【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年11月18日、一般社団法人電気学会、電気学会研究会資料. PPR 2016(14−28),第27〜32頁 平成29年3月1日〜3日、第7回国際スマートグリッドEXPO 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1)にて展示 平成29年3月1日、株式会社 東芝、東芝レビュー 72巻1号(2017年3月) 平成29年3月5日、一般社団法人電気学会、第29回電気学会全国大会 講演論文集(予稿集)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記状態予測部は、前記変圧器の油温、巻線温度、または寿命損失のうち、複数の値を予測し、予測された値のうち、最も短時間で前記許容限度に到達する値に基づいて、前記変圧器に供給可能な電流値、または前記継続可能時間のうち、少なくとも一方を生成する、
請求項1または2に記載の監視支援システム。
前記温度取得部により取得した温度情報と、前記電流値取得部により取得した電流値、前記変圧器に供給可能な電流値と、前記変圧器の温度が許容限度を超えるまでの継続可能時間とのうち、少なくとも一つを、前記表示部に対応する装置に送信する通信部を備える、
請求項1から4のうち何れか1項に記載の監視支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の監視支援システム、監視支援方法、および監視支援プログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
[全体構成]
図1は、第1の実施形態の監視支援システム100の一例を示す図である。
図1に示す監視支援システム100は、変圧器10と、温度センサ20と、表示装置200とに接続される。
【0009】
変圧器10は、例えば、磁束の通路となる鉄心と、磁束と鎖交する電流の通路となる二つ以上の巻線とを備える。鉄心と二つ以上の巻線は、相互に位置を変えないように設置されている。また、鉄心と二つ以上の巻線は、例えば、絶縁強度や冷却効果を高めるための絶縁油が充填された容器内に収容されている。絶縁油は、例えば、シリコーン油または鉱油である。変圧器10は、外部から交流電力を受け、電磁誘導作用により電圧および電流を変成して、外部に交流電力を供給する。また、変圧器10は、例えば、電流センサ12を備える。電流センサ12は、変圧器10の巻線を流れる電流値を計測する。
【0010】
また、変圧器10は、例えば、巻線に取り付けられる出力電圧調整用の複数のタップ(不図示)と、タップを切り換えるタップ切換制御部(不図示)とを備える。タップ切換制御部は、受電電圧に応じて複数のタップの導通状態を切り換えて、巻線の巻数を変更することで変圧比を調整する。
【0011】
温度センサ20は、例えば、変圧器10の内部および/または外部に1又は複数設置され、変圧器10の温度を計測する。変圧器10の内部に設置された温度センサ20は、例えば、絶縁油の温度(以下、「油温」という)を計測する。また、変圧器10の外部に設置された温度センサ20は、例えば、変圧器10の周囲の温度(以下、「外気温」という)を計測する。温度センサ20は、例えば、測温抵抗体により得られる温度に比例した電気抵抗率に関する情報を、センサ情報として取得する。温度センサ20は、油温および外気温に関するセンサ情報を、計測時刻と対応付けて、監視支援システム100に出力する。
【0012】
監視支援システム100は、例えば、取得部110と、状態予測部120と、表示制御部130と、通信部140とを備える。これらの機構は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。これらの各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0013】
取得部110は、例えば、センサ情報取得部111と、温度取得部112と、電流値取得部113とを備える。センサ情報取得部111は、「センサインターフェース」の一例である。センサ情報取得部111は、温度センサ20により計測されたセンサ情報を取得する。
【0014】
温度取得部112は、センサ情報取得部111に取得したセンサ情報を、状態予測部120で演算可能な温度値に換算する。また、温度取得部112は、例えば、温度センサ20がアナログ出力をする場合には、アナログ信号をデジタル信号に変更するAD変換器を含んでもよい。
【0015】
電流値取得部113は、変圧器10に設けられた電流センサ12により計測された電流値を取得する。電流センサ12による計測時間は、例えば、温度センサ20による計測時刻と対応付けられている。
【0016】
状態予測部120は、例えば、温度取得部112により取得された温度値と、電流値取得部113により取得された電流値とに基づいて、変圧器10の将来の状態を予測する。状態予測部120は、例えば、予測演算部121と、運用支援情報生成部122とを備える。予測演算部121は、例えば、温度取得部112により取得された温度情報と、電流値取得部113により取得された電流値とに基づいて、時刻tごとの変圧器10の油温予測値、巻線温度予測値、または寿命損失予測値のうち、少なくとも一つの値を演算する。予測演算部121の機能の詳細については、後述する。
【0017】
運用支援情報生成部122は、電流値取得部113により取得された電流値および温度取得部112により取得された温度等の計測情報と、予測演算部121により演算された予測演算結果と、熱的許容限度とに基づいて、運用支援情報123を生成する。熱的許容限度とは、例えば、変圧器10に対して熱的に設備運用を許容できる限界値(例えば、温度限界値)である。
【0018】
