(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オゾン溶液導出部は、前記循環路の上流端の前記気液分離タンクに位置する循環液導出口と別に前記気液分離タンクに設けられて前記オゾン溶液を前記気液分離タンクの外部に導出する為のオゾン溶液導出口を有することを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれかに記載のオゾン溶液生成装置。
前記循環路の下流端の前記気液分離タンクに位置する循環液導入口は、前記溶媒案内路の下流端の前記気液分離タンクに位置する溶媒導入口よりも低い位置に設けられることを特徴とする、
請求項1乃至13のいずれかに記載のオゾン溶液生成装置。
前記溶媒として、ウイルス、細菌、菌類及び微生物の少なくともいずれかの物質を含有する液体を用い、前記液体における前記物質の処理用途として使用されることを特徴とする、
請求項1乃至14のいずれかに記載のオゾン溶液生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0034】
図1に、本発明の第一実施形態に係るオゾン溶液生成装置1を示す。なお、ここでは、オゾンを溶かす溶媒として水(又は純水)を採用し、オゾン溶液としてオゾン水を生成する場合を例示するが、オゾンを溶かす溶媒の種類は水に限定されない。
【0035】
<装置構成>
オゾン溶液生成装置1は、オゾンガスを生成するオゾンガス生成部10と、オゾンガスと水が混合されて気液二相流となるオゾンガス混合液が貯留される気液分離タンク30と、気液分離タンク30に、溶媒となる水を少なくとも供給する溶媒案内路70と、気液分離タンク30からオゾン水を外部に案内(排出)するオゾン溶液導出部80と、気液分離タンク30内のオゾンガス混合液に旋回流を生じさせる旋回流生成部50と、気液分離タンク30のオゾンガス混合液を導出して一時的に循環液とし、この循環液を再度、気液分離タンク30に案内するための循環路60と、オゾンガスと水(溶媒)又はオゾンガスと循環液を混合するオゾンガス混合部20を備える。
【0036】
オゾンガス生成部10は、例えば、原料となる酸素ガス6を、無声放電管(オゾナイザ)の放電ギャップ間を通過させることでオゾンガスを生成する。なお、生成されるオゾンガスの濃度は、二酸化炭素ガス等の調整ガス8によって調整される。二酸化炭素以外にも、反応性の低い窒素ガス等で調整しても良い。オゾンガス生成部10から排出されるオゾンガスは、液体の逆流を防止する逆止弁又は流量調整弁となる弁機構9を介して、オゾンガス混合部20に供給される。なお、オゾンガス生成部10において、オゾンガスの供給量を増やすには、複数のオゾナイザを並列接続して同時並行的にオゾンガスを生成することが好ましい。
【0037】
気液分離タンク30は、例えば、有底の正円筒形状の容器となる。円筒形状の中心軸の軸方向は鉛直となるように設定されるが、本発明はこれに限定されず、気液分離タンクの中心軸が鉛直に対して傾斜した状態で設置しても良い。
【0038】
溶媒案内路70は、溶媒の原材料となる水が供給される水供給部72から、気液分離タンク30までを繋ぐ流路となる。溶媒案内路70の途中には、流量調整弁74が配置される。この流量調整弁74は、例えば空気圧式流量調整弁等のような、気圧式バルブとなる。
【0039】
溶媒案内路70の下流端には、気液分離タンク30内に、少なくとも水(実際にはオゾンガス混合液)を導入(吐出)する溶媒導入口76が形成される。
図2(B)に示されるように、溶媒導入口76は、オゾンガス混合液に生じさせる旋回流Sの接線方向成分を含む方向に水を導入する。従って、この溶媒導入口76は、後述する旋回流生成部50における、流体を導入する流れによって旋回流を生み出す接線方向導入部を兼ねる。
【0040】
更に具体的に、溶媒導入口76は、気液分離タンク30の円筒状の内周壁に直接開口している。溶媒導入口76の直前の溶媒案内路70の原料水の案内方向は、内周壁の周方向成分(接線方向成分)を含み、特に本実施形態では内周壁の接線方向と略一致させている。溶媒導入口76の直前の溶媒案内路70の案内方向は、略水平方向(気液分離タンク30の鉛直方向の中心軸に対して直角方向)となっている。以上の結果、溶媒案内路70を経て溶媒導入口76から導入される原料水(オゾンガス混合液)の流れは、矢印FBに示されるように、気液分離タンク30の内周壁に沿う旋回流となる。
【0041】
図2(A)に示すように、溶媒導入口76は、気液分離タンク30の上下方向の中央近傍又はそれよりも上方に配置されている。
【0042】
図2(D)に示すように、循環路60の上流端には循環液導出口62が形成される。この循環液導出口62は、気液分離タンク30内のオゾンガス混合液を導出(吸引)する開口となる。循環液導出口62は、オゾンガス混合液に生じさせる旋回流Sの接線方向成分を含む方向に、このオゾンガス混合液を導出する。従って、循環液導出口62は、後述する旋回流生成部50における、流体を導出する流れによって旋回流を生み出す接線方向導出部を兼ねる。
【0043】
