部38bは、第2側壁部35の内面に設けられ、一対の主壁部32,33間を結ぶ方向に延びている。
【0048】
図示された例において、第1箸部材11は、本体部31に保持された状態において、本体部31に固定される。第1孔37aの大きさを適切に設計することで、第1箸部材11の固定が実現されている。一方、第2箸部材12は、本体部31に保持された状態において、本体部31及び第1箸部材11に対して動作可能となっている。図示された例において、本体部31に保持された第2箸部材12は、本体部31及び第1箸部材11に対して揺動可能となっている。第2箸部材12の本体部31及び第1箸部材11に対する揺動軸線dsは、第2係合凸部38bを通過して、一対の主壁部32,33を結ぶ方向に延びている。すなわち、第2箸部材12の本体部31及び第1箸部材11に対する揺動軸線は、直線状の第2係合凸部38bに沿って延びている。なお、第2箸部材12の揺動動作は、一対の主壁部32,33に誘導され、一対の主壁部32,33に沿った面上での動作となる。
【0049】
図5及び
図6に示すように、中間部材40は、本体部31内に設けられている。中間部材40は、本体部31内において、第1孔37a及び第2孔37bの間に位置している。中間部材40は、中間壁部36とともに、第1孔37a及び第2孔37bを区分けする。
【0050】
図5及び
図6に示すように、中間部材40は、基部41と、基部41から延び出した付勢部42と、を有している。基部41は、本体部31の中間壁部36とともに、第1孔37a及び第2孔37bを区分けする。基部41は、第1箸部材11の中心軸線CLに沿って、中間壁部36からずれて配置されている。基部41は、本体部31によって保持された一対の箸部材11,12が並ぶ方向に対向して配置された第1支持面41a及び第2支持面41bを有している。第1支持面41aは、第1孔37aを画成する壁部の内面の一部分を形成している。第2支持面41bは、第2孔37bを画成する壁部の内面の一部分を形成している。
【0051】
なお、本体部31は、その内部に第3係合凸部38cを有している。図示された例において、第1主壁部32から第2主壁部33に向けて一の第3係合凸部38cが延び出し、第2主壁部33から第1主壁部32に向けて他の第3係合凸部38cが延び出している。一方、中間部材40には、第3係合凸部38cを受ける受け凹部41cが形成されている。
図8に示すように、受け凹部41cは、基部41を貫通する貫通孔として形成されている。一対の第3係合凸部38cが、受け凹部41cに両側から嵌まり込むことで、中間部材40が本体部31の内部に固定される。
【0052】
次に、
図5及び
図6に示すように、付勢部42は、基部41から延び出して付勢手段44を構成する。付勢部42は、ベルト状の部位であり、その両端において基部41に接続している。例えば、付勢部42は、基部41とともに樹脂等の弾性を有した材料で形成されている。この付勢部42は、本体部31の中間壁部36と第2箸部材12との間に位置している。この結果、付勢部42によって形成された付勢手段44は、第2箸部材12の揺動軸線dsよりも箸先20の側となる位置にて、第2箸部材12に接触し、第1箸部材11から離間する方向に第2箸部材12を付勢する。すなわち、付勢手段44は、第2箸部材12の箸先20が第1箸部材11の箸先20から離間するように、第2箸部材12を付勢する。この付勢部42をなす付勢手段44は、第1箸部材11から離間しており、第2箸部材12のみを付勢する。
【0053】
なお、ベルト状の付勢部42は、長手方向を有し且つ長手方向に直交する断面の形状が、一対の主壁部32,33を結ぶ方向に細長く偏平している。したがって、
図5及び
図6に示された例において、付勢手段44をなす付勢部42の変形は、一対の主壁部32,33の面方向に沿った方向に効果的に規制され、結果として、付勢手段44の付勢力は、一対の主壁部32,33の面方向に沿って効率的に作用する。したがって、第2箸部材12は、第1箸部材11に対して開動作を行うよう安定して付勢される。
【0054】
また、付勢部42は、一対の主壁部32,33を結ぶ方向に延びる突条42aを有している。この突条42aによっても、付勢部42の変形が、一対の主壁部32,33の面方向に沿った方向に効果的に規制され、結果として、付勢手段44の付勢力は、一対の主壁部32,33の面方向に沿って効率的に作用する。
【0055】
次に、第1リング部45について説明する。
図8に示すように、第1リング部45は、本体部31の第1主壁部32に固定されている。とりわけ図示された例では、第1リング部45は、本体部31の第1主壁部32のうちの、第1孔37aを形成する壁部における外面上に設けられている。この結果、第1リング部45は、本体部31に保持された第1箸部材11の近傍に位置する。第1リング部45には、第1穴45aが設けられている。
