(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁箱と、前記弁箱に取り付けられた弁棒及びハンドルを有し、前記ハンドルを回転させ、かつ、前記ハンドル及び前記弁棒を同弁棒の長手方向に沿って進退動させて、前記弁箱の内部を流れる流体の流れを制御する所定のバルブに取り付けられ、前記ハンドルを自動で回転させることが可能なバルブ自動化機構であって、
前記ハンドルに取り付けられるハンドル保持部と、
前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記ハンドル保持部に取り付けられると共に、前記ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車と、
前記ハンドルがなす面と略平行な方向において、前記弁棒と前記ハンドル回転用歯車の間に配置された略筒状体であり、その貫通孔に前記弁棒が挿通されると共に、前記ハンドル回転用歯車を支持する歯車支持部と、
前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記歯車支持部に接続されると共に、前記弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるように前記所定のバルブに取り付けられたバルブ取付部と、
前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記バルブ取付部に取り付けられると共に、モーター及び減速機を有する駆動機構と、
前記減速機に取り付けられ、前記モーターの駆動力により回転可能に構成されると共に、前記ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う駆動機構歯車とを備える
バルブ自動化機構。
前記ハンドルがなす面と略平行な方向において、同ハンドルの外縁部の範囲内に、前記ハンドル保持部、前記ハンドル回転用歯車、前記歯車支持部、前記バルブ取付部、及び、前記駆動機構歯車が配置された
請求項1に記載のバルブ自動化機構。
前記所定のバルブは、前記弁箱に、前記ハンドルの方向に向けて突出して設けられ、前記弁棒とねじ溝構造により嵌合して、同弁棒の回転と、その長手方向に沿った進退動を支持するリブ部を有し、
前記バルブ取付部は、前記リブ部を挟みこむように同リブ部に取り付けられると共に、前記ハンドル及び前記弁棒における、同弁棒の長手方向に沿った進退動に伴い、前記リブ部に沿って進退移動可能に構成された
請求項1または請求項2に記載のバルブ自動化機構。
弁箱と、前記弁箱に取り付けられた弁棒及びハンドルを有し、前記ハンドルを回転させ、かつ、前記ハンドル及び前記弁棒を同弁棒の長手方向に沿って進退動させて、前記弁箱の内部を流れる流体の流れを制御する所定のバルブについて、前記ハンドルを自動で回転させるためのバルブ自動化方法であって、
前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に、
前記ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車と、前記ハンドル回転用歯車を支持する歯車支持部と、前記歯車支持部に接続され、かつ、前記所定のバルブに取付けられ、前記弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるバルブ取付部と、前記バルブ取付部に取り付けられ、モーター及び減速機を有する駆動機構と、前記モーターの駆動力により回転し、前記ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う駆動機構歯車と、を取り付ける取り付け工程と、
前記モーターを駆動させ、前記駆動機構歯車を回転させて、前記ハンドルを回転させるハンドル回転工程を備える
バルブ自動化方法。
前記取り付け工程は、前記ハンドルがなす面と略平行な方向において、同ハンドルの外縁部の範囲内に、前記ハンドル回転用歯車、前記歯車支持部、前記バルブ取付部、及び、前記駆動機構歯車を取り付ける
請求項11に記載のバルブ自動化方法。
前記所定のバルブは、前記弁箱に、前記ハンドルの方向に向けて突出して設けられ、前記弁棒とねじ溝構造により嵌合して、同弁棒の回転と、その長手方向に沿った進退動を支持するリブ部を有し、
前記取り付け工程は、前記リブ部を挟みこむように同リブ部に前記バルブ取付部を取り付け、
前記ハンドル回転工程は、前記ハンドル及び前記弁棒における、同弁棒の長手方向に沿った進退動に伴い、前記バルブ取付部が前記リブ部に沿って進退移動する
請求項11または請求項12に記載のバルブ自動化方法。
弁箱と、前記弁箱に取り付けられた弁棒及びハンドルを有し、前記ハンドルを回転させ、かつ、前記ハンドル及び前記弁棒を同弁棒の長手方向に沿って進退動させて、前記弁箱の内部を流れる流体の流れを制御する所定のバルブに取り付けられ、前記ハンドルを自動で回転させることが可能なバルブ自動化機構であって、
前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車と、
前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記ハンドル回転用歯車を支持すると共に、前記所定のバルブに取付けられ、前記弁棒の位置を回転中心とした回動が規制された保持機構と、
前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記保持機構に取り付けられると共に、モーターの駆動力に基づき回転して、前記ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う歯車駆動機構とを備える
バルブ自動化機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、非特許文献1に記載の自動化機器を始め、口径が大きな手動バルブを電動化するための、従前の自動化機器では、バルブの自動開閉に大きなトルクが必要となるため、自動化機器の全体や、構成部材のサイズが大型になる問題があった。
【0008】
そのため、手動バルブの上部や周辺に自動化機器を取り付けると、取付け前に比べて、バルブ全体のサイズが大きくなる。特に、高さ方向においてバルブのサイズが著しく大型化してしまう。
【0009】
また、自動化機器の構成部材のサイズが大きく、重量もあるため、これらを支持する支持構造も大きく頑丈なものになり、自動化機器を設置するためのスペースを充分に確保する必要があった。