更に循環液導出口62は、気液分離タンク30の円筒状の内周壁に直接開口している。循環液導出口62の直後の循環路60による循環液の案内方向は、内周壁の周方向成分(接線方向成分)を含み、特に本実施形態では、内周壁の接線方向と略一致させている。循環液導出口62の直後の循環路60による循環液の案内方向は、略水平方向(気液分離タンク30の鉛直方向の中心軸に対して直角方向)となる。結果、循環液導出口62を介して循環路60に導出されるオゾンガス混合液の直前の流れは、矢印FDに示されるように、気液分離タンク30の内周壁に沿う旋回流となる。旋回方向は、溶媒導入口76によって生成される旋回方向と一致しており、ここでは、上方から視て左回りとなっている。
【0044】
図2(A)に示すように、循環液導出口62は、溶媒導入口76や循環液導入口64よりも鉛直方向下側に配置される。より詳細には、気液分離タンク30の上下方向の中央よりも下側であって、その底面近傍に配置される。
【0045】
図2(C)に示すように、循環路60の下流端には循環液導入口64が形成される。この循環液導入口64は、循環路60によって案内される循環液(オゾンガス混合液)を導入するための開口となる。循環液導入口64は、オゾンガス混合液に生じさせる旋回流Sの接線方向成分を含む方向に循環液を導入する。従って、循環液導入口64は、後述する旋回流生成部50における、流体を導入する流れによって旋回流を生み出す接線方向導入部を兼ねる。
【0046】
更に環液導入口64は、気液分離タンク30の円筒状の内周壁に開口している。循環液導入口64の直前の循環路60の案内方向は、内周壁の周方向成分(接線方向成分)を含み、特に本実施形態では、内周壁の接線方向と略一致させている。循環液導入口64の直前の循環路60の案内方向は、略水平方向(気液分離タンク30の鉛直方向の中心軸に対して直角方向)となっている。結果、循環液導入口64から導入される循環液の流れは、矢印FCに示されるように、気液分離タンク30の内周壁に沿う旋回流となる。旋回方向は、溶媒導入口76によって生成される旋回方向と一致しており、ここでは上方から視て左回りとなっている。
【0047】
図2(A)に示すように、循環液導入口64は、鉛直方向において、溶媒導入口76と循環液導出口62の間に配置される。より具体的に気液分離タンク30の上下方向の中央よりも下側であって、循環液導出口62よりも上方側に配置される。
【0048】
図1に戻って、循環路60の途中には循環ポンプ66が配置される。この循環ポンプ66は、循環液の流れを推進させる役割を担う。循環路60における循環ポンプ66の下流側には、循環液の流量を調整する流量調整弁68が配置される。この流量調整弁68は、例えば空気圧式流量調整弁等のような気圧式バルブとなる。
【0049】
オゾン溶液導出部80は、気液分離タンク30によって生成されたオゾン水を、ユースポイントUまで導出する導出路82と、導出路82の途中に設けられて、オゾン水の導出量を調整する流量調整弁84を備える。導出路82の上流側は循環路60を兼ねており、導出路82の上流端に形成されるオゾン溶液導出口86も、循環液導出口62と一致する。従って、
図2(D)に示すように、オゾン溶液導出口86は、オゾンガス混合液に生じさせる旋回流Sの接線方向成分を含む方向に、このオゾンガス混合液を導出する。オゾン溶液導出口86は、後述する旋回流生成部50における、流体を導出する流れによって旋回流を生み出す接線方向導出部を兼ねる。
【0050】
より具体的に、オゾン溶液導出口86は、気液分離タンク30におけるオゾン混合液の旋回流の中心軸Cから径方向に離れた場所に配置される。余剰オゾン気泡は、旋回流の遠心力の反作用として中心軸C側に移動するので、オゾン溶液導出口86に、余剰オゾン気泡が進入しにくくなり、気泡の少ないオゾン水を排出可能となる。
【0051】
次に、旋回流生成部50について説明する。
図1に示すように、旋回流生成部50は、気液分離タンク30に貯留されるオゾンガス混合液の旋回流の接線方向成分を含む方向に、水又はオゾンガス混合液を導入して旋回流を生み出す接線方向導入部50Aを有する。本実施形態では、既に述べたように、溶媒導入口76及び循環液導入口64が、この接線方向導入部50Aを兼ねている。旋回流生成部50は、旋回流の接線方向成分を含む方向に、気液分離タンク30に貯留されるオゾンガス混合液を導出して旋回流を生み出す接線方向導出部50Bを有する。本実施形態では、既に述べたように、循環液導出口62(又はオゾン溶液導出口86)がこの接線方向導出部50Bを兼ねている。
【0052】
次に、オゾンガス混合部20について説明する。本実施形態のオゾン溶液生成装置1は、オゾンガス混合部20として、溶媒案内路70の途中に配置される溶媒側気液混合器22と、循環路60の途中に配置される循環側気液混合器24を有する。溶媒側気液混合器22は、流量調整弁74よりも下流側(気液分離タンク30側)に配置されており、原料水と、気液分離タンク30で生じた余剰のオゾンガスを混合する。従って、気液分離タンク30の上方には、オゾンガス混合液の上方に滞留する余剰オゾンガスを、溶媒側気液混合器22まで案内するオゾンガス循環路26が接続される。
【0053】
循環側気液混合器24は、循環路60において流量調整弁68よりも下流側(気液分離タンク30側)に配置されており、循環液と、オゾン発生装置10から供給されるオゾンガスを混合する。