運用支援情報123には、例えば、電流値と、温度と、連続許容電流値と、限時許容電流値と、継続可能時間とが含まれる。温度は、外気温、変圧器10の油温または巻線温度である。連続許容電流値は、例えば、熱的許容限度を超えずに設備に流せる最大の電流値である。また、限時許容電流値は、所定時間内において熱的許容限度を超えずに設備に流せる最大の電流値である。継続可能時間とは、例えば、現在の電流値を維持して運用を継続すると仮定した場合に、変圧器10の温度が熱的許容限度に到達するまでの時間である。
【0019】
表示制御部130は、運用支援情報生成部122により生成された運用支援情報123に基づいて、表示装置200の表示部220に表示させるための情報を生成する。表示部220に表示させるための情報は、例えば、画像情報でもよく、ブラウザ上で表示可能なHTML(Hyper Text Markup Language)ファイルでもよい。
【0020】
通信部140は、表示装置200の通信部210と通信を行う。通信部140は、表示制御部130により生成された情報を、通信部210に送信する。
【0021】
表示装置200は、例えば、通信部210と、表示部220とを備える。表示装置200は、例えば、PC(Personal Computer)であるが、タブレット端末やスマートフォン等でもよい。通信部210は、監視支援システム100の通信部140と通信を行う。通信部210は、通信部140から表示部220に表示させるための情報を取得する。
【0022】
表示部220は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。表示部220は、通信部210が受信した情報を画面に表示する。表示部220に表示される情報の一例については、後述する。
【0023】
[状態予測]
ここで、上述した状態予測部120による状態予測処理について説明する。予測演算部121は、時刻tにおける変圧器10の油温、巻線温度、または寿命損失を演算する。
【0024】
例えば、予測演算部121は、温度取得部112により取得された外気温θ
a[℃]および油温初期値θ
OS[℃]と、電流値取得部113により取得された変圧器10内の電流値Iとを(式1)に適用し、時刻tにおける変圧器10の油温計算値θ
ot(t)を演算する。なお、外気温θ
a[℃]または油温初期値θ
OS[℃]のそれぞれを複数の温度センサ20から取得している場合は、例えば、それぞれの温度センサで計測された温度の平均値、または予め指定された温度センサ20から取得した値が用いられる。
【0025】
【数1】
(式1)において、τ0は油温変化の時定数を示す。また、θ
OLは油温最終到達温度[℃]を示し、例えば(式2)で算出される。
【0026】
【数2】
(式2)において、θ
0は、最高油温上昇値[K]を示し、例えば(式3)で算出される。
【0027】
【数3】
(式3)において、θ
ONは定格負荷時の最高油温上昇値[k]を示し、Kは変圧器10の負荷率(=現在の電流値I[A]/定格負荷時の電流値IN[A])を示し、Rは損失比(=定格負荷時の負荷損/無負荷損)を示し、mは冷却方式により定まる定数を示す。これにより、予測演算部121は、現在の変圧器使用状態の外気温および電流値を使用して、異なる時刻tについて上記の演算を行うことで、将来の複数の時点における油温計算値θ
Ot(t)を演算して、変圧器10の将来の油温を予測することができる。
【0028】
また、予測演算部121は、巻線温度の将来の値を予測する演算を行う場合、例えば、(式4)を用いて、将来の複数の時点における巻線温度[℃]を演算する。
【0029】
【数4】
(式4)において、θgは巻線温度上昇値[K]を示す。
【0030】
また、予測演算部121は、寿命損失予測値の演算を行ってもよい。寿命損失は、主に巻線温度θ
gt(t)の影響を受ける。例えば、巻線温度が95℃の状態で連続運用されるものと仮定した場合、変圧器10は、約30年の寿命が期待できる。一方、巻線温度が95[℃]より6[℃]上昇した状態で連続運用されるものと仮定した場合、変圧器10の寿命は、半減することが想定される。仮に、巻線温度149℃で運用した場合は、30分ほどで寿命が3%縮まることを表示する。これは、1年間に換算して約10日縮まる設備状態であることを示している。また、巻線温度が95[℃]よりも6[℃]下降した状態で連続運用するものと仮定した場合、変圧器10の寿命は、倍増することが想定される。したがって、予測演算部121は、(式5)を用いて、寿命損失[分/年]を演算することができる。
【0031】
【数5】
(式5)において、bは、寿命損失係数を示す。例えば、巻線温度が6℃上昇するごとに寿命が半減するものと仮定した場合、寿命損失係数は、(ln2)/6=0.1155となる。また、(式5)において、T1は監視期間の開始時刻を示し、T2は監視期間の終了時刻を示す。したがって、寿命損失予測値Vは、寿命損失の累積値として求めることができる。
【0032】
運用支援情報生成部122は、予測演算部121により予測された油温予測値、巻線温度予測値、および寿命損失予測値のうち、少なくとも一つの情報を用いて、運用支援情報123を生成する。
【0033】
図2は、油温予測値を用いた継続可能時間の生成について説明するための図である。
図2の例において、横軸は、時間を示し、縦軸は油温を示す。
図2の例では、時刻tごとの油温予測値を示している。運用支援情報生成部122は、例えば、油温計算値θ
ot(t)の予測結果(複数時点の)を参照し、油温予測値が熱的許容限度の判定閾値に到達する時刻を取得する。判定閾値は、例えば、固定値でもよく、運用状況や運用者等によって任意に変更される値でもよい。また、運用支援情報生成部122は、現在時刻から判定閾値に到達する時刻までの時間を演算し、演算した時間を継続可能時間とする。