【0010】
しかしながら、船舶の内部のように、限られた狭いスペースの中に、複数の配管が密に配置され、配管同士の距離が近くなっている箇所が多く存在する環境では、隣り合う配管との距離によっては、手動バルブの自動化機器を配置できるだけの空間が確保できない不具合があった。
【0011】
また、自動化機器のサイズが大きく、重量が大きいことから、手動バルブに対して、迅速に自動化機器を、設置または取り外すことが困難であった。また、非常用の手動ハンドルを持たない自動化機器では、緊急時に、自動化機器を取り外して、バルブを手動で操作する対応も難しかった。
【0012】
さらに、非特許文献1に記載の自動化機器では、取付対象となるバルブが有する部材、例えば弁蓋等を、専用の取付部材や支持機構に交換する必要があり、バルブの種類や形状に合わせて、専用の取付部材や支持機構を新たに製造する必要があった。そのため、容易にバルブを電動化しづらく、対象となるバルブの数が多いと、コストが高騰する問題が顕著に生じていた。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、大型の手動バルブに容易に取り付け可能であり、バルブを電動化することができる共に、狭い設置スペースにも配置できるように充分に小型化されたバルブ自動化機構及びバルブ自動化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明のバルブ自動化機構は、弁箱と、前記弁箱に取り付けられた弁棒及びハンドルを有し、前記ハンドルを回転させ、かつ、前記ハンドル及び前記弁棒を同弁棒の長手方向に沿って進退動させて、前記弁箱の内部を流れる流体の流れを制御する所定のバルブに取り付けられ、前記ハンドルを自動で回転させることが可能なバルブ自動化機構であって、前記ハンドルに取り付けられるハンドル保持部と、前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記ハンドル保持部に取り付けられると共に、前記ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車と、前記ハンドルがなす面と略平行な方向において、前記弁棒と前記ハンドル回転用歯車の間に配置された略筒状体であり、その貫通孔に前記弁棒が挿通されると共に、前記ハンドル回転用歯車を支持する歯車支持部と、前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記歯車支持部に接続されると共に、前記弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるように前記所定のバルブに取り付けられたバルブ取付部と、前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記バルブ取付部に取り付けられると共に、モーター及び減速機を有する駆動機構と、前記減速機に取り付けられ、前記モーターの駆動力により回転可能に構成されると共に、前記ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う駆動機構歯車とを備える。
【0015】
ここで、ハンドルに取り付けられるハンドル保持部と、ハンドル保持部に取り付けられると共に、ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車によって、所定のバルブのハンドルを、ハンドル回転用歯車を回転させることで、一緒に回転させることが可能となる。
【0016】
また、ハンドル回転用歯車が、弁棒の長手方向において、弁箱とハンドルの間に配置されたことによって、所定のバルブの弁箱とハンドルの間のスペース内に、ハンドル回転用歯車を収めることができる。これにより、弁棒の長手方向、即ち、高さ方向において、所定のバルブの全高を変えることなく、ハンドル回転用歯車を取り付けることが可能となる。
【0017】
また、歯車支持部が、ハンドルがなす面と略平行な方向において、弁棒とハンドル回転用歯車の間に配置された略筒状体であり、その貫通孔に弁棒が挿通されると共に、ハンドル回転用歯車を支持することによって、ハンドル回転用歯車の内側から、これを支持することができる。
【0018】
また、バルブ取付部が、歯車支持部に接続されると共に、弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるように所定のバルブに取り付けられたことによって、バルブ取付部及び歯車支持部が、弁棒の位置を回転中心として回動することなく、ハンドル回転用歯車を支持できる構造となる。
【0019】
また、バルブ取付部が、弁棒の長手方向において、弁箱とハンドルの間に配置されたことによって、所定のバルブの弁箱とハンドルの間のスペース内に、歯車支持部及びバルブ取付部を収めることができる。これにより、弁棒の長手方向、即ち、高さ方向において、所定のバルブの全高を変えることなく、歯車支持部及びバルブ取付部を取り付けることが可能となる。
【0020】
また、モーター及び減速機を有する駆動機構と、減速機に取り付けられ、モーターの駆動力により回転可能に構成されると共に、ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う駆動機構歯車によって、モーターの駆動力を介して、駆動機構歯車を回転させて、この回転をハンドル回転用歯車に伝達し、ハンドル回転用歯車を回転させることができる。即ち、ハンドル回転用歯車と共に、所定のバルブのハンドルを回転させることが可能となり、所定のバルブを電動化することができる。
【0021】
また、駆動機構が、弁棒の長手方向において、弁箱とハンドルの間に配置されたことによって、所定のバルブの弁箱とハンドルの間のスペース内に、駆動機構歯車及び駆動機構を収めることができる。これにより、弁棒の長手方向、即ち、高さ方向において、所定のバルブの全高を変えることなく、駆動機構歯車及び駆動機構を取り付けることが可能となる。
【0022】