【0054】
オゾンガス混合部20(溶媒側気液混合器22、循環側気液混合器24)は、
図2(E)に示すように、いわゆるエジェクター28となっており、水等の溶媒となる液体をノズル28Aから高速流で導入することで、その周囲に形成される負圧空間28Bからオゾンガスを引き込む。ノズル28Aの下流側には、途中に狭隘部を有するデフューザ28Cが設けられており、オゾンガス混合液は、狭隘部に至るまでに同伴混合され、更に狭隘部を通過すると流速が更に低下して、本来の流速に復帰すると同時に、ベルヌーイの定理に沿ってオゾンガス混合液の圧力も復帰する。
図2(F)に示すエジェクター28のように、デフューザ28Cの狭隘部に、直接、オゾンガスを引き込むようにしても良い。ここでは、水等の溶媒とオゾンガスを混合する方法としてエジェクターを例示したが、本発明はこれに限定されず、ミキシングポンプを用いたり、マイクロチャンネル等を用いたりしても良い。
【0055】
図1に戻って、気液分離タンク30内には、オゾンガス混合液の液位を検出する液位センサ36と、オゾンガス混合液に溶解しているオゾンの濃度を検出するオゾン濃度センサ38が設けられる。オゾン濃度センサ38は、導出路82や循環路60に設けても良いが、できる限り、オゾン溶液導出部80から導出されるオゾン濃度の近い値を検知できることが好ましい。従って、気液分離タンク30内の場合は、底面近傍に配置することが好ましい。
【0056】
気液分離タンク30の上方には開放路40が形成されており、この解放路40の途中には、気液分離タンク30内の圧力を一定に保つ背圧調整弁42、及び、解放路40を通過する余剰オゾンガスを分解する排オゾン分解器44を備える。
【0057】
オゾン溶液生成装置1は制御装置46を備える。この制御装置46は、例えば
図3(A)に示すように、メモリMに展開されるプログラムが処理される中央演算装置CPU、各種情報や制御プログラムが保存される記憶媒体H、外部機器に制御信号を出したり外部機器から検知信号を受信したりするインタフェースI等を備えており、これらはバス等によって互いに接続される。
【0058】
図3(B)に示すように、制御装置46は、制御ブロック(プログラムによって実現される機能構成)として、溶媒供給制御部46A、循環流量制御部46B、オゾンガス制御部46C、導出量制御部46D、液位検出部46E、オゾン濃度検出部46Fを有する。
【0059】
液位検出部46Eは、液位センサ36を利用してオゾンガス混合液の液位を検出する。オゾン濃度検出部46Fは、オゾン濃度センサ38を利用して、オゾンガス混合液のオゾン濃度を検出する。溶媒供給制御部46Aは、オゾンガス混合液の液位に基づいて流量調整弁74を制御し、新たに供給する原料水の流量を制御する。こ流量は、液位が常に一定となる様に制御しても良く、また、予め設定される下限液位となったら供給を開始して、予め設定される上限液位に達したら供給を止めるようなパルス波形状に制御して良い。また、流量調整弁74の制御方法として、全開と全閉を切り替えて水量を制御してもよく、流量調整弁74の絞り量を細かく制御しても良い。一方で、溶媒側気液混合器22の気液混合作用を効果的に得るためには、原料水供給時は、流速が大きくなるように全開であることが望ましいため、全開と全閉を切り替えて制御することも望ましい。
【0060】
循環流量制御部46Bは、循環ポンプ66及び/又は流量調整弁68を制御することで、循環液の流量を制御する。循環液の流量は一定でも良いが、例えば、オゾンガス混合液のオゾン濃度に基づいて制御しても良く、目標値に対してオゾン濃度が低い場合は循環流量を増大させ、目標値に対してオゾン濃度が高い場合は循環流量を減少させても良い。一方、オゾン水の濃度を安定させるためには、循環液の流量は、常に、溶媒供給制御部46Aによって制御される水量より、大きく設定されることが好ましく、例えば、溶媒供給制御部46による供給量が20(L/min)の場合、循環液の流量は20(L/min)よりも大きい値、例えば40(L/min)に設定される。
【0061】
オゾンガス制御部46Cは、オゾンガス混合液のオゾン濃度及び/又は循環流量制御部46Bで制御される循環流量に基づいて、オゾンガス生成部10によって生成されるオゾンガスの濃度を制御する。導出量制御部46Dは、流量調整弁84を制御して、ユースポイントUに排出するオゾン水の流量を制御する。
【0062】
<基本動作>
次に、
図1を参照して、オゾン溶液生成装置1の動作について説明する。水供給部72の原料水を、溶媒案内路70を介して気液分離タンク30に案内して貯留する。オゾンガス生成部10によってオゾンガスを生成して、循環側気液混合器24を介して気液分離タンク30にオゾンガスを供給する。気液分離タンク30内において、余分に貯まるオゾンガスは、オゾンガス循環路26を経て、溶媒側気液混合器22に供給される。結果、溶媒案内路70から供給される原料水は、オゾンガス混合液となる。気液分離タンク30内において、水又はオゾンガス混合液の液位が高くなったら、循環ポンプ66を起動させて、オゾンガス混合液を循環路60に循環させる。循環液には、循環側気液混合器24において、オゾンガス生成部10からの高濃度のオゾンガスが混合される。オゾンガス混合液のオゾン濃度が目標値となってから、流量調整弁84を開放して、生成されるオゾン水をユースポイントUまで導出する。水供給部72による原料水の供給は、オゾン溶液導出部80によってユースポイントUまで案内されるオゾン水の導出流量に合わせられる。一方で、循環路60の循環流量は、これらに依存することなく、常に一定の流量で制御可能となっている。