図2に示すように、この第1穴45aには、使用者の親指(第1の指)f1が挿入され、これにより、第1リング部45は、使用者の親指の置き位置を案内する。
【0056】
ところで、
図2及び
図1に示すように、第1補助具30の本体部31は、第1側壁部34から外方に突出した案内凸部39を有している。案内凸部39は、第1側壁部34の外面上のうち、第1箸部材11の中心軸線CLに沿った先端側の端部近傍に設けられている。
図2に示すように、案内凸部39は、箸10を持つ使用者の親指(第1の指)f1の置き位置を、第1リング部45とともに案内する。
【0057】
なお、案内凸部39を含む本体部31および第1リング部45は、例えば、樹脂の射出成形により一体的に形成され得る。
【0058】
次に、第2補助具50について説明する。第2補助具50は、第2箸部材12に取り外し可能に装着され得る。
図2に示すように、第2補助具50は、使用者が箸10を持つ際における人指し指(第2の指)f2及び中指(第3の指)f3の置き位置を案内する。
【0059】
図10及び
図11に示すように、第2補助具50は、第2箸部材12が取り外し可能に挿入される孔51aが形成された取付部51と、取付部51に固定された第2リング部54及び第3リング部55と、を有している。取付部51は、筒状の部位であって、第2箸部材12を保持する。ただし、第2箸部材12は、取付部51から取り外し可能となっている。具体的な構成として、
図11に示すように、孔51aの内面に、一対の係合凸部51bが形成されている。一対の係合凸部51bは、孔51aの内面上における対向する位置に配置されている。係合凸部51bが第2箸部材12の第2溝18bに嵌まり込むことで、第2箸部材12が取付部51に保持される。
図11に示すうように、係合凸部51bは、線状、とりわけ直線状に延びている。
【0060】
図10に示すように、第2リング部54は、取付部51に固定されている。第2リング部54には、第2穴54aが設けられている。
図2に示すように、この第2穴54aには、使用者の人指し指(第2の指)f2が挿入され、これにより、第2リング部54は、使用者の人指し指f2の置き位置を案内する。また、第3リング部55は、取付部51に固定されている。第3リング部55には、第3穴55aが設けられている。
図2に示すように、この第3穴55aには、使用者の中指(第3の指)f3が挿入され、これにより、第3リング部55は、使用者の中指f3の置き位置を案内する。
【0061】
図10に示すように、孔51aの軸線方向dxは、第2穴54aの軸線方向dyと非平行且つ第3穴55aの軸線方向dzとも非平行である。上述したように、第2穴54a及び第3穴55aは、それぞれ、異なる指の置き位置を案内するものである。孔51aの軸線方向dxとは独立して、第2穴54aの軸線方向dy及び第3穴55aの軸線方向dzを設定することにより、指の位置を適切に案内することが可能となる。なお、孔や穴の軸線方向は、当該孔や穴が延びる方向のことであり、当該孔や穴を画成する壁部の内面によって特定される。
【0062】
ところで、
図1及び
図2に示すように、箸部材11,12に第1補助具30及び第2補助具50が装着された状態において、第2箸部材12に取り付けられた第2補助具50は、取付部51から第1箸部材11に向けて延び出す規制凸部56を、更に有している。規制凸部56は、箸10の閉動作時に、第1箸部材11に接触して、第1箸部材11および第2箸部材12の接近し過ぎを規制することができる。
【0063】
さらに、第2補助具50は、第1補助具30と比較して、平坦な部材として形成されている。したがって、第2補助具50の表裏の識別、言い換えると第2補助具50のどちら側が、第2箸部材12の中心軸線CLに沿った先端10aの側に位置するのかを、直感的に把握することは容易ではない。そこで、第2補助具50は、第2箸部材12への取り付けを容易且つ正確とするため、表示部57を有している。表示部57には、第2補助具50の第2箸部材12への取り付け法を表す表示57aが設けられている。図示された例では、
図1及び
図11に示すように、規制凸部56に表示部57が形成されている。図示された表示部57は、「前」と記載された表示57aによって、この表示57aが形成された側が、第2箸部材12の中心軸線CLにおける先端10aの側を向くことを示している。このような表示は、孔51aの軸線方向dxとは独立して、第2穴54aの軸線方向dy及び第3穴55aの軸線方向dzを設定した第2補助具50において、とりわけ有用である。
【0064】