また、バルブ取付部が、歯車支持部に接続されると共に、弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるように所定のバルブに取り付けられ、駆動機構が、バルブ取付部に取り付けられたことによって、駆動機構及び駆動機構歯車が、弁棒の位置を回転中心として回動することなく、駆動機構歯車を介して、所定のバルブのハンドルを回転させることが可能となる。即ち、例えば、駆動機構及び駆動機構歯車が、弁棒の位置を回転中心として回動すると、ハンドル回転用歯車の外周に沿って、駆動機構と駆動機構歯車が移動することになり、駆動機構歯車とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれ、所定のバルブのハンドルを回転させられなくなってしまう。しかし、駆動機構及び駆動機構歯車について、回動が規制されることで、駆動機構歯車とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれることを抑止して、所定のバルブのハンドルを安定して回転させることが可能となる。
【0023】
また、ハンドルがなす面と略平行な方向において、ハンドルの外縁部の範囲内に、ハンドル保持部、ハンドル回転用歯車、歯車支持部、バルブ取付部、及び、駆動機構歯車が配置された場合には、ハンドルがなす面と略平行な方向、即ち、幅方向において、所定のバルブよりも内側に、ハンドル保持部、ハンドル回転用歯車、歯車支持部、バルブ取付部、及び、駆動機構歯車を収めることができる。これにより、バルブ自動化機構を取り付けた状態で、幅方向において、サイズが大型になることを抑止できる。
【0024】
また、所定のバルブが、弁箱に、ハンドルの方向に向けて突出して設けられ、弁棒とねじ溝構造により嵌合して、弁棒の回転と、その長手方向に沿った進退動を支持するリブ部を有し、バルブ取付部が、ハンドル及び弁棒における、弁棒の長手方向に沿った進退動に伴い、リブ部に沿って進退移動可能に構成された場合には、高さ方向において、駆動機構歯車とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれることを抑止して、所定のバルブのハンドルを安定して回転させることが可能となる。即ち、所定のバルブにおけるハンドル及び弁棒が、弁棒の長手方向に沿って進退動することで変わるハンドル回転用歯車の高さ位置に合わせて、バルブ取付部を移動させ、駆動機構歯車の高さ位置を揃えることができる。
【0025】
また、所定のバルブが、弁箱に、ハンドルの方向に向けて突出して設けられたリブ部を有し、バルブ取付部が、リブ部を挟みこむようにリブ部に取り付けられたことによって、リブ部をバルブ取付部で挟み込むように嵌合させるだけの簡易な構造で、バルブ取付部を所定のバルブに安定して取り付けることができる。また、この簡易な構造で、バルブ取付部の、弁棒の位置を回転中心とした回動を規制することができる。
【0026】
また、バルブ取付部が、リブ部と対向する面の少なくとも一部に、回転自在に構成された摩耗防止機構を有する場合には、バルブ取付部が、リブ部に沿って進退動する際に、両部材の間で、摩耗防止機構が回転してバルブ取付部の移動を滑らかにすると共に、バルブ取付部が摩耗すること防止できる。
【0027】
また、バルブ取付部が、リブ部と対向する面の少なくとも一部に、バルブ取付部とリブ部との間の摩耗を防止する摩耗防止部材が配置された場合には、バルブ取付部が、リブ部に沿って進退動する際に、両部材の間に摩耗防止部材があることで、バルブ取付部が摩耗すること防止できる。
【0028】
また、ハンドル回転用歯車及び駆動機構歯車は、ハンドルのなす面と略平行な向きに配置された場合には、高さ方向において、ハンドル回転用歯車及び駆動機構歯車が占める体積が小さくなり、バルブ自動化機構を取り付けた状態で、高さ方向において、サイズが大型になることを抑止できる。
【0029】
また、歯車支持部とハンドル回転用歯車との間に取り付けられ、ハンドル回転用歯車の回転を滑らかにするベアリング部を備える場合には、ハンドル回転用歯車が回転することによる歯車支持部の摩耗を防止すると共に、ハンドル回転用歯車を滑らかに回転させることができ、その回転に必要な動力を低減させることができる。
【0030】
また、ベアリング部が、クロスローラーベアリングで構成された場合には、軸方向の異なるローラーベアリングが2方向に取り付けられたベアリング部となり、水平方向及び垂直方向の両方向から力が加わった際にも、ベアリング部がひずんだり、偏心したりすることなく、ハンドル回転用歯車を滑らかに回転させることが可能となる。
【0031】
また、ハンドルの外周径の大きさに応じて、ハンドル回転用歯車の外周径及び歯車の歯数が変更可能である場合には、所定のバルブのハンドルの外周径の大きさが異なっても、同一の駆動機構を用いながら、所定のバルブのハンドルの外周径に合わせた外周径及び歯車の歯数を有するハンドル回転用歯車を選択して、所定のバルブを自動で開閉させるために充分な最大トルクを得ることができる。即ち、バルブは、その口径が大きくなることに伴い、ハンドルの外周径も大きくなることから、ハンドル回転用歯車を変更するだけで、口径が異なるバルブに自動化機構を取り付け可能となる。
【0032】
また、所定のバルブが、手動でハンドルを回転させる既設の手動バルブであり、ハンドル保持部、ハンドル回転用歯車、歯車支持部、バルブ取付部、駆動機構及び駆動機構歯車は、既設の手動バルブに、後付けで取り付け可能である場合には、既設の手動バルブを簡単に電動化することができる。また、必要に応じて、自動化機構を取り外して、元の状態に戻すことができる。
【0033】
また、上記の目的を達成するために、本発明のバルブ自動化方法は、弁箱と、前記弁箱に取り付けられた弁棒及びハンドルを有し、前記ハンドルを回転させ、かつ、前記ハンドル及び前記弁棒を同弁棒の長手方向に沿って進退動させて、前記弁箱の内部を流れる流体の流れを制御する所定のバルブについて、前記ハンドルを自動で回転させるためのバルブ自動化方法であって、前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に、前記ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車と、前記ハンドル回転用歯車を支持する歯車支持部と、前記歯車支持部に接続され、かつ、前記所定のバルブに取付けられ、前記弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるバルブ取付部と、バルブ取付部に取り付けられ、モーター及び減速機を有する駆動機構と、前記モーターの駆動力により回転し、前記ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う駆動機構歯車と、を取り付ける取り付け工程と、前記モーターを駆動させ、前記駆動機構歯車を回転させて、前記ハンドルを回転させるハンドル回転工程を備える。
【0034】