【0063】
図4に、オゾン溶液生成装置1が稼働している最中の気液分離タンク30の状態を模式的に示す。ここではオゾンガス混合液の液位を、溶媒導入口76と略一致している場合を示すが、本発明はこれに限定されない。説明の便宜上、気液分離タンク30において、溶媒導入口76から循環液導入口64までの空間を一次空間30A、循環液導入口64から循環液導出口62までの空間を二次空間30Bと定義し、一次空間30A及び二次空間30Bの各高さをL
1,L
2(m)と定義する。
【0064】
溶媒導入口76から導入されるオゾンガス混合液(又は原料水)の流量をQ
1(L/min)と定義し、オゾン溶液導出部80の導出路82から排出される流量をQ
3(L/min)と定義すると、平準化すれば互いの流量は一致する。一次空間30Aを下降するオゾン混合液の流量もQ
1=Q
3(L/min)となる。また、循環路60の流量調整弁68を通過する循環液の流量をQ
4(L/min)とすると、二次空間30Bを下降するオゾン混合液の流量Q
2(L/min)はQ
1+Q
4となる。既に述べたように、循環液の流量Q
4(L/min)は、溶媒導入口76の導入流量をQ
1(L/min)よりも大きく設定される。従って、二次空間30Bを下降するオゾン混合液の流量Q
2は、流量をQ
1(L/min)の二倍以上となることが好ましい。
【0065】
気液分離タンク30の直径をd(m)と定義した場合、気液分離タンク30の一次空間30Aにおいて、理想的なピストンフローの下降流、即ち、軸直角方向の円形断面において、場所による流速の相異が無い一様な垂線下向きの流れを仮定すると、その下降流の流速V
1(m/s)は、以下の式1によって定義される。
【0066】
式1:V
1=Q
1/6000×(4/πd
2)=2.12×10
5×Q
1/πd
2
【0067】
次に、分離対象とする余剰オゾンガス気泡(以下気泡)の直径をD
p(m)、重力加速度をg(m/s
2)(=9.8(m/s
2))、オゾンガス混合液の密度をρ(kg/m
3)(ここでは水の密度として1000(kg/m
3)で近似する)、オゾンガス混合液の粘性係数をη(Pa・s)(ここでは0.001(Pa・s)で近似する)と定義すると、静止液中における気泡の上昇速度Z
1(m/s)は、近似的に式2のストークス式で求められる。
【0068】
式2:Z
1=D
p2×ρ×g/(18η)
【0069】
分離対象の気泡の直径D
p(m)は、実用上において、その混入が問題となり得る0.0001(m)、つまり100μm以上と設定することが好ましい。従って、この値を代入すれば、上昇速度Z
1は5.44×10
-3(m/s)となる。
【0070】
導出路82から排出されるオゾン水に気泡が混入しないためには、下降流によって気泡が底面まで引き込まれないことが求められる。結果、式3が成立する。
【0072】
既に述べたように、分離する気泡の直径D
p(m)を0.0001(m)とし、導出路82から排出するオゾン水生成量を、導体洗浄分野で比較的大容量の範疇に属する90(L/min)とする場合、上記式1〜式3から、気液分離タンク30の直径d(m)は0.59(m)以上と算出される。このことから、従来のように、単純なピストンフロー下降流のみの場合、気液分離タンク30の内径を約0.6(m)以上に大型化しない限り、100μmの気泡を分離できないことを意味する。
【0073】
次に、
図4を参照して、本実施形態のオゾン溶液生成装置1における旋回流生成部50による作用を説明する。ここでは旋回流が主として循環路60の循環液によって生み出されることを想定する。
【0074】
図4(B)に示すように、旋回流Sによる遠心力の反作用として、気泡Kは、気液分離タンク30の中心軸Cの方向に移動する。二次空間30Bにおいて、気泡Kが中心軸方向に移動する際の加速度(遠心力加速度)をA
2(m/s
2)と定義し、旋回流Sの周方向の流速をU
2(m/s)、旋回流の回転半径をr
2(m)と定義すると、この遠心力加速度A
2は、式4となる。
【0076】
仮に、本実施形態によってコンパクト化される気液分離タンク30を想定する。気液分離タンク30の内径(直径)d(m)を0.15(m)、二次空間30Bの垂直方向距離H
2を0.5(m)と仮定し、循環液導入口64から導入される旋回流の流速U
2を3(m/s)と定義する。旋回流の回転半径r
2はd/2の0.075(m)となり、式4からA
2は120(m/s
2)と算出される。つまり、遠心力加速度A
2は、鉛直方向の重力加速度g(=9.8)の12倍以上となる。
【0077】
旋回流Sの遠心力加速度A
2によって気泡Kが中心軸Cの方向に移動する速度をJ
2(m/s)と定義すると、上記式2のストークス式の重力加速度gを、遠心力加速度A2に置換した式5によって導かれる。
【0078】
式5:J
2=D
p2×ρ×A
