特許第6954611号(P6954611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954611
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】テープ貼付装置及びテープ貼付方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20211018BHJP
   B65H 35/07 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   B65H35/07 K
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-218426(P2017-218426)
(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-91760(P2019-91760A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】303003225
【氏名又は名称】UHT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】新谷 俊之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆
(72)【発明者】
【氏名】架谷 和哉
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−127075(JP,A)
【文献】 特開平11−292385(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0036477(US,A1)
【文献】 特開2011−228626(JP,A)
【文献】 特開2005−129829(JP,A)
【文献】 特開平11−11753(JP,A)
【文献】 実開平6−78353(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き出し可能に設けられた長尺のテープにおける長さ方向の一部を係合させて移動することにより前記テープを引き出し可能であり且つ前記テープをワークのテープ貼付面に押圧しながら移動することにより前記テープを前記テープ貼付面に対して貼り付け可能な移動部材と、
前記移動部材を前記ワークにおける前記テープ貼付面と交差する第1方向において移動させる第1移動機構と、
前記移動部材を前記ワークにおける前記テープ貼付面に沿う第2方向において移動させる第2移動機構と、を備え
前記テープを引き出すときには、前記移動部材は、前記第1移動機構により前記第1方向において前記ワークの前記テープ貼付面から浮上する方向に移動させられつつ、前記第2移動機構により前記第2方向において前記テープが引き出される方向に移動させられるテープ貼付装置。
【請求項2】
前記移動部材は、前記第1移動機構と前記第2移動機構により前記ワークの前記テープ貼付面から浮上した位置であって且つ前記テープ貼付面に対する前記テープの貼付長さに対応する距離だけ前記テープが引き出された位置まで移動させられた後、その位置からその時点で前記テープに掛かっている張力を緩和する方向に前記張力を緩和し得る距離だけ前記第2移動機構により移動させられると共に、前記テープが前記テープ貼付面に接触する位置まで前記第1移動機構により移動させられることを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記移動部材は、前記第1移動機構により前記テープが前記テープ貼付面に接触する位置まで移動させられた後において、前記第2移動機構により前記第2方向において前記テープが引き出されるときの方向とは反対方向に前記テープを押圧しながら移動させられることを特徴とする請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
引き出し可能に設けられた長尺のテープにおける長さ方向の一部を係合させて移動することにより前記テープを引き出し可能であり且つ前記テープをワークのテープ貼付面に押圧しながら移動することにより前記テープを前記テープ貼付面に対して貼り付け可能な移動部材を、前記テープ貼付面と交差する方向において前記ワークの前記テープ貼付面から浮上する方向に移動させつつ前記テープ貼付面に沿う方向において前記テープが引き出される方向に移動させた後、その位置からその時点で前記テープに掛かっている張力を緩和する方向に前記張力を緩和し得る距離だけ移動させると共に巻き掛けている前記テープが前記テープ貼付面に接触する位置まで移動させ、その後において、前記テープが引き出されるときの方向とは反対方向に前記テープを押圧しながら移動させることにより、前記ワークの前記テープ貼付面に前記テープを貼り付けることを特徴とするテープ貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ貼付装置及びテープ貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻かれた状態から引き出し可能な粘着テープにおける長さ方向の中途部分を貼付ローラー(移動部材)に巻き掛け、その状態から貼付ローラーをウエハの表面の一端側から他端側に移動させることで、その貼付ローラーが粘着テープをウエハの表面に張力を掛けつつ押圧して貼り付けるテープ貼付装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−227553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロール状に巻かれた状態にある粘着テープをウエハの表面に沿って移動する貼付ローラーにより引き出しながら順次にウエハの表面に押圧して貼り付ける場合には、粘着テープにおけるウエハに対する貼付済みの部分の接着力が貼付ローラーによって粘着テープを引き出すときに大きな抵抗になる。