このような第2補助具50は、例えば、樹脂の射出成形により一体的に形成され得る。なお、一対の箸部材11,12を一定の相対移動のみを許容するように保持する第1補助具30と比較して、第2補助具50は、比較的に変形しやすい柔軟な材料を用いて作製することができる。このような樹脂の選択により、射出成形で作製される第2補助具50において、孔51aの軸線方向dxとは独立して、第2穴54aの軸線方向dy及び第3穴55aの軸線方向dzを設定することが可能となる。
【0065】
次に、以上の構成からなる箸10の作用について説明する。
【0066】
以上に説明した箸10は、箸10の使用方法の習得段階に応じた三つの形態で、長期間に亘って使用することが可能である。
【0067】
まず、第1段階として、
図1及び
図2に示された形態にて、箸10を使用する。すなわち、第1段階では、箸部材11,12に対して第1補助具30及び第2補助具50が装着される。例えば、まず、第1箸部材11を第1補助具30の本体部31に形成された第1孔37aに挿入し、第2箸部材12を第1補助具30の本体部31に形成された第2孔37bに挿入する。第1補助具30の第1係合凸部38a(
図5参照)が、第1箸部材11の第1溝18a(
図4参照)に係合することで、第1箸部材11が第1補助具30に保持される。また、第1補助具30の第2係合凸部38b(
図5参照)が、第2箸部材12の第1溝18a(
図4参照)に係合することで、第2箸部材12が第1補助具30に保持される。次に、第2箸部材12を、第2補助具50の取付部51に形成された孔51aに挿入する。このとき、第2補助具50の第2箸部材12に対する向きは、表示部57の表示57aに基づき、容易かつ確実に判別することができる。第2補助具50の係合凸部51b(
図11参照)が、第2箸部材12の第2溝18b(
図4参照)に係合することで、第2補助具50が第2箸部材12に取り付けられる。
【0068】
第1段階の箸10は、箸10の持ち方および箸10の開閉動作を補助する。このような第1段階は、箸の使用に関する習熟レベルが低い使用者、典型的には、箸の使用を開始したばかりの使用者に対して適している。
【0069】
使用者は、親指(第1の指)f1を第1リング部45の第1穴45aに挿入し、人指し指(第2の指)f2を第2リング部54の第2穴54aに挿入し、中指(第3の指)f3を第3リング部55の第3穴55aに挿入する。これにより、使用者は、理想的とされる持ち方にて、箸10を持つことができる。
【0070】
また、第1補助具30は、本体部31によって第1箸部材11を固定し、第1箸部材11の本体部31に対する相対動作を規制する。また、第1補助具30は、本体部31によって第2箸部材12の動作を所定の方向に規制する。図示された例において、第2箸部材12は、第1補助具30によって、所定の揺動軸線dsを中心とした揺動動作を許容され、その他の動作を規制されている。第2箸部材12の揺動軸線dsは、第2箸部材12の第1溝18aに入り込んだ直線状の第2係合凸部38bに沿っている。したがって、使用者は、
図12を参照して冒頭にて説明した理想的とされる開閉動作にて箸10を開閉することを、箸10によって促される。
【0071】
さらに、第1補助具30は、第2箸部材12の箸先20が第1箸部材11の箸先20から離間するように第2箸部材12を付勢する付勢手段44を有している。すなわち、箸の操作のうちで特に難しいと考えられている箸の開動作を、付勢手段44によって効果的に補助することができる。これにより、閉動作中に、指が各リング部45,54,55の穴45a,54a,55aから抜けてしまい、箸10の開動作中に正しい持ち方で箸10が持てなくなることや、さらには箸10が手から滑り落ちてしまうことを効果的に防止することができる。一方、箸の閉操作は、箸の開操作と比較して容易とされている。したがって、付勢手段44の付勢力に抗して第2箸部材12を移動させることによって、特段の支障なく実施することができる。
【0072】
なお、図示された例において、付勢手段44は、中間部材40の付勢部42によって構成されている。
図8に示すように、付勢部42はベルト状に形成されており、揺動軸線dと垂直な方向に付勢力を発生させる。したがって、箸10の開動作を引き起こす第2箸部材12の揺動を円滑かつ効率的に促進することができる。また、図示された付勢部42は、揺動軸線dsと平行な突条42aを有している。この突条42aは、付勢部42の変形を揺動軸線dと垂直な方向への変形に規制する。この点からも、箸10の開動作を引き起こす第2箸部材12の揺動を円滑かつ効率的に促進することができる。
【0073】
以上のように第1段階での箸10の使用において、使用者は、適切に箸10を持った状態で、箸10の開閉を行うことを補助される。したがって、この第1段階での箸10の使用は、箸10を初めて使用する乳幼児に対しても適用可能となる。
【0074】
次に、第2段階での箸10の使用について説明する。第2段階では、