2/(18η)
【0079】
更に二次空間30Bを下降する流量Q
2(L/min)を40(L/min)とする場合、以下(1)〜(6)の事項が算出される。
【0080】
(1)二次空間30Bにおけるオゾンガス混合液の下降速度V
2は、上記式1を参考に、V
2=Q
2/6000 ×(4/πd
2)=0.1224(m/s)となる。
【0081】
(2)二次空間30Bにおいて気泡Kが鉛直上方に上昇する速度Z
2は、上記式2と同じ結果となり、Z
2=5.44×10
-3(m/s)となる。
【0082】
(3)上記仮想条件の場合、二次空間30Bでは、V
2>Z
2となって気泡Kは下降できることになる。実質的な気泡Kの下降速度V
2d(m/s)はV
2−Z
2=0.1171(m/s)となる。
【0083】
(4)気泡Kが、下降速度V
2dで、高さH
2となる二次空間30Bを下降する際に必要な時間T
2d(s)はH
2/V
2d=4.27(s)となる。
【0084】
(5)二次空間30Bの旋回流Sによって、周壁に位置する気泡Kが、中心軸Cまで移動する速度J
2は、式5に、A
2=120(m/s
2)を代入して0.067(m/s)となる。
【0085】
(6)二次空間30Bにおいて、気泡Kが下降する時間T
2d(s)内に気泡Kが中心に向かって移動する距離r
2d(m)はJ
2×T
2dとなり0.28(m)となる。この移動距離は気液分離タンク30の半径d/2(m)を超えている。
【0086】
以上のことから、二次空間30Bにおいて、内周壁に位置する100μmの気泡Kは、循環液導入口64から循環液導出口62まで旋回しながら下降する間に、少なくとも中心軸Cまで移動可能となる。本実施形態では、循環液導出口62(オゾン溶液導出口86)は、中心軸Cから径方向の外側に離れた位置、具体的には、気液分離タンク30の内周壁に形成されているため、オゾン水と一緒に気泡Kが排出されないで済む。
【0087】
なお、上記検証は、循環液導入口64から導入される循環液の流速U
2が、最後まで減衰しないことを前提としている。しかし上記検証の通り、気泡Kが中心軸Cに向かって移動する距離r
2d(m)は0.28(m)であり、気液分離タンク30の半径(d/2)となる0.075(m)よりも大幅に大きい。従って、流速U
2が多少減衰しても問題にならない。具体的に、二次空間30Bにおいて、気泡Kが、下降中の滞留時間T
2d(s)によって、半径(d/2)の距離となる中心軸Cに丁度到達するための最小限の移動速度J
2minは、J
2min=(d/2)/T
2d(m/s)となり、上記T
2d=4.27(s)、d/2=0.075(m)から、最小限の移動速度J
2minは0.0175(m/s)となる。この最小限の移動速度J
2minを利用して、循環液の最小限の流速U
2minを算出する場合、式4及び式5から導出される以下の式6を用いることができる。
【0088】
式6:U
2min=√{J
2min×18η×(d/2)/(D
p2×ρ)}
【0089】
式6の結果は1.53(m/s)となる。つまり、循環液導入口64から導入される循環液の流速U
2が3(m/s)であった場合、仮に、約半分となる1.53(m/s)まで減衰しても、全く問題が無いことが分かる。更に、気泡Kが中心軸Cまで到達しなくても、内周壁からある程度内側まで離反していれば良いことから、更なる減衰も許容される。
【0090】
二次空間30Bにおいて気泡Kが上昇する際の視覚的な状態を
図5に示す。気泡Kは、下降流による下降と、浮力による上昇の双方を伴いつつ、旋回流によって、径方向中央に移動しようとする。この気泡は、中央に移動しようとする際に、気泡同士が合体して粒径が大きくなり浮力も増大する。この際、旋回流の中に形成される螺旋状の上昇路Nに沿って上昇する。気泡Kは、常に、気液分離タンク30の内周壁から径方向内側に離れた位置に存在しており、効率的な気液分離が実現される。
【0091】
ちなみに、上記検証事項の(6)に基づくと、旋回流Sによって中心軸Cの方向に移動する距離r
2d(m)は、気液分離タンク30の半径(d/2)(m)以上となることが望ましいことになり、以下の式7を導くことが出来る。
【0093】
この式7の中のr
2dは、次の式8に展開できる。
【0094】
式8:r
2d=J
2×T
2d={D
p2×ρ×A
2/(18η)}×{H
2/V
2d}={D
p2×ρ×A
2/(18η)}×{H
2/(V
2−Z
2)}={D
p2×ρ×U
22×2/(d×18η)}×{H
2/(Q
2/6000 ×(4/πd
2)−D
p2×ρ×g/(18η))}=D
p2×ρ×U
22×2×H
2×6000×πd/{Q
2×4×18η−D
p2×ρ×g×6000×πd
2}
【0095】
この式8のr
2dの展開結果を式7に代入し、更に以下の通りdの基準に展開すれば式9が得られる。本実施形態のオゾン溶液生成装置1は式9の内径dを満たすことが好ましい。
【0096】
D
p2×ρ×U
22×2×H
2×6000×πd/{Q
2×4×18η−D
p2×ρ×g×6000×πd
2}≧d/2
【0097】
D
p2×ρ×U
22×4×H
2×6000×π≧{Q
2×4×18η−D
p2×ρ×g×6000×πd
2}