そのため、テープの引き出し及び貼り付けに関わる作業時間を短縮しようとして、貼付ローラーの移動速度を上げると、粘着テープの長さ方向においてウエハの表面に貼付済みの部分と貼付ローラーに対する巻き掛け部分との境界部分に過大な張力が掛かって粘着テープが破断する虞があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、テープの破断を抑制してテープの貼付に関わる作業性を高めることができるテープ貼付装置及びテープ貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するテープ貼付装置は、引き出し可能に設けられた長尺のテープにおける長さ方向の一部を係合させて移動することにより前記テープを引き出し可能であり且つ前記テープをワークのテープ貼付面に押圧しながら移動することにより前記テープを前記テープ貼付面に対して貼り付け可能な移動部材と、前記移動部材を前記ワークにおける前記テープ貼付面と交差する第1方向において移動させる第1移動機構と、前記移動部材を前記ワークにおける前記テープ貼付面に沿う第2方向において移動させる第2移動機構と、を備える。
【0007】
この構成によれば、移動部材を、第1移動機構により第1方向においてワークのテープ貼付面から浮上する方向に移動させた状態で第2移動機構により第2方向においてテープが引き出される方向に移動させると、テープ貼付面に対するテープの貼り付けを伴わずにテープを引き出すことができる。そして、その後に、移動部材を、第1移動機構により第1方向においてワークのテープ貼付面に近づく方向へ移動させてテープをテープ貼付面に接触させた状態で第2移動機構により第2方向においてテープが引き出された方向と反対方向に移動させると、テープの引き出しを伴わずにテープを貼り付けることができる。すなわち、移動部材はテープの引き出しとテープの貼り付けとを別々のタイミングで行うことができる。そのため、移動部材の移動速度を上げた場合でも、例えばテープの引き出し時にテープが破断したりする虞を低減できると共に貼り付け作業も迅速に行うことができるので、テープの貼付に関わる作業時間を良好に短縮できる。
【0008】
上記テープ貼付装置において、前記移動部材は、前記第1移動機構により前記第1方向において前記ワークの前記テープ貼付面から浮上する方向に移動させられつつ、前記第2移動機構により前記第2方向において前記テープが引き出される方向に移動させられることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ワークのテープ貼付面におけるテープを貼付済みの位置を基準位置として、移動部材を、基準位置から浮上した位置であって且つテープがテープ貼付面への貼付長さに対応する距離だけ引き出される位置まで、第1方向及び第2方向のベクトルを合成した斜め方向の最短距離で迅速に移動させることができる。したがって、この点でも作業時間の短縮に貢献できる。
【0010】
上記テープ貼付装置において、前記移動部材は、前記第1移動機構と前記第2移動機構により前記ワークの前記テープ貼付面から浮上した位置であって且つ前記テープ貼付面に対する前記テープの貼付長さに対応する距離だけ前記テープが引き出された位置まで移動させられた後、その位置からその時点で前記テープに掛かっている張力を緩和する方向に前記張力を緩和し得る距離だけ前記第2移動機構により移動させられると共に、前記テープが前記テープ貼付面に接触する位置まで前記第1移動機構により移動させられることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、テープ貼付面に対するテープの貼付長さに対応する距離だけテープを移動部材により引き出した時点で当該テープに掛かっている大きな張力を緩和してからテープ貼付面にテープを貼り付けすることが可能とされる。そのため、テープに強い張力が残留したままでテープ貼付面にテープを貼り付けた場合には、その後にテープの収縮に起因するワークの歪みやテープの剥がれ等という弊害が生じる虞があるが、上記の構成によれば、そのような虞を低減できる。
【0012】
上記テープ貼付装置において、前記移動部材は、前記第1移動機構により前記テープが前記テープ貼付面に接触する位置まで移動させられた後において、前記第2移動機構により前記第2方向において前記テープが引き出されるときの方向とは反対方向に前記テープを押圧しながら移動させられることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、移動部材は、第2方向においてワークのテープ貼付面の一端側から他端側への移動によりテープを引き出すことができる一方で、そのテープ貼付面の他端側から一端側への移動によりテープを貼り付けることができる。すなわち、移動部材が第2方向において一往復することでテープの引き出しと貼り付けを行うことができ、この点でも作業時間の短縮に貢献できる。
【0014】
上記課題を解決するテープ貼付方法は、引き出し可能に設けられた長尺のテープにおける長さ方向の一部を係合させて移動することにより前記テープを引き出し可能であり且つ前記テープをワークのテープ貼付面に押圧しながら移動することにより前記テープを前記テープ貼付面に対して貼り付け可能な移動部材を、前記テープ貼付面と交差する方向において前記ワークの前記テープ貼付面から浮上する方向に移動させつつ前記テープ貼付面に沿う方向において前記テープが引き出される方向に移動させた後、その位置からその時点で前記テープに掛かっている張力を緩和する方向に前記張力を緩和し得る距離だけ移動させると共に巻き掛けている前記テープが前記テープ貼付面に接触する位置まで移動させ、その後において、前記テープが引き出されるときの方向とは反対方向に前記テープを押圧しながら移動させることにより、前記ワークの前記テープ貼付面に前記テープを貼り付ける。
【0015】
この構成によれば、上記のテープ貼付装置の場合と同様に、移動部材の移動速度を上げた場合でも、例えばテープの引き出し時にテープが破断したりする虞を低減できると共に貼り付け作業も迅速に行うことができるので、テープの貼付に関わる作業時間を良好に短縮できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、テープの破断を抑制してテープの貼付に関わる作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】テープ貼付装置の一実施形態について、その一部を示す斜視図。