ここで、取り付け工程で、ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車を取り付けることによって、所定のバルブのハンドルを、ハンドル回転用歯車を回転させることで、一緒に回転させることが可能となる。
【0035】
また、取り付け工程で、ハンドル回転用歯車を支持する歯車支持部を取り付けることによって、歯車支持部で、ハンドル回転用歯車を支持することができる。
【0036】
また、取り付け工程で、歯車支持部に接続され、かつ、所定のバルブに取付けられ、弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるバルブ取付部を取り付けることによって、バルブ取付部及び歯車支持部が回動することなく、ハンドル回転用歯車を支持できる構造となる。
【0037】
また、取り付け工程で、モーター及び減速機を有する駆動機構と、モーターの駆動力により回転し、ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う駆動機構歯車を取り付けることによって、モーターの駆動力を介して、駆動機構歯車を回転させて、この回転をハンドル回転用歯車に伝達し、ハンドル回転用歯車を回転させることができる。
【0038】
また、取り付け工程で、弁棒の長手方向において、弁箱とハンドルの間に、ハンドル回転用歯車と、歯車支持部と、バルブ取付部と、モーター及び減速機を有する駆動機構と、駆動機構歯車と、を取り付けることによって、所定のバルブの弁箱とハンドルの間のスペース内に、各部材を収めることができる。これにより、弁棒の長手方向、即ち、高さ方向において、所定のバルブの全高を変えることなく、各部材を取り付けることが可能となる。
【0039】
また、ハンドル回転工程で、モーターを駆動させ、駆動機構歯車を回転させて、ハンドルを回転させることによって、ハンドル及び弁棒の回転を電動化して、弁箱の内部を流れる流体の流れの制御することができる。
【0040】
また、取り付け工程で、歯車支持部と、歯車支持部に接続され、かつ、所定のバルブに取付けられ、弁棒の位置を回転中心とした回動が規制されるバルブ取付部と、バルブ取付部に取り付けられた駆動機構と、駆動機構歯車を取り付けることによって、駆動機構及び駆動機構歯車が回動することなく、駆動機構歯車を介して、所定のバルブのハンドルを回転させることが可能となる。即ち、例えば、駆動機構及び駆動機構歯車が、弁棒の位置を回転中心として回動すると、ハンドル回転用歯車の外周に沿って、駆動機構と駆動機構歯車が移動することになり、駆動機構歯車とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれ、所定のバルブのハンドルを回転させられなくなってしまう。しかし、駆動機構及び駆動機構歯車について、回動が規制されることで、駆動機構歯車とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれることを抑止して、所定のバルブのハンドルを安定して回転させることが可能となる。
【0041】
また、取り付け工程で、ハンドルがなす面と略平行な方向において、ハンドルの外縁部の範囲内に、ハンドル回転用歯車、歯車支持部、バルブ取付部、及び、駆動機構歯車を取り付ける場合には、ハンドルがなす面と略平行な方向、即ち、幅方向において、所定のバルブよりも内側に、ハンドル保持部、ハンドル回転用歯車、歯車支持部、バルブ取付部、及び、駆動機構歯車を収めることができる。これにより、バルブ自動化機構を取り付けた状態で、幅方向において、サイズが大型になることを抑止できる。
【0042】
また、所定のバルブが、弁箱に、ハンドルの方向に向けて突出して設けられ、弁棒とねじ溝構造により嵌合して、弁棒の回転と、その長手方向に沿った進退動を支持するリブ部を有し、取り付け工程が、リブ部を挟みこむようにリブ部にバルブ取付部を取り付け、ハンドル回転工程が、ハンドル及び弁棒における、弁棒の長手方向に沿った進退動に伴い、バルブ取付部がリブ部に沿って進退移動する場合には、弁棒の長手方向、即ち、高さ方向において、駆動機構歯車とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれることを抑止して、所定のバルブのハンドルを安定して回転させることが可能となる。即ち、所定のバルブにおけるハンドル及び弁棒が、弁棒の長手方向に沿って進退動することで変わるハンドル回転用歯車の高さ位置に合わせて、バルブ取付部を移動させ、駆動機構歯車の高さ位置を揃えることができる。
【0043】
また、上記の目的を達成するために、本発明のバルブ自動化機構は、弁箱と、前記弁箱に取り付けられた弁棒及びハンドルを有し、前記ハンドルを回転させ、かつ、前記ハンドル及び前記弁棒を同弁棒の長手方向に沿って進退動させて、前記弁箱の内部を流れる流体の流れを制御する所定のバルブに取り付けられ、前記ハンドルを自動で回転させることが可能なバルブ自動化機構であって、前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記ハンドルと一体的に回転するハンドル回転用歯車と、前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記ハンドル回転用歯車を支持すると共に、前記所定のバルブに取付けられ、前記弁棒の位置を回転中心とした回動が規制された保持機構と、前記弁棒の長手方向において、前記弁箱と前記ハンドルの間に配置され、前記保持機構に取り付けられると共に、モーターの駆動力に基づき回転して、前記ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行う歯車駆動機構とを備える。
【0044】
ここで、歯車駆動機構が、モーターの駆動力に基づき回転して、ハンドル回転用歯車と歯車の噛み合いにより動力伝達を行うことによって、モーターの駆動力を、歯車駆動機構からハンドル回転用歯車に伝達し、ハンドル回転用歯車を回転させることができる。即ち、ハンドル回転用歯車と共に、所定のバルブのハンドルを回転させることが可能となり、所定のバルブを電動化することができる。
【0045】