【0098】
式9:d≧√{(Q
2×4×18η−D
p2×ρ×U
22×4×H
2×6000×π)/(D
p2×ρ×g×6000×π)}
【0099】
従って、二次空間30Bを下降する流量Q
2を増大させる場合、これと同時に、気液二相流の旋回流の流速U
2(m/s)も高められことから、循環流によって、気液分離タンク30の内径dを小さくできることが分かる。
【0100】
具体的に、本実施形態のオゾン溶液生成装置1の場合、例えば、気液分離タンク30の内径(直径)d(m)を0.6(m)未満、望ましくは0.5(m)以下、更に望ましくは0.3(m)以下に設定できる。
【0101】
同様に、上記式を、流量Q
2を基準に展開すると次式10のようになる。本実施形態のオゾン溶液生成装置1は、この流量Q
2を満たすように制御されることが好ましい。
【0102】
式10:(D
p2×ρ×g×6000×πd
2+D
p2×ρ×U
22×4×H
2×6000×π)/(4×18η)≧Q
2
【0103】
同様に、上記式を、流速U
2を基準に展開すると次式11のようになる。本実施形態のオゾン溶液生成装置1は、この流速U
2を満たすように制御されることが好ましい。
【0104】
式11:U
2≧√{(Q
2×4×18η−D
p2×ρ×g×6000×πd
2)/(D
p2×ρ×4×H
2×6000×π)}
【0105】
ちなみに、オゾンガスの水への溶解は、気泡中(混合ガス中)においてオゾン分子が拡散していく工程と、気液境界において気泡から水側に移動したオゾン分子が水中に拡散していく工程の2つのプロセスでなされる。気泡中のオゾン分子の拡散速度は、水中におけるオゾン分子の拡散速度に比して極めて大きいことから、実際のオゾンガスの水への溶解速度の律速は、水中でのオゾン分子の拡散速度となる。水中のオゾン分子の拡散速度は、気液境界における気泡から水側に向かうオゾン分子の濃度勾配(単位距離当たりの濃度の変化)に依存するが、境界近傍の表層水のオゾン分子の濃度が高いと、その境界においてオゾンが平衡状態となりやすく、気泡から水側に向かうオゾン分子の移動速度が低下する。
【0106】
したがって、オゾンガスの水への溶解速度を大きくするには、気泡と水の相対移動速度を大きくして、高オゾン濃度の気泡を、低オゾン濃度となる表層水と接触させることが好ましい。従来のように、鉛直方向に一様なピストンフロー下降流の場合は、気泡と水の間の相対速度は、気泡の上昇速度と一致する。一方、本オゾン溶液生成装置1の場合、旋回流の遠心力によって、気泡が中心軸Cの方向に移動する速度も加わるため、気泡と水との相対速度は、従来と比して大きくなり、オゾン水のオゾン濃度を高めたり、制御の応答性を高めたりすることが出来る。
【0107】
以上の通り、本実施形態のオゾン溶液生成装置1によれば、気液分離タンク30の内部において、そのタンクの円筒軸を中心に回転する気液二相流(旋回流S)が生成される。結果、余剰オゾンガスの気泡が、旋回中の遠心力の反作用によって中心軸側に移動する。オゾン溶液導出口86(循環液導出口62)を、中心軸Cから径方向外側にオフセットした位置に配置することで、気泡が、排出されるオゾン水に混入しにくくなる。従って、排出流量を増大させたとしても、気液分離タンク30をコンパクトに構築できる。また、旋回流によって、溶媒となる水とオゾンガス気泡の相対移動速度が高められるので、溶解効率の高いオゾン水を生成することが可能となる。
【0108】
旋回流を作り出す手段として、溶媒導入口76や循環液導入口64のように、水平面における旋回流の接線方向成分を含む方向に、水又はオゾンガス混合液を導入して旋回流を生み出す接線方向導入部50Aを有しているので、効率的に旋回流を作り出すことが出来る。特に、オゾン水の消費量に依存しない循環液を利用して、安定して強力な旋回流を作り出すことが可能となり、二次空間30Bによって、遠心力を利用した余剰オゾンガスの分離と、オゾンガスの水への溶解を両立できる。また、循環液によって、旋回流の流速を任意に制御することも可能となる。
【0109】
更に、旋回流を作り出す手段として、水平面における旋回流の接線方向成分を含む方向に、気液分離タンク30に貯留されるオゾンガス混合液を導出して旋回流を生み出す接線方向導出部50Bを有しているので、一層、効率的に旋回流を作り出すことが出来る。特に、この接線方向導出部50Bには、余剰オゾンガスの気泡が進入しにくいので、これをオゾン溶液導出口86とすることで、気泡の少ないオゾン水のみを導出することが可能となる。導出時に、旋回流の流れに外乱を与えることが少なく、旋回流を安定して保持することも可能になる。ちなみに、旋回流と一致しない方向に、オゾン水を導出すると、その導出口の近傍に、個別の小さな旋回流が生成されてしまい、余剰オゾンガスの気泡を吸い寄せてしまう場合が有る。
【0110】
また、本オゾン溶液生成装置1では、既にオゾンが高濃度となっている循環液の循環路60に配置される循環側気液混合器24において、オゾンガス生成部10のオゾンガスを混合させている。オゾンガス生成部10では、オゾンガスの濃度が高精度に制御されるので、ここで混合されるオゾン水の濃度を高精度且つ高応答に制御できる。具体的に、オゾン水の濃度制御の時定数は、気液分離タンク30のオゾンガス混合液の貯留量と、循環ポンプ66による循環液の循環量の比となる。この比率を小さく設定することにより、オゾン濃度の制御の応答速度を速くできる。例えば、循環ポンプ66による循環流量Q