図2】テープ貼付装置の一部を模式的に示す正面図。
図3図2における3−3線矢視断面図。
図4】テープ貼付装置のブロック図。
図5】テープ貼付処理ルーチンのフローチャート。
図6】テープがセットされたテープ貼付装置の模式断面図。
図7】テープの先端が切断されたテープ貼付装置の模式断面図。
図8】テープの先端に摘みを形成したテープ貼付装置の模式断面図。
図9】摘みを押さえローラーで保持したテープ貼付装置の模式断面図。
図10】貼付開始前位置にセットされたテープ貼付装置の模式断面図。
図11】貼付開始位置に移動したテープ貼付装置の模式断面図。
図12】ワークにテープの始端部を貼り付けているテープ貼付装置の模式断面図。
図13】テープの張力を緩和する方向に移動中のテープ貼付装置の模式断面図。
図14】テープがワークに接触する位置に移動したテープ貼付装置の模式断面図。
図15】ワークにテープの終端部を貼り付けているテープ貼付装置の模式断面図。
図16】貼付開始位置まで戻りながらワークにテープを貼り付けているテープ貼付装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、テープ貼付装置及び同装置を用いたテープ貼付方法の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のテープ貼付装置11は、セラミックグリーンシートやフレキシブルプリント基板などのシート状のワーク61を枠状のワークホルダー71に対して粘着テープ(以下、「テープ」ともいう。)12を用いて貼り付ける装置である。すなわち、テープ貼付装置11は、水平に保持されたワークホルダー71に対してワーク61をその表面であるテープ貼付面62が水平面となるようにテープ12(図1において二点鎖線で図示)を用いて貼り付ける。そのため、テープ貼付装置11は、長尺のテープ12をロール状に巻かれた状態から引き出し可能に保持するテープ保持部13(図2参照)と、テープ保持部13から引き出されたテープ12における長さ方向の中途部分を巻き掛けて支持可能な支持部15と、その支持部15との間にテープ12を挟み込み可能なニップローラー14と、を備える。
【0019】
図1に示すように、テープ貼付装置11は、ワークホルダー71の上方領域を移動自在に設けられた基体部72を有している。基体部72は、例えばワーク61のテープ貼付面62と交差(好ましくは直交)する第1方向の一例である鉛直方向Zに伸縮動作するシリンダー等を含んで構成された第1移動機構21(図4参照)の作動に伴い、鉛直方向(第1方向)Zに移動可能とされている。また、基体部72は、例えばテープ保持部13からテープ12が引き出される方向であり且つテープ貼付面62に沿う方向でもある第2方向の一例である前後方向Yに伸縮動作するシリンダー等を含んで構成された第2移動機構22(図4参照)の作動に伴い、前後方向(第2方向)Yに移動可能とされている。
【0020】
また、基体部72は、その形状が鉛直方向Z及び前後方向Yに沿って側面が延びる平板状であって、その一方側の側面に、ブラケット73aを介して支持部15が左右方向Xに延びる駆動軸16と一体的に回転するように取り付けられている。すなわち、支持部15は、第1移動機構21及び第2移動機構22により、基体部72と共に鉛直方向(第1方向)Z及び前後方向(第2方向)Yにおいて移動可能とされている。なお、基体部72には、ニップローラー14も揺動アーム74を介して変位自在に取り付けられている。
【0021】
テープ保持部13は、テープ12をロール状に巻かれた状態にして保持可能な円筒状の芯部23と、芯部23よりも径が大きい少なくとも1つ(本実施形態では一対)のフランジ24と、を備える。一対のフランジ24のうち少なくとも一方のフランジ24は、芯部23に対して着脱可能に設けられている。芯部23は、セットされたテープ12を回転可能に保持する。なお、テープ12は、表裏両面の一方が粘着面とされ、他方が非粘着面とされている。そのため、テープ保持部13において、芯部23は、テープ12を粘着面が内側となるようにロール状に巻いて保持する。
【0022】
図2及び図3に示すように、支持部15は、テープ保持部13及びニップローラー14よりも鉛直方向Zの下側に設けられている。支持部15は、略円板形状もしくは略円柱形状をなすドラム26と、左右方向Xの両側からドラム26を挟むように設けられた少なくとも1つ(本実施形態では一対)のガイド27と、を備える。ドラム26の周面は、支持部15においてテープ12を非粘着面側から巻き掛けた状態にして支持可能な円筒面形状の支持面15aを構成し、その支持面15aの一部には、支持面15aに巻き掛けたテープ12を湾曲させて受け入れ可能に窪んだ溝20が形成されている。
【0023】
ドラム26の中心には駆動軸16が固定されており、モーター等の駆動源17の駆動力が第3移動機構18(図4参照)により伝達されて駆動軸16が回転すると、支持部15はドラム26の周面である支持面15aが周方向に移動するように回転する。なお、本実施形態において支持部15は図2及び図3に示す姿勢を基準姿勢とする。
【0024】
一方、ガイド27は、略円板形状もしくは略円柱形状をなし、ドラム26よりも径が大きい。そのため、ガイド27は、支持面15aに支持されたテープ12を軸方向でもある左右方向Xの両側から位置ずれしないようにガイドする。溝20は、ドラム26に軸方向(左右方向X)に亘って形成され、軸方向(左右方向X)における溝20の両端は、ガイド27に塞がれている。
【0025】
ニップローラー14は、揺動アーム74の先端に左右方向Xに延びるように支持された軸19に対して回動自在に取り付けられており、揺動アーム74がカム機構(図示略)を含む第4移動機構25(図4参照)の作動に伴って揺動すると、その揺動方向に移動するように構成されている。すなわち、ニップローラー14は、支持部15の支持面15aから離間した離間位置P1(図3参照)と、支持部15の支持面15aに対してテープ12を粘着面側から押し付けるニップ位置P2(図7参照)との間を移動可能に設けられている。そして、ニップローラー14は、ニップ位置P2に位置した状態において支持部15が回転もしくはテープ12が長さ方向に移動すると、テープ12を押さえつつ連れ回りする。因みに、ニップローラー14の表面には、例えばローレット加工などの非粘着加工が施されていることが好ましい。