また、保持機構が、ハンドル回転用歯車を支持すると共に、所定のバルブに取付けられ、弁棒の位置を回転中心とした回動が規制され、歯車駆動機構が保持機構に取り付けられたことによって、保持機構及び歯車駆動機構が回動することなく、歯車駆動機構を介して、所定のバルブのハンドルを回転させることが可能となる。即ち、例えば、歯車駆動機構が、弁棒の位置を回転中心として回動すると、ハンドル回転用歯車の外周に沿って、歯車駆動機構が移動することになり、歯車駆動機構とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれ、所定のバルブのハンドルを回転させられなくなってしまう。しかし、歯車駆動機構について、その回動が規制されることで、歯車駆動機構とハンドル回転用歯車の噛み合いがずれることを抑止して、所定のバルブのハンドルを安定して回転させることが可能となる。
【0046】
また、ハンドル回転用歯車と、保持機構と、歯車駆動機構が、弁棒の長手方向において、弁箱とハンドルの間に配置されたことによって、所定のバルブの弁箱とハンドルの間のスペース内に、各部材を収めることができる。これにより、弁棒の長手方向、即ち、高さ方向において、所定のバルブの全高を変えることなく、各部材を取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係るバルブ自動化機構は、大型の手動バルブに容易に取り付け可能であり、バルブを電動化することができる共に、狭い設置スペースにも配置できるように充分に小型化されたものとなっている。
また、本発明に係るバルブ自動化方法は、大型の手動バルブに容易に取り付け可能であり、バルブを電動化することができる共に、狭い設置スペースにも配置できるように充分に小型化されたバルブ自動化機構を提供できる方法となっている。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
本発明を適用したバルブ自動化機構の一例であるバルブ自動化機構1は、手動のバルブ100の内部を流れる流体を制御するハンドル101の回転を電動化するための機構である(
図1及び
図2参照)。なお、以下に示す内容は本発明を適用したバルブ自動化機構の一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0050】
また、以下の説明においては、説明の便宜上、
図2(a)を基準に、図中における上下方向を、「上下方向」または「鉛直方向」と称し、図中における左右方向を「水平方向」と称するものとする。
【0051】
また、バルブ100は、ハンドル101と、弁棒102と、弁箱103と、リブ104を備える玉型弁である(
図1、
図2、
図3、
図6、
図7、
図9参照)。また、バルブ100は、口径が200mmの大型バルブである。
【0052】
また、ハンドル101は、弁棒102に着脱自在に取り付けられ、弁棒102に取り付けられた状態で、作業者が手動で回転させる部分である。
【0053】
また、弁棒102は図示しない弁体に接続され、ハンドル101を手動で回転させることで、ハンドル101と共に弁棒102が回転し、弁箱103の内部を流れる流体の流路を弁体が開閉することで、流体の流れが制御される。
【0054】
また、リブ104は、弁箱103の上部に設けられ、弁棒102との間で、ねじ溝構造で嵌合している。リブ104はねじ溝構造を介して、弁棒102が回転しながら、上下方向に進退動作する動きをガイドする部材である。
【0055】
なお、バルブ100の構造は、既知の玉形弁の構造であるため、詳細な説明は省略する。また、ここでいうリブ104が本願請求項におけるリブ部に相当する部材である。
【0056】
ここで、本発明を適用したバルブ自動化機構が取り付けられるバルブの種類は、玉型弁に限定されるものではなく、ハンドル及び弁棒を有し、その回転により流体の流れを制御するバルブであれば適用することができる。例えば、ボール弁、ゲート弁、バタフライ弁等、既知の種類のバルブに対して、本発明を適用したバルブ自動化機構を採用することができる。より詳細には、例えば、ゲートバルブのような、バルブ開閉に一回転以上を要するマルチターンタイプのバルブには、本発明の構造をそのまま適用することができる。また、ボール弁、バタフライ弁のような、90度のハンドル回転でバルブ開閉を行うパートターンバルブには、ハンドルへの取り付け構造などを変更して、本発明を適用したバルブ自動化機構を採用することができる。
【0057】
また、本発明を適用したバルブ自動化機構が取り付けられるバルブの口径は、200mmのサイズに限定されるものではない。例えば、玉形弁では口径が100mm以上のバルブに適用することも可能である。さらに、口径が200mmを超えるバルブについても適用することができる。
【0058】
[バルブ自動化機構の全体構造]
図1(a)及び
図1(b)に示すように、バルブ自動化機構1は、歯車取付機構2と、支持機構3と、駆動機構4と、制御部5を備えている。
【0059】
また、歯車取付機構2は、バルブ100のハンドル101に、ハンドル101と一体的に回転するハンドル回転用歯車20を取り付けるための取付機構である(
図2(a)、
図2(b)及び
図3参照)。
【0060】
また、支持機構3は、歯車取付機構2及び駆動機構4をバルブ100に取り付けるための取付機構であると共に、歯車取付機構2を支持するための部材である。
【0061】
また、駆動機構4は、ハンドル回転用歯車20を回転させ、ハンドル101の回転を電動化するための駆動力を生じる機構である。なお、各機構の詳細は後述する。
【0062】
また、制御部5は、外部との通信機能を備え、外部端末等からの送信される制御信号により、駆動機構4を構成するモーターの駆動を制御する部分である。モーターは、制御部5を介して、回転方向や回転速度が制御可能に構成されている。
【0063】
また、制御部5は、電源のONOFFが切り替え可能な電源ボタン(図示省略)を有している。さらに制御部5は、交流と直流の電源変換の機能を有している。
【0064】
[歯車取付機構]
図3(a)及び
図3(b)に示すように、歯車取付機構2は、ハンドル回転用歯車20と、ハンドル保持ケース21と、ケース蓋部22と、固定ナット105を有している。
【0065】
また、ハンドル回転用歯車20は、ハンドル保持ケース21と、ケース蓋部22、及び、固定ナット105を介して、ハンドル101と一体化する部材であり、後述する駆動部側歯車41の歯車と噛み合い、ハンドル101と一緒に回転する部材である(
図4(b)参照)。
【0066】
また、ハンドル回転用歯車20は、その中央に、弁棒102が挿通可能な貫通孔が形成された略ドーナツ状の部材である(
図4(b)参照)。
【0067】
このように、ハンドル回転用歯車20の中央に弁棒102が挿通された構造であるため、ハンドル101の回転軸となる弁棒102の位置が、ハンドル回転用歯車20における回転の中心位置となる。