4を40(L/min)とし、気液分離タンク30の内径を0.15(m)、貯留するオゾンガス混合液の水位を底面から0.5(m)とする場合、貯留量は約8.8(L)となる。従って、制御の時定数は、8.8/40=0.2(分)、即ち13(秒)程度になる。この時定数をさらに小さくするためには、循環流量Q
4を大きくし、貯留量を減らせば良いことになる。
【0111】
また、オゾンガス混合液から分離された余剰オゾンガスは、再利用されて、溶媒側気液混合器22によって純水側に混合されるので、オゾンガスの使用効率を大幅に高めることが可能となっている。つまり、循環液を利用した旋回流による、余剰オゾンガスの分離効率が高いからこそ、これを再利用することで、益々オゾンガスの利用効率が高められる構造となっている。
【0112】
<検証例>
本オゾン溶液生成装置1を用いて、オゾン溶液導出部80から排出されるオゾン水の流量Q
3を変化させた場合において、オゾン濃度のバラツキを実測した結果を
図6に示す。ここでは、オゾンガス生成部10によって生成されるオゾンガスの流量を15(L/min)とし、オゾン水の制御濃度が比較的高濃度の80(ppm)となるように、オゾンガス生成部10をデューティー制御してオゾンガスの濃度を調整する。また、気液分離タンク30の圧力を0.17(MPa)とし、気液分離タンク30の底面から溶媒導入口76の高さを0.6(m)、循環液導入口64の高さを0.3(m)とし、水位は溶媒導入口76の高さに一致させた。
【0113】
図6からわかる様に流量Q
3を5(L/min)、10(L/min)、15(L/min)、20(L/min)に変化させたとしても、オゾン水の濃度が80(ppm)に維持されていることが分かる。具体的には、流量Q
3の変化に対して、オゾン水のオゾン濃度の瞬間的な変動は3(ppm)以下となる。また、流量Q
3が安定している最中(流量変更から2分経過後)では、オゾン水のオゾン濃度の変動は1(ppm)以下(実測値で0.43(ppm))となり、変動係数(=標準偏差/平均値)は1%以下(実測値で0.54%)となる。また、比較的大きな流量となる20(L/min)であっても、高濃度となる80(ppm)のオゾン水を生成できることが分かる。
【0114】
更に、本発明者らの実証実験によれば、本オゾン溶液生成装置1を用い、オゾンガス生成部10によって生成するオゾンガスの濃度を160(g/m
3)以上、望ましく170(g/m
3)以上とし、更に、そのオゾンガス流量を10(L/min)以上、望ましくは15(L/min)以上とし、また更に、循環ポンプ66による循環流量Q
4を20(L/min)以上、好ましくは40(L/min)以上、さらに望ましくは60(L/min)以上としても、オゾン水の排出量15(L/min)以上、望ましくは20(L/min)以上の条件で、極めて高濃度となる90(ppm)以上のオゾン水が得られる。
【0115】
次に、上記本発明の第一実施形態のオゾン溶液生成装置1の変形例となる実施例について説明する。なお、重複説明を回避するために、これから説明する部品・部材について、第一実施形態のオゾン溶液生成装置1と同一・類似するものについては、説明中の符号を一致させるようにし、主として、第一実施形態等の相違点を中心に説明する。
【0116】
図7に、第二実施形態のオゾン溶液生成装置101を示す。このオゾン溶液生成装置101では、循環路60の下流側を、溶媒案内路70に合流させることで、溶媒導入口76と循環液導入口64を兼ねるようにし、溶媒側気液混合器22と循環側気液混合器24も兼ねる。溶媒導入口76と循環液導入口64は、接線方向導入部50Aも兼ねる。一方、
図7(C)に示すように、気液分離タンク30に配置されるオゾン溶液導出口86または循環液導出口62は、気液分離タンク30に対して、半径方向外側にオゾン水を導出するようになっており、旋回流を生み出す機能は有していない。このようにしても、上方側の接線方向導入部50Aによって十分に旋回流を創出できる。なお、溶媒案内路70において、水供給部72から常に安定した原料水が供給される場合は、点線に示すように、循環路60を省略することも可能である。
【0117】
また、気液分離タンク30の上方に貯まる余剰オゾンガスの再利用方法として、第一実施形態では、オゾンガス混合部に直接供給する場合を例示したが、第二実施形態のように、オゾンガス循環路26を、除湿器27を介してオゾンガス生成部10に供給しても良い。オゾンガス生成部10では、循環される余剰オゾンガスと原料酸素と混合させながら、オゾンガスを新たに生成することで、オゾンガスの利用効率を高めることができる。
【0118】
また、第二実施形態のオゾン溶液生成装置101では、溶媒導入口76と循環液導入口64は、接線方向導入部50Aも兼ねるようにしたが、本発明はこれに限定されない。
図8に示す第三実施形態のオゾン水生成装置201のように、オゾン溶液導出口86及び循環液導出口62が接線方向導出部50Bも兼ねるようにしつつ、溶媒導入口76と循環液導入口64は、旋回流Sの接線方向成分を含まないように導入してもよい。