【0026】
図2及び図3に示すように、支持部15には、支持面15aに開口する複数の吸引孔29と、複数の吸引孔29が接続された少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の吸引流路30と、が形成されている。第1吸引流路30aには、溝20を挟んで周方向の一方に形成された複数の吸引孔29が接続され、第2吸引流路30bには、周方向の他方に形成された複数の吸引孔29が接続される。すなわち、基準姿勢の支持部15において、溝20よりも鉛直方向Zの上側に位置する吸引孔29は、第1吸引流路30aに接続され、溝20よりも鉛直方向Zの下側に位置する吸引孔29は、第2吸引流路30bに接続される。本実施形態では、第1吸引流路30aに接続された複数の吸引孔29を第1吸引部31とし、第2吸引流路30bに接続された複数の吸引孔29を第2吸引部32とする。
【0027】
テープ貼付装置11は、吸引流路30を介して第1吸引部31及び第2吸引部32を吸引する吸引機構33を備える。吸引機構33は、第1吸引流路30a及び第2吸引流路30bが接続される吸引ポンプ34と、第1吸引流路30aに設けられた第1吸引弁35と、第2吸引流路30bに設けられた第2吸引弁36と、を備える。吸引機構33は、第1吸引弁35及び第2吸引弁36を開閉し、第1吸引部31及び第2吸引部32の吸引状態を変更する。
【0028】
図2及び図3に示すように、ドラム26及びガイド27は、弓状に欠けた弦部38を有する。基準姿勢では、支持部15の下端に弦部38が位置する。ドラム26には、弦部38に開口し、その内部に支持部15の一部として機能する押さえローラー39を収容する収容部40が形成されている。収容部40の左右方向Xの両側は、ガイド27により塞がれている。押さえローラー39は、一部が弦部38から突出するように収容部40に収容され、ドラム26もしくはガイド27に回転自在に支持されている。因みに、押さえローラー39は、例えば粘着性、柔軟性などを有するゴムやシリコンにより形成され、押さえローラー39に接触したテープ12を非粘着面側から保持可能である。押さえローラー39の粘着力は、テープ12の粘着面の粘着力よりも小さいことが好ましい。
【0029】
図3に示すように、テープ貼付装置11は、支持部15に形成された溝20に向かって空気を吹き付け可能な吹付部42と、吹付部42に接続された加圧ポンプ43と、を備える。吹付部42は、例えば空気を噴出するエアパイプやエアノズルである。吹付部42には、加圧ポンプ43から供給された加圧空気を噴出する噴出口44が形成されている。吹付部42は、噴出口44が支持面15aに対して傾いて設けられている。そのため、吹付部42は、例えば図8に白抜き矢印で示すように、支持面15aに対して斜めに空気を吹き付ける。
【0030】
テープ貼付装置11は、テープ12を切断可能なカッターなどの切断部46と、切断部46を支持部15に対して相対移動させるソレノイド等の第5移動機構47(図4参照)と、を備える。第5移動機構47は、支持部15から離間した図3に実線で示す非切断位置P3と、支持部15に支持されたテープ12を切断する図3に二点鎖線で示す切断位置P4と、の間で切断部46を移動させる。具体的には、図1に示すように、基体部72の下端にブラケット73bを介して揺動自在に支持された揺動アーム45が、第5移動機構47の作動に基づき揺動したときに、その揺動アーム45の先端に取り付けられた切断部46が非切断位置P3と切断位置P4との間を移動する。
【0031】
ドラム26及びガイド27には、切断位置P4に移動する切断部46を受け入れる凹部49が形成されている。本実施形態では、支持部15が基準姿勢のときの支持面15aにおいて凹部49が開口する位置を、テープ12が切断部46に切断される切断位置P4とする。溝20と凹部49は、支持面15aの周方向において第1吸引部31と第2吸引部32との間の位置に形成されている。具体的には、溝20は、第1吸引部31と切断位置P4との間に位置し、切断位置P4は、溝20と第2吸引部32との間に位置する。第1吸引部31、溝20、凹部49、第2吸引部32、弦部38、及び押さえローラー39は、駆動軸16を中心とする半円周上に位置する。溝20は、駆動軸16を中心として押さえローラー39から約90度離れた位置に位置する。
【0032】
図4に示すように、テープ貼付装置11は、装置全体の駆動を統括的に制御する制御部57を備えている。制御部57は、CPU、ROM及びRAM等を含んで構成されたマイクロコンピューターであり、その入力側インターフェース(図示略)には、テープ貼付装置11に操作情報を入力する際に使用される例えばタッチパネルやボタン等の操作部58が接続されている。一方、制御部57の出力側インターフェース(図示略)には、駆動源17、第1移動機構21、第2移動機構22、第3移動機構18、第4移動機構25、第5移動機構47、吸引機構33、及び吹付部42が接続されている。
【0033】
次に、図5に示すフローチャートを参照し、制御部57がテープ貼付装置11における支持部15等の駆動状態を制御してワーク61のテープ貼付面62に対してテープ12を貼り付けるテープ貼付方法について説明する。なお、図5のフローチャートに示すテープ貼付処理ルーチンは、支持部15の支持面15aに先端が自由端とされて巻き掛けられたテープ12の自由端に吹付部42からの空気吹き付けにより摘み60(図8参照)が形成されたタイミングで実行される。
【0034】
図5に示すように、本ルーチンがスタートすると、制御部57は、ステップS101において、その時点で吸引中だった第1吸引部31の吸引を吸引機構33の第1吸引弁35を閉弁させるか又は吸引ポンプ34の駆動を停止させるかにより解除する。そして、次のステップS102において、制御部57は、第4移動機構25の駆動により、ニップローラー14をニップ位置P2から離間位置P1に移動させる。
【0035】