図3に示された形態にて、箸10を使用する。第2段階では、箸部材11,12に対して第1補助具30のみが装着される。すなわち、第2段階では、第2補助具50は使用されない。このような第2段階での箸10の使用は、第1段階での箸10の使用によって箸10を適切に持つことができるようになった使用者に対して、適している。上述したように、第1補助具30は、親指f1の置き位置を補助する。また、第1補助具30は、一対の箸部材11,12の開閉動作を案内し、また、開動作を行う際に補助力を付与する。
【0075】
第1補助具30のみを第1箸部材11及び第2箸部材12に装着した状態で箸10の開閉動作を円滑に行えるようになったところで、第2段階での箸10の使用を終了する。このような使用者は、箸10の持ち方と箸10の開閉動作とを概ね習得しており、第3段階での箸10の使用を開始する。第3段階では、
図4に示された形態にて、箸10を使用する。すなわち、第3段階では、第1補助具30及び第2補助具50は使用せず、一対の箸部材11,12を通常の箸と同様に使用する。
【0076】
以上に説明した一実施の形態において、箸10は、細長い棒状の第1箸部材11及び細長い棒状の第2箸部材12と、箸部材11,12に装着可能な第1補助具30及び第2補助具50と、を有している。第1補助具30は、第2箸部材12を第1箸部材11に対して相対移動可能となるようにして且つ取り外し可能に第1箸部材11及び第2箸部材12を保持する本体部31と、第2箸部材12の箸先20が第1箸部材11の箸先20から離間するように第2箸部材12を付勢する付勢手段44と、使用者の第1の指f2を挿入可能な第1穴45aを形成され基部41に固定された第1リング部45と、を有している。第2補助具50は、第2箸部材12が取り外し可能に挿入される孔51aが形成された取付部51と、使用者の第2の指f2を挿入可能な第2穴54aを形成され取付部51に固定された第2リング部54と、使用者の第3の指f3を挿入可能な第3穴55aを形成され取付部51に固定された第3リング部55と、を有している。このような箸10は、箸の使用方法の習得段階に応じた三つの形態で、長期間に亘って有効に利用され得る。第1補助具30及び第2補助具50を利用した第1段階では、箸10の持ち方と箸10の開閉動作を補助することができる。第2段階では、第2補助具50を取り外して、第1補助具30を箸部材11,12に適用し、主として箸10の開閉動作を補助することができる。第3段階では、第1補助具30及び第2補助具50の両方を取り外して、通常の箸として一対の箸部材11,12を使用することができる。すなわち、箸10の練習を開始する段階から箸10を普通に使用できるようになった後までの長期間に亘って、箸10を適切に使用することができる。また、箸の使用方法の練習にこの箸10を用いることで、適切な箸の使用方法の習得を効果的に促進することができきる。
【0077】
また、以上に説明した一実施の形態において、箸10は、細長い棒状の第1箸部材11及び細長い棒状の第2箸部材12と、箸部材11,12に装着可能な第1補助具30と、を有している。第1補助具30は、第2箸部材12を第1箸部材11に対して相対移動可能となるようにして且つ取り外し可能に第1箸部材11及び第2箸部材12を保持する本体部31と、第2箸部材12の箸先20が第1箸部材11の箸先20から離間するように第2箸部材12を付勢する付勢手段44と、使用者の第1の指f2を挿入可能な第1穴45aを形成され基部41に固定された第1リング部45と、を有している。このような箸10では、第1リング部45の第1穴45aに第1の指f1を挿入することで第1の指f1を適切に配置した状態で、箸10を保持することができる。また、付勢手段44によって、開動作を補助することができる。したがって、第1の指f1を第1リング部45の第1穴45aに挿入した適切な持ち方で、箸10の開動作を補助されることになり、開動作にともなった箸10の落下等を効果的に防止することもできる。また、第1箸部材11及び第2箸部材12から第1補助具30を取り外すことが可能であるので、箸10の開動作を習得した使用者が使用する場合には、第1補助具30を取り外して箸10を使用すればよい。すなわち、箸の使用方法の習得レベルに応じた適切な形態にて、長期間に亘って、箸10を使用することができる。また、箸の使用方法の練習にこの箸10を用いることで、適切な箸の使用方法の習得を効果的に促進することができきる。
【0078】
また、上述した一実施の形態の具体例において、第1箸部材11は、本体部31に保持された状態において、本体部31に対する相対動作を規制され、本体部31に固定される。このような箸10によれば、箸10の開閉動作中に、第1リング部45の第1穴45aに挿入された第1の指f1に対して、第1リング部45が設けられた第1補助具30及び第1補助具30に保持された第1箸部材11を、静止させることが可能となる。すなわち、理想的な箸10の開閉動作を補助することができる。