【0034】
図2の例では、時刻t1において、油温予測値が熱的許容限度の判定閾値に到達している。したがって、運用支援情報生成部122は、現在時刻t0から時刻t1までの時間(t1−t0)を継続可能時間として生成する。
【0035】
また、予測演算部121は、例えば、電流値取得部113により取得された変圧器10内の電流値Iに複数の仮想電流値を代入して、(式1)〜(式3)の演算を行う。そして、運用支援情報生成部122は、複数の仮想電流値を代入して演算された結果のうち、油温予測値が熱的許容限度値の判定閾値を超えない仮想電流の最大値を連続許容電流値として生成する。
【0036】
また、予測演算部121は、例えば、複数の仮想電流値を代入した(式1)〜(式3)の演算を所定時間(例えば、現在時刻から1時間)の範囲内で行う。そして、運用支援情報生成部122は、複数の仮想電流値に基づく演算結果のうち、所定時間内で油温予測値が熱的許容限度値の判定閾値を超えない電流の最大値を限時許容電流値として生成する。
【0037】
なお、巻線温度に対する将来の温度予測値(巻線温度予測値)についても
図2に示す油温の予測結果と同様の結果が得られる。そのため、状態予測部120は、油温と同様に、巻線温度に対応する熱的許容限界の判定閾値を設定し、設定した判定閾値と、巻線温度予測値とに基づいて、巻線温度を基準とした、継続可能時間、連続許容電流値、限時許容電流値の各値うち、少なくとも一つの値を生成する。
【0038】
また、状態予測部120は、寿命損失予測値に基づいて上述した継続可能時間、連続許容電流値、限時許容電流値の各値を生成してもよい。
図3は、寿命損失予測値を用いた継続可能時間の生成について説明するための図である。
図3の例において、横軸は、時間を示し、縦軸は、巻線温度(
図3の左側の縦軸)を示すとともに、寿命損失(
図3の右側の縦軸)を示す。
【0039】
寿命損失は、巻線温度の温度が所定値(例えば、95℃)を超えてからの経過時間および巻線温度の所定値からの増加量に基づいて、その累積値が予測される。予測演算部121は、(式5)において、巻線温度の温度が所定値を超えた時刻をT1、現在時刻をT2として演算を行う。また、予測演算部121は、巻線温度の温度が所定値を下回ったら演算を終了する。なお、予測演算部121は、ハンチング防止のためヒステリシスを設けてもよい。
【0040】
図3の例において、運用支援情報生成部122は、予測演算部121により演算された寿命損失予測値が、寿命損失の判定閾値を超える時刻t2を取得する。そして、運用支援情報生成部122は、取得された時刻t0から時刻t2までの時間を演算し、演算された時間(t2−t0)を継続可能時間として生成する。
【0041】
また、予測演算部121は、電流値取得部113により取得された変圧器10内の電流値Iに複数の仮想電流値を代入して、上述した(式1)〜(式5)の演算を行う。そして、運用支援情報生成部122は、複数の仮想電流値を代入して演算された結果のうち、寿命損失予測値が、寿命損失の判定閾値を超えない電流の最大値を連続許容電流値として生成する。また、予測演算部121は、複数の仮想電流値を代入した(式1)〜(式5)の演算を所定時間の範囲内で行い、寿命損失予測値が、寿命損失の判定閾値を超えない電流の最大値を限時許容電流値として生成する。状態予測部120は、寿命損失に関する情報を予測することで、運用者は、寿命という観点から、過負荷による設備の状態を把握することができ、運転設備の優先順位を決定する場合や計画的な設備更新を行うための一つの目安にすることができる。
【0042】
[表示画面]
次に、第1の実施形態において表示部220に表示される画面例について説明する。
図4は、第1の実施形態の表示部220に表示される運用支援情報表示画面221について説明するための図である。運用支援情報表示画面221は、例えば、常時運用情報表示領域221aと、計測データ表示領域221bと、運用概要情報表示領域221cとが示されている。
【0043】
常時運用情報表示領域221aには、運用支援情報生成部122により生成された連続許容電流値と、継続可能時間とが示されている。
【0044】
計測データ表示領域221bには、温度取得部112で取得された変圧器10の外気温測定値および油温測定値と、電流値取得部113により取得された電流値と、予測演算部121により演算された現在時刻における巻線温度および油温の計算値とが示されている。外気温測定値には、例えば、外気温測定用の二つの温度センサ(例えば、温度計1、2)でそれぞれ測定された外気温の値が示されている。また、油温測定値には、油温測定用の三つの温度センサ(例えば、第1相〜第3相)でそれぞれ測定された油温の値が示されている。
【0045】
運用概要情報表示領域221cには、常時運用情報表示領域221aおよび計測データ表示領域221bに表示されている情報のうち、一部または全部が示されている。運用支援情報表示画面221には、電流値に加えて(または、代わりに)、電力値[MW]が表示されてもよい。
【0046】
なお、
図4の例では、主に油温に基づく情報を示しているが、油温の代わりに巻線温度または寿命損失に基づく情報を表示してもよい。例えば、寿命損失に基づく値を表示する場合、表示制御部130は、30年の寿命のうち、何%を今までで消費したのかを積算した値を表示部220に表示させるための情報を生成する。油温、巻線温度、およぶ寿命損失の各要素のうち、どの要素に基づいた情報を表示するかについては、運用者が画面に表示させる少なくとも一つの要素を選択してもよく、監視支援システム100に予め表示させる少なくとも一つの要素が設定されていてもよい。
【0047】
また、運用支援情報表示画面221には、現在の運用状態での変圧器10の巻線に流れる電流値が、連続許容電流値以内である場合に「連続値以内」と表示されてもよく、連続許容電流値を超えている場合に「限度値超過」と表示されてもよい。これらの表示情報も、表示制御部130により生成される。