すると、制御部57は、次のステップS103において、第3移動機構18の駆動により、支持部15を反時計方向に所定角度(この場合は270度)だけ回転させる。なお、このときテープ12は支持部15の支持面15aに対して滑る状態となっており、テープ12の非粘着面に対して支持部15の支持面15aは摺動する。そして、制御部57は、次のステップS104において、その時点で吸引を停止中だった第1吸引部31及び第2吸引部32の吸引を吸引機構33の第1吸引弁35及び第2吸引弁36を開弁させた状態で吸引ポンプ34を駆動することにより再開させる。この吸引再開により、支持部15の支持面15aに巻き掛けられた状態にあるテープ12は、その巻き掛けられた状態が保持される。
【0036】
すると、制御部57は、次のステップS105において、再び第3移動機構18の駆動により、支持部15を反時計方向にステップS103の場合よりも小さな所定角度(この場合は90度)だけ回転させた後、次のステップS106において、第1移動機構21の駆動により、基体部72と共に支持部15を鉛直方向Zにおいて下降するように移動させる。そして、この状態から、次のステップS107において、制御部57は、第2移動機構22の駆動により、基体部72と共に支持部15を前後方向Yにおいて少しの距離だけ(例えば、20mm程度だけ)前進するように移動させる。なお、この場合の支持部15の移動速度は、テープ貼付面62に対するテープ12の貼り付けを伴うため、テープ12の破断の抑制、及び、テープ12が張力の残留を少なくした状態で貼り付けられるようにするべく、相対的に低速(例えば、20mm/秒)である。
【0037】
そして、制御部57は、次のステップS108において、第1移動機構21と第2移動機構22の双方を同時に駆動することにより、基体部72と共に支持部15を鉛直方向Zにおいて上昇しつつ前後方向Yにおいて前進するように移動させる。すなわち、支持部15を基体部72と共にテープ貼付面62から浮上させた状態で前方斜め上方に向けて移動させる。なお、この場合の支持部15の移動速度は、テープ貼付面62に対するテープ12の貼り付けを伴わずに浮上して移動するため、相対的に高速(例えば、300mm/秒)である。また、この場合に支持部15が鉛直方向Zにおいて上昇する移動距離は、先のステップS106で下降したときの移動距離と略同じであり、前後方向Yにおいて前進する移動距離は、テープ貼付面62に対するテープ12の貼付長さに対応する距離よりも少し短い。
【0038】
そして、この状態から、次のステップS109において、制御部57は、第2移動機構22の駆動により、基体部72と共に支持部15をテープ貼付面62から浮上させた状態で前後方向Yにおいて少しの距離だけ後退するように移動させる。なお、この場合の支持部15の移動速度は、テープ貼付面62から浮上した状態で行うため、相対的に中速〜高速(例えば、100〜300mm/秒)である。また、この場合に支持部15が前後方向Yにおいて後退する移動距離は、その時点で支持部15に巻き掛けられているテープ12に掛かっている張力を略ゼロにし得る一方でテープ12を垂れた状態にはしないようにできる程度の僅かな距離である。
【0039】
そして、この状態から、次のステップS110において、制御部57は、第1移動機構21の駆動により、基体部72と共に支持部15を鉛直方向Zにおいて下降するように移動させる。なお、この場合の支持部15の移動速度は、テープ貼付面62に対する接触を伴うため、相対的に低速(例えば、40mm/秒)である。また、この場合の鉛直方向Zにおいて下降する移動距離は、先のステップS106で下降したときの移動距離及び先のステップS108で上昇したときの移動距離と略同じである。そして、この状態から、次のステップS111において、制御部57は、第2移動機構22の駆動により、基体部72と共に支持部15を前後方向Yにおいて少しの距離だけ前進するように移動させる。なお、この場合の支持部15の移動速度は、実際には直前にテープ12が所定長さに切断されているため、相対的に高速(例えば、600mm/秒)である。また、この場合の前後方向Yにおいて前進する移動距離は、先のステップS107で少し前進したときの移動距離と略同じである。
【0040】
そして次に、制御部57は、ステップS112において、第2移動機構22の駆動により、基体部72と共に支持部15を前後方向Yにおいて後退するように移動させる。なお、この場合の支持部15の移動速度は、テープ貼付面62に対するテープ12の貼り付けを伴うが、そのテープ12は既に所定長さに切断済みであるため、先のステップS107の場合よりも、相対的に高速(例えば、600mm/秒)である。この場合の前後方向Yにおいて後退する移動距離は、先のステップS108で浮上して前進したときの移動距離と先のステップS111でテープ12を押圧しつつ前進したときの少しの移動距離との合計距離に略等しい。そして、このステップS112の処理が終わると、制御部57は、テープ貼付処理ルーチンを終了する。
【0041】
次に、上記のように構成された本実施形態のテープ貼付装置11の作用について、図面を参照して説明する。まず、テープ12の先端に摘み60が形成される場合について説明し、その後に、そのような摘み60が先端に形成されたテープ12を用いてワーク61をワークホルダー71に貼り付ける方法について説明する。
【0042】
さて、図6に示すように、テープ貼付装置11では、支持部15が基準姿勢をとり、ニップローラー14が離間位置P1に位置し、切断部46が非切断位置P3に位置する初期状態において、まず、ユーザーにより、テープ保持部13にセットされているテープ12が引き出される。そして、引き出されたテープ12は、ニップローラー14と支持部15との間を通され、支持部15の支持面15aに非粘着面が接触する状態で支持される。このとき、テープ12は、その先端が支持面15aの凹部49よりもテープ保持部13から離れた位置まで引き出される。このようにテープ12が支持面15aにおける溝20及び凹部49を跨いで延びる状態を、テープ12が支持部15に巻き掛けられてセットされた状態とする。
【0043】