【0079】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、本体部31には、第1箸部材11が取り外し可能に挿入される第1孔37aを設けられている。第1リング部45は、本体部31のうちの第1孔37aを形成する壁部の外面上に設けられている。このような箸10によれば、第1箸部材11の極近傍に第1リング部45が設けられる。したがって、箸10の開閉動作中に、第1リング部45に挿入された第1の指f1の近傍で、言い換えると理想的な使用方法において第1箸部材11上に置かれるべき第1の指f1の近傍で、第1箸部材11が静止する。したがって、箸を適切に持ちながら、適切な箸の動作を補助することができる。
【0080】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、本体部31は、第1孔37aを形成する壁部の外面上に設けられて使用者の第1の指f1を案内する案内凸部39を有している。このような箸10によれば、第1リング部45及び案内凸部39によって、第1の指f1を適切な位置により安定して配置することができる。
【0081】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、付勢手段44は、第1箸部材11から離間しており、第2箸部材12のみを付勢する。このような箸10によれば、付勢手段44によって、開動作中における第2箸部材12の動作を効果的に補助し、その一方で、箸10の開閉動作中に、第1箸部材11を安定して静止させることができる。
【0082】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、本体部31は、第1箸部材11が取り外し可能に挿入される第1孔37aと、第2箸部材12が取り外し可能に挿入される第2孔37bと、を設けられている。そして、本体部31は、第1孔37a及び第2孔37bを区分けする中間壁部36を有している。このような箸10によれば、簡易な構成によって、本体部31で第1箸部材11を固定的に保持し且つ本体部31で第2箸部材12を動作(揺動)可能に保持することができる。
【0083】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、第1補助具30は、本体部31の中空内部に設けられた中間部材40を有している。中間部材40は、本体部31に固定されて中間壁部36とともに第1孔37a及び第2孔37bを区分けする基部41と、基部41から延び出して付勢手段44を形成する付勢部42と、を有している。付勢部42は、中間壁部36と第2箸部材12との間に位置し第2箸部材12を付勢するようになる。このような箸10によれば、簡易な構成の中間部材40を用いて、第1箸部材11の本体部31に対する第1箸部材11の固定と、本体部31及び第1箸部材11に対する第2箸部材12の付勢と、を実現することができる。
【0084】
さらに、以上に説明した一実施の形態において、箸10は、細長い棒状の第1箸部材11及び細長い棒状の第2箸部材12と、第2箸部材12に装着される第2補助具50と、を有している。第2補助具50は、第2箸部材12が取り外し可能に挿入される孔51aが形成された取付部51と、使用者の第2の指f2を挿入可能な第2穴54aを形成され取付部51に固定された第2リング部54と、使用者の第3の指f3を挿入可能な第3穴55aを形成され取付部51に固定された第3リング部55と、を有している。このような箸10の使用においては、第2の指f2を第2補助具50の第2リング部54の第2穴54aに挿入し、第3の指f3を第3リング部55の第3穴55aに挿入することができる。この第2リング部54及び第3リング部55を利用することで、箸10の開閉動作において重要な、第2の指f2及び第3の指f3を、それぞれ、箸10の適切な位置に案内することができ、箸10の使用の補助を効果的に実現することができる。また、一つの第2補助具50が二つのリング部54,55を含むことによって、部品点数の削減や、スモールパーツの回避、部品の紛失防止等に効果的に寄与することができる。また、箸10の使用方法の練習にこの箸を用いることで、適切な箸の使用方法の習得、とりわけ指を置く位置の習得を効果的に促進することができきる。
【0085】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、孔51aの軸線方向dxは、第2穴54aの軸線方向dyと非平行且つ第3穴55aの軸線方向dzと非平行となっている。このような例によれば、第2の指f2を案内する第2穴54aの向き及び第3の指f3を案内する第3穴55aの向きを、孔51aの向きとは独立して、最適化することができる。これにより、箸10の使用を適切に補助することができる。