【0068】
即ち、水平方向において、ハンドル101及びハンドル回転用歯車20の回転の中心位置が揃った構造となる。
【0069】
これにより、ハンドル回転用歯車20と一体的にハンドル101を回転させる際に、ハンドル101を安定して回転させることが可能となる。また、モーターから生じる駆動力のロスを減らして、ハンドル101を効率良く回転させることができる。
【0070】
また、ハンドル回転用歯車20の外周面には、ハンドル101の外周径の大きさに合わせて形成された歯数の歯が形成されている。また、ハンドル回転用歯車20の外周径の大きさは、ハンドル101の外周径の大きさに合わせて形成されている。この歯数及び外周径の大きさの関係については後述する。
【0071】
また、ハンドル保持ケース21は、ケース蓋部22との間に、ハンドル101を挟んで固定するための固定部材であると共に、ハンドル回転用歯車20の上部を保護するカバー部材である(
図4(a)参照)。
【0072】
また、ハンドル保持ケース21は、その中央に弁棒102が挿通可能な貫通孔が形成された略ドーナツ状の部材であり、その下部側にハンドル回転用歯車20が取り付けられ、ハンドル保持ケース21とハンドル回転用歯車20が一体化した構造となっている(
図4(a)参照)。
【0073】
なお、
図4(b)においては、ハンドル回転用歯車20の形状を明確にするため、ハンドル保持ケース21と分離した状態でハンドル回転用歯車20を図示している。
【0074】
また、ハンドル保持ケース21の上部側には、ハンドル101のスポークを嵌め込むための複数の溝部210が形成されている(
図4(a)参照)。また、ケース蓋部22の下部側にも、ハンドル101のスポークを嵌め込むための複数の溝部220が形成されている(
図3(b)参照)。
【0075】
また、ケース蓋部22は、その中央に弁棒102が挿通可能な貫通孔が形成されている(
図3(b)参照)。また、固定ナット105は、弁棒102の上部の外周面に形成された溝(符号省略)とねじ溝構造で嵌合して、ケース蓋部22、ハンドル保持ケース21及びハンドル回転用歯車20を固定する部材である。
【0076】
なお、固定ナット105は、バルブ100において、弁棒102に対してハンドル101を固定するための部材をそのまま採用することができる。
【0077】
このような歯車取付機構2の構造により、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ハンドル保持ケース21とケース蓋部22の間に、ハンドル101を挟んだ状態で、固定ナット105を締め付け、ハンドル101と、ケース蓋部22、ハンドル保持ケース21及びハンドル回転用歯車20を一体化させて、その状態を固定することができる。
【0078】
また、ハンドル保持ケース21と、ハンドル回転用歯車20が一体化しているため、ハンドル101の下部に、ハンドル回転用歯車20を取り付けることが可能となる。
【0079】
また、ハンドル101の下部に、ハンドル回転用歯車20を取り付けることで、バルブの全体のサイズが大型になることを抑止できる。また、緊急時等に、ハンドル101を手動で操作しやすくすることができる。
【0080】
このように、歯車取付機構2を介して、バルブ100のハンドル101の下部に、容易にハンドル回転用歯車20を取り付けることが可能となる。
【0081】
[支持機構]
図5(a)に示すように、支持機構3は、歯車支持部30と、ベアリング部31と、リブ取付部32を有している。なお、
図5及び
図6では、支持機構3の各構成部材の形状と配置位置を明確にするために、歯車取付機構2の各部材を省略して図を表している。
【0082】
また、歯車支持部30は、ハンドル回転用歯車20を支持する部材である。歯車支持部30自体は、回転しないように、リブ取付部32に対してボルト(図示省略)で固定され、ハンドル回転用歯車20を回転可能に軸支する部材である。
【0083】
また、ベアリング部31は、歯車支持部30と、ハンドル回転用歯車20の間に取り付けられる部材であり(
図5(b)参照)、ハンドル回転用歯車20を滑らかに回転させるための部材である。また、ベアリング部31は、ハンドル回転用歯車20が回転することによる歯車支持部30が摩耗することを防止する部材である。また、ベアリング部31は、その内側が上部支持部300及び下部支持部301の間に挟まれ、かつ、その外側がハンドル保持ケース21及びハンドル回転用歯車20の間に挟まれ、各々の部材に挟まれた圧力で、ベアリング部31が保持されている。
【0084】
また、ベアリング部31は、クロスローラーベアリングで構成され、軸方向の異なるローラーベアリングが2方向に取り付けられている。そのため、水平方向及び垂直方向の両方向から力が加わっても、ベアリング部31がひずんだり、偏心したりすることなく、ハンドル回転用歯車20を滑らかに回転させることが可能となる。
【0085】
また、リブ取付部32は、バルブ100のリブ104に、歯車支持部30を取り付けるための部材である。より詳細には、リブ取付部32は、歯車取付機構2及び駆動機構4をバルブ100に取り付けるための部材となると共に、歯車取付機構2を支持する部材である。
【0086】
また、歯車支持部30は、上部支持部300と、下部支持部301の2つの部材を、上下方向にボルトで固定し、一体化した部材で構成されている(
図5(a)、
図5(b)及び
図9参照)。
【0087】
また、下部支持部301は、その外周面の一部がリブ取付部32にボルト(図示省略)で固定され、歯車支持部30の基礎部分を構成している。また、下部支持部301は、その下部中央側に嵌合溝302が形成され、リブ104の上端の一部が嵌入可能な形状となっている(
図6(a)参照)。
【0088】
また、下部支持部301は、その中央に、弁棒102が挿通可能な貫通孔が形成されている(
図5(b)参照)。さらに、下部支持部301は、その上部側の外周面に、ベアリング部31を取り付けるための段差部が形成されている。また、上部支持部300は、下部支持部301との間で、ベアリング部31を挟持している。
【0089】
また、上部支持部300は、ハンドル保持ケース21の内周面と嵌合して、ハンドル保持ケース21を下方から支持する部材となる(
図8及び
図9参照)。
【0090】
また、ベアリング部31は、弁棒102を中心とした半径方向において、上部支持部300及び下部支持部301と、ハンドル回転用歯車20の間に配置され、上述したように、ハンドル回転用歯車20の軸受けとして機能する(