そして次に、図7に示すように、テープ12がセットされた状態でユーザーにより操作部58が操作されて制御部57による摘み形成処理が実行される。まず、第1吸引部31が図7中の第1吸引流路30a内に吸引方向の白抜き矢印で示すように吸引を開始すると共に、第4移動機構25の駆動によりニップローラー14がニップ位置P2に移動する。すると、テープ12は、その長さ方向において支持部15の支持面15aに巻き掛けられた部分が、第1吸引部31の吸引動作とニップローラー14のニップ動作とにより支持面15aに保持される。そして、この状態において、第5移動機構47の駆動により切断部46が切断位置P4に移動してテープ12を切断する。これにより、テープ12は、その長さ方向において支持面15aの溝20よりも先端側に位置する部分が、支持部15に吸着及びニップされていない自由端となる。
【0044】
すると次に、図8に示すように、テープ12に覆われた状態の溝20に向かって吹付部42から一定時間(例えば1秒)空気が吹き付けられ、テープ12はその自由端の部分が溝20に押し込まれる。このとき吹付部42は、斜め下方から溝20内に向かって空気を吹き付けるため、テープ12は、溝20の内面のうち下方に向いた内面部分にテープ12の非粘着面側が支持された状態で、その自由端の部分が溝20内に引き込まれる。これにより、テープ12は、その自由端の部分が溝20内において粘着面同士が内側となるように折り曲げられ、その折り曲げによって対向し合う粘着面同士が張り合わされることで、外面側に非粘着面が位置する形態の摘み60が形成される。
【0045】
次に、上記のように先端に摘み60が形成されたテープ12を使用してワークホルダー71にワーク61を貼り付ける際に、テープ12をワーク61のテープ貼付面62に貼り付けるときの手順について説明する。
【0046】
まず、図9に示すように、制御部57によるテープ貼付処理ルーチンが始まると、それまでの第1吸引部31の吸引が解除されると共に、第4移動機構25の駆動によりニップローラー14が離間位置P1に移動する。そして、テープ12において支持面15aに接触している非粘着面が支持面15aに対して滑る状態となり、第3移動機構18の駆動により支持部15が図9において反時計回り方向に約270度回転する。
【0047】
すると、テープ12の先端部に形成された摘み60の部分と、支持部15の弦部38に位置する押さえローラー39とが、支持部15における支持面15aの周方向において位置合わせされる。これにより、テープ12は、その先端部である摘み60の部分がゴム等からなる押さえローラー39に接触した状態となり、適度の粘着力でもって保持される。そして、図示はしないが、制御部57により第2吸引部32が吸引状態にされると共に、第4移動機構25の駆動によりニップローラー14がニップ位置P2に移動した後、第3移動機構18の駆動により支持部15が更に反時計回り方向に約90度回転する。
【0048】
すると、図10に示すように、支持部15は、テープ12の先端部である摘み60を保持した押さえローラー39が鉛直方向Zにおいて駆動軸16の下側に位置する基準姿勢となり、その姿勢において制御部57により第2吸引部32と共に第1吸引部31も吸引状態とされる。そして、第4移動機構25の駆動によりニップローラー14が離間位置P1に移動すると共に、支持部15においてテープ12の摘み60を保持している押さえローラー39が、ワーク61におけるテープ貼付面62の上方に位置させられる。なお、この場合のワーク61におけるテープ貼付面62のうちで、支持部15の押さえローラー39の直下となる位置は、ワーク61のテープ貼付面62に対するテープ12の貼付開始位置P11となる。
【0049】
そして次に、図11に示すように、第1移動機構21の駆動により支持部15が基体部72と共に鉛直方向(第1方向)Zの下側に移動する。すなわち、支持部15は、鉛直方向Zにおいてワーク61のテープ貼付面62に近づく方向に移動し、支持面15aに巻き掛けたテープ12の長さ方向において押さえローラー39が保持している摘み60の部分を、ワーク61のテープ貼付面62における貼付開始位置P11に接触させる。
【0050】
すると次に、図12に示すように、それまでの第1吸引部31と第2吸引部32の吸引が解除されると共に、第2移動機構22の駆動により支持部15が基体部72と共に白抜き矢印A1で示すように前後方向(第2方向)Yにおいて少しの距離だけ前進するように移動する。詳しくは、図12に示すように、前後方向Yにおいてテープ貼付面62の一端部に設定される貼付開始位置P11から前方に少しの距離だけ離間した浮上開始位置P12まで移動する。この移動により、支持部15は、押さえローラー39がテープ12における粘着面側をワーク61のテープ貼付面62に接触させた状態で反対側の非粘着面を押圧しつつ貼付開始位置P11から浮上開始位置P12までの少しの距離を前方に転動する。その結果、テープ12は、その長さ方向において摘み60から基端側に続く少しの長さ分だけ、ワーク61のテープ貼付面62に貼り付けられる。
【0051】
そして次に、図12において二点鎖線で示すように、第1移動機構21と第2移動機構22の駆動により支持部15が基体部72と共にテープ貼付面62から浮上した状態で白抜き矢印A2で示すように前方斜め上方に向けて移動する。すなわち、支持部15は、テープ保持部13から引き出されたテープ12の長さ方向の中途部分(一部)を巻き掛けた(係合させた)状態で、第1移動機構21の駆動により鉛直方向Zでテープ貼付面62から浮上する上方に移動しながら、第2移動機構22の駆動により前後方向Yでテープ12がテープ保持部13から引き出される前方に移動する。換言すると、支持部15は、テープ12の摘み60の部分を貼り付けたテープ貼付面62における一端部の浮上開始位置P12から上方に浮上した位置であって且つテープ12がテープ貼付面62に対する貼付長さに対応する距離だけ引き出される空中引出位置P13まで、鉛直方向Z及び前後方向Yのベクトルを合成した最短距離で移動する。
【0052】
すると次に、図13に示すように、第2移動機構22の駆動により支持部15が基体部72と共に白抜き矢印A3で示すように前後方向Yにおいて僅かな距離だけ後退するように移動する。詳しくは、図13に示すように、支持部15に巻き掛けられた状態で空中引出位置P13まで最大の張力が掛かるように引き出されたテープ12から当該張力を緩和する方向である後方に僅かに位置ずれした張力緩和位置P14まで支持部15は移動する。すなわち、支持部15は、空中引出位置P13からその時点でテープ12に掛かっている張力を略ゼロにし得る一方でテープ12を垂れた状態にはしないようにできる程度の僅かな距離だけを後方に向けて移動する。これにより、支持部15に巻き掛けられているテープ12は、張力が略ゼロにされた所謂テンションフリーの状態になる。