【0048】
運用者は、運用支援情報表示画面221を参照することで、常に変化する系統状態や外気温から求められる許容電流値や運転継続可能時間を把握することができ、現在の設備状態に合わせた運用を行うことができる。
【0049】
図5は、第1の実施形態の監視支援システム100における処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図5に示す処理は、一例として、油温予測値に基づく運用支援情報の生成処理を示す。また、
図5に示すフローチャートは、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0050】
図5の例において、まず、温度取得部112は、温度センサ20から変圧器10の温度情報を取得する(ステップS100)。次に、電流値取得部113は、変圧器10に設置された電流センサ12から変圧器10の巻線に流れる電流値を取得する(ステップS110)。次に、予測演算部121は、外気温および油温と、電流値とに基づいて、変圧器10の時刻tごとの油温予測値を演算する(ステップS120)。
【0051】
次に、運用支援情報生成部122は、演算された油温予測値と、熱的許容限度の判定閾値とに基づいて、継続可能時間を生成する(ステップS130)。次に、予測演算部を電流センサから取得した電流値の代わりに複数の仮想電流値を用いて、時刻tごとの油温予測値を演算する(ステップS140)。次に、運用支援情報生成部122は、演算された油温予測値と、熱的許容限度の判定閾値とに基づいて、連続許容電流値または限時許容電流値を生成する(ステップS150)。なお、運用支援情報生成部122は、連続許容電流値および限時許容電流値の両方を生成してもよい。
【0052】
次に、運用支援情報生成部122は、実測された温度または電流値や、予測演算部121により演算された値に基づいて、運用支援情報123を生成する(ステップS160)。次に、表示制御部130は、表示装置200の表示部220に運用支援情報123を表示するための画像を生成し(ステップS170)、生成した画像を表示装置200に出力して(ステップS180)、本フローチャートの処理を終了する。これにより、表示装置200は、監視支援システム100により送信された情報を受信して表示部220に表示させることができる。
【0053】
なお、監視支援システム100は、複数の表示装置200と通信可能であってもよい。この場合、監視支援システム100は、複数の表示装置200に対して、運用支援情報123を表示するための情報を送信する。また、監視支援システム100は、表示部220の機能を備えていてもよい。
【0054】
以上説明したように、第1の実施形態の監視支援システム100によれば、実測した温度情報と電流値とによって予測された変圧器10の将来の状態に基づいて、変圧器10に供給可能な電流値、または前記変圧器の温度が許容限度に到達するまでの継続可能時間のうち、少なくとも一方を表示部220に表示させることで、送変電設備の設備能力を効率的に活用するための情報を提供することができる。これにより、監視支援システム100は、時間経過に伴って変化する系統状態や外気温から求められる許容電流値を表示装置200に表示させることができ、限界温度を超過する前に、運用者に発電出力の調整や系統切替を実施させることができる。
【0055】
また、監視支援システム100は、連続許容電流値として設備そのものの許容値を提供するとともに、限時許容電流値として一時的な許容値を表示部220に表示させることができるため、変圧器10の定格容量を超えても運用可能な範囲を詳細に表示させることができる。そのため、運用者は、表示装置200に表示された連続許容電流値や限時許容電流値を指針として、現在の設備状態に合わせた運用が可能となる。また、監視支援システム100は、変圧器10に関する制御対象機器に対して制御の実行を行うまでの運転継続可能時間を表示装置200に表示させることができる。そのため、運用者は、設備の運転の時間的な裕度を把握することができ、設備を効率的に活用することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、監視支援システムの第2の実施形態について説明する。以下において、第1の実施形態と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0057】
図6は、第2の実施形態の監視支援システム100Aの一例を示す図である。監視支援システム100Aは、取得部110と、状態予測部120Aと、表示制御部130と、通信部140とを備える。以下の説明では、主に第1の実施形態との相違点である状態予測部120Aの構成を中心として説明する。
【0058】
例えば、変圧器10の巻線温度に流れる電流値が大きいほど、油温予測値が熱的許容限度の判定閾値に到達するまでの時間は短くなり、変圧器10の巻線温度に流れる電流値が小さいほど、熱的許容限度の判定閾値に到達するまでの時間は長くなる。そのため、限時許容電流値を生成する場合、複数の時間を基準にした限時許容電流値を生成するのが好ましい。したがって、運用支援情報生成部122Aは、予測演算部121により演算された結果から、複数の経過時間(Tx)ごとに、熱的許容限度の判定閾値に到達するときの仮想電流値を取得し、取得した仮想電流値を、限時許容電流値として生成する。複数の経過時間とは、例えば、30分、1時間、2時間、4時間、8時間である。
【0059】
また、運用支援情報生成部122Aは、電流値と、温度と、連続許容電流値と、複数の時間後の限時許容電流値と、継続可能時間とのうち、少なくとも一つを含む運用支援情報123Aを生成する。表示制御部130は、運用支援情報生成部122Aにより生成された運用支援情報123Aを表示部220に表示するための情報を生成する。