図8及び
図9参照)。
【0091】
また、リブ取付部32は、枠状の部材であり、リブ104に対して、その上方からリブ104に被せるように取り付けられている(
図5〜
図7参照)。
【0092】
また、リブ取付部32の内周面の下部側の4カ所には、回転自在な摩耗防止ローラー320が設けられ、リブ取付部32は、摩耗防止ローラー320を介して、リブ104の外周面に当接している。
【0093】
即ち、リブ取付部32は、その枠状の形状の内側で、板状のリブ104を外側から挟み込むように取り付けられている。
【0094】
また、リブ取付部32は、ハンドル101及び弁棒102が回転して、上下方向に進退動する動きに伴い、リブ104に沿って上下動可能に構成されている(
図7(a)及び
図7(b)参照)。
【0095】
この上下動する際に、摩耗防止ローラー320が回転することで、リブ取付部32の滑らかな移動が可能となり、かつ、リブ取付部32がリブ104と接触して摩耗することを防止できる。
【0096】
ここで、必ずしも、リブ取付部32が、回転自在な摩耗防止ローラー320を介して、リブ104の外周面に当接する構造とある必要はない。例えば、摩耗防止ローラー320の代わりに、樹脂部材等で形成された摩耗防止部を取り付けて、リブ104に沿ったリブ取付部32の上下動の際の摩耗を防止することもできる。また、摩耗防止ローラー320の代わりに、回転自在なボール部材を用いることもできる。
【0097】
また、リブ取付部32は、上述したように、リブ104に対して、その上方からリブ104に被せるように取り付けられていることから、弁棒102の位置を中心とした回動が、リブ104との嵌合により規制されている。
【0098】
これにより、リブ取付部32は、上部支持部300及び下部支持部301が回転しないように、リブ104にこれらの部材を取り付けることが可能となる。
【0099】
即ち、上部支持部300及び下部支持部301は回転することなく、ハンドル回転用歯車20は回転可能となるように、上部支持部300及び下部支持部301で支える構造が実現できる。この結果、ハンドル回転用歯車20及びハンドル101を、安定して回転させることができる。
【0100】
また、リブ取付部32は、駆動部取付具321を有している(
図5(a)、
図5(b)及び
図6(a)参照)。駆動部取付具321は、リブ取付部32に、駆動機構5を取り付けるための部材である。
【0101】
[駆動機構]
図6(a)及び
図6(b)に示すように、駆動機構4は、駆動部本体40と、駆動部側歯車41を有している。
【0102】
また、駆動部本体40は、駆動源となるモーターと、モーターに接続され、モーターで生じた駆動力のトルクを高める減速機を有している(図示省略)。また、モーターは、制御部5に接続され、制御部5を介して電源が供給されると共に、その駆動が制御されている。
【0103】
また、駆動部側歯車41は、モーター及び減速機から伝達された駆動力により回転して、ハンドル回転用歯車20と噛み合い、これを回転させるための部材である(
図4(b)参照)。
【0104】
また、駆動部側歯車41は、駆動部本体40の減速機に接続され、モーターから生じ、減速機でトルクが高められた回転動力によって、回転可能に構成されている。また、駆動部側歯車41は、駆動部本体40の上方に配置され、上下方向における高さ位置が、ハンドル回転用歯車20の高さ位置に揃えられている。
【0105】
これにより、2つの歯車がしっかりと噛み合い、駆動部側歯車41の回転を、ハンドル回転用歯車20に伝達して、ハンドル回転用歯車20及びハンドル101を回転させることが可能となる(
図4(b)参照)。
【0106】
また、駆動部側歯車41には、駆動部側歯車41を上方から覆い、ハンドル回転用歯車20と対向する面側の一部が開口したカバー部材42が取り付けられている(
図4(a)参照)。
【0107】
また、上述したように、駆動部取付具321を介して、駆動部本体40がリブ取付部32に取り付けられている。そのため、駆動部本体40及び駆動部側歯車41は、リブ取付部32とリブ104との嵌合により、弁棒102の位置を中心とした回動が規制されている。
【0108】
これにより、駆動部側歯車41が、ハンドル回転用歯車20の円周方向に沿って、その周りを回転することがなく、ハンドル回転用歯車20の円周方向における同じ位置で、2つの歯車が噛み合う構造となる。
【0109】
この結果、駆動部側歯車41の回転動力を安定してハンドル回転用歯車20に伝達することができ、ハンドル101を、安定して回転させることが可能となる。
【0110】
また、駆動部側歯車41は、水平方向において、ハンドル回転用歯車20のすぐ隣に配置されているため、モーターで生じた駆動力を伝達する際に、回転動力のロスが少なく、ハンドル回転用歯車20を効率良く回転させることができる。また、ハンドル101に対して、充分なトルクを生じさせることができる。
【0111】
さらに、駆動部取付具321を介して、駆動部本体40がリブ取付部32に取り付けられているため、リブ104に沿ってリブ取付部32が上下方向に移動するのに合わせて、駆動部本体40及び駆動部側歯車41も上下方向に移動することができる。
【0112】
即ち、上下方向において、ハンドル回転用歯車20の高さ位置と、駆動部側歯車41の高さ位置が常に揃った状態で、ハンドル101及び弁棒102が回転して、上下方向に進退動する動きと一緒に、ハンドル回転用歯車20と、駆動部側歯車41が上下方向に移動可能となる。
【0113】
これにより、ハンドル101が回転して、弁棒102が上下方向に移動しても、ハンドル回転用歯車20と、駆動部側歯車41の2つの歯車の噛み合いが上下方向にずれることなく、安定して回転動力を伝達できる構造となる。
【0114】
続いて、バルブ100に対するバルブ自動化機構1の各部材の取付位置について説明する。
【0115】
まず、上下方向において、ハンドル回転用歯車20と、支持機構3の各部材と、駆動機構4の各部材は、バルブ100のハンドル101と、弁箱103との間に配置されている。そのため、バルブ100の元々の全高を変えることなく、ハンドル101を電動化するための上述した部材を取り付けることができる。
【0116】
また、ケース蓋部22も、固定ナット105とハンドル101との間に配置されるため、バルブ100の全高に影響なく、ハンドル101に取り付けることができる(
図8及び
図9参照)。
【0117】
このように、本発明を適用したバルブ自動化機構1は、高さ方向において、バルブのサイズを大型化することなく、対象となるバルブを電動化することができ、コンパクトな構造を実現することができる。