【0053】
そして次に、図14に示すように、第4移動機構25の駆動によりニップローラー14がニップ位置P2に移動した後、第1移動機構21の駆動により支持部15が基体部72と共に白抜き矢印A4で示すように鉛直方向Zにおいてワーク61のテープ貼付面62に近づくように下方に向けて移動する。詳しくは、図14に示すように、支持部15は、巻き掛けているテープ12が下方のテープ貼付面62に接触するように、それまでの張力緩和位置P14から鉛直方向Zで直下となる浮上終了位置P15まで下降する。これにより、移動する支持部15により巻き掛けられた状態で引き出されたテープ12は、所謂テンションフリーの状態でテープ貼付面62に対して予定する貼付長さに略対応する(詳しくは少しだけ短い)長さ分だけ粘着面がテープ貼付面62上に接触した状態となる。そして、その状態において、第5移動機構47の駆動により切断部46が非切断位置P3から切断位置P4まで移動することで、テープ12がテープ貼付面62に対する貼付長さとなるように切断される。
【0054】
すると次に、図15に示すように、第2移動機構22の駆動により支持部15が基体部72と共に白抜き矢印A5で示すように前後方向Yにおいて少しの距離だけ前進するように移動する。詳しくは、図15に示すように、支持部15は、それまでの浮上終了位置P15から前後方向Yにおいてテープ貼付面62の他端部(この場合は、前端部)に設定される貼付終了位置P16まで移動する。この移動により、支持部15は、押さえローラー39がテープ12の長さ方向において直前に切断されて自由端となっている前端部分における粘着面側をワーク61のテープ貼付面62に接触させた状態で反対側の非粘着面から押圧しつつ少しの距離を前方に転動する。その結果、テープ12は、その長さ方向において摘み60が形成された後端とは反対側の前端から少しの距離だけ後方に続く少しの長さ分だけ、ワーク61のテープ貼付面62に貼り付けられる。
【0055】
そして次に、図16に示すように、第2移動機構22の駆動により支持部15が基体部72と共に白抜き矢印A6で示すように前後方向Yにおいて後退するように移動する。すなわち、支持部15は、図16に示すように、所定長さに切断されて長さ方向の一端部(後端部)と他端部(前端部)をテープ貼付面62に貼付済みであり且つ中途部分をテープ貼付面62に接触させた状態にあるテープ12をテープ貼付面62に押圧しつつ貼付終了位置P16から浮上開始位置P12又は貼付開始位置P11まで移動する。
【0056】
このように支持部15がテープ12の長さ方向の中途部分(一部)を巻き掛けた(係合させた)状態で貼付を伴わずに浮上した状態で移動することにより、テープ12は、予定する貼付長さに相当する長さ分だけ張力が緩和された状態で引き出される。そして、その後において、所定長さに切断されてワーク61のテープ貼付面62に接触した状態にあるテープ12をテープ貼付面62側に押圧しつつ支持部15が移動することにより、テープ12は、その長さ方向の全体がテープ貼付面62に対して過大な張力を掛けられずに貼り付けられる。この点で、支持部15は、引き出し可能に設けられた長尺のテープ12における長さ方向の一部を係合させて移動することによりテープ12を引き出し可能であり且つテープ12をワーク61のテープ貼付面62に押圧しながら移動することによりテープ12をテープ貼付面62に対して貼り付け可能な移動部材に相当する。
【0057】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)支持部(移動部材)15を、第1移動機構21により鉛直方向(第1方向)Zにおいてテープ貼付面62から浮上する上方に移動させた状態で第2移動機構22により前後方向(第2方向)Yにおいてテープ12が引き出される前方に移動させると、テープ貼付面62に対するテープ12の貼り付けを伴わずにテープ12を引き出すことができる。そして、その後に、支持部(移動部材)15を、鉛直方向(第1方向)Zにおいてテープ貼付面62に近づく下方へ移動させてテープ12をテープ貼付面62に接触させた状態で前後方向(第2方向)Yにおいてテープ12が引き出された方向と反対方向の後方に移動させると、テープ12の引き出しを伴わずにテープ12を貼り付けることができる。すなわち、支持部(移動部材)15はテープ12の引き出しとテープ12の貼り付けとを別々のタイミングで行うことができる。そのため、支持部(移動部材)15の移動速度を上げた場合でも、例えばテープ12の引き出し時にテープ12が破断したりする虞を低減できると共に貼り付け作業も迅速に行うことができるので、テープ12の貼付に関わる作業時間を良好に短縮できる。すなわち、テープ12の破断を抑制してテープ12の貼付に関わる作業性を高めることができる。
【0058】
(2)ワーク61のテープ貼付面62におけるテープ12を貼付済みの位置を基準位置として、支持部(移動部材)15を、基準位置から浮上した位置であって且つテープがテープ貼付面62への貼付長さに対応する距離だけ引き出される位置まで、鉛直方向Z及び前後方向Yのベクトルを合成した斜め方向の最短距離で迅速に移動させることができる。したがって、この点でも作業時間の短縮に貢献できる。
【0059】
(3)テープ貼付面62に対するテープ12の貼付長さに対応する距離だけテープ12を支持部(移動部材)15により引き出した時点で当該テープ12に掛かっている大きな張力を緩和してからテープ貼付面62にテープ12を貼り付けすることが可能とされる。そのため、テープ12に強い張力が残留したままでテープ貼付面62にテープ12を貼り付けた場合には、その後にテープ12の収縮に起因するワーク61の歪みやテープ12の剥がれ等という弊害が生じる虞があるが、本実施形態のテープ貼付装置11によれば、そのような虞を低減できる。
【0060】
(4)支持部(移動部材)15は、前後方向(第2方向)Yにおいてワーク61のテープ貼付面62の一端側から他端側への移動によりテープ12を引き出すことができる一方で、そのテープ貼付面62の他端側から一端側への移動によりテープ12を貼り付けることができる。すなわち、支持部(移動部材)15が前後方向(第2方向)Yにおいて一往復することでテープ12の引き出しと貼り付けを行うことができ、この点でも作業時間の短縮に貢献できる。