【0119】
図9に示す第四実施形態のオゾン水生成装置301のように、循環液導入口64のみについて接線方向導入部50Aも兼ねるようにし、溶媒導入口76とオゾン溶液導出口86(循環液導出口62)は旋回流を創出しない構造としてもよい。またオゾンガス混合部20は、循環側気液混合器24のみとして、溶媒側気液混合器を省略してもよい。
【0120】
図10に示す第五実施形態のオゾン水生成装置401のように、オゾンガス混合部20は溶媒側気液混合器22のみとして、循環側気液混合器を省略してもよい。この場合、溶媒側気液混合器22では、オゾン発生装置10から供給されるオゾンガスを混合すればよい。
【0121】
また、第一実施形態では、導出路82やオゾン溶液導出口86が、循環路60と循環液導出口62を兼ねる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図11に示す第六実施形態のオゾン水生成装置501のように、導出路82やオゾン溶液導出口86が、循環路60や循環液導出口62から独立して配置されるようにしてもよい。この際、オゾン溶液導出口86を、循環液導出口62よりも下側に配置することが好ましく、これにより循環液導出口62とオゾン溶液導出口86の間に三次空間30Cを形成できる。三次空間30Cにおける下降流の流量Q
3(L/min)は、二次空間30Bの流量Q
2(L/min)よりも小さくなり、一次空間30AのQ
1(L/min)と一致させることができるので、二次空間30Bと比較して、三次空間30Cの下降流速V
3を小さくできる。結果、二次空間30Bの循環流量を増大させたとしても、三次空間30Cの下降流速V
3は小さく維持されるので、より一層、オゾン溶液導出口86に気泡が進入しにくい状態となる。なお、
図11(F)に示すように、オゾン溶液導出口86を介して導出路82に導出されるオゾンガス混合液の直前の流れは、矢印FEに示されるように、気液分離タンク30の内周壁に沿う旋回流となる。
【0122】
第一実施形態では、原料水や循環液の導入力により、気液分離タンク30内に貯留されるオゾンガス混合液に旋回流を生じさせる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図12に示す第七実施形態のオゾン水生成装置601のように、旋回流生成部50が、オゾンガス混合液内で回転することで旋回流を生み出す回転体56を有してもよい。この回転体56は、
図12(B)乃至(D)に示すように回転翼56Aを有しており、さらに鉛直方向に延びる回転軸が、気液分離タンク30の上面及び/又は底面で回転自在に保持されて、モータMT等によって強制回転される。回転翼56Aの回転によって、オゾンガス混合液に旋回流Sが生成されると同時に、回転軸に集まってくる径の比較的大きな気泡を、この回転翼56Aで破砕、分散させる効果を発揮できるので、オゾン溶解効率が向上される。
【0123】
また、回転体56の構造は翼式に限定されず、例えば
図13に示す第八実施形態のオゾン水生成装置701のように、円盤状の回転体56を回転させることで、その粘性抵抗によって旋回流Sを生じさせてもよい。鉛直方向に複数の回転体56を配置することも好ましい。
【0124】
なお、上記実施形態では、気液分離タンク30内の液位を、溶媒導入口76と一致させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、液位を、溶媒導入口76よりも上方に設定することも好ましく、水没する溶媒導入口76から導入される原料水によって、効果的に旋回流を生じさせることができる。一方、液位を、溶媒導入口76よりも下側に設定することも好ましい。
【0125】
また、上記実施形態では、溶媒として純水等を用いる場合を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、このオゾン水生成装置は、オゾンを活用した有機物の分解や、オゾンの殺菌特性を利用した水処理装置として利用できる。この際、溶媒としては、オゾンと化学反応を生じる有機物を含有する液体(水)や、ウイルス、細菌、菌類及び微生物の少なくともいずれかの物質を含有する液体(水)を利用できる。気液分離タンク中において有機物やウイルスを処理する場合に限られず、気液分離タンクから導出されたオゾン溶液に含有するオゾンが、経時的に、有機物やウイルスを処理する場合を含む。
【0126】
なお、処理対象とする有機物、ウイルス、細菌、菌類及び微生物等は、その種類によりオゾン溶液中において処理に要するオゾン濃度と時間の積が大幅に異なる。従って、種類に応じて、オゾン濃度を制御しても良く、また、気液分離タンク内での滞留時間(循環時間)を制御しても良い。また、オゾン溶液導出部の下流側に貯留槽や配管等の待機空間を用意しておき、気液分離タンクから導出されるオゾン溶液を、一時的に、待機空間に滞留させることで、オゾン処理時間を確保しても良い。なお、この待機空間は、オゾン溶液にどうしても残存してしまったオゾン等の気泡を追加脱気する場所として用いることもできる。
【0127】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。