【0060】
図7は、第2の実施形態の表示部220に表示される運用支援情報表示画面222について説明するための図である。運用支援情報表示画面222は、例えば、常時運用情報表示領域222aと、計測データ表示領域222bと、運用概要情報表示領域222cとが示されている。計測データ表示領域222bおよび運用概要情報表示領域222cに表示される内容は、上述した運用支援情報表示画面221の計測データ表示領域221bおよび運用概要情報表示領域221cと同様であるため、具体的な説明な省略する。
【0061】
常時運用情報表示領域222aには、運用支援情報生成部122Aにより生成された連続許容電流値と、継続可能時間と、複数の時間後における限時許容電流値とが示されている。運用者は、運用支援情報表示画面222を参照することで、現在時刻からの複数の経過時間に対する許容電流値を把握することができる。
【0062】
第2の実施形態の監視支援システム100Aにおける処理の流れについては、第1の実施形態の監視支援システム100におけるステップS100〜S180の処理のうち、ステップS150の処理以外の処理については、同様の処理を行う。ステップS150の処理では、限時許容電流値を生成する場合に、複数の時間ごとの限時許容電流値を生成する。
【0063】
以上説明したように、第2の実施形態の監視支援システム100Aによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、現在時刻を基準とした複数の経過時間に対する許容電流値が表示部220に表示されるため、運用者は、運用するために必要な時間に合わせて電流値を調整することができる。したがって、運用者は、送変電設備の設備能力を、より効率的に活用することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、監視支援システムの第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態においては、上述した第1の実施形態の監視支援システムと同様のシステム構成を適用することができる。
【0065】
図8は、第3の実施形態の監視支援システム100Bの一例を示す図である。監視支援システム100Bは、取得部110と、状態予測部120Bと、表示制御部130と、通信部140とを備える。監視支援システム100Bは、第2の実施形態の監視支援システム100Aと比較すると、状態予測部120Bにおいて、予測演算部121と運用支援情報生成部122Aとの代わりに、予測演算部121Bと運用支援情報生成部122Bとを備える点、および予測値選択部124を備える点で相違する。したがって、以下の説明では、主に予測演算部121B、運用支援情報生成部122B、および予測値選択部124の構成を中心として説明する。また、この構成は、第2の実施形態に追加されてもよい。
【0066】
図9は、油温および巻線温度を用いた演算結果による運用支援情報の選択例について説明するための図である。油温および巻線温度は、横軸を変圧器負荷率[%]とし、縦軸を変圧器10の外気温[℃]とした場合に、
図9に示すような異なる関係性を示すものとする。この場合、
図9に示すように、4つの領域A〜Dに区分される。領域Aは、油温予測値の演算結果と巻線温度による演算結果の両方が熱的許容限度に到達する領域である。領域Bは、油温による演算結果が巻線温度による演算結果よりも先に熱的許容限度に到達する領域である。油温による演算結果の方が先に熱的許容限度に到達するのは、外気温が高くなるほど油温が上昇することに起因する。領域Cは、巻線温度による演算結果が油温による演算結果よりも先に、熱的許容限度に到達する領域である。巻線温度による演算結果の方が先に熱的許容限度に到達するのは、負荷率が大きくなると、巻線温度が上昇することに起因する。領域Dは、油温による演算結果と巻線温度による演算結果の両方とも許容限度の限界を迎えてない領域である。このように、設備の使用状況によって、予測値が熱的許容限度に到達する時間が異なる場合がある。これは、上述した油温と巻線温度との関係だけでなく、変圧器10の油温または巻線温度と、寿命損失との関係についても同様のことがいえる。
【0067】
したがって、第3の実施形態において、予測演算部121Bは、油温予測、巻線温度予測、および寿命損失予測のうち、複数の予測の演算を行う。また、予測値選択部124は、予測演算部121Bにより予測された複数の演算結果のうち、最も短時間で熱的許容限度に到達する予測値に対する要素(油温、巻線温度、または寿命損失)を選択する。運用支援情報生成部122Bは、予測値選択部124により選択された要素に基づいて、継続可能時間、連続許容電流値、限時許容電流値等を含む運用支援情報123Bを生成する。表示制御部130は、最も短時間で熱的許容限度に到達する値に対する運用支援情報123Bを表示部220に表示するための情報を生成する。
【0068】
図10は、第3の実施形態の監視支援システム100Bにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図10に示すフローチャートは、上述した
図5に示すフローチャートと比較すると、ステップS120〜S150の処理がステップS121〜S151の処理に置き換わっている点で相違する。したがって、以下では、主にステップS131〜S151の処理を中心として説明する。
【0069】