【0118】
また、水平方向において、歯車取付機構2の各部材と、支持機構3の各部材と、駆動機構側歯車41は、バルブ100のハンドル101の外周縁の範囲内に配置されている。そのため、水平方向において、ハンドル101よりも内側のスペースに、ハンドル101を電動化するための上述した部材を収めることができる。
【0119】
また、水平方向において、駆動部本体41も、その端部が、ハンドル101の外縁部よりもやや外側に位置するものの、弁箱103の最外縁部よりも駆動部本体41は内側に位置するため、水平方向において、バルブのサイズを大型化することなく、対象となるバルブを電動化することができ、コンパクトな構造を実現することができる(
図8参照)。
【0120】
なお、制御部5については、便宜上、バルブ100のフランジ部の上方に配置した構造となっているが、モーターに対して電力供給と制御信号の送信が可能であれば充分であるため、モーターと接続した配線の長さを延長して、バルブ100から離れた位置に制御部5を配置することができる。
【0121】
[ハンドル回転用歯車の外周径及び歯数]
次に、ハンドル回転用歯車20の外周径及び歯数と、ハンドル101との関係について説明する。上述したように、ハンドル回転用歯車20の外周面には、ハンドル101の外周径の大きさに合わせて形成された歯数の歯が形成されている。また、ハンドル回転用歯車20の外周径の大きさは、ハンドル101の外周径の大きさに合わせて形成されている。
【0122】
ここで、一般的に、バルブは、その口径(接続される配管の径)が大きくなるにつれて、バルブに取り付けられたハンドルの外周径も大きくなるように構成されている。
【0123】
そのため、本発明のバルブ自動化機構1では、取り付け対象となるバルブのハンドルの外周径に合わせて、ハンドル回転用歯車20の外周径及び歯数を変更したものを準備して、交換することで、同一の駆動機構4を用いながら、口径のサイズが異なるバルブに対応させることができる。
【0124】
以下、口径のサイズが異なるバルブと、これに合わせて設定したハンドル回転用歯車の外周径及び歯数の関係を表1に示す。なお、表1には、駆動機構4の最大回転トルク100N・mで、駆動機構側歯車41の歯数が12の場合におけるバルブの口径、外周径と、ハンドル回転用歯車の外周径及び歯数と、バルブの最大回転トルク及び最大回転数の関係を示している。
【0126】
この表1に示すように、バルブのハンドルの外周径の大きさに応じて、ハンドル回転用歯車の外周径の大きさ及び歯数を変化させることで、最大回転トルクが100N・mで、駆動機構側歯車の歯数が12である駆動機構4を使用しながらも、バルブの最大回転トルクを変化させることができる。即ち、口径の大きなバルブでも、その開閉に充分な最大トルクを得ることができる。
【0127】
また、口径が大きなバルブでは、回転トルクが増加する一方、最大回転数が減少するが、口径が大きくなるほど、要求される最大回転数が小さくなるので、表1の仕様で、口径の異なる3種類のバルブに対応することができる。
【0128】
なお、表1に示す内容及び条件は、あくまで一例であり、本発明を適用したバルブ自動化機構においては、ハンドル回転用歯車20や、駆動機構4の仕様を適宜変更することが可能である。
【0129】
以下、バルブ100に対して、バルブ自動化機構1を取り付ける工程について簡単に説明する。
【0130】
まず、配管設備等に既設されているバルブ100において、固定ナット105を外して、弁棒102からハンドル101を取り外す。
【0131】
次に、リブ取付部32を、リブ104の上方から被せるように取り付けて、リブ104とリブ取付部32を嵌合させる。また、リブ取付部32に、駆動部取付具321を介して、駆動部本体40及び駆動部側歯車41を取り付けて一体化させる。
【0132】
また、リブ取付部32の上方から、弁棒102を挿通させながら、上部支持部300及び下部支持部301を取り付け、下部支持部301とリブ取付部32をボルトで固定する。
【0133】
さらに、上部支持部300の上方から、弁棒102を挿通させながら、ハンドル保持ケース21及びハンドル回転用歯車20の一体化物を、上部支持部300の上部に取り付ける。
【0134】
続いて、ハンドル保持ケース21の嵌合溝210に、ハンドル101のスポークの位置を合わせて、ハンドル保持ケース21の上にハンドル101を載せる。
【0135】
そして、ケース蓋部22の嵌合溝220を、ハンドル101のスポークの位置に合わせて、ハンドル101にケース蓋部22を被せる。また、ケース蓋部22の中央の孔部から出ている弁棒102の上部に、固定ナット105を締め付け、ハンドル101と、ケース蓋部22、ハンドル保持ケース21及びハンドル回転用歯車20を一体化させて固定する。
【0136】
そして、駆動部本体40と制御部5を配線で繋ぐことで、バルブ100へのバルブ自動化機構1の取り付けが完了する。
【0137】
以上のように、非常に簡単な作業で、既設のバルブ100に、バルブ自動化機構1を取り付けて、バルブ100を電動化することができる。また、バルブ自動化機構1をバルブ100から取り外す際にも、上記と逆の手順で、簡単かつ迅速に、バルブ自動化機構1を取り外すことができる。
【0138】
また、上述したように、本発明のバブル自動化機構では、取り付けの対象となるバルブの口径のサイズに合わせて、使用するハンドル回転用歯車を交換することで、複数の口径のサイズのバルブに適用させることができる。
【0139】
以上のとおり、本発明に係るバルブ自動化機構は、大型の手動バルブに容易に取り付け可能であり、バルブを電動化することができる共に、狭い設置スペースにも配置できるように充分に小型化されたものとなっている。
また、本発明に係るバルブ自動化方法は、大型の手動バルブに容易に取り付け可能であり、バルブを電動化することができる共に、狭い設置スペースにも配置できるように充分に小型化されたバルブ自動化機構を提供できる方法となっている。
大型の手動バルブに容易に取り付け可能であり、バルブを電動化することができる共に、狭い設置スペースにも配置できるように充分に小型化されたバルブ自動化機構を提供する。バルブ自動化機構(1)は、歯車取付機構(2)と、支持機構(3)と、駆動機構(4)と、制御部(5)を備えている。前記歯車取付機構は、ハンドル回転用歯車(20)を有している。前記駆動機構は、前記ハンドル回転用歯車を回転させ、ハンドル(101)の回転を電動化するための駆動力を生じる。