【0061】
上記実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。上記実施形態と下記変更例とは、任意に組み合わせてもよい。
・支持部15は、その全体がテープ12の長さ方向の中途部分を巻き掛けた状態で鉛直方向(第1方向)Z及び前後方向(第2方向)Yに移動すると共に、テープ12をワーク61のテープ貼付面62に押圧しつつ転動する一つのローラーにより構成してもよい。このように構成された支持部15でも、引き出し可能に設けられた長尺のテープ12における長さ方向の一部を係合させて移動することによりテープ12を引き出し可能であり且つテープ12をワーク61のテープ貼付面62に押圧しながら移動することによりテープ12をテープ貼付面62に対して貼り付け可能な移動部材に相当する。
【0062】
・支持部15は、テープ12の長さ方向の一部をチャックする等して係合させる構成を有し、そのテープ12の一部を係合させて移動することによりテープ12をテープ保持部13から引き出す構成であってもよい。
【0063】
・テープ12は、支持部15が第2移動機構22の駆動により前後方向(第2方向)Yにおいてテープ12を引き出したときの移動方向とは反対方向に移動しつつテープ12をワーク61のテープ貼付面62に押圧して貼り付けた後において、所定の貼付長さに相当する長さ分に切断される構成であってもよい。
【0064】
・引き出されたテープ12に掛かっている張力を緩和する方向に支持部15を移動させるとき、支持部15は、前後方向(第2方向)Yにおいてテープ12を引き出したときの方向とは反対方向に後退するように移動する以外に、後方斜め下方に向けて移動する構成であってもよい。例えば、実施形態における空中引出位置P13から張力緩和位置P14を経由することなく浮上終了位置P15まで後方斜め下方に向けてダイレクトに移動する構成であってもよい。この場合、さらに一層、作業時間の短縮に貢献できる。
【0065】
・引き出されたテープ12に掛かっている張力を緩和する方向に支持部15を移動させる場合、支持部15の駆動軸16を中心とする周方向において支持部15をテープ12の張力が緩和される方向(例えば、図13では反時計方向)に回転させることにより支持面15aを周方向に移動させる構成も採用可能である。
【0066】
・支持部15は、テープ12を引き出すために浮上開始位置P12から空中引出位置P13まで前方斜め上方に向けて移動するとき、まず第1移動機構21により上方に向けて垂直に移動させられた後に、第2移動機構22により前方に向けて水平に移動させられる構成であってもよい。この場合も、貼り付けを伴わずにテープ12を支持部15の移動速度を上げて迅速に引き出すことができる。
【0067】
・支持部(移動部材)15を鉛直方向(第1方向)Zと前後方向(第2方向)Yに移動させる第1移動機構21及び第2移動機構22は、シリンダー等を含んで構成される以外に、例えば往復移動するチェーン機構やベルト機構、正転及び逆転する複数の歯車で輪列を構成する歯車機構など他の機構であってもよい。
【0068】
・支持部(移動部材)15を鉛直方向(第1方向)Zと前後方向(第2方向)Yに移動させる第1移動機構21及び第2移動機構22は、一つの機構が支持部(移動部材)15を鉛直方向(第1方向)Zと前後方向(第2方向)Yに移動させる兼用移動機構であってもよい。
【0069】
・空中引出位置P13まで引き出したテープ12から張力を緩和するために支持部15を空中引出位置P13から張力緩和位置P14まで移動させるときの移動距離は、テープ12の種類、材質、粘着力などの条件の違いに応じて適宜に調整される。
【0070】
・テープ12は、表裏両面ともに非粘着面のテープ12であってもよい。この場合は、ワーク61のテープ貼付面62が粘着面であることが好ましい。
・テープ12は、一面が粘着面とされた粘着テープ12であって、その粘着面には剥離可能なセパレータ(剥離紙)が付着している構成であってもよい。この場合、テープ貼付装置11には、粘着テープ12からセパレータを剥離する剥離機構を備えることが好ましい。
【0071】
・制御部57は、貼り付けを伴わずにテープ12を引き出す際のテープ引出速度に関連する支持部15の移動速度や加速度、テープ12から張力を緩和するために支持部15を移動させる際の移動距離、テープ12の粘着力などの各種条件を加味して、最適に支持部15が移動されるように第1移動機構21及び第2移動機構22を制御可能である。
【0072】
・ワーク61におけるテープ貼付面62がテープ貼付方向(この場合、前後方向Y)と交差する方向において段差を有する場合、支持部15を鉛直方向Zの高さ位置を変更して前後方向Yに2往復させることにより、テープ12を段差付きのテープ貼付面62に貼り付けることもできる。
【0073】
・テープ保持部13は、長尺のテープ12をロール状に巻かれた状態で保持する以外にジグザク状にして開口付きの容器内に保持するなど、要するに、長尺のテープ12を引き出し可能に保持する構成であれば、実施形態の構成に限定されない。
【0074】
・テープ12は、その自由端とされる先端部分に摘み60が形成されなくてもよい。
・テープ貼付装置11は、切断部46を備えない構成としてもよい。すなわち、装置のユーザーが鋏などを用いて切断する構成でもよい。
【0075】
・支持部15には、凹部49を形成しなくてもよい。例えば、切断部46は、テープ12に沿って刃を移動させてこのテープ12を切断するスライドカッターとしてもよい。切断部46は、テープ12を表裏両面から挟んで切断する鋏としてもよい。
【0076】
・支持部15は、ガイド27を備えない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
11…テープ貼付装置、12…テープ、15…支持部(移動部材の一例)、21…第1移動機構、22…第2移動機構、61…ワーク、62…テープ貼付面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
図16