図10の処理において、予測演算部121Bは、外気温および油温と、電流値とに基づいて時刻tごとの油温予測値、巻線温度予測値、および寿命損失予測値を演算する(ステップS121)。次に、運用支援情報生成部122Bは、油温予測値、巻線温度予測値、および寿命予測値のそれぞれと、判定閾値とに基づいて継続可能時間を生成する(ステップS131)。次に、予測値選択部124は、油温予測値、巻線温度予測値、および寿命予測値の各継続可能時間のうち、継続可能時間が最も短い予測値の要素(油温、巻線温度、または寿命損失)を選択する(ステップS132)。
【0070】
次に、予測演算部121Bは、電流値の代わりに複数の仮想電流値を用いて、選択された要素に対する時刻tごとの予測値を演算する(ステップS141)。次に、運用支援情報生成部122Bは、演算された予測値と、判定閾値とに基づいて連続許容電流値または限時許容電流値を生成し(ステップS151)、ステップS160以降の処理を実行する。
【0071】
以上説明したように、第3の実施形態の監視支援システム100Bによれば、第1および第2の実施形態と同様の効果を奏する他、油温、巻線温度、および寿命損失のうち、複数の要素の熱的許容限度を考慮した制御を行うことができる。したがって、監視支援システム100は、より安全な設備運用を実現することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
次に、監視支援システムの第4の実施形態について説明する。以下において、第2の実施形態と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0073】
図11は、第4の実施形態の監視支援システム100Cの一例を示す図である。監視支援システム100Cは、変圧器10と、温度センサ20と、監視支援システム100Cと、表示装置200とを備える。監視支援システム100Cは、第2の実施形態の監視支援システム100Aと比較すると、運用支援情報生成部122Aの代わりに運用支援情報生成部122Cを備える点で相違する。したがって、以下の説明では、主に運用支援情報生成部122Cの構成を中心として説明する。また、この構成は、第1または第3の実施形態に追加されてもよい。
【0074】
運用支援情報生成部122Cは、例えば、電流値、温度、連続許容電流値、限時許容電流値、継続可能時間の他に、変圧器10に関連する制御対象機器に対する制御情報を含めて、これらの情報から少なくとも一つを含む運用支援情報123Bを生成する。変圧器10に関連する制御対象機器とは、例えば、設備内の発電機やその他の負荷システム、運用者が使用する端末装置であるが、変圧器10そのものであってもよい。制御情報とは、例えば、制御対象機器に対する警報情報、抑制指令、遮断指令、制御情報を出力する時間、現在時刻から制御情報を出力するまでの残り時間である。
【0075】
図12は、予測演算部121で演算された油温予測値に基づいて生成される制御情報について説明するための図である。
図12の例は、
図2と同様に時間経過に伴う油温予測値を示している。運用支援情報生成部122Cは、油温予測値と、熱的許容限度の判定閾値とに基づいて、変圧器10に関連する制御対象機器に対する制御情報を生成する。
【0076】
図12の例において、運用支援情報生成部122Cは、油温予測値が熱的許容限度の判定閾値に到達する時刻t1に、発電機を遮断するための制御信号を生成する。また、運用支援情報生成部122Cは、時刻t1より所定時間(Ta1)前の時刻taにおいて、発電機を遮断するための遮断前警報を出力するための制御信号を生成する。なお、制御信号については、上記の内容に加えて発電機を抑制する制御信号や、抑制信号を出力する前の警告信号、変圧器10を遮断する制御信号等が含まれてもよい。
【0077】
また、運用支援情報生成部122Cは、現在時刻から、各制御信号が出力されるまでの時間を算出してもよい。また、運用支援情報生成部122Cは、制御信号が出力されたと仮定された後の連続許容電流値や限時電流値、継続可能時間を生成してもよい。
【0078】
表示制御部130は、運用支援情報123Cを表示部220に表示させるための情報を生成し、生成した情報を表示装置200に出力する。これにより、運用者は、制御情報が出力されるまでの制限時間を、現在の設備状態に応じた情報として把握することができる。
【0079】
図13は、第4の実施形態の表示部220に表示される運用支援情報表示画面223について説明するための図である。運用支援情報表示画面223は、例えば、常時運用情報表示領域223aと、計測データ表示領域223bと、運用概要情報表示領域223cと、緊急時運用情報表示領域223dと、緊急動作状況表示領域223eとが示されている。常時運用情報表示領域223a、計測データ表示領域223b、および運用概要情報表示領域223cに示された内容は、上述した常時運用情報表示領域222a、計測データ表示領域222b、および運用概要情報表示領域222cに示された内容と同様であるため、具体的な説明な省略する。
【0080】
緊急時運用情報表示領域223dには、例えば、発電機に対する抑制信号または遮断信号が出力されたと仮定された場合の緊急時において、複数の経過時間に対する限時許容電流値が示されている。緊急動作状況表示領域223eには、現時点を基準とした監視支援システム100Cの緊急動作状況に関する情報が示されている。緊急動作状況に関する情報とは、例えば、発電機抑制信号が出力されるまでの残り時間、発電機遮断信号が出力されるまでの残り時間、変圧器遮断信号が出力されるまでの残り時間である。
図13の例では、緊急動作が行われていない状況を示しているため、緊急動作状況表示領域223eには、「緊急動作なし」の文字が示されている。
【0081】
図14は、第4の実施形態の監視支援システム100Cにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図14に示すフローチャートは、上述した