【0086】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、第2補助具50は、第1箸部材11に向けて取付部51から突出した規制凸部56を有している。規制凸部56は、第1箸部材11に接触して、第1箸部材11及び第2箸部材12の接近し過ぎを規制する。このような例によれば、第1箸部材11の箸先20と第2箸部材12の箸先20とが交差するまで、第1箸部材11及び第2箸部材12が接近し過ぎることを効果的に防止することができる。
【0087】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、第2補助具50は、第2箸部材12に対する取り付け方を表す表示57aが設けられた表示部57を有している。このような例によれば、第2箸部材12への第2補助具50の装着を安定してより確実に実施すすることができる。すなわち、第2箸部材12への第2補助具50の誤った取り付けを防止することができる。これにより、箸10の使用補助および箸10の使用方法の習得の促進を効果的に実現することができる。
【0088】
さらに、以上に説明した一実施の形態において、箸部材11,12は、木製の棒状体21と、棒状体21の中心軸線CLに沿って互いから離間して設けられ且つ各々が中心軸線CLの周りを周回する複数の環状凸部22と、棒状体21及び複数の環状凸部22を被覆する被覆層23と、を有している。被覆層23は、ベース層23aと、ベース層23aに保持された複数の粒子23bと、を有している。このような箸部材11,12によれば、箸部材11,12の箸先20の表面に、環状凸部22に起因した凸部20Bが形成され、この凸部20Bは、箸部材11,12の中心軸線CLの周りを線状に周回する。この凸部20Bによって、食べ物を効果的につまみや易くすることができる。また、箸部材11,12の箸先20の表面には、被覆層23の粒子23bに起因した微細な凹凸が表れる。この微細な凹凸によれば、つまんだ食べ物が箸部材11,12から滑ることを効果的に防止することができる。そして、箸先20における凸部20B及び微細凹凸の相乗的な作用により、食べ物を極めて効果的に保持し易くすることができる。したがって、本実施の形態による箸10は、箸の使用が不慣れな人用の箸に対して、さらには箸10の使用方法を練習するための箸に対して、好適となる。
【0089】
また、隣り合う二つの凸部20Bの間には、凹部20Cが形成される。箸部材11,12の中心軸線CLに沿った凹部20Cの長さl1は、箸部材11,12の中心軸線CLに沿った凸部20Bの長さl2と比較して、例えば1.5倍以上と、格段に長くなっている。したがって、食べ物のかすが凹部20Cに詰まってしまうことを効果的に防止することができる。これにより、通常の洗浄で、箸10を清浄に保つことができる。
【0090】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、箸部材11,12は、被覆層23及び棒状体21を被覆する被覆層23を更に有している。表面層24を設けることで、木製の棒状体21が水分を吸収してしまうことを効果的に防止することができる。これにより、箸部材11,12の劣化を効果的に防止することができる。
【0091】
さらに、上述した一実施の形態の具体例において、中心軸線CLを有する箸部材11,12は、中心軸線CLに沿って互いから離間して設けられ且つ各々が中心軸線CLの周りを周回する複数の凸部20Bを有している。中心軸線CLに沿って隣り合う二つの凸部20Bの間に凹部20Cが形成されている。凹部20Cの中心軸線CLに沿った長さl1は、2.6mm以上3.4mm以下であり、凹部20Cの深さは、0.1mm以上0.3mm以下となっている。凸部20B及び凹部20Cの表面には、微細な凹凸が形成されている。このような箸部材11,12によれば、箸部材11,12の箸先20の表面に凸部20Bが形成され、この凸部20Bは、箸部材11,12の中心軸線CLの周りを線状に周回する。この凸部20Bによって、食べ物を効果的につまみや易くすることができる。また、凸部20B及び凹部20Cの表面には、微細な凹凸が形成されている。この微細な凹凸によれば、つまんだ食べ物が箸部材11,12から滑ることを効果的に防止することができる。そして、箸先20における凸部20B及び微細凹凸の相乗的な作用により、食べ物を極めて効果的に保持し易くすることができる。したがって、本実施の形態による箸10は、箸の使用が不慣れな人用の箸に対して、さらには箸10の使用方法を練習するための箸に対して、好適となる。
【0092】
以上において、一実施の形態を図示された具体例に基づいて説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。