図5に示すフローチャートと比較すると、ステップS152の処理が追加されている点で相違する。したがって、以下では、主にステップS152の処理を中心として説明する。
【0082】
図14の処理において、運用支援情報生成部122Cは、油温予測値と、熱的許容限度の判定閾値とに基づいて、連続許容電流値または限時許容電流値を生成する(ステップS150)。次に、運用支援情報生成部122Cは、変圧器10に関する制御対象機器に対する制御情報を生成する(ステップS152)。また、運用支援情報生成部122Cは、継続可能時間、連続許容電流値または限時許容電流値、制御情報を含む運用支援情報を生成し(ステップS160)、ステップS170以降の処理を実行する。
【0083】
以上説明したように、第4の実施形態の監視支援システム100Cよれば、第1〜第3の実施形態と同様の効果を奏する他、運用者は、制御情報が出力されるまでの残り時間を、現在の設備状態に応じた情報として把握することが可能となる。したがって、監視支援システム100Bは、緊急運用に伴う制御情報が出力される前に、運用者に系統の切り替え等の潮流対策の実施を促すことができる。
(第5の実施形態)
次に、監視支援システムの第5の実施形態について説明する。以下において、第4の実施形態と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0084】
図15は、第5の実施形態の監視支援システム100Dの一例を示す図である。監視支援システム100Dは、第4の実施形態の監視支援システム100Cと比較すると、取得部110Dに温度監視部114を備える点、および、運用支援情報生成部122Cの代わりに運用支援情報生成部122Dを備える点で相違する。したがって、以下の説明では、主に温度監視部114および運用支援情報生成部122Dの構成を中心として説明する。また、この構成は、第1〜第3のいずれの実施形態に追加されてもよい。
【0085】
例えば、温度センサ20が計測した温度に異常があった場合、正常時の測定値と実際の外気温の温度差が大きくなる可能性がある。また、異常値を用いて油温予測値や巻線温度、寿命損失予測値を演算すると、継続可能時間、連続許容電流値、限時許容電流値の各値も実際の値とは異なるため、適切な設備運用を行うことができない。
【0086】
したがって、第5の実施形態において、温度監視部114は、温度取得部112により取得された油温または外気温が所定の温度範囲内にあるかを監視し、油温または外気温が所定の温度範囲内にない場合に、温度が異常であると判定し、予測演算部121に出力する温度情報を変更する。また、温度監視部114は、複数の温度センサ20により複数の油温または外気温を取得している場合、それぞれの油温の差分値または外気温の差分値が、所定の閾値以上である場合に、温度が異常であると判定してもよい。
【0087】
例えば、温度監視部114は、温度保持部115を備える。温度保持部115は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SDカード等の不揮発性の記憶媒体、或いは、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体によって実現される。温度監視部114は、以前の測定で所定の範囲内にあった温度情報を温度保持部115に保持する。また、温度監視部114は、所定の温度範囲内にない状態が所定時間に到達するまでは、温度範囲を超える温度については、温度保持部115に保持された温度情報に変更する。更に、温度監視部114は、温度取得部112により取得された温度が所定の温度範囲内にない状態が所定時間以上継続する場合に、予め設定された固定値に変更する。温度監視部114は、例えば、変更された後の温度、および、固定値に変更されるまでの残り時間を運用支援情報生成部122Dに出力する。
【0088】
また、運用支援情報生成部122Dは、上述した運用支援情報123Cに含まれる情報に加えて、温度監視部114による監視結果に基づく温度切替情報を含む運用支援情報123Dを生成可能とする。温度切替情報には、例えば、油温または外気温が所定の温度範囲内にあるかを監視した結果や、油温または外気温が所定の温度範囲内にない場合に、保持された以前の温度情報または予め設定された固定の温度情報、実測温度を他の値に変更するまでの残り時間が含まれる。
【0089】
図16は、第5の実施形態の表示部220に表示される運用支援情報表示画面224について説明するための図である。運用支援情報表示画面224は、例えば、常時運用情報表示領域224aと、計測データ表示領域224bと、運用概要情報表示領域224cと、緊急時運用情報表示領域224dと、緊急動作状況表示領域224eとが示されている。計測データ表示領域224b以外の表示領域に示された内容は、
図13に示す常時運用情報表示領域223aと、運用概要情報表示領域223cと、緊急時運用情報表示領域223dと、緊急動作状況表示領域223eとに示された内容と同様であるため、具体的な説明は省略する。
【0090】
計測データ表示領域224bには、外気温測定値と、油温測定値と、現在電流値と、巻線温度計算値と、油温計算値とが示されている。ここで、温度監視部114は、外気温用の温度センサ20のうち、一つのセンサが温度範囲内にないと判定されたとする。この場合、外気温測定値の表示部分には、温度切替情報である前回の温度値20.0[℃]が表示される。また、計測データ表示領域224bには、温度情報の固定値(例えば、25.0[℃])に変更するまでの残り時間が表示される。また、固定値への変更までの残り時間が0(ゼロ)になった場合に、外気温測定値の表示部分に「25.0℃(固定値)」が表示される。
【0091】
図17は、第5の実施形態の監視支援システム100Dにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図17に示すフローチャートは、上述した
図5に示すフローチャートと比較すると、ステップS101〜S105の処理が追加されている点で相違する。したがって、以下では、主にステップS101〜S105の処理を中心として説明する。
【0092】
図17の処理において、ステップS100の処理後、温度監視部114は、温度取得部112により取得された油温および外気温が所定の温度範囲内であるか否かを判定する(ステップS101)。所定の温度範囲にある場合、温度監視部114は、正常な温度であるとして温度保持部115に温度値を保持させる(ステップS102)。
【0093】
また、油温および外気温が所定の温度範囲内にない場合、温度監視部114は、その取得した温度値を異常であるものとし、温度値の異常が所定時間以上継続しているか否かを判定する(ステップS103)。温度値の異常が所定時間以上継続していない場合、温度監視部114は、異常と判定された温度値を、温度保持部115に保持された温度に変更する(ステップS104)。また、温度値の異常が所定時間以上継続している場合、温度監視部114は、異常と判定された温度値を、予め設定された固定値の温度に変更する(ステップS105)。その後、監視支援システム100Dは、ステップS110以降の処理を実行する。
【0094】
なお、第5の実施形態では、温度センサ20の測定値に対する監視を行ったが、電流値取得部113に電流値監視部を設けてもよい。この場合、電流値監視部は、電流センサ12から得られる電流値が異常であるかの監視を行い、異常であると判定された場合に、電流値を変更する処理を行う。
【0095】
以上説明したように、第5の実施形態の監視支援システム100Dよれば、第1〜第4の実施形態と同様の効果を奏する他、運用者は、温度センサ20の異常を早期に把握することができる。したがって、運用者は、設備に対する負荷の切替や機器のメンテナンス等を適切なタイミングで実行することができる。
【0096】
(第6の実施形態)
次に、監視支援システムの第6の実施形態について説明する。以下において、第1の実施形態と同様の機能を備える構成については、同一の名称および符号を用いることとし、具体的な説明は省略する。
【0097】
図18は、第6の実施形態の監視支援システム100Eの一例を示す図である。この構成において、監視支援システム100Eは、第1の実施形態の監視支援システム100と比較すると、通信部140の代わりに通信部140Eを備える点で相違する。したがって、以下の説明では、主に通信部114Eの構成を中心として説明する。また、この構成は、第1〜第5のいずれの実施形態に追加されてもよい。
【0098】
通信部140Eは、表示制御部130により生成された表示部220に表示させるための情報だけでなく、運用支援情報生成部122により生成された運用支援情報123を表示装置200に送信する。
【0099】
通信部210は、通信部140Eとの通信により取得した運用支援情報123を、表示部220に出力するとともに、取得した運用支援情報123と時間情報とを対応付けて、保持部230に保存する。
【0100】
保持部230は、例えば、フラッシュメモリ、HDD、SDカード等の不揮発性の記憶媒体、或いは、RAM、レジスタ等の揮発性の記憶媒体によって実現される。また、保持部230は、時刻情報に対応付けて運用支援情報123を保持することで、運用支援の履歴情報を保持することができる。したがって、運用者は、その履歴情報に基づいて統計処理等における詳細な分析や検証等を行うことができる。
【0101】
第6の実施形態の監視支援システム100Eにおける処理の流れについては、第1の実施形態の監視支援システム100におけるステップS100〜S180の処理のうち、ステップS180の処理以外の処理については、同様の処理を行う。ステップS180の処理では、通信部140Eは、運用支援情報123を表示部に表示させるために生成された画像を表示装置200に送信(出力)するだけなく、運用支援情報123も表示装置200に送信する。これにより、監視支援システム100Eは、表示装置200に、運用支援情報123に関する情報を表示させるだけでなく、運用支援情報123を保持部230に保持させることができる。
【0102】
以上説明したように、第6の実施形態の監視支援システム100Eによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、表示部220に表示させるための情報のみを表示装置200に送信するのではなく、運用支援情報123を表示装置200に送信することで、表示装置200の使用者(例えば、運用者、現場の作業者)に、制御の妥当性の検証や、設備状態の推定に用いているパラメータ等の妥当性の検証等を行わせることができる。なお、上述した第1〜第6の実施形態は、それぞれ他の実施形態の一部または全部と組み合わせてもよい。
【0103】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、変圧器10の温度を計測する温度センサ20から温度情報を取得する温度取得部112と、変圧器10に流れる電流値を取得する電流値取得部113と、温度取得部112により取得された温度情報と、電流値取得部113により取得された電流値とに基づいて、変圧器10の将来の状態を予測する状態予測部120と、状態予測部120により予測された変圧器10の将来の状態に基づいて、変圧器10に供給可能な電流値、または変圧器10の温度が許容限度に到達するまでの継続可能時間のうち、少なくとも一方を表示部220に表示させるための情報を生成する表示制御部130と、を持つことにより、送変電設備の設備能力を効率的に活用するための情報を提供することができる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。